JP2011074425A - 複合材料の製造方法および複合材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】コストを低減した複合材料の製造方法および複合材料を提供する。
【解決手段】複合材料10の製造方法は、以下の工程を備えている。開口部を有する表面を含む金属基材11を準備する。200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含む粉末と、金属基材11を構成する材料と異なる金属材料を含む金属粉末とを、金属基材11の表面11aの開口部に供給する。粉末と、金属粉末と、金属基材11とを摩擦攪拌することにより、複合材料部12を形成する。複合材料10は、表面11aを有する金属基材11と、金属基材11の表面11aに配置された複合材料部12とを備えている。複合材料部12は、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含み、かつ金属基材11を構成する金属材料を含む合金であり、熱伝導性粒子は、複合材料部において10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する。
【選択図】図1
【解決手段】複合材料10の製造方法は、以下の工程を備えている。開口部を有する表面を含む金属基材11を準備する。200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含む粉末と、金属基材11を構成する材料と異なる金属材料を含む金属粉末とを、金属基材11の表面11aの開口部に供給する。粉末と、金属粉末と、金属基材11とを摩擦攪拌することにより、複合材料部12を形成する。複合材料10は、表面11aを有する金属基材11と、金属基材11の表面11aに配置された複合材料部12とを備えている。複合材料部12は、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含み、かつ金属基材11を構成する金属材料を含む合金であり、熱伝導性粒子は、複合材料部において10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、複合材料の製造方法および複合材料に関する。
パーソナルコンピュータやモバイル電子機器の高機能化、高密度実装化に伴い、CPU(Central Processing Unit:セントラルプロセッシングユニット)、GPU(Graphics Processing Unit:グラフィックスプロセッシングユニット)、チップセット、メモリーチップ等の半導体素子の発熱源の単位面積あたりの発熱量が飛躍的に増大しており、放熱装置の高性能化が求められている。これは、半導体素子には構成する材料固有の作動上限温度が定まっており、その温度以上では半導体素子が破壊してしまうので、放熱が不十分な状態では著しく寿命低下をきたすためである。通常、自然対流や電動送風装置を用いた強制対流を用いて放熱を図る。しかし、原理的に単位面積あたりの放熱量には冷却方式固有の上限がある。したがって、大量の熱を放熱するためには、放熱する面積を拡大するヒートスプレッダと称する放熱装置が一般に用いられている。
具体的には、ヒートスプレッダとして、半導体素子の放熱面に配置され、半導体よりもサイズの大きいAl(アルミニウム)やCu(銅)などの金属をベースとする複合材料、たとえばSiC(炭化珪素)を添加したAl−SiC複合材料やダイヤモンドを添加したCu−ダイヤモンド複合材料などを用いることができる。また、別の複合材料として、特開2008−248324号公報(特許文献1)には、所定の厚さの金属を表面に被覆したダイヤモンド粒子を用いて製造される複合材料が開示されている。このような複合材料の熱膨張係数は、半導体素子の熱膨張係数と近い。このような複合材料を半導体素子と接触させることで、熱を吸い上げると共に、その熱をヒートスプレッダとしての複合材料の面内方向にも広げ、さらには、その複合材料の熱をAlやCuなどの金属製の冷却材、たとえばヒートシンクに伝えて放熱する方法がとられる。
ヒートスプレッダとしての複合材料を半導体素子の熱膨張係数と近い材料にするのは、以下の理由による。すなわち、半導体素子の熱膨張係数と、ヒートシンクとしての金属製の冷却材の熱膨張係数との間には大きな差があるため、金属製の冷却材の上にそのまま半導体素子を積層すると、温度サイクル下で両者の界面に熱応力が発生する。このため、半導体素子に歪みが発生して半導体素子が安定して動作しなかったり、最悪の場合には、界面でのクラックの発生や剥離や、半導体素子の破壊に至る場合もある。このため、金属製の冷却材と半導体素子との熱膨張係数の中間の熱膨張係数を持つヒートスプレッダを介在させる。
しかし、上記特許文献1の複合材料を製造するためには、金属を表面に被覆したダイヤモンド粒子に1kPa〜1.5GPaの圧力を加えた状態で、100Pa以下の真空雰囲気下で、0.1℃/s〜8.3℃/sの昇温速度で昇温して、343℃〜1083℃の範囲で高温保持するように10秒〜7200秒間、所定の電圧および電流の直流パルス電流または直流パルス電流と直流電流の重畳電流を流して焼結している。このように上記特許文献1の複合材料は、複雑なプロセスで製造する必要があるので、製造する複合材料が高価になってしまう。また、半導体素子を搭載するためには、複合材料とヒートシンクとを接合する必要がある。したがって、コストが増加してしまうという課題があった。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、コストを低減した複合材料の製造方法および複合材料を提供することを目的とする。
本発明の複合材料の製造方法は、以下の工程を備えている。開口部を有する表面を含む金属基材を準備する。200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含む粉末と、金属基材を構成する材料と異なる金属材料を含む金属粉末とを、金属基材の表面の開口部に供給する。
本発明の複合材料の製造方法によれば、金属基材の開口部に供給した金属基材と異なる金属材料の金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌する。これにより、金属粉末を構成する金属と、金属基材を構成する金属とを含む合金を形成することができる。このため、塑性流動が抑制されにくくなるので、開口部に供給した粉末中の熱伝導性粒子を合金中に容易に分散させることができる。したがって、簡易なプロセスで複合材料部を形成することができるので、コストを低減して複合材料を製造することができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、金属基材は、銅を含み、金属粉末は、銀(Ag)と銅との合金粉末、または銀粉末を含む。
これにより、銅と銀とを有する合金を含む複合材料部を形成することができる。銅および銀は熱伝導率が高いため、複合材料部の放熱性を向上することができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、複合材料部を形成する工程では、粉末に棒状の回転部材を当接させつつ回転させる。
