JP2011073978A - 共役芳香族化合物の製造方法 - Google Patents

共役芳香族化合物の製造方法 Download PDF

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Seiji Oda
精二 小田
Taku Kamikawa
卓 神川
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Abstract

【課題】高収率で共役芳香族化合物を製造する製造方法、及び高分子量の共役芳香族高分子化合物を製造する製造方法を提供する。
【解決手段】ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン、及び下記式(i)
Figure 2011073978

で示されるトリアリールホスフィン(i)から調製される触媒と、金属還元剤との存在下、脱離基を有する芳香族化合物をカップリング反応させる工程を有することを特徴とする共役芳香族化合物の製造方法の提供。
【選択図】なし

Description

本発明は、共役芳香族化合物の製造方法に関する。
共役芳香族化合物は、医薬、農薬の分野のみならず、情報、エネルギー分野における部材の構成材料として有用な化合物であることが知られている。該共役芳香族化合物は、ハロゲノ基を有する芳香族化合物を縮合する製造方法により得ることができる。たとえば、非特許文献1には、塩化ニッケルとトリフェニルホスフィンとから調製された触媒及び亜鉛の存在下に、芳香族ハロゲン化合物を縮合することにより対応する共役芳香族化合物を製造する製造方法が開示されている。
方法が開示されている。
Tetrahedron Letters 1977,47,4089−4092
しかしながら、非特許文献1が開示する製造方法は、目的とする共役芳香族化合物の収率が十分といえるものではなかった。また、非特許文献1が開示する製造方法により、共役芳香族高分子化合物を製造する場合、高分子量の芳香族ポリマーを得ることは困難であった。
かかる状況下、より高収率で共役芳香族化合物を製造することのできる製造方法、高分子量の共役芳香族高分子化合物を製造することのできる製造方法が求められていた。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]及び[2]を提供する。
[1]ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン、及び下記式(i)
Figure 2011073978
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。ただし、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。)
で示されるトリアリールホスフィン(i)から調製される触媒と、
金属還元剤と、
の存在下、以下の式(1a)
Figure 2011073978
(式中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピロール環及びピリジン環からなる群から選ばれる芳香環を含む芳香族基を表し、Xはヨージド基、ブロモ基及びクロロ基からなる群より選ばれる脱離基を表し、Xは前記芳香環に直接結合している。pが2である場合、2つのXは同じでも異なっていてもよい。)
で示される芳香族化合物(以下、「芳香族化合物(1a)」という。)をカップリング反応させる工程を有する式(10a)
Figure 2011073978
で示される共役芳香族化合物の製造方法;
[2]ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン、及び下記式(i)
Figure 2011073978
(式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。ただし、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。)
で示されるトリアリールホスフィン(i)から調製される触媒と、
金属還元剤と、
の存在下、以下の式(1b)
Figure 2011073978
(式中、pは1又は2を表す。Arはベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピロール環及びピリジン環からなる群から選ばれる芳香環を含む芳香族基を表し、Xはヨージド基、ブロモ基及びクロロ基からなる群より選ばれる脱離基を表し、Xは前記芳香環に直接結合している。pが2である場合、2つのXは同じでも異なっていてもよい。)
で示される芳香族化合物(以下、「芳香族化合物(1b)」という。)をカップリング反応させる工程を有する式(10b)
Figure 2011073978
で示される構造単位を有する共役芳香族高分子化合物(以下、場合により「芳香族ポリマー」という。)の製造方法
本発明によれば、芳香族化合物(1a)から、高収率で共役芳香族化合物を製造することができる。また、芳香族化合物(1b)からは、高分子量の芳香族ポリマーを製造することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<芳香族化合物(1a)及び芳香族化合物(1b)>
前記芳香族化合物(1a)及前記芳香族化合物(1b)は、本発明の共役芳香族化合物の製造方法の出発原料である。本発明の製造方法に係る第1の実施形態では、芳香族化合物(1a)を用い、前記式(10a)で示される共役芳香族化合物を製造するものであり、第2の実施形態では、芳香族化合物(1b)を用い、前記式(10b)で示される構造単位を有する芳香族ポリマーを製造するものである。この第1の実施形態においては、2種以上の芳香族化合物(1a)を用いる形式でもよく、第2の実施形態においては、2種以上の芳香族化合物(1b)を用いる形式でもよい。
芳香族化合物(1a)及び芳香族化合物(1b)について具体例を挙げつつ説明する。
上記式(1a)のArは、上述の群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を含む芳香族基を意味する。かかる芳香族基に複数の芳香環がある場合、芳香環同士は、直接結合、2価の原子又は2価の原子団で結合されたものであってもよい。
ここでArを、芳香環を1つ有し、後述する置換基を有さない場合で例示すると、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、チエニル基、ピロリル基及びピリジル基等が挙げられる。これらの中でもフェニル基、ナフチル基及びフルオレニル基が特に好ましい。
前記式(1b)のAr’は、上述の群から選ばれる少なくとも1つの芳香環を含む芳香族基を意味する。かかる芳香族基に複数の芳香環がある場合、芳香環同士は、直接結合、2価の原子又は2価の原子団で結合されたものであってもよい。
