JP2011074816A - トラクション制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】トラクション制御によって駆動輪の制御を行いながらも、必要なときには適宜、トラクション制御が制限でき運転者の意思どおりにエンジン駆動力を車両の駆動輪に付与できる安全性の高いトラクション制御装置を提供する。
【解決手段】車両の駆動源から駆動輪FR、FLに伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置において、駆動源から出力される駆動力を制御するために操作されるアクセルの操作量を検知するアクセル操作量検出手段64と、アクセル操作量検出手段64からの出力に基づいてアクセル操作の振動状態を演算するアクセル振動演算手段65と、アクセル振動演算手段65により演算されたアクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御が介入しにくくなるようにトラクション制御の制御内容を変更するトラクション制御変更手段66と、を備える。
【選択図】図3
【解決手段】車両の駆動源から駆動輪FR、FLに伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置において、駆動源から出力される駆動力を制御するために操作されるアクセルの操作量を検知するアクセル操作量検出手段64と、アクセル操作量検出手段64からの出力に基づいてアクセル操作の振動状態を演算するアクセル振動演算手段65と、アクセル振動演算手段65により演算されたアクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御が介入しにくくなるようにトラクション制御の制御内容を変更するトラクション制御変更手段66と、を備える。
【選択図】図3
Description
本発明は、車両の走行時に駆動輪が駆動スリップすることを抑制する車両のトラクション制御装置に関する。
従来、車両の走行時に運転者がアクセルぺダルを踏込み駆動輪がスリップ(空転)して車両の走行安定性が損なわれる可能性があるとき、トラクション制御装置によって駆動輪のスリップが抑制され走行安定性が確保されるものがある。トラクション制御装置は、駆動輪と非駆動輪との車輪速度の差から駆動輪のスリップの発生を検知し、スリップが検知されると運転者の意思に関わらずトラクション制御を行い駆動輪の制動又はエンジン駆動力の抑制等によって駆動輪のスリップを抑制する。
そして特許文献1に示すように、運転者が、例えば駆動輪に大きな駆動力が必要な登り坂等において駆動力を制限するトラクション制御の実行を望まない場合には、アクセルペダルを予め設定された範囲内で踏込み、踏込まれたアクセル操作量と、そのとき発生した駆動輪のスリップ量との関係に応じてトラクション制御量が小さくなるよう変更し、運転者のアクセル操作によってもエンジン駆動力を操作できるよう制御するものがある。これにより駆動輪にスリップが発生しながらも、運転者のアクセル操作によって必要な駆動力が得られ、運転者のアクセル操作とトラクション制御とを合わせた操作によって運転者の意思に近い運転を行なうことができる。
しかしながら、上述の特許文献1においては、運転者のアクセル操作によって必要な駆動力が得られているとき、アクセルペダルは、必要以上に大きく踏み込まれている可能性がある。つまり、本来所望の駆動トルクを得るために踏みこむアクセルペダルの操作量を超えて大きく踏み込まれている虞がある。この状態においてトラクション制御が制限されると、例えばそのとき駆動輪と路面との間のμが非常に小さかった場合は、アクセルペダルが大きく踏み込まれたまま駆動輪は大きく空転し車両が安定性を失するのと同時にエンジンが吹き上がる虞がある。
またアクセルペダルが大きく踏み込まれている状態において、例えば駆動輪と路面との間のμが突然変化し大きな値となり、該状態でトラクション制御が制限されると、駆動輪が突然路面にグリップする。そして回転数が上昇したエンジンによって駆動輪に大きな駆動トルクが付与され、こちらも車両の走行安定性が維持できない虞がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、トラクション制御によって駆動輪の制御を行いながらも、必要なときには適宜、トラクション制御が制限でき運転者の意思どおりにエンジン駆動力を車両の駆動輪に付与できる安全性の高いトラクション制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、車両の駆動源から駆動輪に伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置において、前記駆動源から出力される駆動力を制御するために操作されるアクセルの操作量を検知するアクセル操作量検出手段と、前記アクセル操作量検出手段からの出力に基づいて前記アクセル操作の振動状態を演算するアクセル振動演算手段と、前記アクセル振動演算手段により演算された前記アクセル操作の振動状態が大きいほど前記トラクション制御が介入しにくくなるように前記トラクション制御の制御内容を変更するトラクション制御変更手段と、を備えることである。
