JP5304216B2 - 熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート - Google Patents

熱伝導性感圧接着剤組成物及び熱伝導性感圧接着性シート Download PDF

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Description

本発明は、熱伝導性感圧接着剤組成物、及び該熱伝導性感圧接着剤組成物から形成される熱伝導性感圧接着性シートに関する。
近年、プラズマディスプレイパネル(PDP)、集積回路(IC)チップ等のような電子部品は、その高性能化に伴って発熱量が増大している。また、ノートパソコン、携帯電話機、携帯情報端末(PDA)などの小型電子機器では、小型薄型化が進み、温度上昇による機能障害対策がより重要な課題となっている一方、熱対策を行うだけのスペースがなく、従来行われてきたファン・フィンを用いて放熱することが困難とされている。この場合、電子部品等の発熱体から効率良く熱を取り除く一般的な方法としては、発熱体にグラファイトシートなどのシート部材を用いて熱拡散、熱放射を行うことが挙げられる。しかし、一般にグラファイトは加工性が悪いためシートに加工しにくく、またグラファイトシート自体には粘着性がないため、別途粘着剤層を設ける必要があり、構造が複雑になる他、粘着剤層により熱伝導性が低下するなどの虞がある。
電子部品などから、より効率良く熱を取り除くことを課題として考えられた技術が、これまでにいくつか開示されている。例えば、特許文献1には、所定の炭素繊維と膨張黒鉛とを、含有する熱伝導性成形材料であって、該炭素繊維の含有量よりも該膨張黒鉛の含有量が多いことを特徴とする熱伝導性成形材料に関する技術が開示されている。
また、特許文献2には、熱可塑性樹脂、黒鉛粒子、及び、炭素繊維を含有し、該黒鉛粒子及び該炭素繊維の含有量が、該熱可塑性樹脂を100質量部としたときに、それぞれ10〜300質量部及び1〜80質量部であることを特徴とする放熱性樹脂組成物に関する技術が開示されている。
特開2007−291267号公報 特開2008−150595号公報
上述したように、これまでにも電子部品などから効率良く熱を取り除くための技術がいくつか開示されているが、高性能化が進む電子部品に対応させるためには、より熱伝導性(放熱効果)が高い材料の開発が望まれていた。
そこで、本発明は、より高い熱伝導性を有する熱伝導性感圧接着性シート及び該熱伝導性感圧接着性シートのもととなる熱伝導性感圧接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、熱伝導性感圧接着性シートについて鋭意研究を続けた結果、所定量の膨張化黒鉛及びPITCH系炭素繊維を含有した熱伝導性感圧接着剤組成物をシート状に成形することで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、第1の本発明によれば、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S)と、該重合体(S)100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下の膨張化黒鉛粉(B)と、85質量部以上280質量部以下のPITCH系炭素繊維(C)と、を含有し、かつ、該PITCH系炭素繊維(C)の含有量が該膨張化黒鉛粉(B)の含有量よりも多いことを特徴とする熱伝導性感圧接着剤組成物(E)が提供される。
第1の本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)において、重合体(S)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)であることが好ましい。本発明において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル、及び/又は、メタクリル」を意味する。重合体(S)を(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)として用いる際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)に接着性・柔軟性を付与させやすい。
第1の本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を含んでなることが、さらに好ましい。かかる形態とすることによって、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とする際の成形性を向上させることができる。
また、第2の本発明によれば、第1の本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)をシート状に成形してなる、熱伝導性感圧接着性シート(F)が提供される。
第2の本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)は、好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を含む第1の本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に該(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合することにより得られる、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)の固化物(E’)のシート状成形体である。
本発明によれば、熱伝導性が向上した熱伝導性感圧接着性シート、及び該熱伝導性感圧接着性シートのもととなる熱伝導性感圧接着剤組成物を得ることができる。本発明の熱伝導性感圧接着性シートは、筐体に貼るだけで電子機器等の温度を効果的に低減することができる。
1.熱伝導性感圧接着剤組成物(E)
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)は、ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S)と、該重合体(S)100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下の膨張化黒鉛粉(B)と、85質量部以上280質量部以下のPITCH系炭素繊維(C)と、を含有し、かつ、該PITCH系炭素繊維(C)の含有量が該膨張化黒鉛粉(B)の含有量よりも多いことを特徴とする。以下にこれらの各物質について詳細に説明する。
<PITCH系炭素繊維(C)>
