JP2011068721A - 熱伝導性感圧接着性積層シート、及び電子部品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S1)と、膨張化黒鉛粉(B)と、縮合リン酸エステル(C1)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)からなるA層、A層の一方の面側に積層される、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S2)と、難燃性熱伝導無機化合物(D2)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)からなるB1層、A層の他方の面側に積層される、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S3)と、難燃性熱伝導無機化合物(D3)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)からなるB2層を備え、縮合リン酸エステル(C1)は、25℃における粘度が7000mPa・s以上であり、かつ大気圧下15℃以上100℃以下の温度領域において常に液体である、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)とする。
【選択図】なし
Description
本発明の接着性積層シート熱伝導性感圧(F)は、A層と、A層の一方の面側に積層されるB1層と、A層の他方の面側に積層されるB2層とを備えている。
A層は、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S1)と、膨張化黒鉛粉(B)と、縮合リン酸エステル(C1)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)からなる。熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)は、さらにリン酸塩(G)及び/又は発泡剤(H)を含むことが好ましい。
重合体(S1)を構成するものとしては、ゴム、エラストマー及び樹脂の中から任意に選んだ少なくとも一種を挙げることができる。そして、A層に接着性及び/又は粘着性を備えさせるためには、重合体(S1)に接着性及び/又は粘着性を備えさせることが好ましい。重合体(S1)に、接着性及び/又は粘着性を備えさせるためには、ゴム、エラストマー及び樹脂は、接着性及び/又は粘着性を有するものの中から選ぶことが好ましい。しかしながら、接着性及び/又は粘着性を有しないゴム、エラストマー及び樹脂に、粘接着性付与剤を組み合わせて用いることもできる。
重合体(S1)を構成するものとしては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合することにより得られるものが特に好ましい。熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)を成形してA層とする際に、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)をシート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)は、重合して(メタ)アクリル酸エステル重合体に変換し、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)の成分と混合及び/又は一部結合して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)となる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)とは、A層中の(メタ)アクリル酸エステル重合体成分全てに相当し、A層中の(メタ)アクリル酸エステル重合体成分全てを包括的に表す概念である。
以下、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)について詳細に説明する。
上記したように、重合体(S1)を構成するものとしては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合することにより得られるものが特に好ましい。
A層には、膨張化黒鉛粉(B)が含有されていることが好ましい。本発明に用いることができる膨張化黒鉛粉(B)の例としては、酸処理した黒鉛を500℃〜1200℃にて熱処理して100ml/g〜300ml/gに膨張させ、次いで、粉砕することを含む工程を経て得られたものを挙げることができる。より好ましくは、黒鉛を強酸で処理した後アルカリ中で焼結し、その後再度強酸で処理したものを500℃〜1200℃にて熱処理して、酸を除去すると共に100ml/g〜300ml/gに膨張させ、次いで、粉砕することを含む工程を経て得られたものを挙げることができる。上記熱処理の温度は、特に好ましくは800℃〜1000℃である。
本発明に用いることができる縮合リン酸エステル(C1)は、25℃における粘度が7000mPa・s以上のものである。縮合リン酸エステル(C1)の粘度が低すぎる場合は、A層の成形性が悪くなる。なお、本発明において縮合リン酸エステル(C1)の「粘度」とは、以下に説明する方法によって測定した粘度を意味する。
縮合リン酸エステル(C1)の粘度測定には、B型粘度計(東京計器株式会社製)を用いて、以下に示す手順で行った。
(1)常温の環境で縮合リン酸エステル(C1)を300ml計量し、500mlの容器に入れる。
(2)攪拌用ロータNo.1、2、3、4、5、6、7から、いずれかを選択し、粘度計に取り付ける。
(3)縮合リン酸エステル(C1)が入った容器を粘度計の上に置き、ロータを該容器内の縮合リン酸エステル(C1)に沈める。このとき、ロータの目印となる凹みが丁度、縮合リン酸エステル(C1)の液状界面にくるように沈める。
(4)回転数を20、10、4、2の中から選択する。
(5)攪拌スイッチを入れ、1分後の数値を読み取る。
(6)読み取った数値に、係数Aを掛け算した値が粘度[mPa・s]となる。
