以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、原則として同一の符号で表し、これらの構成要素についての重複説明は、適宜省略する。また、図面中に注記された「前」「後」「左」「右」「上」「下」の方向は、本明細書の説明において「前」「後」「左」「右」「上」「下」と記述される方向にそれぞれ対応する。但し、モータ等の各構成要素の位置関係は、「前」「後」「左」「右」「上」「下」の概念に限定されるものではない。
<第1実施形態>
<1.モータの概略構成の例>
まず、図1を参照しつつ、第1実施形態のモータの概略構成の一例について説明する。
図1に示すように、本実施形態のモータ1は、モータ部2と、エンコーダ部3と、アンプ部4とを有する、アンプ一体型のエンコーダ付きモータである。
モータ部2は、固定子及び回転子(どちらも図示せず)を備え、回転子が固定子に対し回転する回転型(ロータリタイプ)のモータ部である。モータ部2は、シャフトSHを軸心AX(「回転軸」の一例に相当)周りに回転させることで、回転力を出力する。軸心AX方向は、この例では前後方向となっている。本明細書では、モータ部2の回転力出力側、つまりモータ部2に対しシャフトSHが突出する側(この例では前側)を「負荷側」、その反対側(この例では後側)を「反負荷側」という。
なお、モータ部2を、固定子及び可動子を備え、可動子が固定子に対し直線移動する直線型(リニアタイプ)のモータ部としてもよい。
エンコーダ部3は、モータ部2の反負荷側(後側)に連結されている。エンコーダ部3は、モータ部2の位置(「回転位置」や「回転角度」等ともいう)を検出し、その位置を表す位置データを出力する。
なお、エンコーダ部3をモータ部2の反負荷側に例えば減速機やブレーキ、回転方向変換機等の他の構成要素を介して連結してもよい。また、エンコーダ部3をモータ部2の負荷側に連結してもよい。また、エンコーダ部3は、モータ部2の位置に加え又は代え、モータ部2の速度(「回転速度」や「角速度」等ともいう)及び加速度(「回転加速度」や「角加速度」等ともいう)の少なくとも一方を検出してもよい。
アンプ部4は、エンコーダ部3の反負荷側(後側)に連結されている。アンプ部4は、モータ部2に電力を供給する。この際、アンプ部4は、エンコーダ部3から位置データを取得し、その位置データに基づいてモータ部2に印加する電流又は電圧等を制御することで、モータ部2の動作を制御する。また、アンプ部4は、上位制御装置(図示せず)から上位制御信号を取得し、その上位制御信号に表された位置等を実現可能な回転力がシャフトSHから出力されるように、モータ部2の動作を制御することもできる。
なお、アンプ部4をエンコーダ部3の反負荷側に他の構成要素を介して連結してもよい。また、アンプ部4を、モータ部2の反負荷側で、且つエンコーダ部3の負荷側、つまりモータ部2とエンコーダ部3との間に配置してもよい。また、アンプ部4をモータ部2の負荷側に連結してもよい。また、アンプ部4は、モータ部2に電力を供給するように構成されていればよく、必ずしもモータ部2を位置等の目標値に追従するよう制御するように構成されていなくてもよい。
なお、上記で説明したモータ1の構成は、あくまで一例であり、モータ1の構成は、上記構成に限定されるものではない。例えば、エンコーダ部3をモータ1とは別の装置により実装してもよい。
<2.アンプ部の構成の例>
次に、図1〜図8A,Bを参照しつつ、アンプ部4の構成の一例について説明する。また、必要に応じてモータ部2やエンコーダ部3の構成の一例についても適宜説明する。なお、各図中では、アンプ部4の構成要素の図示を適宜省略している。
図2に示すように、アンプ部4は、エンコーダ部3が備えるエンコーダカバー30の反負荷側(後側)の外面に例えば4つのねじS1により固定されている。
エンコーダカバー30の後面部の例えば四隅には、上記ねじS1が締結されるねじ穴31が形成されている。また、エンコーダカバー30の後面部の例えば右下隅部近傍には、後述の電力ケーブルEC1(図1等参照)が挿通される挿通孔32が貫通形成されている。さらに、エンコーダカバー30の後面部の例えば右上隅部近傍には、後述のねじS2の頭部が挿入される凹部33が形成されている。またさらに、エンコーダカバー30の後面部の例えば中心部近傍には、後述のコネクタC76(後述の図7等参照)等の部品が挿入される挿入孔34が貫通形成されている。
図1〜図4に示すように、アンプ部4は、複数(この例では5つ)の基板5a,5b,5c,5d,5eと、バックボード7(「中継基板」の一例に相当)と、フレーム6と、2つのガイド部材8a,8bとを有する。なお、図1及び図2中では、ガイド部材8a,8bの図示を省略している。
(2−1.基板及びバックボードの構成の例)
図1〜図4に示すように、基板5a〜5eは、フレーム6に収容されている。基板5a〜5eは、各々の面方向が軸心AX方向に沿うように(例えば軸心AX方向と平行になるように)並設されている。
基板5a(「第1基板」の一例に相当)は、基板5a〜5eの一端、つまり右端部に配置されている。基板5e(「第2基板」の一例に相当)は、基板5a〜5eの他端、つまり基板5aとは反対側に位置する左端部に配置されている。なお、基板5a,5eは、「複数の基板の端部に配置された基板」の一例に相当する。基板5bは、基板5a〜5eの中で基板5aの左側に隣接配置されている。基板5cは、基板5a〜5eの中で基板5bの左側に隣接配置されている。基板5dは、基板5a〜5eの中で基板5cの左側で、且つ基板5eの右側に隣接配置されている。なお、基板5a〜5eの中で左右両端を除く中間位置に配置された基板5b〜5dのうち基板5c,5dは、「第3基板」の一例に相当する。
なお、基板5の個数は、5つに限定されるものではなく、他の個数であってもよい。
バックボード7は、面方向が軸心AX方向に垂直となるようにフレーム6のモータ部2側、つまり前側に配置されている。バックボード7は、上記基板5b〜5eを電気的に接続し、データバスを構成する。
(2−1−1.基板の具体例及び基板・バックボードの接続関係の例)
以下、図5を参照しつつ、基板5a〜5eの具体例及び基板5a〜5e・バックボード7の接続関係の一例について説明する。
図5に示すように、アンプ部4は、主電源(図示せず)から入力される直流電力を交流電力(この例では3相交流電力)に変換し、モータ部2に供給する。
基板5dは、DC入力回路50dを構成する部品を備えたDC入力基板である。以下適宜、基板5dを「DC入力基板5d」という。DC入力基板5dには、2つのコネクタCd1,Cd2が設けられている(図1、図2、及び図4も参照)。DC入力回路50dは、主電源から直流電力を入力する。
基板5aは、インバータ回路50a(「電力変換回路」の一例に相当)を構成して通電時に発熱する複数のスイッチング素子SW(「通電時に発熱する電子部品」の一例に相当。図5中では1つのみ図示)を含む部品を備えたパワー基板である。以下適宜、基板5aを「パワー基板5a」という。パワー基板5aには、複数のピン端子P(図1及び図4参照)が設けられている。また、パワー基板5aは、電力ケーブルEC2を介してDC入力基板5dと接続されると共に、電力ケーブルEC1を介してモータ部2と接続されている(図1及び図4も参照)。インバータ回路50aは、電力ケーブルEC2を介してDC入力回路50dから入力される直流電力をスイッチング素子SW等により3相交流電力に変換し、電力ケーブルEC1を介してモータ部2に供給する。
基板5bは、ゲート回路50bを構成する部品を備えたゲート基板である。以下適宜、基板5bを「ゲート基板5b」という。ゲート基板5bには、コネクタCbが設けられている(図1及び図4も参照)。ゲート回路50bは、インバータ回路50aのスイッチング素子SWを制御する。
なお、パワー基板5a及びそのインバータ回路50aと、ゲート基板5b及びそのゲート回路50bと、DC入力基板5d及びそのDC入力回路50dとは、モータ部2に3相交流電力を供給する主回路部500を構成する。
基板5eは、制御回路50eを構成する部品を備えた制御基板である。以下適宜、基板5eを「制御基板5e」という。制御基板5eには、コネクタCeが設けられている(図1〜図4も参照)。制御回路50eは、主回路部500を制御する。また、制御回路50eは、エンコーダ部3から位置データを入力する。
基板5cは、電源回路50cを構成する部品を備えた電源基板である。以下適宜、基板5cを「電源基板5c」という。電源基板5cには、コネクタCcが設けられている(図1及び図4も参照)。電源回路50cは、ゲート回路50b及び制御回路50e等に制御用の電力を供給する。
バックボード7には、コネクタC71,C72,C73,C74,C75を含む複数のコネクタが設けられている(図1〜図3も参照)。
そして、パワー基板5aは、上記ピン端子Pがゲート基板5bに取り付けられている(図1及び図4参照)。これにより、パワー基板5a及びゲート基板5bが、ピン端子Pを介して機械的及び電気的に接続されている。
また、ゲート基板5bは、上記コネクタCbがバックボード7のコネクタC71と接続されており、電源基板5cは、上記コネクタCcがバックボード7のコネクタC72と接続されており、DC入力基板5dは、上記コネクタCd1,Cd2がそれぞれバックボード7のコネクタC73,C74と接続されており、制御基板5eは、上記コネクタCeがバックボード7のコネクタC75と接続されている(図1〜図4も参照)。これにより、ゲート基板5b及び電源基板5c、ゲート基板5b及び制御基板5e、電源基板5c及び制御基板5e、DC入力基板5d及び主電源、DC入力基板5d及び制御基板5eが、それぞれバックボード7を介して電気的に接続されている。
