JP2011077463A - 電力変換装置、それを用いた回転電機、及び半導体パワーモジュールの製造方法 - Google Patents

電力変換装置、それを用いた回転電機、及び半導体パワーモジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】面方向及び高さ方向への広がりを抑制できる半導体パワーモジュールを提供する。
【解決手段】電力変換装置は放熱板と、前記放熱板の一方の主面に絶縁層を介して配置される導体部材と、前記導体部材上に配置された半導体素子と、前記半導体素子と電気的に接続される接続導体61、62、63と、前記放熱板の前記一方の主面に配置され、かつ上面及び下面に開口を有し、さらに前記半導体素子を囲むように形成されたケース40と、前記接続導体を前記半導体素子の主面に対して垂直方向に摺動可能となるように当該接続導体を支持し、前記ケースに固定された位置決め部42と、を備え、前記接続導体の一端側には、前記半導体素子と金属接合材を介して接続するための素子側接合面が形成され、前記接続導体の他端側には、被接続部材に対して前記電力変換装置が位置決めされた後に、当該被接続部材に接続される接続部と、を備える。
【選択図】図7

Description

本発明は、電力変換装置に用いる半導体パワーモジュールに関し、特に搭載スペースが狭小な電力変換装置に好適な半導体パワーモジュールである。
また、本発明は、半導体パワーモジュールを載置した回転電機に関し、特に自動車用オルタネータやモータジェネレータに好適な回転電機である。
近年、環境への配慮から自動車の燃費を向上させる要求が高まっている。そこで、オルタネータに変わり、自動車が停車しているアイドリング時にエンジンを停止するアイドルストップに対応した回転電機と電力変換装置とを一体化したモータジェネレータが採用されるようになった(例えば、特許文献1参照。)。
一般的な3相交流回転電機の場合、各相の固定子巻線の端末は、出力軸と反対側の面で、回転軸を中心に固定子巻線付近の円周上を50°前後の等間隔で導出される。
半導体パワーモジュールは、各相毎に個別に製作され、固定子巻線の端末を導出した面側に載置され、固定子巻線の端末と半導体パワーモジュールの交流入出力を担う外部接続導体とを電気的に接続している。
一方、従来の半導体パワーモジュールは、放熱ベースに絶縁層を介在して密着する導体回路に半導体素子及び外部接続端子をはんだ付けし、樹脂ケースを載置し、注形樹脂で封止している(例えば、特許文献2の図5参照。)。
なお、特許文献2では、従来の半導体パワーモジュールの課題を解決するために、外部接続導体を樹脂ケースにインサート成形し、半導体素子と外部接続導体とをワイヤーボンディングで電気的に接続する方法が開示されている。
特許文献1の半導体パワーモジュールは、特許文献2と同様に、半導体素子と外部接続導体とをワイヤーボンディングで電気的に接続している。
しかしながら、特許文献2の従来技術で開示されるように、外部接続導体と回路導体とをはんだで接合する方法では、はんだ付け工程で治具等が必要になったり、以降の工程でずれることにより回路導体にストレスを与えたりする(特許文献2の段落0016行参照。)。
特表2008-543266号公報 特開2002−203940号公報
本発明が解決しようとする課題は、電力変換装置または回転電機に用いられる導体間の接続信頼性を向上させることである。
上記課題を解決するために本発明に係る電力変換装置は、放熱ベースと、前記放熱ベースの一方の主面に絶縁層を介して配置される導体部材と、前記導体部材上に配置された半導体素子と、前記半導体素子と電気的に接続される接続導体と、前記放熱ベースの前記一方の主面に配置され、かつ上面及び下面に開口を有し、さらに前記半導体素子を囲むように形成された樹脂ケースと、前記接続導体を前記半導体素子の主面に対して垂直方向に摺動可能となるように当該接続導体を支持し、前記樹脂ケースに固定された位置決め部と、を備え、前記接続導体の一端側には、前記半導体素子と導電接合材を介して接続するための素子側接合面が形成され、前記接続導体の他端側には、被接続部材に対して前記電力変換装置が位置決めされた後に、当該被接続部材に接続するための接続部と、を備える。