なお、係数Aは、下記表1に示すように、選択したロータNoと回転数とから決まる。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)にリン酸塩(G)を所定量含有させれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)から得られるA層の難燃性をさらに向上させることができる。熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)にリン酸塩(G)を含有させる場合、含有量は重合体(S1)を100質量部として、150質量部以下であることが好ましい。リン酸塩(G)の含有量が多すぎれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)をシート化することが困難になる。
また、リン酸塩(G)は、窒素含有化合物、硫酸マンガンや酢酸マンガンなどの有機酸マンガン塩、硫酸亜鉛や酢酸亜鉛などの有機酸亜鉛塩、酸化亜鉛、などと併用することが好ましい。
リン酸塩(G)の形態としては、特に限定されないが、粉末状や微粒子状のものが、分散性が高いため好ましい。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)に発泡剤(H)を所定量含有させれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)をA層とする際に難燃性をさらに向上させることができる。発泡剤(H)としては、熱分解性発泡剤が好ましい。さらに、熱分解性発泡剤としては、80℃以上かつ500℃以下の分解開始温度を有するものが好ましく、120℃以上かつ300℃以下の分解開始温度を有するものがより好ましい。
<PITCH系炭素繊維(I)>
任意成分として熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)中に用いることができるPITCH系炭素繊維(I)とは、ピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料とする炭素繊維であり、熱伝導率が高いという特長を有する。熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)にPITCH系炭素繊維(I)が含有される場合、その含有量は、重合体(S1)を100質量部として、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは270質量部以下であることが望ましい。PITCH系炭素繊維(I)の含有量が上記範囲の上限(400質量部)を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)をA層とした際に、該A層の表面状態が悪くなる傾向にある。
任意成分として熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)中に用いることができる難燃性熱伝導無機化合物(D1)は特に限定されることはなく、その具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、カオリンクレー、アルミン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、ドーソナイトなどが挙げられる。難燃性熱伝導無機化合物(D1)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)には、さらに、必要により、外部架橋剤、顔料、その他の充填材、老化防止剤、増粘剤、などの公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
また、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)には、感圧接着剤としての凝集力を高め、耐熱性などを向上させるために、外部架橋剤を添加して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合してなる重合体に架橋構造を導入することができる。
顔料としては、カーボンブラックや、二酸化チタンなど、有機系、無機系を問わず使用できる。その他の充填材としては、クレーなどの無機化合物などが挙げられる。フラーレンやカーボンナノチューブ、などのナノ粒子を添加してもよい。老化防止剤としては、ラジカル重合を阻害する可能性が高いため通常は使用しないが、必要に応じてポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤を使用することができる。増粘剤としては、アクリル系ポリマー粒子、微粒シリカなどの無機化合物微粒子、酸化マグネシウムなどのような反応性無機化合物を使用することできる。
B1層は、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S2)と、難燃性熱伝導無機化合物(D2)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)からなる。熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)は、さらに縮合リン酸エステル(C2)を含むことが好ましい。
重合体(S2)は、上記した(S1)と同様とすることができるため、詳細な説明を省略する。
重合体(S2)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP2)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α2)を重合することにより得られるものが特に好ましい。熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)を成形してB1層とする際に、熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)をシート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(α2)は、重合して(メタ)アクリル酸エステル重合体に変換し、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP2)の成分と混合及び/又は一部結合して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)となる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)とは、B1層中の(メタ)アクリル酸エステル重合体成分全てに相当し、B1層中の(メタ)アクリル酸エステル重合体成分全てを包括的に表す概念である。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP2)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α2)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)中に用いることができる難燃性熱伝導無機化合物(D2)は特に限定されることはなく、その具体例としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、カオリンクレー、アルミン酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、ドーソナイトなどが挙げられる。難燃性熱伝導無機化合物(D2)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
