JP2011070022A - 電気泳動粒子分散液、表示媒体、表示装置、及び電気泳動粒子 - Google Patents

電気泳動粒子分散液、表示媒体、表示装置、及び電気泳動粒子 Download PDF

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Abstract

【課題】電気泳動性粒子の帯電性が向上した電気泳動粒子分散媒を提供すること。
【解決手段】シリコーンオイルを含む分散媒50と、前記分散媒に分散され、電界に応じて移動する電気泳動粒子(その粒子群34)であって、表面に極性基を持つ電気泳動粒子と、を具備し、分散媒60、及び電気泳動粒子の少なくとも一つが、ホウ素化合物からなるルイス酸性化合物を含む電気泳動粒子分散液。
【選択図】図1

Description

本発明は、 電気泳動粒子分散液、表示媒体、表示装置、及び電気泳動粒子に関するものである。
画像維持性(所謂メモリー性)を有するディスプレイとして電気泳動表示媒体が盛んに研究されている。本表示方式では、液体中に帯電した電気泳動粒子(電気泳動粒子)を用いて、電場付与によって泳動粒子をセル内(二枚の電極基板を重ねてその間に電気泳動材料を分散媒と共に封入した構成)の視野面及び背面へ交互に移動させることによって表示が行なわれる。
本技術では、電気泳動粒子が重要な要素になっており、様々な技術開発がなされている。例えば、低誘電率溶媒(例えば、石油系溶媒やシリコーンオイル等)を、電気泳動粒子を分散させる分散媒として用いた場合に、電気泳動粒子に電荷を付与する手法(電気泳動粒子に帯電させる手法)が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、分散媒中の電気泳動粒子を帯電させる手法として、電気泳動粒子を顔料、樹脂化合物、分散媒に対する溶解性が5重量%以下の電荷調整剤とで構成することが提案されている。
また、特許文献2、3では、例えば、分散媒中で電気泳動粒子に電荷を付与する手法として、酸塩基解離に基づく手法が開示されている.粒子表面に酸性基を有するが塩基性基を有しない粒子に対しては、塩基性基を有するシリコーンオイル溶媒に可溶な重合体を加えることにより、また粒子表面に塩基性基を有するが酸性基を有しない粒子に対しては、酸性基を有するシリコーンオイル溶媒に可溶な重合体を加えることにより、粒子表面の酸性基(塩基性基)と重合体中の塩基性基(酸性基)との酸塩基解離を利用して電気泳動粒子に荷電を付与する手法が提案されている。
特開2004−279732号公報 特公平8−23005号公報 特許第3936588号明細書
本発明の課題は、分散媒や電気泳動粒子にホウ素化合物を含ませない場合に比べ、電気泳動性粒子の帯電性が向上した電気泳動粒子分散媒を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
分散媒と、
前記分散媒に分散され、表面に極性基を持つ電気泳動粒子と、
を有し、
前記分散媒、及び前記電気泳動粒子の少なくとも一つが、ホウ素化合物からなるルイス酸性化合物を含む電気泳動粒子分散液。
請求項2に係る発明は、
前記ホウ素化合物が、下記構造式(A)及び下記構造式(B)で示される構造のうち、少なくも1つを有する化合物である請求項1に記載の電気泳動粒子分散液。
請求項3に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
前記一対の基板間に封入された、請求項1又は2に記載の電気泳動粒子分散液と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
請求項4に係る発明は、
少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、
前記一対の電極間に設けられた、請求項1又は2に記載の電気泳動粒子分散液を有する領域と、
を備えたことを特徴とする表示媒体。
請求項5に係る発明は、
請求項3又は4に記載の表示媒体と、
前記表示媒体の前記一対の基板間又は前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えた表示装置。
請求項6に係る発明は、
ホウ素化合物からなるルイス酸性化合物を含み、表面に極性基を持つ電気泳動粒子。
請求項7に係る発明は、
前記ホウ素化合物が、下記構造式(A)及び下記構造式(B)で示される構造のうち、少なくも1つを含む化合物である請求項6に記載の電気泳動粒子。
請求項1、2に係る発明によれば、分散媒や電気泳動粒子にホウ素化合物を含ませない場合に比べ、電気泳動性粒子の帯電性が向上した電気泳動粒子分散媒が提供される。
請求項3、4、5に係る発明によれば、分散媒や電気泳動粒子にホウ素化合物を含ませない場合に比べ、応答性に優れた画像表示が実現される。
請求項6、7に係る発明によれば、電気泳動粒子にホウ素化合物を含ませない場合に比べ、電気泳動性粒子の帯電性が向上した電気泳動粒子が提供される。
本実施形態に係る表示装置の概略構成図である。 本実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(電気泳動粒子分散液)
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液は、分散媒と、分散媒に分散され、電界に応じて移動し、表面に極性基を持つ電気泳動粒子と、を有する。そして、分散媒、及び電気泳動粒子の少なくとも一つが、ホウ素化合物からなるルイス酸性化合物を含んで構成されている。
本実施形態に係る表示用粒子分散液では、分散媒に、表面に極性基を持つ電気泳動粒子を分散させた系において、分散媒、及び電気泳動粒子の少なくとも一つに、ホウ素化合物を含ませることで、電気泳動性粒子の帯電性が向上される。
これは、ホウ素化合物がルイス酸性化合物として機能することから、ホウ素化合物が電気泳動粒子の帯電基として機能する極性基(イオン対)のうちアニオンと相互作用(アニオントラップ作用)を及ぼし、当該極性基(イオン対)の解離が促進され、電荷が付与されるためであると考えられる。
特に、分散媒として低誘電溶媒(例えば誘電率5.0以下)を含む存在下では、電気泳動粒子の極性基(イオン対)では、イオンを安定に存在させることが困難で、解離し難いことから、ホウ素化合物による上記相互作用(アニオントラップ作用)によって、当該解離を促進させることで、高い帯電性が得られるため有効である。
また、このホウ素化合物による上記相互作用(アニオントラップ作用)は、電気泳動粒子が持つ極性基が酸基、塩基のいずれのイオン対のアニオンにも及ぼすことから、当該酸基であっても塩基であっても解離が促進される。このため、電気泳動粒子は、正極・負極のいずれの極性であっても、帯電性の向上が実現される。
また、ホウ素化合物としてホウ素低分子化合物を分散媒に添加した場合、当該添加による分散媒の粘度上昇が少ないことから、電気泳動粒子の泳動性への影響が抑制される。
そして、上記本実施形態に係る電気泳動粒子分散液を適用した表示媒体や表示装置では、応答性に優れた画像表示が実現される。また、その他、電気泳動粒子による表示色の高い発色性も実現される。
ここで、ホウ素化合物は、分散媒、及び電気泳動粒子の少なくとも一つに含まれるが、具体的には、例えば、以下の形態が挙げられる。
・電気泳動粒子の内部に、例えばホウ素化合物が内添されて含む形態
・電気泳動粒子の表面に、例えばホウ素化合物が付着(外添)されて含む形態
・分散媒に、ホウ素化合物が添加されて含む形態
まず、ホウ素化合物について説明する。
ホウ素化合物は、ルイス酸性化合物として機能する化合物であることがよく、具体的には、例えば、下記構造式(A)及び下記構造式(B)で示される構造のうち、少なくも1つを有する化合物であることがよい。
また、ホウ素化合物は、低分子化合物(以下、ホウ素低分子化合物)、高分子化合物(以下、ホウ素高分子化合物)のいずれであってもよい。
ホウ素化合物がホウ素低分子化合物の場合、例えば、電気泳動粒子内部に内添させたり分散媒に含ませる。
また、ホウ素化合物がホウ素高分子化合物は、例えば、電気泳動粒子内部に内添させて含ませたり、電気泳動粒子を構成する高分子として当該粒子を構成させるよう含ませたり、電気泳動粒子表面に付着させて含ませたり、分散媒に含ませる。
ホウ素低分子化合物としては、下記構造式(2A)、構造式(2B−1)、及び構造式(2B−2)で示されるホウ素低分子化合物の少なくとも1種が挙げられる。
構造式(2A)中、Rは、水素原子、水酸基、又は酸素原子を含んでもよい炭化水素基を示す。
構造式(2B−1)中、R11、R12、及びR13は、それぞれ独立に、水素原子、−(CHCH、−((CHO)CHを示す。但し、n及びmは1以上の整数(望ましくは1以上15以下の整数)を示す。