本発明により、電力変換装置または回転電機に用いられる導体間の接続信頼性を向上させることである。
本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例での放熱ベース上に絶縁層を介して密着する回路導体を準備する製造工程を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例でのはんだペーストを形成する製造工程を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例での半導体素子を搭載する製造工程を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例での樹脂ケースを搭載する製造工程を示す分解斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例での樹脂ケースを搭載する製造工程を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例での外部接続導体を搭載する製造工程を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例での外部接続導体の詳細図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの他の実施例での外部接続導体の詳細図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例で、図7の矢視断面図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例で、外部接続導体62とボルト81の接続を詳細に示した図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例で、外部接続導体61とボルト50の接続を詳細に示した図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの実施例で、外部接続導体63と固定子巻線の端末82との接続を詳細に示した図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールを回転電機に搭載した実施例を示す斜視図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールの他の実施例を示し、(a)は上面図、(b)は(a)の矢視断面図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールを回転電機に搭載した他の実施例を示し、回転電機に搭載した際の断面図である。 本実施形態による半導体パワーモジュールを回転電機に搭載した際の全体構造を示した図である。 本実施形態の回路構成を示す図である。
本発明に係る実施例を説明する前に、本実施形態に係る具体的な課題,構成及び効果について説明する。
外部接続導体を樹脂ケースにインサート成型する方法では、ワイヤーボンディング時に、樹脂ケース上方から超音波ボンダーのツールが進入する。すなわち、外部接続導体や樹脂ケースとツールとの干渉を防ぐために、外部接続導体及び樹脂ケースは、ワイヤーボンディング部より外側に位置する必要があり、半導体パワーモジュールが放熱面方向に大きくなってしまう。
しかし、回転電機と電力変換装置を一体化する場合、固定子巻線の端末を導出させる間隔内に各相の半導体パワーモジュールを載置させる必要があるため、インサート成型する方法のように放熱面方向に大きくなるのは相反する。
半導体パワーモジュールを各相毎に製作せずに、中継接続導体を介して固定子巻線の端末と接続する方法もあるが、中継接続導体が追加されるため、モータジェネレータの回転軸方向の長さやコストが増大してしまう。
さらに、モータジェネレータの出力トルクや発電電流をより増大させようとして半導体素子の電流容量を拡大させたり、並列数を増大させたりすると、困難を極める。