縮合リン酸エステル(C2)は、縮合リン酸エステル(C1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)には、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)と同様に、必要により、発泡剤、外部架橋剤、顔料、その他の充填材、老化防止剤、増粘剤、などの公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。添加できるその他の成分は熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
B2層は、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S3)と、難燃性熱伝導無機化合物(D3)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)からなる。熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)は、さらに縮合リン酸エステル(C3)を含むことが好ましい。
重合体(S3)は、上記した(S1)と同様とすることができるため、詳細な説明を省略する。
重合体(S3)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A3)であることが好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A3)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP3)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α3)を重合することにより得られるものが特に好ましい。熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)を成形してB2層とする際に、熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)をシート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(α3)は、重合して(メタ)アクリル酸エステル重合体に変換し、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP3)の成分と混合及び/又は一部結合して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A3)となる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A3)とは、B2層中の(メタ)アクリル酸エステル重合体成分全てに相当し、B2層中の(メタ)アクリル酸エステル重合体成分全てを包括的に表す概念である。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP3)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(α3)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)中に用いることができる難燃性熱伝導無機化合物(D3)は、難燃性熱伝導無機化合物(D2)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
縮合リン酸エステル(C3)は、縮合リン酸エステル(C1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)には、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)と同様に、必要により、発泡剤、外部架橋剤、顔料、その他の充填材、老化防止剤、増粘剤、などの公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。添加できるその他の成分は熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)と同様であるため、詳細な説明を省略する。
熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、A層、B1層、及びB2層を成形した後、それらの層を積層することによって得られる。また、A層、B1層、及びB2層のいずれかの層を成形した後、成形された層の上に熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)、熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)又は熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)を塗布して他の層を順に層状に成形・積層することでも熱伝導性感圧接着性積層シート(F)を得られる。A層、B1層、及びB2層の成形方法は同様であるため、A層の成形方法について以下に説明する。
本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、A層、B1層、及びB2層の3層のみからなるものであってもよく、A層、B1層、及びB2層からなる積層体の一方の面側又は両面側に基材を備えた複合体であってもよい。該基材の種類は、特に限定されない。
