JP5011061B2 - インバータ装置 - Google Patents

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Description

本発明はインバータ装置に関するとともに、特に基板上に発熱部品を備え、この基板を収納するケースを有して成るインバータ装置に関する。
ハイブリッド車両や電動車両等に用いるような大きな出力の電動機を駆動するためのインバータ装置では、インバータ回路を構成するスイッチング素子の発熱量が多いため、そのスイッチング素子を適切に冷却することが要求される。さらに、当該インバータ回路を制御するための制御回路に備えられる発熱素子(発熱部品の一例)も発熱量が多いため適切に冷却することが要求される。一方、車両等に搭載するためには、重量や搭載スペースの制約等からインバータ装置をケースに収納して一体化するとともに、インバータ装置全体を小型軽量化することが要求される。
発熱素子をケース内に備え、さらに回路基板をケース内に収容する構造で、当該発熱素子を良好に冷却する構造に関して、例えば特許文献1に開示の技術がある。この文献開示の技術では、一対のカバー11,12内に、発熱素子放熱用の放熱板15と発熱素子放熱用の放熱板15を取り付けた基板19をそれぞれ収納し、一対のカバー11,12の一方のカバー12の底部12bに外部放熱用の放熱板13を取り付けた電気接続箱10において、一方のカバー12の底部12bに外部放熱用の放熱板13をインサート成形により一体化し、基板19を発熱素子放熱用の放熱板15の中途部17に締結手段18を介して締結固定すると共に、発熱素子放熱用の放熱板15の脚部16を外部放熱用の放熱板13に締結手段14を介して締結固定する。そして、この例では、外部放熱用の放熱板13は、当該明細書の図1の断面で左右方向である電気接続箱の幅方向に延びる部材であるのに対して、発熱素子放熱用の放熱板15は、概略上下方向に延びる部材であり、電機接続箱全体で見ると、その上下方向高さが、発熱素子放熱用の放熱板15を充分に収納できる高さとなっている。また、発熱素子20も上下方向に配設されており、基板面に平行に配設されていない。
この技術では、発熱素子20は、基板を貫通する形態で設けられる発熱素子放熱用の放熱板15と、この放熱板15が締結する外部放熱用の放熱板13とを介して、外部に良好に放熱できる。
特開平10−262317号公報
しかし、特許文献1に記載の技術をインバータ装置に適用すると、発熱素子の冷却の目的は達成されるものの、発熱素子放熱用の放熱板を基板を貫通して配置する必要があり基板が、その分だけ大型化し、基板形状も複雑化するとともに部品点数も増え、その分だけ手間が増加する。発熱素子の冷却を目的として、カバー以外に、発熱素子放熱用の放熱板、外部放熱用の放熱板とが必要となり、部品点数が増加する。さらに、発熱素子放熱用の放熱板を概略上下方向に配設するため、その高さ分だけスペースが必要となり、インバータ装置が大型化するという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、発熱部品を確実に冷却でき、部品点数を極力低減できるとともに、組み立てに要する工数も低減でき、全体としてインバータケースを小型軽量化できるインバータ装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る、
インバータの主回路を駆動制御する制御信号を生成する制御回路の複数の部品が一方の面に実装された制御回路基板と、前記制御回路基板を収納する制御基板ケースとを備えて構成され、前記制御回路の部品に、発熱量が大きい発熱部品を含むインバータ装置の特徴構成は、
前記制御基板ケースの内面にケース内側に突出する突出座部を備え、
前記制御回路基板の他方の面を前記突出座部に接触させて、前記制御基板ケースに前記制御回路基板を収納するとともに、前記発熱部品を前記制御回路基板を介して前記突出座部の反対側に位置させ、
前記発熱部品に近接して、前記制御回路基板を前記制御基板ケースに固定する固定部が設けられ、
前記固定部は、前記突出座部と、前記制御回路基板の前記突出座部に接する部分と、に設けられ、
前記制御基板ケースは、前記制御回路基板を載置して固定するために、前記制御基板ケースの内面にケース内側に突出する固定座を備え、
前記突出座部の端面と、前記固定座の端面と、は同一平面上に形成されていることにある。
このインバータ装置にあっては、発熱部品は制御回路基板を介して制御基板ケースの反対側に位置され、さらに、発熱部品は制御回路基板を介して、熱的に直接、突出座部及びこれが設けられた制御基板ケースに接続される。従って、発熱部品が発生した熱は、制御回路基板、突出座部を介して、制御基板ケースの外面に導かれ、発熱部品の冷却を十分に行うことができる。さらに、この構造では、発熱部品を制御回路基板の表面に平行に配設することができ、通常の実装手法を採用でき、部品点数を低減して、工数を低減できる。制御回路基板の発熱部品配設面(一方の面)とは反対側の面に突出する部品、部位等が、制御回路基板の発熱部品配設部位とは異なった位置にある場合も、突出座部の突出高さ分で当該突出分を問題なく吸収することができる。
また、制御回路基板を貫通する冷却板を使用しないため、制御回路基板が大型化し、その形状が複雑化することはない。制御回路基板、制御基板ケース及び発熱部品のみで、発熱部品の冷却目的を達成できるため、部品点数を必要最小限とできる。さらに、制御回路基板、発熱部品を制御基板ケースの内面に平行に配置できるため、インバータ装置を小型化できる。
また、この構造にあっては、固定部を使用して、発熱部品の近傍で制御回路基板を制御基板ケースに固定することができるため、両者の密着性を増して発熱部品から発生する熱を良好に制御基板ケースで伝導でき冷却を良好に行える。さらに、制御回路基板をこの部位でも固定できるため、制御基板ケースに対する他の固定部位の数を低減できる。
さらに、先に説明した突出座部の基板が当たる端面の位置と、固定座の端面の位置とを一致させておくと、制御回路基板を単純な平面状の基板とすることができる。
さて、上記構成のインバータ装置において、前記固定部は、前記制御回路基板に沿って前記発熱部品を両側から挟むように、二箇所に設けられていることが好ましい。
さらに、前記突出座部は、中実状の突出部であることが好ましい。
さらに、前記固定部は、前記固定部は、前記制御回路基板に形成された貫通孔と、前記突出座部に形成された雌ネジと、前記貫通孔を貫通して前記雌ネジに締結されるボルトと、により構成されていることが好ましい。
さらに、前記突出座部及び前記固定座は、前記制御回路基板から前記制御基板ケースの内面側に突出する前記部品の端子の長さよりも大きく前記制御基板ケースから突出していることが好ましい。
さらに、前記突出座部が前記制御基板ケースの内面中央側部位に位置され、前記発熱部品が前記制御回路基板の中央側部位に位置され、前記固定座は、前記制御基板ケースの四隅に備えられていることが好ましい。
このように、発熱部品及び突出座部の配設位置を中央側部位とすることで、発熱部品からの放熱を周りの空間に逃がすことができる。また、制御回路基板の制御基板ケース内での位置決めを確実なものとし、基板の反り等を防止できる。
さらに、前記制御回路基板が前記固定部により前記突出座部に固定される構成で、
前記制御回路基板の前記一方の面側に、熱伝導性の高い高熱伝導性物質層が形成されていることが好ましい。この構造では、密着性を高めて熱伝導性が高まった固定部の近傍に、熱伝導性の高い高熱伝導性物質層を設けることで、発熱部品から制御回路基板、突出座部即ち制御基板ケースへの伝熱を高め、発熱部品の冷却を良好に行える。
さて、これまで説明してきたインバータ装置において、
前記制御基板ケースは、周縁に沿って立設された周壁部を備えるとともに、この周壁部の立設方向端面よりもケース内側に引退した位置に、前記制御回路基板を載置して固定するための固定座を備えていることが好ましい。
この構成によれば、制御回路基板を制御基板ケースの周壁部内の適切な位置に配置して固定することができる。また、この制御回路基板を固定するための固定座が周壁部の端面よりもケース内面側に引退した位置に設けられているため、制御回路基板を周壁部の端面よりも内面側に引退した位置に配置することが可能となる。これにより、制御回路基板が周壁部により周囲を囲まれて保護される状態となるため、製造時における制御回路基板の破損等を抑制できる。
さらに、前記制御回路基板の前記一方の面を覆うように前記制御基板ケースに固定されるカバーケースを更に備えることが好ましい。