一方、特許文献2の従来技術で開示されるように、外部接続導体と回路導体とをはんだで接合する方法では、はんだ付け工程で治具等が必要になったり、以降の工程でずれることにより回路導体にストレスを与えたりする(特許文献2の段落0016行参照。)。
本実施形態の第1の特徴により、ボンダーのツールの干渉を考慮する必要がなくなるため、放熱面方向の大きさを小さく抑えることができる。また、外部接続導体のはんだ付け工程で必要であった治具等を廃止すること及び以降の工程でのずれを防止することができる。また、位置決めされる外部接続導体は、樹脂ケースにインサートしないため、樹脂ケースの製造コストをインサート成形する場合より安くできる。
本実施形態の第2の特徴により、外部接続導体と被接続導体との締結時に、ボルトのネジ部を位置決めに利用できる。従来、ナットをケースの台座に保持し、ケースにインサート成形された外部接続導体を折り曲げて被接続導体との接続面を形成する方法では、ナットからボルトに変えようにも外部接続導体を折り曲げる際、ボルトのネジ部が干渉するため不可能であった。さらに、従来、ナットに対して、ボルトを上方からネジ込むため、台座下方に位置する半導体素子などの部品とネジ部との干渉を防ぐため、ケースの高さ方向のクリアランスを大きく確保する必要があった。本発明の第2の特徴によれば、クリアランスはボルトの頭部の厚み程度で済むため、ケースの高さ方向を低く抑えることが可能になる。
本実施形態の第3の特徴により、外部接続導体と被接続部材との高さ方向のばらつきに起因する応力を緩和することができ、より製造が簡便で信頼性の高い半導体パワーモジュールが得られる。
本実施形態の第4の特徴により、回路導体と同電位になる外部接続導体を1つの部品で構成することができるため、部品のコストを低減できるとともに、接合箇所が削減できるため、信頼性を向上させることができる。
本実施形態の第5の特徴により、回転電機に半導体パワーモジュールを搭載する場合、電源の負極性と同一電位となる搭載部材に電気的かつ確実に接続できる。また、固定子巻線の端末及び電源の正極性導体とも電気的かつ直接的に接続できる。
これにより、狭小な搭載スペースに好適で信頼性の高い半導体パワーモジュールを提供することができる。
本実施形態の第6の特徴により、狭小な搭載スペースに好適な半導体パワーモジュールによって電力変換するため、小型な回転電機が得られる。
本発明の第7の特徴により、放熱ベースと回転電機のブラケットとを共用することで半導体素子から放熱面までの熱抵抗を低減できるため、より高性能な回転電機が得られる。
本実施形態の第8の特徴により、回路導体と半導体素子の接合及び回路導体と外部接続導体の接合を1つの工程で実施することが可能となるため、より低コストな製造方法で半導体パワーモジュールを得ることができる。
以下、本実施形態に係る半導体パワーモジュールを用いた電力変換装置及び回転電機の実施例について、図面を用いて説明する。
〔実施例〕
図18を用いて本実施形態の回路図を説明する。本実施形態に係る回路は、バッテリ113の正極側に接続及び車体に接地されて接続されるインバータ111及び交流発電機又はモータジェネレータ112を備える。インバータ111は、パワー半導体素子であるMOSFET(金属酸化物半導体型電界効果トランジスタ)から構成される(図示しない。)。また、バッテリ113の負極側はインバータ111の負極側と同様に車体に接地されている。1つのMOSFETにより1つのアームが形成される。各アームは1つのパワー半導体素子で形成されるが、本実施例のように求められている電流容量に応じてパワー半導体素子を並列に接続してもかまわない。なお、インバータ111を構成する半導体素子であるMOSFETの替わりに、IGBT及びダイオードを並列接続したものを用いてもかまわないが、MOSFETの方がより電力損失が少ないため好ましい。
次に図2に示すように、放熱ベース11の放熱面となる第1主面11aと対向する第2主面11bに絶縁層12を介して主回路を構成する回路導体13が密着した基板10を準備した。放熱ベースは、熱伝導性の良い材料が適しており、無酸素銅,タフピッチ銅,純アルミ,アルミ合金などの一般的な金属合金を用いることができる。また、放熱ベースは、銅・モリブンデン,アルミ・炭化珪素などの複合材料を用いることができ、放熱ベースと半導体素子の線膨張係数の差を縮小させることができるため、より信頼性の高い半導体パワーモジュールを得ることができる。なお、図2では、説明を明確にするため、ゲート抵抗,温度センサなどの制御用電子部品を実装する信号回路を省略している。