炭素繊維には、主にPAN系炭素繊維とPITCH系炭素繊維(C)とがある。PAN系炭素繊維とはポリアクリロニトリル(PAN)を原料とする炭素繊維であり、強度が高く、樹脂などと混合させた際にも折れ難いという特長を有するが、PITCH系炭素繊維(C)に比べて熱伝導率が低い。一方、PITCH系炭素繊維(C)とは、ピッチ(石油、石炭、コールタールなどの副生成物)を原料とする炭素繊維であり、PAN系炭素繊維に比べて熱伝導率が高いという特長を有するが、樹脂などと混合させた際に折れ易いため、該樹脂などからなる組成物に高充填させることができなかった。また、樹脂などからなる組成物にPITCH系炭素繊維(C)を混合させてシートを成形する際、成形性を向上させるためにフィラーの添加量を抑えて該組成物の粘度を低くすることが好ましいと考えられていた。例えば、上記特許文献1には、膨張黒鉛とピッチ系炭素繊維を含む放熱材料を得る際、膨張黒鉛よりもピッチ系炭素繊維の重量比率が増大すると、成形性が悪化すると記載されている。
しかしながら、本発明者らは、後に詳述する膨張化黒鉛粉(B)を所定量加えることで、膨張化黒鉛粉(B)の含有量よりも多い量のPITCH系炭素繊維(C)を、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に高充填できることを見出した。上記したようにPITCH系炭素繊維(C)は高い熱伝導性を有するため、PITCH系炭素繊維(C)が高充填された熱伝導性感圧接着剤組成物(E)からは、高い熱伝導性を有する熱伝導性感圧接着性シート(F)を得ることができる。
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に含有されるPITCH系炭素繊維(C)の量は、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に含有される膨張化黒鉛粉(B)の量よりも多く、かつ、後に詳述する重合体(S)100質量部に対し、85質量部以上280質量部以下である。また、PITCH系炭素繊維(C)の含有量の上限は、好ましくは250質量部であり、より好ましくは230質量部である。一方、PITCH系炭素繊維(C)の含有量の下限は、好ましくは100質量部であり、より好ましくは120質量部である。膨張化黒鉛粉(B)の量が上記範囲の上限(280質量部)を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とした際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の表面状態が悪くなる傾向にある。一方、上記範囲の下限(85質量部)未満であれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とした際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の熱伝導率を向上させる効果が低くなる傾向にある。
<膨張化黒鉛粉(B)>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)には、膨張化黒鉛粉(B)が含有される。本発明に用いることができる膨張化黒鉛粉(B)の例としては、酸処理した黒鉛を500℃〜1200℃にて熱処理して100ml/g〜300ml/gに膨張させ、次いで、粉砕することを含む工程を経て得られたものを挙げることができる。より好ましくは、黒鉛を強酸で処理した後アルカリ中で焼結し、その後再度強酸で処理したものを500℃〜1200℃にて熱処理して、酸を除去すると共に100ml/g〜300ml/gに膨張させ、次いで、粉砕することを含む工程を経て得られたものを挙げることができる。上記熱処理の温度は、特に好ましくは800℃〜1000℃である。
本発明に用いる膨張化黒鉛粉(B)の平均粒径は30μm〜500μmであることが好ましく、より好ましくは50μm〜400μmであり、さらに好ましくは80μm〜300μmである。膨張化黒鉛粉(B)の平均粒径が上記範囲の下限未満では、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とした際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の熱伝導率を向上させる効果が低くなる傾向にある。一方、膨張化黒鉛粉(B)の平均粒径が上記範囲の上限を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とした際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の表面に膨張化黒鉛粉(B)が大きなドメインで存在することにより、被接着体との界面において空隙ができやすくなり、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の熱伝導性及び粘着性が低下する虞や、成形性が悪くなる虞がある。
膨張化黒鉛粉(B)の平均粒径は、レーザー式粒度測定機(株式会社セイシン企業製)を用い、マイクロソーティング制御方式(測定領域内にのみ測定対象粒子を通過させ、測定の信頼性を向上させる方式)により測定する。この測定方法は、セル中に測定対象の膨張化黒鉛粉(B)0.01g〜0.02gが流されることで、測定領域内に流れてくる膨張化黒鉛粉(B)に波長670nmの半導体レーザー光が照射され、その際のレーザー光の散乱と回折が測定機にて測定されることにより、フランホーファの回折原理から、平均粒径及び粒径分布が計算され、その結果が表示される。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に含有される膨張化黒鉛粉(B)の量の下限は、重合体(S)100質量部に対して、30質量部であり、好ましくは35質量部であり、さらに好ましくは40質量部である。また、上限は、重合体(S)100質量部に対して、150質量部であり、好ましくは120質量部であり、さらに好ましくは100質量部である。熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に含有される膨張化黒鉛粉(B)の量が上記範囲の下限(30質量部)未満であれば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とした際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の熱伝導率を向上させる効果が低くなる傾向にある。一方、上記範囲の上限(150質量部)を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)の粘度が上昇し、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)から熱伝導性感圧接着性シート(F)を得る際の生産性が低下する他、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の熱伝導率が、膨張化黒鉛粉(B)の添加部数を増量してもさほど上昇しなくなり、不経済となる。
