JP5146827B2 - 多段光導波路 - Google Patents
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前記第1の光導波路に入射した光の光路を前記第2の光導波路の方向に変換する第1のミラー面を画定する第1のミラー部と、前記第1のミラー面により光路を変換された光が前記第2の光導波路に入射するように、前記第1のミラー面により光路を変換された光の光路を変換する第2のミラー面を画定する第2のミラー部とが形成されており、
下記条件(i)及び(ii):
(i)前記第1のコア部の光軸が前記第1のミラー面に対してなしている角度θ1が20〜35°の範囲内であること、
(ii)前記第2のコア部の光軸が前記第2のミラー面に対してなしている角度θ2が20〜35°の範囲内であること、
を満たし、且つ、
前記第1のコア部の光軸と前記第1のミラー面との交点M 1 に対する前記第2のコア部の光軸と前記第2のミラー面との交点M 2 の光軸方向におけるずれ幅(光の進行方向を正とする)が10〜50μmの範囲内であること、
を特徴とするものである。
得られる。
(E(R)3)2Pd(Q)2 ・・・(Ia)
[(E(R)3)aPd(Q)(LB)b]p[WCA]r ・・・(Ib)
前記一般式(Ia)及び(Ib)において、それぞれ、E(R)3は、第15族の中性電子ドナー配位子を表し、Eは、周期律表の第15族から選択される元素を表し、Rは、水素原子(又はその同位体の1つ)又は炭化水素基を含む部位を表し、Qは、カルボキシレート、チオカルボキシレート及びジチオカルボキシレートからなる群から選択されるアニオン配位子を表す。また、一般式(Ib)において、LBは、ルイス塩基を表し、WCAは、弱配位アニオンを表し、aは1〜3の整数を表し、bは0〜2の整数を表し、aとbとの合計は1〜3であり、p及びrは、パラジウムカチオンと弱配位アニオンとの電荷のバランスをとる数を表す。
(1)単層の光導波路フィルムの調製
<ヘキシルノルボルネン(HxNB)/ジフェニルメチルノルボルネンメトキシシラン(diPhNB)系コポリマーの合成>
HxNB(CAS番号:第22094−83−3番)(9.63g、0.054モル)、diPhNB(CAS番号:第376634−34−3番)(40.37g、0.126モル)、1−ヘキセン(4.54g、0.054モル)及びトルエン(150g)を、ドライボックス内の500mL容シーラムボトルに入れて混合し、さらにオイルバスにおいて80℃に加熱しながら撹拌して溶液とした。得られた溶液に、パラジウム重合触媒(Pd1446)(1.04×10−2g、7.20×10−6モル)及びN,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(略称:DANFABA)(2.30×10−2g、2.88×10−5モル)を、それぞれ濃縮ジクロロメタン溶液(0.1mL)の形態で添加した。添加後の混合物を、マグネチックスターラで80℃において2時間撹拌した。その後、反応混合物(トルエン溶液)をより大きなビーカーに移し変え、これに貧溶媒であるメタノール(1L)を滴下すると、繊維状の白色固形分が沈殿した。沈殿した固形分をろ過して60℃のオーブン内で真空乾燥させたところ、乾燥質量19.0g(収率38%)の生成物が得られた。得られた生成物の分子量をゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:THF溶媒、ポリスチレン換算)で測定したところ、質量平均分子量(Mw)は118,000であり、数平均分子量(Mn)は60,000であった。得られた生成物を1H−NMRで測定し、下記構造式で表されるHxNB/diPhNB系コポリマー(x=0.32、y=0.68、n=5)であることを同定した。このコポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmにおいて、TEモードが1.5695、そしてTMモードが1.5681であった。
