JP2011072609A - 薬剤揮散器 - Google Patents

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Abstract

【課題】容器の内部に収容した処方液を揮散させる薬剤揮散器において、任意形状の絵柄を局所的に表出させることが可能な揮散部を有する薬剤揮散器を提供する。
【解決手段】絵柄表示領域100の植毛領域140の先端部には、処方液の色素が蓄積される。その結果、絵柄表示領域100の植毛領域の先端部における色素の色が徐々に濃くなる。これにより、明瞭に花柄模様を揮散部に浮かび上がらせることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、容器の内部に収容した処方液を揮散させる薬剤揮散器に関する。なお、本明細書において「処方液」とは、薬剤揮散器に付与すべき機能(芳香効果/消臭効果/脱臭効果/防虫効果など)に応じた薬剤が処方された液体を意味するものとする。
たとえば、家庭やマイカー等の室内空間の臭気による不快感をなくし、快適な空間を生み出すために、芳香剤等を自然に揮散させる小型の薬剤揮散器(芳香器)が広く使用されている。
この薬剤揮散器には、ゲル状、固形状、液状などの薬剤が用いられている。液状の薬剤(薬液)を用いる薬剤揮散器は、一般に、上部に開口部を有し薬液を収納する容器と吸上揮散部材とを備え、吸上揮散部材の一端部が薬液に浸漬され、他端部が容器の開口部から室内空間部に露出可能に構成されている。
吸上揮散部材による吸上揮散には、通常毛細管現象が利用されており、吸上部で処方液を吸い上げ、揮散部で空気中に薬液を揮散させるようになっている。そのため、吸上揮散部材には、たとえば、フエルトなどの不織布、パルプや合成繊維等の繊維質の材料が軽く固められた吸水性のあるものが利用されている。
特許文献1および2には、容器内に収容された吸上揮散部材を容器上部の開口から外気に露出するように引き上げることで、容器内の芳香液が吸上揮散部材から揮散される構成の芳香器が開示されている。
特許文献3には、容器内の芳香液が吸い上げ芯材により吸上げられ、吸い上げ芯材の上部に設けられた揮散部材から容器内の芳香液が揮散される構成の芳香消臭器が開示されている。
特許文献4には、装飾性のある吸水性基材の先端に複数の色に着色した結晶が析出する構成の装飾体が開示されている。
特許文献5には、容器の外部に露呈する吸上揮散部材を有し、吸上揮散部材に供給された溶媒を揮発させることで、吸上揮散部材に絵柄が表出する構成の揮散器が開示されている。
特許文献6には、絵柄を印刷したシートに、揮発性薬剤と色素を混合したワックス剤を塗布し、薬剤が約80%揮発することでシート絵柄が表出する構成の機能材が開示されている。
特許文献7には、ガス不透過層と、薬剤浸透により屈折率の変わる基剤と、薬剤透過性基剤とからなり、3段階で減量とともに絵柄が変化する構成の薬液剤揮散装置が開示されている。
上記した薬剤揮散器は、家庭(リビング、玄関、トイレ等)やマイカー等の人の目に触れる場所に設置される場合が多い。そのため、薬剤揮散器にもインテリア性が求められる結果、外観におけるインテリア性が重要視され、容器についてはデザイン性が重視されている。一方、容器から露出する部分を有する吸上揮散部材については、露出面積(揮散面積)を大きく確保するという機能面が重視される一方、吸上揮散部材のデザイン性については十分考慮されていない。
上記特許文献5では、吸上揮散部材に供給された溶媒を揮発させることで、吸上揮散部材に模様が表出する構成が採用されているが、吸上揮散部材の先端部が色素により色付くことにより芳香の効果を視覚的に認知できるものの、任意形状の絵柄を局所的に付すことでデザイン性を向上させることについては考慮されていない。
特開2005−000329号公報 特開2007−105447号公報 特開2008−086528号公報 特開平07−329498号公報 特開2004−329794号公報 特開2003−033428号公報 特開平09−117243号公報
この発明は上記課題を解決するためになされたもので、容器の内部に収容した処方液を揮散させる薬剤揮散器において、任意形状の絵柄や文字を局所的に表出させることが可能な揮散部を有する薬剤揮散器を提供することを目的とする。
この発明に基づいた薬剤揮散器においては、開口部を有する容器と、上記容器に収容され揮発性液体に不揮発性物質を配合した処方液と、上記開口部に配置され、上記処方液を吸い上げ、上記処方液中の揮発性液体を揮散させる吸上揮散部材とを備える。