次に、図3に示すように、半導体素子及び外部接続導体と回路導体13を接合する位置にメタルマスクを用いた印刷法ではんだペースト21a,21bを形成した。はんだペースト21aは半導体素子を接合し、はんだペースト21bは外部接続導体を接合する。はんだペーストは、印刷法の他に、ディスペンサーを用いたポッティングで形成してもよい。なお、本実施例のように、接合材料にはんだを用いる場合は、不要な部分へのはんだ流れを防止するために、ソルダーレジストを形成するとよい。
続いて、図4に示すように、半導体素子31,32を基板10に搭載した。本実施例では、半導体素子31は上アームを駆動し、半導体素子32は下アームを駆動し、1アーム当たり2つの半導体素子を並列に接続した半導体パワーモジュールである。
図5〜図7を用いてこの半導体パワーモジュールの組立について説明する。図5は半導体パワーモジュールの分解斜視図である。樹脂ケース40は樹脂ケースの下面40bを放熱ベース11の第2主面11bに対向させ搭載した。また、樹脂ケース40は上面40aに開口部41があり、内側に外部接続導体の放熱面と平行な方向を位置決めする位置決め部42a,42bがある。位置決め部42aは、外部接続導体62及び63の板厚方向及び幅方向を規制するためにコの字形状で形成されている。本実施例で位置決め部42aはコの字形状をしているが、板厚方向及び幅方向を規制できるものであればコの字形状に限られるものではない。
樹脂ケース40の内周部から突出するように形成された40cは外部接続導体61を保持するための台で、この台40cには位置決め部42bが形成されている。この位置決め部42bは、外部接続導体に穿孔された角穴に対応した角柱の突起形状で形成されている。本実施例で位置決め部42bは角柱の形状をしているが、外部接続導体の放熱面と平行な方向を位置決めできる形状であれば角柱形状に限られない。
樹脂ケース40の上面40aの近傍にはボルト50の頭部を保持するための台座43が形成されており、ボルト50のネジ部を上方に向けて保持している。この構成によって、樹脂ケース上面にナットを保持し外部からボルトで接続するよりも、樹脂ケース内に侵入するネジ部の分の高さを考慮する必要がなくなるので、装置を小型化することができる。さらに、樹脂ケース内にネジ部が侵入しないことによって、樹脂ケース内の外部接続導体とネジ部の機械的及び電気的干渉を防ぐことができるため、信頼性も向上する。
導体ボルト50の頭部は、被接続部材と締結する際に連れ回りしないようにするため、4角,6角などの多角形が適している。また、台座43はボルト50の頭部の少なくとも対向する2面を保持し、ボルト50の連れ回りを拘束できる凹部が形成される。この構成によって、ボルト50とナットを接続する際の連れ回りによる接続不良が無くなるため、生産性及び信頼性が向上する。樹脂ケース40の基板10への搭載に当たっては、後の工程で注入する注形樹脂を樹脂ケース40と基板10との界面から漏出させないために、基板10の樹脂ケースとの当接部に接着剤(図示せず。)を塗布して接着する。また、樹脂ケース40にスナップフィットを設け、Oリング,ガスケットなどの弾性変形するシール部材を介在させて搭載してもよい。さらに、別な方法として、当接部と同形状に打抜いた両面テープを介在させ搭載してもよく、この両面テープで接着する方法がより簡便である。
図6は図5を組み立てたものである。
次に、図7に示すように、外部接続導体61〜63を対応する位置決め部42a,42bで位置決めしつつ搭載した。外部接続導体61〜63が位置決め部によって垂直方向に自由度を持って位置決めされるため、基板及びあらかじめ形成されたはんだペーストに余分な応力がかかることなくはんだ接合を行えるため、信頼性が向上する。さらに、外部接続導体61〜63を位置決めした後に、はんだリフロー装置を用いて半導体素子31,32及び外部接続導体61〜63の1端を回路導体13に同時に接合させられるため、生産性も向上する。