上記課題を解決するため、請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記駆動輪の空転率が所定の空転率閾値よりも大きい場合に、前記駆動輪に伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置であって、前記トラクション制御変更手段は、前記アクセル操作の振動状態が大きいほど、前記空転率閾値を高く設定することである。
上記課題を解決するため、請求項3に係る発明の特徴は、請求項1において、前記駆動輪の駆動トルクが所定の駆動トルク閾値よりも大きい場合に、前記駆動輪に伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置であって、前記トラクション制御変更手段は、前記アクセル操作の振動状態が大きいほど、前記駆動トルク閾値を高く設定することである。
上記課題を解決するため、請求項4に係る発明の特徴は、請求項1から3のいずれか1項において、前記アクセル操作の振動状態は、前記アクセル操作の振幅又は振動速度であることである。
請求項1に係る発明によれば、アクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御が介入しにくくなるようにしたので、トラクション制御の制限制御が実行されたとき運転者がアクセルペダルを一定量維持して踏み続けていることはない。これにより、トラクション制御が制限されたときに駆動輪と路面との間のμが非常に小さい、または路面の小さなμが大きなμに突然変化しても、運転者によって車両の安定のためのアクセル操作への移行が容易にでき安全性が確保できる。
請求項2に係る発明によれば、アクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御を開始するための空転率閾値を高く設定する。アクセル操作の振動状態の大小は、運転者の車体速度への不満の大きさと比例すると考えられる。これによりアクセル操作の振動状態が大きいときにはトラクション制御を開始するための空転率閾値を高くしトラクション制御が介入しにくくすることにより運転者の意思により近い制御が提供できる。また、駆動輪の空転率は、現状のトラクション制御が搭載された車両に備えられた車輪速度センサ等によって容易に検出でき、部品の追加もなく簡易に利用でき、低コストに対応できる。
請求項3に係る発明によれば、アクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御を開始するための駆動トルク閾値を高く設定する。アクセル操作の振動状態の大小は、運転者の車体速度への不満の大きさと比例すると考えられる。これによりアクセル操作の振動状態が大きいときにはトラクション制御を開始するための駆動トルク閾値を高くしトラクション制御が介入しにくくすることにより運転者の意思により近い制御が提供できる。また駆動源の駆動トルクは、現状のトラクション制御が搭載された車両に備えられた車輪速度センサ、エンジン回転センサ等によって容易に検出でき、部品の追加もなく簡易に利用でき、低コストに対応できる。
請求項4に係る発明によれば、アクセル操作の振動状態は、アクセル操作の振幅又は振動速度とした。これにより運転者毎に異なる、車両の速度に不満を感じたときのアクセルぺダルの踏み込み特性(操作特性)を幅広くカバーでき、多くの運転者に適切に対応できる。
以下、本発明を具体化した第1の実施形態について図1〜図3に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。また、特に説明がない限り、以下の記載における左右方向は、車両進行方向における左右方向と一致するものとする。
図1に示すように、本実施形態における車両のトラクション制御装置11は、複数(本実施形態では4つ)ある車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)のうち、前輪FR,FLが駆動輪として機能する車両(いわゆる前輪駆動車)に搭載されている。このトラクション制御装置11は、駆動源となるエンジン12で発生した駆動力を前輪FR,FLに伝達する駆動力伝達機構13と、各車輪FL,FR,RL,RRに制動力を付与するための制動力付与機構15とを備えている。また、このトラクション制御装置11は、上記各機構13,15を車両の走行状態に応じて適宜に制御するための電子制御装置(「ECU」ともいう。)16を備えている。なお、本実施形態においてトラクション制御は、駆動源であるエンジン12から駆動輪である前輪FR,FLに伝達される駆動力を、駆動輪の空転率に応じて制限する制御をいう。そして駆動力の制限は駆動輪FR,FLに制動力付与機構15によって制動を付与する、又はエンジン12の駆動トルクを抑制することにより行なう。
駆動力伝達機構13には、吸気管18内の吸気通路18aの開口断面積を可変させるスロットル弁19の開度を制御するためのスロットル弁アクチュエータ(例えばDCモータ)20と、エンジン12の吸気ポート(図示略)近傍に燃料を噴射するインジェクタを有する燃料噴射装置21とが設けられている。また、駆動力伝達機構13には、エンジン12の出力軸に接続されたトランスミッション22と、このトランスミッション22から伝達された駆動力を適宜配分して前輪FL,FRに伝達するディファレンシャルギヤ23とが設けられている。