イエローライト下、上記HxNB/diPhNB系コポリマーをメシチレンに溶解して10質量%のコポリマー溶液(30g)を調製した。これとは別に、100mL容ガラス瓶に、HxNB(42.03g、0.24モル)及びビス−ノルボルネンメトキシジメチルシラン(SiX、CAS番号:第376609−87−9番)(7.97g、0.026モル)を入れ、さらに2種類の酸化防止剤[Ciba社製Irganox1076(0.5g)及びIrgafos168(0.125g)]を加えてモノマー酸化防止剤溶液を得た。上記のコポリマー溶液30.0gに、上記のモノマー酸化防止剤溶液3.0gと、Pd(PCy3)2(OAc)2(Pd785)(メチレンクロライド0.1mLあたり、4.95×10−4g、6.29×10−7モル)と、吸収極大波長220nmの光酸発生剤[RHODORSIL(登録商標)PHOTOINITIATOR 2074(CAS番号:第178233−72−2番)](メチレンクロライド0.1mLあたり、2.55×10−3g、2.51×10−6モル)とを加えて均一に溶解させた後、細孔径0.2μmのフィルターでろ過して光導波路形成用ワニスを調製した。
厚さ250μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの上に、光導波路形成用ワニス10gを注ぎ、これをドクターブレードでほぼ一定の厚さになるように広げて光導波路形成用ワニスの塗膜を形成させた(乾燥前の厚さ70μm)。得られた塗膜をPETフィルムと共にホットプレート上に配置して50℃で45分間加熱することによりトルエンを蒸発させて厚さ50μmの乾燥塗膜を得た。得られた乾燥塗膜に、クラッド部に対応する所定の開口パターンを有するフォトマスクを通して、高圧水銀ランプ又はメタルハライドランプを用いて波長300nm未満又は365nm以下の紫外光を照射した(照射量500mJ/cm2)。照射後の塗膜をオーブンに入れ、最初に50℃で30分間、続いて85℃で30分間、その後150℃で60分間の加熱処理を施した。最初の50℃で10分間加熱した時点で、塗膜内の導波路パターンを目視で確認することができた。加熱処理後、塗膜をPETフィルムから剥離して光導波路フィルム(単層の光導波路フィルム)を得た。
<デシルノルボルネン(DeNB)/メチルグリシジルエーテルノルボルネン(AGENB)系コポリマーの合成>
DeNB(CAS番号:第22094−85−5番)(16.4g、0.07モル)、AGENB(CAS番号:第3188−75−8番)(5.41g、0.03モル)及びトルエン(58.0g)を、ドライボックス内の500mL容シーラムボトルに入れて混合し、さらにオイルバスにおいて80℃に加熱しながら撹拌して溶液とした。この溶液に、(η6−トルエン)Ni(C6F5)2(0.69g、0.0014モル)のトルエン溶液(5g)を添加した。添加後の混合物を、マグネチックスターラで室温において4時間撹拌した。その混合物に、トルエン(87.0g)を加えて激しく撹拌した。その後反応混合物(トルエン溶液)をより大きなビーカーに移し変え、これに貧溶媒であるメタノール(1L)を滴下すると、繊維状の白色固形分が沈殿した。固形分をろ過して集めて60℃のオーブン内で真空乾燥させたところ、乾燥質量17.00g(収率87%)の生成物が得られた。得られた生成物の分子量をGPC(THF溶媒、ポリスチレン換算)で測定したところ、Mwは75,000であり、Mnは30,000であった。得られた生成物を1H−NMRで測定し、下記構造式で表されるDeNB/AGENB系コポリマー(x=0.77、y=0.23、n=10)であることを同定した。このコポリマーの屈折率をプリズムカップリング法で測定したところ、波長633nmにおいて、TEモードが1.5153、そしてTMモードが1.5151であった。
イエローライト下、上記コポリマー10gを脱水トルエンに溶解して20質量%のコポリマー溶液(50g)を調製した。この溶液に、2種類の酸化防止剤[Ciba社製Irganox1076(0.01g)及びIrgafos168(0.0025g)]と吸収極大波長335nmの第2の光酸発生剤(東洋インキ製造社製、商品名「TAG−382」)(0.2g)とを加えて均一に溶解させた後、細孔径0.2μmのフィルターでろ過してクラッド層形成用ワニスを調製した。
水平台の上に配置した厚み100μmのPETフィルムの上に、クラッド用ワニス10gを注ぎ、ドクターブレードでほぼ一定の厚さになるように広げてクラッド用ワニスの塗膜を形成させた(乾燥前の厚み:30μm)。この塗膜をPETフィルムと共に乾燥機に入れて50℃で15分間加熱することによりトルエンを蒸発させて厚み20μmの乾燥塗膜を得た。その後、乾燥塗膜をPETフィルムから剥離してクラッドフィルム材料とした。