これにより、より容易に複合材料を製造することができるので、コストをより低減して複合材料を製造することができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、回転部材の負荷圧力が30MPa以上である。
これにより、加工時に熱伝導性粒子が再配列されやすくなるので、開口部内に気孔が混入した場合でも、複合材料部の緻密化に効果を奏する。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、複合材料部を形成する工程は、金属粉末と接触する金属基材と、金属粉末とを摩擦攪拌して、金属基材を構成する金属材料と金属粉末を構成する金属材料とを含む合金に形成する工程と、合金の表面に粉末を供給する工程と、粉末と接触する合金と、粉末とを摩擦攪拌する工程とを含む。
これにより、合金の表面に供給した粉末中の熱伝導性粒子を合金中により容易に分散させることができる。このため、熱伝導性粒子の含有率を向上した複合材料部を形成することができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、少なくとも被加工部を予備加熱する工程をさらに備える。
これにより、摩擦攪拌するときに、少なくとも一部に液相を生成させやすくなる。このため、熱伝導性粒子を合金中により均一に分散させることができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、金属粉末は、チタン(Ti)、ハフニウム(Hf)、およびジルコニウム(Zr)からなる群より選ばれた少なくとも一種の添加物質を含む。
これらの添加物質は、SiC、窒化ケイ素(Si3N4)、AlN、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素(hBN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、カーボンナノチューブ、炭素繊維などの熱伝導性粒子と反応して、これらの添加物質を炭化物、窒化物などに形成できる。これらの炭化物、窒化物などは、金属基材と金属粉末との合金と、熱伝導性粒子との濡れ性を向上させるため、結果として複合材料部の熱伝導率をより高くすることができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、添加物質は、複合材料部において0.1wt%以上含有される。これにより、複合材料部の熱伝導率をより一層高めることができる。
上記複合材料の製造方法において好ましくは、摩擦攪拌する工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する。
これにより、摩擦攪拌時に金属の塑性流動がより抑制されにくくなるため、熱伝導性粒子を金属中により均一に分散させることができる。
本発明の複合材料は、表面を有する金属基材と、金属基材の表面に配置された複合材料部とを備える。複合材料部は、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含み、かつ金属基材を構成する金属材料を含む合金であり、熱伝導性粒子は、複合材料部において10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する。
本発明の複合材料によれば、本発明の複合材料の製造方法により製造することにより、コストを低減して、上記のような熱伝導率を向上した複合材料を実現することができる。
上記複合材料において好ましくは、金属基材はCuを含み、複合材料部はCuとAgとの合金を含む。
銅および銀は熱伝導率が高いため、放熱性を向上した複合材料を実現することができる。
上記複合材料において好ましくは、熱伝導性粒子が、炭化ケイ素(SiC)、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素(hBN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む。これにより、複合材料部の熱伝導率をより向上することができる。
以上のように、本発明の複合材料の製造方法および複合材料によれば、コストを低減することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態における複合材料10について説明する。複合材料10は、金属基材11と、複合材料部12とを備えている。金属基材11は、表面11aを有している。複合材料部12は、金属基材11の表面11aに配置されている。言い換えると、複合材料10の表面の一部に、複合材料部12は形成されている。本実施の形態では、金属基材11の表面11aと、複合材料部12の表面12aとは同一平面に位置付けられている。
図1を参照して、本実施の形態における複合材料10について説明する。複合材料10は、金属基材11と、複合材料部12とを備えている。金属基材11は、表面11aを有している。複合材料部12は、金属基材11の表面11aに配置されている。言い換えると、複合材料10の表面の一部に、複合材料部12は形成されている。本実施の形態では、金属基材11の表面11aと、複合材料部12の表面12aとは同一平面に位置付けられている。
金属基材11は、ヒートシンクである。金属基材11は、たとえば開口部を有する平板であり、熱伝導率が高いことが好ましい。この観点から、金属基材11は、Cuを含むことが好ましく、Cuからなることがより好ましい。
複合材料部12は、ヒートスプレッダである。この複合材料部12は、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含み、かつ金属基材11を構成する金属材料を含む合金である。
複合材料部12は、金属基材11を構成する金属材料と、この金属材料と異なる金属との合金とを含むことが好ましい。このような合金として、たとえばCuとAgとの合金などが好適に用いられる。
また、合金は、Ti、Hf、およびZrからなる群より選らばれた少なくとも一種の添加物質を含むことが好ましい。この場合、複合材料部12の熱伝導率をより向上することができる。
合金が添加物質を含む場合には、複合材料部12において0.1wt%以上含有されることが好ましく、0.3wt%以上0.5wt%以下含まれることがより好ましい。この場合、複合材料部12の熱伝導率をより向上することができる。
熱伝導性粒子は、複合材料部12において10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する。このため、複合材料部12は半導体素子の熱膨張係数と整合性の高い熱膨張係数を持ち、その他の部位(金属基材11)は熱伝導率が高い金属材料からなる。熱伝導性粒子の含有量が下限値を下回ると複合材料部12の熱伝導率が十分でなく、上限を超えると、攪拌時に緻密にすることが困難となる気孔残存により熱伝導率が低下してしまう。
このように、複合材料部12は、合金により熱伝導率を向上でき、かつ10vol%以上70vol%以下の熱伝導性粒子を含むこよにより熱膨張率係数を緩和することができる。さらに、その他の部位である金属基材11は加工性、ろう付け性、めっき性に優れた金属材料からなるため、放熱性能に優れた複合材料10を安価で実現することができる。
ここで、上記熱伝導性粒子は、200W/mK以上の熱伝導率を有している。熱伝導性粒子の熱伝導率は、高いほど好ましいが、上限はたとえばダイヤモンドの場合、1000〜2000W/mKである。熱伝導率とは、レーザフラッシュ法により測定される値を意味する。