この構成によれば、制御回路基板をケース及びカバーケースの内側に収納して保護することができる。また、制御基板ケースに伝導された発熱部品からの熱が、更にカバーケースにも伝導されることになるので、発熱部品の冷却性能を更に高めることができる。
また、このカバーケースの内面には、主回路が実装される主回路基板が固定され、前記カバーケースが主基板ケースとされていることが好ましい。
この構成によれば、主回路基板を支持するためにブラケット等の部材が必要なく、主回路基板を内面に固定したカバーケースである主基板ケースに固定することにより、主回路基板を適切に支持することができる。したがって、装置を小型化することが更に容易になる。結果、主回路基板及び制御回路基板を、制御基板ケース並びに主基板ケースにより囲まれる空間内に収納して保護することができる。
さらに、前記制御基板ケースが前記主基板ケース側に立設される周壁部を周縁に備えるとともに、前記主基板ケースが前記制御基板ケース側に立設される周壁部を周縁に備え、
前記制御基板ケース及び主基板ケースが、前記両周壁部の立設方向端面で相手側と当接する構成とすることが好ましい。
この構造によると、両ケースに周壁部を備えることで、主回路基板からの発熱量、及び制御基板に実装される発熱部品の発熱量の双方に応じて、主基板ケースの周壁部と制御基板ケースの周壁部とのそれぞれの高さを適切に設定することにより、主回路基板からの熱が伝導される主基板ケースの熱容量と制御基板からの熱が伝導される制御基板ケースの熱容量のバランスを適切に設定することが可能となる。これにより、主回路基板及び制御基板のそれぞれに対する冷却能のバランスを適切に設定し、主回路基板及び制御基板の双方の冷却を適切に行うことが可能となる。
また、この際、主回路基板を主基板ケースの周壁部内に収め、制御基板を制御基板ケースの周壁部内に収める構造とすると、主回路基板及び制御基板の双方を保護して製造時における破損等を抑制できる。
さらに、前記制御回路基板が前記制御基板ケースに固定された制御基板アッセンブリと、前記主回路基板が前記主基板ケースに固定された主基板アッセンブリとを一体化した組み付け状態で、
前記制御回路ケースから前記主基板ケースに向かう方向である組み付け方向において、前記一方の面である前記制御回路基板の部品面と前記主回路基板の部品面とが、同一方向とされることが好ましい。
このような構造を採用しておくと、両基板上に配置される部品の干渉を避けることができ、インバータ装置をさらに小型化することができる。
以下、ハイブリッド車両や電動車両等に用いるような大きな出力のモータを駆動するためのインバータ装置に本発明を適用する場合を例として、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態において、インバータ装置は、内部に回路基板を内包したインバータボックスの形態で提供される。
〔インバータボックスの概要〕
図1は、本発明のインバータ装置に係るインバータボックス3の外観図である。図2は、インバータボックス3の長手方向の断面図である。インバータボックス3は、図中において符号1及び2で示される2つのケースを有して構成されている。符号1で示される一方のケースは、インバータ回路を構成する複数の部品が実装された主回路基板100が収納されるケースである。以下、主基板ケース1と略称する。この主基板ケースが本願における「カバーケース」に相当する。符号2で示される他方のケースは、制御回路を構成する複数の部品が実装された制御回路基板200が収納されるケースである。以下、制御基板ケース2と略称する。主基板ケース1及び制御基板ケース2は、熱伝導性に優れたアルミニウムなどの金属によって構成される。
図3は、主基板ケース1への主回路基板100の収納形態を示す斜視図である。図4は、主回路基板100の上面図である。インバータ回路を中核とする主回路を構成する複数の部品のうち、少なくともスイッチング素子及びディスクリート部品は、主回路基板100の片側の第一面に実装され、チップ抵抗器、チップコンデンサなどの表面実装部品は第一面の裏面の第二面に実装される。以下、便宜上、当該第一面をリフロー面101(部品面)、当該第二面をフロー面102(半田面)と称する。尚、チップ抵抗器、チップコンデンサなどの表面実装部品の一部はリフロー面にも実装されてよい。図2、図3、図4においては、チップ抵抗器、チップコンデンサなどの表面実装部品は省略している。
主回路基板100は、リフロー面101が主基板ケース1の内側の所定の対向面10に対向するとともに、スイッチング素子としてのIPM(intelligent power module)130が対向面10に接触するように配置された状態で、主基板ケース1に固定される。詳細は、後述する。
図5は、制御基板ケース2への制御回路基板200の収納形態を示す斜視図である。制御回路を構成する複数の部品のうち少なくともチップIC及びディスクリート部品は、制御回路基板200の片側の第一面(一方の面に相当)に実装され、チップ抵抗器、チップコンデンサなどの表面実装部品は第一面の裏面の第二面(他方の面に相当)に実装される。以下、便宜上、当該第一面をリフロー面201(部品面)、当該第二面をフロー面202(半田面)と称する。尚、チップ抵抗器、チップコンデンサなどの表面実装部品の一部はリフロー面にも実装されてよい。図5においては、チップ抵抗器、チップコンデンサなどの表面実装部品は省略している。そして、図2からも判明するように、主基板ケース1と制御基板ケース2とが一体化された組み付け状態で、主回路基板100の部品面101と、制御回路基板200の部品面201とは、同一方向(図2の下方向)を向く構成が採用されている。
制御回路基板200は、フロー面202が制御基板ケース2の内側の対向面20に対向するように制御基板ケース2に収納される。そして、制御回路基板200のリフロー面201に実装された発熱素子(スイッチング素子)221の裏面、即ちフロー面202側が、対向面20に設けられた突出座部21に接触する状態で、制御基板ケース2に固定される。詳細は、後述する。
〔回路の概要〕
ここで、主回路基板100の上に構築される主回路、制御回路基板200の上に構築される制御回路の概要について説明する。図6は、主回路の構成を模式的に示すブロック図であり、図7は、制御回路の構成を模式的に示すブロック図である。
〔主回路基板〕
初めに図6を参照して主回路の構成について説明する。主回路には、モータ4を駆動するためのモータ駆動回路が構成されており、その中核はインバータを構成するブリッジ回路である。主回路は、主回路への電源入力用の第1コネクタ110と、電源平滑用コンデンサ120と、IPM130と、電流センサ140と、モータ駆動電流出力用の第2コネクタ150と、制御回路基板200との連結用コネクタ115とを有して構成される。本実施形態においては、2つのモータ4を独立して駆動することが可能なように、独立した2系統のモータ駆動回路が主回路基板100に構成されている。電源入力用の第1コネクタ110と電源平滑用コンデンサ120とは2系統のモータ駆動回路により共通して用いられるが、IPM130と、電流センサ140と、モータ駆動電流出力用の第2コネクタ150と、連結用コネクタ115とは、それぞれのモータ駆動回路が独立に有している。
2端子の電源入力用の第1コネクタ110は、車両のバッテリーなどの電源部6と接続され、主回路基板100に高圧直流電源を供給する。電源平滑用コンデンサ120は、フィルムコンデンサや電解コンデンサなどを用いて構成される高耐圧、大容量のコンデンサである。本実施形態では、図3や図4に示されるように、2系統のモータ駆動回路の複数個(本実施形態では6個)のコンデンサを用いて構成される。6つのコンデンサは、並列接続されることにより、それぞれのモータ駆動回路上において大容量の1つのコンデンサとして機能し、電源電圧を安定化させる。
IPM130は、本実施形態において主回路基板100に実装されるスイッチング素子に相当する。IPM130は、後述するように複数の素子が金属ベース上に載置されて一体化されたモジュール構造を有している。IPM130には、直流を3相交流に変換するインバータがブリッジ回路として構成されている。ブリッジ回路は、図6に示すように、6つのパワートランジスタ、各トランジスタに並列接続されるフライホイールダイオードを用いて構成される。パワートランジスタは、バイポーラ型、電界効果型、MOS型など種々の構造のものを使用することが可能であるが、本実施形態ではIGBT(insulated gate bipolar transistor)が用いられる。また、IPM130には、当該ブリッジ回路のトランジスタを駆動するためのドライバ回路をはじめ、短絡防止回路、低電圧ロックアウト回路、過電流防止回路、過熱防止回路などの周辺回路も構成されている。このように、IPM130は、主回路の中核機能のほとんどを備えて構成される。