なお、上記で説明した基板5a〜5eの種類及び基板5a〜5e・バックボード7の接続関係は、あくまで一例であり、基板5a〜5eの種類及び基板5a〜5e・バックボード7の接続関係は、上記以外の内容であってもよい。
(2−2.フレームの構成の例)
図1〜図4に示すように、フレーム6は、例えば略直方体状のフレーム筐体部60と、例えば略長方形板状の2つの放熱性を有する放熱板部61a,61b(以下適宜「放熱板部61」と総称)と、上下方向から見て略T字型の放熱性を有するフレームカバー部63(「放熱部材」及び「基板固定部材」の一例に相当)とを有する。
フレーム筐体部60には、上記基板5a〜5eが並列された状態で収容されている。フレーム筐体部60の前面部、後面部、左面部、及び右面部には、それぞれ開口部601,602,603,604が形成されている。また、フレーム筐体部60の例えば前後方向から見た四隅には、上記ねじS1が挿通される挿通孔605が貫通形成されている。さらに、フレーム筐体部60の例えば上面部の前端部近傍には、後述のコネクタC77が挿入される挿入孔606が貫通形成されている。
放熱板部61a(「第1放熱板材」の一例に相当)は、フレーム筐体部60の右面部の外面に例えばねじ等により着脱可能に取り付けられ、フレーム6の右壁部を構成する。放熱板部61aの内面には、フレーム筐体部60の開口部604に嵌合される例えば凸状の嵌合部66aが形成されている。また、放熱板部61aの内面、具体的には嵌合部66aの先端面67aの近傍には、上記パワー基板5aが配置されており、放熱板部61aは、伝熱されるパワー基板5aの熱を放熱する(詳細は後述)。
放熱板部61b(「第2放熱板材」の一例に相当)は、フレーム筐体部60の左面部の外面に例えばねじ等により着脱可能に取り付けられ、フレーム6の左壁部を構成する。放熱板部61bの内面には、フレーム筐体部60の開口部603に嵌合される例えば凸状の嵌合部66bが形成されている。また、放熱板部61bの内面、具体的には嵌合部66bの先端面67bの近傍には、上記制御基板5eが配置されており、放熱板部61bは、伝熱される制御基板5eの熱を放熱する(詳細は後述)。
フレームカバー部63は、フレーム筐体部60のモータ部2とは反対側に位置する後面部の外面に取り付けられている。フレームカバー部63は、例えば略長方形板状のフレーム壁部64と、延設部65とを有する。
フレーム壁部64の例えば四隅には、上記ねじS1が挿通される挿通孔641が貫通形成されている。各ねじS1は、フレーム壁部64の外面側からフレーム壁部64の挿通孔641及びフレーム筐体部60の挿通孔605に挿通され、上記エンコーダカバー30のねじ穴31に締結されている。これにより、フレーム筐体部60は、エンコーダカバー30の後面部の外面に固定されており、フレーム壁部64は、フレーム筐体部60の後面部の外面に固定され、フレーム6の後側の壁部を構成する。
延設部65は、フレーム筐体部60内においてフレーム壁部64の内面から軸心AX方向に沿って(例えば軸心AX方向と平行に)延設されている。延設部65には、上記基板5a〜5eが並設された状態で固定されている。具体的には、パワー基板5aとゲート基板5bとの間、ゲート基板5bと電源基板5cとの間、電源基板5cとDC入力基板5dとの間、DC入力基板5dと制御基板5eとの間には、それぞれスペーサとなる例えば樹脂製のパレットPa1,Pa2,Pa3,Pa4が配置されている。なお、図1、図3、及び図4中では、パレットPa1〜Pa4の図示を省略している。そして、延設部65には、基板5a〜5eがパレットPa1〜Pa4を介して積層された状態で固定されている。延設部65の近傍には、電源基板5c及びDC入力基板5dが配置されており、フレームカバー部63は、伝熱される電源基板5c及びDC入力基板5dの熱を放熱する(詳細は後述)。
なお、放熱板部61a,61b及びフレームカバー部63は、「フレームの少なくとも対向する2面を用いて基板の熱を放熱する手段」の一例に相当する。
なお、上記で説明したフレーム6の構成は、あくまで一例であり、フレーム6は、基板5a〜5eを収容可能な構成であれば、上記以外の構成であってもよい。例えば、放熱板部61a,61bの一方又は両方をフレーム筐体部60に着脱不能(フレーム筐体部60と一体の場合も含む)としてもよい。また、フレーム6は、放熱板部61a,61bのうち一方のみ備えてもよい。あるいは、フレーム6は、放熱板部61a,61bの両方を備えなくてもよい。また、フレームカバー部63が放熱する基板5は、基板5c,5dの両方に限定されるものではなく、基板5cのみ又は基板5dのみであってもよい。また、フレームカバー部63は、基板5c,5dに加え又は代え、基板5bの熱を放熱してもよい。また、フレームカバー部63は、基板5が固定される延設部を複数備えてもよい。
(2−3.ガイド部材の構成の例)
図3及び図4に示すように、ガイド部材8a,8bは、上記フレーム筐体部60の内側に固定されている。具体的には、ガイド部材8a,8bは、それぞれフレーム筐体部60の上面部の内面及び下面部の内面の対応する位置に固定されている。ガイド部材8a,8bの対向面の対応する複数(この例では4つ)の位置には、溝81,82,83,84(「凹部」の一例に相当)が軸心AX方向に沿って(例えば軸心AX方向と平行に)形成されている。
溝81は、ガイド部材8a,8bの対向面の右端部に形成されている。溝82は、ガイド部材8a,8bの対向面における溝81の左側に所定距離を空けて形成されている。溝83は、ガイド部材8a,8bの対向面における溝82の左側に所定距離を空けて形成されている。溝84は、ガイド部材8a,8bの対向面における溝83の左側に所定距離を空けて、つまりガイド部材8a,8bの対向面の左端部に形成されている。ガイド部材8a,8bの溝81,81、溝82,82、溝83,83、溝84,84には、それぞれ上記ゲート基板5bの上下両端部、電源基板5cの上下両端部、DC入力基板5dの上下両端部、制御基板5eの上下両端部が嵌合されている。このようにゲート基板5b、電源基板5c、DC入力基板5d、制御基板5eを固定することで、ねじを用いずに固定することができる。
なお、上記で説明したガイド部材8a,8bの構成は、あくまで一例であり、ガイド部材は、基板5が嵌合される凹部が軸心AX方向に沿って形成された構成であれば、上記以外の構成であってもよい。例えば、ガイド部材に形成される、基板5が嵌合される凹部は、溝(スリット)に限定されるものではなく、他の形状の凹部(例えば段差等)であってもよい。また、ガイド部材の個数・形状は、上記個数・形状に限定されるものではなく、他の個数・形状であってもよい。また、ガイド部材を用いずに複数の基板5をフレーム6内に固定してもよく、この際、フレーム6の内面に軸心AX方向に沿って複数の凹部(例えば溝や段差等)を形成し、当該複数の凹部に複数の基板5を嵌合してもよい。
(2−4.基板の放熱性を高める構成の例)
図1及び図4に示すように、パワー基板5aは、上記ピン端子Pがゲート基板5bに取り付けられ、上記放熱板部61aの先端面67aの近傍に配置されている。パワー基板5aの上記先端面67aとは反対側に位置する左表面51(「第1表面」の一例に相当)には、比較的発熱量の大きな電子部品である上記複数のスイッチング素子SWが配置されている。放熱板部61aの先端面67aとパワー基板5aの当該先端面67a側に位置する右表面52(「第2表面」の一例に相当)との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9a(「熱伝導部材」の一例に相当)が配置されている。なお、図2及び図3中では、熱伝導性シート9aの図示を省略している。パワー基板5aは、熱伝導性シート9aを介して放熱板部61aの先端面67aに接触しており、放熱板部61aは、熱伝導性シート9aを介して伝熱されるパワー基板5aの熱を放熱する。
(2−4−1.パワー基板の放熱性を高める構成の具体例)
以下、図6を参照しつつ、パワー基板5aの放熱性を高める構成の具体例について説明する。
図6に示すように、パワー基板5aは、両面基板であり、左表面51及び右表面52には、それぞれ部品が配置されている。
パワー基板5aの左表面51には、上記スイッチング素子SWが搭載されたスイッチ基板53や、当該パワー基板5aの厚み方向の寸法が比較的大きい部品10a2(以下適宜「高背部品10a2」という)が配置されている。すなわち、パワー基板5aと上記放熱板部61aとは、スイッチング素子SWに対し同一方向側(右側)に配置されている。
スイッチング素子SWは、ICチップがパッケージに封入されずそのままパワー基板5aに実装されている。すなわち、スイッチング素子SWは、パワー基板5aにベアチップ実装されている。スイッチ基板53は、例えばセラミック等の熱伝導性の高い材質で構成されている。スイッチ基板53には、スイッチング素子SWへの電力供給のためのボンディングワイヤWが設けられている。
パワー基板5aの左表面51側に配置されたスイッチ基板53、スイッチング素子SW、ボンディングワイヤW、高背部品10a2等は、樹脂59により封止されている。
パワー基板5aの右表面52には、当該パワー基板5aの厚み方向の寸法が比較的小さい、具体的には上記熱伝導性シート9aよりも小さい部品10a1(以下適宜「低背部品10a1」という)が配置されている。低背部品10a1は、パワー基板5aの右表面52のスイッチ基板53に対応する領域以外の領域に配置され、熱伝導性シート9aにより被覆されている。