エンジン12は、運転者の駆動要求に応じたアクセルペダル17での踏込み量(操作量)および電子制御装置16からのエンジン制御信号に基づいて駆動される。具体的には、スロットル弁アクチュエータ20がアクセルペダル17の操作量に応じて制御され、スロットル弁19の開度を調整する。そして所定の条件でトラクション制御が実行されると、アクセルペダル17の操作よりトラクション制御が優先され電子制御装置16からの制御信号に応じてスロットル弁アクチュエータ20が駆動され、スロットル弁19の開度が制御されるようになっている。また、燃料噴射装置21は、電子制御装置16からの制御信号に基づいて駆動され、燃料噴射量を制御するようになっている。このようにして、エンジン12におけるエンジン回転数が制御されるようになっている。
なお、本実施形態においては、1つのスロットル弁19にスロットル弁アクチュエータ20が設けられ、アクセルペダル17によるスロットル弁開閉操作と、トラクション制御によるバルブ開閉制御とを、該スロットル弁19一つで行なっている。しかしこのシステムに限らず、スロットル弁19の、吸気通路18aにおける下流側にメインスロットル弁(図示せず)を設け、メインスロットル弁とアクセルペダル17とをアクセルワイヤ(図示せず)を介して連結しメインスロットル弁をアクセルペダル17の踏込みによって開閉操作してもよい。このときトラクション制御はスロットル弁19、及びスロットル弁アクチュエータ20によって実施し、これによっても同様の効果が得られる。
さらに、駆動力伝達機構13には、アクセルぺダル17の踏込み量(開度)を検出するためのアクセル開度センサSE1と、エンジン12の回転速度を検出するための回転速度センサSE2と、スロットル弁19の開度を検出するためのスロットル弁開度センサSE3とが設けられている。
スロットル弁開度センサSE3は、アイドル域か出力域かを検出すると共に、スロットル弁19のスロットル開度を検出するものである。このスロットル弁19からは、アイドル域か出力域かをオンオフ信号で表したアイドルスイッチ信号と、スロットル弁19のスロットル開度信号が出力され、これら各信号が電子制御装置16に向けて出力されるようになっている。このスロットル弁開度センサSE3のアイドルスイッチ信号に基づき、アクセルペダル17の操作、非操作が検出できるようになっている。
次に、制動力付与機構15について図2に基づき以下説明する。図2に示すように、本実施形態の制動力付与機構15は、マスタシリンダ30及びブースタ31を有するブレーキ液圧発生装置32と、2つの液圧回路33,34を有する液圧制御装置(図2では二点鎖線で示す)35とを備えている。各液圧回路33,34は、ブレーキ液圧発生装置32に接続されると共に、各車輪FR,FL,RR,RLに対応して設けられたホイールシリンダ36a,36b,36c,36dに接続されている。すなわち、右前輪FRにはホイールシリンダ36aが対応すると共に、左前輪FLにはホイールシリンダ36bが対応している。また、右後輪RRにはホイールシリンダ36cが対応すると共に、左後輪RLにはホイールシリンダ36dが対応している。したがって、本実施形態では、前輪FR,FL用のホイールシリンダ36a,36bが、車両の駆動輪(前輪FR,FL)に制動力を付与する制動手段として機能するようになっている。
ブレーキ液圧発生装置32には、ブレーキペダル37が設けられており、このブレーキペダル37が車両の運転者によって踏込み操作されたことに基づき、ブレーキ液圧発生装置32のマスタシリンダ30及びブースタ31が駆動するようになっている。また、マスタシリンダ30には、2つの出力ポート30a,30bが設けられており、各出力ポート30a,30bのうち一方の出力ポート30aには第1液圧回路33が接続されると共に、他方の出力ポート30bには第2液圧回路34が接続されている。さらに、ブレーキ液圧発生装置32には、ブレーキペダル37が操作された際に電子制御装置16に向けて信号を送信するブレーキスイッチSW1が設けられている。
液圧制御装置35には、第1液圧回路33内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ38と、第2液圧回路34内のブレーキ液圧を昇圧するためのポンプ39と、各ポンプ38,39を同時に駆動させるモータMとが設けられている。また、各液圧回路33,34上にはブレーキオイルが貯留されるリザーバ40,41が設けられており、各リザーバ40,41内のブレーキオイルは、ポンプ38,39の駆動に基づき液圧回路33,34内に供給されるようになっている。さらに、各液圧回路33,34には、マスタシリンダ30内のブレーキ液圧を検出するための液圧センサPS1,PS2が設けられている。
第1液圧回路33には、右前輪FRに対応するホイールシリンダ36aに接続されるホイールシリンダ36a用(右前輪FR用)の右前輪用経路33aと、左後輪RLに対応するホイールシリンダ36dに接続されるホイールシリンダ36d用(左後輪RL用)の左後輪用経路33bとが形成されている。そして、これら各経路33a,33b上には、常開型の電磁弁42,43と常閉型の電磁弁44,45とがそれぞれ設けられている。