<重合体(S)>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)には、重合体(S)が含有されている。重合体(S)を構成するものとしては、ゴム、エラストマー及び樹脂の中から任意に選んだ少なくとも一種を挙げることができる。そして、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)をシート状に成形して、熱伝導性感圧接着性シート(F)として用いるためには、重合体(S)に接着性又は粘着性を備えさせることが好ましい。重合体(S)に、接着性又は粘着性を備えさせるためには、ゴム、エラストマー及び樹脂は、接着性又は粘着性を有するものの中から選ぶことが好ましい。しかしながら、接着性又は粘着性を有しないゴム、エラストマー及び樹脂に、粘接着性付与剤を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いることができるゴム、エラストマー及び樹脂の具体例を以下に列記する。
天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴムなどの、共役ジエン重合体;ブチルゴム;スチレン―ブタジエンランダム共重合体、スチレン―イソプレンランダム共重合体、スチレン―ブタジエン―イソプレンランダム共重合体、スチレン―ブタジエンブロック共重合体、スチレン―イソプレンブロック共重合体、スチレン―ブタジエン―イソプレンブロック共重合体、スチレン―イソプレン―スチレンブロック共重合体などの、芳香族ビニル―共役ジエン共重合体;スチレン―ブタジエン共重合体の水素添加物などの、芳香族ビニル―共役ジエン共重合体の水素添加物;アクリロニトリル―ブタジエン共重合ゴム、アクリロニトリル―イソプレン共重合ゴムなどの、シアン化ビニル化合物―共役ジエン共重合体;アクリロニトリル―ブタジエン共重合体の水素添加物などの、シアン化ビニル化合物―共役ジエン共重合体の水素添加物;シアン化ビニル―芳香族ビニル―共役ジエン共重合体;シアン化ビニル化合物―芳香族ビニル―共役ジエン共重合体の水素添加物;シアン化ビニル化合物―共役ジエン共重合体とポリ(ハロゲン化ビニル)との混合物;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリ(アクリル酸n―ブチル)、ポリ(メタクリル酸n―ブチル)、ポリ(アクリル酸2―エチルヘキシル)、ポリ(メタクリル酸2―エチルヘキシル)、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリアクリル酸ステアリル、ポリメタクリル酸ステアリルなどの、(メタ)アクリル重合体;ポリエピクロロヒドリンゴム、ポリエピブロモヒドリンゴムなどの、ポリエピハロヒドリンゴム;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドなどの、ポリアルキレンオキシド;エチレン―プロピレン―ジエン共重合体(EPDM);シリコーンゴム;シリコーン樹脂;フッ素ゴム;フッ素樹脂;ポリエチレン;エチレン―プロピレン共重合体、エチレン―ブテン共重合体などの、エチレン―α―オレフィン共重合体;ポリプロピレン、ポリ―1―ブテン、ポリ―1―オクテンなどの、α―オレフィン重合体;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ臭化ビニル樹脂などの、ポリハロゲン化ビニル樹脂;ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリ臭化ビニリデン樹脂などの、ポリハロゲン化ビニリデン樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ナイロン―6、ナイロン―6,6、ナイロン―6,12などの、ポリアミド;ポリウレタン;ポリエステル;ポリ酢酸ビニル;ポリ(エチレン―ビニルアルコール);などを挙げることができる。
上記したゴム、エラストマー及び樹脂の具体例の中でも、スチレン―イソプレンブロック共重合体、スチレン―イソプレン―スチレンブロック共重合体、ポリアクリル酸エチル、ポリ(アクリル酸n―ブチル)、ポリ(アクリル酸2―エチルヘキシル)、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕が、接着性、粘着性に優れるため好ましい。
より好ましくは、ポリ(アクリル酸n―ブチル)、ポリ(アクリル酸2―エチルヘキシル)、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸n―ブチル)―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕が挙げられる。
さらに好ましくは、ポリ〔アクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕、ポリ〔アクリル酸―メタクリル酸―(アクリル酸2―エチルヘキシル)〕が挙げられる。
ゴム、エラストマー、及び、樹脂の具体例として挙げた上記物質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。重合体(S)を構成するものとしては、後に詳細に説明するように、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)が好ましく、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合することにより得られるものが特に好ましい。
重合体(S)に所望により配合される粘接着性付与剤としては、各種公知のものを使用できる。例えば石油樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂及びロジン樹脂が挙げられるが、これらのなかでも石油樹脂が好ましい。これらは、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
石油樹脂の具体例としては、ペンテン、ペンタジエン、イソプレンなどから得られるC5石油樹脂;インデン、メチルインデン、ビニルトルエン、スチレン、α―メチルスチレン、β―メチルスチレンなどから得られるC9石油樹脂;上記各種モノマーから得られるC5―C9共重合石油樹脂;シクロペンタジエン、ジシクロペンタジエンから得られる石油樹脂;それらの石油樹脂の水素化物;それらの石油樹脂を無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸、フェノールなどで変性した変性石油樹脂;などを挙げることができる。
テルペン系樹脂としてはα―ピネン樹脂、β―ピネン樹脂や、α―ピネン、β―ピネンなどのテルペン類とスチレンなどの芳香族モノマーを共重合させた芳香族変性のテルペン系樹脂などを例示できる。
フェノール樹脂としては、フェノール類とホルムアルデヒドの縮合物を使用できる。該フェノール類としては、フェノール、m―クレゾール、3,5―キシレノール、p―アルキルフェノール、レゾルシンなどが挙げられ、これらフェノール類とホルムアルデヒドをアルカリ触媒で付加反応させたレゾールや、酸触媒で縮合反応させて得られるノボラックなどが例示できる。また、ロジンにフェノールを酸触媒で付加させ熱重合することにより得られるロジンフェノール樹脂なども例示できる。
