JP2011079421A - 4輪駆動車用駆動力伝達装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】2輪駆動時に駆動力の伝達に関係しない部分の回転を完全に停止することでフリクションロスを低減し、2輪駆動時に燃費低下が起きない4輪駆動車を実現する。
【解決手段】駆動力伝達装置10は、エンジン28から駆動力伝達部16への駆動力を断接する第1断接機構20と、駆動力伝達部16から右後輪駆動軸92への駆動力を断接する同期機構を備えた第2断接機構22とを設ける。第2断接機構22の同期完了時に第1断接機構20の駆動力伝達部側56が対向側54より高速回転するように前後輪間の変速比を構成し、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第2断接機構22の同期を開始して駆動力伝達部16の回転速度を上げ、次に第1断接機構20の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が一致した時に第1断接機構20を接続する。
【選択図】図1

Description

本発明は、2輪駆動と4輪駆動を切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に関し、特に、2輪駆動時に駆動力の伝達に関係しない部分の回転を停止する4輪駆動車用駆動力伝達装置に係る。
従来の、いわゆるオンデマンド型フルタイム4輪駆動車において、2輪駆動モードの場合は前輪を駆動し、4輪駆動モードの場合には後輪への駆動力の配分を電子制御カップリング装置で制御するFF車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置としては、例えば図14に示すものが知られている。
図14において、駆動力伝達装置610は4輪駆動車612に設けられ、エンジン628からの駆動力を変速機630で変速し、変速機630のドライブギア632からリングギア634を介して前輪差動装置614に入力すると共に、前輪差動装置614に連結されたリングギア634と一体に回転するベベルギア662を介して出力ピニオン664にも伝達する。
出力ピニオン664からの駆動力はプロペラシャフト668を介して多板クラッチ機構672とアクチュエータ674を有する電子制御カップリング装置624に伝達され、2輪駆動時に電子制御カップリング装置624が切断されている場合(多板クラッチ機構672が開放された状態)は、駆動力は後輪差動装置618に伝達されずに前輪差動装置614にのみ伝達され、前輪差動装置614は左前輪650と右前輪652の回転速度差を吸収しつつ左前輪650及び右前輪652に等しいトルクを与え回転させる。
4輪駆動時に電子制御カップリング装置624が接続されている場合(多板クラッチ機構672が結合された状態)では、駆動力は電子制御カップリング装置624に連結したドライブピニオン676からリングギア678を介して後輪差動装置618にも伝達され、後輪差動装置618は左後輪700と右後輪702の回転速度差を吸収しつつ左後輪700及び右後輪702に等しいトルクを与え回転させる。
電子制御カップリング装置672はECU626からの制御信号E6によってアクチュエータ674を操作し、多板クラッチ機構672の結合力を連続的に変化させることで後輪差動装置618を介して左後輪700と右後輪702に伝達するトルクをゼロから所定の最大トルクの間に制御できる。
これにより、2輪駆動モードでは、電子制御カップリング装置624の伝達トルクがゼロに制御されて駆動力は前輪差動装置614にのみ伝達され、4輪駆動モードでは、電子制御カップリング装置624の伝達トルクが車両の走行状態に応じた適正トルクに制御されて後輪差動装置618にも伝達される。
また、2輪駆動モードの場合は後輪を駆動し、4輪駆動モードの場合には前輪への駆動力の配分を電子制御カップリング装置で制御するFR車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置としては、例えば図15に示すものが知られている。
図15において、駆動力伝達装置710は4輪駆動車712に設けられ、エンジン728からの駆動力を変速機730で変速して、多板クラッチ機構772とアクチュエータ774を有する電子制御カップリング装置724に入力する。
2輪駆動時に電子制御カップリング装置724が切断されている場合(多板クラッチ機構772が開放された状態)は、駆動力はそのまま後輪側のプロペラシャフト762、ドライブピニオン732及びリングギア734を介して後輪差動装置714に伝達され、後輪差動装置714は左後輪750と右後輪752の回転速度差を吸収しつつ左後輪750及び右後輪752に等しいトルクを与え回転させる。
4輪駆動時に電子制御カップリング装置724が接続されている場合(多板クラッチ機構772が結合された状態)では、駆動力は多板クラッチ機構772に連結されたチェーンベルト機構764から前輪側のプロペラシャフト768、ドライブピニオン776及びリングギア778を介して前輪差動装置718にも伝達され、前輪差動装置718は左前輪800と右前輪802の回転速度差を吸収しつつ左前輪800及び右前輪802に等しいトルクを与え回転させる。
電子制御カップリング装置724はECU726からの制御信号E7によってアクチュエータ774を操作し、多板クラッチ機構772の結合力を連続的に変化させることで前輪差動装置718を介して左前輪800と右前輪802に伝達するトルクをゼロから所定の最大トルクの間に制御できる。
これにより、2輪駆動モードでは、電子制御カップリング装置724の伝達トルクがゼロに制御されて駆動力は後輪差動装置714にのみ伝達され、4輪駆動モードでは、電子制御カップリング装置724の伝達トルクが車両の走行状態に応じた適正トルクに制御されて前輪差動装置718にも伝達される。
特開平11−125279号公報
しかしながら、図14に示すような従来の駆動力伝達装置610においては、2輪駆動モードであっても、変速機630からの駆動力はベベルギア662、出力ピニオン664、プロペラシャフト668及び多板クラッチ機構672の駆動側(前輪側)を回転させ、また左後輪700及び右後輪702と後輪差動装置618とが直結されているため、左後輪700及び右後輪702が路面からの駆動力で回転することにより、後輪差動装置618を介してリングギア678、ドライブピニオン676及び多板クラッチ機構672の従動側(後輪側)が回転する。
すなわち、電子制御カップリング装置624が切断され後輪に駆動力が伝達されない2輪駆動モードの時に、たとえ多板クラッチ機構672が完全に開放されたとしても、ベベルギア662、出力ピニオン664、プロペラシャフト668、多板クラッチ機構672、ドライブピニオン676及びリングギア678を含む駆動力伝達部616の各構成要素が回転してしまう。
また、図15に示すような従来の駆動力伝達装置710においては、多板クラッチ機構772が開放され前輪に駆動力が伝達されない2輪駆動モードであっても、左前輪800及び右前輪802と前輪差動装置718とが直結されているため、左前輪800及び右前輪802が路面からの駆動力で回転することにより、前輪差動装置718を介してリングギア778、ドライブピニオン776、前輪側のプロペラシャフト768及びチェーンベルト機構764を含む駆動力伝達部716の各構成要素が回転してしまう。
このように、図14に示すFF車ベースの4輪駆動車612では、電子制御カップリング装置624の伝達トルクをゼロにすることで駆動力的には2輪駆動となるが、エンジンからの駆動力を前輪差動装置614から後輪へ伝えるまでの駆動力伝達部616は常に回転している。
また、図15に示すFR車ベースの4輪駆動車712においても、図14のFF車ベースの場合と同様に、電子制御カップリング装置724の伝達トルクをゼロにすることで駆動力的には2輪駆動となるが、エンジンからの駆動力を電子制御カップリング装置724から前輪へ伝えるまでの駆動力伝達部716は常に回転している。
そのため、このような従来の4輪駆動車612、712においては、駆動力伝達部616、716におけるオイルの攪拌抵抗や軸受部の摩擦損失等により、2輪駆動モードにおいても2輪駆動車に比べ燃費が悪くなる問題がある。
本発明は、2輪駆動時に駆動力の伝達に関わらない後輪又は前輪への駆動力伝達部の回転を完全に停止することで、2輪駆動時に燃費低下が起きない4輪駆動車用動力伝達装置を提供することを目的とする。
この目的を達成するため、本発明によるFF車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置は次のように構成する。本発明は、前後輪に駆動力を伝達する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、エンジンからの駆動力を入力して左右前輪へ配分出力する前輪差動装置と、前輪差動装置を介したエンジンからの駆動力を後輪へ伝達する駆動力伝達部と、駆動力伝達部からの駆動力を入力して左右後輪へ配分出力する後輪差動装置と、前輪差動装置と駆動力伝達部との連結を切断及び接続する第1断接機構と、後輪差動装置と左右後輪の少なくとも一方との連結を切断及び接続し、接続時に駆動力伝達部側と対向側との回転を同期する同期機構を有する第2断接機構と、4輪駆動モードでは第1断接機構及び第2断接機構を接続してエンジンからの駆動力を左右後輪に伝達し、2輪駆動モードでは第1断接機構と第2断接機構を切断して駆動力伝達部の回転を停止する制御部とを備え、駆動力伝達部は、第1断接機構を切断した状態で、第2断接機構の同期完了時に第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成し、制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第2断接機構の同期を開始して駆動力伝達部の回転速度を増加し、次に第1断接機構の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が所定の範囲に減少した時に第1断接機構を接続することを特徴とする。
本発明によるFF車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置の別の構成として、本発明は、前後輪に駆動力を伝達する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、エンジンからの駆動力を入力して左右前輪へ配分出力する前輪差動装置と、前輪差動装置を介したエンジンからの駆動力を後輪へ伝達する駆動力伝達部と、駆動力伝達部からの駆動力を入力して左右後輪へ配分出力する後輪差動装置と、前輪差動装置と駆動力伝達部との連結を切断及び接続し、接続時に駆動力伝達部側と対向側との回転を同期する第2断接機構と、後輪差動装置と左右後輪の少なくとも一方との連結を切断及び接続する第1断接機構と、4輪駆動モードでは第1断接機構及び第2断接機構を接続してエンジンからの駆動力を左右後輪に伝達し、2輪駆動モードでは第1断接機構と第2断接機構を切断して駆動力伝達部の回転を停止する制御部とを備え、駆動力伝達部は、第1断接機構を切断した状態で、第2断接機構の同期完了時に第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成し、制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第2断接機構の同期を開始して駆動力伝達部の回転速度を増加し、次に第1断接機構の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が所定の範囲に減少した時に第1断接機構を接続することを特徴とする。
また、本発明によるFR車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置は次のように構成する。本発明は、前後輪に駆動力を伝達する4輪駆動モードと、後輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、エンジンからの駆動力を入力して左右後輪へ配分出力する後輪差動装置と、エンジンからの駆動力を入力して前輪への出力を切断と接続の間で連続的に変化させる第2断接機構と、第2断接機構からの駆動力を前輪へ伝達する駆動力伝達部と、駆動力伝達部からの駆動力を入力して左右前輪へ配分出力する差動装置と、前輪差動装置と左右前輪の少なくとも一方との連結を切断及び接続する第1断接機構と、4輪駆動モードでは第1断接機構及び第2断接機構を接続してエンジンからの駆動力を左右前輪に伝達し、2輪駆動モードでは第1断接機構と第2断接機構を切断して前記駆動力伝達部の回転を停止する制御部とを備え、駆動力伝達部は、第1断接機構を切断した状態で、第2断接機構の接続完了時に第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成し、制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第2断接機構の接続を開始して駆動力伝達部の回転速度を増加し、次に第1断接機構の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が所定の範囲に減少した時に第1断接機構を接続することを特徴とする。
本発明のFF車及びFR車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置は、第1断接機構を切断した状態で、第2断接機構の接続完了時に前輪と後輪の動半径差を相殺して更に第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成する。
また、第1断接機構は、第1アクチュエータの操作により開放と結合を切り替える噛み合いクラッチ機構であり、第2断接機構は、伝達する回転を第2アクチュエータの操作により開放と結合の間で連続的に変化させる多板クラッチ機構、又は、摩擦クラッチ方式の同期機構を有し第2アクチュエータの操作により開放と結合切り替える噛み合いクラッチ機構であり、制御部は、第1及び第2アクチュエータを操作して第1及び第2断接機構を制御する。
更に、制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第2アクチュエータを操作して第1断接機構の駆動力伝達部側の回転速度を対向側の回転速度に一致させ、次に回転速度が一致している状態で第1アクチュエータを操作して第1断接機構を接続する。
あるいは、駆動力伝達部は、伝達するトルクを第3アクチュエータの操作により連続的に変化させるカップリングを備え、制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第2アクチュエータを操作して第2断接機構を接続し、次に第3アクチュエータを操作して第1断接機構の駆動力伝達部側の回転速度を対向側の回転速度に一致させ、次に回転速度が一致している状態で第1アクチュエータを操作して第1断接機構を接続する。
また、第1断接機構は、第1アクチュエータの操作により噛み合いクラッチ機構の開放位置と結合位置とに往復移動するシフトロッドと、シフトロッドに摺動可能に嵌装し、シフトロッドの結合方向への移動に対して拘束され、シフトロッドの開放方向への移動に対して自由となるシフトフォークと、シフトフォークを常に噛み合いクラッチ機構の開放方向に付勢するバネと、シフトフォークに係合して噛み合いクラッチ機構の開放位置と結合位置とに往復移動するカップリングスリーブとを備え、シフトロッドの結合位置への移動により、シフトフォークをバネの付勢に抗して一体に移動してカップリングスリーブが噛み合いクラッチ機構を結合し、シフトロッドの開放位置への移動により、シフトフォークを自由とすると共にバネによりカップリングスリーブを開放方向に付勢し、カップリングスリーブに作用するトルクが減少してカップリングスリーブを拘束する力がバネの開放方向の付勢力を下回った時に、カップリングスリーブが開放位置に移動して噛み合いクラッチが開放される。