構造式(2B−2)中、R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、−(CHCH、−((CHO)CHを示す。但し、n及びmは1以上の整数(望ましくは1以上15以下の整数)を示す。
構造式(2A)中、Rを表す酸素原子を含んでもよい炭化水素基としては、例えば、アルキル基、1価の芳香族基、又はこれら基を組み合わせた基(芳香族基にアルキル基が置換した基等)が挙げられ、また、これら基中に例えばエーテル基(−O−)、及びカルボニル基(−CO−)等から選択される基が含まれる炭化水素基、これら基に水酸基やカルボキシル基が置換した炭化水素基も挙げられる。
アルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキル基が挙げられ、望ましくは1以上8以下のアルキル基、より望ましくは1以上6以下のアルキル基である。アルキル基としては、直鎖状、分鎖状、又は環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソペンチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、イソノニル基、デシル基等が挙げられる。
1価の芳香族基としては、例えば、炭素数6以上14以下の芳香族基が挙げられ、望ましくは炭素数6以上10以下の芳香族基が挙げられる。
1価の芳香族基としては、具体的には、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
ここで、構造式(2A)で示されるホウ素低分子化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。無論、これに限られるわけではない。
構造式(2B−1)、又は構造式(2B−2)で示されるホウ素低分子化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。無論、これに限られるわけではない。
ホウ素低分子化合物の含有量は、分散媒に添加する場合、分散媒に対して0.001質量%以上20質量%以下がよく、電気泳動粒子に内添する場合、0.01質量%以上20質量%以下がよい。
なお、ホウ素低分子化合物は、1種単独で用いてもよいし、2以上併用してもよい。
一方、ホウ素高分子化合物としては、下記構造式(3A)、下記構造式(3B−1)及び下記構造式(3B−2)で示される繰り返し構造単位の少なくとも一つを含んで構成されるホウ素高分子化合物が挙げられる。
構造式(3A)中、Rは、酸素を含んでもよい炭化水素基を示す。
構造式(3A)中、Xは、下記連結基(3A−1)を示す。
構造式(3B−1)中、R21は、水素原子、−(CHCH、−((CHO)CHを示す。但し、n、mは1以上の整数(望ましくは1以上15以下の整数)を示す。
構造式(3B−1)、(3B−2)中、R211、R22、及びR23は、それぞれ独立に、それぞれ独立に、−(CH−、−((CHO)−を示す。但し、n、mは1以上の整数(望ましくは1以上15以下の整数)を示す。
なお、構造式(3A)、構造式(3B−1)、構造式(3B−2)中、nは1以上の整数を示す。
上記連結基(3A−1)中、Ra、Rb、Rcは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン基、水酸基、又は酸素原子を含んでよいアルキル基を示す。但し、「*」で示される結合手は、構造式(3A)中のRと結合する部位を示す。
構造式(3A)中、Rを表す酸素原子を含んでもよい炭化水素基としては、例えば、アルキレン基、2価の芳香族基、又はこれら基を組み合わせた基(2価の芳香族基とアルキレン基とが連結した基)が挙げられ、また、これら基中に例えばエーテル基(−O−)、及びカルボニル基(−CO−)等から選択される基が含まれる炭化水素基、これら基にこれら基中に水酸基やカルボキシル基が置換した炭化水素基も挙げられる。
アルキレン基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキレン基が挙げられ、望ましくは1以上8以下のアルキレン基、より望ましくは1以上6以下のアルキレン基である。アルキレン基としては、直鎖状、分鎖状、又は環状のいずれでもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソペンチレン基、アミレン基、へキシレン基、シクロへキシレン基、オクチレン基、エチルへキシレン基、イソノニレン基、デシレン基等が挙げられる。
2価の芳香族基としては、例えば、炭素数6以上14以下の芳香族基が挙げられ、望ましくは炭素数6以上10以下の芳香族基が挙げられる。
1価の芳香族基としては、具体的には、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
連結基(3A−1)中、Ra、Rb、Rcを表す酸素原子を含んでよいアルキル基としては、例えば、アルキル基が挙げられ、また、この基中に、例えばエーテル基(−O−)、及びカルボニル基(−CO−)等から選択される基が含まれる炭化水素基、この基に水酸基やカルボキシル基が置換した炭化水素基も挙げられる。
アルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下のアルキル基が挙げられ、望ましくは1以上8以下のアルキル基、より望ましくは1以上6以下のアルキル基である。アルキル基としては、直鎖状、分鎖状、又は環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソペンチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、エチルヘキシル基、イソノニル基、デシル基等が挙げられる。
構造式(3A)で示される繰り返し構造単位として具体的には、以下のものが挙げられる。無論、これに限られるものではない。
構造式(3B−1)又は構造式(3B−2)で示される繰り返し構造単位として具体的には、以下のものが挙げられる。無論、これに限られるものではない。
ホウ素高分子化合物は、構造式(3A)、構造式(3B−1)及び構造式(3B−2)で示される繰り返し構造単位(以下、ホウ素含有構造単位と称する)の少なくとも一つを重合成分とする単独重合体であってもよいし、2種以上を重合成分とする共重合体であってもよい。
また、ホウ素高分子化合物は、上記ホウ素含有繰り返し構造単位と、他の単量体に由来する繰り返し単位と、を重合成分とする共重合体であってもよい。この共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
ここで、他の単量体に由来する繰り返し構造単位となる他の単量体としては、例えば、非イオン性単量体(ノニオン性単量体)、極性基を持つ単量体、シリコーン鎖成分(シリコーン鎖単量体)、長鎖アルキル成分(長鎖アルキル単量体)が挙げられる。ホウ素高分子化合物は、これら単量体に由来する繰り返し構造単位を一つを組み合わせた共重合体からなる高分子化合物であってもよいし、これら単量体に由来する繰り返し構造単位を複数組み合わせた共重合体からなる高分子化合物であってもよい。
例えば、ホウ素高分子化合物は、極性基を持つ単量体に由来する繰り返し構造単位を有する場合、後述する電気泳動粒子を構成する高分子に代えて用い得る。
また、例えば、ホウ素高分子化合物は、シリコーン鎖成分(シリコーン鎖単量体)や、長鎖アルキル成分(長鎖アルキル単量体)に由来する繰り返し構造単位を有する場合、後述する高分子乳化剤に代えて用い得る。
なお、上記他の単量体の例示としては、後述する電気泳動粒子を構成する高分子、高分子乳化剤において例示するものが挙げられる。
ホウ素高分子化合物の重量平均分子量としては、例えば、10000以上10000以下がよい。
また、ホウ素高分子化合物は、他の単量体に由来する繰り返し構造単位との共重合体で構成される場合、上記ホウ素含有繰り返し構造単位の含有比率は、例えば、2重量%以上98重量%以下であることがよい。
次に、電気泳動粒子について説明する。
電気泳動粒子は、表面に極性基を持つ粒子であり、例えば、着色剤と極性基を持つ高分子とを含んで構成され、必要に応じて、その他の配合材料と、を含んで構成される。電気泳動粒子は、高分子中に着色剤が分散・配合された粒子であってもよいし、着色剤の粒子表面に対して高分子を被覆又は付着した粒子であってもよい。
そして、電気泳動粒子は、上記ホウ素化合物を含む場合、上記ホウ素化合物が上記高分子と共に含む、又は上記ホウ素化合物が上記高分子化合物に代えて含む、また、上記構成の粒子の表面に付着(外添)して含まれる。