同様に、第2液圧回路34には、左前輪FLに対応するホイールシリンダ36bに接続されるホイールシリンダ36b用(左前輪FL用)の左前輪用経路34aと、右後輪RRに対応するホイールシリンダ36cに接続されるホイールシリンダ36c用(右後輪RR用)の右後輪用経路34bとが形成されている。そして、これら各経路34a,34b上には、常開型の電磁弁46,47と常閉型の電磁弁48,49とがそれぞれ設けられている。
また、第1液圧回路33において各経路33a,33bに分岐された部位よりもマスタシリンダ30側には、常開型の比例電磁弁50が接続されると共に、この比例電磁弁50と並列関係をなすリリーフ弁51が接続されている。そして、比例電磁弁50とリリーフ弁51とにより比例差圧弁52が構成されている。比例差圧弁52は、電子制御装置16による制御に基づき、比例差圧弁52のマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36a,36d側との間で液圧差(ブレーキ液圧の差)を発生させることができる。なお、この液圧差の最大値は、リリーフ弁51を構成するばね51aの付勢力に基づく値となる。また、第1液圧回路33には、リザーバ40とポンプ38との間からマスタシリンダ30側に向けて分岐された分岐液圧路33cが形成されており、この分岐液圧路33c上には常閉型の電磁弁53が接続されている。
同様に、第2液圧回路34において各経路34a,34bに分岐された部位よりもマスタシリンダ30側には、常開型の比例電磁弁54が接続されると共に、この比例電磁弁54と並列関係をなすリリーフ弁55が接続されている。そして、比例電磁弁54とリリーフ弁55とにより比例差圧弁56が構成されている。比例差圧弁56は、電子制御装置16による制御に基づき、比例差圧弁56のマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36b,36c側との間で液圧差(ブレーキ液圧の差)を発生させることができる。なお、この液圧差の最大値は、リリーフ弁55構成するばね55aの付勢力に基づく値となる。また、第2液圧回路34には、リザーバ41とポンプ39との間からマスタシリンダ30側に向けて分岐された分岐液圧路34cが形成されており、この分岐液圧路34c上には常閉型の電磁弁57が接続されている。
ここで、上記各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが通電状態にある場合及び非通電状態にある場合における各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧の変化について説明する。なお、以下の説明においては、各比例電磁弁50,54が閉じ状態であると共に、分岐液圧路33c,34c上の電磁弁53,57が閉じ状態であるものとする。
まず、各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが全て非通電状態にある場合には、常開型の電磁弁42,43,46,47は開き状態のままであると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49は閉じ状態のままである。そのため、上記ポンプ38,39が駆動している場合には、リザーバ40,41内のブレーキオイルが各経路33a,33b,34a,34bを介して各ホイールシリンダ36a〜36d内に流入し、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧は上昇することになる。
一方、各電磁弁42〜49のソレノイドコイルが全て通電状態にある場合には、常開型の電磁弁42,43,46,47が閉じ状態となると共に、常閉型の電磁弁44,45,48,49が開き状態となる。そのため、各ホイールシリンダ36a〜36d内からブレーキオイルが各経路33a,33b,34a,34bを介してリザーバ40,41へと流出し、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧は降下することになる。
そして、各電磁弁42〜49のうち常開型の電磁弁42,43,46,47のソレノイドコイルのみが通電状態にある場合には、全ての電磁弁42〜49が閉じ状態となる。そのため、各経路33a,33b,34a,34bを介したブレーキオイルの流動が規制される結果、各ホイールシリンダ36a〜36d内のブレーキ液圧はその液圧レベルが保持されることになる。
図1に示すように、電子制御装置16は、CPU60、ROM61、及びRAM62などを備えたデジタルコンピュータと、各装置を駆動させるための駆動回路(図示略)とを主体として構成されている。CPU60はイグニッションスイッチ(図示せず)がオンされている間、ROM61に記憶されたプログラムに従った処理を実行する。
ROM61には、トラクション制御を実行するための制御プログラム、液圧制御装置35(モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の駆動)を制御するための制御プログラムなどが記憶されている。