従来の熱伝導性感圧接着性シートでは、膨張化黒鉛粉(B)を多量に含有させると成形性が悪くなる(シートにならない)ため、膨張化黒鉛粉(B)を含有させられる量が限られていた。一方、本発明では少なくとも3層を有する熱伝導性感圧接着性積層シート(F)とすることによって、B1層及びB2層に挟持されるA層に膨張化黒鉛粉(B)を高充填することが可能である。そのため、A層には高い熱伝導性も備えさせることができる。また、B1層及びB2層には熱伝導性、絶縁性及び柔軟性を備えさせることができる。そのため、柔軟性を有するA層を、A層と同等、あるいは同等以上の柔軟性を有するB1層及びB2層で挟持した熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、高い熱伝導性、絶縁性及び柔軟性を有し、層間の密着性にも優れた積層シートとすることができる。さらに、単層のB1層又はB2層では難燃性に劣る場合であっても、高い難燃性を有するA層を合わせることによって、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は高い難燃性も有する。
上記した本発明の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)は、電子部品の一部として用いることができる。その際、放熱体のような基材上に直接的に形成して、電子部品の一部として提供することもできる。当該電子部品の具体例としては、エレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード(LED)光源を有する機器における発熱部周囲の部品、自動車等のパワーデバイス周囲の部品、燃料電池、太陽電池、バッテリー、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン、液晶、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は集積回路(IC)など発熱部を有する機器や部品を挙げることができる。
熱伝導性感圧接着性積層シートの各層、又は熱伝導性感圧接着性シートを構成するシートの厚さを測定した。離型剤付きポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「離型PET」という。)が付されている層については、該離型PETの厚みをゼロに補正し、該離型PETが付されたまま測厚器上にのせ、厚さを測定した。その結果を表2及び表3に示す。
熱伝導性感圧接着性積層シートまたは熱伝導性感圧接着性シートを幅50mm×長さ50mmの大きさに裁断した試験片について、表面(比較例7の場合はシート(Y1)側の面)の幅方向の両端に電流を流し、その電気抵抗値を確認した。同一の試験片について、上記方法で3回、抵抗値を測定し、平均値を求めた。その結果を表4及び表5に示す。
熱伝導性感圧接着性積層シートを幅10mm×長さ150mmの大きさに裁断した試験片を5本用意した。ブンゼンバーナーの空気およびガスの流量を調整して高さ20mm程度の青色炎をつくり、垂直に支持した試験片の下端にバーナーの炎をあてて(炎と約10mm交わるように)10秒間保った後、試験片とバーナー炎を離した。その後、試験片の炎が消えれば直ちにバーナー炎を試験片にあて、更に10秒間保持した後、試験片とバーナー炎を離した。1回目と2回目の接炎終了後の有炎及び無炎燃焼持続時間や燃焼滴下物(ドリップ)の有無などを評価した。その結果を表4及び表5に示す。表4及び表5において、難燃性の欄に記された数字は、5本の試験片の有炎及び無炎燃焼時間の合計時間を示している。
摂氏100度の雰囲気下で熱伝導性感圧接着性積層シートを構成する各層の界面の外観を目視で確認した。界面において、自然に剥離していることを確認できた場合を「あり」、剥離を確認できなかった場合を「なし」として、結果を表4及び表5に示す。
熱伝導性感圧接着性積層シートを幅50mm×長さ80mmの大きさに裁断した試験片について、表面に、接触面積が25mm×25mmとなる平板状のセラミックヒータを載せた。このとき、試験片の中央にセラミックヒータが位置するようにおいた。その後、23℃雰囲気下で、セラミックヒータに16.5Vの電圧を付加し、60分後にセラミックヒータと試験片とを上面側からサーモビジョンで撮影した。セラミックヒータの最も温度が高い部分を確認し、その温度から、セラミックヒータに試験片を接触させてない場合のセラミックヒータの温度を引いた値を熱特性の評価結果とした。熱特性の値が小さいほど、放熱性能が高い。その結果を表4及び表5に示す。
実施例及び比較例に用いるシート(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)、(X6)、(X7)、(Y1)、(Y1’)、(Y2)、(Y3)、及び(Y4)を以下の手順で作製した。
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量(Mw)は270,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は3.1であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
混合条件:
恒温槽(商品名「ビスコメイト 150III」、東機産業株式会社製)を用いて、ホバート容器の温調を60℃に設定。
1.回転数メモリ3×10分で混合
2.回転数メモリ5×10分で混合
3.回転数メモリ3×10分、−0.1MPaで真空脱泡しながら混合
シート(X1)中の残存単量体量から(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。
カーボンブラックを用いず、膨張化黒鉛粉の含有量を830部とした以外はシート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(X2)を得た。使用した原料について、表2に示す。
膨張化黒鉛粉の含有量を1660部とした以外はシート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(X3)を得た。使用した原料について、表2に示す。
さらに、リン酸塩(商品名「FP−2200」、株式会社ADEKA製)83部、発泡剤(商品名「N#1000S」、永和化成工業株式会社製)10部を加えた以外はシート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(X4)を得た。使用した原料について、表2に示す。