更に、制御部は、4輸駆動モードから2輪駆動モードヘの切り替え時に、まず第1断接機構に駆動力伝達部からのトルクを作用させた後、第1アクチュエータを操作して前記シフトロッドを開放位置に移動し、次に第2アクチュエータを操作して第2断接機構の切断を開始し、その後第1断接機構は、カップリングスリーブに作用するトルクの方向が転換する時に、噛み合いクラッチが開放されることを特徴とする。
本発明によれば、2輪駆動モード時に、第1断接機構及び第2断接機構を切断することで駆動力伝達部の構成要素の回転が完全に停止した状態になるため、この区間のオイル粘性抵抗や摩擦損失が発生しない。そのため燃費低下を防止でき、4輪駆動車でありながら2輪駆動モードで使用しているときの燃費を2輪駆動車並みの燃費とすることができる。
また、駆動力伝達部を、第2断接機構の同期完了時に第1断接機構の動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成することで、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時に、第1断接機構の両側の回転速度差がゼロになる状態が必ず発生するため、第1断接機構の回転速度差による接続不可能状態を回避でき、4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え時には、第1断接機構の伝達トルクがゼロになる状態が必ず発生するため、第1断接機構の切断操作を小さな力で円滑に行うことが可能となり、第1断接機構の構造を小型簡素化してコストの低減を図ることができる。
更に、第2断接機構の同期機構によって第1断接機構の両側の回転速度差を制御することで、第1断接機構を高速且つ確実に接続することが可能となり、走行状態に係わらず2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替えを迅速に行うことができる。
本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第1実施形態を示す説明図 図1の前輪差動装置と第1断接機構の実施形態を示す断面図 図1の後輪差動装置と第2断接機構の実施形態を示す断面図 図1の第1断接機構の接続可能条件を示す説明図 図1の第1断接機構の接続制御を示す説明図 本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第2実施形態を示す説明図 図6の後輪差動装置と第2断接機構の実施形態を示す断面図 図1及び6の第1断接機構の断接可能条件を示す説明図 図1及び6の第2断接機構の他の実施形態を示す説明図 本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第3実施形態を示す説明図 図10の第1断接機構の断接可能条件を示す説明図 本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第4実施形態を示す説明図 図12の第1断接機構の断接可能条件を示す説明図 従来のFF車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置を示した説明図 従来のFR車ベースの4輪駆動車用駆動力伝達装置を示した説明図
以下、実施形態を示す図面に基づいて、本発明の4輪駆動車用駆動力伝達装置を詳細に説明する。各実施形態は、2輪駆動時に前輪を駆動するFF(Front-engine Front-drive)車ベースの4輪駆動車、又は2輪駆動時に後輪を駆動するFR(Front-engine Rear-drive)車ベースの4輪駆動車を示している。また、各実施形態の4輪駆動車は、少なくともエンジン及び駆動力伝達装置が、各種車両状態検出センサの検出値に基づきECU(Electronic Control Unit)によって制御される。
図1は、本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第1実施形態を示した説明図であり、FF車ベースの4輪駆動車に適用した場合である。
図1において、本実施形態の駆動力伝達装置10は4輪駆動車12に設けられ、前輪差動装置14、駆動力伝達部16、後輪差動装置18を備え、また前輪差動装置14と駆動力伝達部16の間に第1断接機構20を、後輪差動装置18と右後輪102の間には第2断接機構22を設け、更に駆動力伝達部16は電子制御カップリング装置24を備えている。
駆動力伝達装置10の第1断接機構20、第2断接機構22及び電子制御カップリング装置24に対しては、ECU26からの制御信号E1、E2、E3が与えられている。エンジン28からの駆動力は変速機30で変速された後、変速機30のドライブギア32から前輪差動装置14に入力され、前輪差動装置14は変速機30からの駆動力を左前輪50及び右前輪52へ伝達する。
前輪差動装置14は、ドライブギア32に係合するリングギア34、リングギア34が固定されているデフケース36、デフケース36の内部に回転自在に軸支されたピニオン38、40及びピニオン38、40に係合するサイドギア42、44で構成され、ドライブギア32からの駆動力をリングギア34で受け、ピニオン38、40及びサイドギア42、44を介して左前輪駆動軸46及び右前輪駆動軸48を駆動し、左前輪50及び右前輪52を回転させて駆動力を路面に伝達する。
前輪差動装置14は、コーナリング時や路面状態の変化などにより左前輪50と右前輪52に回転速度差を生じた場合、回転速度を吸収して左前輪50と右前輪52に等しいトルクを与えて回転させる。
ドライブギア32からの駆動力は、前輪差動装置14のリングギア34及びデフケース36を介して第1断接機構20にも入力され、第1断接機構20は、2輪駆動モードにおいては、ECU26からの制御信号E1による操作で駆動力伝達部16を切り離して後輪側に対する駆動力を切断した状態となっている。このため2輪駆動モードの場合には、エンジン28からの駆動力は、駆動力伝達部16を介して後輪側に伝達されることはない。
一方、4輪駆動モードの場合においては、第1断接機構20はECU26からの制御信号E1による操作で駆動力伝達部16と接続状態にある。このためデフケース36に一体に形成されたデフケース軸54に入力された駆動力はベベルギア軸56に伝達され、ベベルギア軸56に固定されたベベルギア62と出力ピニオン64で伝達方向を変換して出力される。
出力ピニオン64から出力された駆動力は、自在継手66、プロペラシャフト68及び自在継手70、電子制御カップリング装置24を介してドライブピニオン76に伝達され、ドライブピニオン76から後輪差動装置18のリングギア78に方向を変換して伝達される。
本実施形態においては、電子制御カップリング装置24として多板クラッチ機構72を使用しており、多板クラッチ機構72は2輪駆動モードにおいて、ECU26からの制御信号E3によってアクチュエータ74を操作して駆動力を伝達しない開放状態に制御され、4輪駆動モードにおいては、車両状態検出センサ(図示しない)からの信号に応じたECU26からの制御信号E3によってアクチュエータ74を操作して、駆動力を伝達しない開放状態(2輪駆動状態)と最大の駆動力を伝達する直結状態の間で最適に制御され、後輪差動装置18を介してエンジン28からの駆動力を左後輪100及び右後輪102に伝達している。
後輪差動装置18は、ドライブピニオン76に係合するリングギア78、リングギア78が固定されているデフケース80、デフケース80の内部に回転自在に軸支されたピニオン82、84及びピニオン82、84に係合するサイドギア86、88で構成され、サイドギア86に連結した左後輪駆動軸90、サイドギア88に連結した第2断接機構22及び右後輪駆動軸92を介して、左後輪100及び右後輪102を回転させ駆動力を路面に伝達している。第2断接機構22は、本実施形態においては、後輪差動装置18と右後輪102を連結する右後輪駆動軸92の途中に設けられ、右後輪102に対する駆動力を断接する。
第2断接機構22は、2輪駆動モードにおいては、ECU26からの制御信号E2によってアクチュエータ98を操作して切断状態に制御され、右後輪102と後輪差動装置18との間の駆動力の伝達を切り離し、4輪駆動モードにおいては、ECU26からの制御信号E2によってアクチュエータ98を操作して接続状態に制御され、電子制御カップリング装置24及び後輪差動装置18を介したエンジン28からの駆動力を右後輪102に伝達している。
すなわち、4輪駆動モードでは後輪差動装置18が有効に動作し、コーナリング時や路面状態の変化などにより左後輪100と右後輪102に回転速度差が生じても、後輪差動装置18は回転速度差を吸収し、左後輪100及び右後輪102に等しいトルクを与えて回転させることができる。
本実施形態においては、次に図2を参照して詳細に説明するように、第1断接機構20として噛み合いクラッチ機構58を使用しており、アクチュエータ60によるシフト操作で、2輪駆動モードとなる切断状態と4輪駆動モードにおける接続状態を切り替える。
図2は、図1の前輪差動装置14及び第1断接機構20を示す断面図であり、図の上方が4輪駆動車12の前側(前進方向)となる。図2において、前輪差動装置14、第1断接機構20、ベベルギア62及び出力ピニオン64が、変速機30に接続したハウジング104に収容されている。
ハウジング104の左側に位置する前輪差動装置14は、デフケース36のフランジ部36aに固定されたリングギア34、デフケース36に固定されたピニオン軸106に回転自在に軸支されたピニオン38、40、デフケース36に回転自在に軸支され左前輪駆動軸46を回転不可に連結したサイドギア42、デフケース36に回転自在に軸支され右前輪駆動軸48を回転不可に連結したサイドギア44を備える。
リングギア34は、変速機30のドライブギア32と噛み合い、サイドギア42、44は各々ピニオン38、40と噛み合っている。デフケース36は、左前輪駆動軸46側と右前輪駆動軸48側の両側を各々テーパーローラベアリング108、110によりハウジング104に回転自在に支持されている。
ハウジング104の右側には、デフケース36と同軸にベベルギア62を回転不可に嵌合したベベルギア軸56を備え、ベベルギア軸56はデフケース36側とベベルギア62側の両側を各々テーパーローラベアリング112、114によりハウジング104に回転自在に支持されている。
ハウジング104の右下側にはベベルギア62に噛み合う出力ピニオン64が配置され、出力ピニオン64は下方に接続する自在継手66を介してプロペラシャフト68に連結している。また、前輪差動装置14とベベルギア64の中間には第1断接機構20が備わる。
第1断接機構20は、デフケース軸54の右端外周に形成した溝部54a、ベベルギア軸56の左端外周に形成した溝部56a及びカップリングスリーブ116で構成される噛み合いクラッチ機構58と、噛み合いクラッチ機構58を操作するシフトフォーク118、シフトロッド120、バネ122、ピニオン126及びサーボモータ(図示しない)で構成される。
カップリングスリーブ116は、溝部54a、56aとスプライン結合して、デフケース軸54とベベルギア軸56を連結する結合位置と連結を解除する開放位置とを移動可能で、シフトフォーク118は、カップリングスリーブ116の溝部116aに摺動自在に係合する先端部118aによりカップリングスリーブ116をスライドさせることができる。
シフトフォーク118は、シフトロッド120に摺動可能に嵌装され、バネ122によってカップリングスリーブ116の開放方向に付勢されているが、スナップリング124が所定の位置に規制している。
シフトロッド120は、サーボモータ(図1のアクチュエータ60)によって駆動されるピニオン126が噛み合うラック120aを形成し、両端をハウジング104に設けた軸穴128、130に摺動自在に組み込んでいる。
図2においては、2輪駆動時の第1断接機構20を切断した状態を示し、カップリングスリーブ116はデフケース軸54のスプライン溝54aとは噛み合っておらず、デフケース軸54とベベルギア軸56とを連結しない開放位置に在る。
4輪駆動時には、カップリングスリーブ116がデフケース軸54とベベルギア軸56とを連結し(想像線で図示)、第1断接機構20は接続状態になる。この状態で、リングギア34と噛み合うドライブギア32からの駆動力をベベルギア62、出力ピニオン64を介してプロペラシャフト68に伝達可能となる。
また本実施形態においては、次に図3を参照して詳細に説明するように、図1の第2断接機構22として同期機構94を有する噛み合いクラッチ機構96を使用しており、アクチュエータ98による操作で、2輪駆動モードでは噛み合いクラッチ機構96は開放状態となり、4輪駆動モードで噛み合いクラッチ機構96は結合状態となる。
図3は、図1の後輪差動装置18及び第2断接機構22を示す断面図であり、図の上方が4輪駆動車12の前側(前進方向)となる。図3において、ドライブピニオン76、後輪差動装置18及び第2断接機構22が、ハウジング132に収容されている。
ハウジング132の左側に位置する後輪差動装置18は、デフケース80のフランジ部80aに固定されたリングギア78、デフケース80に固定されたピニオン軸134に回転自在に軸支されたピニオン82、84、デフケース80に回転自在に軸支され左後輪駆動軸90を回転不可に連結したサイドギア86、デフケース80に回転自在に軸支されサイドギア軸136を回転不可に連結したサイドギア88を備える。
リングギア78は、電子制御カップリング装置24に連結したドライブピニオン76と噛み合い、サイドギア86、88は各々ピニオン82、84と噛み合っている。デフケース80は、左後輪駆動軸90側とサイドギア軸136側の両側を各々テーパーローラベアリング138、140によりハウジング132に回転自在に支持されている。
ハウジング132の右側には第2断接機構22が備わり、第2断接機構22は、サイドギア軸136の右側のフランジ部136aに形成した爪部136bと右側端面部に形成したシンクロコーン136c、クラッチ軸146の左端に形成したハブ部146a、ボークリング148、インサートキー150、クラッチスリーブ152、シフトフォーク154、シフトロッド156、ピニオン158及びサーボモータ(図示しない)で構成される。
シンクロコーン136cは、外周部の摩擦面136dとボークリング148の左内側の摩擦面148aと共に円錐摩擦クラッチ機構を構成し、クラッチ軸146は、テーパーローラベアリング142、144によりハウジング132に回転自在に支持され、右側に右後輪駆動軸92を回転不可に連結している。
ハブ部146aは、バネ160によって外側径方向に付勢されると共にクラッチ軸146の軸方向に移動可能なインサートキー150を外周部に複数収容し、右後輪駆動軸92と共に回転する。
クラッチスリーブ152は、ハブ部146aの外周部にスプライン結合してクラッチ軸146と共に回転し、爪部152bがサイドギア軸136の爪部136bと噛み合ってサイドギア軸136と右後輪駆動軸92を連結する結合位置と、噛み合いが外れて連結を解除する開放位置とを移動可能で、シフトフォーク154は、クラッチスリーブ152の溝部152aに摺動自在に係合する先端部154aによりクラッチスリーブ152をスライドさせることができる。
ボークリング148は、クラッチスリーブ152の内周部にスプライン結合してクラッチスリーブ152と共に回転し、摩擦面148aをシンクロコーン136cの摩擦面136dに押圧する同期位置と、押圧しない非同期位置とを移動可能で、クラッチスリーブ152のスライドに連動したインサートキー150によって押圧され、摩擦面148aと摩擦面136dとで摩擦トルクを発生する。
シフトフォーク154は、スナップリング162によってシフトロッド156に固定され、シフトロッド156は、サーボモータ(図1のアクチュエータ98)によって駆動されるピニオン158が噛み合うラック156aを形成し、両端をハウジング132に設けた軸穴164、166に摺動自在に組み込んでいる。