極性基を持つ高分子は、当該極性基(分極性の官能基)として塩基又は酸基を持つことがよい。ここで、高分子において、当該極性基は、帯電基として機能する基であってもよいし、帯電基として機能する基とは別に有してもよいが、帯電基として機能する基であることがよい。高分子が塩基又は酸基を帯電基として機能する基とは別に有する場合、当該帯電基としてはフッ素基が挙げられる。
極性基として塩基(以下、カチオン性基)は、例えば、アミノ基、4級アンモニウム基が挙げられる(これら基の塩も含む)。また、極性基として酸基(以下、アニオン性基)は、例えば、フェノール基、カルボキシル基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、スルホン酸塩基、リン酸基、リン酸塩基及びテトラフェニルボロン基が挙げられ(これら基の塩も含む)。なお、カチオン性基が帯電基として機能する場合、例えば、粒子には正帯電極性が付与される易くなる。一方、アニオン性基が帯電基として機能する場合、例えば、粒子に負帯電極性が付与される易くなる。
極性基(帯電基)を有する高分子として、具体的には、例えば、極性基(帯電基)を有する単量体の単独重合体であってもよいし、極性基(帯電基)を有する単量体と他の単量体(極性基を持たない単量体)との共重合体が挙げられる。なお、「(メタ)アクリレート」等の記述は、「アクリレート」及び「メタクリレート」等のいずれをも含む表現である。以下、同様である。
極性基(帯電基)を有する単量体としては、カチオン性基を有する単量体(以下、カチオン性単量体)、アニオン性基を有する単量体(以下、アニオン性単量体)が挙げられる。
カチオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ヒドロキシエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−オ クチル−N−エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジヘキシルアミノエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノスチレン、ジエチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルスチレン、ジオクチルアミノスチレン等の含窒素基を有する芳香族置換エチレン系単量体類、
ビニル−N−エチル −N−フェニルアミノエチルエーテル、ビニル−N−ブチル−N−フェニルアミノエチルエーテル、トリエタノールアミンジビニルエーテル、ビニルジフェニルアミノエチルエーテル、N−ビニルヒドロキシエチルベンズアミド、m−アミノフェニルビニルエーテル等の含窒素ビニルエーテル単量体類、ビニルアミン、N−ビニルピロール等のピロール類、N−ビニル−2−ピロリン、N−ビニル−3−ピロリン等のピロリン類、N−ビニルピロリジン、ビニルピロリジンアミノエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン等のピロリジン類、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、N−ビニルイミダゾリン等のイミダゾリン類、N−ビニルインドール等のインドール類、N−ビニルインドリン等のインドリン類、N−ビニルカルバゾール、3,6−ジブロム−N−ビニルカルバゾール等のカルバゾール類、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン等のピリジン類、(メタ)アクリルピペリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピペラジン等のピペリジン類、2−ビニルキノリン、4−ビニルキノリン等のキノリン類、N−ビニルピラゾール、N−ビニルピラゾリン等のピラゾール類、2−ビニルオキサゾール等のオキサゾール類、4−ビニルオキサジン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等のオキサジン類などが挙げられる。
また、汎用性から特に好ましいカチオン性単量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族アミノ基を有する(メタ)アクリレート類が好ましく、特に重合前あるいは重合後に4級アンモニウム塩とした構造で使用されることが好ましい。4級アンモニウム塩化は、例えば、前記化合物をアルキルハライド類やトシル酸エステル類と反応することで得られる。
アニオン性単量体としては、例えば、以下のものが挙げられる。
具体的には、アニオン性単量体のうち、カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、又はそれらの無水物及びそのモノアルキルエステルやカルボキシエチルビニルエーテル、カルボキシプロピルビニルエーテルの如きカルボキシル基を有するビニルエーテル類等がある。
スルホン酸モノマーとしては、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリックアシッドエステル、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコニックアシッドエステル等及びその塩がある。また、その他2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸の硫酸モノエステル及びその塩がある。
リン酸モノマーとしては、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、アシッドホスホキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジオクチル−2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート等がある。
望ましくはアニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸やスルホン酸を持ったものであり、より望ましくは重合前若しくは重合後にアンモニウム塩となった構造のものである。アンモニウム塩は、例えば、3級アミン類若しくは4級アンモニウムハイドロオキサイド類と反応させることで作製される。
ここで、極性基(酸基及び塩基)以外で帯電基として機能するフッ素基を持つ単量体としては、例えばフッ素基を持つ(メタ)アクリレートモノマーがあり、具体的には、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロメチルトリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一方、他の単量体としては、非イオン性単量体(ノニオン性単量体)が挙げられ、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリルアミド、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン、N−ジアルキル置換(メタ)アクリルアミド、スチレン、ビニルカルバゾール、スチレン、スチレン誘導体、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソプレン、ブタジエン、ビニルピロリドン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ここで、極性基(帯電基)を有する単量体と他の単量体との共重合比は、所望の粒子の帯電量に応じて変更させる。通常は極性基(帯電基)を有する単量体と他の単量体との共重合比がそのモル比で1:100乃至100:0からの範囲で選択される。
極性基(帯電基)を有する高分子の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上20万以下である。
次に、着色剤について説明する。着色剤としては、有機若しくは無機の顔料や、油溶性染料等が挙げられ、例えば、マグネタイト、フェライト等の磁性紛、カーボンブラック、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、フタロシアニン銅系シアン色材、アゾ系イエロー色材、アゾ系マゼンタ色材、キナクリドン系マゼンタ色材、レッド色材、グリーン色材、ブルー色材等の公知の着色剤が挙げられる。具体的には、着色剤としては、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、等が代表的なものとして例示される。