ロジン樹脂としてはガムロジン、ウッドロジンもしくはトール油ロジンや、前記ロジンを用いて不均化もしくは水素添加処理した安定化ロジンや重合ロジンや、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸、フェノールなどで変性した変性ロジンや、それらのエステル化物などが挙げられる。
上記エステル化物を得るためのエステル化に用いられるアルコールとしては多価アルコールが好ましく、その例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの2価アルコールや、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコールや、ペンタエリスリトール、ジグリセリンなどの4価アルコールや、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコールなどが挙げられ、これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
これら粘接着性付与剤の軟化点は特に限定されないが、200℃以下の高軟化点のものから室温にて液状のものを適宜選択して使用できる。
((メタ)アクリル酸エステル重合体(A1))
熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)として用いる際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)に接着性・柔軟性を付与させやすいという観点からは、重合体(S)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)であることが好ましい。以下、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)について詳細に説明する。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)、及び、有機酸基を有する単量体単位(a2)を含有することが好ましい。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)を与える(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)には、特に限定はないが、例えば、アクリル酸エチル(単独重合体のガラス転移温度は、−24℃)、アクリル酸プロピル(同−37℃)、アクリル酸ブチル(同−54℃)、アクリル酸sec―ブチル(同−22℃)、アクリル酸ヘプチル(同−60℃)、アクリル酸ヘキシル(同−61℃)、アクリル酸オクチル(同−65℃)、アクリル酸2―エチルヘキシル(同−50℃)、アクリル酸2―メトキシエチル(同−50℃)、アクリル酸3―メトキシプロピル(同−75℃)、アクリル酸3―メトキシブチル(同−56℃)、アクリル酸2―エトキシメチル(同−50℃)、メタクリル酸オクチル(同−25℃)、メタクリル酸デシル(同−49℃)などを挙げることができる。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、好ましくは80質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは85質量%以上99.5質量%以下となるような量で重合に使用される。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が、上記範囲内であると、これから得られる熱伝導性感圧接着性シート(F)の室温付近での感圧接着性に優れる。
有機酸基を有する単量体単位(a2)を与える単量体(a2m)は、特に限定されず、その代表的なものとして、カルボキシル基、酸無水物基、スルホン酸基などの有機酸基を有する単量体を挙げることができるが、これらのほか、スルフェン酸基、スルフィン酸基、燐酸基などを含有する単量体も使用することができる。
カルボキシル基を有する単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのα,β―エチレン性不飽和モノカルボン酸や、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などのα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸の他、イタコン酸メチル、マレイン酸ブチル、フマル酸プロピルなどのα,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸部分エステルなどを挙げることができる。また、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの、加水分解などによりカルボキシル基に誘導することができる基を有するものも同様に使用することができる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド―2―メチルプロパンスルホン酸などのα,β―不飽和スルホン酸、及び、これらの塩を挙げることができる。
これらの有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体がより好ましく、中でも、アクリル酸、メタクリル酸が特に好ましい。これらは、工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く、生産性の点でも好ましい。これらの有機酸基を有する単量体(a2m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、0.1質量%以上20質量%以下、好ましくは0.5質量%以上15質量%以下となるような量で重合に使用されるのが望ましい。上記範囲内での使用においては、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことができる。
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、前述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体中に導入するのが簡便であり好ましいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)から誘導される重合体単位(a3)を含有していてもよい。
有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピルなどの、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルなどを挙げることができる。