ここでAr’を、芳香環を1つ有し、後述する置換基を有さない場合で例示すると、フェニレン基、ナフタレニレン基、フルオレニレン基、アントラセニレン基、フェナントレニレン着、チオフェンジイル基、ピロールジイル基及びピリジンジイル基といった2価の芳香族基が例示される。これらの中でもフェニレン基、ナフタレニレン基及びフルオレニレン基が特に好ましい。
芳香族基Ar又はAr’にある芳香環には、1個又は2個のXが直接結合している。前記式(1b)において、Ar’が複数の芳香環を有している場合、2個のXは同じ芳香環に直接結合していてもよく、異なる芳香環のそれぞれに直接結合していてもよい。Xは、本発明の反応により脱離するハロ基であり、脱離基と称することにする。また、芳香族基Ar又はAr’にある芳香環には、X以外の置換基を有することもある。ここでいう置換基とは上記芳香環にある水素原子が置き換わった基を意味する。当該置換基は本発明の反応の進行に影響を及ぼさないものであればよく、具体的には、以下の(a1)、(b1)、(c1)、(d1)、(e1)及び(g1)[以下、「(a1)〜(g1)」のように記載することがある。]が挙げられる。
(a1):フッ素原子、シアノ基及び炭素数1〜20のアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
(b1):フッ素原子、シアノ基及び炭素数1〜20のアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
(c1):フッ素原子、シアノ基及び炭素数1〜20のアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基;
(d1):フッ素原子、シアノ基及び炭素数1〜20のアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシルオキシ基;
(e1):下記式:
Figure 2011073978
(式中、Aは、炭素数1〜20の炭化水素基を置換基として有するアミノ基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表わす。ここで、前記炭化水素基及びアルコキシ基は、フッ素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数2〜20のアシル基及びシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基で置換されていてもよい。)
で示される基;
(f1)シアノ基;
(g1)フッ素原子
前記(a1)における「炭素数1〜20のアルキル基」としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基及びn−イコシル基等が例示される。(a1)としては、ここに例示するアルキル基にある水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、シアノ基及びアルコキシ基からなる群より選ばれる基で置換されたものであってもよい。置換基を有する場合は、当該置換基の炭素数を含めて、炭素数の合計が1〜20であるアルキル基が(a1)としてさらに好ましい。なお、該アルコキシ基の具体例は後述する。
前記(b1)における「炭素数1〜20のアルコキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基及びn−イコシルオキシ基等が例示される。(b1)としては、ここに例示するアルコキシ基にある水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、シアノ基及びアルコキシ基からなる群より選ばれる基で置換されたものであってもよい。置換基を有する場合は、当該置換基の炭素数を含めて、炭素数の合計が1〜20であるアルコキシ基が(b1)としてさらに好ましい。なお、該アルコキシ基の具体例は、ここに例示したものと同じである。
前記(c1)における「炭素数2〜20のアシル基」としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基及びイソブチリル基等が例示される。(c1)としては、ここに例示するアシル基にある水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、シアノ基及びアルコキシ基からなる群より選ばれる基で置換されたものであってもよい。置換基を有する場合は、当該置換基の炭素数を含めて、炭素数の合計が2〜20であるアシル基が(c1)としてさらに好ましい。なお、該アルコキシ基の具体例は上述のとおりである。
前記(d1)における「炭素数2〜20のアシルオキシ基」としては、前記に例示した炭素数2〜20のアシル基のいずれか1つと酸素原子とから構成される基が例示され、具体的には、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基及びイソブチリルオキシ基等を挙げることができる。(d1)としては、ここに例示するアシルオキシ基にある水素原子の一部又は全部が、フッ素原子、シアノ基、アルコキシ基、アリール基及びアリールオキシ基からなる群より選ばれる基で置換されたものであってもよい。置換基を有する場合は、当該置換基の炭素数を含めて、炭素数の合計が2〜20であるアシルオキシ基が(d1)としてさらに好ましい。なお、該アルコキシ基の具体例は上述のとおりである。
前記(e1)における、炭素数1〜20の炭化水素基を有するアミノ基とは、
−N(R)
〔式中、2つのRはそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表す。2つのRのうち少なくとも1つは炭化水素基であり、2つのRの炭素数の合計が1〜20である。また、2つのRが結合して、これらが結合する窒素原子とともに環を形成していてもよい。〕
で示される基を意味する。
かかる炭化水素基を有するアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、2,2−ジメチルプロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、n−ノニルアミノ基、n−デシルアミノ基、n−ウンデシルアミノ基、n−ドデシルアミノ基、n−トリデシルアミノ基、n−テトラデシルアミノ基、n−ペンタデシルアミノ基、n−ヘキサデシルアミノ基、n−ヘプタデシルアミノ基、n−オクタデシルアミノ基、n−ノナデシルアミノ基、n−イコシルアミノ基、ピロリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、カルバゾリル基、ジヒドロインドリル基及びジヒドロイソインドリル基等が挙げられる。
以下に(a1)〜(e1)において、それぞれの好適な基について説明する。
前記(a1)のうち好ましい基としては、置換基を有さない炭素数1〜20のアルキル基、トリフルオロメチル基等のフッ素原子を置換基として有する炭素数1〜20のフッ化アルキル基、メトキシメチル基等のアルコキシ基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基、シアノメチル基等のシアノ基を置換基として有する炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。