IPM130は、銅ベース131などの金属ベース上にインバータを構成するIGBTやダイオードが載置され、上記周辺回路が構成された周辺回路基板と共に一体化される。図2及び図3に示されるように、銅ベース131は、IPM130のパッケージから露出しており、外部のヒートシンク(冷却手段)に接触可能である。本実施形態では、主基板ケース1がヒートシンクとして機能し、銅ベース131は主基板ケース1の対向面10に接触させられる。この際、接触面積を増やし、熱抵抗を下げるために、銅ベース131と対向面10との間には、シリコングリスが塗布される。そして、銅ベース131が主基板ケース1の対向面10に接触するように配置された状態で、主回路基板100が主基板ケース1に固定される。詳細は後述するが、主基板ケース1には放熱フィン31が形成されており、積極的にヒートシンクとして活用される。
図6に示すように、IPM130からは、U相、V相、W相の3相のモータ駆動電流が出力される。これらのモータ駆動電流は、モータ駆動電流出力用の第2コネクタ150を介してモータ4へと出力される。第2コネクタ150は、U相、V相、W相に対応した3端子を有しており、それぞれの端子は不図示の配線ケーブルを介してモータ4のU相、V相、W相のステータコイルと接続される。
モータ駆動電流の各相の出力線には、各ステータコイルの各相に流れる電流(モータ電流)と同じ大きさの電流が流れる。電流センサ140は、主回路基板100上において、モータ電流を検出する。本実施形態においては、3相の内の2相の電流が電流センサ140によって測定される。3相のモータ電流は平衡状態にあり、それらの総和は零であるので、3相の内の2相の電流が検出されれば、残りの1相の電流は計算によって求めることができる。本実施形態では、この計算は制御回路において行われる。
連結用コネクタ115は、主回路基板100と制御回路基板200とを連結用ハーネス9を介して相互に連結するコネクタである。IPM130のインバータを構成するIGBTは、制御回路から出力されるインバータ駆動信号を、ドライバ回路を経由して入力されてスイッチングする。6つのIGBTを駆動するインバータ駆動信号は、連結用ハーネス9及び連結用コネクタ115を介して制御回路基板200から主回路基板100へと伝達される。また、制御回路基板200からは、連結用コネクタ115を介して、センサ用電源が主回路基板100に供給される。このセンサ用電源は上述した電流センサ140の駆動に用いられる。そして、電流センサ140の検出結果は、連結用コネクタ115及び連結用ハーネス9を介して制御回路に伝達される。
以上、主回路基板100に搭載される主回路の主要な機能について説明した。上述したように、電源電圧の入力からモータ駆動電流の出力に際しては、第1コネクタ110、平滑用コンデンサ120、IPM130、電流センサ140、第2コネクタ150の経路で信号処理が進行する。図4を参照すれば、この信号処理の進行に沿って主回路基板100のリフロー面101に平行な一方向、本例では、略長方形の平面形状を有する主回路基板100の長手方向に沿って、図における左から右に向かって、第1コネクタ110、平滑用コンデンサ120、IPM130、電流センサ140、第2コネクタ150の順に配置されていることがわかる。
また、制御回路から出力されるインバータ駆動信号からモータ駆動電流の出力に際しては、連結用コネクタ115、平滑用コンデンサ120、IPM130、電流センサ140、第2コネクタ150の経路で信号処理が進行する。図4を参照すれば、この信号処理の進行に沿って主回路基板100のリフロー面101に平行な一方向、本例では、略長方形の平面形状を有する主回路基板100の長手方向に沿って、図における左から右に向かって、連結用コネクタ115、平滑用コンデンサ120、IPM130、電流センサ140、第2コネクタ150の順に配置されていることがわかる。
主回路基板100に実装される部品の中で最も発熱量が多い部品はIPM130である。IPM130は、信号の流れを妨げることなく、最も高い放熱効果が得られる主回路基板100の中央部に配置されている。
〔制御回路基板〕
次に図7を参照して制御回路の構成について説明する。制御回路基板200には、車両の運行を制御するECU(electronic control unit)7などから通信によって取得する指令(外部指令)に従って、モータ4を制御する制御回路が構成されている。制御回路は、モータ4を制御するために主回路のインバータを駆動するインバータ駆動信号を生成する制御部240を中核として構成されている。また、制御回路には、モータ4の動作状態に応じたフィードバック制御を実行するためにモータの挙動を検出する回転検出センサや主回路基板100の電流センサ140を駆動するための駆動電圧を生成するレギュレータ回路220、230も構成されている。制御部240は、マイクロコンピュータやDSP(digital signal processor)などを中核部品として構成される。
制御回路は、電源部6からの電源入力用の第3コネクタ210と、±15V電源生成用の第1レギュレータ回路220と、5V電源生成用の第2レギュレータ回路230と、制御部240と、回転検出センサとして機能するレゾルバ5への接続用の第4コネクタ250と、主回路基板100との連結用コネクタ215と、温度センサ接続用コネクタ225とを有して構成される。温度センサについては後述するが、図3に示すように温度センサ81は、主基板ケース1に温度センサアッセンブリ8として設置され、IPM130の温度を測定する。
上述したように、主回路基板100には2つのモータ4を独立して駆動可能に2系統のモータ駆動回路が構成されている。制御回路基板200もまた、2つのモータ4及び主回路基板100の2系統のモータ駆動回路に対応して、共通化可能な回路を除き、2系統の制御回路が構成されている。例えば、2つのモータ4に対応して、2つのレゾルバ5が備えられるので、第4コネクタ250は2つ設けられる。また、主回路基板100の2系統のモータ駆動回路を独立して制御するため、連結用コネクタ215も2つ設けられる。連結用コネクタ215は上述したように、主回路基板100の連結用コネクタ115と連結用ハーネス9で接続される。尚、制御部240についても、主回路基板100の2系統のモータ駆動回路を独立して制御するため、機能的には2系統設けられる。但し、例えば1つのマイクロコンピュータをプログラムによって2系統の制御部として機能させてもよく、必ずしも制御回路基板200上において2つ設けられる必要はない。
電源入力用の第3コネクタ210は、車両のバッテリーなどの電源部6と接続され、制御回路基板200に例えば電圧12Vの電源を供給する。上述したように、電源部6はこの電圧12Vよりもさらに高圧のバッテリーを備えているが、電源部6のDC−DCコンバータなどにより電圧変換され、制御回路基板200へは直流12V電源が供給される。
第1レギュレータ回路220は、第3コネクタ210を介して供給された12V電源から±15V電源を生成する。第1レギュレータ回路220は、レギュレータIC又はパワートランジスタなどのスイッチング素子を中核部品として構成される。本実施形態ではパワートランジスタが用いられる。生成された±15V電源は、連結用コネクタ215を介して主回路基板100の電流センサ140へ供給され、電流センサ140の駆動電源となる。また、第4コネクタ250を介してレゾルバ5へ供給され、レゾルバ250の駆動電源となる。
電流センサ140及びレゾルバ5の駆動電流は比較的大きいため、第1レギュレータ回路220を構成するレギュレータICやパワートランジスタには電流容量の大きい素子が用いられる。このため、レギュレータICやパワートランジスタは過熱し易い発熱素子(発熱部品の一例)となり、放熱手段も講じられる。図5に示すように、制御基板ケース2の内側の対抗面20には突出座部21が設けられ、制御回路基板200のリフロー面201に実装されるパワートランジスタ221(発熱部品)の実装位置に対応するフロー面202において、この突出座部21が接触する。パワートランジスタ221の発する熱は、制御回路基板200、突出座部21を介して制御基板ケース2へと放熱される。つまり、制御基板ケース2は、ヒートシンクとして機能する。詳細については後述する。