パワー基板5aのスイッチ基板53に対応する領域には、複数のサーマルビア54が形成されている。サーマルビア54は、パワー基板5aに形成された貫通孔55に、例えば銅等の熱伝導性を有する熱伝導性材料56が充填されることで構成されている(図6中の部分拡大図参照)。パワー基板5aのサーマルビア54形成部分は、当該パワー基板5aの厚み方向の熱抵抗が他の部分よりも小さくなっている。
上記熱伝導性シート9aは、放熱板部61aの先端面67aとパワー基板5aの右表面52との間に、当該右表面52の少なくともスイッチ基板53に対応する領域(この例では右表面52の略全域)に接触するように配置されている。したがって、スイッチング素子SWの熱は、スイッチ基板53、パワー基板5a、及び熱伝導性シート9aを介して放熱板部61aに伝熱され、放熱板部61aにより放熱される。具体的には、熱伝導性シート9aは、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。この例では、熱伝導性シート9aは、添加するフィラーの配向が調整されることで、面方向の熱伝導率が厚み方向よりも高い異方性を有する。このような熱伝導性シート9aを用いることで、スイッチング素子SWの熱をスイッチ基板53の対応する領域から面方向に拡散させ(図6中の部分拡大図に示す太線矢印を参照)、効率良く放熱板部61aに伝熱させることができる。また、例えば放熱板部61aによる放熱性を高める場合等には、放熱板部61aの外面にフィン等を設けてもよい。
なお、サーマルビア54及び熱伝導性シート9aは、「電子部品の熱を第1基板を介してフレームに伝熱する手段」の一例に相当する。
なお、上記で説明したパワー基板5aの放熱性を高める構成は、あくまで一例であり、パワー基板5aは、上記以外の構成により放熱性が確保されてもよい。例えば、パワー基板5aにサーマルビア54を形成するのに加え又は代え、パワー基板5aを例えばセラミック等の熱伝導性の高い材料で構成したり、パワー基板5aの内部に金属板を作り込む(メタルコア)又は貼り合わせる(メタルベース)等してもよい。また、熱伝導性シート9aとして、熱伝導率に異方性を有していない樹脂製又は非樹脂製のシートを用いてもよい。
また、上記ではスイッチング素子SWのICチップをベアチップ実装したが、スイッチング素子SWのICチップを例えばQFN品等のような表面実装パッケージ品としてもよい。また、スイッチング素子SWを構成するICチップのパッケージを放熱面と端子面とが同一方向となるように構成してもよく、この場合、パッケージのサイズを小型化できる。
図1、図3、及び図4に示すように、制御基板5eは、上下両端部が上記ガイド部材8a,8bの溝84,84に嵌合され、上記放熱板部61bの先端面67bの近傍に配置されている。制御基板5eの上記先端面67b側に位置する左表面には、例えば発熱量が上記スイッチング素子SWよりも小さい複数の電子部品10eが配置されている。放熱板部61bの先端面67bと制御基板5eの左表面との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9d(「熱伝導部材」の一例に相当)が配置されている。なお、図2及び図3中では、熱伝導性シート9dの図示を省略している。熱伝導性シート9dは、上記熱伝導性シート9aと同様、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。制御基板5eの電子部品10eは、熱伝導性シート9dを介して放熱板部61bの先端面67bに接触しており、放熱板部61bは、熱伝導性シート9dを介して伝熱される電子部品10eの熱を放熱する。
ゲート基板5bは、上記ピン端子Pを介してパワー基板5aと固定されると共に、上下両端部が上記ガイド部材8a,8bの溝81,81に嵌合され、パワー基板5aの近傍に配置されている。ゲート基板5bのパワー基板5aと反対側に位置する左表面には、例えば発熱量が小さい電子部品10bが配置されている。ゲート基板5bの電子部品10b等は、樹脂(図示せず)により封止されている。
電源基板5cは、上下両端部が上記ガイド部材8a,8bの溝82,82に嵌合され、上記フレームカバー部63の延設部65の右表面の近傍に配置されている。電源基板5cの上記延設部65の右表面側に位置する左表面には、例えば発熱量が上記スイッチング素子SWよりも小さい電子部品10cが配置されている。延設部65の右表面と電源基板5cの左表面との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9b(「熱伝導部材」の一例に相当)が配置されている。なお、図2中では、熱伝導性シート9bの図示を省略している。熱伝導性シート9bは、上記熱伝導性シート9aと同様、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。電源基板5cの電子部品10cは、熱伝導性シート9bを介して延設部65の右表面に接触している。
DC入力基板5dは、上下両端部が上記ガイド部材8a,8bの溝83,83に嵌合され、上記フレームカバー部63の延設部65の左表面の近傍に配置されている。DC入力基板5dの上記延設部65の左表面側に位置する右表面やその反対側である左表面には、例えば発熱量が上記スイッチング素子SWよりも小さい電子部品10dが配置されている。延設部65の左表面とDC入力基板5dの右表面との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9c(「熱伝導部材」の一例に相当)が配置されている。なお、図2中では、熱伝導性シート9cの図示を省略している。熱伝導性シート9cは、上記熱伝導性シート9aと同様、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。DC入力基板5dの右表面側の電子部品10dは、熱伝導性シート9cを介して延設部65の左表面に接触している。
したがって、延設部65には、熱伝導性シート9b,9cを介して電源基板5cやDC入力基板5dの電子部品10c,10dの熱が伝熱される。フレームカバー部63(フレーム壁部64)は、熱伝導性シート9b,9cを介して伝熱される電子部品10c,10dの熱を放熱する。
なお、上記で説明した基板5a〜5eの放熱性を高める構成は、あくまで一例であり、基板5a〜5eは、上記以外の構成により放熱性が確保されてもよい。例えば、熱伝導性シート9a〜9dの一部又は全部に代え、他の熱伝導性部材を用いてもよい。また、アンプ部4は、熱伝導性シート9a〜9dの一部又は全部を備えていなくてもよい。
(2−5.バックボードの構成の例)
図2、図7、及び図8A,Bに示すように、バックボード7は、複数(この例では2つ)のバックボード7a,7b(「中継基板」の一例に相当)が樹脂321により一体的に封止されることでユニット化され、基板ユニット70として構成されている。なお、図1及び図3〜図5中では、基板ユニット70としてではなく、1つの基板状のバックボード7として模式的に図示している。
基板ユニット70は、上記フレーム筐体部60の開口部601に取り付けられ、フレーム筐体部60の前面部に例えば1つのねじS2により固定されている。基板ユニット70の中では、バックボード7a,7bは、バックボード7aが後側、バックボード7bが前側となるように、軸心AX方向に並設されている。
バックボード7aの後表面には、上記コネクタC73が設けられている。また、バックボード7aの例えば前表面には、上記主電源と接続されるコネクタC77が設けられている。すなわち、バックボード7aには、高い電圧系統の動力線が配置されており、バックボード7aは、動力系のバックボードを構成する。
バックボード7bの後表面には、上記コネクタC71,C72,C74,C75が設けられている。また、バックボード7bの前表面には、エンコーダ部3と接続されるコネクタC76が設けられている。すなわち、バックボード7bには、低い電圧系統の信号線が配置されており、バックボード7bは、制御系のバックボードを構成する。
また、バックボード7aには、上記ねじS2が挿通される挿通孔73が形成された固定片部72が設けられている。ねじS2は、基板ユニット70の前側からバックボード7aの挿通孔73に挿通され、フレーム筐体部60の前面部に締結されている。これにより、基板ユニット70は、上記フレーム筐体部60の開口部601に取り付けられ、フレーム筐体部60の前面部に固定されている。この際、上記コネクタC77は、上記フレーム筐体部60の挿入孔606に挿入される。また、アンプ部4が上記エンコーダカバー30の後面部の外面に取り付けられる際、上記コネクタC76等の部品及び上記ねじS2の頭部は、それぞれ上記エンコーダカバー30の挿入孔34及び凹部33に挿入される。
なお、上記で説明したバックボード7の構成は、あくまで一例であり、バックボード7は、基板5a〜5eの少なくとも1枚を電気的に接続可能な構成であれば、上記以外の構成であってもよい。例えば、バックボード7は、複数のバックボードにより構成されるが、複数のバックボードが樹脂71により一体的に封止された構成でなくてもよい。また、バックボード7を1枚のバックボードで構成してもよい。また、基板5a〜5eをバックボード7を用いずに(例えばケーブルやコネクタ等により)電気的に接続してもよい。
<3.モータの製造方法の例>
次に、図9を参照しつつ、モータ1の製造方法の一例について説明する。
図9に示すように、モータ1の製造方法によるモータ1の製造工程(組立工程)では、主工程が実行される前に(又は主工程と並行して)、パワー基板5aとゲート基板5bとの接続工程、及び、基板ユニット70の製造工程が実行される。