前記(b1)のうち好ましい基としては、炭素数1〜20のアルコキシ基、メトキシメトキシ基等のアルコキシ基を置換基として有する炭素数1〜20のアルコキシ基が挙げられる。
前記(c1)のうち好ましい基としては、置換基を有さない炭素数2〜20のアシル基が挙げられる。
前記(d1)のうち好ましい基としては、置換基を有さない炭素数2〜20のアシルオキシ基が挙げられる。
前記(e1)のうち好ましい基としては、Aが、イソプロポキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ジエチルアミノ基又はn−ドデシルアミノ基である基が挙げられる。具体的には、イソプロポキシスルホ基、2,2−ジメチルプロポキシスルホ基、シクロヘキシルオキシスルホ基、ジエチルアミノスルホ基又はn−ドデシルアミノスルホ基を挙げることができる。これらの中でも、Aは、イソプロポキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基又はシクロヘキシルオキシ基がより好ましい。
本発明の反応の進行を著しく損なわない点では、上記(a1)〜(g1)の基のうち、(a1)、(b1)及び(e1)からなる群より選ばれる基が好ましく、このような基は、本発明の反応に対してほとんど影響を及ぼすことがないため、これらの基を置換基として有する芳香族化合物(1a)又は芳香族化合物(1b)は、本発明の製造方法に好適に用いることができる。
芳香族化合物(1a)としては、市販のものを用いてもよいし、公知の方法に準じて製造したものを用いてもよい。
かかる芳香族化合物(1a)を具体的に例示すると、
クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、1−クロロナフタレン、4−クロロビフェニル、2−クロロビフェニル、2−クロロフルオレン、2−ブロモフルオレン、2−クロロアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロフェナントレン、9−ブロモフェナントレン、2−ブロモチオフェン、5−ブロモ−2,2’−ビチオフェン、2−クロロピリジン、3−クロロピリジン、5−ブロモピリジン、2−クロロトルエン、2,5−ジメチルクロロベンゼン、2−エチルクロロベンゼン、3−n−プロピルクロロベンゼン、4−イソプロピルクロロベンゼン、5−n−ブチルクロロベンゼン、2−イソブチルクロロベンゼン、3−sec−ブチルクロロベンゼン、4−tert−ブチルクロロベンゼン、5−(2,2−ジメチルプロピル)クロロベンゼン、2−n−ヘキシルクロロベンゼン、4−シクロヘキシルクロロベンゼン、4−ベンジルクロロベンゼン、4−クロロベンゾトリフルオリド、2−クロロベンゾトリフルオリド、(4−クロロフェニル)アセトニトリル、4−(n−ブトキシメチル)クロロベンゼン、5−ブロモ−3−ヘキシルチオフェン、2−ブロモ−3−ドデシルチオフェン、5−ブロモ−3−シクロヘキシルチオフェン、2−クロロ−3−オクチルチオフェン、1−メチル−5−クロロピロール、1−ヘキシル−2−ブロモピロール、1−オクチル−5−クロロピロール、3−メチル−2−クロロピリジン、3−ヘキシル−5−クロロピリジン、5−クロロ−3−フェニルチオフェン、5−クロロ−2,2’−ビピリジン、3,3’−ジメチル−5−クロロ−2,2’−ビピリジン及び3,3’−ジオクチル−5−ブロモ−2,2’−ビピリジン、3−クロロアニソール、4−クロロアニソール、2,3−ジメトキシクロロベンゼン、2,4−ジメトキシクロロベンゼン、2,5−ジメトキシクロロベンゼン、2−エトキシクロロベンゼン、3−n−プロポキシクロロベンゼン、4−イソプロポキシクロロベンゼン、5−n−ブトキシクロロベンゼン、4−tert−ブトキシクロロベンゼン、4−ベンジルオキシクロロベンゼン、4−(メトキシメチル)クロロベンゼン、4−(メトキシメトキシ)クロロベンゼン、4−(ベンジルオキシメトキシ)クロロベンゼン、4−{2−(n−ブトキシ)エトキシ}クロロベンゼン、4−クロロベンゼンスルホン酸メチル、3−クロロベンゼンスルホン酸メチル、2−クロロベンゼンスルホン酸メチル、4−クロロベンゼンスルホン酸エチル、4−クロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、3−クロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、2−クロロベンゼンスルホン酸(2,2−ジメチルプロピル)、
4−クロロアセトフェノン、2−クロロアセトフェノン、4−クロロプロピオフェノン、1−(4−クロロフェニル)−2,2−ジメチルプロパノン、(4−クロロベンゾイル)シクロヘキサン、4−クロロベンゾフェノン、
N,N−ジメチル−4−クロロベンゼンスルホンアミド、N,N−ジメチル−3−クロロベンゼンスルホンアミド、N,N−ジメチル−2−クロロベンゼンスルホンアミド、N,N−ジエチル−4−クロロベンゼンスルホンアミド、
4−クロロベンゾニトリル、3−クロロベンゾニトリル、2−クロロベンゾニトリル、4−ブロモベンゾニトリル、
4−クロロフルオロベンゼン、3−クロロフルオロベンゼン、2−クロロフルオロベンゼン及び4−ブロモフルオロベンゼン、
1−クロロ−4−(フェニルスルホニル)ベンゼン及び4−クロロフェニル p−トリル スルホン等が挙げられる。
芳香族化合物(1b)においても、市販のものを用いてもよいし、公知の方法に準じて製造したものを用いてもよい。
かかる芳香族化合物(1b)を具体的に例示すると、
1,3−ジクロロベンゼン、1,4−ジブロモベンゼン、1,4−ジヨードベンゼン、1,4−ジブロモナフタレン、1,1’−ジブロモ−4,4’−ビフェニル、2,5−ジブロモチオフェン、5,5’−ジブロモ−2,2’−ビチオフェン、2,5−ジクロロピリジン、3,5−ジクロロピリジン、2,5−ジブロモピリジン、5,5’−ジクロロ−2,2’−ビピリジン、
3,5−ジクロロトルエン、3,5−ジブロモトルエン、3,5−ジヨードトルエン、3,4−ジブロモトルエン、2,4−ジクロロトルエン、2,5−ジクロロトルエン、2,4−ジブロモトルエン、2,5−ジブロモトルエン、2,4−ジヨードトルエン、2,5−ジヨードトルエン、2,4−ジクロロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−エチルベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(2,2−ジメチルプロピル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(n−オクチル)ベンゼン、2,7−ジブロモ−9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジオクチル−9H−フルオレン、2,7−ジブロモ−9,9−ジドデシル−9H−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジオクチル−9H−フルオレン、2,7−ジクロロ−9,9−ジドデシル−9H−フルオレン、2−ブロモ−7−クロロ−9,9−ジヘキシル−9H−フルオレン、2−ブロモ−7−クロロ−9,9−ジオクチル−9H−フルオレン、2−ブロモ−7−クロロ−9,9−ジドデシル−9H−フルオレン、1,3−ジブロモ−5−エチルベンゼン、1−ブロモ−4−クロロベンゼン、3−ブロモ−5−クロロトルエン、3−ブロモ−5−クロロ−2−プロピルベンゼン、4−メチル−2,6−ジクロロピリジン、4−ヘキシル−2,6−ジクロロピリジン、3,3’−ジオクチル−5,5’−ジブロモ−2,2’−ビピリジン、3,3’−ジメチル−5,5’−ジクロロ−2,2’−ビピリジン、