またROM61には、所定の条件において、トラクション制御に移行するための制御閾値を高くし、トラクション制御が介入しにくくなるよう制御する本発明に係るアクセル操作判定プログラムが記憶されている。該プログラムがCPU60によって実行されると、トラクション制御を開始するための制御閾値Xが変更されトラクション制御が介入しにくくなり、運転者によるアクセルペダル17の操作によってエンジン駆動力が制御できるようになる。また、RAM62は、そのプログラムの実行に必要な変数データ(後述する空転率λに基づく制御閾値Xなど)を一時的に記憶させるものである。
また、電子制御装置16の入力側インターフェース(図示略)には、上記ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、アクセル開度センサSE1、回転速度センサSE2、及びスロットル弁開度センサSE3がそれぞれ接続されている。さらに、入力側インターフェースには、各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE5,SE6,SE7,SE8、がそれぞれ接続されている。すなわち、CPU60は、ブレーキスイッチSW1、液圧センサPS1,PS2、及び上記各種センサSE1〜SE3、SE5〜SE8からの各信号を受信するようになっている。
一方、電子制御装置16の出力側インターフェース(図示略)には、各ポンプ38,39を駆動させるためのモータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54が接続されている。そして、CPU60は、上記スイッチSW1及び各センサPS1,PS2,SE1〜SE3、SE5〜SE8からの入力信号に基づき、モータM、各電磁弁42〜49,53,57及び比例電磁弁50,54の動作を個別に制御するようになっている。
次に、電子制御装置16が車両の走行時に実行するトラクション制御、及び本発明に係るトラクション制御内容を変更するアクセル操作判定プログラムについて図3に示すフローチャートに基づき説明する。アクセル操作判定プログラムは、所定の条件において、トラクション制御に移行するための制御閾値X(本実施形態においては後述の空転率閾値を適用)を変更して高くし、トラクション制御が介入しにくくなるよう制御するものである。
本実施形態においては一部の条件を除いてアクセル操作判定プログラム(ステップS13〜ステップS17)が先に実行され、アクセル操作判定プログラムの結果に基づいてトラクション制御(ステップS19〜ステップS21)が実施される。アクセル操作判定プログラム、及びトラクション制御のフローチャートに示される各処理は、イグニッションスイッチがオンされて電子制御装置16が起動されると実行される。なお、本実施形態において、トラクション制御は駆動輪FR、FLに空転が検出されたときに、制動力付与機構15によって駆動輪FR、FLに制動力を付与し行なうものとする。
まず、ステップS11で、電子制御装置16の初期化がなされ、RAM62に記憶されている各種の演算値がクリアされる。
次にステップS12では、トラクション制御を開始するための制御閾値Xに初期値(例えば5%)が入力される。
ステップS13では、RAM62にアクセル開度センサSE1からの検出信号、車輪速度センサSE5〜SE8からの検出信号、スロットル弁開度センサSE3のアイドルスイッチ信号、アクセル開度信号、及びエンジンの回転速度センサSE2からの検出信号が読み込まれる。
ステップS14では、CPU60によってアクセルペダル17の操作の有無が判定される。判定はスロットル弁開度センサSE3から出力されるアイドルスイッチ信号によって行なわれ、アイドルスイッチ信号がオフであればアクセル操作されているのでステップS15に進み、アイドルスイッチ信号がオンであればアクセル操作はされておらず、ステップS19に進む。
次にステップS15では、ステップS13にて取り込まれたスロットル弁開度センサSE3のスロットル開度信号を所定周期毎に取り込み、振動状態の一の形態であるアクセル操作振幅Saの大きさを算出する(図4参照)。アクセル操作振幅Saは、所定周期毎に取り込んだ全振幅値の平均にて算出するが、算出方法はどのようなものでもよく、例えば振幅の最大値をとってもよいし、振幅の最大値と最小値の平均をとってもよい。図4のA部、C部に示すようにスロットル開度信号が直線又は曲線を示しているときには運転者のアクセル操作はあまり激しくなく通常の操作をしていることを示している。しかし図4のB部に示すようにスロットル開度信号の振幅が激しく振動しているときは、運転者が、現状のエンジン12の出力に不満を感じ、アクセルペダル17を大きく、又は小さく振動させ操作していることを示す。
ステップS16では、ステップS13にて取り込まれたスロットル弁開度センサSE3のスロットル開度信号を所定周期毎に取り込み、振動状態の他の形態であるアクセル操作速度Svを算出する。アクセル操作速度Svは所定周期毎に取り込んだ振動部の各振幅データを微分し、微分値の最大値をとってアクセル操作速度Svとする。アクセル操作速度Svが所定の基準値より大きいときには運転者が、現状のエンジン12の出力に不満を感じ、力強くアクセルペダル17を踏み込み操作していることを示す。なお、本実施形態においてはスロットル弁開度センサSE3のスロットル開度信号によってアクセル操作振幅Sa及びアクセル操作速度Svを算出するが、これに限らずアクセル開度センサSE1からの信号によって算出してもよい。