第2レギュレータ回路230は、第3コネクタ210を介して供給された12V電源から5V電源を生成する。第2レギュレータ回路230は、レギュレータIC又はパワートランジスタを用いて構成される。生成された5V電源は、制御部240の駆動電源となる。上述したように、制御部240は、マイクロコンピュータなどを用いて構成されるので、消費電流は比較的少ない。第2レギュレータ回路230を構成するレギュレータICやパワートランジスタには第1レギュレータ回路220に比べて電流容量の小さい素子が用いられる。
制御部240は、ECU7とCAN(controller area network)を介して通信し、モータ4の制御指令を受け取ってインバータ駆動信号を生成する。そして、制御部240は、生成したインバータ駆動信号を連結用コネクタ215及び連結用ハーネス9を介して主回路基板100へと出力する。制御部240は、インバータ駆動信号の生成に当たって、電流センサ140の検出結果、レゾルバ5の検出結果、及び温度センサ81の検出結果をフィードバック情報として利用する。温度センサ81は、例えばサーミスタを用いて構成されており、IPM130と主基板ケース1との接触部の温度を測定する。温度センサ81は、主基板ケース1へボルト止めされる係止部83、制御回路基板200と温度センサ81とを接続する接続用ハーネス82と共に温度センサアッセンブリ8として構成される(図3参照)。接続用ハーネス82は、制御回路基板200の温度センサ接続用コネクタ225に接続される。そして、温度センサ81による測定結果は、制御部240へと入力される。
〔インバータボックスの詳細と組み立て手順〕
上述したように、インバータボックス3は、主回路基板100、主基板ケース1、制御回路基板200、制御基板ケース2、連結用ハーネス9、温度センサアッセンブリ8、及びボルトなどの固定用部材によって構成される。以下、インバータボックス3のより詳細な構成を組み立て手順に沿って説明する。
〔回路基板の組み立て〕
主回路基板100及び制御回路基板200については、ベアボードへの部品実装が必要であるので、始めに基板の組み立てについて説明する。
主回路基板100は、リフロー面101に半田を塗布し、表面実装部品を配置し、リフロー炉を通過させる公知のリフロー工程により、リフロー面101に表面実装部品を実装される。尚、リフロー面101に実装される部品がディスクリート部品のみの場合などでは、リフロー工程を実施することなく、下記に示す公知のフロー工程が実施される。本実施形態においては、主回路基板100のリフロー面101に搭載される第1コネクタ110と、電源平滑用コンデンサ120と、IPM130と、電流センサ140と、第2コネクタ150と、連結用コネクタ115との全てが全てディスクリート部品であるため、リフロー工程を実施することなく、下記フロー工程が実施される。
フロー工程は以下のように実施される。まず、フロー面102に接着材を用いて表面実装部品を配置し、硬化炉において接着材を硬化させる。続いて、リフロー面101の側から、第1コネクタ110、連結用コネクタ115、コンデンサ120、IPM130、電流センサ140、第2コネクタ150などのディスクリート部品を挿入し、フロー炉を通過させる。これにより、フロー面102の表面実装部品及びリフロー面のディスクリート部品が半田付けされる。尚、フロー面102の半田付けは、上述したような全面フロー溶接に限定されることなく、リフロー溶接及びスポットフロー溶接を組み合わせて実施してもよい。つまり、フロー面102に実装される表面実装部品をリフロー溶接したのち、リフロー面101の側からディスクリート部品を挿入し、当該ディスクリート部品のリードをスポットフロー溶接してもよい。以上、リフロー工程及びフロー工程を実施することにより、中間アッセンブリとしての主回路基板100が組み立てられる。
制御回路基板200についても、リフロー工程及びフロー工程を実施することにより、中間アッセンブリとして組み立てられる。尚、制御回路基板200のフロー工程は、スポットフロー溶接により実施される。制御回路基板200のリフロー面201には、表面実装部品も搭載されるので、はじめにリフロー工程が実施される。制御回路基板200のフロー面202にも表面実装部品が実装されるので、本実施形態では、フロー面202の表面実装部品も基板に配置されて、両面同時にリフロー溶接される。この際、リフロー溶接の際に下方を向く少なくとも一方の面の表面実装部品は、上記リフロー工程の説明において述べたように、接着剤を用いて基板に接着される。制御回路基板200のリフロー面201に実装されるディスクリート部品は、第3コネクタ210、連結用コネクタ215、第4コネクタ250、コンデンサ229などである(図5参照)。これらのディスクリート部品は、スポットフロー溶接によって半田付けされる。尚、制御回路基板200に実装されるコンデンサ229は、主回路基板100に実装されるコンデンサ120よりも小容量であるため、表面実装部品を用いてもよい。
このように、本実施形態における基板は、自動化が容易な簡潔な工程により、インバータボックス3の組み立てとは完全に独立して組み立てることが可能である。つまり、それぞれの基板の組み立てを分業することもできるので生産リードタイムを短縮することができる。また、後述するように、主回路及び制御回路を構成する複数の部品が基板に実装されてそれぞれ一体化され、これらの基板がケースに固定されて、インバータボックス3が形成される。従って、製造時に各部品をケースや、ケースに取り付けられた基板に対して取り付けるという作業が不要となる。このような作業は煩雑な手作業となる可能性が高いが、本構成によれば製造時の組付け工程を大きく簡略化することができる。また、複数の部品のケースへの取り付けや部品間の電気的接続のためにインバータボックス内に設けられる作業スペースが不要となるため、主回路及び制御回路を構成する複数の部品を効率的に収納してインバータボックス3を小型化することができる。
主回路基板100及び制御回路基板200が組み立てられると、インバータボックス3を構成する部品及び中間アッセンブリである、主回路基板100、主基板ケース1、制御回路基板200、制御基板ケース2、連結用ハーネス9、温度センサアッセンブリ8が全て揃う。これら部品及び中間アッセンブリを組み付けることによってインバータボックス3が組み立てられる。以下、基板とケースとの組み立て、及び2つのケース同士の組み立て形態を示す断面図である図8も用いて、インバータボックス3の組み立てについて詳述する。
〔主基板ケースアッセンブリ〕
始めに、主基板ケース1と主回路基板100とを組み立てて主基板ケースアッセンブリ1Aを構成する工程について説明する。説明に先立って、主基板ケース1の構造について説明する。
上述したように、主基板ケース1は、IPM130に対する冷却手段を有し、主回路基板100を収納するケースである。図3に示すように、主回路基板100のリフロー面101が対向し、IPM130の銅ベース131が接触する対向面10(11〜14)が、主基板ケース1の内側に形成されている。この対向面10(11〜14)は、IPM130以外の部品が接することがないように、主回路基板100のリフロー面101に実装される各部品の高さに応じた階段状に形成されている(図2、図3、図8参照。)。図8等より明らかなように、主回路基板100の実装面であるリフロー面101からのIPM130の高さは、第1コネクタ110、コンデンサ120、電流センサ140、及び第2コネクタ150のそれぞれのリフロー面101からの高さよりも低いか略同じである。図示の例では、これらの部品の中で、第1コネクタ110及び第2コネクタ150のリフロー面101からの高さが最も高く、次に、コンデンサ120の高さが高い。IPM130のリフロー面101からの高さは、これらの部品の中で最も低く、電流センサ140は、IPM130と略同じ高さである。したがって、対向面10(11〜14)は、これらの各部品の高さに応じて、IPM130に対向する領域12が最も高く(主回路基板100に近く)、電流センサ140に対向する領域13がその次に高く、第1コネクタ110に対向する領域11及び第2コネクタ150に対向する領域14が最も低くなるような階段状に形成されている。