上記クラッドフィルム材料(大きさ:20×20cm)の両面に上記光導波路フィルム(大きさ:20×20cm)を1枚ずつ積層し、3層積層体を得た。得られた3層積層体を、120℃に設定されたラミネータに投入して、0.5MPaの圧力下、5分間熱圧着させた。その後3層積層体を室温・常圧に戻し、これと高圧水銀ランプとの間に300nm以下の波長を遮蔽する波長カットフィルターとして厚み100μmのPETフィルムを配置した。次いで、高圧水銀ランプから波長カットフィルターを通して紫外光を照射した(照射量:100mJ/cm2)。照射後の3層積層体を、放置することなく直ちに(放置時間0分)乾燥機に入れ、150℃で30分間加熱することにより、クラッドフィルム材料を硬化させ(クラッド層化)、光導波路と中間クラッド層との密着力強化を完了させて、ミラー加工前の多段光導波路を得た。
<エキシマレーザーの調整>
レーザー加工前の多段光導波路のコア部にミラー部を形成するのに先立ち、エキシマレーザー装置(OPTEC社製、製品名「ATLEX−300i」)を以下のように調整した。エキシマレーザー装置に設けられたチャンバー内の圧力を、一旦10ミリバール以下になるまで排気した後、上記チャンバー内にArFプレミックスガス(Ar:4.13%、F2:0.17%、ネオンガス:残部)を6500ミリバールになるまで充填した。また、パワーメーター(OPHIR社製、製品名「NOVA II」)を用い、ビームの照射エネルギーを300〜400mJ/pulseの範囲内に収まるように調整した後、ビームプロファイラー(Spiricon社製、製品名「LASER BEAM PROFILERS G3」)を用いて強度分布の偏りが無いように調整した。そして、上記エキシマレーザー装置において、レーザー光は、レンズを介して集光された後、1000×1250μmの角穴が加工されたステンレスマスクを通ることでさらに縮小投影されて最終的に照射エリアが実質100×125μmになるように調整した。
調製例で得られたミラー加工前の多段光導波路(コア部の厚さ:50μm、コア幅:50μm)の第2の光導波路側の面を、粘着性を有する基盤(トーヨーコーポレーション株式会社製、商品名「マジックレジン」)上に貼り付けた。その基盤を、エキシマレーザー装置の微動ステージ上に配置し、基盤の固定面を吸引して固定した。そして、ミラー加工前の多段光導波路の第1のコア部の長手方向と微動ステージの可動方向とが一致するようにステージを回転させてアライメントを調整した後、レーザー照射エリア(100×125μm)の中心が第1のコア部の中心にくるように調整した。次いで、第1のコア部のミラー加工部位に、アシストガスとしてHeガスを2.0L/分で流しながら、微動ステージを光路方向に28μm/秒で150μm移動させ、その間に周波数100Hzのレーザーを照射して第1のミラー部を形成し、第1のミラー部を形成後の多段光導波路を得た。
得られた多段光導波路のミラー面における反射の際に生じる光損失を以下に示す方法で測定した。すなわち、レーザーダイオード又は面発光型レーザ(VCSEL)から発生させた光を、光ファイバーを通して第1のコア部の一端から入力し、多段光導波路を通り抜け、第2のコア部から出てきた光の出力を測定し、下記数式(F1)で表される総光損失を求めた。
総光損失(dB)=−10log(P1/P0) ・・・(F1)
上記式中、P1は第2のコア部の出口で測定された出力であり、P0は、光ファイバーを第1のコア部の一端に結合する前の光ファイバーの端部における光源の測定出力である。なお、ミラー面における光損失はそれぞれ2つ又は3つの試料について測定し、その平均値を算出した。得られた結果を表1及び図6に示す。
第2のミラー部を形成する位置をM1に対するM2の光軸方向におけるずれ幅が15μm(実施例2)、30μm(実施例3)、45μm(実施例4)、60μm(実施例5)又は75μm(実施例6)となるような位置に調整した以外は実施例1と同様にして、多段光導波路を得た。得られた多段光導波路の中間クラッド層に垂直な面における断面を観察したところ、第1のコア部の光軸A1が第1のミラー面に対してなしている角度θ1及び第2のコア部の光軸A2が第2のミラー面に対してなしている角度θ2はそれぞれ30°であった。また、得られた多段光導波路について実施例1と同様にしてミラー面における光損失を測定した。得られた結果を表1及び図6に示す。
ステンレスマスクとして大きさが1000μm×2000μmの角穴が形成されたものを用い、且つ微動ステージの速度を38μm/秒で150μm移動させた以外は実施例1と同様にして、多段光導波路を得た。得られた多段光導波路の中間クラッド層に垂直な面における断面を観察したところ、第1のコア部の光軸A1が第1のミラー面に対してなしている角度θ1及び第2のコア部の光軸A2が第2のミラー面に対してなしている角度θ2はそれぞれ22°であった。