2,5−ジクロロアニソール、2,4−ジクロロアニソール、3,5−ジクロロアニソール、2,5−ジブロモアニソール、2,4−ジブロモアニソール、3,5−ジブロモアニソール、3,5−ジヨードアニソール、2,4−ジヨードアニソール、2,5−ジヨードアニソール1,4−ジクロロ−2−エトキシベンゼン、1,4−ジクロロ−2−(2,2−ジメチルプロピルオキシ)ベンゼン、1,4−ジクロロ−2−(n−オクチルオキシ)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−デシルオキシベンゼン、1,4−ジブロモ−2−メトキシベンゼン、1,4−ジブロモ−2,5−ジヘキシルオキシベンゼン、
2,5−ジクロロ−1−フェニルベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(1−ナフチル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(2−ナフチル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(4−トリル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(4−メトキシフェニル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(4−フェノキシフェニル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−1−(2−フェノキシフェニル)ベンゼン、2,5−ジクロロ−3−フェニルチオフェン、
4−フェノキシクロロベンゼン、3−フェノキシクロロベンゼン、2−フェノキシクロロベンゼン、4−フェノキシブロモベンゼン、1,4−ジクロロ−2−フェノキシベンゼン、1,5−ジクロロ−3−フェノキシベンゼン、1,4−ジブロモ−2−フェノキシベンゼン、1,5−ジブロモ−3−フェノキシベンゼン、
2’,4’−ジクロロアセトフェノン、2’,5’−ジクロロアセトフェノン、2’,4’−ジブロモ-アセトフェノン、2’,5’−ジブロモアセトフェノン、2,5−ジクロロベンゾフェノン及び2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン、3,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン、3,5−ジブロモ−4’−フェノキシベンゾフェノン、
1,3−ジクロロ−4−アセトキシベンゼン、1,4−ジブロモ−3−アセトキシベンゼン及び1,3−ジヨード−4−アセトキシベンゼン等が挙げられる。
また、芳香族化合物(1b)では、以下の式(2)で示される芳香族化合物(以下、「芳香族化合物(2)」という。)のような末端に脱離基Xを有する高分子化合物も用いることができる。
Figure 2011073978
式(2)中、a、b及びcはそれぞれ独立に、0又は1を表す。hは5以上の整数を表し、10以上の整数であることが好ましい。
Ar、Ar、Ar及びArは2価の芳香族基であり、具体例を挙げると、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、4,4’−ビフェニル−1,1’−ジイル基等の2価の単環状芳香族基;ナフタレン−1,3−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−1,6−ジイル基、ナフタレン−1,7−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−2,7−ジイル基、9H−フルオレン−2,7−ジイル基等の2価の縮合芳香族基;ピリジン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,6−ジイル基、キノキサリン−2,6−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、2,2’−ビチオフェン−5,5’−ジイル基、ピロール−2,5−ジイル基、2,2’−ビピリジン−5,5’−ジイル基、ピリミジン−2,5−ジイル基、キノリン−5,8−ジイル基、キノリン−2,6−ジイル基、イソキノリン−1,4−ジイル基、イソキノリン−5,8−ジイル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基、ベンゾイミダゾール−4,7−ジイル基、キノキサリン−5,8−ジイル基、キノキサリン−2,6−ジイル基等の2価の複素芳香族基;等である。なかでも、2価の単環状芳香族基又は2価の縮合芳香族基が好ましく、1,4−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基、ナフタレン−1,5−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基およびナフタレン−2,7−ジイル基がより好ましい。
かかる2価の芳香族基は、以下の(a2)、(b2)、(c2)、(d2)及び(e2[以下、「(a2)〜(e2)」のように記載することがある。]以下の(a2)〜(e2)からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい。
(a2)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基;
(b2)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルコキシ基;
(c2)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜10のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基;
(d2)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数6〜20のアリールオキシ基;および、
(e2)フッ素原子、シアノ基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基および炭素数6〜20のアリールオキシ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基で置換されていてもよい炭素数2〜20のアシル基。