なお、上記のとおり、これらの部品は、主回路基板100のリフロー面101に平行な一方向(具体的には、略長方形の平面形状を有する主回路基板100の長手方向)に沿って、第1コネクタ110、平滑用コンデンサ120、IPM130、電流センサ140、第2コネクタ150の順に配置されている。したがって、これらの部品は、主回路基板100の前記一方向に沿って基板中央側が低く、基板両端側へ向かうに従って高くなるように配置されていることになる。よって、対向面10(11〜14)は、このような各部品の高さに応じて、主回路基板100の前記一方向に沿って基板中央側が低く、基板両端側へ向かうに従って低くなるような階段状に形成されていることになる。このように対向面10が階段状に形成されると、IPM130に対向する領域12の肉厚は、他の部品に対向する領域11、13、14に比べて厚くなる。このため、IPM130と対向する領域12における主基板ケース1の熱容量は他の領域11、13、14に比べて大きくなり、IPM130は冷却手段として好適な構造となる。
また、主基板ケース1には、冷却手段として対向面10の裏側の対向外面30に立設された複数の放熱フィン31が備えられている。複数の放熱フィン31は、対向面10のIPM130が接触している領域12の裏側部分では対向外面30からの高さが高く、他の領域11、13、14では対向外面30からの高さが低く形成されている。これにより、冷却を必要とするIPM130の近傍において、放熱フィン31の表面積を大きくすることができるため、より効率的にIPM130の冷却を行うことが可能となる。
また、主基板ケース1は、複数の放熱フィン31の先端部が同一平面上に位置するように形成されている。また、対向面10の裏側部分である対向外面30(隣接する放熱フィン31により形成される谷部の底)は、階段状に形成される。具体的には、対向外面30は、対向面10のIPM130が接触している領域12の裏側部分(谷部)が他の領域11、13、14の裏側部分(谷部)に対して主回路基板100側に位置するように階段状に形成される。
この構成により、放熱フィン31の先端部が凹凸状に配置されることを防止しつつ、対向面10の各領域11〜14ごとに放熱フィン31の高さ(深さ)を異ならせる。つまり、主回路基板100のリフロー面に実装されている部品の高さに応じた主基板ケース1の対向面10の形状を利用して、放熱フィン31を、対向面10のIPM130が接触している領域12の裏側部分では対向外面30からの高さが高く、他の領域11、13、14では対向外面30からの高さが低くなるように形成する。これにより、主基板ケース1の外形を平面的なものとして、車両等への搭載性を高めつつ、冷却を必要とするIPM130の近傍において放熱フィン31の表面積を大きくして効率的にIPM130を冷却することが可能となる。
IPM130の銅ベース131を含む側には、貫通孔133を有するフランジ部が形成されている。IPM130を主回路基板100に実装した状態において、主回路基板100の貫通孔133の位置に対応する部分には、IPM130の貫通孔133よりも大径の貫通孔107が形成されている(図3、図8等)。また、主基板ケース1の対向面10の領域12にIPM130が接触する状態において、対向面10の貫通孔133の位置に対応する部分には、雌ネジ16が形成されている。IPM130の銅ベース131面にシリコングリスを塗布し、領域12とIPM130の銅ベース131とを接触させ、基板の貫通孔107を介して、IPM130の貫通孔133へボルト16Bを挿入し、このボルト16Bと雌ネジ16とを締結する。主回路基板100の貫通孔107は、ボルト16Bの座部より大径であるので、ボルト16Bが貫通する。IPM130の貫通孔133は、ボルト16Bの軸径よりは大径であるが座部よりは小径であるので、座部がフランジ部に係止される。この状態でボルト16Bと雌ネジ16とを締結することにより、IPM130と対向面10の領域12とが密着される。尚、シリコングリスは、IPM130の銅ベース131面ではなく、対向面10の領域12に塗布されてもよい。
対向面10のIPM130が接触する領域12には、図3に示すように溝状の凹部18が形成されている。この凹部18は、円柱状の縦穴18aと、この縦穴18aの側壁から延伸する溝18bとにより構成されており、縦穴18aの底部には雌ネジ18cが形成されている。この凹部18には、温度センサアッセンブリ8が対向面10から突出しないように収納される。温度センサアッセンブリ8は、接続用ハーネス82の一方の先端部に温度センサ81を有し、最先端部に円環状またはY字状の係止部83を有している。温度センサアッセンブリ8の不図示の他方の先端部には、制御回路基板200の接続用コネクタ225に嵌合するプラグ(不図示)が備えられている。温度センサアッセンブリ8は、係止部83を縦穴18aに、温度センサ81及び接続用ハーネス82を溝18bに配置することによって凹部18の内部に収納される。そして、縦穴18aにおいて係止部83を雌ネジ18cとボルト18Bにより締結することによって、温度センサアッセンブリ8が主基板ケース1に固定される。温度センサアッセンブリ8のプラグを有する他方の端部は、2つの連結用コネクタ115の何れかの側へ偏向させて、主基板ケース1の外側へ延伸される。制御回路基板200との接続については後述する。
この構成により、IPM130の温度を適切に検出できる位置に温度センサ81を配置することができる。また、温度センサ81を配置するために主基板ケース1の対向面10又は主回路基板100の面積を拡大する必要がないのでインバータボックス3を小型化することができる。
主基板ケース1への温度センサアッセンブリ8の取り付けが終わると、次に主回路基板100が主基板ケース1へ収納される。主回路基板100の収納に先立ち、主回路基板100の2つの連結用コネクタ115にそれぞれ連結用ハーネス9の一端が接続される。連結用コネクタ115は、ストレートタイプのコネクタであり、連結用ハーネス9のプラグの長さと合わせて、基板面の鉛直方向へのスペースが必要である。しかし、上述したように、主基板ケース1の対向面10は、IPM130以外の部品が接することがないように、階段状に形成されている。連結用コネクタ115は発熱体ではないため、連結用コネクタ115が対向する対向面10の領域11は、主基板ケース1の肉厚が薄くてもよく、充分にスペースが確保される。
ここで、連結用コネクタ115にアングルタイプのコネクタが使用されると、基板面の水平方向、つまり面方向にスペースが必要となる。連結用ハーネス9のプラグ部分や、プラグから延伸するハーネスが通る部分には事実上、部品実装ができないため、主制御基板100を無駄に大きくする必要が生じる。しかし、本実施形態のようにストレートタイプのコネクタを利用することにより、そのような問題を生じることなく効率的に主基板ケース1のスペースを活用することができる。
主回路基板100は、IPM130やその他のディスクリート部品が実装されたリフロー面101が主基板ケース1の対向面10に対向する向きで主基板ケース1に収納される。第1コネクタ110及び第2コネクタ150は、主回路基板100に実装される側とは反対側の面、即ちコネクタの天面に支持用凹部111及び151を備える(図8等)。一方、主基板ケース1の対向面10には、支持用凸部51及び52が突出形成されている(図3、図8等)。主回路基板100が主基板ケース1に固定される状態において、支持用凸部51及び52は支持用凹部111及び151に挿入される(図2、図8等)。
この支持用凸部51及び52と、支持用凹部111及び151とを有することにより、主回路基板100を主基板ケース1にセットする際に良好に位置決めを行うことができる。また、主回路基板100が主基板ケース1に固定された状態で、コネクタ110及び150が主回路基板100と主基板ケース1の支持用凸部51及び52の双方により支持される。従って、配線ケーブルの挿抜など、コネクタ110及び150に力が作用した場合であってもコネクタ110及び150と主回路基板100との電気的接続部が破損することを抑制できる。
主基板ケース1は、対向面10の周縁に沿って立設された周壁部50を備える。そして、主基板ケース1は、この周壁部50の端面50aよりも対向面10の側に引退した位置に端面55aを有する複数の固定座55を備える。これら固定座55は、雌ネジを形成され主基板ケース1の四隅に設けられ、主回路基板100は、その角部においてこれら固定座55に載置される。主回路基板100の4つの角部にはそれぞれ貫通孔105が形成され、固定座55にボルト55Bにより固定される。この際、上述したように、IPM130と対向面10の領域12とがボルト16Bにより締結される。
このように、主回路基板100は、主基板ケース1の周壁部50内の適切な位置に配置されて固定される。ここで、固定座55の端面55aは、周壁部50の端面50aに対して少なくとも主回路基板100の厚み分、引退していると好適である。このようにすると、主回路基板100は、周壁部50の端面50aよりも対向面10の側に引退した位置に配置される。これにより、主回路基板100は周壁部50により周囲を囲まれて保護される状態となり、製造時における主回路基板100の破損等を抑制することができる。