図3においては、4輪駆動時の第2断接機構22を接続した状態を示し、クラッチスリーブ152は、爪部152bとサイドギア軸136の爪部136bとが噛み合った結合状態であり、サイドギア軸136と右後輪駆動軸92とを連結する位置に在る。この状態で、リングギア78と噛み合うドライブピニオン76からの駆動力は右後輪駆動軸92を介して右後輪102に伝達可能となる。
2輪駆動時には、シフトフォーク154及びシフトロッド156が右方に移動して爪部152bと爪部136bとの噛み合いが外れ(想像線で図示)、クラッチスリーブ152とサイドギア軸136とは連結されず、第2断接機構22は切断状態になる。
本実施形態において、図2に示す第1断接機構20の噛み合いクラッチ機構58はスプラインクラッチ方式を、図3に示す第2断接機構22の噛み合いクラッチ機構96はドッグクラッチ方式を使用しているが、第1断接機構20、第2断接機構22共に何れのクラッチ方式を使用することが可能であり、これ以外の他の方式でも構わない。また、第2断接機構22の同期機構は円錐摩擦クラッチ方式使用しているが、これ以外の他の方式でも構わない。
本実施形態において、図2に示すシフトロッド120及び図3に示すシフトロッド156は、各々のラック120a、156aに噛み合うピニオン126、158が回転することで駆動されるが、シフトロッド120、156を駆動するアクチュエータは、空圧、油圧、電磁の何れの方式でも可能であり、本実施形態におけるサーボモータ以外の方式でも構わない。
ここで、第1実施形態の2輪駆動モード及び4輪駆動モードにおける駆動力伝達装置10の機能について図1を参照して説明する。
2輪駆動モードにおいては、ECU26の制御信号E1により、第1断接機構20を切断している。このため、変速機30からの駆動力は前輪差動装置14のリングギア34、デフケース36を介してデフケース軸54に伝達されるが、第1断接機構20は切断状態にあるためベベルギア軸56に出力されない。
一方、第2断接機構22についても、ECU26からの制御信号E2により切断されているため、左後輪100と右後輪102が回転していても後輪差動装置18のリングギア78は回転しない。
これによって、2輪駆動モードにおいては、ベベルギア62、出力ピニオン64、自在継手66、プロペラシャフト68、自在継手70、電子制御カップリング装置24、ドライブピニオン76及び後輪差動装置18のリングギア78を含む駆動力伝達部16の回転が停止し、2輪駆動時に駆動力伝達部16が回転することによるフリクションロスにより燃費が低下してしまう問題を解消することができる。
更に詳細に説明するならば、図1において、第1断接機構20が設けられずに、2輪駆動モード時にデフケース36とベベルギア62が連結されていたとすると、リングギア34に入力した駆動力によってベベルギア62、出力ピニオン64、自在継手66、プロペラシャフト68、自在継手70及び多板クラッチ機構72の前輪側が回転してしまう。
また、図1において第2断接機構26が設けられずに、2輪駆動モード時にサイドギア88と右後輪駆動軸92が連結されていたとすると、例えばサイドギア86、88が同方向に同速度で回転する場合、ピニオン82、84は回転(自転)せずにピニオン82、84を軸支しているデフケース80及びリングギア78が回転する。
サイドギア86、88に回転速度差があったとしても同方向の回転であれば、回転速度は変化するが、デフケース80及びリングギア78が回転する。このようにリングギア78が回転すると、連結しているドライブピニオン76、多板クラッチ機構72の後輪側が回転してしまう。
このベベルギア62からリングギア78までの駆動力伝達部16は、2輪駆動モードでは回転する必要のない部分であるにも関わらず、この部分が回転することで、オイルの粘性抵抗や軸受け部の摩擦損失などを引き起こし、駆動力の損失となって燃費低下を招いてしまう。
そこで本実施形態においては、2輪駆動モード時に、第1断接機構20と第2断接機構22を切断してエンジン28からの駆動力と後輪からの駆動力の伝達を断つことで、ベベルギア62からリングギア78に至る駆動力伝達部16の回転を防止している。
すなわち、第2断接機構22を切断してサイドギア88と右後輪駆動軸92の連結が断たれると、右後輪102の回転はサイドギア88に伝わらず、そのため左後輪100によるサイドギア86の回転は、ピニオン82、84を介してサイドギア88を反対方向に回転させる。このときサイドギア88の回転抵抗よりもリングギア78に繋がるドライブピニオン76と多板クラッチ機構72の回転抵抗の方が大きいため、リングギア72は回転しない。
4輪駆動モードにおいては、第1断接機構20が接続されることで、変速機30からの駆動力は、前輪差動装置14のリングギア34及びデフケース36から、接続状態にある第1断接機構20を介してベベルギア62を回転し、出力ピニオン64で方向を変換された後、自在継手66、プロペラシャフト68、自在継手70、電子制御カップリング装置24及びドライブピニオン76を介して後輪差動装置18のリングギア78に入力する。
第2断接機構22が接続されていることにより後輪差動装置18が有効に動作し、後輪差動装置18を介して左後輪100及び右後輪102に駆動力を伝達して回転させることができる。
もちろん2輪駆動モード及び4輪駆動モードの何れにおいても、変速機30のドライブギア32からの駆動力は前輪差動装置14を介して左前輪駆動軸46及び右前輪駆動軸48に伝達され、左前輪50及び右前輪52を回転させることができる。
次に、第1実施形態における、2輪駆動モードから4輪駆動モード及び4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え制御について図1−3を参照して説明する。
2輪駆動モードでは第1断接機構20が切断されているため、エンジン28からの駆動力は後輪差動装置18に伝達されておらず、また、第2断接機構22も切断されているため、後輪差動装置18は左後輪100によって駆動され、ピニオン82、84を介してサイドギア88はサイドギア86と逆方向に空転している。
2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU26の制御信号E2によってアクチュエータ98を操作し、第2断接機構22の同期、すなわち回転方向の異なるサイドギア軸136と右後輪駆動軸92の同期を開始する。次に第1断接機構20のベベルギア軸56とデフケース軸54との回転速度が一致した時、又は回転速度差が所定の範囲に減少した時に、ECU26の制御信号E1によってアクチュエータ60を操作し、第1断接機構20を接続する。
図3において、サーボモータによってピニオン158がQ方向に回転し、ピニオン158に噛み合うラック156aを介してシフトロッド156及びシフトフォーク154がJ方向に移動する。
溝部152aに係合しているシフトフォーク154の歯部154aが、クラッチスリーブ152を結合方向に移動すると、クラッチスリーブ152に係合しているインサートキー150を介してボークリング148も左方向に移動し、ボークリング148の摩擦面148aとシンクロコーン136cの摩擦面136dとが接触する。
両摩擦面によって発生する摩擦力によって、右後輪駆動軸92を介した右後輪102の駆動力がサイドギア軸136に漸次的に伝達され同期を開始し、サイドギア軸136の回転方向が右後輪駆動軸92と同方向に反転することでリングギア78が回転を開始する。
図1において、左後輪100及び右後輪102からの駆動力はリングギア78からドライブピニオン76に伝達され、電磁制御カップリング装置24を介して自在継手70、プロペラシャフト68、自在継手66、出力ピニオン64及びベベルギア62を回転させる。すなわち、第2断接機構22の同期が開始することで駆動力伝達部16の回転速度が上昇する。
ここで駆動力伝達部16は、第1断接機構20を切断した状態で、第2断接機構22の同期完了時に第1断接機構20のベベルギア軸56がデフケース軸54より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成してある。
従って、第2断接機構22の同期が開始されると第1断接機構20のベベルギア軸56が回転を開始し、ベベルギア軸56とデフケース軸54の回転速度差が減少し始める。第2断接機構22の同期が完了すると、ベベルギア軸56の回転速度が対向するデフケース軸54の回転速度を上回り、回転速度差の方向が逆転する。
本実施形態のように後輪側が前輪側より高速で回転するような変速比とするには、例えば、前輪側のベベルギア62と出力ピニオン64のギア比よりも後輪側のベベルギア78とドライブピニオン76のギア比を大きくすれば可能となる。
このように前後輪間の変速比を構成して第1断接機構20及び第2断接機構22を制御することで、噛み合いクラッチ機構58の入出力軸であるデフケース軸54及びベベルギア軸56の回転速度差が無い状態、すなわち噛み合いクラッチ機構58を小さな力で迅速に且つ確実に接続することが可能な状態を必ず作り出すことが可能である。
従って、この第2断接機構22の同期の開始から完了までの間で、ベルギア軸56の回転速度が対向するデフケース軸54の回転速度と一致した時、又は回転速度差が所定の範囲に在る時に、ECU26の制御信号E1によってアクチュエータ60を操作する。
図2において、ECU26の制御信号E1によってサーボモータがピニオン126をQ方向に回転すると、ピニオン126に噛み合うラック120aを介してシフトロッド120がJ方向に移動する。
シフトロッド120に固定されたスナップリング124に押され、シフトフォーク118がバネ122の付勢力に抗して左方向に移動し、溝部116aに係合しているシフトフォーク118の歯部118aが、カップリングスリーブ116を左方向に移動する。
カップリングスリーブ116とデフケース軸54の回転速度が一致しているので、カップリングスリーブ116はデフケース軸54の歯部54aと噛み合って結合状態となり、第1断接機構20は接続される。
図3において、シフトロッド156及びシフトフォーク154が更にJ方向に移動し、第2断接機構22の同期が完了すると、クラッチスリーブ152の爪部152bとサイドギア軸136の爪部136bの相対速度がゼロとなり、クラッチスリーブ152を更に移動して爪部152bと爪部136bを噛み合わせることが可能となる。
第2断接機構22の同期が完了してボークリング148の移動が停止すると、クラッチスリーブ152はバネ160に抗してインサートキー150を押し込んで乗り越え、更に左方向に移動し、爪部152bがサイドギア軸136の爪部136bに噛み合うことで、第2断接機構は接続状態となる。
図1において、第1断接機構20が接続された後、同期が完了して第2断接機構22も接続されると、エンジン28からの駆動力は、駆動力伝達部16、後輪差動装置18を介して左後輪100及び右後輪102にも伝達され、ECU26が走行状態に合わせて電子制御カップリング装置24の伝達トルクを制御する4輪駆動モードとなる。
4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU26によってエンジン28及び電子制御カップリング装置24を制御して、第1断接機構20にコーストトルク(駆動力伝達部16を介した後輪側からのトルク)が作用するようにした後、ECU26の制御信号E1によってアクチュエータ60を操作してシフトロッド120を開放位置に移動し、第1断接機構20を切断待機状態とする。
次に、ECU26の制御信号E2によってアクチュエータ98を操作して第2断接機構22の切断を開始し、その後、第1断接機構20に作用するトルクの方向が転換する時、すなわちコーストトルクからドライブトルク(エンジン28側からのトルク)に転換する時に、トルクがゼロになるタイミングで、カップリングスリーブ116は開放方向に移動し、第1断接機構20は切断される。
図1において、駆動力伝達部16は、後輪側が前輪側より高速で回転するような変速比となっているため、4輪駆動モードで惰力走行している場合等のエンジン28からの駆動力が付加されない状態では、第1断接機構20にはコーストトルクが作用する。
図2において、第1断接機構20にコーストトルクが作用する状態で、ECU26の制御信号E1によってサーボモータがピニオン126をP方向に回転すると、ピニオン126に噛み合うラック120aを介してシフトロッド120がK方向に移動する。
シフトフォーク118は、バネ122の付勢力によって右方向、すなわちカップリングスリーブ116を開放する方向に移動しようとするが、カップリングスリーブ116に作用するコーストトルクによって溝部54a、56aとの間に発生した摩擦力の方が大きいため、カップリングスリーブ116の移動は阻止され、第1断接機構20は切断待機状態となる。
図3において、第1断接機構20が断待機状態となった後に、ECU26の制御信号E2によってサーボモータがピニオン158をP方向に回転すると、ピニオン158に噛み合うラック156aを介してシフトロッド156及びシフトフォーク154がK方向に移動する。
溝部152aに係合しているシフトフォーク154の歯部154aが、クラッチスリーブ152を右方向に移動すると、爪部152bとサイドギア軸136の爪部136bの噛み合いが解除され、また、ボークリング148の摩擦面148aとシンクロコーン136cの摩擦面136dとの押圧も解除される。
図2において、第2断接機構22が切断されることで駆動力伝達部16を介したコーストトルクが減少し、第1断接機構20に作用するトルクの方向が転換する時、すなわちコーストトルクからドライブトルクに転換する際に、カップリングスリーブ116に作用するトルクがゼロに近付いて、カップリングスリーブ116と溝部54a、56aとの間に発生した摩擦力が、カップリングスリーブ116を開放する方向に移動しようとするバネ122の付勢力を下回った時に、カップリングスリーブ116は開放方向に移動し、第1断接機構20は切断される。
図3において、シフトロッド156及びシフトフォーク154が更にK方向に移動し、ボークリング148の摩擦面148aとシンクロコーン136cの摩擦面136dとの接触が完全に解除されると、第2断接機構22は切断状態となる。
図1において、第1断接機構20と第2断接機構が切断されると、エンジン28からの駆動力と左後輪100及び右後輪102からの駆動力は駆動力伝達部16に伝達されず、駆動力伝達部16が回転しないため、フリクションロスによる燃費低下を防止した2輪駆動モードとなる。
図4は、図1の第1断接機構20の接続可能条件を示す説明図であり、縦軸に回転速度S、横軸に時間Tをとったグラフとして、第1断接機構20の接続時のデフケース側(デフケース軸54)の回転速度(図1のF)とベベルギア側(ベベルギア軸56)の回転速度(図1のR)の経過を表している。
図4(A)は、従来の前後輪間の変速比に差を設けない構成において、前後輪の動半径に差が生じた場合等に第1断接機構20が接続不可となる場合を示し、図4(B)は、第2断接機構22の同期完了時に、第1断接機構20のベベルギア側(駆動力伝達部16側)がデフケース側(対向側)より高速で回転するように、前後輪間の変速比を構成した場合を示している。
図4(A)において、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時に、デフケース側回転速度170は一定のSfで経過する。また、ベベルギア側回転速度172は、第2断接機構22の同期開始時Tsから同期完了時Teの間にSoからSrに増加するが、前後輪の動半径差によってデフケース側回転速度170のSfに達していない。
前後輪の動半径に差が生じる理由としては、前後輪のタイヤ空気圧の差、前後輪のタイヤ磨耗度の差、前輪側と後輪側の荷重の差や、前後輪に同一仕様であるが異なる銘柄のタイヤを装着して前後輪のタイヤ半径に差がある場合等が考えられ、これらの差が複合すると、その差は動半径の5%を超える場合もある。
例えば、前後輪間の変速比に差がない場合で、左右後輪の動半径の平均値が左右前輪の平均値よりも3%大きいと、第2断接機構22の同期完了時に、第1断接機構20のベベルギア側の回転速度がデフケース側よりも3%小さいことになる。