上記吸上揮散部材は、分離して設けられた吸上げ部と揮散部とを含み、使用時に上記吸上げ部と上記揮散部とが接触するように設けられ、上記揮散部は、上記処方液を吸い上げる繊維層と、上記繊維層の表面を覆う表面層と、上記表面層の上の一部に形成される絵柄表示領域とを含む。
上記絵柄表示領域は、毛細管現象により先端部に向けて上記処方液がより吸上げられるように、上記絵柄表示領域の表面粗さが、上記絵柄表示領域が設けられていない領域の上記吸上揮散部材の表面粗さよりも大きく設けられ、上記表面層の上記繊維層側には凹凸処理が施されている。
この発明に基づいた薬剤揮散器によれば、任意形状の絵柄や文字を局所的に表出させることが可能な揮散部を有する薬剤揮散器を提供することを可能とする。
実施の形態における薬剤揮散器の使用前の全体構成を示す断面図である。 実施の形態における薬剤揮散器の使用時の全体構成を示す断面図である。 実施の形態における揮散部の断面構造を示す図である。 実施の形態における揮散部に設けられる絵柄領域を示す図であり、(A)は変化前の状態を示す図であり、(B)は変化後の状態を示す図である。 実施の形態における揮散部の他の形態を示す断面図である。 実施の形態における揮散部のさらに他の形態を示す断面図である。
以下、本発明の各実施の形態における薬剤揮散器について、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。また、以下に複数の実施の形態が存在する場合、特に記載がある場合を除き、各々の実施の形態の構成を適宜組み合わせることは、当初から予定されている。
(薬剤揮散器1Aの全体構成)
本実施の形態における薬剤揮散器1Aは、後述する吸上部6aと揮散部6bとは切り離されており、使用時に両者が接触し、処方液4が吸上部6aから揮散部6bに移動するように構成したものである。
図1を参照して、使用前における本実施の形態における薬剤揮散器1Bの全体構成について説明する。吸上部6aは、容器3の開口部2に設けられた支持部材15により保持されている。吸上部6aの先端の一部が容器3の開口部2から突出した状態で支持部材15により保持されている。容器3の開口部2から突出した吸上部6aの上部を覆うようにキャップ16が開口部2の外周に螺合している。
容器3の上部に、揮散部6bを支持する揮散部支持部材17が、容器3に対して取り外し可能な状態で固定されている。揮散部6bは、その表面部分が外部に露出した状態で揮散部支持部材17に支持されている。
図2を参照して、薬剤揮散器1Bの使用時の状態について説明する。使用時には、容器3から揮散部支持部材17を一旦取り外す。次に、容器3の開口部2からキャップ16を取り除く。次に、揮散部支持部材17を容器3に再度固定する。
これにより、容器3の開口部2から突出している吸上部6aの先端が、揮散部支持部材17に支持されている揮散部6bと接触する状態となり、処方液4が吸上部6aから揮散部6bに移動可能となる。揮散部支持部材17の内周に設けられた凸部17aが、容器3の溝部3aに嵌まることで、容器3に対する揮散部支持部材17の固定が可能となる。
揮散部支持部材17に設けられた凸部17aが、容器3に設けられた複数の溝部3a、所定の溝部3aに嵌まることで、容器3に対する揮散部支持部材17の位置決めが行なわれる。
このように、吸上部6aと揮散部6bとが使用時に接触するように構成されている場合には、揮散部6bの形状は、ブロック状、円板状、その他のより複雑な形状など、様々な形状を採用することができる。
(揮散部6b)
図3を参照して、絵柄表示領域100を有する揮散部6bの詳細断面構造について説明する。揮散部6bは、処方液4を吸い上げる繊維層110と、繊維層110の表面側を覆う表面層120と、表面層120の一部において、接着剤層130により表面層120に対して垂直方向に延びる繊維が付着され、絵柄表示領域100を構成する植毛領域140とを有している。また、表面層120の繊維層110側には凹凸処理120eが施されている。なお、絵柄表示領域100とは、絵、柄、模様若しくは文字又はこれらの結合によって構成される領域が他の領域との色彩の相違により浮かび上がるようにして表示される領域をいう。
繊維層110は、毛細管現象を利用した処方液4の吸上・揮散効果に優れた機能が求められる。繊維としては植物繊維やパルプなどの天然繊維やレーヨン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成繊維又はそれらの混合繊維などの繊維質材料で構成することができる。
なお、処方液4として、揮発性の水系液体に不揮発性物質(色素)を配合した処方液が用いられる場合には、植物繊維やパルプなどの天然繊維、レーヨンが好適であり、処方液4として、揮発性の油系液体に不揮発性物質(色素)を配合した処方液が用いられる場合には、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンが好適である。