アミノ基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N―ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N―ジメチルアミノエチル、アミノスチレンなどを挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N―メチロールアクリルアミド、N―メチロールメタクリルアミド、N,N―ジメチルアクリルアミドなどのα,β―エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体などを挙げることができる。
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテルなどを挙げることができる。
有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、10質量%以下となるような量で重合に使用されるのが好ましい。10質量%以下の単量体(a3m)を使用することにより、重合時の粘度を適正に保つことができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、上述したガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体の単位(a1)、有機酸基を有する単量体単位(a2)、及び、有機酸基以外の官能基を含有する単量体単位(a3)以外に、これらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)から誘導される単量体単位(a4)を含有していてもよい。単量体(a4m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
単量体(a4m)から導かれる単量体単位(a4)の量は、アクリル酸エステル重合体(A1)の10質量%以下が好ましく、より好ましくは、5質量%以下である。
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体などを挙げることができる。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、アクリル酸メチル(単独重合体のガラス転移温度は、10℃)、メタクリル酸メチル(同105℃)、メタクリル酸エチル(同63℃)、メタクリル酸プロピル(同25℃)、メタクリル酸ブチル(同20℃)などを挙げることができる。
α,β―エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチルなどを挙げることができる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α―メチルスチレン、メチルα―メチルスチレン、ビニルトルエン、及び、ジビニルベンゼンなどを挙げることができる。
共役ジエン系単量体の具体例としては、1,3―ブタジエン、2―メチル―1,3一ブタジエン(イソプレンと同義)、1,3―ペンタジエン、2,3―ジメチル―1,3―ブタジエン、2―クロロ―1,3―ブタジエン、シクロペンタジエンなどを挙げることができる。
非共役ジエン系単量体の具体例としては、1,4―ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどを挙げることができる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α―クロロアクリロニトリル、α―エチルアクリロニトリルなどを挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニルなどを挙げることができる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテンなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ法(GPC法)で測定して、10万から40万の範囲にあることが好ましく、15万から30万の範囲にあることが、より好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)、有機酸基を有する単量体(a2m)、必要に応じて使用する、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)、及び、必要に応じて使用するこれらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって特に好適に得ることができる。
重合の方法は、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などのいずれであってもよく、これ以外の方法でもよい。好ましくは、溶液重合であり、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチルなどのカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒を用いた溶液重合がより好ましい。
重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。
重合開始の方法は、特に限定されないが、重合開始剤として熱重合開始剤を用いるのが好ましい。熱重合開始剤は、特に限定されず、過酸化物及びアゾ化合物のいずれでもよい。
過酸化物重合開始剤としては、t―ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシドの他、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩などを挙げることができる。これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
アゾ化合物重合開始剤としては、2,2’―アゾビスイソブチロニトリル、2,2’―アゾビス(2,4―ジメチルバレロニトリル)、2,2’―アゾビス(2―メチルブチロニトリル)などを挙げることができる。
重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、単量体100質量部に対して、0.01質量部以上50質量部以下の範囲であるのが好ましい。
これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件など々)は、特に制限がない。
重合反応終了後、必要により、得られた重合体を重合媒体から分離する。分離の方法は、特に限定されないが、溶液重合の場合、重合溶液を減圧下に置き、重合溶媒を留去することにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得ることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量は、重合の際に使用する重合開始剤の量や、連鎖移動剤の量を適宜調整することによって制御することができる。
((メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m))
熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とする際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の成形性を向上させるという観点からは、重合体(S)が、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合することにより得られるものであることが特に好ましい。本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を成形して、熱伝導性感圧接着性シート(F)とする際に、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)は、重合して(メタ)アクリル酸エステル重合体に変換する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を含有するものであれば、特に限定されないが、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)を含有するものであることが好ましい。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)と同様の(メタ)アクリル酸エステル単量体を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及びそれと共重合可能な単量体との混合物として用いてもよい。
特に好ましい(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)、及び、有機酸基を有する単量体(a6m)からなるものである。
有機酸基を有する単量体(a6m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a2m)として例示したものと同様の有機酸基を有する単量体を挙げることができる。有機酸基を有する単量体(a6m)は、一種を単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)における、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、好ましくは70質量%以上99.9質量%以下、より好ましくは75質量%以上99質量%以下である。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率が、上記範囲にあるときは、熱伝導性感圧接着性シート(F)の感圧接着性や柔軟性に優れる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)における、有機酸基を有する単量体(a6m)の比率は、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上25質量%以下である。有機酸基を有する単量体(a6m)の比率が、上記範囲にあるときは、熱伝導性感圧接着性シートの硬度が適正となり、高温(100℃)での感圧接着性が良好なものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及び有機酸基を有する単量体(a6m)の他に、これらと共重合可能な単量体(a7m)を20質量%以下の範囲で含有することができる。
上記単量体(a7m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a3m)、単量体(a4m)、又は下記に示す多官能性単量体として例示するものと同様の単量体を挙げることができる。
共重合可能な単量体(a7m)としては、前述したように、二以上の重合性不飽和結合を有する、多官能性単量体を用いることもできる。多官能性単量体を共重合させることにより、共重合体に分子内及び/又は分子間架橋を導入して、感圧接着剤としての凝集力を高めることができる。
多官能性単量体としては、1,6―ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2―エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12―ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペン夕エリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性(メタ)アクリレートや、2,4―ビス(トリクロロメチル)―6―p―メトキシスチレン―5―トリアジンなどの置換トリアジンの他、4―アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトンなどを用いることができる。中でも、ペン夕エリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して使用することができる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)は、上記の多官能性単量体を含有していることが好ましい。多官能性単量体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.5質量%以上3質量%以下含有しているのが望ましい。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に含有される(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)の量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100質量部に対して、下限が20質量部であることが好ましく、40質量部であることがより好ましく、60質量部であることがさらに好ましい。また、上限は170質量部であることが好ましく、150質量部であることがより好ましく、130質量部であることがさらに好ましい。熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に含有される(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)の量が上記範囲の下限(20質量部)未満又は上限(170質量部)を超えると、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱伝導性感圧接着性シート(F)とした際に、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の感圧接着保持性が劣ることがある。