尚、上述したように、IPM130は、主回路基板100上においてコンデンサ120と電流センサ140との間に配置されている。つまり、主回路基板100のほぼ中央部に配置されている。そして、IPM130は、主基板ケース1の対向面10の領域12と接触して固着される。従って、主回路基板100は、四隅と中央部において主基板ケース1に支持されることとなる。その結果、例えばブラケットなどの支持部材を別途備えることなく、主回路基板100のたわみを抑制することが可能となる。
汎用的な基板は、ガラスエポキシなどにより構成され、その板厚は1.6mm前後である。基板に熱が加えられたり、加熱・冷却を繰り返されたりすると、基板に反りを生じる場合がある。特に、IGBTを内蔵したIPM130は発熱量が大きく、基板に対して大きなストレスを与える。また、IPM130は、銅ベース131などの金属ベースを有し、パッケージにもセラミック素材などが用いられることが多いので、その質量も大きい。このため、IPM130を基板に実装すると反りなどを生じさせる可能性が高い。従って、従来は他の部品と共に基板に実装されることなく、金属ケースに取り付けた後に配線を施されたり、単独の基板に実装した後に配線を施されたりしていた。しかし、本実施形態では、IPM130を基板の中央部に実装して、その両側に他の部品も実装する。また、基板の四隅のみではなく、中央部においてもIPM130の銅ベース131の平坦面を利用して広範囲に基板が固定される。従って、組み立てを容易にしつつ、基板の反りも良好に抑制される。
図9は、主基板ケース1に主回路基板100を固定した状態を模式的に示す上面図である。主基板ケース1に対して非常に高いスペース効率で主回路基板100が収納されていることが容易に理解できる。但し、主回路基板100と制御回路基板200とを連結する連結用ハーネス9が通過するための空間70は、主回路基板100と主基板ケース1との間に確保されている。つまり、主回路基板100は、四辺の内の一辺において主基板ケース1の周壁部50との間に連結用ハーネス9が通過可能な空間を有して収納される。主回路基板100を主基板ケース1に取り付けた状態においては、この空間70から、主基板ケース1の外側へ連結用ハーネス9が延出する。尚、温度センサアッセンブリ8の接続用ハーネス82は、2つの空間70の内の何れか一方から、主基板ケース1の外側へ延出する。以上、ここまでの組み立てを終えた主基板ケース1を主基板ケースアッセンブリ1Aと称する。
〔制御基板ケースアッセンブリ〕
次に、制御基板ケース2と制御回路基板200とを組み立てて制御基板アッセンブリ2Aを構成する工程について説明する。説明に先立って、制御基板ケース2の構造について説明する。
上述したように、制御基板ケース2は、パワートランジスタ221に対する冷却手段を有し、制御回路基板200を収納するケースである。図5に示すように、制御回路基板200のフロー面202が対向する対向面20が、制御基板ケース2の内側に形成されている。この対向面20の一部の領域において、制御回路基板200のフロー面202が接触するように、対向面20には、突出座部21が形成されている。突出座部21は、パワートランジスタ221とその周辺部に対応する面積を有しており、突出座部21には2つの雌ネジ23も形成されている。
制御回路基板200の、これら雌ネジ23に対応する位置には2つの貫通孔207が形成されており、当該貫通孔207の間のリフロー面201にパワートランジスタ221が実装されている。パワートランジスタ221は表面実装部品であり、フロー面202にはパワートランジスタ221のリードは貫通されていない。また、パワートランジスタ221の実装位置には貫通孔207を除いてスルーホールなどは設けられていない。また、当該所定の領域の裏面側、即ちフロー面202側には、配線パターン、部品用ランドは設けられておらず、レジストマスクが施されている。つまり、制御回路基板200のフロー面202に突出座部21が接触しても回路に短絡を生じさせない構造となっている。
制御回路基板200は、フロー面202において突出座部21と接触し、基板に形成された貫通孔207を介して突出座部21の雌ネジ23とボルト23Bにより締結される。従って、この部位が本願における「固定部」となる。さらに、この固定部を成す、ボルト23Bの座面である貫通孔207のリフロー面側の周部には、熱伝導性の高い金属のメッキ処理が成されており、高熱伝導性物質層207aが形成されている。表面実装部品のパワートランジスタは、ディスクリート部品のパワートランジスタに比べて耐熱性能の低いものが多いが、制御回路基板200を介して、制御基板ケース2を冷却手段として機能させることにより、耐熱性を向上させることができる。
図5に示すように、制御基板ケース2は、対向面20の周縁に沿って立設された周壁部60を備える。そして、制御基板ケース2は、この周壁部60の端面60aよりも対向面20の側に引退した位置に端面65aを有する複数の固定座65を備える。これら固定座65は、雌ネジを形成されて制御基板ケース2の四隅に設けられる。制御回路基板200は、その角部においてこれら固定座65に載置される。制御回路基板200の4つの角部にはそれぞれ貫通孔205が形成され、固定座65にボルト65Bにより固定される。また、この際、制御回路基板200は、パワートランジスタ221を挟んで形成された貫通孔207において、対向面20に形成された突出座部21に対しても固定される。
固定座65の端面65aと、突出座部21の端面21aとは、同一平面上に形成される。従って、制御回路基板200は、4つの固定座65と、突出座部21との5点により支持される。ここで、本実施形態のように、パワートランジスタ221が、制御回路基板200の中央部に実装されると、突出座部21により制御回路基板200が中央部で支持されて好適である。このように構成されると、例えばブラケットなどの支持部材を別途備えることなく、制御回路基板200のたわみを抑制することが可能となる。汎用的な基板は、ガラスエポキシなどにより構成され、その板厚は1.6mm前後である。基板に熱が加えられたり、加熱・冷却を繰り返されたりすると、基板に反りを生じる場合がある。しかし、基板の四隅にのみではなく、中央部においても基板が固定されるので、このような反りを抑制することができる。
上述したように、制御回路基板200は、制御基板ケース2の周壁部60内の適切な位置に配置されて固定される。ここで、固定座65の端面65aは、周壁部60の端面60aに対して少なくとも制御回路基板200の厚み分、引退していると好適である。このようにすると、制御回路基板200は、周壁部60の端面60aよりも対向面20の側に引退した位置に配置される。これにより、制御回路基板200は周壁部60により周囲を囲まれて保護される状態となり、製造時における制御回路基板200の破損等を抑制することができる。
さらに、本実施形態のように、固定座65の端面65aは、周壁部60の端面60aに対して少なくとも制御回路基板200の厚みに加え、リフロー面202に実装される部品の高さ分、引退していると好適である。このようにすると、制御回路基板200は、基板上に実装される部品も含めて周壁部60の端面60aよりも対向面20の側に引退した位置に配置される。これにより、制御回路基板200は周壁部60により周囲を囲まれて保護される状態となり、製造時における制御回路基板200及び実装された部品の破損等を抑制することができる。
また、固定座65の端面65aは、対向面20に対して少なくとも、制御回路基板200のフロー面202に突出するディスクリート部品のリード(端子)の長さよりも突出していることが好ましい。制御基板ケース2は熱伝導性を考慮して金属など導電性材料により構成される。対向面20に絶縁処理を施していたとしてもディスクリート部品の鋭利なリード端部が接触すれば、短絡を生じる可能性がある。従って、少なくともディスクリート部品のリード225fや229fの長さよりも、対向面20から突出した位置に固定座65の端面65a及び突出座部21の端面21aが設定されると好適である。