なお、図4及び図7から分かるように、半導体素子31,32が並列する場合、それぞれの半導体素子間で回路導体13と外部接続導体61〜63の1端を接続することができるため、並列する各半導体素子から外部接続導体までの距離をほぼ等しくすることが可能となり、並列する半導体素子の電流バランスも等しくすることができる。従来のワイヤーボンディングで接続する方法でも、並列する半導体素子間から外部接続導体とワイヤーを介して接続することが可能であるが、ワイヤーを半導体素子上部に大きなループで配索するため、ワイヤーの接続信頼性を確保することが困難である。加えて、ワイヤーが長くなるため、インダクタンスの増加も避けられない。したがって、本発明は、半導体素子が複数並列する場合、狭小な搭載スペースに最適でかつ電流バランスが改善された半導体パワーモジュールを得ることができる。
図8〜図13を用いて外部接続導体が位置決めされる様子について説明する。
図8に外部接続導体61及び62を示す。外部接続導体61及び62はボルトと接続される孔61b及び62bを有しており、特に外部接続導体は位置決めする際に、孔61bによって垂直方向に摺動可能となり、基板及びあらかじめ形成されたはんだペーストに余分な応力がかかることなく接合できる。また図11及び12に示すように、孔61b及び62bはボルトよりも若干大きくなっており、ボルトの締結部と孔が若干ずれていても、余計な応力を発生させることなくボルトのネジ部と接続可能になり、信頼性が向上する。なお、外部接続導体の形状については、外部接続導体が垂直方向に摺動可能になるのであれば、図9に示すように基板に対して斜めに立ち上がっていてもよい。また図10及び12に示すように、外部接続導体61に設けられた孔61cは、位置決め部42bと嵌めあわされ、垂直方向に摺動可能となる。
図13に外部接続導体63と固定子巻線の末端82との接続の様子を示す。外部接続導体63の端子接続部63bは固定子巻線の末端82に対して垂直方向に摺動可能になっており、回転電機と接続した際に外部接続導体63に余分な応力がかからず、信頼性が向上する。
最後に、図1に示すように、注形樹脂70を樹脂ケース40の内部に注入,硬化させて半導体パワーモジュール1を製造した。各外部接続導体61〜62の注形樹脂70から露出部には、1つ以上の屈曲部からなる応力緩和部61a〜63aが形成されている。
図14は3つの半導体パワーモジュール1を搭載した回転電機である。ここで、説明を明確にするために、回転電機の部分は、軸出力側と反対側のブラケット80の部分を簡略して示す。すなわち、ブラケット裏面80bが、固定子を保持するハウジングの軸出力側と反対側の端面と結合する。固定子巻線の端末82は、ブラケット80を貫通する穴80eからブラケット表面80aに導出される。回転子を回転保持する軸受けは、ブラケット中央80cで保持され、軸の端部がブラケット中央80cを貫通しブラケット表面80aに延在する。ブラケット表面80aには、回転子の励磁巻線に電力を供給するブラシホルダ,半導体パワーモジュール1を制御する制御装置,励磁電流を制御する制御装置などが載置される(図示せず。)。各半導体パワーモジュール1は,放熱ベース11の第2主面11aとブラケット表面80aの間に熱伝導性接着剤(図示せず。)を介して接着されている。熱伝導性接着剤で搭載する他に、樹脂ケース又は放熱ベースに貫通孔のある取付け部を予め設けておき、熱伝導性のあるグリース,絶縁シートなどを介在させ、取付け部をボルトで締結してもよい。外部接続導体62の他端62bは、負極性電位となるブラケット80の雌ネジが施されたボス80dとボルト81で電気的に接続される。外部接続導体63の他端63bは、固定子巻線の端末82とかしめられ電気的に接続される。外部接続導体61の他端61bは、直流電源,バッテリなどの外部電源の正極(図示せず。)に接続される正極性導体83とボルト50及びナット85を介して電気的に接続される。