次にステップS17では、ステップS15、ステップS16にて算出されたアクセル操作振幅Sa、及びアクセル操作速度Svをそれぞれ事前に設定した所定のアクセル操作振幅Sa用基準値a〜e、及びアクセル操作速度Sv用基準値f〜jと比較する。基準値a〜e、f〜jは、事前に実験等によって評価が行なわれ決定される値であり、各種条件に応じて適宜決められる。そしてアクセル操作振幅Sa、及びアクセル操作速度Svのうちいずれか一方もしくは両方の値が各基準値a〜e、f〜jのいずれかよりも大きければ、ステップS18に移行する。基準値a〜e、f〜jよりも大きな値がなければ、Nに従い、ステップS19に進む。
そしてステップS18で、トラクション制御を開始する基準となる制御閾値X(駆動輪FR、FLの空転率λに基づく空転率閾値)を変更する。変更の方法としては、例えばステップS17において、アクセル操作振幅Saが各基準値a〜eのいずれかを超えたときに、超えた基準値にそれぞれ対応する制御閾値X1〜X5のいずれかに制御閾値Xを変更する。つまり、b≦アクセル操作振幅Sa<cの時にはbに対応する制御閾値X2とし、c≦アクセル操作振幅Sa<dの時にはcに対応する制御閾値X3とする。そのとき、制御閾値Xが2つあれば大きい方の値を制御閾値Xとし、制御閾値Xが1つであれば該値を制御閾値Xとする。これによりアクセル操作振幅Sa、またはアクセル操作速度Svが大きくなるほどトラクション制御が介入しにくくなるよう段階的に制御できる。
なお、前述したとおりトラクション制御を開始するための制御閾値として本実施形態においては駆動輪の空転率λに基づく空転率閾値を適用した。駆動輪の空転率λは、非駆動輪RR、RLの車輪速度VWに基づいて算出された車両の車体速度と、車両における駆動輪FR、FLの各車輪速度VWと、から求められる。非駆動輪RR、RLの車輪速度に基づいて算出された車体速度を車体速度VSとし、車体速度VSと駆動輪の車輪速度VWとの差を車輪速度VWで除して空転率λが算出される。
また、制御閾値X1〜X5は、どのように決定してもよい。例えば運転者の運転の熟練度合いに基づき決定してもよいし、雪の降りやすさを考慮し、地域差に基づき決定してもよい。例えば運転者の運転の熟練度合いに基づき決定する場合、運転者が未熟である場合を想定すると、制御閾値Xはあまり高くなく、初期値に近い値(例えば20%)から5〜10%刻みで増加させて設定し、運転者が熟練である場合を想定するときには、制御閾値Xは例えば60%から5%刻みで増加させ設定するようにすればよい。
ステップS19では各駆動輪FL,FRと路面との間の空転率λを算出する。空転率λは前述したとおり、まずステップS13で取り込まれた各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度センサSE5〜SE8の信号に基づき、各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度VWをそれぞれ算出する。そして、各車輪FL,FR,RL,RRの車輪速度VWのうち非駆動輪である後輪RL,RRの車輪速度VWを車両の車体速度VSとして設定し、空転率λを(VW−VS)/VW×100(%)によって算出する。
次にステップS20で、空転率λがトラクション制御を開始するための制御閾値Xを超えているか否かを判定する。空転率λが制御閾値Xを超えていれば、駆動輪はトラクション制御が必要であると判定し、ステップS23でブレーキ液圧制御を行い空転している駆動輪FRまたは駆動輪FLに制動力を付与し、空転を抑制する。また空転率λが制御閾値Xを超えていなければ駆動輪はトラクション制御を必要としていないと判定しブレーキ液圧制御は実施せずプログラムを終了し、スタートから再度プログラムを実施する。
そして、ステップS21において、CPU60は、空転率毎に予め設定された定数(スリップ率定数)Kaと、空転する前輪FR,FLの空転率とを乗算し、その前輪FR,FLの空転率の大きさに比例したブレーキ液圧の指示液圧PIを設定し、該指示液圧PIによって制動力付与機構15の制御を行なう。なお、定数Kaは、前輪FR,FLの空転率を液圧回路33,34内のブレーキ液圧の制御量に変換するための値であり、実験やシミュレーションなどによって予め設定されている。
ちなみに、上記において、右前輪FRにホイールシリンダ36aからの制動力を増加させる場合、CPU60は、まず、電磁弁42を通電状態とすることにより、左後輪RL用のホイールシリンダ36d内のブレーキ液圧を保圧させると共に、ポンプ38(モータM)を駆動させる。そして次に、CPU60は、比例差圧弁52のマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36a側との間のブレーキ液圧差がステップS23にて設定した指示液圧PIとなるように、比例差圧弁52の駆動制御を行う。すると、電磁弁43,45は共に非通電状態であるため、右前輪用経路33a(ホイールシリンダ36a)内のブレーキ液圧が、指示液圧PIまで増圧され、ホイールシリンダ36aによる右前輪FRへの制動力が増加する。