繊維層110は、植物繊維やパルプなどの天然繊維やレーヨン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成繊維又はそれらの混合繊維などの繊維質材料に低融点繊維(融点の低いポリプロピレンやポリエチレンなどの合成繊維)を混合して熱溶着させるサーマルボンド法やエアレイド法、あるいは繊維同士を絡ませるニードルパンチ法などの製法によって製造され、全体の形が保持されている。この他、織物、編物などの層であってもよい。
繊維層110の厚さは特に限定されないが、容器3の大きさ、取り扱い性、付与すべき機能(芳香効果/消臭効果/脱臭効果/防虫効果など)の観点から、約2mm〜約20mm程度が好ましい。
また、繊維層110は必ずしも繊維質材料の層で構成されていなくてもよい。毛細管現象を利用した処方液の吸い上げが可能であれば、たとえば、編織物、発泡ウレタンなどの合成樹脂製のスポンジ材料を用いることもできる。
表面層120は、内部の繊維層110を構成する繊維質材料の形状を保持する機能を有するとともに、揮散部6bに引張りなどの外力に耐える強度を与える効果を有している。また、繊維層110に表面層120を設けることで、繊維層110の表面の毛羽立ちを抑制し、表面層120からの処方液4の揮散量の調節、および処方液4中への繊維の溶出を防止することもできる。
表面層120には、レーヨン、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの繊維で構成される不織布や、パルプなどの紙状のものが用いられる。厚さは、目付けにもよるが、約0.1mm〜1mm程度が好ましい。繊維層120としては、スパンボンド法、スパンレース法、サーマルボンド法などによって製造される不織布が好適であり、この繊維層120は、表面に対してほぼ水平方向に繊維が並んで、全体の形が保持されている。
また、表面層120の繊維層110側には凹凸処理としてエンボス加工120eが施されている。エンボスの個数は、1cm〜5cm当りに1個程度、エンボス1個当りの横断面積は0.01mm〜3mm、エンボス加工の凹凸の程度は、0.2mm〜1mm程度が好ましい。
なお、表面層120の繊維層110側に設けられる凹凸処理はエンボス加工に限定されず、同様の凹凸を形成するものであれば、どのような加工でもかまわない。
植毛領域140は、アクリル、ポリエステル、ナイロンなど静電気を帯びやすい繊維で構成され、露出する部分の長さは、5mm以下であることが好ましい。また、植え込みの本数は、1cm当り1000本〜10万本、より好ましくは1万本〜5万本程度が好ましい。
(揮散部6bの製造方法)
揮散部6bは、次の方法によって製造することができる。揮散部6bの繊維層110を構成する主な繊維は、前述のように植物繊維やパルプなどの天然繊維、人造繊維又はそれらの混合繊維などであり、はじめに、それらの繊維質材料を砕いて短くする。その繊維質材料に熱融着性繊維をできるだけ均一に混合する。この混合物により、たとえば、シート状のウエブを形成する。
表面層120を形成する場合には、繊維層110の両面に、たとえば、薄いレーヨンなどの繊維を重ね合わせる。次に、表面層120でサンドイッチされたウエブを熱融着性繊維の溶融温度より高い温度であって、その他の材料が熱による損傷を受けない温度以下に加熱する。この加熱によって、繊維層110の形が保持された吸上揮散部材6の繊維層110を形成することができる。
熱融着性繊維としては、たとえば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維等を使用することができる。なお、バインダには、熱融着性繊維以外に、液状のバインダを利用することもできる。
植毛領域140は、次の方法によって形成することができる。表面層120の所定領域に接着剤層130を印刷し、この印刷され接着剤層130に、短く切断された繊維に静電気を帯びさせることで、表面層120に対して垂直方向に延びる繊維が付着された植毛領域140が形成される。接着剤層130の材料として、ウレタン、アクリル、酢酸ビニルなどを用いる。接着剤層130にこれらの材料を用いることで、植毛領域140における繊維への処方液4の吸い上げは妨げられることはない。
(処方液4)