着色剤の配合量としては、極性基(帯電基)を持つ高分子に対し10質量%以上99質量%以下が望ましく、望ましくは30質量%以上99質量%以下である。
次にその他の配合材料を説明する。その他の配合材料としては、例えば帯電制御材料、磁性材料が挙げられる。
帯電制御材料としては、電子写真用トナー材料に使用される公知のものが使用でき、例えば、セチルピリジルクロライド、BONTRON P−51、BONTRON P−53、BONTRON E−84、BONTRON E−81(以上、オリエント化学工業社製)等の第4級アンモニウム塩、サリチル酸系金属錯体、フェノール系縮合物、テトラフェニル系化合物、酸化金属粒子、各種カップリング剤により表面処理された酸化金属粒子を挙げられる。
磁性材料としては、必要に応じてカラーコートした無機磁性材料や有機磁性材料を使用する。また、透明な磁性材料、特に、透明有機磁性材料は着色顔料の発色を阻害し難く、比重も無機磁性材料に比べて小さく、より望ましい。
着色した磁性材料(カラーコートした材料)として、例えば、特開2003−131420公報記載の小径着色磁性粉が挙げられる。核となる磁性粒子と該磁性粒子表面上に積層された着色層とを備えたものが用いられる。そして、着色層としては、顔料等により磁性粉を不透過に着色する等選定して差し支えないが、例えば光干渉薄膜を用いるのが好ましい。この光干渉薄膜とは、SiOやTiO等の無彩色材料を光の波長と同等な厚みを有する薄膜にしたものであり、薄膜内の光干渉により光の波長を選択的に反射するものである。
ここで、電気泳動粒子は、その表面に、高分子乳化剤を付着(例えば結合又は被覆)させた粒子であってもよい。また、高分子乳化剤に、上記各電気泳動粒子を構成する高分子同様の極性基(帯電基)を持たせ、当該電気泳動粒子を構成する上記各高分子に代えて用いてもよい。
高分子乳化剤としては、シリコーン系高分子が代表的なものとして挙げられる。シリコーン系高分子は、例えば、シリコーン鎖を持つ高分子化合物であり、より具体的には主高分子化合物の主鎖に対して、シリコーン鎖(シリコーングラフト鎖)が側鎖として有する化合物であることがよい。
シリコーン系高分子の一つとしては、例えば、シリコーン鎖成分(シリコーン鎖単量体)と、必要に応じて反応性成分、極性基(帯電基)を持つ共重合成分、及びその他共重合成分(極性基を持たない共重合成分)の少なくとも1種と、を共重合させた共重合体が好適に挙げられる。なお、当該共重合体における共重合成分(特に、シリコーン鎖成分)の原料は、モノマーを用いてもよいし、マクロモノマーを用いてもよい。この「マクロモノマー」とは、重合性官能基を持ったオリゴマー(重合度2以上300以下程度)あるいはポリマーの総称であり、高分子と単量体(モノマー)との両方の性質を有するものである。
シリコーン鎖成分としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX, X−22−2426, X−22−2475等)が挙げられる。
反応性成分としては、エポキシ基を有するグリシジル(メタ)アクリレート、イソシアネート基を有するイソシアネート系モノマー(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)などが挙げられる。
極性基(帯電基)を持つ共重合成分、及びその他共重合成分(極性基を持たない共重合成分)としては、上記極性基(帯電基)を有する高分子で説明した極性基(帯電基)を有する単量体、他の単量体(極性基を持たない単量体)で挙げられたものが適用される。
シリコーン系高分子は、シリコーン鎖成分が、高分子全体に対して占める質量比で3%以上60%以下、望ましくは5%以上40%以下であることが望ましい。
シリコーン系高分子としては、上記共重合体以外に、片末端にエポキシ基を持つシリコーン化合物(下記構造式1で示されるシリコーン化合物)も挙げられる。当該片末端にエポキシ基を持つシリコーン化合物としては、例えば、信越シリコーン社製:X−22−173DX等が挙げられる。


構造式1中、R’は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
シリコーン系高分子としては、片末端に(メタ)アクリレート基を持ったジメチルシリコーンモノマー(下記構造式2で示されるシリコーン化合物:例えば、チッソ社製:サイラプレーン:FM−0711,FM−0721,FM−0725等、信越シリコーン(株):X−22−174DX, X−22−2426,X−22−2475等)とグリシジル(メタ)アクリレート又はイソシアネート系モノマー(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)との少なくとも2成分からなる共重合体も好適に挙げられる。

構造式2中、Rは、水素原子、又はメチル基を示す。R’は、水素原子、又は炭素数1以上4以下のアルキル基を示す。nは自然数(例えば1以上1000以下、望ましくは3以上100以下)、を示す。xは1以上3以下の整数を示す。
シリコーン系高分子の重量平均分子量としては、500以上100万以下が望ましく、より望ましくは1000以上100万以下である。
高分子乳化剤としては、長鎖アルキル系高分子も代表的なものとして挙げられる。長鎖アルキル系高分子としては、例えば上記したシリコーン系高分子と類似した構成のもので、シリコーン鎖成分の代わりに長鎖アルキル成分(長鎖アルキル単量体)として長鎖アルキル(メタ)アクリレートを用いたものが挙げられる。長鎖アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては炭素数4以上のアルキル鎖をもったものが望ましく、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、長鎖アルキル(メタ)アクリレートとグリシジル(メタ)アクリレート、あるいはイソシアネート系モノマー(昭和電工:カレンズAOI、カレンズMOI)の少なくとも2成分からなる共重合体が好適である。また、共重合体中の成分の組成比は前述のシリコーン系高分子と同様な範囲から選択される。
なお、長鎖アルキル系高分子の「長鎖」とは、例えば、炭素数4以上30以下程度のアルキル鎖を側鎖に有する高分子を意味する。
長鎖アルキル系高分子の重量平均分子量としては、1000以上100万以下が望ましく、より望ましくは1万以上100万以下である。
次に、分散媒について説明する。
分散媒としては、特に制限はないが、低誘電溶媒(例えば誘電率5.0以下、望ましくは3.0以下)が選択されることがよい。分散媒は、低誘電溶媒以外の溶媒を併用してもよいが、50体積%以上の低誘電溶媒を含むことがよい。なお、低誘電率の誘電率は、誘電率計(日本ルフト製)により求められる。
低誘電溶媒としては、例えば、パラフィン系炭化水素溶媒、シリコーンオイル、フッ素系液体など石油由来高沸点溶媒が挙げられるが、高分子分散剤の種類に応じて選択されることがよい。具体的には、例えば、高分子分散剤としてシリコーン系高分子を適用する場合、分散媒としてはシリコーンオイルを選択することがよい。また、高分子分散剤として長鎖アルキル系高分子を適用する場合、分散媒としてはパラフィン系炭化水素溶媒を選択することがよい。
シリコーンオイルとして具体的には、シロキサン結合に炭化水素基が結合したシリコーンオイル(例えば、ジメチルシリコーンオイル、ジエチルシリコーンオイル、メチルエチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、ジフェニルシリコーンオイル等)が挙げられる。これらの中も、ジメチルシリコーンが特に望ましい。
パラフィン系炭化水素溶媒としては、炭素数20以上(沸点80℃以上)のノルマルパラフィン系炭化水素、イソパラフィン系炭化水素が挙げられるが、安全性、揮発性等の理由から、イソパラフィンを用いることが望ましい。具体的には、シェルゾル71(シェル石油製)、アイソパーO、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーG、アイソパーM(アイソパーはエクソン社の商品名)やアイピーソルベント(出光石油化学製)等が挙げられる。
次に、電気泳動粒子の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電気泳動粒子の製造方法としては、例えば、高分子と着色剤と第1溶媒(連続相を形成し得る貧溶媒)と前記第1溶媒に対して非相溶で前記第1溶媒より沸点が低く且つ高分子を溶解する第2溶媒(分散相を形成し得る良溶媒)とを含む混合溶液を攪拌し、乳化させる工程と、前記乳化させた混合溶液から前記第2溶媒を除去して、前記高分子及び前記着色剤を含有する着色粒子(電気泳動粒子)を生成する工程と、を有する周知の製法が挙げられる。この製法は、所謂、液中乾燥法と呼ばれる製法である。