同様に、左前輪FLにホイールシリンダ36bからの制動力を増加させる場合、CPU60は、まず、電磁弁47を通電状態とすることにより、右後輪RR用のホイールシリンダ36c内のブレーキ液圧を保圧させると共に、ポンプ39(モータM)を駆動させる。そして次に、CPU60は、比例差圧弁56のマスタシリンダ30側とホイールシリンダ36b側との間のブレーキ液圧差がステップS23にて設定した指示液圧PIとなるように、比例差圧弁56の駆動制御を行う。すると、電磁弁46,48は共に非通電状態であるため、左前輪用経路34a(ホイールシリンダ36b)内のブレーキ液圧が、指示液圧PIまで増圧され、ホイールシリンダ36bによる左前輪FLへの制動力が増加する。したがって、本実施形態では、ポンプ38,39、モータM及び比例差圧弁52,56が、液圧回路33,34内のブレーキ液圧を可変させるようになっている。上記のような処理を行った後、CPU60は、処理を終了する。
なお、上記実施形態においてはスロットル開度センサSE3と、駆動源であるエンジン12から出力される駆動力を制御するために操作されるアクセル操作量の出力値をスロットル開度センサSE3によって読み込むステップS13とが、アクセル操作量検出手段64を構成する。またステップS15とステップS16とが、アクセル操作量検出手段64によって検知された出力に基づいてアクセル操作の振動状態(アクセル操作振幅Sa、及びアクセル操作速度Sv)を演算するアクセル振動演算手段65に相当する。さらにステップS17と、ステップS18とが、アクセル振動演算手段65によって演算されたアクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御が介入しにくくなるようにトラクション制御の開始のための制御閾値Xを変更するトラクション制御変更手段66に相当する。
上述の説明から明らかなように、本実施形態においては、アクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御が介入しにくくなるようにした。よってトラクション制御の制限制御が実行されたとき運転者がアクセルペダル17を一定量維持して踏み続けていることはない。これにより、トラクション制御が制限されたときに駆動輪FR、FLと路面との間のμが運転者の予想に反して非常に小さい、または路面の小さなμが大きなμに突然変化しても、運転者によって車両の安定のためのアクセル操作への移行が容易にでき安全性が確保できる。
また本実施形態においては、アクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御の制御閾値Xである空転率閾値を高く設定する。アクセル操作の振動状態の大小は、運転者の車体速度への不満の大きさと比例すると考えられる。これによりアクセル操作の振動状態が大きいときにはトラクション制御の制御閾値を高くしトラクション制御が介入しにくくすることにより運転者の意思により近い制御が提供できる。
また本実施形態においては、トラクション制御を開始するときの制御閾値Xには、駆動輪FR、FLの空転率λに基づく空転率閾値を適用した。駆動輪の空転率λは、現状のトラクション制御が搭載された車両に備えられた車輪速度センサSE5〜SE8、エンジン回転速度センサSE2等によって容易に検出でき、部品の追加もなく簡易に利用できる。これにより低コストに対応できる。
さらに本実施形態においては、アクセル操作の振動状態は、アクセル操作の振幅Sa又は振動速度であるアクセル操作速度Svとした。これにより運転者毎に異なる、車両の速度に不満を感じたときのアクセルぺダルの踏み込み特性(操作特性)を幅広くカバーでき、多くの運転者に適切に対応できる。
なお、上記実施形態において、空転率λに基づく空転率閾値に代えてスリップ率に基づくスリップ率閾値をトラクション制御を開始するときの制御閾値Xとしてもよい。
次に別の実施形態について説明する。上記実施形態においては、トラクション制御を開始するときの制御閾値として、駆動輪FR、FLの空転率λに基づく空転率閾値を適用した。しかし別の実施形態として、空転率閾値に限らず、エンジン12の駆動トルクに基づく駆動トルク閾値をトラクション制御を開始するときの制御閾値Xとしてもよい。つまり、予測される路面のμから、駆動輪が空転するであろうエンジン12の駆動トルクを算出し、算出された該駆動トルクの値を基準に制御閾値Xを設定するものである。駆動トルクはエンジン12の回転速度センサSE1から出力される出力値と、スロットル弁開度センサSE3から出力される出力値と、変速機のそのときの変速段とから導出される。よって制御閾値X(駆動トルク閾値)は各変速段毎に用意されている。そしてそのときに、運転者の操作するアクセル操作の振動状態を示すアクセル操作振幅Sa、またはアクセル操作速度Svが所定量以上となれば、各変速段毎に用意された値によって制御閾値Xを変更して高くし、高い駆動トルクによって駆動されてもトラクション制御が介入しにくいようにすればよい。そして上記実施形態と同様に、アクセル操作の振動状態が大きいほどトラクション制御の開始のための制御閾値Xである駆動トルク閾値を高く設定することによって上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、この別の実施形態においては、トラクション制御を開始するときの駆動トルクによる制御閾値(駆動トルク閾値)は、エンジン回転数と、スロットル弁開度センサSE3から出力される出力値と、変速機の変速段とから算出される。このように制御閾値X(駆動トルク閾値)は現状のトラクション制御が搭載された車両に備えられたエンジン回転速度センサSE2、スロットル弁開度センサSE3等によって容易に検出でき、部品の追加もなく簡易に利用できる。これにより低コストに対応できる。