本実施の形態おいて用いる処方液4について説明する。処方液4に、揮発性の水系液体に不揮発性物質を配合したものを用いる場合には、揮発性の水系液体としては、水、その他比較的親水度の高い溶剤を主成分(の溶媒)として用いることができる。比較的親水度の高い溶剤としては、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、ジプロピレングリコール、エタノール等を挙げることが可能であるが、撥水性層による撥水効果が妨げられない限り、これらに限定されない。香料等の揮発性の油系成分を配合したい場合は、界面活性剤等を用いて公知の方法で適宜、可溶化や乳化をすることができる(油系成分を配合する場合も、撥水性層による撥水効果が妨げられない限り許容される)。
例えば、処方液4を水系の液体芳香剤とする場合、水94%、非イオン界面活性剤(ポリオキシアルキレン分岐デシルエーテル)3%、ラベンダー調の調合香料2%、溶剤(3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール)1%として、揮発性の水系液体を調製することができる。
上記のようにして調合した揮発性の水系液体をベースとして、不揮発性物質として適当量(微量)色素や顔料が用いられる。たとえば、食用黄色4号、食用青色1号、Acid Red 52、Pigment Blue 15:3、Pigment Violet 23、Pigment Yellow 17等が例示されるが、これらに特に限定されるものではない。この他に、必要に応じて界面活性剤、乳化剤、防腐剤、UV吸収剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤、忌避剤などが適宜配合される。
処方液4に、揮発性の油系液体に不揮発性物質を配合したものを用いる場合には、揮発性の油系液体としては、香料や油系の溶剤を主成分として用いることができる。油系溶剤としては、イソパラフィン、ポリブテン、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル等を挙げることが可能であるが、親油性層への吸収が促進される限り、これらに限定されない。この場合も、少量の水性の成分(消臭剤等の有効成分)を配合したい場合は、界面活性剤等を用いて、公知の方法で適宜、可溶化や乳化をすることができる(水性成分を配合する場合も、親油性層による吸収促進が妨げられない限り許容される)。
例えば、処方液4を油系の液体芳香剤とする場合、油系溶剤(イソパラフィン)70%、ラベンダー調の調合香料30%、として調製することができる。
上記のようにして調合した揮発性の油系液体をベースとして、不揮発性物質として適当量(微量)の色素や染料が加えられる。たとえば、Solvent Green 29、Solvent Red 146、Disperse Yellow 54等が例示されるが、これらに特に限定されるものではない。この他に、必要に応じて界面活性剤、乳化剤、防腐剤、UV吸収剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤、忌避剤などが適宜配合される。
以上、本実施の形態における薬剤揮散器1Aによれば、揮散部6bに植毛領域140により形成された絵柄表示領域100が形成されている。これにより、処方液4は、毛細管現象により、繊維層110、表面層120を通じて、絵柄表示領域100の植毛領域140の先端部に吸上げられ揮発する。
その結果、図4(A)に示すように、使用開始時は処方液4が上がっていないため、絵柄表示領域100は他の領域と同じ色調であるが、揮散部6bにおいては、植毛領域140が設けられていない領域に比べて、時間の経過とともに、絵柄表示領域100の植毛領域140の先端部には、処方液4の色素がより多く蓄積される。これにより、絵柄表示領域100の植毛領域の先端部における色素の色が徐々に濃くなり、図4(B)に示すように、明瞭に花柄模様が絵柄表示領域100に浮かび上がり、絵柄表示領域100においては、絵柄表示領域100が設けられていない領域よりも、絵柄表示領域100が設けられている領域における色彩の変化が人の目により明確に感知されることとなる。これにより、薬剤揮散器1Aの使用感を高め、また、薬剤揮散器1Aに付与される薬剤等の効果感・効き目感を高めることが可能となる。
また、図3に示す構成では、表面層120の繊維層110側にエンボス加工120eを施すことにより、表面層120と繊維層110と点接触状態となり、繊維層110の表面と表面層120との間に一定の距離が確保されることになる。その結果、繊維層110により吸上げられた処方液4の色は、表面層120には殆ど写らないことから、図4(B)に示すように、より明瞭に花柄模様を絵柄表示領域100に浮かび上がらせることができる。