熱伝導性粒子(分散粒子)は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含んでいることが好ましく、熱伝導率が特に高いダイヤモンドを含んでいることがより好ましい。これらの熱伝導性粒子は熱伝導率が高いので、複合材料部12の熱伝導率をより向上することができる。
熱伝導性粒子は、複合材料部12の表面12aに載置する半導体素子の熱膨張係数と、金属基材11の熱膨張係数との間の熱膨張係数を有することが好ましい。
複合材料部12の熱伝導率は、101W/mK以上であることが好ましい。たとえば、複合材料部12を構成する合金および熱伝導性粒子として上記材料を用いることにより、複合材料部12の熱伝導率を101W/mK以上にすることができる。これにより、複合材料部12の熱伝導率をより向上することができる。
複合材料部12の熱膨張係数は、10.7×10-6/K以下であることが好ましい。この場合、複合材料部12の表面12a上に搭載する半導体素子の熱膨張率と、複合材料部12の熱膨張率との差を効果的に緩和することができる。このため、半導体素子の使用により、半導体素子が複合材料10から剥離することを抑制することができる。
ここで、上記「熱膨張係数」は、室温から500℃の間のレーザ変位読み取り式熱膨張係数測定装置で測定される平均熱膨張係数を意味する。
本実施の形態では、複合材料10は、放熱性が高く、かつ半導体素子との熱膨張係数差が小さいので、半導体素子を搭載するための放熱材料としている。このため、複合材料部12の表面12aは、半導体素子を搭載する。
半導体素子は、シリコン(Si)、インジウム(In)、ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、および窒化アルミニウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含むことが好ましい。たとえば、半導体素子は、シリコン、インジウム、ガリウム砒素、窒化ガリウム、または窒化アルミニウムからなる基板と、この基板上に形成された半導体層とを備えている。本実施の形態の複合材料10は、これらの材料の半導体素子から発生する熱を放熱する効果をコストを低減して実現できるため、放熱装置として好適に用いられる。
続いて、図1〜図6を参照して、本実施の形態における複合材料10の製造方法について説明する。
まず、図2に示すように、表面11aに開口部11bを有する金属基材11を準備する。金属基材11は、Cuであることが好ましい。
この工程では、たとえば、平板状の金属基材を準備し、表面11aを加工して、開口部11bを形成する。開口部11bは、わずかな隙間であり、たとえば溝である。
次に、図3に示すように、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含む粉末と、金属基材11を構成する金属材料と異なる金属材料の金属粉末との混合粉末15を金属基材11の表面11aの開口部11bに供給する。混合粉末15中の金属粉末は、金属基材11を構成する金属材料と同じ金属粉末を含んでいてもよい。なお、混合粉末15中の熱伝導性粒子を含む粉末は、熱伝導性粒子を主成分として含み、残部が不可避的不純物であってもよい。
熱伝導性粒子は、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含んでいることが好ましい。
熱伝導性粒子の平均粒径は200μm以下であることが好ましい。200μm以下の場合、回転部材16(図4〜図6参照)などの工具の磨耗を低減することができる。平均粒径が小さくなっても攪拌に問題は生じないが、下限はたとえば1μmである。この場合、熱伝導性粒子と金属基材11を構成する金属材料との界面の面積が増大することを抑制し、かつ複合材料部12の熱伝導率が低下することを抑制することができる。なお、後述する攪拌する工程で少なくとも一部に液相を生成させながら攪拌する場合には、熱伝導性粒子の平均粒径が200μmを超えていてもよい。
この工程では、開口部11bに混合粉末15を充填した後に、圧力を加えて充填密度を高めてもよい。このとき、混合粉末15を構成する熱伝導性粒子の組織が崩れることを抑制できる程度の圧力を加えてもよい。
また、この工程では、金属基材11の表面11aと同じまたはそれ以下の深さになるように、混合粉末15を開口部11bに供給することが好ましい。この場合、混合粉末15が開口部11bからあふれることを抑制できるので、複合材料部12に生成される組織が崩れることを抑制できる。
次に、図4〜図6に示すように、混合粉末15と接触する金属基材11と、混合粉末15とを摩擦攪拌する。本実施の形態では、混合粉末15に棒状の回転部材16を当接させつつ回転させることにより、金属基材11と混合粉末15とを摩擦攪拌している。
ここで、図4および図5を参照して、回転部材16について説明する。回転部材16は、本体16aと、プローブ16bとを有している。本体16aは、円筒状である。プローブ16bは、回転部材16の先端に位置し、本体16aよりも小径のロッド状である。本体16aは、プローブ16bと接続され、かつ金属基材11の表面11aと接するショルダー面16a1とを有する。
なお、プローブ16bは回転部材に必ず必要なものではなく、場合によってはプローブ16bを有しない略円筒状の回転部材を用いても良い。
回転部材16の材質は、たとえば、JISに規格されているSKD61鋼等の工具鋼や、タングステンカーバイト(WC)、コバルト(Co)からなる超硬合金、またはSi3N4等のセラミックス、cBNからなるものとすることができる。
このような回転部材16を、図4に示すように、混合粉末15を充填した開口部11b上に、回転部材16のプローブ16bを当接させつつ回転させる。さらに、図6に示すように、開口部11bの長手方向に沿って回転部材16を移動させる。これにより、開口部11bに充填した混合粉末15(つまり熱伝導性粒子を含む粉末および金属粉末)を回転部材16によって攪拌させ、混合粉末15中の熱伝導性粒子を金属基材11を構成する金属材料中に混入させ、かつ金属基材11を構成する金属材料と混合粉末15中の金属粉末との合金にすることができる。したがって、金属基材11を構成する金属材料と、金属粉末を構成する金属材料との合金中に、熱伝導性粒子が分散した複合材料部12を形成することができる。
なお、混合粉末15を金属材料中に十分に混入させるため、回転部材16を、混合粉末15を充填した開口部11b上で回転させつつ往復動させることもできる。あるいは、回転部材16を移動させずに同じ場所で回転させ続けることによっても混合粉末15と金属基材11とを摩擦攪拌させることができる。このような処理をすることで、攪拌された部位のみが、金属基材11を構成する金属材料と混合粉末15中の金属粉末を構成する金属材料とを含む合金であり、かつ熱伝導性粒子を含む複合材料部12に転化させることができる。たとえば、金属基材11がCuであり、混合粉末15中の金属粉末がAgまたはAg−Cu合金であり、熱伝導性粒子がSiCである熱伝導性粒子からなる場合には、Al−Cu合金中にSiCが分散された複合材料部に転化させることができる。