本製法は、第1溶媒として表示媒体に利用する分散媒を利用することで、そのまま、電気泳動粒子と分散媒を含む電気泳動粒子分散液として利用してもよい。これにより、本実施形態に係る電気泳動粒子の製造方法では、上記工程を経ることで、第1溶媒を分散媒とした電気泳動粒子分散液を、洗浄・乾燥工程を経ることなく得られる。また、粒子の洗浄(イオン性不純物の除去)や分散媒の置換を行ってもよい。
なお、電気泳動粒子の製造方法は、上記製法方法に限られず、例えば、周知の手法(粉砕法、コアセルベーション法、分散重合法、懸濁重合法等)などにより着色粒子(電気泳動粒子)を形成する手法が採用される。各手法では、溶媒(製法で最終的に残る溶媒)として表示媒体に利用する分散媒を利用し、製造後そのまま、電気泳動粒子と分散媒を含む電気泳動粒子分散液として利用してもよい。これにより、電気泳動粒子の製造方法では、各製造工程を経ることで、使用する溶媒を分散媒とした電気泳動粒子分散液を、洗浄・乾燥工程を経ることなく得られる。また、粒子の洗浄(イオン性不純物の除去)や分散媒の置換を行ってもよい。
上記工程を経て、電気泳動粒子を得ると共に、これを含む電気泳動粒子分散液が得られる。
ここで、得られた電気泳動粒子分散液に対し、必要に応じて、例えば、分散媒(溶媒)で希釈したり、してもよい。なお、2種以上の電気泳動粒子を含む電気泳動粒子分散液を得るためには、それぞれの分散液を作製した後、これらを混合すればよい。
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液には、必要に応じて、酸、アルカリ、塩、分散剤、分散安定剤、酸化防止や紫外線吸収などを目的とした安定剤、抗菌剤、防腐剤などを添加してもよい。また、本実施形態に係る電気泳動粒子分散液には、帯電制御剤を添加してもよい。
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液中の電気泳動粒子の濃度は、表示特性や応答特性あるいはその用途によって種々選択されるが0.1質量%以上30質量%以下の範囲で選択されることが望ましい。色の異なった粒子を混合する場合にはその粒子総量がこの範囲であると望ましい。
本実施形態に係る電気泳動粒子分散液は、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)、液体現像方式電子写真システムの液体トナーなどに利用される。なお、電気泳動方式の表示媒体、電気泳動方式の調光媒体(調光素子)としては、公知である電極(基板)面の対向方向に粒子群を移動させる方式、それとは異なり電極(基板)面に沿った方向に移動させる方式(いわゆるインプレーン型素子)、又はこれらを組み合わせたハイブリッド素子がある。
なお、本実施形態に係る電気泳動粒子分散液において、電気泳動粒子として色や帯電極性の異なる複数種の粒子を混合して使用すれば、カラー表示が実現される。
(表示媒体、表示装置)
以下、実施形態に係る表示媒体、及び表示装置の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る表示装置の概略構成図である。図2は、本実施形態に係る表示装置の表示媒体の基板間に電圧を印加したときの粒子群の移動態様を模式的に示す説明図である。
本実施形態に係る表示装置10は、その表示媒体12の分散媒50と粒子群34と線状高分子(不図示)とを含む粒子分散液として、上記本実施形態に係る電気泳動粒子分散液を適用する形態である。つまり、分散媒50として、シリコーンオイルを含む分散媒を適用し、粒子群34として第1電気泳動粒子の群を適用し、且つ分散媒50にシリカ粒子(不図示)を分散させた形態である。
本実施形態に係る表示装置10は、図1に示すように、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18と、を含んで構成されている。
表示媒体12は、画像表示面とされる表示基板20、表示基板20に間隙をもって対向する背面基板22、これらの基板間を特定間隔に保持すると共に、表示基板20と背面基板22との基板間を複数のセルに区画する間隙部材24、各セル内に封入された粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子群36を含んで構成されている。
上記セルとは、表示基板20と、背面基板22と、間隙部材24と、によって囲まれた領域を示している。このセル中には、分散媒50が封入されている。粒子群34は、複数の粒子から構成されており、この分散媒50中に分散され、セル内に形成された電界強度に応じて表示基板20と背面基板22との基板間を反射粒子群36の間隙を通じて移動する。
なお、この表示媒体12に画像を表示したときの各画素に対応するように間隙部材24を設け、各画素に対応するようにセルを形成することで、表示媒体12を、画素毎の表示を行うように構成してもよい。
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つのセルに注目した図を用いて本実施形態を説明する。以下、各構成について詳細に説明する。
まず、一対の基板について説明する。表示基板20は、支持基板38上に、表面電極40及び表面層42を順に積層した構成となっている。背面基板22は、支持基板44上に、背面電極46及び表面層48を積層した構成となっている。
表示基板20、又は表示基板20と背面基板22との双方は、透光性を有している。ここで、本実施形態における透光性とは、可視光の透過率が60%以上であることを示している。
支持基板38及び支持基板44の材料としては、ガラスや、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂等が挙げられる。
表面電極40及び背面電極46の材料としては、インジウム、スズ、カドミウム、アンチモン等の酸化物、ITO等の複合酸化物、金、銀、銅、ニッケル等の金属、ポリピロールやポリチオフェン等の有機材料等が挙げられる。表面電極40及び背面電極46は、これらの単層膜、混合膜又は複合膜のいずれであってもよい。表面電極40及び背面電極46の厚さは、例えば、100Å以上2000Å以下であることがよい。背面電極46及び表面電極40は、例えば、マトリックス状、又はストライプ状に形成されていてもよい。
また、表面電極40を支持基板38に埋め込んでもよい。また、背面電極46を支持基板44に埋め込んでもよい。この場合、支持基板38及び支持基板44の材料を粒子群34の各粒子の組成等に応じて選択する。
なお、背面電極46及び表面電極40各々を表示基板20及び背面基板22と分離させ、表示媒体12の外部に配置してもよい。
なお、上記では、表示基板20と背面基板22の双方に電極(表面電極40及び背面電極46)を備える場合を説明したが、何れか一方にだけ設けるようにして、アクティブマトリクス駆動させるようにしてもよい。
また、アクティブマトリックス駆動を実施するために、支持基板38及び支持基板44は、画素毎にTFT(薄膜トランジスタ)を備えていてもよい。TFTは表示基板ではなく背面基板22に備えることがよい。
次に、表面層について説明する。表面層42及び表面層48は、表面電極40及び背面電極46各々上に形成されている。表面層42及び表面層48を構成する材料としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、エポキシ、ポリイソシアネート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリブタジエン、ポリメチルメタクリレート、共重合ナイロン、紫外線硬化アクリル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
表面層42及び表面層48は、上記樹脂と電荷輸送物質を含んで構成されていてもよく、電荷輸送性を有する自己支持性の樹脂を含んで構成されてもよい。
次に、間隙部材について説明する。表示基板20と背面基板22との基板間の隙を保持するための間隙部材24は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化樹脂、光硬化樹脂、ゴム、金属等で構成される。
間隙部材24は表示基板20及び背面基板22の何れか一方と一体化されてもよい。この場合には、支持基板38又は支持基板44をエッチングするエッチング処理、レーザー加工処理、予め作製した型を使用してプレス加工処理又は印刷処理等を行うことによって作製する。
この場合、間隙部材24は、表示基板20側、背面基板22側のいずれか、又は双方に作製する。