熱伝導性感圧接着性シート(F)を成形する際に、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合させることが好ましい。上記膨張化黒鉛粉(B)及びPITCH系炭素繊維(C)を所定量含有した熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合することによって得られる該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)の固化物(E’)から熱伝導性感圧接着性シート(F)を得ることによって、該熱伝導性感圧接着性シート(F)の表面状態を良くすることができる。
上記重合を促進するため、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)に加えて、さらに、重合開始剤を含有することが好ましい。
重合開始剤としては、光重合開始剤、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられるが、得られる熱伝導性感圧接着性シート(F)の接着力等の観点から、有機過酸化物熱重合開始剤が好ましく用いられる。
光重合開始剤としては、公知の各種光重合開始剤を用いることができる。その中でも、ホスフォンオキサイド系化合物が好ましい。好ましい光重合開始剤であるホスフォンオキサイド系化合物としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンジル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
アゾ系熱重合開始剤としては、2,2’―アゾビスイソブチロニトリル、2,2’―アゾビス(2,4―ジメチルバレロニトリル)、2,2’―アゾビス(2―メチルブチロニトリル)などが挙げられる。
有機過酸化物熱重合開始剤としては、t―ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシドや、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,6―ビス(t―ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン、1,1―ビス(t―ブチルペルオキシ)―3,3,5―トリメチルシクロヘキサノンのようなペルオキシドなどを挙げることができるが、熱分解時に臭気の原因となる揮発性物質を放出しないことが好ましい。有機過酸化物熱重合開始剤の中でも、1分間半減期温度が100℃以上かつ170℃以下のものが好ましい。
有機過酸化物熱重合開始剤などの重合開始剤の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)100質量部に対し、下限が、好ましくは0.1質量部、より好ましくは0.3質量部さらに好ましくは0.5質量部であり、上限が、好ましくは10質量部、より好ましくは5質量部、さらに好ましくは3質量部である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)の重合転化率は、95質量%以上であることが好ましい。重合転化率が低すぎると、得られる熱伝導性感圧接着性シート(F)に単量体臭が残るので好ましくない。
<その他の成分>
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)には、さらに、必要により、発泡剤、外部架橋剤、顔料、その他の充填材、老化防止剤、増粘剤、などの公知の各種添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
(発泡剤)
本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)には、それから得られる熱伝導性感圧接着性シート(F)を発泡させるために、発泡剤を添加することもできる。発泡剤としては、熱分解性有機発泡剤が好ましい。さらに、熱分解性有機発泡剤としては、80℃以上かつ200℃以下の分解開始温度を有するものが好ましい。
そのような熱分解性有機発泡剤の具体例としては、4,4’―オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などが挙げられる。アゾジカルボアミドなどの、熱分解開始温度が200℃より高い有機発泡剤に後述する発泡助剤を一定量混合して熱分解開始温度を100℃以上かつ200℃以下とした発泡システムも同様に熱分解性有機発泡剤とすることができる。
上記発泡助剤としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸と亜鉛華(酸化亜鉛のこと)の混合物、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸と亜鉛華の混合物、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸と亜鉛華の混合物、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、などが挙げられる。
(外部架橋剤)
また、本発明の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)には、感圧接着剤としての凝集力を高め、耐熱性などを向上させるために、外部架橋剤を添加して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合してなる重合体に架橋構造を導入することができる。
外部架橋剤の例としては、トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネートなどの多官能性イソシアネート系架橋剤;ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルなどのエポキシ架橋剤;メラミン樹脂架橋剤;アミノ樹脂架橋剤;金属塩架橋剤;金属キレート架橋剤;過酸化物架橋剤;などが挙げられる。
外部架橋剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合してなる重合体を得た後、これに添加して、加熱処理や放射線照射処理を行うことにより、共重合体の分子内及び/又は分子間に架橋を形成させるものである。
(その他)
顔料としては、カーボンブラックや、二酸化チタンなど、有機系、無機系を問わず使用できる。その他の充填材としては、クレーなどの無機化合物などが挙げられる。フラーレンやカーボンナノチューブなどのナノ粒子を添加してもよい。老化防止剤としては、ラジカル重合を阻害する可能性が高いため通常は使用しないが、必要に応じてポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤を使用することができる。増粘剤としては、アクリル系ポリマー粒子、微粒シリカなどの無機化合物微粒子、酸化マグネシウムなどのような反応性無機化合物を使用することできる。
2.熱伝導性感圧接着剤シート(F)