図4(A)においては、同期完了時Te以降にデフケース側回転速度170とベベルギア側回転速度172とは回転速度差174が継続するため、同期機能のない第1断接機構を円滑に接続することが困難となる。従って、4輪駆動モードに切り替えても、2輪駆動から4輪駆動に移行できない状態が起きてしまう。
図4(B)においても、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時に、デフケース側回転速度176は一定のSfで経過し、ベベルギア側回転速度178は第2断接機構22の同期開始時Tsから同期完了時Teの間にSoからSrに増加する。
しかし、図4(A)の場合とは異なり前後輪間の変速比に差を設けてあるため、ベベルギア側回転速度178は時刻Tcでデフケース側回転速度176のSfを越え、第2断接機構22の同期完了時TeにSrに達する。
従って、図4(B)においては、デフケース側回転速度176とベベルギア側回転速度178が交差する時刻Tcで両側の回転速度差がなくなるため、このタイミングで第1断接機構22を小さな力で円滑に接続することが可能となる。また、ある程度の回転速度差があっても接続できる場合では、その回転速度差の許容範囲を接続可能範囲180とし、その回転速度の下限Sbから上限Suに対応する時刻T1からT2が接続タイミング182となる。
図5は、図1の第1断接機構20の接続制御を示す説明図である。図4(B)と同様に前後輪間の変速比に差を設け、且つベベルギア側の回転速度を積極的に制御する場合であり、縦軸に回転速度S、横軸に時間Tをとったグラフとして、第1断接機構20の接続時のデフケース側の回転速度(図1のF)とベベルギア側の回転速度(図1のR)の経過を表している。
図5(A)は、第2断接機構22の同期を一度完了させた後に、ベベルギア側回転速度186が、再度、接続可能範囲188に入るようにする制御を示し、図5(B)は、第2断接機構22の同期完了前に、ベベルギア側回転速度186が接続可能範囲188に入るようにする制御を示している。
図5(A)において、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時に、デフケース側回転速度184は一定のSfで経過し、ベベルギア側回転速度186は第2断接機構22の同期開始時TsにSoから増加を開始して、時刻Tcでデフケース側回転速度176のSfを越え、同期完了時TeにSrに達する。
その後、第2断接機構22の同期を調節することでベベルギア側回転速度186を接続可能範囲188内に制御し、接続可能範囲188の回転速度の上限Suに対応する時刻T1から接続タイミング190となる。第1断接機構20が時刻T2で接続されると、ベベルギア側回転速度186はデフケース側回転速度184のSfに一致する。
ベベルギア側回転速度186の制御は、駆動力伝達部16に備わる電子制御カップリング装置24を使用しても構わない。また、第2断接機構22と電子制御カップリング装置24を併用することも可能であり、ベベルギア側回転速度186の制御方法は適宜選択される。
なお、ベベルギア側回転速度186の制御に第2断接機構22のみを使用する場合、第1断接機構20の接続時点で第2断接機構22の同期は完了していないが、電子制御カップリング装置24の伝達トルクを調整することで第2断接機構22の同期を完了して接続することができる。
図5(B)においては、2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時に、デフケース側回転速度192は一定のSfで経過し、ベベルギア側回転速度194は第2断接機構22の同期開始時TsにSoから増加を開始するが、接続可能範囲196の回転速度の下限Sbに達した時刻T1から、第2断接機構22の同期を調節することでベベルギア側回転速度194を接続可能範囲196内に制御し、接続可能範囲196の回転速度の下限Sbに対応する時刻T1から接続タイミング198となる。第1断接機構20が時刻T2で接続されると、ベベルギア側回転速度194はデフケース側回転速度192のSfに一致する。
図5(B)においても、ベベルギア側回転速度186の制御は、図5(A)と同様に、電子制御カップリング装置24を使用することが可能であり、また、第2断接機構22と電子制御カップリング装置24を併用しても構わない。
また、ベベルギア側回転速度186の制御に電子制御カップリング装置24のみを使用する場合は、第2断接機構22はベベルギア側回転速度186の制御に係わらず、時刻Teで同期を完了させ、接続することが可能である。
図6は、本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第2実施形態を示した説明図であり、FF車ベースの4輪駆動車に適用した場合である。本実施形態は、図1に示す第1実施形態に対し、電子制御カップリング装置が第2断接機構として配置されている以外は実質的に同じ構成である。
図6において、本実施形態の駆動力伝達装置210は4輪駆動車212に設けられ、前輪差動装置214、駆動力伝達部216、後輪差動装置218を備え、また前輪差動装置214と駆動力伝達部216の間に第1断接機構220を、後輪差動装置218と右後輪302の間に第2断接機構222を設けている。
駆動力伝達装置210の第1断接機構220及び第2断接機構222に対しては、ECU226からの制御信号E21、E22が与えられている。エンジン228からの駆動力は変速機230で変速された後、変速機230のドライブギア232から前輪差動装置214に入力され、前輪差動装置214は変速機230からの駆動力を左前輪250及び右前輪252へ伝達する。
前輪差動装置214は、ドライブギア232に係合するリングギア234、リングギア234が固定されているデフケース236、デフケース236の内部に回転自在に軸支されたピニオン238、240及びピニオン238、240に係合するサイドギア242、244で構成され、ドライブギア232からの駆動力をリングギア234で受け、ピニオン238、240及びサイドギア242、244を介して左前輪駆動軸246及び右前輪駆動軸248を駆動し、左前輪250及び右前輪252を回転させて駆動力を路面に伝達する。
前輪差動装置214は、コーナリング時や路面状態の変化などにより左前輪250と右前輪252に回転速度差を生じた場合、回転速度を吸収して左前輪250と右前輪252に等しいトルクを与えて回転させる。
ドライブギア232からの駆動力は、前輪差動装置214のリングギア234及びデフケース236を介して第1断接機構220にも入力され、第1断接機構220は、2輪駆動モードにおいては、ECU226からの制御信号E21による操作で駆動力伝達部216を切り離して後輪側に対する駆動力を切断した状態となっている。このため2輪駆動モードの場合には、エンジン228からの駆動力は、駆動力伝達部216を介して後輪側に伝達されることはない。
一方、4輪駆動モードの場合においては、第1断接機構220はECU226からの制御信号E21による操作で駆動力伝達部216と接続状態にある。このためデフケース236に一体に形成されたデフケース軸254に入力された駆動力はベベルギア軸256に伝達され、ベベルギア軸256に固定されたベベルギア262と出力ピニオン264で伝達方向を変換して出力される。
出力ピニオン264から出力された駆動力は、自在継手266、プロペラシャフト268及び自在継手270を介してドライブピニオン276に伝達され、ドライブピニオン276から後輪差動装置218のリングギア278に方向を変換して伝達される。
後輪差動装置218は、ドライブピニオン276に係合するリングギア278、リングギア278が固定されているデフケース280、デフケース280の内部に回転自在に軸支されたピニオン282、284及びピニオン282、284に係合するサイドギア286、288で構成され、サイドギア286に連結した左後輪駆動軸290、サイドギア288に連結した第2断接機構222及び右後輪駆動軸292を介して、左後輪300及び右後輪302を回転させ駆動力を路面に伝達している。
本実施形態においては、第2断接機構222として多板クラッチ機構224を使用しており、多板クラッチ機構224は、後輪差動装置218と右後輪302を連結する右後輪駆動軸292の途中に設けられ、右後輪302に対する駆動力を断接する。
多板クラッチ機構224は、2輪駆動モードにおいて、ECU226からの制御信号E22によってアクチュエータ298を操作して駆動力を伝達しない開放状態に制御され、右後輪302と後輪差動装置218との間の駆動力の伝達を切り離し、4輪駆動モードにおいては、車両状態検出センサ(図示しない)からの信号に応じたECU226からの制御信号E22によってアクチュエータ298を操作して、駆動力を伝達しない開放状態(2輪駆動状態)と最大の駆動力を伝達する直結状態の間で最適に制御され、エンジン228からの駆動力を右後輪302及び後輪差動装置218を介して左後輪300に伝達している。
すなわち、4輪駆動モードにおいては後輪差動装置218が有効に動作し、コーナリング時や路面状態の変化などにより左後輪300と右後輪302に回転速度差が生じても、後輪差動装置218は回転速度差を吸収し、左後輪300及び右後輪302に等しいトルクを与えて回転させることができる。
本実施形態においては、第1断接機構220として、噛み合いクラッチ機構258を使用しており、アクチュエータ260によるシフト操作で2輪駆動モードとなる切断状態と4輪駆動モードにおける接続状態を切り替える。第1断接機構220は、第1実施形態の第1断接機構20と実質的に同じであるため、詳細な説明は省略する(図2を参照)。
図7は、図6の後輪差動装置218及び第2断接機構222を示す断面図であり、図の上方が4輪駆動車212の前側(前進方向)となる。図7において、ドライブピニオン276、後輪差動装置218及び第2断接機構222が、ハウジング332に収容されている。
ハウジング332の左側に位置する後輪差動装置218は、デフケース280のフランジ部280aに固定されたリングギア278、デフケース280に固定されたピニオン軸334に回転自在に軸支されたピニオン282、284、デフケース280に回転自在に軸支され左後輪駆動軸290を回転不可に連結したサイドギア286、デフケース280に回転自在に軸支されサイドギア軸336を回転不可に連結したサイドギア288を備える。
リングギア278は、自在継手270を介してプロペラシャフト268に連結したドライブピニオン276と噛み合い、サイドギア286、288は各々ピニオン282、284と噛み合っている。デフケース280は、左後輪駆動軸290側とサイドギア軸336側の両側を各々テーパーローラベアリング338、340によりハウジング332に回転自在に支持され、サイドギア軸336は中央部をテーパーローラベアリング342、344によりハウジング332に回転自在に支持されている。
ハウジング332の右側には第2断接機構222が備わり、本実施形態において、第2断接機構222は油圧制御される多板クラッチ機構224で構成され、4輪駆動時に多板クラッチ機構224の結合力を連続的に変化させ、左後輪300及び右後輪302に伝達する駆動力の配分を制御する。
多板クラッチ機構224は、サイドギア軸336から駆動力を入力するクラッチハブ352、クラッチハブ352に同軸に配置され右端部354aに右後輪駆動軸292を回転不可に接続したクラッチドラム354、クラッチハブ352とクラッチドラム354の間に設けた多板クラッチ356を押圧するボールカム機構358、ボールカム機構358を駆動するプライマリークラッチ360を備える。
クラッチドラム354は、右端部354aをテーパーローラベアリング350によりハウジング332に対し回転自在に支持されると共に、左端部354bをボールベアリング346によりサイドギア軸336に対し回転自在に支持される。またクラッチハブ352は、左端部からサイドギア軸336を挿入嵌合して回転不可に保持すると共に、右端部352aをボールベアリング348によりクラッチドラム354に対し回転自在に保持される。
ボールカム機構358は、クラッチハブ352と同軸に相対回転自在に設けられた一対の押圧カムプレート362と回転カムプレート364の対向するカム面のボールカム溝にボール366を挟んで保持している。
多板クラッチ356は、押圧カムプレート362の押圧部362aとクラッチドラム354の受圧部354bとの間で、クラッチハブ352あるいはクラッチドラム354に対し軸方向に移動可能に保持されている。
押圧カムプレート362は、クラッチハブ352にスプライン結合して軸方向に移動可能で且つクラッチハブ352と共に回転し、クラッチハブ352との間に備わる皿バネ368により多板クラッチ機構224の開放方向に付勢されている。
回転カムプレート364は、クラッチハブ352に回転自在に保持され、ボール366を介して押圧カムプレート362と共に回転するが、回転カムプレート364とクラッチドラム354の間にはスラスト軸受370が備わり、クラッチドラム354との回転速度差を吸収している。
プライマリークラッチ360は、クラッチドラム354と回転カムプレート364の間で回転カムプレート364に対し軸方向に移動可能に保持され、且つ回転カムプレート364と共に回転するクラッチ板372を備え、押圧板374がクラッチドラム354に固定された受圧板376に対しクラッチ板372を押圧して結合することでクラッチドラム354とクラッチハブ352の回転速度差を回転カムプレート364に伝達する。
クラッチドラム354の左方のハウジング332の中間部には、プライマリークラッチ360及びボールカム機構358を介して多板クラッチ356の結合力を制御する油圧ピストン機構378、油圧ピストン機構378に油圧を供給する油圧ポンプ380、油圧ポンプ380を駆動するサーボモータ382及びその油圧を検出する油圧センサ384を備える。
プライマリークラッチ360の押圧板374は、クラッチドラム354をスライド可能に貫通する押圧軸386を介してスラスト軸受388と連結し、スラスト軸受388は油圧ピストン機構378のリング状の油圧ピストン390と係合している。油圧ピストン390はハウジング332に形成された油圧シリンダ392の内部に遊嵌され、プライマリークラッチ116を開放する位置と結合する位置に移動可能である。
プライマリークラッチ360により回転カムプレート364が押圧カムプレート362に対し所定方向に相対回転駆動されると、ボールカム機構358は、対向する面の傾斜溝であるボールカム溝に挟まれているボール366による押圧を受け、押圧カムプレート362及び皿バネ368を軸方向に押し、押圧カムプレート362の押圧部362aが多板クラッチ機構224の多板クラッチ356を押すことで、多板クラッチ機構224は油圧ピストン390の移動量に応じて伝達トルクを増加させ、最大押付け位置で直結状態となる。
本実施形態においては、多板クラッチ機構224の結合力を制御するために、油圧ピストン機構378による油圧アクチュエータを使用しているが、これは油圧アクチュエータに限らず、例えば電磁アクチュエータやその他のアクチュエータでも構わない。どのアクチュエータを使用するかは適宜選択可能である。
図7においては、2輪駆動時の第2断接機構222を切断した状態を示し、多板クラッチ356は、押圧カムプレート362に押圧されておらず開放状態であり、サイドギア軸336と右後輪駆動軸292とは連結されていない。従って、左後輪300及び右後輪302からの駆動力はドライブピニオン276に伝達されない。
4輪駆動時には、油圧ポンプ380が油圧シリンダ392に油圧を供給することで油圧ピストン390が右方向に移動し、押圧軸386を介してプライマリークラッチ360を作動させる。プライマリークラッチ360がボールカム機構358の回転カムプレート364を回転させ、ボール366を介して押圧カムプレート362を多板クラッチ356の結合方向に移動させる。多板クラッチ356が結合すると、リングギア278と噛み合うドライブピニオン276からの駆動力は右後輪駆動軸292を介して右後輪102に伝達可能となる。