間隙部材24は有色でも無色でもよいが、無色透明であることがよく、その場合には、例えば、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂等で構成される。
また、粒子状の間隙部材24もまた透明であることが望ましく、ポリスチレン、ポリエステル又はアクリル等の透明樹脂粒子の他、ガラス粒子も使用される。
なお、「透明」とは、可視光に対して、透過率60%以上有することを示している。
次に、反射粒子群について説明する。反射粒子群36は、粒子群34とは異なる光学的反射特性を有する反射粒子から構成され、粒子群34とは異なる色を表示する反射部材として機能するものである。そして、表示基板20と背面基板22との基板間の移動を阻害することなく、移動させる空隙部材としての機能も有している。すなわち、反射粒子群36の間隙を通って、背面基板22側から表示基板20側、又は表示基板20側から背面基板22側へ粒子群34の各粒子は移動される。この反射粒子群子36の色としては、例えば、背景色となるように白色又は黒色を選択することがよいが、その他の色であってもよい。また、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群(つまり電界に応じて移動しない粒子郡)であってもよいし、帯電されている粒子群(電界に応じて移動する粒子郡)であってもよい。なお、本実施形態では、反射粒子群36は、帯電されていない粒子群で、白色である場合を説明するが、これに限定されることはない。
反射粒子群36の粒子は、例えば、白色顔料(例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化亜鉛など)を、樹脂(例えばポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ホルムアルデヒド縮合物等)に分散した粒子が挙げられる。また、反射粒子群36の粒子として、白色以外の粒子を適用する場合、例えば、所望の色の顔料、あるいは染料を内包した前記した樹脂粒子を使用してもよい。顔料や染料は、例えばRGBやYMC色であれば、印刷インキやカラートナーに使用されている一般的な顔料又は染料が挙げられる。
反射粒子群36を基板間へ封入するには、例えば、インクジェット法などにより行う。また、反射粒子群36を固定化する場合、例えば、反射粒子群36を封入した後、加熱(及び必要があれば加圧)して、反射粒子群36の粒子群表層を溶かすことで、粒子間隙を維持させつつ行われる。
表示媒体12における上記セルの大きさとしては、表示媒体12の解像度と密接な関係にあり、セルが小さいほど高解像度な画像を表示する表示媒体12を作製することができ、通常、表示媒体12の表示基板20の板面方向の長さが10μm以上1mm以下程度である。
上記表示基板20及び背面基板22を、間隙部材24を介して互いに固定するには、ボルトとナットの組み合わせ、クランプ、クリップ、基板固定用の枠等の固定手段を使用する。また、接着剤、熱溶融、超音波接合等の固定手段も使用してもよい。
このように構成される表示媒体12は、例えば、画像の保存及び書換えがなされる掲示板、回覧版、電子黒板、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、及び複写機・プリンタと共用するドキュメントシート等に使用する。
上記に示したように、本実施形態に係る表示装置10は、表示媒体12と、表示媒体12に電圧を印加する電圧印加部16と、制御部18とを含んで構成されている(図1参照)。
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電気的に接続されている。なお、本実施形態では、表面電極40及び背面電極46の双方が、電圧印加部16に電気的に接続されている場合を説明するが、表面電極40及び背面電極46の一方が、接地されており、他方が電圧印加部16に接続された構成であってもよい。
電圧印加部16は、制御部18に信号授受されるように接続されている。
制御部18は、装置全体の動作を司るCPU(中央処理装置)と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、装置全体を制御する制御プログラム等の各種プログラムが予め記憶されたROM(Read Only Memory)と、を含むマイクロコンピュータとして構成されていてもよい。
電圧印加部16は、表面電極40及び背面電極46に電圧を印加するための電圧印加装置であり、制御部18の制御に応じた電圧を表面電極40及び背面電極46間に印加する。
次に、表示装置10の作用を説明する。この作用は制御部18の動作に従って説明する。
ここで、表示媒体12に封入されている粒子群34が正極性に帯電されている場合を説明する。また、分散媒50は透明であり、反射粒子群36が白色であるものとして説明する。すなわち、本実施形態では、表示媒体12は、粒子群34の移動によって、その呈する色を表示し、その背景色として反射粒子群36による白色を表示する場合を説明する。
なお、下記動作は、説明上、粒子群34が背面基板22側へ付着した状態からの動作について説明する。
まず、電圧を、特定時間、表面電極40が負極となり背面電極46が正極となるように印加することを示す動作信号を、電圧印加部16へ出力する。図2(A)に示す状態から、電極間に印加する電圧を上昇させ、表面電極40が負極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、粒子群34の凝集力が低減された状態で、正極に帯電している粒子群34を構成する粒子が表示基板20側へと移動して、表示基板20に至る(図2(B)参照)。
そして、電極間への印加を終了すると、粒子群34が表面基板20側で拘束され、粒子群34の呈する色が、反射粒子群36の色としての白色を背景色とし表示基板20側から視認される表示媒体12の色として視認される。
次に、表面電極40と背面電極46との電極間に、電圧を、特定時間、表面電極40が正極となり背面電極46が負極となるように印加することを示す動作信号を、電圧印加部16へ出力する。電極間に印加する電圧を上昇させ、表面電極40が正極で且つ濃度変動が終了する閾値電圧以上の電圧が印加されると、粒子群34の凝集力が低減された状態で、正極に帯電している粒子群34を構成する粒子が背面基板22側へと移動して、背面基板22に至る(図2(A)参照)。
そして、電極間への印加を終了すると、粒子群34が背面基板22側で拘束される一方で、反射粒子群36の色としての白色が、表示基板20側から視認される表示媒体12の色として視認される。なお、粒子群34は、反射粒子群36に隠蔽され、視認され難くなる。
ここで、電極間への電圧印加時間は、動作中の電圧印加における電圧印加時間を示す情報として、予め制御部18内の図示を省略するROM等のメモリ等に記憶しておけばよい。そして、処理実行のときに、この電圧印加時間を示す情報を読み取るようにすればよい。
このように、本実施形態に係る表示装置10では、粒子群34が表示基板20又は背面基板22に到達して、付着・凝集することで表示が行われる。
なお、上記本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、表示基板20に表面電極40、背面基板22に背面電極46を設けて当該電極間(即ち基板間)に電圧を印加して、当該基板間を粒子群34を移動させて表示させる形態を説明したがこれに限られず、例えば、表示基板20に表面電極40を設ける一方で、間隙部材に電極を設けて、当該電極間に電圧を印加して、表示基板20と間隙部材との間を粒子群34を移動させて表示させる形態であってもよい。
また、上記本実施形態に係る表示媒体12及び表示装置10では、粒子群34として1種類(1色)の粒子群を適用した形態を説明したが、これに限られず、2種類(2色)以上の粒子群を適用した形態(具体的には、例えば、上記本実施形態に係る表示用分散液における第2電気泳動粒子の群を適用した形態)であってもよい。
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。
[実施例A]
(実施例A1)
−乳化剤Aの作製−
イソプロパノール10gにメタクリル酸を1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理及び乾燥を行い乳化剤Aを得た。