(a2)〜(e2)における炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のアリールオキシ基、炭素数1〜20のアルキル基および炭素数2〜20のアシル基としては、前記したものと同様のものが挙げられる。
(a2)としては、前記(a1)と同様のものが例示される。
(b2)としては、前記(b1)と同様のものが例示される。
(c2)としては、前記(c1)と同様のものが例示される。
(d2)としては、前記(d1)と同様のものが例示される。
(e2)としては、前記(e1)と同様のものが挙げられる。
及びYはそれぞれ独立に、単結合、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO2−)、2,2−イソプロピリデン基(−C(CH32−)、2,2−パーフルオロイソプロピリデン基(−C(CF32−)又はフルオレン−9,9−ジイル基を表わす。
及びZはそれぞれ独立に、酸素原子(−O−)又は硫黄原子(−S−)を表わす。
芳香族化合物(2)の具体例としては、下記に示す化合物、下記に示す化合物の両末端の塩素原子が臭素原子に代わった化合物等が挙げられる。なお、下記式中、hは前記と同一の意味を表わす。
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
Figure 2011073978
芳香族化合物(2)としては、日本国特許第2,745,727号公報等の公知の方法に準じて製造したものを用いてもよいし、市販されているものを用いてもよい。市販されているものとしては、例えば、住友化学株式会社製スミカエクセルPES等が挙げられる。
芳香族化合物(2)としては、そのポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000以上のものを用いることが好ましく、3,000以上であるものがより好ましい。
<共役芳香族化合物又は芳香族ポリマーの製造方法>
本発明の製造方法は、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン、及び前記式(i)で示されるトリアリールホスフィン(以下、「トリアリールホスフィン(i)」という。)から調製される触媒と、金属還元剤と、の存在下で、前記芳香族化合物(1a)又は前記芳香族化合物(1b)をカップリング反応させる工程を有することを特徴とする。以下、該ニッケル化合物、該トリフェニルホスフィン及び該トリアリールホスフィン(i)及び金属還元剤の具体例を説明し、該ニッケル化合物、該トリフェニルホスフィン及び該トリアリールホスフィン(i)から調製される触媒、これを用いる本発明の製造方法に関し、具体的に説明する。なお、以下の説明において、前記芳香族化合物(1a)又は前記芳香族化合物(1b)を「芳香族化合物(1)」ということがある。
ニッケル化合物は、ゼロ価ニッケル化合物、ハロゲン化ニッケル(例えば、フッ化ニッケル、塩化ニッケル、臭化ニッケル、ヨウ化ニッケル等)、ニッケルカルボン酸塩(例えば、ギ酸ニッケル、酢酸ニッケル等、2−エチルヘキサン酸ニッケル)、ニッケルアセチルアセトナート、(ジメトキシエタン)塩化ニッケル及び(ジメトキシエタン)臭化ニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物である。
該ゼロ価ニッケル化合物とは、具体的には中心金属ニッケルの原子価状態がゼロであるニッケル錯体(ゼロ価ニッケル錯体)を意味し、該ゼロ価ニッケル錯体の中でもビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル(0)が好ましい。
ハロゲン化ニッケルとしては、フッ化ニッケル、塩化ニッケル及び臭化ニッケルが市場から容易に入手し易いので好ましく、塩化ニッケル及び臭化ニッケルがさらに好ましい。
ニッケル化合物の使用量は、触媒量で充分であり、該使用量が多すぎると、反応後の後処理が煩雑になる傾向がある。そのため、ニッケル化合物の使用量は、用いる芳香族化合物(1)の合計1モルに対して、0.001〜0.8モルの範囲が好ましく、0.01〜0.4モルの範囲がより好ましい。なお、このニッケル化合物として複数種を用いる場合は、その合計モル量が前記の範囲であればよい。
上述のとおり、本発明の反応に用いる触媒では、前記ニッケル化合物のニッケル原子に配位し得る配位子化合物として、トリフェニルホスフィン及び前記式(i)で示される「トリアリールホスフィン(i)を用いる。以下、これらの配位子について説明する。
トリアリールホスフィン(i)において、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基及び炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。ただし、R、R及びRが同時に水素原子であることはない。なお、ここでいうフルオロアルキル基とは、アルキル基にある水素原子の一部又は全部がフルオロ基に置き換わった基を意味する。
ここで、炭素数1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2,2−ジメチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、2−メチルペンチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基及びn−イコシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
炭素数1〜20のフルオロアルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2,2,2−トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロイソプロピル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。
炭素数1〜20のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、2,2−ジメチルプロポキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ウンデシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−トリデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ペンタデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基、n−ヘプタデシルオキシ基、n−オクタデシルオキシ基、n−ノナデシルオキシ基又はn−イコシルオキシ基等が挙げられ、好ましくはメトキシ基である。