回転部材16の形状としては、図5に示すように、先端にロッド状のプローブ16bとショルダー面16a1とを有し、ショルダー面16a1の面積が複合材料部12が生成する部位(被加工部)の面積よりも大きいことが好ましい。言い換えると、回転部材16のショルダー面16a1の径D16は、被加工部の径D12よりも大きい。この場合、被加工部に気孔が混入することを抑制することができる。このため、摩擦攪拌により生成される複合材料部12の密度を向上することができる。したがって、複合材料部12の熱伝導率を向上することができる。
なお、回転部材のショルダー面16a1の径D16とは、ショルダー面16a1において被加工部を覆っている直径を意味する。被加工部の径D12とは、複合材料部12を生成するべき領域の短手方向の長さ、つまり開口部11bの幅を意味する。
また、加工時におけるショルダー面16a1の面圧(回転部材16の負荷圧力)が30MPa以上であることが好ましい。この場合、加工時に硬質粒子である熱伝導性粒子が再配列されやすく、気孔を含んだ場合でも緻密化に効果がある。このため、複合材料部12の熱伝導率を向上することができる。熱伝導性粒子の体積含有率が高い場合には、ショルダー面16a1の面圧が高い方が緻密化されやすいので好ましい。たとえば熱伝導性粒子の体積含有率が50%以上の場合には、ショルダー面16a1の面圧は300MPa以上であることが好ましい。
なお、加工時におけるショルダー面16a1の面圧の上限は、たとえば装置上の理由から、7ton/cm2以下である。
また、この工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することが好ましい。言い換えると、この工程では、金属基材11を構成する金属材料の融点以上であって、かつ金属粉末を構成する金属材料の融点以上の温度に加熱して摩擦攪拌することが好ましい。
本実施の形態では、攪拌部が合金に変化しているので、金属基材よりも融点が低く、液相が出やすい。すなわち、金属基材11を固体状態のまま攪拌部のみが溶融した状態を生み出しやすくなる。たとえば複合材料部12の合金が72wt%Ag−28wt%Cu合金である場合、72wt%Ag−28wt%Cuの融点は約780℃であり、Cuの融点は1083℃であるので、液相が出現しやすい。
本実施の形態では、熱伝導性粒子(硬質分散相)の体積分率が高いので、固相状態のままで攪拌すると、金属の塑性流動が抑制される。このため、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することにより、濡れ性を向上し、界面の状態を良好にすることで、熱伝導性粒子を均一に合金中に分散させることができる。したがって、用いる金属基材11によって攪拌により到達する温度を変化させて液相を出すことが好ましい。熱伝導性粒子の体積含有率が50%以上では、攪拌時に液相を出現させることで攪拌抵抗を低下させることができるため、特に効果がある。
この時、到達温度が高すぎると、液相の粘性が大幅に低下して周囲に飛散しやすい。一方、到達温度が液相出現温度の直上の場合は、液相の粘性が大きく、十分に攪拌できない場合がある。このため、好ましい温度T(℃)は、液相出現温度+50(℃)≦T(℃)≦液相出現温度+150(℃)である。なお、液相出現温度とは、一部に液相が出る温度である固相線以上の温度を言う。もちろん、完全に溶融する温度である液相線を超える温度でも構わない。
液相を出現させて攪拌する際には、原料として用いる金属粉末には、Ti、Hf、およびZrからなる群より選ばれた少なくとも一種の添加物質を含むことが好ましい。これらの添加物質は、熱伝導性粒子であるSiC、Si3N4、AlN、ダイヤモンド、hBN、cBN、カーボンナノチューブ、炭素繊維と反応してこれらの元素の炭化物または窒化物を形成する。これらの炭化物または窒化物は溶融した合金中の熱伝導性粒子との濡れ性を向上させるため、結果として複合材料部12の熱伝導率を高くすることができる。Ti、Hf、Zrの元素添加量は、原料として用いる金属粉末中で0.1wt%以上であることが好ましく、0.3wt%以上0.5wt%以下であることがより好ましい。
また、この工程では、少なくとも被加工部(複合材料部となるべき領域)を予備加熱しておくと液相が出現しやすいので効果がある。予備加熱温度は、金属基材11を構成する金属材料の液相出現温度以上であることが好ましく、具体的には金属基材11を構成する金属材料の融点以上で被加工部を予備加熱することが好ましい。設備の制約上、予備加熱温度に限界がある場合は、使用する金属材料に応じて、液相出現温度未満の適度な温度にしてもよい。たとえば400℃程度でも効果がある。このように、予備加熱と攪拌時に発生する熱で少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することが好ましい。
加熱する方法は特に限定されず、たとえばレーザ等を用いることができる。レーザを用いて加熱する場合には、局所的に加熱できるという利点がある。
また、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する場合には、攪拌部に酸化防止用の不活性ガスを供給しながら、摩擦攪拌処理をすることが好ましい。
また、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する場合には、ショルダー面16a1の面積が複合材料部12が生成する部位(被加工部)の面積よりも大きい回転部材16を用いることが特に好ましい。これは、熱伝導性粒子(硬質粒子)の体積分率が高い場合、液相が出現した状態で攪拌すると、液相の体積膨張のために被加工部が膨張して、被加工部が気孔を含みやすくなるためである。ショルダー面16a1の面積を複合材料部12の生成部位(被加工部)の面積よりも大きくすることで、気孔の生成を抑制することができる。
少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌した場合には、たとえば自然冷却することにより、攪拌した金属基材11と、混合粉末15中の金属粉末と、熱伝導性粒子とが混合した液相が固化される。これにより、攪拌した金属基材11を構成する金属材料と、混合粉末15中の金属粉末を構成する金属材料との合金中に、混合粉末15中の熱伝導性粒子が分散された複合材料部12を形成することができる。したがって、図1に示す複合材料10を製造することができる。
なお、本実施の形態では、摩擦攪拌する工程では、棒状の回転部材16を当接させつつ回転させているが、摩擦攪拌する方法は特にこれに限定されない。たとえば直線運動を往復させる部材により摩擦攪拌してもよい。
(変形例1)
変形例1は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において複合材料部12がストライプ状に形成されている点において異なる。
変形例1は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において複合材料部12がストライプ状に形成されている点において異なる。
具体的には、図7に示すように、金属基材11の表面11aに、ストライプ状の開口部11bを形成する。次に、図7に示すように、この開口部11bに混合粉末15を供給する。次に、混合粉末と接触する金属基材11と、混合粉末15とを摩擦攪拌する。これにより、図8に示すように、ストライプ状に形成された複合材料部12を備えた変形例1の複合材料を製造することができる。