以上、制御回路基板200を固定した制御基板ケース2を制御基板ケースアッセンブリ2Aと称する。図10は、制御基板ケースアッセンブリ2Aを模式的に示す上面図である。制御基板ケース2に対して非常に高いスペース効率で制御回路基板200が収納されていることが容易に理解できる。つまり、制御回路基板200は、制御基板ケース2の周壁部60との間に隙間を有することなく収納される。主回路基板100と制御回路基板200とを連結する連結用ハーネス9が接続される連結用コネクタ215、及び温度センサアッセンブリ8の接続用ハーネス82が接続される接続用コネクタ225は、共に制御基板ケース2に制御回路基板200を固定した状態で、制御基板ケース2の開口部側に配置されている。
上述したように、主回路基板100は、四辺の内の一辺において主基板ケース1の周壁部50との間に連結用ハーネス9が通過可能な空間70を有して収納され、制御回路基板200は、制御基板ケース2の周壁部60との間に隙間を有することなく収納される。しかし、両基板100及び200をインバータボックス3内へ収納する向きなどによっては、制御回路基板200と制御基板ケース2との間に空間を設けて制御回路基板200を収納し、主回路基板100は、主基板ケース1の周壁部50との間に隙間を有することなく収納してもよい。また、主回路基板100と主基板ケース1の周壁部50との間に空間を設けると共に、制御回路基板200と制御基板ケース2の周壁部60との間に空間を設けてもよい。つまり、上記実施形態は一例であり、主回路基板100及び制御回路基板200は、少なくとも一方の基板と当該基板が収納されるケースの周壁部との間に連結用ハーネス9が通過可能な空間を有して収納されればよい。
〔インバータボックス〕
主基板ケースアッセンブリ1Aと制御基板ケースアッセンブリ2Aとは、主基板ケース1の周壁部50の端面50aと制御基板ケース2の周壁部60の端面60aとを当接させ、締結部59及び69においてボルト等によって締結される。それぞれ基板が固定された2つのケースを締結させることにより、極めて簡潔にインバータボックス3を組み立てることができる。
2つのケースの締結に先立って、主回路基板100と制御回路基板200とを連結用ハーネス9によって連結し、温度センサアッセンブリ8のプラグを制御回路基板200に接続する。以下、その手順を説明する。まず、基板を上面に向けた状態で、主基板ケースアッセンブリ1Aと制御基板ケースアッセンブリ2Aとを並べる。この時、主回路基板100の連結用コネクタ115側(空間70側)と制御回路基板200の連結用コネクタ215側とを対向させて、両アッセンブリ1A及び2Aを並べる。そして、空間70から延出する連結用ハーネス9のプラグを制御回路基板200の連結用コネクタ215に嵌合させる。同様に、空間70から延出する温度センサアッセンブリ8の接続用ハーネス82のプラグを制御回路基板200の接続用コネクタ225に嵌合させる。
続いて、制御基板ケースアッセンブリ2Aを主基板ケースアッセンブリ1Aの上に重ね合わせる。そして、上述したように、主基板ケース1の周壁部50の端面50aと制御基板ケース2の周壁部60の端面60aとを当接させ、締結部59及び69においてボルト3B等によって締結する。このようにして、図1及び図2に示すようなインバータボックス3が形成される。主基板ケース1の一部の締結部59は、開口部側の穴径が大きくなるように段差部59aを有して形成されている。本実施形態では、対角線上の2つの締結部59に段差部59aが形成されている。制御基板ケース2の締結部69は、段差部59aと同じ穴径を有して形成されている。締結部59及び69は、主基板ケース1の締結部59の段差部59aにおいて係止されるパイプ状のノックピンを用いて位置決めされ、ボルト3Bによって締結される。
主基板ケース1の締結部59及び制御基板ケース2の締結部69は、4つの各角部に設けられている。締結部59及び69は、第1コネクタ110及び第3コネクタ210が突出する方向、及び第2コネクタ150及び第4コネクタ250が突出する方向に突出して設けられる。このようにすれば、インバータボックス3からの突出部が同一方向にまとまるので、インバータボックス3の専有空間を大きくすることなく、締結部59及び69を効率的に設けることができる。
制御基板ケース2には、締結部69から締結部69と同一方向にさらに突出した取り付け部90が設けられている。インバータボックス3は、この取り付け部90において車両に取り付けられる。尚、主基板ケース1と制御基板ケース2とを締結する締結部69と、取り付け部90とを共用可能に設けてもよい。
連結用ハーネス9は、主基板ケース1の対向面10の領域11と主回路基板100の基板面との間に形成される空間72、及び、主基板ケース1の周壁部50の内面と主回路基板100の端面との間に形成される空間70を収納空間として、良好にインバータボックス3に収納される(図2、図9参照)。また、温度センサアッセンブリ8の接続用ハーネス82は、主基板ケース1の対向面10に形成された溝状の凹部18、上記空間72、上記空間70、及び主回路基板100と制御回路基板200との間の空間を収納空間として、良好にインバータボックス3に収納される(図2、図3参照)。
このように、本発明に係るインバータボックス3は、サブアッセンブリを独立して組み立て、これらのサブアッセンブリを用いて全体を組み立てることによって構成されるので、効率よく組み立てることが可能である。従来は、ケースの中に順次部品を組み付けていたため、組み立てに多くの工数を要するとともに、組み立ての作業性を確保するためにケース内に無駄なクリアランスを多く設ける必要があった。しかし、本発明を適用すれば、ケースの容積を小さくすることが可能となる。
図1及び図2に示すように、主回路基板100に実装された第1コネクタ110と制御回路基板に実装された第3コネクタ210とは、突出側の端面が同一面上となる。また、主回路基板100に実装された第2コネクタ150と制御回路基板200に実装された第4コネクタ250とは、突出側の端面が同一面上となる。これにより、インバータボックス3に対する各種ケーブルの挿抜の際に、同一面を基準として作業を行うことができる。尚、制御回路基板200に備えられる第3コネクタ210及び第4コネクタ250は、それぞれ主回路基板100に備えられる第1コネクタ110及び第2コネクタ210に比べて、電流容量が小さくて良いため、小さいコネクタである。従って、突出側の端面を揃えるために、制御回路基板200に延長部208、209が設けられて、当該延長部208、209に第3コネクタ210及び第4コネクタ250が実装される。
主基板ケース1は、制御回路基板200のリフロー面201の側を覆うように制御基板ケースに固定されるケースである。また、制御基板ケース2は、主回路基板100のフロー面102の側を覆うように主基板ケース1に固定されるケースである。つまり、主基板ケース1と制御基板ケース2とは、両者を固定することによって、互いに相手の基板を覆って、2枚の基板を内部に収納するインバータボックス3を構成する。これにより、主回路基板100及び制御回路基板200をインバータボックスの内側に収納して保護することができる。また、一方のケースに伝導されたIPM130やパワートランジスタ221からの熱が、更に他方のケースにも伝導されることになる。従って、IPM130やパワートランジスタ221などのスイッチング素子の冷却性能を更に高めることができる。
ここで、インバータボックス3の外装ケース部は、主基板ケース1と制御基板ケース2とに分割されているが、分割の割合、即ちつなぎ目の位置については種々の形態を採ることが可能である。この分割の割合は、ヒートマネジメントの観点及びパッケージングの観点から検討すると好適である。
始めに、ヒートマネジメントの観点から検討する場合の例について説明する。主基板ケース1及び制御基板ケース2は、共に基板を収納するとともにヒートシンクとしての役割を担っている。冷却対象となる発熱体の発熱量は、主基板ケース1が冷却するIPM130の方が圧倒的に大きい。従って、上述したように、主基板ケース1は制御基板ケース2に比べて金属量が多く、表面積を増大させるための放熱フィン31も形成されている。そこで、さらに主基板ケース1の周壁部50の高さを高くし、制御基板ケース2の周壁部60の高さをその分低くすれば、より主基板ケース1の冷却性能を向上させることができる。しかし、その分制御基板ケース2の冷却性能が低下するため、両者のバランスを取ることが大切である。
ここで、主回路基板100及び制御回路基板200が発熱する機会について検討する。主回路基板100は、モータが駆動する場合にのみ大電流が流れ、その際に大きな発熱を生じる。制御回路基板200は、モータが停止中であっても発熱が生じ、モータが駆動してもほとんど発熱量は増加しない。主基板ケース1と制御基板ケース2とは、周壁部50及び60の端面50a及び60aを当接されるので、熱抵抗はあるものの相互に熱の受け渡しが可能である。