トリアリールホスフィン(i)の具体例としては、例えばトリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン、トリス(4−フルオロフェニル)ホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィンが挙げられる。かかるトリアリールホスフィン(i)は例えば、Journal of MolecularCatalysis A: Chemical 2001,169,67−7及びSynlett 2006,954−956に記載された公知の方法で製造することができる。
また、トリアリールホスフィン(i)は市場から容易に入手できる市販品を用いてもよい。この市販品とは上述のトリアリールホスフィン(i)のうち、具体例で例示したものが挙げられる。この市販品はそのまま本発明の反応に用いることもできるし、適当な方法により精製等してから用いてもよい。
前記トリアリールホスフィン(i)とともに使用するトリフェニルホスフィンは市場から容易に入手できるもの(市販トリフェニルホスフィン)でよい。この市販トリフェニルホスフィンもそのまま、本発明の反応に用いることもできるし、適当な方法により精製等してから用いてもよい。
本発明の反応では、前記ニッケル化合物としてゼロ価ニッケル化合物を用いた場合であっても、反応系中でニッケル自身が酸化され、高原子価状態(1、2又は3価)になることがある。
金属還元剤は、反応系中で高原子価状態のニッケルを還元できる還元能を有するものであり、例えば、亜鉛、マグネシウム、マンガン、アルミニウム及びナトリウム等の金属が好ましく、取扱いが容易であることから、亜鉛、マグネシウム及びマンガンが好ましく、前記還元能が良好であることから亜鉛がより好ましい。
金属還元剤の形状は、取扱いが良好であることから、粉末状又は削り状のものが用いられる。金属還元剤の使用量は、用いる全ての芳香族化合物(1)の総量1モルに対して、1モル以上であれば、その上限は特に制限されないが、多すぎると、反応後の後処理が煩雑になり、経済的にも不利になりやすいため、10モル以下が好ましく、5モル以下がさらに好ましい。なお、この金属還元剤として複数種を用いる場合は、その合計モル量が前記の範囲であればよい。
本発明の反応は、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)(以下、これらのトリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)を総じて「配位子化合物」ということもある。)から調製された触媒の存在下で進行する。当該触媒は、中心金属であるニッケル原子に、トリフェニルホスフィン及び/又はトリアリールホスフィン(i)が配位子として結合したニッケル錯体である。該ニッケル錯体の調製方法については特に限定されないが、例えば、
(イ)ニッケル化合物と、トリフェニルホスフィンから調製した錯体と、別途ニッケル化合物とトリアリールホスフィン(i)から調製した錯体と、を準備し、これらの錯体同士を混合する方法(ここで、各錯体は、混合する前に精製して用いてもよい。);
(ロ)適当な溶媒中でニッケル化合物と一方の配位子化合物とから錯体を調製し、この錯体を含む溶液に、他方の配位子化合物を加える方法;
(ハ)適当な溶媒に、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)を加えてニッケル錯体を調製する方法;
を挙げることができる。かくして得られたニッケル錯体は精製してから、本発明の製造方法に使用してもよいし、該ニッケル錯体を含む溶液をそのまま、本発明の製造方法に供してもよい。また、本発明の製造方法では後述のように、ニッケル化合物、トリアリールホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)と、前記芳香族化合物(1)と、を同時に反応器に仕込み、ニッケル錯体の調製を、前記芳香族化合物(1)から共役芳香族(高分子)化合物への反応と、略同時に行うことが、操作が簡便であり好ましい。
該ニッケル錯体調製に係る、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)の混合比について説明する。トリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)の合計物質量に対して、トリフェニルホスフィンの使用モル量の割合は0.01〜0.99の範囲が好ましく、0.1〜0.9の範囲がさらに好ましい。
また、トリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)の総物質量は、ニッケル化合物1モルに対して、0.2〜20モルの範囲が好ましく、1〜4モルの範囲がさらに好ましい。
上述のようにしてニッケル錯体は調製されるが、かかる調製は溶媒中で実施されることが好ましい。このようにニッケル錯体の調製に溶媒を使用すると、反応混合物の色相の変化により、ニッケル錯体が調製されたことを判別することができる。
ニッケル錯体の調製に用いられる溶媒としては、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素溶媒;テトラヒドロフラン及び1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒;ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒等が挙げられる。かかる溶媒は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも、エーテル溶媒及び非プロトン性極性溶媒が好ましく、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン及びN,N−ジメチルアセトアミドから選ばれる少なくとも1種の溶媒がより好ましい。
すでに述べたとおり、本発明の製造方法は、ニッケル錯体の調製を、芳香族化合物(1)から共役芳香族化合物への反応と、略同時に行うことが好ましい。以下、このような本発明の製造方法について詳述する。この場合の製造方法は、芳香族化合物(1)、ニッケル化合物、金属還元剤、トリフェニルホスフィン、トリアリールホスフィン(i)及び溶媒を同一の反応器中に仕込み、混合することにより実施され、これらの仕込順は、特に制限されない。予め、溶媒、ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン及びトリアリールホスフィン(i)を混合することによりニッケル錯体を調製しておき、得られたニッケル錯体に、芳香族化合物(1)及び金属還元剤を混合してもよいし、予めニッケル錯体を調製せずに、溶媒、ニッケル化合物、金属還元剤、トリフェニルホスフィン、トリアリールホスフィン(i)及び芳香族化合物(1)を混合してもよい。なお、このようにニッケル錯体の調製と、芳香族化合物(1)から共役芳香族(高分子)化合物への反応と、略同時に行う場合には、溶媒の使用量は、芳香族化合物(1)1重量部に対して、1〜200重量部の範囲が好ましく、5〜100重量部の範囲がさらに好ましい。