(変形例2)
変形例2は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において複合材料部12が格子状に形成されている点において異なる。
変形例2は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において複合材料部12が格子状に形成されている点において異なる。
具体的には、図9に示すように、金属基材11の表面11aに、格子状の開口部11bを形成する。次に、図9に示すように、この開口部11bに混合粉末15を供給する。次に、混合粉末15と接触する金属基材11と、混合粉末15とを摩擦攪拌する。これにより、図10に示すように、格子状に形成された複合材料部12を備えた変形例2の複合材料を製造することができる。
(変形例3)
変形例3は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において複合材料部12が島状に形成されている点において異なる。
変形例3は、基本的には本実施の形態の複合材料10およびその製造方法と同様であるが、表面において複合材料部12が島状に形成されている点において異なる。
具体的には、図11に示すように、金属基材11の表面11aに、内部に島状の開口部11bを形成する。次に、図11に示すように、この開口部11bに混合粉末15を供給する。次に、混合粉末15と接触する金属基材11と、混合粉末15とを摩擦攪拌する。これにより、図12に示すように、島状に形成された複合材料部12を備えた変形例3の複合材料を製造することができる。
なお、複合材料部12に転化させる領域は、本実施の形態、変形例1〜3の配置に限定されず、他の配置であってもよい。
続いて、本実施の形態における複合材料10の効果について、図13に示す比較例と比較して説明する。
図13に示す比較例の放熱装置100は、金属基材11と、金属基材11上に形成された複合材料部112とを備えている。複合材料部112は、たとえば上記特許文献1に開示の複合材料などである。金属基材11は、ヒートシンクの役割を果たし、複合材料部112はヒートスプレッダの役割を果たす。
図13に示すように、比較例の放熱装置100に半導体素子21を載置すると、複合材料部112により半導体素子21と金属基材11との熱膨張係数差を緩和することができる。しかし、この放熱装置100を製造するためには、放電プラズマ焼結法を利用して焼結する、熱伝導性粒子を金属と混合した後に焼結するなどの複雑なプロセスで製造する必要がある。さらに、金属基材11と複合材料部112とを、ロウ付けやAu−Sn(錫)めっきを介して接合する必要がある。このため、放熱装置100が高価になってしまうという問題がある。
一方、本実施の形態における複合材料10は、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含む粉末と、金属基材11を構成する金属材料と異なる金属材料を含む金属粉末との混合粉末15を、金属基材11の表面の開口部11bに供給する工程と、混合粉末15と、金属基材11とを摩擦攪拌することにより、複合材料部12を形成する工程とを備えている。
本発明の複合材料10の製造方法によれば、金属基材11の開口部11bに供給した金属粉末と、この金属粉末を構成する金属材料と異なる金属材料の金属基材11とを摩擦攪拌する。これにより、金属基材11を構成する金属材料と、金属粉末を構成する金属材料とを含む合金を形成することができる。このため、塑性流動が抑制されにくくなるので、開口部に供給した粉末中の熱伝導性粒子を合金中に容易に分散させることができる。したがって、簡易なプロセスで複合材料部12を形成でき、金属基材11と複合材料部12とを接合する工程を省略できる。このように簡略なプロセスで複合材料10を形成することができるので、コストを低減して複合材料10を製造することができる。
また、本実施の形態では、熱伝導性粒子を含む粉末と金属粉末との混合粉末15と、金属基材11の開口部11bに供給して摩擦攪拌することにより、複合材料部を形成している。つまり、熱伝導性粒子を含む粉末と、金属粉末と、金属基材11とを同時に攪拌している。このため、混合粉末15と金属基材11との攪拌が容易である。したがって、より容易に複合材料10を製造することができる。
この複合材料10の複合材料部12の表面12aに、図14に示すように、半導体素子21を載置すると、複合材料部12は熱伝導性粒子を含んでいるので、半導体素子21と金属基材11との熱膨張係数差を緩和することができる。このため、熱応力の不整合が小さくなり、熱応力破壊が起こることを抑制できる。さらに、複合材料部12は合金であるので、熱伝導率が高い。このため、複合材料部12は放熱性に優れている。このように、複合材料10は、半導体素子21を搭載する領域が、合金により高い熱伝導率を有し、かつ半導体素子21の熱膨張係数と整合性の高い熱膨張係数を有する複合材料部12であり、その他の領域は熱伝導率が高い金属基材11である。金属基材11は加工性、ろう付け性、めっき性などに優れた金属を用いることができる。このため、半導体素子21との熱膨張率を緩和して、かつ放熱性を向上することができる複合材料10を安価に製造することができる。
さらに、金属基材11の開口部11bに、所定の量の熱伝導性粒子を含む混合粉末15を供給することにより、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含み、かつ金属基材11を構成する金属材料を含む合金であり、かつ熱伝導性粒子は、複合材料部12において10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する複合材料部12を備えた複合材料10を製造することができる。
複合材料部12中の熱伝導性粒子の体積含有率が70vol%以下であるので、複合材料部12の組織が破壊されることを抑制できる。このため、特性を維持した複合材料10を実現できる。
複合材料部12中の熱伝導性粒子の体積含有率が10vol%以上であるので、半導体素子21と接する部位(複合材料部12の表面12a)の熱膨張係数が半導体素子21との熱膨張係数に近くなる。このため、半導体素子21の発熱時に発生する熱応力を低減することができ、半導体素子21の誤作動を抑制でき、あるいは、熱応力破壊等も抑制できる。
特に、摩擦攪拌する工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌することが好ましい。この場合、金属基材11を構成する金属材料と金属粉末を構成する金属材料との合金中に熱伝導性粒子を均一に分散することができる。
また、熱伝導性粒子が50vol%以上の場合には、硬質相量が増大するため、攪拌抵抗が増大するが、金属基材11を構成する金属材料を溶融させることで攪拌抵抗を低下させることができる。このため、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌すると、被加工部における合金と熱伝導性粒子との混合物が流動しやすくなり、熱伝導性粒子の体積含有率が50vol%以上の複合材料部12を備えた複合材料10も実現することができる。