パワー基板5aとゲート基板5bとの接続工程では、パワー基板5aのスイッチ基板53、スイッチング素子SW、ボンディングワイヤW、高背部品10a2等が、樹脂59により封止される。また、ゲート基板5bの電子部品10b等が、樹脂により封止される。そして、樹脂封止されたパワー基板5aと樹脂封止されたゲート基板5bとの間にパレットPa1が介在された状態で、パワー基板5aのピン端子Pがゲート基板5bに取り付けられ、例えば半田等により接続(接合)される。これにより、パワー基板5aとゲート基板5bとの結合体が完成する。
また、基板ユニット70の製造工程では、バックボード7a,7bが、例えば半田等により接続(接合)された後、樹脂71により一体的に封止される。これにより、基板ユニット70が完成する。
また、主工程では、フレームカバー部63の延設部65に、熱伝導性シート9bを介して電源基板5cが組み付けられる。また、フレームカバー部63の延設部65に、熱伝導性シート9c及びパレットPa3を介してDC入力基板5dが組み付けられる。その後、電源基板5c及びDC入力基板5dが固定されたフレームカバー部63の延設部65におけるDC入力基板5d側に、パレットPa4を介して制御基板5eが組み付けられる。そして、電源基板5c、DC入力基板5d、及び制御基板5eが固定されたフレームカバー部63の延設部65における電源基板5c側に、パレットPa2を介して上記パワー基板5aとゲート基板5bとの結合体におけるゲート基板5b側が組み付けられる。以上により、フレームカバー部63の延設部65に、基板5a〜5eが並設された状態で固定される。
その後、フレームカバー部63の延設部65、及び、延設部65に固定された基板5a〜5eが、開口部602から軸心AX方向に沿ってフレーム筐体部60に挿入される。この際、延設部65及び各基板5a〜5eは、ゲート基板5b、電源基板5c、DC入力基板5d、制御基板5eの各々の上下両端部がフレーム筐体部60内のガイド部材8a,8bの溝81〜84にそれぞれ嵌合されるように挿入される。
そして、基板ユニット70が、バックボード7a,7bの各コネクタがフレーム筐体部60内のゲート基板5b、電源基板5c、DC入力基板5d、及び制御基板5eの対応する各コネクタと接続されるように、フレーム筐体部60の開口部601に組み付けられる。
その後、放熱板部61aが、嵌合部66aの先端面67aが熱伝導性シート9aを介してフレーム筐体部60内のパワー基板5aに接触されるように、フレーム筐体部60の右面部の外面(開口部604)に組み付けられる。また、放熱板部61bが、嵌合部66bの先端面67bが熱伝導性シート9dを介してフレーム筐体部60内の制御基板5eの電子部品10eに接触されるように、フレーム筐体部60の左面部の外面(開口部603)に組み付けられる。これにより、アンプ部4が完成する。
そして、アンプ部4がエンコーダ部3のエンコーダカバー30の反負荷側の外面に組み付けられる。これにより、モータ部2、エンコーダ部3、及びアンプ部4を有するモータ1が完成する。
上記で説明したモータ1の製造方法による各工程は、1つ以上の製造装置により自動的に実行される。但し、当該各工程の一部は、人手により実行されてもよい。
また、上記で説明したモータ1の製造方法によるモータ1の製造工程は、あくまで一例であり、モータ1の製造工程は、上記で説明した順序に沿って時系列的に行われる工程はもちろん、必ずしも時系列的に実行されなくても、並列的に又は個別的に実行される工程をも含む。また、時系列的に実行される工程でも、場合によっては適宜順序を変更することが可能である。また、上記では、パワー基板5aを、フレームカバー部63の延設部65に固定した状態でフレーム筐体部60に挿入したが、放熱板部61aに熱伝導性シート9aを介して組み付けた状態でフレーム筐体部60に挿入してもよい。
<4.第1実施形態による効果の例>
以上説明したように、本実施形態のモータ1は、モータ部2とアンプ部4とを備えたアンプ一体型のモータである。
このようなモータ1において、仮に、アンプ部4の基板5a〜5eをそれらの面方向が軸心AX方向に垂直となるように配置した場合、モータ部2とは反対側の端部に配置された基板5については放熱性が良いが、内側に配置されたその他の基板5については放熱性が低くなり、熱がアンプ部4内にこもりやすい。また、モータ1を径方向に小型化する場合の放熱面積への影響が大きいので、放熱性の面で小型化が制約される可能性がある。
本実施形態では、アンプ部4の基板5a〜5eは、それらの面方向が軸心AX方向に沿うように配置される。すなわち、モータ1の組立時に、アンプ部4の基板5a〜5eをフレーム筐体部60に軸心AX方向に沿って挿入することで、組み立てられたモータ1のアンプ部4では、基板5a〜5eはそれらの面方向が軸心AX方向に沿うように並設されることとなる。これにより、少なくとも両端に配置された基板5a,5eについて放熱性を良くすることができるので、アンプ部4の放熱性を高めることができる。また、モータ1を径方向に小型化する場合の放熱面積への影響を少なくできるので、さらなる小型化が可能となる。
また、本実施形態では特に、フレーム6が、パワー基板5aの熱を放熱する放熱板部61aと、制御基板5eの熱を放熱する放熱板部61bとを有する。これにより、基板5a,5eの熱をフレーム6(の放熱板部61a,61b)に伝熱させて効率的に放熱できるので、アンプ部4の放熱性を高めることができる。
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、基板5a,5eの部品面には、複数の電子部品が実装されている。このとき、各電子部品の高さの相違によって、基板5a,5eの部品面には、凹凸が生じる。そこで、パワー基板5aと放熱板部61aとの間、制御基板5eと放熱板部61bとの間に熱伝導性シート9a,9dを設けることにより、上記電子部品による凹凸を吸収し、基板5a,5eの電子部品と放熱板部61a,61bとの熱的な接触面積を増大することができる。したがって、基板5a,5eの放熱性を高めることができる。また、本実施形態のように、熱伝導部材として、熱伝導に異方性を持たせた熱伝導性シート9a,9dを用いることで、基板5a,5eから放熱板部61a,61bへの熱伝導率を高め、放熱性をさらに高めることが可能となる。
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。すなわち、仮に、放熱板部61a,61bとフレーム筐体部60とを一体構造とした場合、基板5a,5eをフレーム6に対し軸心AX方向に挿抜する構造上、パワー基板5aと放熱板部61aとの間及び制御基板5eと放熱板部61bとの間に隙間を設ける等が必要となり、基板5a,5eと放熱板部61a,61bとの熱的な接触面積の減少を招く可能性がある。本実施形態では、放熱板部61a,61bをフレーム筐体部60に対し着脱可能な構成とするので、基板5a,5eをフレーム筐体部60に収容した後で放熱板部61a,61bをフレーム筐体部60に取り付けることができる。これにより、基板5a,5eと放熱板部61a,61bとの熱的な接触面積を確保することが可能となり、放熱性を高めることができる。
また、本実施形態では特に、フレームカバー部63が、基板5c,5dの熱を放熱する。基板5が3枚以上の場合、両端を除く中間位置に配置された基板5c,5dの熱は放熱しにくく、アンプ部4内にこもりやすい。本実施形態では、基板5c,5dの熱をフレームカバー部63を介してモータ部2とは反対側に放熱することができるので、アンプ部4の放熱性をさらに高めることができる。
また、本実施形態では特に、フレームカバー部63に、基板5a〜5eが並設された状態で固定される。これにより、基板5a〜5eの固定構造を堅固にできる。また、モータ1の組立作業時に、フレームカバー部63をモータ部2とは反対側からアンプ部4に装着することで、基板5a〜5eを一度に取り付けることができるので、モータ1の組立作業を容易化できる。また、基板5a〜5eをフレームカバー部63に固定する際に、樹脂製のパレットPa1〜Pa4等を介して基板5a〜5eを積層させることで、必要な基板間距離(絶縁距離)を確保することが可能となる。また、基板5a〜5eをフレームカバー部63に固定する際に、必要な基板間のコネクタ接続等を予め行っておくことで、その後の組立作業を容易化することが可能である。
また、本実施形態では特に、フレームカバー部63が、フレーム6のモータ部2とは反対側の壁部を構成するフレーム壁部64と、フレーム筐体部60内においてフレーム壁部64から軸心AX方向に沿って延設され、基板5a〜5eが固定される延設部65とを有する。これにより、フレーム6の一部であるフレーム壁部64を、基板5c,5dの放熱部材及び固定部材として活用することができる。したがって、アンプ部4の放熱性を高めることができると共に、部品の削減やモータ1の小型化が可能となる。
また、本実施形態では特に、バックボード7を用いて基板5b〜5e間の接続を行う。これにより、アンプ部4内の省配線化が可能となる。
また、本実施形態では特に、バックボード7が、軸心AX方向に並設されたバックボード7a,7bが樹脂71により一体的に封止された構成である。これにより、バックボード7を、動力系のバックボードと制御系のバックボードとに分離した構成とすることが可能となる。その結果、高い電圧系統の動力線と低い電圧系統の信号線とが1つのバックボード上に混在するのを回避でき、絶縁またはノイズ等に対する信頼性を向上できる。また、バックボード7a,7bを一体的に樹脂封止することでユニット化でき、組立作業性を向上できる。