図17は半導体パワーモジュールを搭載した回転電機の全体構造であり、この実施例では一例として交流発電機の例を示している。ブラケット80に搭載された半導体パワーモジュール1の外部接続導体と、回転電機における各配線との接続の詳細は図14で示したとおりである。軸出力側93aのブラケット90及び軸出力側93aとは反対側に配置されたブラケット80に圧入されて固定される軸受け95によって、回転子94が軸93を介して回転可能に保持されている。励磁巻線は図示していないが、回転子94の内部に捲回されている。さらに、冷却ファン96が回転子94の軸出力側93a及び軸出力側93aと反対側に固定されていて、回転子とともに回転可能になっており、回転した際に発生する冷却風は通気孔80g及び90gを通じて給排気される。また、軸出力側93aとは反対側のブラケット80には半導体パワーモジュール1が搭載され、ブラケット80における半導体パワーモジュール1が搭載された面の裏側には放熱フィン80fが形成されている。固定子91はブラケット90に保持されており、固定子91に捲かれている固定子巻線92から、固定子の端末82がブラケット80を貫通して導出され、外部接続導体63の端子接続部63bと接続されている。正極性導体83には、外部電源の正極に一端が接続された電源ケーブル(図示せず。)の他端と接続される端子84が埋設されている。また、端子84はブラケット80に絶縁性固定部材(図示せず。)を介して搭載される。
半導体パワーモジュールを回転電機のブラケット80に搭載することにより、装置全体として小型化できる。また、回転子94に冷却ファン96が取付けられることによって、回転子94が回転するとともに冷却ファンが冷却風を発生させ、ブラケット裏面80bを通流し、半導体素子から発生する熱が放熱ベースを経由してブラケット裏面80bで冷却されるため、半導体素子の冷却効率が上昇する。さらに、本実施例のようにブラケット裏面80bに放熱フィン80fを設けることによって、より冷却効率が高くなる。
以上のように、本実施例では放熱ベース11に絶縁層12を介して回路導体13が密着する基板10を用いた。これは、本発明の特徴である回路導体13と半導体素子31,32の接合及び回路導体13と外部接続導体61〜63の接合を1つの工程で実施するために好適だからである。すなわち、同じ工程で接合しない場合やはんだ以外の接合方法を採用する場合などは、基板10を用いる必要はなく、これに限定されるものではない。
例えば、図15に示すように、半導体パワーモジュール2の半導体素子33の下面電極は、はんだ22を介して回路導体13に接合している。半導体素子33の上面電極は、樹脂ケース40の位置決め部42cで位置決めされた外部接続導体65と超音波溶接で接合されている。なお、図15では、説明を明確にするため、ゲート抵抗,温度センサなどの制御用電子部品を実装する信号回路を省略している。また、はんだ22に替えて、導電性接着剤を用いてもよく、回路導体13に直接,超音波溶接してもよい。半導体素子33の上面電極と外部接続導体65との接合も、はんだや導電性接着剤を用いてもよい。さらに、回路導体13と半導体素子33の間や半導体素子33と外部接続導体65の間に比熱が比較的大きい銅、銅合金などの熱緩衝板を介在させてもよく、過渡熱抵抗を改善させることもできる。
一方、図15に示すように、外部接続導体65は、樹脂ケース40の上面の注形樹脂70から導出され、応力緩和部65aが形成されている。回路導体13は、樹脂ケース40の下面から露出しており、熱伝導性のある接着剤、シート、グリースなどの絶縁層(図示せず。)を介して放熱ベース(図示せず。)と密着する。また、回路導体13は、樹脂ケース40の側方に延在し、外部接続導体64を一体的に形成されており、回路導体13と外部接続導体の接合が省略できる。さらに、放熱ベースには、図7で示したように、ブラケット80を用いることができ、ブラケット80に絶縁層を介して半導体パワーモジュール2を搭載できる。これにより、半導体素子33からブラケット裏面80bまでの熱抵抗を低減することができるため、より性能の高い回転電機を得られる。
より半導体パワーモジュールから発生する熱を低減したい場合は、図16に示すようにブラケット80の内部に冷却媒体が通る流路80hを形成することも可能である。なお、半導体パワーモジュール2は、絶縁層12を介して流路80hが形成されたブラケット80に搭載される。