次に、ニッケル錯体、金属還元剤、芳香族化合物(1)及び溶媒を含む混合物を所定の反応温度まで加熱又は冷却する。該所定の反応温度は、0〜150℃の範囲であり、好ましくは30〜100℃の範囲である。反応時間は0.5〜48時間の範囲から選択され、クロマトグラフィー分析等を使用して、芳香族化合物(1)等の消費の度合いや共役芳香族(高分子)化合物の生成の度合いを求めて、反応の終点を決定することもできる。生成物が芳香族ポリマーである場合には、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析等により、生成したポリマーが所望の分子量に到達したことを求めて、反応の終点を決定してもよい。
本発明の製造方法は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で実施されることが好ましい。
反応後の反応混合物は室温(約23℃)程度まで戻した後、たとえば、抽出、再結晶、再沈殿又はクロマトグラフィー等の精製操作、あるいはこれらを組み合わせた精製操作を行うことにより、目的物である共役芳香族化合物又は芳香族ポリマーを、精製又は単離することができる。
<共役芳香族化合物・芳香族ポリマー>
次に、本発明の製造方法により得られる共役芳香族化合物及び芳香族ポリマーについて説明する。
芳香族化合物(1a)を用いた場合、前記式(1a)で示される共役芳香族化合物を高収率で得ることができる。また、芳香族化合物(1b)を用いた場合、前記式(1b)で示される構造単位を有し、高分子量の芳香族ポリマーを得ることができる。また、芳香族ポリマーを製造する場合には、反応時間等を調節することで、ポリスチレン換算の重量平均分子量で表して、1,000〜2,000,000の範囲の芳香族ポリマーとすることもできる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
実施例1〜8及び比較例1〜5に記載の共役芳香族化合物の収量は、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、内部標準法(内部標準物質:ビフェニル)により求めた。測定条件を下記に示す。
GC測定装置 SHIMADZU社製 GC−2010
カラム J&W社製 DB−1
(膜厚0.25μm、長さ30m、内径0.2mm)を接続
注入モード スプリット(スプリット比63)
気化室温度 250℃
検出器(FID)温度 250℃
測定カラム温度 100℃で10分保持後、10℃/分で260度まで昇温
実施例9〜11及び比較例6に記載の共役芳香族化合物の分子量(重量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン換算の分子量であり、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、下記条件で測定した。
GPC測定装置 SHIMADZU社製 CTO−10A
カラム TOSOH社製 TSK−GEL GMHHR−Mを接続
カラム温度 40℃
移動相溶媒 DMAc(LiBrを10mmol/dmになるように添加)
溶媒流量 0.5mL/min
[実施例1]
冷却装置を備えたガラス製反応器に、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で、臭化ニッケル8mg、トリフェニルホスフィン9mg、トリ−p−トリルホスフィン[トリアリールホスフィン(i)]11mg及び亜鉛粉末96mgを仕込んだ。その後、室温で2−クロロアニソール[芳香族化合物(1a)]100mg及びN,N−ジメチルアセトアミド2mLを加えた。70℃まで昇温後、同温度を保持して、3時間攪拌した。GC分析から、2,2’−ジメトキシビフェニル[共役芳香族化合物]が34mg得られたことが判明した(収率45%)。
[実施例2]
実施例1において、トリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりに、トリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン[トリアリールホスフィン(i)]16mgを用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。GC分析から、2,2’−ジメトキシビフェニルが32mg得られたことが判明した(収率44%)。
[比較例1]
実施例1において、トリフェニルホスフィン9mg及びトリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりに、トリフェニルホスフィン18mgを用いた以外は実施例1と同様の実験を行った。GC分析から、2,2’−ジメトキシビフェニルが19mg得られたことが判明した(収率26%)。
[実施例3]
冷却装置を備えたガラス製反応器に、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で、臭化ニッケル8mg、トリフェニルホスフィン9mg、トリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン16mg及び亜鉛粉末96mgを仕込んだ。その後、室温で4−クロロアニソール100mg及びN,N−ジメチルアセトアミド2mLを加えた。70℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌した。GC分析から、4,4’−ジメトキシビフェニルが24mg得られたことが判明した(収率31%)。
[比較例2]
実施例3において、トリフェニルホスフィン9mg及びトリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン16mgの代わりに、トリフェニルホスフィン18mgを用いた以外は実施例3と同じ実験を行った。GC分析から、4,4’−ジメトキシビフェニルが6mg得られたことが判明した(収率10%)。
[実施例4]
冷却装置を備えたガラス製反応器に、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で、臭化ニッケル8mg、トリフェニルホスフィン9mg、トリ−p−トリルホスフィン11mg及び亜鉛粉末96mgを仕込んだ。その後、室温で4−クロロトルエン[芳香族化合物(1a)]89mg及びN,N−ジメチルアセトアミド2mLを加えた。70℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌した。GC分析から、4,4’−ジメチルビフェニル[共役芳香族化合物]が24mg得られたことが判明した(収率38%)。
[実施例5]
実施例4において、トリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりにトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン[トリアリールホスフィン(i)]15mgを用いた以外は実施例4と同じ実験を行った。GC分析から、4,4’−ジメチルビフェニルが27mg得られたことが判明した(収率43%)。