第2のミラー部を形成する位置をM1に対するM2の光軸方向におけるずれ幅が15μm(実施例8)、30μm(実施例9)、45μm(実施例10)、60μm(実施例11)又は75μm(実施例12)となるような位置に調整した以外は実施例7と同様にして、多段光導波路を得た。得られた多段光導波路の中間クラッド層に垂直な面における断面を観察したところ、第1のコア部の光軸A1が第1のミラー面に対してなしている角度θ1及び第2のコア部の光軸A2が第2のミラー面に対してなしている角度θ2はそれぞれ22°であった。また、得られた多段光導波路について実施例1と同様にしてミラー面における光損失を測定した。得られた結果を表1及び図6に示す。
ステンレスマスクとして大きさが1000μm×800μmの角穴が形成されたものを用い、且つ微動ステージの速度を16μm/秒で150μm移動させた以外は実施例1と同様にして、多段光導波路を得た。得られた多段光導波路の中間クラッド層に垂直な面における断面を観察したところ、第1のコア部の光軸A1が第1のミラー面に対してなしている角度θ1及び第2のコア部の光軸A2が第2のミラー面に対してなしている角度θ2はそれぞれ45°であった。また、得られた多段光導波路について実施例1と同様にしてミラー面における光損失を測定した。得られた結果を表1及び図7に示す。
第2のミラー部を形成する位置をM1に対するM2の光軸方向におけるずれ幅が15μm(比較例2)、20μm(比較例3)又は30μm(比較例4)となるような位置に調整した以外は比較例1と同様にして、多段光導波路を得た。得られた多段光導波路の中間クラッド層に垂直な面における断面を観察したところ、第1のコア部の光軸A1が第1のミラー面に対してなしている角度θ1及び第2のコア部の光軸A2が第2のミラー面に対してなしている角度θ2はそれぞれ45°であった。また、得られた多段光導波路について実施例1と同様にしてミラー面における光損失を測定した。得られた結果を表1及び図7に示す。
Claims (6)
- 中間クラッド層と、前記中間クラッド層の一方の面上に形成された第1のコア部を備える第1の光導波路と、前記中間クラッド層の他方の面上に形成された第2のコア部を備える第2の光導波路とを備える多段光導波路であって、
前記第1の光導波路に入射した光の光路を前記第2の光導波路の方向に変換する第1のミラー面を画定する第1のミラー部と、前記第1のミラー面により光路を変換された光が前記第2の光導波路に入射するように、前記第1のミラー面により光路を変換された光の光路を変換する第2のミラー面を画定する第2のミラー部とが形成されており、
下記条件(i)及び(ii):
(i)前記第1のコア部の光軸が前記第1のミラー面に対してなしている角度θ1が20〜35°の範囲内であること、
(ii)前記第2のコア部の光軸が前記第2のミラー面に対してなしている角度θ2が20〜35°の範囲内であること、
を満たし、且つ、
前記第1のコア部の光軸と前記第1のミラー面との交点M 1 に対する前記第2のコア部の光軸と前記第2のミラー面との交点M 2 の光軸方向におけるずれ幅(光の進行方向を正とする)が10〜50μmの範囲内であること、
を特徴とする多段光導波路。 - 前記第1のコア部を包囲している第1のクラッド部と、前記第2のコア部を包囲している第2のクラッド部とを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の多段光導波路。
- 前記第1のミラー面が、光を受ける面側に段階的に屈曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載の多段光導波路。
- 前記第1の光導波路が複数本の第1のコア部を多条配設した光導波路であり、且つ、前記第2の光導波路が複数本の第2のコア部を多条配設した光導波路であることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の多段光導波路。
- 前記中間クラッド層及び前記第1及び第2の光導波路が高分子材料からなることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項に記載の多段光導波路。
- 前記高分子材料が付加重合型ノルボルネンを主体とする主鎖を含むものであることを特徴とする請求項5に記載の多段光導波路。
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