以上のように、本実施の形態によれば、複雑なプロセスを用いなくても高熱伝導の複合材料10を製造することができる。このため、複合材料10は、半導体素子における放熱構造として最適である。したがって、本実施の形態の複合材料10は、複合材料10を組み込んだ自動車用、家電用半導体デバイスなどの広い用途に応用可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態における複合材料は、図1に示す実施の形態1の複合材料10と同様である。本実施の形態における複合材料は、製造方法が異なる。本実施の形態における複合材料の製造方法について、図15〜図19を参照して説明する。
本実施の形態における複合材料は、図1に示す実施の形態1の複合材料10と同様である。本実施の形態における複合材料は、製造方法が異なる。本実施の形態における複合材料の製造方法について、図15〜図19を参照して説明する。
まず、図2に示すように開口部11bを有する金属基材11を準備する。金属基材11は、たとえばCuである。
次に、図15に示すように、金属基材11の開口部11bに金属基材11を構成する金属材料と異なる金属材料を含む金属粉末17を供給する。金属粉末17は、たとえばAg粉末またはAg−Cu合金粉末である。
次に、図16に示すように、金属粉末17と接触する金属基材11と、金属粉末17とを摩擦攪拌する。この工程では、たとえば、実施の形態1と同様に回転部材16を用いて摩擦攪拌する。これにより、図17に示すように、金属基材11を構成する金属材料と金属粉末17を構成する金属材料とを含む合金18を形成することができる。金属基材11および金属粉末17が上記材料の場合、合金18はたとえばAg−Cu合金である。
次に、図18に示すように、合金18の表面18aに、熱伝導性粒子を含む粉末19を供給する。粉末19は、熱伝導性粒子を含んでいれば特に限定されないが、熱伝導性粒子を主成分とし、残部が不可避的不純物であることが好ましい。
この工程では、たとえば、以下の工程を実施する。すなわち、まず、合金18の表面18aを加工して、開口部を形成する。この合金18の開口部に、粉末19を装填する。なお、この工程では、合金18の開口部に粉末19のみを装填してもよく、粉末19と併せて金属粉末を装填してもよい。粉末19と併せて装填する金属粉末は、金属粉末17と同一であってもよく、異なっていてもよい。
次に、図19に示すように、粉末19と接触する合金18と、粉末19とを摩擦攪拌する。この工程では、たとえば実施の形態1と同様に回転部材16を用いて摩擦攪拌する。これにより、合金18中に熱伝導性粒子が分散した複合材料部12を形成することができる。
以上の工程を実施することにより、図1に示す複合材料10を製造することができる。本実施の形態の複合材料の製造方法は、まず、金属粉末と接触する金属基材11と、金属基材11と異なる金属材料を含む金属粉末17とを摩擦攪拌して、金属基材11を構成する金属材料と金属粉末17を構成する金属材料とを含む合金18に形成する工程と、合金18の表面18aに熱伝導性粒子を含む粉末19を供給する工程と、粉末19と接触する合金18と、粉末19とを摩擦攪拌する工程とを備えている。
本実施の形態における複合材料の製造方法によれば、まず金属粉末17を装填し、この状態で摩擦攪拌することによって、金属基材11の表面11aの特定部位を合金18に転化させた後、合金18に再度開口部を形成して、熱伝導性粒子を含む粉末19を装填した後、再度摩擦攪拌するという二段階の攪拌処理をしている。これにより、熱伝導性粒子を攪拌する際に、合金18により融点が下がるので、塑性流動が抑制されにくくなる。このため、熱伝導性粒子を合金18中により均一に分散させることができる。
本実施例では、熱伝導性粒子と、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌することにより、複合材料部を形成することの効果について調べた。また、複合材料が、10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む合金であることの効果について調べた。
(試料2〜9)
<金属基材>
金属基材として、100mm×100mmで、5mmの厚さを有する純Cuを用いた。次に、準備した金属板材の中心に、幅5mm、深さ2mmの溝(ギャップ)を加工により形成した。
<金属基材>
金属基材として、100mm×100mmで、5mmの厚さを有する純Cuを用いた。次に、準備した金属板材の中心に、幅5mm、深さ2mmの溝(ギャップ)を加工により形成した。
<金属粉末>
金属粉末として、AgとCuとの合金粉末を準備した。また、試料4〜9の金属粉末は、さらに下記の表1に記載の添加物質(添加金属)を含んでいた。それぞれの試料について、合金粉末中のAg量、添加物質の材料、および添加物質の量を下記の表1に記載する。
金属粉末として、AgとCuとの合金粉末を準備した。また、試料4〜9の金属粉末は、さらに下記の表1に記載の添加物質(添加金属)を含んでいた。それぞれの試料について、合金粉末中のAg量、添加物質の材料、および添加物質の量を下記の表1に記載する。
<熱伝導性粒子>
熱伝導性粒子として、ダイヤモンドを準備した。ダイヤモンドは、200W/mK以上の熱伝導率を有する。金属粉末と、熱伝導性粒子との混合粉末中の熱伝導性粒子の体積含有率、および熱伝導性粒子の粒径を下記の表1に記載する。
熱伝導性粒子として、ダイヤモンドを準備した。ダイヤモンドは、200W/mK以上の熱伝導率を有する。金属粉末と、熱伝導性粒子との混合粉末中の熱伝導性粒子の体積含有率、および熱伝導性粒子の粒径を下記の表1に記載する。
<供給する工程>
金属粉末と、熱伝導性粒子とを混合した混合粉末を金属基材の表面の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
金属粉末と、熱伝導性粒子とを混合した混合粉末を金属基材の表面の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
<摩擦攪拌する工程>
下記の表1に記載の温度で予備加熱した後、以下のようにして、混合粉末と接触する金属基材と、混合粉末とを摩擦攪拌した。
下記の表1に記載の温度で予備加熱した後、以下のようにして、混合粉末と接触する金属基材と、混合粉末とを摩擦攪拌した。
具体的には、図5に示すような回転部材16を準備した。回転部材16は、直径3.8mm、長さ1.75mmのプローブ16bと、直径D16が20mmのる本体16aとを有し、超硬合金からなっていた。この回転部材16のショルダー面に下記の表1に記載の圧力(面圧)を印加して、混合粉末と接触する金属基材と、混合粉末とを摩擦攪拌した。回転部材16の回転速度を調整して、下記の表1に記載の攪拌部(被加工部)の到達温度とした。回転ツールの移動速度は45mm/minとした。
これにより、中心部のみに複合材料部が配置された構造の複合材料を得た。それぞれの複合材料の表面全体を約0.4mm研磨加工して、表面粗さRaが0.05μmの面を得た。なお、表面粗さRaは、JIS(Japanese Industrial Standards)B0601に準拠して測定した値である。以上より、試料2〜9の複合材料を製造した。
(試料1および10)
試料1および10は、基本的には試料2〜9と同様であったが、主として金属粉末として金属基材と同じ材料である純Cu粉末を用いた点において異なっていた。その他の条件については、下記の表1に記載する。