−マゼンタ粒子の作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)3gとポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸):PAMPS(重量平均分子量8万)7gを10mlの水に溶解した。これを5質量%乳化剤Aのシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置(エスエムテー社製UH−600S)によって乳化処理を行った。この乳化物を加熱(65℃)/減圧(10mPa)することで水分を除去しマゼンタ粒子Aを得た。また、分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、230nmであった。
−電気泳動粒子分散液の作製−
得られたマゼンタ粒子を含むマゼンタ粒子分散液(固形分濃度1.5質量%)に対して、分散媒100質量部当たり、下記ホウ素低分子化合物(2β−1)を0.5質量部添加し、電気泳動粒子分散液を得た。
本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
なお、得られた電気泳動粒子分散液における、ホウ素低分子化合物添加前、添加後の粘度を表1に示す。粘度は、自動マイクロ粘度計(アントンパール製AmVn)により測定した。
(実施例A2)
実施例A1のマゼンタ粒子の作製において、キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)に代えてシアン顔料(Ciba製)を用い、PAMPSに代えて、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(DMAEA−Q)の重合体を用いた以外は、実施例A1と同様にしてシアン粒子を得た。そして、このシアン粒子を用いた以外は、実施例A1と同様にして電気泳動粒子分散液を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、320nmであった。
なお、本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
(実施例A3)
ホウ素低分子化合物(2β−1)に代えて、下記ホウ素低分子化合物(2β−2)を用いた以外は、実施例A1と同様にして、電気泳動粒子分散液を作製した。
なお、本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
[実施例B]
(実施例B1)
−乳化剤Bの作製−
イソプロパノール10gにメタクリル酸を1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理及び乾燥を行い乳化剤B(乳化剤Aと同様なもの)を得た。
−電気泳動粒子分散液の作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)3gとポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸):PAMPS(重量平均分子量8万)7gと下記ホウ素低分子化合物(2β−1)0.5gとを10mlの水に溶解した。これを5質量%乳化剤Bのシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置(エスエムテー社製UH−600S)によって乳化処理を行った。この乳化物を加熱(65℃)/減圧(10mPa)することで水分を除去しマゼンタ粒子を得た。これにより、電気泳動粒子分散液(固形分濃度1.5質量%)を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、350nmであった。
本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
(実施例B2)
実施例B1のマゼンタ粒子の作製において、キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)に代えてシアン顔料(Ciba製)を用い、PAMPSに代えて、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(DMAEA−Q)の重合体を用いた以外は、実施例B1と同様にしてシアン粒子を得た。そして、このシアン粒子を用いた以外は、実施例B1と同様にして電気泳動粒子分散液を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、360nmであった。
なお、本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
(実施例B3)
ホウ素低分子化合物(2β−1)に代えて、下記ホウ素低分子化合物(2β−2)を用いた以外は、実施例B1と同様にして、電気泳動粒子分散液を作製した。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、380nmであった。
なお、本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
[実施例C]
(実施例C1)
−乳化剤Cの作製−
イソプロパノール10gにメタクリル酸を1g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理及び乾燥を行い乳化剤C(乳化剤Aと同じ分散剤)を得た。
−高分子C1の作製−
次のようにして、構造式(3α−1)で示される繰り返し単位構造を含む高分子C1(重合体:重量平均分子量35000:質量比n:m=2:8)を得た。イソプロパノール10gに4−ビニルフェニルボロン酸を2g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を8g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理を行い高分子C1を得た。
但し、下記高分子C1中、n1は1以上100以下の整数(本実施例ではn1=10)、Rは水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
−電気泳動粒子分散液の作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)3gとポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸):PAMPS(重量平均分子量8万)7gと高分子C1:0.5gとを10mlの水に溶解した。これを5質量%乳化剤Cのシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置(エスエムテー社製UH−600S)によって乳化処理を行った。この乳化物を加熱(65℃)/減圧(10mPa)することで水分を除去しマゼンタ粒子を得た。これにより、電気泳動粒子分散液(固形分濃度1.5質量%)を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、340nmであった。
本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
(実施例C2)
実施例C1のマゼンタ粒子の作製において、キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)に代えてシアン顔料(Ciba製)を用い、PAMPSに代えて、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(DMAEA−Q)の重合体を用いた以外は、実施例C1と同様にしてシアン粒子を得た。そして、このシアン粒子を用いた以外は、実施例C1と同様にして電気泳動粒子分散液を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、360nmであった。
なお、本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
(実施例C3)
高分子C1に代えて、下記高分子C3を用いた以外は、実施例C1と同様にして電気泳動性粒子を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、360nmであった。
本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
−高分子C3の作製−
下記構造式(3β−1)で示される繰り返し単位構造からなる高分子(重合体:重量平均分子量16000)と、下記構造式(3β−2)で示される繰り返し単位構造からなる高分子(重合体:重量平均分子量24000)と、の混合高分子(高分子C3)を得た。なお、これらの混合比は質量比((3β−1):(3β−2))で1:1であった。