イソプレン単独重合体末端水酸基変性液状物(商品名「PP−IP」、出光興産株式会社製)70部と、ポリウレタン(商品名「PU−330」、広野科学工業株式会社製)30部と縮合リン酸エステル140部とをホバート容器に投入し10分間攪拌した後、カーボンブラック(商品名「EC」、ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製、数密度:100〜145kg/m2)2.0部と膨張化黒鉛粉320部とをホバート容器に投入して減圧下において10分間攪拌混合しながら脱泡し、熱伝導性感圧接着剤組成物を得た。その他の工程はシート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(X5)を得た。使用した原料について、表2に示す。
膨張化黒鉛粉にかえてリンペン状黒鉛(商品名「W−5」、伊藤黒鉛工業株式会社製、平均粒径:5μm)332部を用いた以外はシート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(X6)を得た。使用した原料について、表2に示す。
縮合リン酸エステルを用いなかったこと以外はシート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(X7)を得た。使用した原料について、表2に示す。
膨張化黒鉛、カーボンブラック、及び縮合リン酸エステルを含有させず、難燃性熱伝導無機化合物である水酸化アルミニウム(商品名「BF083」、日本軽金属株式会社製、平均粒径:8μm)303部を加え、(メタ)アクリル酸エステル重合体、2EHA、MAA、多官能性単量体、及びtBCHの含有量を変更し、その他はシート(X1)と同様にして熱伝導性感圧接着剤組成物を得た。使用した原料について、表3に示す。得られた熱伝導性感圧接着剤組成物をシート状に成形する際に、該シートの厚さを1000μmから50μmに変更した以外は、シート(X1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(Y1)を得た。
厚さを500μmに変更した以外はシート(Y1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(Y1’)を得た。使用した原料について、表3に示す。
縮合リン酸エステル40.4部をさらに含有させた以外はシート(Y1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(Y2)を得た。使用した原料について、表3に示す。
(メタ)アクリル酸エステル重合体、2EHA、MAA、多官能性単量体、及びtBCHにかえて、イソプレン単独重合体末端水酸基変性液状物(商品名「PP−IP」、出光興産株式会社製)90.9部と、ポリウレタン(商品名「PU−330」、広野科学工業株式会社製)9.1部とを用い、水酸化アルミニウムの含有量を変更した以外はシート(Y1)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(Y3)を得た。使用した原料について、表3に示す。
水酸化アルミニウムを用いない以外はシート(Y2)と同様にして、両面を離型PETで覆われた、シート(Y4)を得た。使用した原料について、表3に示す。
上記のようにして作製したシート(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、(X5)、(X6)、(X7)、(Y1)、(Y1’)、(Y2)、(Y3)、及び(Y4)、並びに、アルミニウムシート及びグラファイトシートを用いて、実施例1〜9にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(F1)〜(F9)、比較例1にかかる熱伝導性感圧接着性シート(FC1)、及び比較例2〜7にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC2)〜(FC7)を作製した。用いたシートの組み合わせを表4及び表5に示す。なお、比較例にかかるシートについては、実施例にかかる熱伝導性感圧接着性積層シートのA層に相当する層をC層とし、B1層に相当する層をD1層とし、B2層に相当する層をD2層とした。
実施例1にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(F1)は、A層としてシート(X1)を用い、B1層及びB2層としてシート(Y1)を用いた。すなわち、シート(X1)とシート(Y1)とを重ね合わせ、空気が混入しないようにシート(X1)とシート(Y1)とを圧着した。その後、シート(X1)のシート(Y1)が積層されていない側にも他のシート(Y1)を重ね合わせ、該シート(Y1)を圧着した。なお、各層を重ね合わせる前に、離型PETは剥がした。
実施例2〜9にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(F2)〜(F9)は、表4に示したシートを用いて、シート(F1)と同様に、A層の一方の面側にB1層を積層した後他方の面側にB2層を積層した。なお、シート(F1)と同様に、シート(F2)〜(F8)もB1層及びB2層には同様の組成の層を用いた。
比較例1にかかる熱伝導性感圧接着性シート(FC1)は、シート(X1)のみで構成した。
比較例2にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC2)は、C層としてアルミニウムシートを用いた以外は熱伝導性感圧接着性積層シート(F1)と同様である。
比較例3にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC3)は、C層としてグラファイトシートを用いた以外は熱伝導性感圧接着性積層シート(F1)と同様である。
比較例4にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC4)は、D1層及びD2層としてシート(Y4)を用いた以外は積層シート(F1)と同様である。
比較例5にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC5)は、C層としてシート(X6)を用いた以外は積層シート(F1)と同様である。
比較例6にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC6)は、C層としてシート(X7)を用いた以外は積層シート(F1)と同様である。