ここで、第2実施形態の2輪駆動モード及び4輪駆動モードにおける駆動力伝達装置210の機能について図6を参照して説明する。
2輪駆動モードにおいては、ECU226の制御信号E21により、第1断接機構220を切断している。このため、変速機230からの駆動力は前輪差動装置214のリングギア234、デフケース236を介してデフケース軸254に伝達されるが、第1断接機構220は切断状態にあるためベベルギア軸256に出力されない。
一方、第2断接機構222についても、ECU226からの制御信号E22により切断されているため、左後輪300と右後輪302が回転していても後輪差動装置218のリングギア278は回転しない。
これによって、2輪駆動モードにおいては、ベベルギア262、出力ピニオン264、自在継手266、プロペラシャフト268、自在継手270、ドライブピニオン276及び後輪差動装置218のリングギア278を含む駆動力伝達部216の回転が停止し、2輪駆動時に駆動力伝達部216が回転することによるフリクションロスにより燃費が低下してしまう問題を解消することができる。
4輪駆動モードにおいては、第1断接機構220が接続されることで、変速機230からの駆動力は、前輪差動装置214のリングギア234及びデフケース236から、接続状態にある第1断接機構220を介してベベルギア262を回転し、出力ピニオン264で方向を変換された後、自在継手266、プロペラシャフト268、自在継手270及びドライブピニオン276を介して後輪差動装置218のリングギア278に入力する。
第2断接機構222が接続されていることにより後輪差動装置218が有効に動作し、後輪差動装置218を介して左後輪300及び右後輪302に駆動力を伝達して回転させることができる。
もちろん2輪駆動モード及び4輪駆動モードの何れにおいても、変速機230のドライブギア232からの駆動力は前輪差動装置214を介して左前輪駆動軸246及び右前輪駆動軸248に伝達され、左前輪250及び右前輪252を回転させることができる。
次に、第2実施形態における2輪駆動モードから4輪駆動モード及び4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え制御について図6及び7を参照して説明する。
2輪駆動モードでは第1断接機構220が切断されているため、エンジン228からの駆動力は後輪差動装置218に伝達されておらず、また、第2断接機構222も切断されているため、後輪差動装置218は左後輪300によって駆動され、ピニオン282、284を介してサイドギア288はサイドギア286と逆方向に空転している。
2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU226の制御信号E22によってアクチュエータ298を操作し、第2断接機構222の同期、すなわち回転方向の異なるサイドギア軸336と右後輪駆動軸292の同期を開始する。次に第1断接機構220のベベルギア軸256とデフケース軸254との回転速度が一致した時、又は回転速度差が所定の範囲に減少した時に、ECU226の制御信号E21によってアクチュエータ260を操作し、第1断接機構220を接続する。
図7において、サーボモータ382によって油圧ポンプ380が油圧シリンダ392に油圧を供給し、油圧ピストン390が右方向に移動して押圧軸386を介してプライマリークラッチ360を作動させる。プライマリークラッチ360がボールカム機構358の回転カムプレート364を回転させ、ボール366を介して押圧カムプレート362を多板クラッチ356の結合方向に移動させる。
多板クラッチ356の結合が開始すると、右後輪駆動軸292を介した右後輪302の駆動力がサイドギア軸336に漸次的に伝達され同期を開始し、サイドギア軸336の回転方向が右後輪駆動軸292と同方向に反転することでリングギア278が回転を開始する。
図6において、左後輪300及び右後輪302からの駆動力はリングギア278からドライブピニオン276に伝達され、自在継手270、プロペラシャフト268、自在継手266、出力ピニオン264及びベベルギア262を回転させる。すなわち、第2断接機構222の同期が開始することで駆動力伝達部216の回転速度が上昇する。
ここで駆動力伝達部216は、第1断接機構220を切断した状態で、第2断接機構222の同期完了時に第1断接機構220のベベルギア軸256がデフケース軸254より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成してある。
従って、第2断接機構222の同期が開始されると第1断接機構220のベベルギア軸256が回転を開始し、ベベルギア軸256とデフケース軸254の回転速度差が減少し始める。第2断接機構222の同期が完了すると、ベベルギア軸256の回転速度が対向するデフケース軸254の回転速度を上回り、回転速度差の方向が逆転する。
このように前後輪間の変速比を構成して第1断接機構220及び第2断接機構222を制御することで、噛み合いクラッチ機構258の入出力軸であるデフケース軸254及びベベルギア軸256の回転速度差が無い状態、すなわち噛み合いクラッチ機構258を小さな力で迅速に且つ確実に接続することが可能な状態を必ず作り出すことが可能である。
従って、この第2断接機構222の同期の開始から完了までの間で、ベルギア軸256の回転速度が対向するデフケース軸254の回転速度と一致した時、又は回転速度差が所定の範囲に在る時に、ECU226の制御信号E21によってアクチュエータ260を操作して第1断接機構220を接続する。
図7において、油圧ピストン390が更に移動し、多板クラッチ356が完全に結合すると、右後輪駆動軸292とサイドギア軸336の同期が完了し、第2断接機構は接続状態となる。
図6において、第1断接機構220が接続された後、同期が完了して第2断接機構222も接続されると、エンジン228からの駆動力は、駆動力伝達部216、後輪差動装置218を介して左後輪300及び右後輪302にも伝達され、ECU226が走行状態に合わせて多板クラッチ機構224の伝達トルクを制御する4輪駆動モードとなる。
4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU226によってエンジン228及び第2断接機構222を制御して、第1断接機構220にコーストトルク(駆動力伝達部216を介した後輪側からのトルク)が作用するようにした後、ECU226の制御信号E21によってアクチュエータ260を操作し、第1実施形態の図2と同様に、第1断接機構220を切断待機状態とする。
次に、ECU226の制御信号E22によってアクチュエータ298を操作して第2断接機構222の切断を開始し、その後、第1断接機構220に作用するトルクの方向が転換する時、すなわちコーストトルクからドライブトルク(エンジン228側からのトルク)に転換する時に、トルクがゼロになるタイミングで第1断接機構220は切断される。
第1断接機構220が切断された後、第2断接機構222も切断状態となると、エンジン228からの駆動力と左後輪300及び右後輪302からの駆動力は駆動力伝達部216に伝達されず、駆動力伝達部216が回転しないため、フリクションロスによる燃費低下を防止した2輪駆動モードとなる。
図8は、図1の第1断接機構20及び図6の第1断接機構220の断接可能条件を示す説明図であり、図1及び6の構成ではあるが従来の前後輪間の変速比に差を設けないようにした場合の、4輪駆動車の各種走行状態と前後輪のタイヤ動半径差の関係を一覧表にして表している。
図8(A)は、第1断接機構20、220の接続可能条件を表すために、接続時の前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rの大小を、走行パターンとタイヤ動半径の違いによって区分し、条件として示している。ここで前輪側回転速度Fとは、図1及び6に示すように、デフケース軸54、254の回転速度であり、後輪側回転速度Rとはベベルギア軸56、256の回転速度である。
図8(A)において、回転速度テーブル406は、走行パターンとして、前輪と後輪のタイヤスリップの大きさを「大」、「小」、「無」で、コーナリング半径を「直進」、「大」、「小」で区分してあり、またタイヤ動半径としては、前輪と後輪のどちらが大きいかを「前輪>後輪」、「前輪=後輪」、「前輪<後輪」の状態で区分してある。各条件は、前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rとの大小関係を「>」、「≫」、「<」、「≪」で表し、両回転速度が同じと見なせる場合は「≒」で表している。
前述のように、第1断接機構20、220の円滑な接続を可能にするには、接続開始時に後輪側回転速度R(駆動力伝達部側)が前輪側回転速度F(対向側)より大きいことが必要条件であるため、回転速度テーブル406においては、この条件を満たさない「F>R」、「F≫R」の部分を網掛け表示してある。
回転速度テーブル406によれば、タイヤ動半径の何れの状態においても接続可能となる後輪のタイヤスリップが「大」の状態を除けば、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合は全て網掛け表示であり、接続不可となってしまう。
従って、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合に、少なくとも「F≒R」、望ましくは「F<R」となればよく、後輪側回転速度Rが前輪側回転速度Fよりも大きくなるように前後輪間の変速比を構成することで、「F≫R」が存在する前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態以外では、第1断接機構20、220の円滑な接続が可能となる。
例えば図6においては、後輪が前輪よりも3%大きい場合でも、第1断接機構220の円滑な接続を可能とするには、前輪側のベベルギア262と出力ピニオン264のギア比を後輪側のリングギア278とドライブピニオン276のギア比よりも3%以上小さく構成して、接続時の後輪側回転速度Rが前輪側回転速度Fよりも3%以上大きくなるようにすればよい。
図8(B)は、第1断接機構20、220の切断可能条件を表すために、切断時に第1断接機構20、220(具体的には、図2のカップリングスリーブ116)に作用するトルクの方向を、走行パターンとタイヤ動半径の違いによって区分して条件として示している。
図8(B)において、トルク方向テーブル408は、図8(A)と同様に、走行パターンとして、前輪と後輪のタイヤスリップの大きさを「大」、「小」、「無」で、コーナリング半径を「直進」、「大」、「小」で区分してあり、またタイヤ動半径としては、前輪と後輪のどちらが大きいかを「前輪>後輪」、「前輪=後輪」、「前輪<後輪」の状態で区分してある。
各条件は、トルクの方向をコーストトルクC及びドライブトルクD、又はトルクの作用しないゼロトルクZで表している。ここで、コーストトルクCは駆動力伝達部16、216を介した左後輪100、300及び右後輪102、302側からのトルクであり、ドライブトルクDはエンジン28、228側からのトルクである。また、各トルクがより大きい場合は、コーストトルクCC、ドライブトルクDDとして表してある。
前述のように、第1断接機構20、220を小さな力で切断することを可能にするには、切断開始時に第1断接機構20、220に作用するトルクの方向がコーストトルクCかゼロトルクZであることが必要条件であるため、トルク方向テーブル408においては、この条件を満たさない「D」「DD」の部分を網掛け表示してある。
トルク方向テーブル208によれば、タイヤ動半径の何れの状態においても切断可能となる後輪のタイヤスリップが「大」の状態を除けば、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合は全て網掛け表示であり、切断不可となってしまう。
従って、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合に、少なくとも「Z」、望ましくは「C」となるようにすれば、「DD」が存在する前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態以外では、第1断接機構20、220を小さな力で切断することが可能となる。
ここで、図8(A)の回転速度テーブル406と図8(B)のトルク方向テーブル408を比較すると明らかなように、第1断接機構20、220に作用するトルクの方向を「C」とするには、前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rが「F<R」であればよく、同様に「D」は「F>R」に、「Z」は「F≒R」に対応する。
従って、第1断接機構20、220を切断する条件は接続する条件と同じになり、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合に、少なくとも「F≒R」、望ましくは「F<R」となればよく、後輪側回転速度Rが前輪側回転速度Fよりも大きくなるように前後輪間の変速比を構成することで、「DD」が存在する前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態以外では、第1断接機構20、220を小さな力で切断することが可能となる。
図9は、図1及び6の第2断接機構の他の実施形態を示す説明図であり、第1断接機構を含む前輪側は、図1及び6と同じであるため省略してある。また、第2断接機構の構成以外の、2輪駆動モード及び4輪駆動モードにおける駆動力伝達装置の機能や、2輪駆動モードから4輪駆動モード及び4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え制御についても基本的には同じであるため、異なる部分のみ説明する。
図9(A)は、図1の第2断接装置22が後輪差動装置18と右後輪102との間にのみ設置されているのに対し、後輪差動装置18の両側、すなわち後輪差動装置18と左後輪100との間に第2断接装置22aが、後輪差動装置18と右後輪102との間に第2断接装置22bが設置されている。
図1においては、2輪駆動モードで第2断接機構22が切断されて後輪差動装置18のリングギア78が回転していない場合でも、左後輪100が回転することで後輪差動装置18の内部、すなわちサイドギア86、ピニオン82、84及びサイドギア88が回転してしまい、この部分のフリクションロスが燃費低下の要因となってしまう。
それに対し図9(A)においては、2輪駆動モードで第2断接機構22a及び22bが切断されると、左後輪100及び右後輪102の回転は後輪差動装置18には一切伝達されないため、後輪差動装置18の全ての要素、すなわちリングギア78、デフケース80、ピニオン82、84、サイドギア86、88は回転しない。従って、図9(A)の実施形態は、図1の実施形態よりも更に燃費低下を防止することが可能となる。
図9(B)は、図6の第2断接装置222が後輪差動装置218の外部の右後輪302との間に設置されているのに対し、後輪差動装置18の内部のリングギア278aとデフケース280aとの間に第2断接装置222aが設置されている。
図6においては、図1の場合と同様に、2輪駆動モードで第2断接機構222が切断されて後輪差動装置218のリングギア278が回転していない場合でも、左後輪300が回転することで後輪差動装置218の内部、すなわちサイドギア286、ピニオン282、284及びサイドギア288が回転してしまい、この部分のフリクションロスが燃費低下の要因となってしまう。
それに対し図9(B)においては、2輪駆動モードで第2断接機構222aが切断されると、左後輪100及び右後輪102の回転速度が同じ時にはピニオン282、284は回転せずにデフケース280aしか回転しない。従って、図9(B)の実施形態は、図6の実施形態よりも更に燃費低下を防止することが可能となる。