[比較例3]
実施例4において、トリフェニルホスフィン9mg及びトリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりにトリフェニルホスフィン18mgを用いた以外は実施例4と同じ実験を行った。GC分析から、4,4’−ジメチルビフェニルが11mg得られたことが判明した(収率17%)。
[実施例6]
冷却装置を備えたガラス製反応器に、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で、臭化ニッケル8mg、トリフェニルホスフィン9mg、トリ−p−トリルホスフィン11mg及び亜鉛粉末96mgを仕込んだ。その後、室温で4’−クロロアセトフェノン[芳香族化合物(1a)]108mg及びN,N−ジメチルアセトアミド2mLを加えた。70℃まで昇温後、同温度で3時間攪拌した。GC分析から、4,4’−ジアセチルビフェニル[共役芳香族化合物]が64mg得られたことが判明した(収率79%)。
[実施例7]
実施例6において、トリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりにトリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン16mgを用いた以外は実施例6と同じ実験を行った。GC分析から、4,4’−ジアセチルビフェニルが62mg得られたことが判明した(収率75%)。
[実施例8]
実施例6において、トリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりにトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン15mgを用いた以外は実施例6と同じ実験を行った。GC分析から、4,4’−ジアセチルビフェニルが48mg得られたことが判明した(収率57%)。
[比較例4]
実施例6において、トリフェニルホスフィン9mg及びトリ−p−トリルホスフィン11mgの代わりにトリフェニルホスフィン18mgを用いた以外は実施例6と同じ実験を行った。GC分析から、4,4’−ジアセチルビフェニルが38mg得られたことが判明した(収率45%)。
[実施例9]
冷却装置を備えたガラス製反応容器に、窒素雰囲気下、室温(約23℃)で、臭化ニッケル8mg、トリフェニルホスフィン9mg、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン15mg、2,5−ジクロロ−4’−フェノキシベンゾフェノン[芳香族化合物(1b)]240mg、亜鉛粉末96mg及びN,N−ジメチルアセトアミド2mLを仕込んだ。70℃まで昇温後、同温度で4時間攪拌し、下記式
Figure 2011073978
で示される構造単位からなる芳香族ポリマーを得た。GPC分析から求められた当該芳香族ポリマーのMwは49,000であった。
[実施例10]
実施例9において、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン15mgの代わりに、トリ−p−トリルホスフィン11mgを用いた以外は実施例9と同じ実験を行った。GPC分析から求められた芳香族ポリマーのMwは26,000であった。
[実施例11]
実施例9において、トリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン15mgの代わりに、トリス(p−トリフルオロメチルフェニル)ホスフィン16mgを用いた以外は実施例9と同じ実験を行った。GPC分析から求められた芳香族ポリマーのMwは25,000であった。
[比較例6]
実施例9において、トリフェニルホスフィン9mg及びトリス(4−メトキシ−3,5−ジメチルフェニル)ホスフィン15mgの代わりに、トリフェニルホスフィン18mgを用いた以外は実施例9と同じ実験を行った。GPC分析から求められた芳香族ポリマーのMwは9,000であった。
本発明の製造方法は、医薬又は農薬の分野において有用な共役芳香族化合物を、高収率で製造することが可能となる。また、情報、エネルギー分野における部材の構成材料として有用な高分子量の芳香族ポリマーを製造することができる。

Claims (2)

  1. ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン、及び下記式(i)
    Figure 2011073978
    (式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。ただし、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。)
    で示されるトリアリールホスフィン(i)から調製される触媒と、
    金属還元剤と、
    の存在下、以下の式(1a)
    Figure 2011073978
    (式中、Arはベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピロール環及びピリジン環からなる群から選ばれる芳香環を含む芳香族基を表し、Xはヨージド基、ブロモ基及びクロロ基からなる群より選ばれる脱離基を表し、Xは前記芳香環に直接結合している。pが2である場合、2つのXは同じでも異なっていてもよい。)
    で示される芳香族化合物をカップリング反応させる工程を有する式(10a)
    Figure 2011073978
    で示される共役芳香族化合物の製造方法。
  2. ニッケル化合物、トリフェニルホスフィン、及び下記式(i)
    Figure 2011073978
    (式中、R、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のフルオロアルキル基又は炭素数1〜20のアルコキシ基を表す。ただし、R、R及びRの全てが水素原子であることはない。)
    で示されるトリアリールホスフィン(i)から調製される触媒と、
    金属還元剤と、
    の存在下、以下の式(1b)
    Figure 2011073978
    (式中、pは1又は2を表す。Arはベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環、アントラセン環、フェナントレン環、チオフェン環、ピロール環及びピリジン環からなる群から選ばれる芳香環を含む芳香族基を表し、Xはヨージド基、ブロモ基及びクロロ基からなる群より選ばれる脱離基を表し、Xは前記芳香環に直接結合している。pが2である場合、2つのXは同じでも異なっていてもよい。)
    で示される芳香族化合物をカップリング反応させる工程を有する式(10b)
    Figure 2011073978
    で示される構造単位を有する共役芳香族高分子化合物の製造方法。
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