比較例7にかかる熱伝導性感圧接着性積層シート(FC7)は、シート(X3)の一方の面側にのみ熱伝導性感圧接着性積層シート(F1)と同様の方法でシート(Y1)を積層してなる。
実施例で作製したシートの評価結果を表4に示し、比較例で作製したシートの評価結果を表5に示す。なお、表中の「−」は、他の測定結果において既に、熱伝導性感圧接着性(積層)シートとしての使用に堪えない規格外の結果となったため、当該項目について評価していないことを意味する。
(実施例10)
市販のLED照明(日立ライティング株式会社/LES7L/K6N−A)を分解し、LEDチップを搭載した基板の裏側に、実施例1で使用したシート(F1)を60cm×60cmの大きさに切って貼り付け、再度組み立てた後再び点灯させた。LED照明を再点灯後、60分後のLEDチップ上の拡散板の表面温度(「LED表面温度」と称する。)をサーモビジョンで測定した。結果を表6に示す。
シート(F1)を用いなかった他は、実施例9と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
シート(F1)の代わりに、60cm×60cmの、0.5W/m・Kの単層シートを使用した他は、実施例9と同様にして評価を行った。結果を表6に示す。
一方、0.5W/m・Kの単層シートを使用した比較例9では、シートを用いない場合(比較例8)に比較して、LED表面温度は1℃しか下がらなかった。
Claims (9)
- ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S1)と膨張化黒鉛粉(B)と縮合リン酸エステル(C1)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)からなるA層、
ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S2)と難燃性熱伝導無機化合物(D2)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)からなり、前記A層の一方の面側に積層されるB1層、並びに、
ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S3)と難燃性熱伝導無機化合物(D3)とを含む熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)からなり、前記A層の他方の面側に積層されるB2層を備え、
前記縮合リン酸エステル(C1)は、25℃における粘度が7000mPa・s以上であり、かつ大気圧下15℃以上100℃以下の温度領域において常に液体である、熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。 - 前記A層が、前記重合体(S1)100質量部に対し、60質量部以上1800質量部以下の前記膨張化黒鉛粉(B)及び100質量部以上300質量部以下の前記縮合リン酸エステル(C1)を含む、請求項1に記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。
- 前記B1層及び前記B2層の厚みが1μm以上600μm以下である、請求項1または2に記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。
- 前記熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)がリン酸塩(G)及び/又は発泡剤(H)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。
- 前記熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)が縮合リン酸エステル(C2)を含み、前記熱伝導性感圧接着剤組成物(E3)が縮合リン酸エステル(C3)を含み、
前記縮合リン酸エステル(C2)及び前記縮合リン酸エステル(C3)は、25℃における粘度が7000mPa・s以上であり、かつ大気圧下15℃以上100℃以下の温度領域において常に液体である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。 - 前記重合体(S1)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)であり、前記重合体(S2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)であり、前記重合体(S3)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A3)である、請求項1〜5のいずれかに記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α1)を重合することにより得られるものであり、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP2)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α2)を重合することにより得られるものであり、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A3)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(AP3)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(α3)を重合することにより得られるものである、請求項6に記載の熱伝導性感圧接着性積層シート(F)。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の熱伝導性感圧接着性シート(F)を備えた電子部品。
- エレクトロルミネッセンス(EL)、発光ダイオード(LED)光源を有する機器、自動車のパワーデバイス、燃料電池、太陽電池、バッテリー、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ノートパソコン、液晶、表面伝導型電子放出素子ディスプレイ(SED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、又は集積回路(IC)である、請求項8に記載の電子部品。
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