また、本実施形態では特に、アンプ部4が、フレーム筐体部60の内側に配置され、基板5b〜5eが嵌合される溝81〜84が軸心AX方向に沿って形成されたガイド部材8a,8bを有する。ガイド部材8a,8bの溝81〜84により、基板5a〜5eをフレーム筐体部60に挿抜する際に基板5b〜5eが軸心AX方向に案内されるので、基板5a〜5eの挿抜作業が容易となる。また、ガイド部材8a,8bの溝81〜84により基板5b〜5eの間隔を固定(位置決め)できるので、必要な基板間距離(絶縁距離)を確保することができる。
また、本実施形態では特に、基板5a〜5eは、当該基板5a〜5eの端部に配置され、インバータ回路50aを構成するスイッチング素子SWを備えたパワー基板5aを含む。これにより、比較的発熱量の大きいパワー基板5aの放熱性を確保できる。
また、本実施形態では特に、基板5a〜5eは、当該基板5a〜5eのパワー基板5aとは反対側の端部に配置され、制御回路50eを備えた制御基板5eを含む。これにより、制御基板5eをパワー基板5aから離間させてノイズの影響を低減することができる。また、制御基板5e(のCPUやASIC等による熱)の放熱性を確保できる。
また、本実施形態では特に、次のような効果を得ることができる。
以下、図10に、比較例の構成を示す。図10に示す比較例では、スイッチング素子SWが搭載されたスイッチ基板53は、熱伝導性を有するベースBを介してヒートシンク100(「本実施形態の放熱板部61a」に相当)に取り付けられている。スイッチング素子SWのICチップは、パッケージ57に封入されている。また、スイッチ基板53は、ヒートシンク100とは反対側に位置するパワー基板5aにピン端子58により接続されている。
本実施形態では、スイッチング素子SWに対してパワー基板5aと放熱板部61aとが同一方向側に配置される。これにより、本実施形態のようにスイッチング素子SWのICチップをパッケージに封入せずにそのままパワー基板5aに実装するベアチップ実装が可能となる。したがって、スイッチング素子SWを小型化できる。さらに、上記比較例の構成の場合、ヒートシンク100とパワー基板5aとの間にスイッチング素子SWの高さ分の無駄な空間が必要となる。本実施形態では、放熱板部61aとパワー基板5aとの間に熱伝導性シート9aが配置され、スイッチング素子SWは配置されないので、上記無駄な空間を少なくできる。以上により、アンプ部4の小型化を実現できる。
また、本実施形態では、パワー基板5aと放熱板部61aの先端面67aとの間に、パワー基板5aの右表面52の少なくともスイッチング素子SWに対応する領域に接触する熱伝導性シート9aが配置されるので、スイッチング素子SWの熱をパワー基板5aから放熱板部61aに効率良く伝熱できる。したがって、アンプ部4の放熱性を確保できる。
また、本実施形態では特に、パワー基板5aのスイッチング素子SWに対応する領域には、貫通孔55内に熱伝導性材料56が充填されたサーマルビア54が形成される。これにより、サーマルビア54形成部分ではパワー基板5aの厚み方向の熱抵抗を小さくできるので、スイッチング素子SWの熱を熱伝導性シート9aに効率的に伝熱できる。したがって、アンプ部4の放熱性を高めることができる。
また、本実施形態では特に、熱伝導性シート9aとして、熱伝導率に異方性を有する樹脂シートを用いる。この際、本実施形態のように面方向の熱伝導率が厚み方向よりも高い異方性を有する樹脂シートである熱伝導性シート9aを用いることで、スイッチング素子SWの熱をパワー基板5aのスイッチング素子SWに対応する領域から面方向に拡散させて、さらに効率良く放熱板部61aに伝熱させることが可能となる。したがって、アンプ部4の放熱性をさらに高めることができる。また、樹脂製の熱伝導性シート9aを用いることでパワー基板5aと放熱板部61aとの絶縁を確保できると共に、金属同士の接合を少なくできるので半田の使用量を低減できる。
また、本実施形態では特に、パワー基板5aの右表面52には、パワー基板5aの厚み方向の寸法が熱伝導性シート9aよりも小さい低背部品10a1が配置される。これにより、右表面52に配置された低背部品10a1が熱伝導性シート9aにより被覆される構造となるので、熱伝導性シート9aと放熱板部61aの先端面67aとの熱的な接触面積を増大でき、アンプ部4の放熱性をさらに高めることができる。また、パワー基板5aの右表面52にパワー基板5aの厚み方向の寸法が比較的小さい低背部品10a1を配置し、左表面51に上記寸法が比較的大きい高背部品10a2をスイッチング素子SWと共に配置することで、パワー基板5aを放熱板部61aの先端面67aに近接配置することができる。したがって、さらなる小型化を実現できる。
また、本実施形態では特に、スイッチング素子SWが搭載されたスイッチ基板53がパワー基板5aの左表面51に配置される。そして、熱伝導性シート9aがパワー基板5aの右表面52の少なくともスイッチ基板53に対応する領域に接触するように配置される。これにより、スイッチング素子SWの熱をスイッチ基板53からパワー基板5aを介して放熱板部61aに効率良く伝熱できる。また、スイッチ基板53を、本実施形態のようにセラミック等の熱伝導性の高い材質で構成することで、放熱性をさらに高めることが可能である。
なお、上記で説明した本実施形態による効果及び当該効果を得ることができる構成は、あくまで一例であり、本実施形態による効果及び当該効果を得ることができる構成は、上記内容に限定されるものではない。
<5.第1実施形態の変形例等>
なお、第1実施形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(5−1.フレーム内面の凸部により伝熱する場合)
以下、図11を参照しつつ、本変形例のパワー基板5aの放熱性を高める構成の一例について説明する。
図11に示すように、本変形例の放熱板部61a′(「第1放熱板部」の一例に相当)は、嵌合部66a′の先端面67a′からパワー基板5aに向けて突出した凸部610(「熱伝導部材」の一例に相当)を備える。凸部610は、前述の熱伝導性シート9aに代わり、放熱板部61a′の先端面67a′とパワー基板5aの右表面52との間に、当該右表面52の前述のスイッチ基板53に対応する領域に接触するように配置されている。したがって、スイッチング素子SWの熱は、スイッチ基板53、パワー基板5a、及び凸部610を介して放熱板部61a′に伝熱され、放熱板部61a′により放熱される。
なお、本変形例では、放熱板部61a′、前述の放熱板部61b、及び前述のフレームカバー部63が、「フレームの少なくとも対向する2面を用いて基板の熱を放熱する手段」の一例に相当する。また、前述のサーマルビア54及び凸部610が、「電子部品の熱を第1基板を介してフレームに伝熱する手段」の一例に相当する。
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、放熱板部61a′の先端面67a′からパワー基板5aに向けて突出した凸部610により、スイッチング素子SWの熱をパワー基板5aから放熱板部61a′に効率良く伝熱できる。また、熱伝導部材を別途容易する必要がないので、部品を削減でき、構成を簡素化できる。
(5−2.ガイド部材の段差に基板を嵌合する場合)
以下、図12を参照しつつ、本変形例のガイド部材の構成の一例について説明する。
図12に示すように、本変形例では、フレーム筐体部60の内側に、ガイド部材8c,8dが固定されている。ガイド部材8c,8dは、それぞれフレーム筐体部60の右寄りの内面及び左寄りの内面の対応する位置に固定されている。
ガイド部材8cの右表面における上下方向中央部近傍には、軸心AX方向に沿った溝801が形成されている。溝801には、ゲート基板5bの左表面に配置された電子部品10bやコネクタCb、ゲート基板5bの左側に突出したピン端子Pの先端部等が配置されている。また、ガイド部材8cの右表面における溝801の上下両縁部には、段差85,85(「凹部」の一例に相当)が軸心AX方向に沿って(例えば軸心AX方向と平行に)形成されている。段差85,85には、ゲート基板5bが嵌合されている。
ガイド部材8cの左表面における上下方向中央部近傍には、軸心AX方向に沿った溝802が形成されている。また、ガイド部材8cの左表面における溝801の上下両縁部には、段差86,86(「凹部」の一例に相当)が軸心AX方向に沿って(例えば軸心AX方向と平行に)形成されている。段差86,86には、電源基板5cが嵌合されている。
ガイド部材8dの右表面における上下方向中央部近傍には、軸心AX方向に沿った溝803が形成されている。溝803には、DC入力基板5dの左表面に配置された電子部品10d等が配置されている。また、ガイド部材8dの右表面における溝803の上下両縁部には、段差87,87(「凹部」の一例に相当)が軸心AX方向に沿って(例えば軸心AX方向と平行に)形成されている。段差87,87には、DC入力基板5dが嵌合されている。
ガイド部材8dの左表面における上下方向中央部近傍には、軸心AX方向に沿った溝804が形成されている。溝804には、制御基板5eの右表面に配置されたコネクタCe等が配置されている。また、ガイド部材8dの左表面における溝804の上下両縁部には、段差88,88(「凹部」の一例に相当)が軸心AX方向に沿って(例えば軸心AX方向と平行に)形成されている。段差88,88には、制御基板5eが嵌合されている。