試料1および10は、基本的には試料2〜9と同様であったが、主として金属粉末として金属基材と同じ材料である純Cu粉末を用いた点において異なっていた。その他の条件については、下記の表1に記載する。
(評価方法)
試料1〜10の複合材料について、複合材料部に転化した部分の中心部から5mm×5mm×1.5mm厚のサイズで切り出して、熱伝導性粒子の体積含有率、熱伝導率、および熱膨張係数を測定した。熱伝導性粒子の体積含有率は、アルキメデス法で複合材料部の密度を測定し、熱伝導性粒子の真密度値から複合材料部中の熱伝導性粒子の体積含有率を計算した。熱伝導率は、レーザフラッシュ法により測定した。熱膨張係数は、レーザ変位読み取り式熱膨張係数測定装置により測定した。その結果を下記の表1に記載する。
試料1〜10の複合材料について、複合材料部に転化した部分の中心部から5mm×5mm×1.5mm厚のサイズで切り出して、熱伝導性粒子の体積含有率、熱伝導率、および熱膨張係数を測定した。熱伝導性粒子の体積含有率は、アルキメデス法で複合材料部の密度を測定し、熱伝導性粒子の真密度値から複合材料部中の熱伝導性粒子の体積含有率を計算した。熱伝導率は、レーザフラッシュ法により測定した。熱膨張係数は、レーザ変位読み取り式熱膨張係数測定装置により測定した。その結果を下記の表1に記載する。
また、半導体素子として、InP基板を備えた半導体素子を準備した。この半導体素子の表面(半導体基板において半導体層が形成された面と反対側の面)と、試料2〜9については複合材料の複合材料部の表面上とを、試料1および10については金属基材の表面とを、厚さ25μmの活性銀鑞箔を挿入して接触させ、真空中、温度800℃で30分加熱してろう付けした。これにより、各試料の複合材料に半導体素子を載置した。
半導体素子の表面の熱膨張係数と、各試料1〜10において半導体素子の表面と接続される領域の熱膨張係数との差(熱膨張係数差ΔT)を求めた。その結果を下記の表1に記載する。
また、半導体素子を載置した試料1〜10を炉に投入し、1気圧の窒素中で、昇温速度10℃/minで750℃まで加熱し、その後1分間保持した後、炉内から取り出し水中へ投入した。これを最高20回繰り返した。各回処理終了後、各試料を各面と垂直方向に切断して界面を実体顕微鏡で観察した。このようにして、各試料について、剥離せずに温度サイクルを実施できた回数(温度サイクル回数)を調べた。その結果を下記の表1に示す。
(評価結果)
表1に示すように、試料2〜9によれば、熱伝導性粒子と、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌することにより、簡略化したプロセスで、金属基材を構成する金属材料を含む合金であり、かつ10vol%以上70%以下の体積含有率を有する複合材料部を有する複合材料を製造可能なことがわかった。このことから、所望の特性を有する複合材料をコストを低減して製造できることがわかった。
表1に示すように、試料2〜9によれば、熱伝導性粒子と、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌することにより、簡略化したプロセスで、金属基材を構成する金属材料を含む合金であり、かつ10vol%以上70%以下の体積含有率を有する複合材料部を有する複合材料を製造可能なことがわかった。このことから、所望の特性を有する複合材料をコストを低減して製造できることがわかった。
また、表1に示すように、熱伝導性粒子と、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌することにより、複合材料部を形成した試料2〜9は、金属基材と異なる金属材料を含まなかった(つまり複合材料部が合金でなかった)試料1および10と比較して、熱伝導率を向上することができた。これは、攪拌部がAg−Cu合金であるため、攪拌部の融点がCu単独の試料1および10よりも低くなり、攪拌部が一部溶融し、ダイヤモンドとの濡れ性が向上したためと推定される。
また、表1に示すように、複合材料部中のダイヤモンド含有量が増大するほど熱膨張係数が低下し、耐熱衝撃性が向上した。このことから、ダイヤモンド含有量が増大するほど複合材料部の耐衝撃性を向上し、かつ高い放熱性が期待できる。
また、表1に示すように、金属粉末にTi、Hf、またはZrを含む試料4〜9は、熱伝導率をさらに増大できた。これは、金属とダイヤモンドとの濡れ性が向上したためと推定される。
以上より、本実施例によれば、熱伝導性粒子と、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌することにより、簡易なプロセスで、10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む合金の複合材料を製造できることがわかった。また、複合材料の複合材料部が10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む合金であることにより、コストを低減して放熱効果を高める複合材料を実現できることがわかった。
本実施例では、熱伝導性粒子と、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌することにより、複合材料部を形成することの効果について調べた。また、複合材料が、10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む合金であることの効果について調べた。
(試料11〜16)
<金属基材>
金属基材として、100mm×100mmで、5mmの厚さを有するCuを用いた。次に、準備した金属板材の中心に、幅5mm、深さ2mmの溝(ギャップ)を加工により形成した。
<金属基材>
金属基材として、100mm×100mmで、5mmの厚さを有するCuを用いた。次に、準備した金属板材の中心に、幅5mm、深さ2mmの溝(ギャップ)を加工により形成した。
<金属粉末>
金属粉末として、98wt%のAgと2wt%のTiとからなる粉末を準備した。
金属粉末として、98wt%のAgと2wt%のTiとからなる粉末を準備した。
<供給する工程>
まず、準備した金属粉末を金属基材の表面の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
まず、準備した金属粉末を金属基材の表面の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
<摩擦攪拌する工程>
下記の表1に記載の温度で予備加熱した後、金属粉末と接触する金属基材と、混合粉末とを、実施例1と同様に摩擦攪拌した。これにより、金属基材の表面の一部をAg−Cu合金に転化させた。
下記の表1に記載の温度で予備加熱した後、金属粉末と接触する金属基材と、混合粉末とを、実施例1と同様に摩擦攪拌した。これにより、金属基材の表面の一部をAg−Cu合金に転化させた。
<熱伝導性粒子>
熱伝導性粒子として、下記の表1に記載のSiC、ダイヤモンド、AlNのいずれかを用いた。これらの熱伝導性粒子は、200W/mK以上の熱伝導率を有する。それぞれの試料について、用いた熱伝導性粒子の材料およびその粒径を下記の表1に記載する。
熱伝導性粒子として、下記の表1に記載のSiC、ダイヤモンド、AlNのいずれかを用いた。これらの熱伝導性粒子は、200W/mK以上の熱伝導率を有する。それぞれの試料について、用いた熱伝導性粒子の材料およびその粒径を下記の表1に記載する。