図9(C)は、図6の第2断接装置222が右後輪302側にのみ設置されているのに対し、リングギア278bの両側、すなわち左後輪300側に第2断接装置222bが、右後輪302側に第2断接装置222cが設置されている。
図9(C)の構成では、後輪差動装置218を省略可能して、リングギア278bの軸は直接第2断接機構222b、222cに接続している。左後輪300と右後輪302で回転速度差が生じても、第2断接装置222b、222cを適切に制御することで回転速度差を吸収することができる。
図9(C)においては、2輪駆動モードで第2断接機構222b、222cが切断されると、左後輪300及び右後輪302の回転はリングギア278bには全く伝達されない。従って、図9(C)の実施形態は、図6の実施形態よりも更に燃費低下を防止することが可能となる。
図10は、本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第3実施形態を示した説明図であり、FF車ベースの4輪駆動車に適用した場合である。本実施形態は、図6に示す第2実施形態に対し、第1断接機構と第2断接機構の位置が入れ替わって配置されている以外は実質的に同じ構成である。
図10において、本実施形態の駆動力伝達装置410は4輪駆動車412に設けられ、前輪差動装置414、駆動力伝達部416、後輪差動装置418を備え、また前輪差動装置414と駆動力伝達部416の間に第2断接機構422を、後輪差動装置418と右後輪502の間に第1断接機構420を設けている。
駆動力伝達装置410の第1断接機構420及び第2断接機構422に対しては、ECU426からの制御信号E41、E42が与えられている。エンジン428からの駆動力は変速機430で変速された後、変速機430のドライブギア432から前輪差動装置414に入力され、前輪差動装置414は変速機430からの駆動力を左前輪450及び右前輪452へ伝達する。
前輪差動装置414は、ドライブギア432に係合するリングギア434、リングギア434が固定されているデフケース436、デフケース436の内部に回転自在に軸支されたピニオン438、440及びピニオン438、440に係合するサイドギア442、444で構成され、ドライブギア432からの駆動力をリングギア434で受け、ピニオン438、440及びサイドギア442、444を介して左前輪駆動軸446及び右前輪駆動軸448を駆動し、左前輪450及び右前輪452を回転させて駆動力を路面に伝達する。
前輪差動装置414は、コーナリング時や路面状態の変化などにより左前輪450と右前輪452に回転速度差を生じた場合、回転速度を吸収して左前輪450と右前輪452に等しいトルクを与えて回転させる。
ドライブギア432からの駆動力は、前輪差動装置414のリングギア434及びデフケース436を介して第2断接機構422にも入力され、第2断接機構422は、2輪駆動モードにおいては、ECU426からの制御信号E42による操作で駆動力伝達部416を切り離して後輪側に対する駆動力を切断した状態となっている。このため2輪駆動モードの場合には、エンジン428からの駆動力は、駆動力伝達部416を介して後輪側に伝達されることはない。
一方、4輪駆動モードの場合においては、第2断接機構422はECU426からの制御信号E42による操作で駆動力伝達部416と接続状態にある。このためデフケース436に一体に形成されたデフケース軸454に入力された駆動力はベベルギア軸456に伝達され、ベベルギア軸456に固定されたベベルギア462と出力ピニオン464で伝達方向を変換して出力される。
出力ピニオン464から出力された駆動力は、自在継手466、プロペラシャフト468及び自在継手470を介してドライブピニオン476に伝達され、ドライブピニオン476から後輪差動装置418のリングギア478に方向を変換して伝達される。
後輪差動装置418は、ドライブピニオン476に係合するリングギア478、リングギア478が固定されているデフケース480、デフケース480の内部に回転自在に軸支されたピニオン482、484及びピニオン482、484に係合するサイドギア486、488で構成され、サイドギア486に連結した左後輪駆動軸490、サイドギア488に連結した第1断接機構420及び右後輪駆動軸492を介して、左後輪500及び右後輪502を回転させ駆動力を路面に伝達している。
本実施形態においては、第2断接機構422として多板クラッチ機構424を使用しており、多板クラッチ機構424は、前輪差動装置414とベベルギア462の途中に設けられ、左後輪500及び右後輪502に対する駆動力を断接する。
多板クラッチ機構424は、2輪駆動モードにおいて、ECU426からの制御信号E42によってアクチュエータ498を操作して駆動力を伝達しない開放状態に制御され、前輪差動装置414とベベルギア462との間の駆動力の伝達を切り離し、4輪駆動モードにおいては、車両状態検出センサ(図示しない)からの信号に応じたECU426からの制御信号E42によってアクチュエータ498を操作して、駆動力を伝達しない開放状態(2輪駆動状態)と最大の駆動力を伝達する直結状態の間で最適に制御され、エンジン428からの駆動力を駆動力伝達部416及び後輪差動装置418を介して左後輪500及び右後輪502に伝達している。
すなわち、4輪駆動モードにおいては後輪差動装置418が有効に動作し、コーナリング時や路面状態の変化などにより左後輪500と右後輪502に回転速度差が生じても、後輪差動装置418は回転速度差を吸収し、左後輪500及び右後輪502に等しいトルクを与えて回転させることができる。
本実施形態においては、第1断接機構420として、噛み合いクラッチ機構458を使用しており、アクチュエータ460によるシフト操作で2輪駆動モードとなる切断状態と4輪駆動モードとなる接続状態を切り替える。第1断接機構420は、第1実施形態の第1断接機構20と実質的に同じであるため、詳細な説明は省略する(図2を参照)。
ここで、第3実施形態の2輪駆動モード及び4輪駆動モードにおける駆動力伝達装置410の機能について図10を参照して説明する。
2輪駆動モードにおいては、ECU426の制御信号E42により、第2断接機構422を切断している。このため、変速機430からの駆動力は前輪差動装置414のリングギア434、デフケース436を介してデフケース軸454に伝達されるが、第2断接機構424は切断状態にあるためベベルギア軸456に出力されない。
一方、第1断接機構420についても、ECU426からの制御信号E41により切断されているため、左後輪500と右後輪502が回転していても後輪差動装置418のリングギア478は回転しない。
これによって、2輪駆動モードにおいては、ベベルギア462、出力ピニオン464、自在継手466、プロペラシャフト468、自在継手470、ドライブピニオン476及び後輪差動装置418のリングギア478を含む駆動力伝達部416の回転が停止し、2輪駆動時に駆動力伝達部416が回転することによるフリクションロスにより燃費が低下してしまう問題を解消することができる。
4輪駆動モードにおいては、第2断接機構422が接続結合されることで、変速機430からの駆動力は、前輪差動装置414のリングギア434及びデフケース436から、接続状態にある第2断接機構422を介してベベルギア462を回転し、出力ピニオン464で方向を変換された後、自在継手466、プロペラシャフト468、自在継手470及びドライブピニオン476を介して後輪差動装置418のリングギア478に入力する。
第1断接機構420が接続されていることにより後輪差動装置418が有効に動作し、後輪差動装置418を介して左後輪500及び右後輪502に駆動力を伝達して回転させることができる。
もちろん2輪駆動モード及び4輪駆動モードの何れにおいても、変速機430のドライブギア432からの駆動力は前輪差動装置414を介して左前輪駆動軸446及び右前輪駆動軸448に伝達され、左前輪450及び右前輪452を回転させることができる。
次に、第3実施形態における2輪駆動モードから4輪駆動モード及び4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え制御について図10を参照して説明する。
2輪駆動モードでは第2断接機構422が切断されているため、エンジン428からの駆動力は後輪差動装置418に伝達されておらず、また、第1断接機構420も切断されているため、後輪差動装置418は左後輪500によって駆動され、ピニオン482、484を介してサイドギア488はサイドギア486と逆方向に空転している。
2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU426の制御信号E42によってアクチュエータ498を操作し、多板クラッチ機構424が結合を開始することで、第2断接機構422の同期、すなわち回転しているデフケース軸454と停止しているベベルギア軸456の同期を開始する。
第2断接機構422が同期を開始すると、デフケース軸454の回転はベベルギア462から出力ピニオン464に伝達され、自在継手466、プロペラシャフト468、自在継手470、ドライブピニオン476及びベベルギア478を回転させる。
すなわち、第2断接機構422の同期が開始することで駆動力伝達部416の回転速度が上昇し、後輪差動装置418のサイドギア488の回転方向が、サイドギア486と同方向に反転して回転速度を上げ、サイドギア軸504と右後輪駆動軸492の回転速度差が減少し始める。
ここで、駆動力伝達部416は、第1断接機構420を切断した状態で、第2断接機構422の同期完了時に第1断接機構420のサイドギア軸504が右後輪駆動軸492より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成してある。従って、第2断接機構422の同期が完了すると、サイドギア軸504の回転速度が対向する右後輪駆動軸492の回転速度を上回り、回転速度差の方向が逆転する。
このように前後輪間の変速比を構成して第1断接機構420及び第2断接機構422を制御することで、噛み合いクラッチ機構458の入出力軸であるサイドギア軸504及び右後輪駆動軸492の回転速度差が無い状態、すなわち噛み合いクラッチ機構458を小さな力で迅速に且つ確実に接続することが可能な状態を必ず作り出すことが可能である。
従って、この第2断接機構422の同期の開始から完了までの間で、サイドギア軸504の回転速度が対向する右後輪駆動軸492の回転速度と一致した時、又は回転速度差が所定の範囲に在る時に、ECU426の制御信号E41によってアクチュエータ460を操作して第1断接機構420を接続する。
図10において、第1断接機構420が接続された後、同期が完了して第2断接機構422も接続されると、エンジン428からの駆動力は、駆動力伝達部416、後輪差動装置418を介して左後輪500及び右後輪502にも伝達され、ECU426が走行状態に合わせて多板クラッチ機構424の伝達トルクを制御する4輪駆動モードとなる。
4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU426によってエンジン428及び第2断接機構422を制御して、第1断接機構420にドライブトルク(駆動力伝達部を介したエンジン428側からのトルク)が作用するようにした後、ECU426の制御信号E41によってアクチュエータ460を操作し、第1実施形態の図2と同様に、第1断接機構420を切断待機状態とする。
次に、ECU426の制御信号E42によってアクチュエータ498を操作して第2断接機構422の切断を開始し、その後、第1断接機構420に作用するトルクの方向が転換する時、すなわちドライブトルクからコーストトルク(右後輪502側からのトルク)に転換する時に、トルクがゼロになるタイミングで第1断接機構420は切断される。
第1断接機構420が切断された後、第2断接機構422も切断状態となると、エンジン428からの駆動力と左後輪500及び右後輪502からの駆動力は駆動力伝達部416に伝達されず、駆動力伝達部416が回転しないため、フリクションロスによる燃費低下を防止した2輪駆動モードとなる。
図11は、図10の第1断接機構420の断接可能条件を示す説明図であり、図10の構成ではあるが従来の前後輪間の変速比に差を設けないようにした場合の、4輪駆動車の各種走行状態と前後輪のタイヤ動半径差の関係を一覧表にして表している。
図11(A)は、第1断接機構420の接続可能条件を表すために、接続時の前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rの大小を、走行パターンとタイヤ動半径の違いによって区分し、条件として示している。ここで前輪側回転速度Fとは、図10に示すように、サイドギア軸504の回転速度のことであり、後輪側回転速度Rとは右後輪駆動軸492の回転速度のことである。
図11(A)において、回転速度テーブル506は、走行パターンとして、前輪と後輪のタイヤスリップの大きさを「大」、「小」、「無」で、コーナリング半径を「直進」、「大」、「小」で区分してあり、またタイヤ動半径としては、前輪と後輪のどちらが大きいかを「前輪>後輪」、「前輪=後輪」、「前輪<後輪」の状態で区分してある。各条件は、前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rとの大小関係を「>」、「≫」、「<」、「≪」で表し、両回転速度が同じと見なせる場合は「≒」で表している。
前述のように、第1断接機構420の円滑な接続を可能にするには、接続開始時に前輪側回転速度F(駆動力伝達部側)が後輪側回転速度R(対向側)より大きいことが必要条件であるため、回転速度テーブル506においては、この条件を満たさない「F<R」「F≪R」の部分を網掛け表示してある。
回転速度テーブル506によれば、タイヤ動半径の何れの状態においても接続可能となる前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態を除けば、タイヤ動半径が「前輪>後輪」の場合は全て網掛け表示であり、接続不可となってしまう。
従って、タイヤ動半径が「前輪>後輪」の場合に、少なくとも「F≒R」、望ましくは「F>R」となればよく、前輪側回転速度Fが後輪側回転速度Rよりも大きくなるように前後輪間の変速比を構成することで、「F≪R」が存在する後輪のタイヤスリップが「大」の状態以外では、第1断接機構420の円滑な接続が可能となる。
例えば図10においては、前輪が後輪よりも3%大きい場合でも、第1断接機構420の円滑な接続を可能とするには、後輪側のリングルギア478とドライブピニオン476のギア比を前輪側のベベルギア462と出力ピニオン464のギア比よりも3%以上小さく構成して、接続時の前輪側回転速度Fが後輪側回転速度Rよりも3%以上大きくなるようにすればよい。
図11(B)は、第1断接機構420の切断可能条件を表すために、切断時に第1断接機構420に作用するトルクの方向を、走行パターンとタイヤ動半径の違いによって区分して条件として示している。
図11(B)において、トルク方向テーブル508は、図11(A)と同様に、走行パターンとして、前輪と後輪のタイヤスリップの大きさを「大」、「小」、「無」で、コーナリング半径を「直進」、「大」、「小」で区分してあり、またタイヤ動半径としては、前輪と後輪のどちらが大きいかを「前輪>後輪」、「前輪=後輪」、「前輪<後輪」の状態で区分してある。
各条件は、トルクの方向をコーストトルクC及びドライブトルクD、又はトルクの作用しないゼロトルクZで表している。ここで、コーストトルクCは右後輪502からのトルクであり、ドライブトルクDは駆動力伝達部416を介したエンジン428側からのトルクである。また、各トルクがより大きい場合は、コーストトルクCC、ドライブトルクDDとして表してある。
前述のように、第1断接機構420を小さな力で切断することを可能にするには、切断開始時に第1断接機構420に作用するトルクの方向がドライブトルクDかゼロトルクZであることが必要条件であるため、トルク方向テーブル508においては、この条件を満たさない「C」「CC」の部分を網掛け表示してある。