なお、本実施形態のトラクション制御においては、駆動輪FR、FLに空転が発生したとき、制動力付与機構15によって空転した各駆動輪FR、FLに制動力を付与し空転を抑制した。しかしこれに限らず駆動力伝達機構13によって付与される駆動力を制限することによって空転を抑制してもよい。具体的には駆動輪FR、FLの空転が検出されたときに、空転量に応じて電子制御装置16によりスロットル弁アクチュエータ20を駆動させる。そしてスロットル弁アクチュエータ20に連動されるスロットル弁19を開口断面積が小さくなる方向に作動させることによりエンジン20の駆動力を制限すればよい。これによっても、同様の効果が得られる。さらに、制動力付与機構15と駆動力伝達機構13とを同時に利用して駆動輪の空転を抑制してもよい。
また、本実施形態においては、アクセル操作振幅Sa、アクセル操作速度Svと比較するための基準値をそれぞれ段階的に5つずつ設け、各基準に対応する制御閾値X1〜5、6〜10等を設けた。しかし、これに限らずアクセル操作振幅Sa、アクセル操作速度Svに対する基準値をそれぞれ一つずつ設け、該基準値を超えたときに一つの制御閾値Xに変更するようにしてもよい。さらに、基準値を5段階を超えて設けてもよいし、2〜4段階で設けてもよい。
また、本実施形態においては、アクセル操作振幅Sa、アクセル操作速度Svを同じ制御のなかで処理し、どちらか一方の値が基準値a〜e、f〜jのいずれかを超えたとき制御閾値Xを変更するようにした。しかしアクセル操作振幅Sa、及びアクセル操作速度Svの両方が基準値a〜e、f〜jのいずれかを超えたとき制御閾値Xを大きくするように変更してもよい。また、アクセル操作振幅Sa、アクセル操作速度Svをそれぞれ単独で別々の制御で実施してもよい。
また、前輪駆動車に搭載された車両のトラクション制御装置11ではなく、後輪駆動車に搭載される車両のトラクション制御装置に具体化してもよい。また、四輪駆動車に搭載される車両のトラクション制御装置に具体化してもよい。
さらに、本実施形態において、第1液圧回路33には右前輪FR用のホイールシリンダ36aと左前輪FL用のホイールシリンダ36bとが接続されると共に、第2液圧回路34には右後輪RR用のホイールシリンダ36cと左後輪RL用のホイールシリンダ36dとが接続されるような回路構成としてもよい。
11・・・トラクション制御装置、13・・・駆動力伝達機構、15・・・制動力付与機構、16・・・電子制御装置(ECU)、17・・・アクセルペダル、32・・・ブレーキ液圧発生装置、33,34・・・液圧回路、60・・・CPU、61・・・ROM、62・・・RAM、64・・・アクセル操作量検出手段、65・・・アクセル振動演算手段、66・・・トラクション制御変更手段、FR、FL、RR、RL・・・車輪、SE1・・・アクセル開度センサ、SE2・・・回転速度センサ、SE3・・・スロットル弁開度センサ、SE5〜SE8・・・車輪速度センサ、Sa・・・アクセル操作振幅、Sv・・・アクセル操作速度、VS・・・車体速度、VW・・・車輪速度、X・・・制御閾値、λ・・・空転率。
Claims (4)
- 車両の駆動源から駆動輪に伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置において、
前記駆動源から出力される駆動力を制御するために操作されるアクセルの操作量を検知するアクセル操作量検出手段と、
前記アクセル操作量検出手段からの出力に基づいて前記アクセル操作の振動状態を演算するアクセル振動演算手段と、
前記アクセル振動演算手段により演算された前記アクセル操作の振動状態が大きいほど前記トラクション制御が介入しにくくなるように前記トラクション制御の制御内容を変更するトラクション制御変更手段と、を備えることを特徴とするトラクション制御装置。 - 請求項1において、前記駆動輪の空転率が所定の空転率閾値よりも大きい場合に、前記駆動輪に伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置であって、
前記トラクション制御変更手段は、前記アクセル操作の振動状態が大きいほど、前記空転率閾値を高く設定することを特徴とするトラクション制御装置。 - 請求項1において、前記駆動輪の駆動トルクが所定の駆動トルク閾値よりも大きい場合に、前記駆動輪に伝達される駆動力を制限するトラクション制御装置であって、
前記トラクション制御変更手段は、前記アクセル操作の振動状態が大きいほど、前記駆動トルク閾値を高く設定することを特徴とするトラクション制御装置。 - 請求項1から3のいずれか1項において、前記アクセル操作の振動状態は、前記アクセル操作の振幅又は振動速度であることを特徴とするトラクション制御装置。
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