本変形例においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。すなわち、本変形例によれば、基板5a〜5eをフレーム筐体部60に挿抜する際に、ガイド部材8c,8dの段差85〜88により基板5b〜5eが軸心AX方向に案内されるので、基板5a〜5eの挿抜作業が容易となる。また、ガイド部材8c,8dの段差85〜88により基板5b〜5eの間隔を固定できるので、必要な基板間距離を確保することができる。
(5−3.コネクタにより基板同士を直接的に電気的に接続する場合)
以下、図13を参照しつつ、本変形例の基板5a〜5e・バックボードの接続関係の一例について説明する。
図13に示すように、本変形例では、DC入力基板5dには、3つのコネクタCd1,Cd2,Cd3が設けられている。パワー基板5aは、上記第1実施形態と同様、電力ケーブルEC2を介してDC入力基板5dと接続されると共に、電力ケーブルEC1を介して前述のモータ部2と接続されている。また、パワー基板5aには、コネクタCaが設けられている。ゲート基板5bには、3つのコネクタCb,Cc2,Cb3が設けられている。制御基板5eには、コネクタCeが設けられている。電源基板5cには、3つのコネクタCc,Cc2,Cc3が設けられている。
また、本変形例のバックボード7′には、コネクタC71,C72,C73,C74,C75を含む複数のコネクタが設けられている。
そして、パワー基板5a及びゲート基板5bは、上記第1実施形態と同様、前述のピン端子Pを介して機械的及び電気的に接続されている。
また、ゲート基板5bは、上記コネクタCbがバックボード7′のコネクタC71と接続されており、電源基板5cは、上記コネクタCcがバックボード7′のコネクタC72と接続されており、DC入力基板5dは、上記コネクタCd1,Cd2がそれぞれバックボード7′のコネクタC73,C74と接続されており、制御基板5eは、上記コネクタCeがバックボード7′のコネクタC75と接続されている。また、前述のエンコーダ部3は、バックボード7′と電気的に接続されている。これにより、ゲート基板5b及び制御基板5e、電源基板5c及び制御基板5e、DC入力基板5d及び主電源、DC入力基板5d及び制御基板5e、エンコーダ部3及び制御基板5eが、それぞれバックボード7′を介して電気的に接続されている。
さらに、パワー基板5aは、上記コネクタCaがゲート基板5bの上記コネクタCb2と接続されており、ゲート基板5bは、上記コネクタCb3が電源基板5cの上記コネクタCc2と接続されており、電源基板5cは、上記コネクタCc3がDC入力基板5dの上記コネクタCd3と接続されている。これにより、パワー基板5a及びゲート基板5b、ゲート基板5b及び電源基板5c、電源基板5c及びDC入力基板5dが、それぞれコネクタCa,Cb2、コネクタCb3,Cc2、コネクタCc3,Cd3により直接的に電気的に接続されている。
なお、コネクタCa,Cb2,Cb3,Cc2,Cc3,Cd3は、「複数の基板同士を電気的に接続するコネクタ」の一例に相当する。
なお、上記で説明した基板5a〜5e・バックボード7′の接続関係は、あくまで一例であり、基板5a〜5e・バックボード7′の接続関係は、上記以外の内容であってもよい。例えば、上記では、ゲート基板5b及び制御基板5e、電源基板5c及び制御基板5e、DC入力基板5d及び主電源、DC入力基板5d及び制御基板5e、エンコーダ部3及び制御基板5eを、それぞれバックボード7′を介して電気的に接続したが、これらの一部又は全部をコネクタにより直接的に電気的に接続してもよい。また、上記では、パワー基板5a及びゲート基板5b、ゲート基板5b及び電源基板5c、電源基板5c及びDC入力基板5dを、それぞれコネクタCa,Cb2、コネクタCb3,Cc2、コネクタCc3,Cd3により直接的に電気的に接続したが、これらの一部又は全部をバックボードを介して電気的に接続してもよい。
本変形例においても、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本変形例では、コネクタCa,Cb2を用いて基板5a,5b間の直接接続を行い、コネクタCb3,Cc2を用いて基板5b,5c間の直接接続を行い、コネクタCc3,Cd3を用いて基板5c,5d間の直接接続を行う。これにより、アンプ部4内のさらなる省配線化が可能となる。
<第2実施形態>
<6.モータの概略構成の例>
図14〜図16を参照しつつ、第2実施形態のモータの概略構成の一例について説明する。なお、図14〜図16において図1〜図4等と同様の構成については同一の符号を付して、適宜説明を省略又は簡略化する。
図14に示すように、本実施形態のモータ1Aは、モータ部2と、エンコーダ部3と、アンプ部4Aとを有する、アンプ一体型のエンコーダ付きモータである。本実施形態のモータ1Aは、アンプ部4Aの構成が、後述するように、上記第1実施形態のモータ1のアンプ部4と異なる。その他の構成は、上記第1実施形態のモータ1と同様である。
<7.アンプ部の構成の例>
次に、図14〜図16を参照しつつ、アンプ部4Aの構成の一例について説明する。また、必要に応じてモータ部2やエンコーダ部3の構成の一例についても適宜説明する。なお、各図中では、アンプ部4Aの構成要素の図示を適宜省略している。
図15に示すように、アンプ部4Aは、エンコーダ部3が備えるエンコーダカバー30の反負荷側(後側)の外面に例えば4つのねじS1により固定されている。アンプ部4Aは、主電源(図示せず)から入力される直流電力を交流電力(この例では3相交流電力)に変換し、モータ部2に供給する。
図14〜図16に示すように、アンプ部4Aは、複数(この例では5つ)の上記基板5a,5b,5c,5d,5eと、基板5b〜5eを電気的に接続し、データバスを構成する上記バックボード7と、複数の基板5a〜5eを収容するフレーム6Aとを有する。
(7−1.フレームの構成の例)
図14〜図16に示すように、フレーム6Aは、例えば略H型形状(Hを左右方向に横倒しにした形状)のフレーム部60Aと、略長方形板状の2つの放熱性を有する上記放熱板部61a,61bと、略四角形状の放熱性を有するフレーム壁部64Aとを有する。フレーム部60Aには、上記基板5a〜5eが並列された状態で収容されている。
フレーム部60Aは、受熱部170と、2つの放熱部162,164とを有する。受熱部170は、上下方向に立設されており、軸心AX方向に沿った平板状の部材である。放熱部162は、受熱部170の上端に左右方向略中央部が接続された平板状の部材である。放熱部164は、受熱部170の下端に左右方向略中央部が接続された平板状の部材である。2つの放熱部162,164は、受熱部170を挟んで対向配置されている。受熱部170は、複数の基板5a〜5eの間、この例では基板5c,5dの間に当該基板の面方向に沿って配置され、基板5c,5dの熱を受ける。受熱部170の上端に接続された放熱部162は、フレーム6Aの上側の外壁を構成し、受熱部170の下端に接続された放熱部164は、フレーム6Aの下側の外壁を構成する。これら受熱部170及び放熱部162,164は、アルミ等の放熱性を有する材料で例えば押出し材により一体に形成されている。
図15に示すように、放熱部162,164は、受熱部170の前端部よりも前方に延出されており、放熱部162,164間の受熱部170の前方側に基板ユニット70を組み付ける空間部180が形成されている。また、放熱部162の左右両端部には、それぞれ放熱板部61aの上端部、放熱板部61bの上端部が取り付けられる取り付け部162aが形成されている。同様に、放熱部164の左右両端部には、それぞれ放熱板部61aの下端部、放熱板部61bの下端部が取り付けられる取り付け部164aが形成されている。また、放熱部162及び放熱部164の前後両端部の左右両端には、例えば略四半円状の鍔部615が設けられている。各鍔部615には、上記ねじS1が挿通される挿通孔605が貫通形成されている。
放熱板部61aは、フレーム部60Aの右側の上・下の取り付け部162a,164aに例えばねじ等(図示省略)により着脱可能に取り付けられ、フレーム6Aの右側の外壁を構成する。放熱板部61aの内面には、フレーム部60Aの取り付け部162a,164aの間に嵌合される例えば凸状の嵌合部66aが形成されている。また、放熱板部61aの内面、具体的には嵌合部66aの先端面67aの近傍には、上記パワー基板5aが配置されており、放熱板部61aは、伝熱されるパワー基板5aの熱を放熱する。
放熱板部61bは、フレーム部60Aの左側の上・下の取り付け部162a,164aに例えばねじ等(図示省略)により着脱可能に取り付けられ、フレーム6Aの左側の外壁を構成する。放熱板部61bの内面には、フレーム部60Aの取り付け部162a,164aの間に嵌合される例えば凸状の嵌合部66bが形成されている。また、放熱板部61bの内面、具体的には嵌合部66bの先端面67bの近傍には、上記制御基板5eが配置されており、放熱板部61bは、伝熱される制御基板5eの熱を放熱する。
フレーム壁部64Aは、フレーム部60Aのモータ部2とは反対側(後側)に取り付けられており、フレーム6Aの後側の外壁を構成する。フレーム壁部64Aの例えば四隅には、上記ねじS1が挿通される挿通孔641が貫通形成されている。各ねじS1は、フレーム壁部64Aの後側から挿通孔641及びフレーム部60Aの挿通孔605に挿通され、上記エンコーダカバー30のねじ穴31に締結されている。これにより、フレーム部60Aは、エンコーダカバー30の後側に固定され、フレーム壁部64Aは、フレーム部60Aの後側に固定される。