また、図5に示すように、繊維層110の上に表面層120を設け、この表面層120の上面側にエンボス加工120eを施し、このエンボス加工120eの上にさらに別の表面層121を設け、この表面層121の上に絵柄表示領域100を設ける構成を採用することも可能である。
なお、揮散部6bの構成として、図4においては、繊維層110の上に表面層120を形成し、この表面層120の上に接着層130により植毛領域140を形成する場合について説明したが、この構造に限られない。たとえば、図6に示すように、表面層120に繊維が表面に沿って平行に延びる繊維を用いる場合には(たとえばカーテン生地等)、植毛領域140を構成する短い繊維を直接表面層120に植毛させる構造を採用することも可能である。また、短い繊維を直接植毛させる構造としては、パイル状の繊維を切断することにより形成することができる。
なお、絵柄表示領域100の一例として、植毛領域140を用いた場合について説明したが、この構成に限定されるものではない。たとえば、揮散部6bにおいて絵柄表示領域100が形成される領域の表面粗さが、絵柄表示領域100が形成されない領域の表面粗さよりも大きい場合には、毛細管現象により表面粗さが大きい方に処方液4がより吸上げられ揮散することになる。
たとえば、上述したように絵柄表示領域100に植毛領域140を用いた場合には、植毛領域140部分における表面粗さは、摩擦係数で表され、その値が0.4μ〜1.0μ(ミュー)(カトーテック(株)KES−SE 摩擦感テスターで測定:測定条件 感度=H、SPEED=1.0mm/s、静荷重=50g)であり、0.4μ〜0.8μとするのが好ましい。植毛領域140が設けられていない揮散部6bにおける表面粗さは、摩擦係数の値が0.3μ以下であり、0.2μ以下とするのが好ましい。
したがって、揮散部6bにおいて絵柄表示領域100が設けられる領域の表面粗さは、0.4μ以上、絵柄表示領域100が設けられない領域の表面粗が0.3μ以下であれば、表面粗さの大きい絵柄表示領域100において、毛細管現象により処方液4はより吸上げられ揮散が促される。その結果、絵柄表示領域100における色素の色が、絵柄表示領域10が設けられていない領域と比較してより濃くなり、明瞭に花柄模様を揮散部6bに浮かび上がらせることができる。
なお、上記各実施の形態では、絵柄表示領域100の一例として花柄を採用した場合について説明しているが、絵柄は花柄に限定されるものでなく、動物、建物、漫画のキャラクターその他の絵、柄、模様若しくは文字又はこれらの結合によって表示される領域を採用することで、揮散部のデザイン性を高めることが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1A 揮散器、2 開口部、3 容器、3a 溝部、4 処方液、6 吸上揮散部材、6a 吸上部、6b 揮散部、15 支持部材、16 キャップ、17 揮散部支持部材、17a 凸部、100 絵柄表示領域、110 繊維層、120,121 表面層、130 接着剤層、140 植毛領域。

Claims (5)

  1. 開口部を有する容器と、
    前記容器に収容され揮発性液体に不揮発性物質を配合した処方液と、
    前記開口部に配置され、前記処方液を吸い上げ、前記処方液中の揮発性液体を揮散させる吸上揮散部材と、
    を備え、
    前記吸上揮散部材は、分離して設けられた吸上げ部と揮散部とを含み、使用時に前記吸上げ部と前記揮散部とが接触するように設けられ、
    前記揮散部は、前記処方液を吸い上げる繊維層と、前記繊維層の表面を覆う表面層と、前記表面層の上の一部に形成される絵柄表示領域とを含み、
    前記絵柄表示領域は、毛細管現象により先端部に向けて前記処方液がより吸上げられるように、前記絵柄表示領域の表面粗さが、前記絵柄表示領域が設けられていない領域の前記吸上揮散部材の表面粗さよりも大きく設けられ、
    前記表面層の前記繊維層側には凹凸処理が施されている、薬剤揮散器。
  2. 前記絵柄表示領域は、前記表面層の表面に対して略垂直方向に延びる植毛領域である、請求項1に記載の薬剤揮散器。
  3. 前記絵柄表示領域の摩擦係数が、前記絵柄表示領域が設けられていない領域の前記吸上揮散部材の摩擦係数よりも大きく設けられる、請求項1または2のいずれかに記載の薬剤揮散器。
  4. 前記絵柄表示領域の摩擦係数は、0.4μ以上であり、
    前記絵柄表示領域が設けられていない領域の前記吸上揮散部材の摩擦係数は、0.3μ以下である、請求項3に記載の薬剤揮散器。
  5. 前記不揮発性物質は色素である、請求項1から4のいずれかに記載の薬剤揮散器。
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