<供給する工程>
金属基材においてCu−Ag合金に転化した部分の表面に、幅5mm、深さ2mmの溝を加工により形成した。その後、準備した熱伝導性粒子を、Cu−Ag合金の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
金属基材においてCu−Ag合金に転化した部分の表面に、幅5mm、深さ2mmの溝を加工により形成した。その後、準備した熱伝導性粒子を、Cu−Ag合金の溝に供給した。装填密度は押し込み圧力で調整した。
<摩擦攪拌する工程>
下記の表1に記載の温度で予備加熱した後、合金と、熱伝導性粒子末とを、実施例1と同様に摩擦攪拌した。これにより、Ag−Cu合金中に熱伝導性粒子を分散させた複合材料部が配置された構造の複合材料を得た。それぞれの複合材料の表面全体を約0.4mm研磨加工して、表面粗さRaが0.05μmの面を得た。以上より、試料11〜16の複合材料を製造した。
下記の表1に記載の温度で予備加熱した後、合金と、熱伝導性粒子末とを、実施例1と同様に摩擦攪拌した。これにより、Ag−Cu合金中に熱伝導性粒子を分散させた複合材料部が配置された構造の複合材料を得た。それぞれの複合材料の表面全体を約0.4mm研磨加工して、表面粗さRaが0.05μmの面を得た。以上より、試料11〜16の複合材料を製造した。
(評価方法)
実施例1と同様に、試料11〜16の複合材料の複合材料部について、熱伝導性粒子の体積含有率、熱伝導率、熱膨張係数、熱膨張係数差ΔTおよび温度サイクル回数を測定した。なお、半導体素子は、下記の表2に示す材料の基板を用いた。
実施例1と同様に、試料11〜16の複合材料の複合材料部について、熱伝導性粒子の体積含有率、熱伝導率、熱膨張係数、熱膨張係数差ΔTおよび温度サイクル回数を測定した。なお、半導体素子は、下記の表2に示す材料の基板を用いた。
(評価結果)
表2に示すように、試料11〜16によれば、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌して合金を形成し、合金に熱伝導性粒子を供給し、合金と熱伝導性粒子を摩擦攪拌して複合材料部を形成することにより、簡略化したプロセスで、金属基材を構成する金属材料を含む合金であり、かつ10vol%以上70%以下の体積含有率を有する複合材料部を有する複合材料を製造可能なことがわかった。このことから、所望の特性を有する複合材料をコストを低減して製造できることがわかった。
表2に示すように、試料11〜16によれば、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌して合金を形成し、合金に熱伝導性粒子を供給し、合金と熱伝導性粒子を摩擦攪拌して複合材料部を形成することにより、簡略化したプロセスで、金属基材を構成する金属材料を含む合金であり、かつ10vol%以上70%以下の体積含有率を有する複合材料部を有する複合材料を製造可能なことがわかった。このことから、所望の特性を有する複合材料をコストを低減して製造できることがわかった。
以上より、本実施例によれば、金属基材と異なる金属材料を含む金属粉末と、金属基材とを摩擦攪拌した後に、熱伝導性粒子をさらに摩擦攪拌することにより、簡易なプロセスで、10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む合金の複合材料を製造できることがわかった。また、複合材料の複合材料部が10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する熱伝導性粒子を含む合金であることにより、コストを低減して放熱効果を高める複合材料を実現できることがわかった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 複合材料、11 金属基材、11a,12a,18a 表面、11b 開口部、12 複合材料部、15 混合粉末、16 回転部材、16a 本体、16a1 ショルダー面、16b プローブ、17 金属粉末、18 合金、19 粉末、21 半導体素子。
Claims (12)
- 開口部を有する表面を含む金属基材を準備する工程と、
200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含む粉末と、前記金属基材を構成する材料と異なる金属材料を含む金属粉末とを、前記金属基材の前記表面の前記開口部に供給する工程と、
前記粉末と、前記金属粉末と、前記金属基材とを摩擦攪拌することにより、複合材料部を形成する工程とを備えた、複合材料の製造方法。 - 前記金属基材は、銅を含み、
前記金属粉末は、銀と銅との合金粉末、または銀粉末を含む、請求項1に記載の複合材料の製造方法。 - 前記複合材料部を形成する工程では、前記粉末に棒状の回転部材を当接させつつ回転させる、請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。
- 前記回転部材の負荷圧力が30MPa以上である、請求項3に記載の複合材料の製造方法。
- 前記複合材料部を形成する工程は、
前記金属粉末と接触する前記金属基材と、前記金属粉末とを摩擦攪拌して、前記金属基材を構成する金属材料と前記金属粉末を構成する金属材料とを含む合金に形成する工程と、
前記合金の表面に前記粉末を供給する工程と、
前記粉末と接触する前記合金と、前記粉末とを摩擦攪拌する工程とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。 - 少なくとも被加工部を予備加熱する工程をさらに備えた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
- 前記金属粉末は、チタン、ハフニウム、およびジルコニウムからなる群より選ばれた少なくとも一種の添加物質を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
- 前記添加物質は、前記複合材料部において0.1wt%以上含有される、請求項7に記載の複合材料の製造方法。
- 前記摩擦攪拌する工程では、少なくとも一部に液相を生成させながら摩擦攪拌する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
- 表面を有する金属基材と、
前記金属基材の前記表面に配置された複合材料部とを備え、
前記複合材料部は、200W/mK以上の熱伝導率を有する熱伝導性粒子を含み、かつ前記金属基材を構成する金属材料を含む合金であり、
前記熱伝導性粒子は、前記複合材料部において10vol%以上70vol%以下の体積含有率を有する、複合材料。 - 前記金属基材は、銅を含み、
前記複合材料部は、銅と銀との合金を含む、請求項10に記載の複合材料。 - 前記熱伝導性粒子が、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンド、六方晶窒化ホウ素、立方晶窒化ホウ素、カーボンナノチューブ、および炭素繊維からなる群より選ばれた少なくとも一種の物質を含む、請求項10または11に記載の複合材料。
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