以上のように、本実施例では、主回路を構成する回路導体及び外部接続導体について説明したが、ゲート信号,温度センサなどの信号回路について本発明を適用することができる。なお、信号を接続する外部接続導体(以下、信号接続導体と言う。)は、個別に樹脂ケースの位置決め部で位置決めしてもよいが、複数の信号接続導体を絶縁樹脂でインサート成形し、一括して樹脂ケースに位置決めすると、作業性がよい。どちらにしても、信号接続導体を樹脂ケースの位置決め部で位置決めすることによって、本発明の目的を達成でき、前述したような十分な効果が得られる。
1 半導体パワーモジュール
11 放熱ベース
12 絶縁層
13 回路導体
21a,21b はんだペースト
31 半導体素子
40 樹脂ケース
42a,42b 位置決め部
50 ボルト
61,62,63 外部接続導体

Claims (6)

  1. 放熱板と、
    前記放熱板の一方の主面に絶縁層を介して配置される導体部材と、
    前記導体部材上に配置された半導体素子と、
    前記半導体素子と電気的に接続される接続導体と、
    前記放熱板の前記一方の主面に配置され、かつ上面及び下面に開口を有し、さらに前記半導体素子を囲むように形成されたケースと、
    前記接続導体を前記半導体素子の主面に対して垂直方向に摺動可能となるように当該接続導体を支持し、前記ケースに固定された位置決め部と、を備え、
    前記接続導体の一端側には、前記半導体素子と金属接合材を介して接続するための素子側接合面が形成され、
    前記接続導体の他端側には、被接続部材に接続される接続部と、を備える電力変換装置。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置において、
    前記接続導体は複数あり、
    前記被接続導体は複数あり、かつ当該被接続導体の少なくとも1つはボルトであり、
    前記ケースは前記ボルトの頭部を保持するための台座を有しており、
    前記ボルトは、前記放熱板の一方の主面に、当該ボルトの頭部が当該ボルトのネジ部よりも近づくように前記台座に配置され,
    前記接続導体のうちの少なくとも1つは、前記接続導体の前記接続部が前記ボルトの頭部とナットによって挟まれて接続されることを特徴とする。
  3. 請求項1または2に記載の電力変換装置において、
    前記接続導体は、
    電源の正極側端子側に接続される正極用接続導体と、
    前記電源の負極側端子側に接続される負極用板状導体と、
    前記半導体素子のスイッチイング動作によって出力される交流電流を伝達する出力用接続導体と、であって、
    前記正極用接続導体又は前記負極用接続導体のいずれか一方の他端側の接続部は、ボルトで締結されるための孔を有し、
    前記孔は前記接続部と接続されるボルトにおけるネジ部の径よりも大きいことを特徴とする。
  4. 請求項3に記載の電力変換装置であって、
    前記出力用接続導体と電気的に接続される前記被接続部材は、回転電機における固定子巻線と接続される固定子巻線端子であり、
    前記接続部の前記出力用接続導体の他端側は二股に分岐し、
    前記固定子巻線端子は、前記出力用接続導体の前記接続部に挟み込まれることによって接続されることを特徴とする。
  5. 請求項1乃至4に記載の電力変換装置と一体に構成された回転電機において、
    前記放熱板の他方の主面は、回転電機の回転軸の1端側の軸受けを保持するブラケットに搭載されることを特徴とする。
  6. 放熱板の一方の主面に絶縁層を介して配置される導体部材上の所定の位置にはんだ材を形成する工程と、
    複数の半導体素子を所定の位置に配置する工程と、
    上面及び下面に開口を有した枠状のケースの下面を、前記放熱板の一方の主面と対向するように配置する工程と、
    接続導体を、前記ケースに固定された位置決め部を用いて垂直方向に摺動可能に配置する工程と、
    リフローによって前記複数の半導体素子と前記接続導体とを同時にはんだ付けする工程を含むことを特徴とする半導体パワーモジュールの製造方法。
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