受熱部170には、上記基板5a〜5eが並設された状態で固定されている。具体的には、パワー基板5aとゲート基板5bとの間、ゲート基板5bと電源基板5cとの間、電源基板5cとDC入力基板5dとの間、DC入力基板5dと制御基板5eとの間には、それぞれスペーサとなる例えば樹脂製のパレットPa1,Pa2,Pa3,Pa4が配置されている。なお、図14、図16中では、パレットPa1〜Pa4の図示を省略している。そして、受熱部170には、基板5a〜5eがパレットPa1〜Pa4を介して積層された状態で固定されている。なお、詳細構造の図示は省略するが、パレットPa3は受熱部170を跨るような形状となっており、電源基板5cとDC入力基板5dの両方に接触して固定される。但し、パレットPa3はこの形状に限定されるものではなく、2種類のパレットPa3に分割しても良い(電源基板5cと受熱部170との間、DC入力基板5dと受熱部170との間の2種類)。受熱部170の左右両側には、電源基板5c及びDC入力基板5dが受熱部170を挟むように配置されており、フレーム部60Aは、特にこれら2枚の基板5c,5dから伝熱される熱を効率的に放熱する(詳細は後述)。
なお、上記で説明したフレーム6Aの構成は、あくまで一例であり、フレーム6Aは、基板5a〜5eを収容可能な構成であれば、上記以外の構成であってもよい。例えば、放熱板部61a,61bの一方又は両方をフレーム部60Aに着脱不能(フレーム部60Aと一体の場合も含む)としてもよい。また、フレーム6Aは、放熱板部61a,61bのうち一方のみ備えてもよい。あるいは、フレーム6Aは、放熱板部61a,61bの両方を備えなくてもよい。また、フレーム部60Aが放熱する基板5は、基板5c,5dの両方に限定されるものではなく、基板5cのみ又は基板5dのみであってもよい。また、フレーム部60Aは、基板5c,5dに加え又は代え、基板5b等の熱を放熱してもよい。また、フレーム部60Aは、基板5が固定される受熱部170を複数備えてもよい。
(7−2.基板の放熱性を高める構成の例)
図14〜図16に示すように、パワー基板5aは、上記パレットPa1,Pa2,Pa3等を介して受熱部170に固定される。パワー基板5aは、上記ピン端子Pがゲート基板5bに取り付けられ、上記放熱板部61aの先端面67aの近傍に配置されている。パワー基板5aの上記先端面67aとは反対側に位置する左表面51には、比較的発熱量の大きな電子部品である上記複数のスイッチング素子SWが配置されている。放熱板部61aの先端面67aとパワー基板5aの当該先端面67a側に位置する右表面52との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9aが配置されている。この熱伝導性シート9aには、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートが用いられている。なお、図15中では、熱伝導性シート9aの図示を省略している。パワー基板5aは、熱伝導性シート9aを介して放熱板部61aの先端面67aに接触しており、放熱板部61aは、熱伝導性シート9aを介して伝熱されるパワー基板5aの熱を放熱する。
制御基板5eは、上記パレットPa4,Pa3等を介して受熱部170に固定され、上記放熱板部61bの先端面67bの近傍に配置されている。制御基板5eの上記先端面67b側に位置する左表面には、例えば発熱量が上記スイッチング素子SWよりも小さい複数の電子部品10eが配置されている。放熱板部61bの先端面67bと制御基板5eの左表面との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9dが配置されている。なお、図15中では、熱伝導性シート9dの図示を省略している。熱伝導性シート9dは、上記熱伝導性シート9aと同様、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。制御基板5eの電子部品10eは、熱伝導性シート9dを介して放熱板部61bの先端面67bに接触しており、放熱板部61bは、熱伝導性シート9dを介して伝熱される電子部品10eの熱を放熱する。
ゲート基板5bは、上記パレットPa2,Pa3等を介して受熱部170に固定される。また、ゲート基板5bは、上記ピン端子P及び上記パレットPa1を介してパワー基板5aと固定され、パワー基板5aの近傍に配置されている。ゲート基板5bのパワー基板5aと反対側に位置する左表面には、例えば発熱量が小さい電子部品10bが配置されている。ゲート基板5bの電子部品10b等は、樹脂(図示せず)により封止されている。
電源基板5cは、上記パレットPa3等を介して受熱部170に固定され、上記フレーム部60Aの受熱部170の右表面の近傍に配置されている。電源基板5cの上記受熱部170の右表面側に位置する左表面には、例えば発熱量が上記スイッチング素子SWよりも小さい電子部品10cが配置されている。受熱部170の右表面と電源基板5cの左表面との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9bが配置されている。なお、図15中では、熱伝導性シート9bの図示を省略している。熱伝導性シート9bは、上記熱伝導性シート9aと同様、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。電源基板5cの電子部品10cは、熱伝導性シート9bを介して受熱部170の右表面に接触している。
DC入力基板5dは、上記パレットPa3等を介して受熱部170に固定され、上記フレーム部60Aの受熱部170の左表面の近傍に配置されている。DC入力基板5dの上記受熱部170の左表面側に位置する右表面やその反対側である左表面には、例えば発熱量が上記スイッチング素子SWよりも小さい電子部品10dが配置されている。受熱部170の左表面とDC入力基板5dの右表面との間には、熱伝導性を有する熱伝導性シート9cが配置されている。なお、図15中では、熱伝導性シート9cの図示を省略している。熱伝導性シート9cは、上記熱伝導性シート9aと同様、熱伝導率に異方性を持たせた樹脂シートである。DC入力基板5dの右表面側の電子部品10dは、熱伝導性シート9cを介して受熱部170の左表面に接触している。
したがって、受熱部170には、熱伝導性シート9b,9cを介して電源基板5cやDC入力基板5dの電子部品10c,10dの熱が伝熱される。フレーム部60Aは、受熱部170に伝熱された電子部品10c,10dの熱を上・下の放熱部162,164に伝熱し、放熱部162,164から放熱する。
<8.モータの製造方法の例>
次に、図17を参照しつつ、モータ1Aの製造方法の一例について説明する。
図17に示すように、本実施形態のモータの製造方法によるモータ1Aの製造工程(組立工程)では、主工程が実行される前に(又は主工程と並行して)、パワー基板5aとゲート基板5bとの接続工程、及び、基板ユニット70の製造工程が実行される。これら主工程以外の部分は、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
主工程では、フレーム部60Aの受熱部170に、熱伝導性シート9b及びパレットPa3を介して電源基板5cが組み付けられる。また、フレーム部60Aの受熱部170に、熱伝導性シート9c及びパレットPa3を介してDC入力基板5dが組み付けられる。但し、パレットPa3が2種類のパレットPa3に分割される場合(電源基板5cと受熱部170との間、DC入力基板5dと受熱部170との間の2種類)も、上記同様に組み付けられる。その後、電源基板5c及びDC入力基板5dが固定された受熱部170におけるDC入力基板5d側に、パレットPa4を介して制御基板5eが組み付けられる。また、電源基板5c、DC入力基板5d、及び制御基板5eが固定された受熱部170における電源基板5c側に、パレットPa2を介して上記パワー基板5aとゲート基板5bとの結合体におけるゲート基板5b側が組み付けられる。以上により、フレーム部60Aの受熱部170に、基板5a〜5eが並設された状態で固定される。
その後、基板ユニット70が、バックボード7a,7bの各コネクタがフレーム部60A内のゲート基板5b、電源基板5c、DC入力基板5d、及び制御基板5eの対応する各コネクタと接続されるように、フレーム部60Aの空間部180内に組み付けられる。
その後、放熱板部61aが、嵌合部66aの先端面67aが熱伝導性シート9aを介してフレーム部60A内のパワー基板5aに接触されるように、フレーム部60Aの右側の取り付け部162a,164aに組み付けられる。また、放熱板部61bが、嵌合部66bの先端面67bが熱伝導性シート9dを介してフレーム部60A内の制御基板5eの電子部品10eに接触されるように、フレーム部60Aの左側の取り付け部162a,164aに組み付けられる。これにより、アンプ部4Aが完成する。
そして、アンプ部4Aがエンコーダ部3のエンコーダカバー30の反負荷側に組み付けられる。これにより、モータ部2、エンコーダ部3、及びアンプ部4Aを有するモータ1Aが完成する。
上記で説明したモータ1Aの製造方法による各工程は、1つ以上の製造装置により自動的に実行される。但し、当該各工程の一部は、人手により実行されてもよい。