トルク方向テーブル508によれば、タイヤ動半径の何れの状態においても切断可能となる前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径「小」の状態を除けば、タイヤ動半径が「前輪>後輪」の場合は全て網掛け表示であり、切断不可となってしまう。
従って、タイヤ動半径が「前輪>後輪」の場合に、少なくとも「Z」、望ましくは「D」となるようにすれば、「CC」が存在する後輪のタイヤスリップが「大」の状態以外では、第1断接機構420を小さな力で切断することが可能となる。
ここで、図11(A)の回転速度テーブル506と図11(B)のトルク方向テーブル508を比較すると明らかなように、第1断接機構420に作用するトルクの方向を「D」とするには、前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rが「F>R」であればよく、同様に「C」は「F<R」に、「Z」は「F≒R」に対応する。
従って、第1断接機構420を切断する条件は接続する条件と同じになり、タイヤ動半径が「前輪>後輪」の場合に、少なくとも「F≒R」、望ましくは「F>R」となればよく、前輪側回転速度Fが後輪側回転速度Rよりも大きくなるように前後輪間の変速比を構成することで、「CC」が存在する後輪のタイヤスリップが「大」の状態以外では、第1断接機構420を小さな力で切断することが可能となる。
図12は、本発明による4輪駆動車用駆動力伝達装置の第4実施形態を示した説明図であり、FR車ベースの4輪駆動車に適用した場合である。
図12において、本実施形態の駆動力伝達装置510は4輪駆動車512に設けられ、後輪差動装置514、駆動力伝達部516、前輪差動装置518を備え、また変速機530と駆動力伝達部516の間に第2断接機構522を、前輪差動装置518と右前輪602の間に第1断接機構520を設けている。
駆動力伝達装置510の第1断接機構520及び第2断接機構522に対しては、ECU526からの制御信号E51、E52が与えられている。エンジン528からの駆動力は変速機530で変速された後、第2断接機構522に入力され、第2断接機構522は変速機530からの駆動力を後輪差動装置514へ伝達する。
後輪差動装置514は、ドライブピニオン532に係合するリングギア534、リングギア534が固定されているデフケース536、デフケース536の内部に回転自在に軸支されたピニオン538、540及びピニオン538、540に係合するサイドギア542、544で構成され、ドライブピニオン532からの駆動力をリングギア534で受け、ピニオン538、540及びサイドギア542、544を介して左後輪駆動軸546及び右後輪駆動軸548を駆動し、左後輪550及び右後輪552を回転させて駆動力を路面に伝達する。
後輪差動装置514は、コーナリング時や路面状態の変化などにより左後輪550と右後輪552に回転速度差を生じた場合、回転速度を吸収して左後輪550と右後輪552に等しいトルクを与えて回転させる。
第2断接機構522は、2輪駆動モードにおいては、ECU526からの制御信号E52による操作で駆動力伝達部516を切り離して前輪側に対する駆動力を切断した状態となっている。このため2輪駆動モードの場合には、エンジン528からの駆動力は、駆動力伝達部516を介して前輪側に伝達されることはない。
一方、4輪駆動モードの場合においては、第2断接機構522はECU526からの制御信号E52による操作で駆動力伝達部516と接続状態にある。このためチェーンベルト機構564で伝達方向を変換して出力される。
チェーンベルト機構564から出力された駆動力は、自在継手566、プロペラシャフト568及び自在継手570を介してドライブピニオン576に伝達され、ドライブピニオン576から前輪差動装置518のリングギア578に方向を変換して伝達される。
前輪差動装置518は、ドライブピニオン576に係合するリングギア578、リングギア578が固定されているデフケース580、デフケース580の内部に回転自在に軸支されたピニオン582、584及びピニオン582、584に係合するサイドギア586、588で構成され、サイドギア586に連結した左前輪駆動軸590、サイドギア588に連結した第1断接機構520及び右前輪駆動軸592を介して、左前輪600及び右前輪602を回転させ駆動力を路面に伝達している。
本実施形態においては、第2断接機構522として多板クラッチ機構524を使用しており、多板クラッチ機構524は、変速機530と後輪差動装置514の途中に設けられ、左前輪600及び右前輪602に対する駆動力を断接する。
多板クラッチ機構524は、2輪駆動モードにおいて、ECU526からの制御信号E52によってアクチュエータ598を操作して駆動力を伝達しない開放状態に制御され、変速機530とチェーンベルト機構564との間の駆動力の伝達を切り離し、4輪駆動モードにおいては、車両状態検出センサ(図示しない)からの信号に応じたECU526からの制御信号E52によってアクチュエータ598を操作して、駆動力を伝達しない開放状態(2輪駆動状態)と最大の駆動力を伝達する直結状態の間で最適に制御され、エンジン528からの駆動力を駆動力伝達部516及び前輪差動装置518を介して左前輪600及び右前輪602に伝達している。
すなわち、4輪駆動モードにおいては前輪差動装置518が有効に動作し、コーナリング時や路面状態の変化などにより左前輪600と右前輪602に回転速度差が生じても、前輪差動装置518は回転速度差を吸収し、左前輪600及び右前輪602に等しいトルクを与えて回転させることができる。
本実施形態においては、第1断接機構520として、噛み合いクラッチ機構558を使用しており、アクチュエータ560によるシフト操作で2輪駆動モードとなる切断状態と4輪駆動モードとなる接続状態を切り替える。第1断接機構520は、第1実施形態の第1断接機構20と実質的に同じであるため、詳細な説明は省略する(図2を参照)。
ここで、第4実施形態の2輪駆動モード及び4輪駆動モードにおける駆動力伝達装置510の機能について図12を参照して説明する。
2輪駆動モードにおいては、ECU526の制御信号E52により、第2断接機構522を切断している。このため、変速機530からの駆動力はチェーンベルト機構564に出力されない。
一方、第1断接機構520についても、ECU526からの制御信号E51により切断されているため、左前輪600と右前輪602が回転していても前輪差動装置518のリングギア578は回転しない。
これによって、2輪駆動モードにおいては、チェーンベルト機構564、自在継手566、プロペラシャフト568、自在継手570、ドライブピニオン576及び前輪差動装置518のリングギア578を含む駆動力伝達部516の回転が停止し、2輪駆動時に駆動力伝達部516が回転することによるフリクションロスにより燃費が低下してしまう問題を解消することができる。
4輪駆動モードにおいては、第2断接機構522が接続されることで、変速機530からの駆動力は、第2断接機構522を介してチェーンベルト機構564で方向を変換された後、自在継手566、プロペラシャフト568、自在継手570及びドライブピニオン576を介して前輪差動装置518のリングギア578に入力する。
第1断接機構520が接続されていることにより前輪差動装置518が有効に動作し、前輪差動装置518を介して左前輪600及び右前輪602に駆動力を伝達して回転させることができる。
もちろん2輪駆動モード及び4輪駆動モードの何れにおいても、変速機530からの駆動力は後輪差動装置514を介して左後輪駆動軸546及び右後輪駆動軸548に伝達され、左後輪550及び右後輪552を回転させることができる。
次に、第4実施形態における2輪駆動モードから4輪駆動モード及び4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え制御について図12を参照して説明する。
2輪駆動モードでは第2断接機構522が切断されているため、エンジン528からの駆動力は前輪差動装置518に伝達されておらず、また、第1断接機構520も切断されているため、前輪差動装置518は左前輪600によって駆動され、ピニオン582、584を介してサイドギア588はサイドギア586と逆方向に空転している。
2輪駆動モードから4輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU526の制御信号E52によってアクチュエータ598を操作し、多板クラッチ機構524が結合を開始することで、第2断接機構522の同期、すなわち多板クラッチ機構524の回転しているハブ側(後輪側)と停止しているドラム側(前輪側)の同期を開始する。
第2断接機構522が同期を開始すると、変速機530からの駆動力は、チェーンベルト機構564に伝達され、自在継手566、プロペラシャフト568、自在継手570、ドライブピニオン576及びベベルギア578を回転させる。
すなわち、第2断接機構522の同期が開始することで駆動力伝達部516の回転速度が上昇し、前輪差動装置518のサイドギア588の回転方向が、サイドギア586と同方向に反転して回転速度を上げ、サイドギア軸604と右前輪駆動軸592の回転速度差が減少し始める。
ここで、駆動力伝達部516は、第1断接機構520を切断した状態で、第2断接機構522の同期完了時に第1断接機構520のサイドギア軸604が右前輪駆動軸592より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成してある。従って、第2断接機構522の同期が完了すると、サイドギア軸604の回転速度が対向する右後輪駆動軸592の回転速度を上回り回転速度差の方向が逆転する。
このように前後輪間の変速比を構成して第1断接機構520及び第2断接機構522を制御することで、噛み合いクラッチ機構558の入出力軸であるサイドギア軸604及び右前輪駆動軸592の回転速度差が無い状態、すなわち噛み合いクラッチ機構558を小さな力で迅速に且つ確実に接続することが可能な状態を必ず作り出すことが可能である。
従って、この第2断接機構522の同期の開始から完了までの間で、サイドギア軸604の回転速度が対向する右前輪駆動軸592の回転速度と一致した時、又は回転速度差が所定の範囲に在る時に、ECU526の制御信号E51によってアクチュエータ560を操作して第1断接機構520を接続する。
図12において、第1断接機構520が接続された後、同期が完了して第2断接機構522も接続されると、エンジン528からの駆動力は、駆動力伝達部516、前輪差動装置518を介して左前輪600及び右前輪602にも伝達され、ECU626が走行状態に合わせて多板クラッチ機構524の伝達トルクを制御する4輪駆動モードとなる。
4輪駆動モードから2輪駆動モードへの切り替え時には、まずECU526によってエンジン528及び第2断接機構522を制御して、第1断接機構520にドライブトルク(駆動力伝達部516を介したエンジン528側からのトルク)が作用するようにした後、ECU526の制御信号E51によってアクチュエータ560を操作し、第1実施形態の図2と同様に、第1断接機構520を切断待機状態とする。
次に、ECU526の制御信号E52によってアクチュエータ598を操作して第2断接機構522の切断を開始し、その後、第1断接機構520に作用するトルクの方向が転換する時、すなわちドライブトルクからコーストトルク(右前輪602側からのトルク)に転換する時に、トルクがゼロになるタイミングで第1断接機構520は切断される。
第1断接機構520が切断された後、第2断接機構522も切断状態となると、エンジン528からの駆動力と左前輪600及び右前輪602からの駆動力は駆動力伝達部516に伝達されず、駆動力伝達部516が回転しないため、フリクションロスによる燃費低下を防止した2輪駆動モードとなる。
図13は、図12の第1断接機構520の断接可能条件を示す説明図であり、図12の構成ではあるが従来の前後輪間の変速比に差を設けないようにした場合の、4輪駆動車の各種走行状態と前後輪のタイヤ動半径差の関係を一覧表にして表している。
図13(A)は、第1断接機構520の接続可能条件を表すために、接続時の前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rの大小を、走行パターンとタイヤ動半径の違いによって区分し、条件として示している。ここで前輪側回転速度Fとは、図12に示すように、右前輪駆動軸592の回転速度であり、後輪側回転速度Rとはサイドギア軸604の回転速度である。
図13(A)において、回転速度テーブル606は、走行パターンとして、前輪と後輪のタイヤスリップの大きさを「大」、「小」、「無」で、コーナリング半径を「直進」、「大」、「小」で区分してあり、またタイヤ動半径としては、前輪と後輪のどちらが大きいかを「前輪>後輪」、「前輪=後輪」、「前輪<後輪」の状態で区分してある。各条件は、前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rとの大小関係を「>」、「≫」、「<、「≪」で表し、両回転速度が同じと見なせる場合は「≒」で表している。
前述のように、第1断接機構520の円滑な接続を可能にするには、接続開始時に後輪側回転速度R(駆動力伝達部側)が前輪側回転速度F(対向側)より大きいことが必要条件であるため、回転速度テーブル606においては、この条件を満たさない「F>R」「F≫R」の部分を網掛け表示してある。
回転速度テーブル606によれば、タイヤ動半径の何れの状態においても接続可能となる後輪のタイヤスリップが「大」の状態を除けば、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合は全て網掛け表示であり、接続不可となってしまう。
従って、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合に、少なくとも「F≒R」、望ましくは「F<R」となればよく、後輪側回転速度Rが前輪側回転速度Fよりも大きくなるように前後輪間の変速比を構成することで、「F≫R」が存在する前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態以外では、第1断接機構520の円滑な接続が可能となる。
例えば、図12においては、後輪が前輪よりも3%大きい場合でも、第1断接機構520の円滑な接続を可能とするには、前輪側のリングギア578と出力ピニオン576のギア比を後輪側のリングギア534とドライブピニオン532のギア比よりも3%以上小さく構成して、接続時の後輪側回転速度Rが前輪側回転速度Fよりも3%以上大きくなるようにすればよい。
図13(B)は、第1断接機構520の切断可能条件を表すために、切断時に第1断接機構520に作用するトルクの方向を、走行パターンとタイヤ動半径の違いによって区分して条件として示している。
図13(B)において、トルク方向テーブル608は、図13(A)と同様に、走行パターンとして、前輪と後輪のタイヤスリップの大きさを「大」、「小」、「無」で、コーナリング半径を「直進、「大」、「小」で区分してあり、またタイヤ動半径としては、前輪と後輪のどちらが大きいかを「前輪>後輪」、「前輪=後輪」、「前輪<後輪」の状態で区分してある。
各条件は、トルクの方向をコーストトルクC及びドライブトルクD、又はトルクの作用しないゼロトルクZで表している。ここで、コーストトルクCは右前輪602からのトルクであり、ドライブトルクDは駆動力伝達部516を介したエンジン528からのトルクである。また、各トルクがより大きい場合は、コーストトルクCC、ドライブトルクDDとして表してある。
前述のように、第1断接機構520を小さな力で切断することを可能にするには、切断開始時に第1断接機構520に作用するトルクの方向がドライブトルクDかゼロトルクZであることが必要条件であるため、トルク方向テーブル608にあっては、この条件を満たさない「C」「CC」の部分を網掛け表示してある。