なお、この混合高分子のそれぞれの高分子は、ビニルボロン酸の脱水により得られたボロキシン(環状ボロン酸)を重合して得た。
[実施例D]
(実施例D1)
−乳化剤D1の作製−
次のようにして、構造式(3α−1)で示される繰り返し単位構造を含む乳化剤D1(重合体:重量平均分子量21000:質量比n:m:l=4:1:18(質量比))を得た。イソプロパノール10gに4−ビニルフェニルボロン酸を2g、アクリル酸0.5g、FM0711(チッソ社製:サイラプレーン)を9g、重合開始剤(アゾビスジメチルバレロニトリル「V−65」、和光純薬社製)0.1gを溶解させ、窒素バブリングにより酸素除去をさせ、65℃、8時間で重合を行った。重合後、精製処理を行い乳化剤D1を得た。
但し、下記乳化剤D1中、n1は1以上100以下の整数(本実施例ではn1=10)、Rは水素原子、又は炭素数1以上10以下のアルキル基を表す。
−電気泳動粒子分散液の作製−
キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)3gとポリ(アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸):PAMPS(重量平均分子量8万)7gを10mlの水に溶解した。これを5質量%乳化剤D1のシリコーンオイル溶液に添加し超音波乳化装置(エスエムテー社製UH−600S)によって乳化処理を行った。この乳化物を加熱(65℃)/減圧(10mPa)することで水分を除去しマゼンタ粒子を得た。これにより、電気泳動粒子分散液(固形分濃度1.5%)を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、280nmであった。
本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、負帯電であった。
(実施例D2)
実施例D1のマゼンタ粒子の作製において、キナクリドン系マゼンタ顔料(Ciba製)に代えてシアン顔料(Ciba製)を用い、PAMPSに代えて、ジメチルアミノエチルアクリレート塩化メチル4級塩(DMAEA−Q)の重合体を用いた以外は、実施例D1と同様にしてシアン粒子を得た。そして、このシアン粒子を用いた以外は、実施例D1と同様にして電気泳動粒子分散液を得た。
分散液中の粒子の体積平均粒径を測定(大塚電子株式会社製FPAR−1000:粒径アナライザー)した結果、310nmであった。
なお、本分散液中の電気泳動粒子の帯電極性を、2枚の電極基板間に該分散液を封入し、直流電圧を印加して泳動方向を評価した結果、正帯電であった。
[比較例]
(比較例1)
ホウ素化合物を分散媒に添加しない以外は、実施例A2と同様にして電気泳動粒子分散液を得た。
[評価]
(表示媒体の作製)
以下のようにして、上記実施形態と同様な構成の表示媒体を作製した(図1参照)。厚さ0.7mmのガラスからなる支持基板上に電極としてITOをスパッタリング法により50nmの厚さで成膜した。このITO/ガラス基板で構成された背面基板に、サイトップ(旭硝子社製、CTL809M)を用いて層を塗布した後、露光、及びウエットエッチングを行うことにより高さ50μm、幅20μmの間隙部材を形成した。
間隙部材の上部に熱融着性の接着層(図示せず)を形成した後、下記白色粒子群及び得られた電気泳動粒子分散を充填し、背面基板と同様にして作製したITO/ガラスで構成され、且つ処理層の形成された表示基板を、互いの処理層の形成された側の面(電極面)が対向するように背面基板に張り合わせて熱をかけて表示媒体を作製した。
このようにして表示媒体を作製した。作製した表示媒体を用いて、表示基板の電極がプラス、背面基板の電極がマイナスとなるように両電極に20Vの電圧を印加し、この繰り返しにより、粒子を表示基板、背面基板に移動させ、電気泳動粒子の色を表示させた。
(白色粒子の調製)
−分散液Aの調製−
下記成分を混合し、10mmΦのジルコニアボールにてボールミル粉砕を20時間実施して分散液Aを調製した。
<組成>
・メタクリル酸シクロヘキシル :53質量部
・酸化チタン1(白色顔料) (一次粒子径0.3μm、タイペークCR63:石原産業社製) :45質量部
・シクロヘキサン:5質量部
−炭カル分散液Bの調製−
下記成分を混合し、上記と同様にボールミルにて微粉砕して炭カル分散液Bを調製した。
<組成>
・炭酸カルシウム:40質量部
・水:60質量部
−混合液Cの調製−
下記成分を混合し、超音波機で脱気を10分間おこない、ついで乳化機で攪拌して混合液Cを調製した。
<組成>
・2質量%セロゲン水溶液(第一工業製薬社製):4.3g
・炭カル分散液B:8.5g
・20質量%食塩水:50g
分散液A35gとジビニルベンゼン1g、重合開始剤AIBN(アゾビスイソブチロニトリル):0.35gをはかりとり、充分混合し、超音波機で脱気を10分おこなった。これを前記混合液Cに加え、乳化機で乳化を実施した。次にこの乳化液をビンにいれ、シリコーン詮をし、注射針を使用し、減圧脱気を充分行い、窒素ガスで封入した。次に65℃で15時間反応させ粒子を調製した。冷却後、この分散液を凍結乾燥機により−35℃、0.1Paの下で2日間でシクロヘキサンを除去した。得られた粒子粉をイオン交換水中に分散させ、塩酸水で炭酸カルシウムを分解させ、ろ過を行った。その後充分な蒸留水で洗浄し、目開き:20μm、25μmのナイロン篩にかけ、粒度を揃えた。これを乾燥させ、体積平均粒子径20μmの白色粒子群を得た。これを白色粒子(反射粒子群)とした。
(評価)
得られた電気泳動粒子分散液に分散された電気泳動粒子の帯電量を次のようにして求めた。帯電量の値を表1に示す。
上記表示媒体に泳動液(泳動粒子濃度1.5重量%)を注入し、0.05Hz、±15Vの矩形波印加条件にて総電荷量を測定した。測定した総電荷量から重量当たりの帯電量を算出した。
また、得られた電気泳動粒子分散液における表示色の表示特性につき、次のように評価した。結果を表1に示す。なお、評価は常温下(25℃)で行った。
固着防止処理としてサイトップ(CTL809M、旭硝子社製)をコートしたITOガラス電極対を作製した(間隔:1mm)。この電極対を電気泳動粒子分散液(泳動粒子濃度0.5重量%)に挿入し、300Vの直流電圧を1分間印加した。電極対を泳動液から取り出した後印加電圧を切り、両基板の色濃度から目視にて泳動粒子極性を官能評価した。
評価基準は以下の通りである。
○:ホウ素化合物(ルイス酸)未使用の場合と比較して泳動粒子の逆極性が少なくなった場合
△:ホウ素化合物(ルイス酸)未使用の場合と比較して泳動粒子の極性が変わらない場合
×:ホウ素化合物(ルイス酸)未使用の場合と比較して泳動粒子の逆極性が増えた場合
また、得られた電気泳動粒子分散液に分散された電気泳動粒子の泳動速度の評価として、ゼータ電位計を用い移動度を求めた。結果を表1に示す。
上記結果から、本実施例では、比較例に比べ、電気泳動粒子の帯電量が高く、表示特性も良好な結果が得られることがわかる。
10 表示装置
12 表示媒体
16 電圧印加部
18 制御部
20 表示基板
22 背面基板
24 間隙部材
34 粒子群
36 反射粒子群
38 支持基板
40 表面電極
42 表面層
44 支持基板
46 背面電極
48 表面層
50 分散媒

Claims (7)

  1. 分散媒と、
    前記分散媒に分散され、表面に極性基を持つ電気泳動粒子と、
    を有し、
    前記分散媒、及び前記電気泳動粒子の少なくとも一つが、ホウ素化合物からなるルイス酸性化合物を含む電気泳動粒子分散液。
  2. 前記ホウ素化合物が、下記構造式(A)及び下記構造式(B)で示される構造のうち、少なくも1つを有する化合物である請求項1に記載の電気泳動粒子分散液。
  3. 少なくとも一方が透光性を有する一対の基板と、
    前記一対の基板間に封入された、請求項1又は2に記載の電気泳動粒子分散液と、
    を備えたことを特徴とする表示媒体。
  4. 少なくとも一方が透光性を有する一対の電極と、
    前記一対の電極間に設けられた、請求項1又は2に記載の電気泳動粒子分散液を有する領域と、
    を備えたことを特徴とする表示媒体。
  5. 請求項3又は4に記載の表示媒体と、
    前記表示媒体の前記一対の基板間又は前記一対の電極間に電圧を印加する電圧印加手段と、
    を備えた表示装置。
  6. ホウ素化合物からなるルイス酸性化合物を含み、表面に極性基を持つ電気泳動粒子。
  7. 前記ホウ素化合物が、下記構造式(A)及び下記構造式(B)で示される構造のうち、少なくも1つを含む化合物である請求項6に記載の電気泳動粒子。
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