また、上記で説明したモータの製造方法によるモータ1Aの製造工程は、あくまで一例であり、モータ1Aの製造工程は、上記で説明した順序に沿って時系列的に行われる工程はもちろん、必ずしも時系列的に実行されなくても、並列的に又は個別的に実行される工程をも含む。また、時系列的に実行される工程でも、場合によっては適宜順序を変更することが可能である。例えば、制御基板5eの組み付けと、パワー基板5a及びゲート基板5bの結合体の組み付けとを、反対の順番で行ってもよい。また、基板ユニット70の組み付けと、放熱板部61a,61bの組み付けとを、反対の順番で行ってもよい。
<9.第2実施形態による効果の例>
以上説明した第2実施形態のモータ1Aによれば、前述の第1実施形態のモータ1と同様の効果の他、さらに以下のような効果を得ることができる。
すなわち、モータ1Aでは、アンプ部4Aは、複数の基板5を収容するフレーム6Aを有し、フレーム6Aは、複数の基板5の間に面方向に沿って配置され、基板5の熱を受ける受熱部170と、受熱部170に接続され、フレーム6Aの外壁を構成する放熱部162,164とを有する。これにより、次の効果を奏する。
すなわち、複数の基板5が3枚以上の場合、特に両端を除く中間位置に配置された基板の熱は放熱しにくく、アンプ部内にこもりやすい。本実施形態では、フレーム6Aが受熱部170と放熱部162,164を有するので、中間位置に配置された基板(この例では基板5c,5d)の熱を受熱部170及び放熱部162,164を介して外部に放熱することができる。したがって、アンプ部4Aの放熱性を高めることができる。
また、本実施形態では特に、フレーム6Aは、受熱部170の両端にそれぞれ接続され、対向して配置された2つの放熱部162,164を有する。これにより、フレーム6Aの外壁のうち少なくとも対向する2面(放熱部162,164)を利用して効率良く放熱することができるので、アンプ部4Aの放熱性をさらに高めることができる。
また、基板5の熱を上下方向(2方向)に伝熱して放熱させるので、第1実施形態のようにアンプ部4の後方(1方向)に伝熱させる場合に比べて伝熱経路を短縮でき、熱抵抗を低減できる。したがって、冷却性能を向上できる。
また、本実施形態では特に、アンプ部4Aの左右方向における略中央に位置する受熱部170の左右両側に2つの基板5(DC入力基板5dと電源基板5c)を取り付け、その後順番に外側の基板5(制御基板5eと、ゲート基板5b及びパワー基板5a)を取り付けることで、モータ1Aを組み立てる。これにより、第1実施形態のように複数の基板5をフレームカバー部に取り付けた後、基板5を組み付けた状態のフレームカバー部をフレームに挿入する工程が不要となるので、組み立て工程をシンプル化でき、モータ1Aの生産性を向上できる。
<10.第2実施形態の変形例等>
なお、第2実施形態は、上記内容に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(10−1.受熱部と放熱部が別体である場合)
以下、図18を参照しつつ、本変形例の構成の一例について説明する。なお、図18において図16と同様の構成については同一の符号を付して、適宜説明を省略又は簡略化する。
図18に示すように、本変形例のアンプ部4Bのフレーム6Bは、フレーム部60Bと上記放熱板部61a,61bとを備える。フレーム部60Bは、受熱部172と、受熱部172とは別体である放熱部162,164とを有する。受熱部172の上下両端には、放熱部162,164の左右方向略中央部の内面がそれぞれ接合されている。本変形例では、熱伝導性の高い接合方法であるかしめ接合が採用されている。但し、かしめ接合以外の接合方法、例えば焼きばめや冷やしばめ、ボルト締めやリベット締め、溶接等による接合としてもよい。受熱部172は、放熱部162,164を構成するアルミ等の材料よりも熱伝導率の高い材料、この例では銅で構成されている。
本変形例によれば、次のような効果を得る。すなわち、上記第2実施形態のように、仮にフレーム6Bの放熱部162,164と受熱部172を一体とした場合、フレーム6Bに熱伝導率の高い材料(銅など)を使用して伝熱性能の向上を図る際に、フレーム6Bの全体にその材料を使用することとなり、コストが増大する。本変形例では、放熱部162,164と受熱部172とが別体である。これにより、受熱部174のみに熱伝導率の高い材料を使用することが可能となり、コストの増大を抑制しつつ伝熱性能を向上することができる。
(10−2.放熱部が四角筒体を半割りにした形状である場合)
以下、図19及び図20を参照しつつ、本変形例の構成の一例について説明する。なお、図19及び図20において図16等と同様の構成については同一の符号を付して、適宜説明を省略又は簡略化する。
図19及び図20に示すように、本変形例のアンプ部4Cのフレーム6Cは、受熱部174と、2つの放熱部60C1,60C2を有する。放熱部60C1と放熱部60C2は、四角筒体を半割りにした形状(略C型の形状)であり、受熱部174の左右方向両側に向い合せに配置される。放熱部60C1は、上記放熱板部61aと、放熱板部61aの上下両端に右端部が接続された上下2つの板状の放熱部166a,168aとを有する。放熱部60C2は、上記放熱板部61bと、放熱板部61bの上下両端に左端部が接続された上下2つの平板状の放熱部166b,168bとを有する。
図19に示すように、放熱部60C1内には、上記基板5a〜5cが並設された状態で固定されている。放熱部60C2内には、上記基板5d〜5eが並設された状態で図示しない適宜の固定部材により固定されている。なお、図19では、ゲート基板5bをパワー基板5aにピン端子Pとともに固定する上記パレットPa1、電源基板5cを固定する上記パレットPa2、DC入力基板5dを固定する上記パレットPa4を、それぞれ想像線(二点鎖線)で模式的に示す(図20でも同様)。パレットPa1,Pa2により一体的に結合された基板5a,5b,5cは、図示しない適宜の固定部材により放熱部60C1の内部に固定されている。また、パレットPa4により一体的に結合された基板5d,5eは、図示しない適宜の固定部材により放熱部60C2の内部に固定されている。
上記基板5a〜5c等を内部に設置した放熱部60C1及び上記基板5d〜5e等を内側に設置した放熱部60C2は、図20に示すように、受熱部174に対し両側から挟むように取り付けられ、アンプ部4Cが構成される。
以上のように、本変形例では、半割り四角筒状の2つの放熱部60C1,60C2が、受熱部174を挟むように両側から取り付けられる。これにより、受熱部174を小型化且つシンプル構造化できるので、受熱部174に熱伝導率の高い材料を使用し易くなり、コストの増大を抑制しつつ伝熱性能を向上できる。
また、本変形例では、それぞれの内部に基板5が固定された2つの放熱部60C1,60C2を受熱部174の両側に取り付けてモータ1Aを組み立てる。放熱部60C1,60C2が四角筒体を半割りとした形状のため、複数の基板5の固定作業が容易となり、組み立て工程をシンプル化できる。したがって、モータ1Aの生産性を向上できる。
(10−3.放熱部の内部に封止材を充填する場合)
以下、図21及び図22を参照しつつ、本変形例の構成の一例について説明する。なお、図21及び図22において図19及び図20等と同様の構成については同一の符号を付して、適宜説明を省略又は簡略化する。
図21及び図22に示すように、本変形例のアンプ部4Dは、上記(10−2.)の変形例のアンプ部4Cと同様、四角筒体を半割りにした形状の略C型の2つの放熱部60C1,60C2を備えたフレーム6Cを有する。
本変形例では、図21に示すように、放熱部60C1の内部に上記基板5a〜5c等が収容された後、放熱部60C1の内部に樹脂69(封止材の一例)が充填される。これにより、放熱部60C1内の基板5a〜5c等が樹脂69で封止され、放熱部60C1をモジュール化することができる。同様に、放熱部60C2の内部に上記基板5d〜5e等が収容された後、放熱部60C2の内部に樹脂69が充填される。これにより、放熱部60C2内の基板5d〜5e等が樹脂69で封止され、放熱部60C2をモジュール化することができる。なお、各基板5a〜5eは、樹脂69の充填時において金型により保持され、充填後は樹脂69により保持されるので、パレットPa1〜Pa4は、パワー基板5aとゲート基板5bとを固定するパレットPa1を除き不要となる。
図22に示すように、その後、モジュール化された放熱部60C1及び放熱部60C2は、受熱部174に対し両側から挟むように取り付けられ、アンプ部4Dが構成される。
本変形例によれば、樹脂69により各基板5に実装された素子を保護できると共に、各基板5間の絶縁を確保することができる。また、樹脂69は空気よりも伝熱性に優れるので、各基板5の熱を樹脂69を介して放熱部60C1,60C2に伝熱し易くなり、伝熱性を向上できる。また、樹脂69により基板5を強固に固定できるので、基板5間のスペーサであるパレットPa2〜Pa4が不要となり、部品数やコストを低減できる。さらに、樹脂69により2つの放熱部60C1,60C2を基板5と共にそれぞれモジュール化できるので、組み立て工程をシンプル化でき、モータの生産性を向上できる。
(10−4.その他)
以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」等とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」等という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」等とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」等という意味である。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。