トルク方向テーブル608によれば、タイヤ動半径の何れの状態においても切断可能となる後輪のタイヤスリップが「大」の状態を除けば、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合は全て網掛け表示であり、切断不可となってしまう。
従って、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合に、少なくとも「Z」、望ましくは「D」となるようにすれば、「CC」が存在する前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態以外では、第1断接機構520を小さな力で切断することが可能となる。
ここで、図13(A)の回転速度テーブル606と図13(B)のトルク方向テーブル608を比較すると明らかなように、第1断接機構520に作用するトルクの方向を「D」とするには、前輪側回転速度Fと後輪側回転速度Rが「F<R」であればよく、同様に「C」は「F>R」に、「Z」は「F≒R」に対応する。
従って、第1断接機構520を切断する条件は接続する条件と同じになり、タイヤ動半径が「前輪<後輪」の場合に、少なくとも「F≒R」、望ましくは「F<R」となればよく、後輪側回転速度Rが前輪側回転速度Fよりも大きくなるように前後輪間の変速比を構成することで、「CC」が存在する前輪のタイヤスリップが「大」とコーナリング半径が「小」の状態以外では、第1断接機構20、220の小さな力での切断が可能となる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10、210、410、510、610、710:駆動力伝達装置
12、212、412、512、612、712:4輪駆動車
14、214、414、518、614、718:前輪差動装置
16、216、416、516、616、716:駆動力伝達部
18、218、418、514、618、714:後輪差動装置
20、220、420、520:第1断接機構
22、222、422、522:第2断接機構
24、624、724:電子制御カップリング装置
26、226、426、526、626、726:ECU
28、228、428、528、628、728:エンジン
30、230、430、530、630、730:変速機
32、232、432、632:ドライブギア
34、234、434、534、634、734:リングギア
36、236、436、536:デフケース
38、40、238、240、438、440、538、540:ピニオン
42、44、242、244、442、444、542、544:サイドギア
46、246、446、546、590:左前輪駆動軸
48、248、448、548、592:右前輪駆動軸
50、250、450、600、650、800:左前輪
52、252、452、602、652、802:右前輪
54、254、454:デフケース軸
56、256、456:ベベルギア軸
58、96、258、458、558:噛み合いクラッチ機構
60、260、460、560:アクチュエータ
62、262、462、662:ベベルギア
64、264、464、664:出力ピニオン
66、70、266、270、466、470、566、570:自在継手
68、268、468、562、568、668、762、768:プロペラシャフト
72、672、772:多板クラッチ機構
74、674、774:アクチュエータ
76、276、476、532、576、676、732、776:ドライブピニオン
78、278、478、578、678、778:リングギア
80、280、480、580:デフケース
82、84、282、284、482、484、582、584:ピニオン
86、88、286、288、486、488、586、588:サイドギア
90、290、490:左後輪駆動軸
92、292、492:右後輪駆動軸
94:同期機構
96:噛み合いクラッチ機構
98、298、498、598:アクチュエータ
100、300、500、550、700、750:左後輪
102、302、502、552、702、752:右後輪
104、132、332:ハウジング
106、134、334:ピニオン軸
108、110、112、114:テーパーローラベアリング
116:カップリングスリーブ
118、154:シフトフォーク
120、156:シフトロッド
122、160:バネ
124、162:スナップリング
126、158:ピニオン
128、130、164、166:軸穴
136、336:サイドギア軸
138、140、142、144:テーパーローラベアリング
146:クラッチ軸
148:ボークリング
150:インサートキー
152:クラッチスリーブ
170、176、184、192、:デフケース側回転速度
172、178、186、194:ベベルギア側回転速度
174:回転速度差
180、188、196:接続可能範囲
182、190、198:接続タイミング
224、424、524:多板クラッチ機構
338、340、342、344:テーパーローラベアリング
346、348:ボールベアリング
350:テーパーローラベアリング
352:クラッチハブ
354:クラッチドラム
356:多板クラッチ
358:ボールカム機構
360:プライマリークラッチ
362:押圧カムプレート
364:回転カムプレート
366:ボール
368:皿バネ
370:スラスト軸受
372:クラッチ板
374:押圧板
376:受圧板
378:油圧ピストン機構
380:油圧ポンプ
382:サーボモータ
384:油圧センサ
386:押圧軸
388:スラスト軸受
390:油圧ピストン
392:油圧シリンダ
406、506、606:回転速度テーブル
408、508、608:トルク方向テーブル
504、604:サイドギア軸
554、556:自在継手
564、764:チェーンベルト機構

Claims (9)

  1. 前輪及び後輪に駆動力を伝達する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を入力して左右前輪へ配分出力する前輪差動装置と、
    前記前輪差動装置を介した前記エンジンからの駆動力を後輪へ伝達する駆動力伝達部と、
    前記駆動力伝達部からの駆動力を入力して左右後輪へ配分出力する後輪差動装置と、
    前記前輪差動装置と前記駆動力伝達部との連結を切断及び接続する第1断接機構と、
    前記後輪差動装置と前記左右後輪の少なくとも一方との連結を切断及び接続し、接続時に駆動力伝達部側と対向側との回転を同期する同期機構を有する第2断接機構と、
    4輪駆動モードでは、前記第1断接機構及び前記第2断接機構を接続して前記エンジンからの駆動力を前記左右後輪に伝達し、2輪駆動モードでは、前記第1断接機構と前記第2断接機構を切断して前記駆動力伝達部の回転を停止する制御部と、
    を備え、
    前記駆動力伝達部は、前記第1断接機構を切断した状態で、前記第2断接機構の同期完了時に、前記第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成し、
    前記制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず前記第2断接機構の同期を開始して前記駆動力伝達部の回転速度を増加し、次に前記第1断接機構の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が所定の範囲に減少した時に、前記第1断接機構を接続することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  2. 前輪及び後輪に駆動力を伝達する4輪駆動モードと、前輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を入力して左右前輪へ配分出力する前輪差動装置と、
    前記前輪差動装置を介した前記エンジンからの駆動力を後輪へ伝達する駆動力伝達部と、
    前記駆動力伝達部からの駆動力を入力して左右後輪へ配分出力する後輪差動装置と、
    前記前輪差動装置と前記駆動力伝達部との連結を切断及び接続し、接続時に駆動力伝達部側と対向側との回転を同期する第2断接機構と、
    前記後輪差動装置と前記左右後輪の少なくとも一方との連結を切断及び接続する第1断接機構と、
    4輪駆動モードでは、前記第1断接機構及び前記第2断接機構を接続して前記エンジンからの駆動力を前記左右後輪に伝達し、2輪駆動モードでは、前記第1断接機構と前記第2断接機構を切断して前記駆動力伝達部の回転を停止する制御部と、
    を備え、
    前記駆動力伝達部は、前記第1断接機構を切断した状態で、前記第2断接機構の同期完了時に、前記第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成し、
    前記制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず前記第2断接機構の同期を開始して前記駆動力伝達部の回転速度を増加し、次に前記第1断接機構の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が所定の範囲に減少した時に、前記第1断接機構を接続することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  3. 前輪及び後輪に駆動力を伝達する4輪駆動モードと、後輪のみに駆動力を伝達する2輪駆動モードとを切り替え可能な4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    エンジンからの駆動力を入力して左右後輪へ配分出力する後輪差動装置と、
    エンジンからの駆動力を入力して前輪への出力を切断と接続の間で連続的に変化させる第2断接機構と、
    前記第2断接機構からの駆動力を前輪へ伝達する駆動力伝達部と、
    前記駆動力伝達部からの駆動力を入力して左右前輪へ配分出力する前輪差動装置と、
    前記前輪差動装置と前記左右前輪の少なくとも一方との連結を切断及び接続する第1断接機構と、
    4輪駆動モードでは、前記第1断接機構及び前記第2断接機構を接続して前記エンジンからの駆動力を前記左右前輪に伝達し、2輪駆動モードでは、前記第1断接機構と前記第2断接機構を切断して前記駆動力伝達部の回転を停止する制御部と、
    を備え、
    前記駆動力伝達部は、前記第1断接機構を切断した状態で、前記第2断接機構の接続完了時に、前記第1断接機構の駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成し、
    前記制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず前記第2断接機構の接続を開始して前記駆動力伝達部の回転速度を増加し、次に前記第1断接機構の駆動力伝達部側と対向側との回転速度差が所定の範囲に減少した時に、前記第1断接機構を接続することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  4. 請求項1乃至3記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    前記第1断接機構を切断した状態で、前記第2断接機構の接続完了時に、前輪と後輪の動半径差を相殺して更に、前記第1断接機構の前記駆動力伝達部側が対向側より高速で回転するように前後輪間の変速比を構成することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  5. 請求項1乃至3記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    前記第1断接機構は、第1アクチュエータの操作により開放と結合を切り替える噛み合いクラッチ機構であり、
    前記第2断接機構は、伝達するトルクを第2アクチュエータの操作により開放と結合の間で連続的に変化させる多板クラッチ機構、又は、摩擦クラッチ方式の同期機構を有し第2アクチュエータの操作により開放と結合を切り替える噛み合いクラッチ機構であり、
    前記制御部は、前記第1及び第2アクチュエータを操作して前記第1及び第2断接機構を制御することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  6. 請求項5記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記制御部は、
    2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず前記第2アクチュエータを操作して前記第1断接機構の前記駆動力伝達部側の回転速度を前記対向側の回転速度に一致させ、次に前記回転速度が一致している状態で前記第1アクチュエータを操作して前記第1断接機構を接続することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  7. 請求項5記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    前記駆動力伝達部は、伝達するトルクを第3アクチュエータの操作により連続的に変化させるカップリングを備え、
    前記制御部は、2輸駆動モードから4輪駆動モードヘの切り替え時に、まず前記第2アクチュエータを操作して前記第2断接機構を接続し、次に第3アクチュエータを操作して前記第1断接機構の前記駆動力伝達部側の回転速度を前記対向側の回転速度に一致させ、次に前記回転速度が一致している状態で前記第1アクチュエータを操作して前記第1断接機構を接続することを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  8. 請求項5記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、前記第1断接機構は、
    前記第1アクチュエータの操作により前記噛み合いクラッチ機構の開放位置と結合位置とに往復移動するシフトロッドと、
    前記シフトロッドに摺動可能に嵌設し、前記シフトロッドの結合方向への移動に対して拘束され、前記シフトロッドの開放方向への移動に対して自由となるシフトフォークと、
    前記シフトフォークを常に前記噛み合いクラッチ機構の開放方向に付勢するバネと、
    前記シフトフォークに係合して前記噛み合いクラッチ機構の開放位置と結合位置とに往復移動するカップリングスリーブと、
    を備え、
    前記シフトロッドの結合位置への移動により、前記シフトフォークを前記バネの付勢に抗して一体に移動して前記カップリングスリーブが前記噛み合いクラッチ機構を結合し、
    前記シフトロッドの開放位置への移動により、前記シフトフォークを自由とすると共に前記バネにより前記カップリングスリーブを開放方向に付勢し、前記カップリングスリーブに作用するトルクが減少して前記カップリングスリーブを拘束する力が前記バネの開放方向の付勢力を下回った時に、前記カップリングスリーブが前記開放位置に移動して前記噛み合いクラッチが開放されることを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
  9. 請求項8記載の4輪駆動車用駆動力伝達装置に於いて、
    前記制御部は、4輸駆動モードから2輪駆動モードヘの切り替え時に、まず前記第1断接機構に前記駆動力伝達部からのトルクを作用させた後、前記第1アクチュエータを操作して前記シフトロッドを開放位置に移動し、次に前記第2アクチュエータを操作して前記第2断接機構の切断を開始し、
    その後前記第1断接機構は、前記カップリングスリーブに作用するトルクの方向が転換する時に、前記噛み合いクラッチが開放されることを特徴とする4輪駆動車用駆動力伝達装置。
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