そこで、制御基板ケース2は、制御基板ケース2単体で制御回路基板200が発生する熱量を充分に冷却可能な熱容量を有する金属量を確保して形成する。モータが停止している間は、主基板ケース1に対して熱移動が生じるので、制御基板ケース2は自身の熱容量の多くを温存できる。モータが駆動すると、主回路基板100において大きな発熱が生じるため、ヒートシンクとしての主基板ケース1の温度が上昇する。その結果、制御基板ケース2から主基板ケース1への熱移動はなくなるが、制御基板ケース2は単独で制御回路基板200の発熱量を冷却可能な熱容量を有しているため、問題はない。さらに、モータが駆動を始めるまでは主基板ケース1も活用して冷却していたため、制御基板ケース2の冷却力には余裕がある。従って、主基板ケース1から制御基板ケース2へ多くの熱移動が生じ、主基板ケース1の温度上昇が緩和される。その結果、主基板ケース1の冷却力が長時間に亘って確保される。
このように、ヒートマネジメントの観点から主基板ケース1と制御基板ケース2との分割割合を、両ケース1、2に設けられる周壁部の高さも含めて設定すると、良好な冷却性能を有するインバータボックス3を構成することができる。
次に、パッケージングの観点から検討する場合の例について説明する。上述したように、インバータボックス3は、主基板ケースアッセンブリ1Aと制御基板アッセンブリ2Aとを合わせることによって構成される。一方のケースアッセンブリの周壁部が高く形成され、他方の周壁部がその分低く形成される場合、他方の基板や、基板に実装された部品が周壁部を超えて露出する可能性がある。このため、主基板ケースアッセンブリ1Aと制御基板アッセンブリ2Aとを合わせる際に基板や、基板に実装された部品を損傷させる可能性が生じる。
そこで、パッケージングの観点より分割割合を決定する場合には、周壁部が以下の条件を満たすようにすることが望ましい。即ち、基板の固定部の端面を、周壁部の端面に対して少なくとも基板の厚み分だけ引退して設け、基板がその端面を周壁部により囲まれて保護される状態とすることができる高さを、周壁部が有することが望ましい。さらに好適には、周壁部の端面から基板の固定部の端面までの引退量を以下のように設定するとよい。即ち、基板の厚みに加えて、ケースの開放面側に実装される部品の高さ分の引退量を少なくとも有するようにするとよい。このようにすれば、基板及び基板の実装部品は周壁部により周囲を囲まれて保護される状態となり、製造時における基板及び実装部品の破損等を抑制することができる。
尚、上述した本実施形態においては、ヒートマネジメント及びパッケージングの両観点より、分割割合が決定されている。
以上、説明したように、本発明を適用することにより、発熱部品を確実に冷却できる構造としつつ、製造時の組付け工程を簡略化できるとともに、インバータ回路を構成する複数の部品を効率的に収納して小型化することができるインバータ装置を提供することが可能となる。
本発明は、ハイブリッド車両や電動車両等に用いるような大きな出力の電動機を駆動するためのインバータ装置に適用することができる。係るハイブリッド車両や電動車両等では、内部構造の省スペース化が求められている。従って、本発明のように、インバータ回路を構成する複数の部品を効率的に収納して小型化することができるインバータ装置は非常に有用である。また、インバータ装置の製造時の組付け工程を簡略化できることにより、ハイブリッド車両や電動車両等の生産コストを低減することができる。
本発明のインバータ装置に係るインバータボックスの外観図 インバータボックスの長手方向の断面図 主基板ケースへの主回路基板の収納形態を示す斜視図 主回路基板の上面図 制御基板ケースへの制御回路基板の収納形態を示す斜視図 主回路の構成を模式的に示すブロック図 制御回路の構成を模式的に示すブロック図 インバータボックスの長手方向の分解断面図 主回路基板を収納後の主基板ケースの上面図 制御回路基板を収納後の制御基板ケースの上面図
符号の説明
1:主基板ケース
2:制御基板ケース
3:インバータボックス(インバータ装置)
4:モータ
9:連結ハーネス
50:周壁部
50a:周壁部の端面
70:空間
60:周壁部
60a:周壁部の端面
100:主回路基板
101:リフロー面(第一面)
102:フロー面(第二面)
110:第1コネクタ
115:連結用コネクタ
150:第2コネクタ
200:制御回路基板
201:リフロー面(第一面)
202:フロー面(第二面)
210:第3コネクタ
221:パワートランジスタ、発熱素子(発熱部品)
215:連結用コネクタ
250:第4コネクタ

Claims (12)

  1. インバータの主回路を駆動制御する制御信号を生成する制御回路の複数の部品が一方の面に実装された制御回路基板と、前記制御回路基板を収納する制御基板ケースとを備えて構成され、
    前記制御回路の部品に、発熱量が大きい発熱部品を含むインバータ装置であって、
    前記制御基板ケースの内面にケース内側に突出する突出座部を備え、
    前記制御回路基板の他方の面を前記突出座部に接触させて、前記制御基板ケースに前記制御回路基板を収納するとともに、前記発熱部品を前記制御回路基板を介して前記突出座部の反対側に位置させ、
    前記発熱部品に近接して、前記制御回路基板を前記制御基板ケースに固定する固定部が設けられ、
    前記固定部は、前記突出座部と、前記制御回路基板の前記突出座部に接する部分と、に設けられ、
    前記制御基板ケースは、前記制御回路基板を載置して固定するために、前記制御基板ケースの内面にケース内側に突出する固定座を備え、
    前記突出座部の端面と、前記固定座の端面と、は同一平面上に形成されているインバータ装置。
  2. 前記固定部は、前記制御回路基板に沿って前記発熱部品を両側から挟むように、二箇所に設けられている請求項1記載のインバータ装置。
  3. 前記突出座部は、中実状の突出部である請求項1又は2記載のインバータ装置。
  4. 前記固定部は、前記制御回路基板に形成された貫通孔と、前記突出座部に形成された雌ネジと、前記貫通孔を貫通して前記雌ネジに締結されるボルトと、により構成されている請求項1から3のいずれか一項記載のインバータ装置。
  5. 前記突出座部及び前記固定座は、前記制御回路基板から前記制御基板ケースの内面側に突出する前記部品の端子の長さよりも大きく前記制御基板ケースから突出している請求項1から4のいずれか一項記載のインバータ装置。
  6. 前記突出座部が前記制御基板ケースの内面中央側部位に位置され、前記発熱部品が前記制御回路基板の中央側部位に位置され、
    前記固定座は、前記制御基板ケースの四隅に備えられている請求項1から5のいずれか一項記載のインバータ装置。
  7. 前記制御回路基板が前記固定部により前記突出座部に固定される構成で、
    前記固定部の前記一方の面側に、熱伝導性の高い高熱伝導性物質層が形成されている請求項1から6のいずれか一項記載のインバータ装置。
  8. 前記制御基板ケースは、周縁に沿って立設された周壁部を備えるとともに、この周壁部の立設方向端面よりもケース内側に引退した位置に、前記制御回路基板を載置して固定するための前記固定座を備えている請求項1からのいずれか一項に記載のインバータ装置。
  9. 前記制御回路基板の前記一方の面を覆うように前記制御基板ケースに固定されるカバーケースを更に備える請求項1からのいずれか一項に記載のインバータ装置。
  10. 前記カバーケースの内面には、前記主回路が実装される主回路基板が固定され、前記カバーケースが主基板ケースとされている請求項記載のインバータ装置。
  11. 前記制御基板ケースが前記主基板ケース側に立設される周壁部を周縁に備えるとともに、前記主基板ケースが前記制御基板ケース側に立設される周壁部を周縁に備え、
    前記制御基板ケース及び主基板ケースが、前記両周壁部の立設方向端面で相手側と当接する請求項10記載のインバータ装置。
  12. 前記制御回路基板が前記制御基板ケースに固定された制御基板アッセンブリと、前記主回路基板が前記主基板ケースに固定された主基板アッセンブリとを一体化した組み付け状態で、
    前記制御基板ケースから前記主基板ケースに向かう方向である組み付け方向において、前記一方の面である前記制御回路基板の部品面と前記主回路基板の部品面とが、同一方向とされる請求項10又は11記載のインバータ装置。
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