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)は、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)をシート状に成形してなる。シート状に成形する際には、加熱することが好ましい。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)は、好ましくは、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を含有し、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)をシート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に該(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合することにより得られる、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)の固化物(E’)のシート状成形体である。
ただし、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の、単量体などに代表される液体成分の含有量が5質量%以下である場合には、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)はその固化物(E’)と略等価とみなすことができる。実際、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)などの液体成分を含んでいない熱伝導性感圧接着剤組成物(E)は、その固化物(E’)と等価であると考えることができる。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E)において、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の、単量体などに代表される液体成分の含有量が5質量%以下である場合には、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、該液体成分を固化(例えば、前記単量体を重合)することなしに、そのまま成形して本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)とすることができる。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)は、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)又はその固化物(E’)のみからなるものであってもよく、基材とその片面又は両面に形成された熱伝導性感圧接着剤組成物(E)又はその固化物(E’)の層とからなる複合体であってもよい。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)における熱伝導性感圧接着剤組成物(E)又はその固化物(E’)の層の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜3mmである。50μmより薄いと、発熱体と放熱体に貼付する際に空気を巻き込み易く、結果として充分な熱伝導性を得られない虞がある。一方、3mmより厚いと、熱伝導性感圧接着性シート(F)の厚み方向の熱抵抗が大きくなり、放熱性が損なわれる虞がある。
基材の片面又は両面に熱伝導性感圧接着剤組成物(E)又はその固化物(E’)の層を形成する場合、基材は、特に限定されない。
基材の具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレス鋼、ベリリウム銅などの熱伝導性に優れる金属、及び、合金の箔状物や、熱伝導性シリコーンなどのそれ自体熱伝導性に優れるポリマーからなるシート状物や、熱伝導性フィラーを含有させた熱伝導性プラスチックフィルムや、各種不織布や、ガラスクロスや、ハニカム構造体などを用いることができる。
プラスチックフィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、芳香族ポリアミドなどの耐熱性ポリマーからなるフィルムを使用することができる。
熱伝導性感圧接着剤組成物(E)又はその固化物(E’)をシート状に成形する方法は、特に限定されない。好適な方法としては、例えば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、剥離処理したポリエステルフィルムなどの工程紙の上に塗布するキャスト法、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)又はその固化物(E’)を、必要ならば二枚の剥離処理した工程紙間に挟んで、ロールの間を通す方法、及び、押出機を用い、押出す際に、ダイスを通して厚さを制御する方法、などが挙げられる。
シート化しながら、あるいはシート化後に、例えば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱風、電気ヒーター、赤外線などにより加熱することによって、熱伝導性感圧接着性シート(F)を好適に得ることができる。このときの加熱温度は、有機過酸化物熱重合開始剤が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)の重合が進行する条件が好ましい。温度範囲は、用いる有機過酸化物熱重合開始剤の種類により異なるが、100℃〜200℃が好ましく、130℃〜180℃がより好ましい。
熱伝導性感圧接着性シート(F)は、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形し、及び100℃以上かつ200℃以下の温度に加熱することにより、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)のシート化及び熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)の重合を行うことによりなるシート状成形体であることが好ましい。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート(F)は、放熱体のような基材上に直接的に形成して、電子部品の一部として提供することもできる。
以下に、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、ここで用いる「部」や「%」は、特に断らない限り、質量基準である。
25mm×120mmの大きさに切断した熱伝導性感圧接着性シート(F)を試料として、以下の測定を行った。
<熱伝導性感圧接着性シートの厚さ測定>
試料に付されている離型紙の厚みをゼロに補正し、離型紙が付されたままの試料を測厚器上にのせ、厚さを測定した。その結果を表2に示す。
<熱伝導性感圧接着性シートの放熱性能測定>
試料の上に、接触面積が25mm×25mmとなる平板状のセラミックヒータを載せた。このとき、試料の短辺側の一端とセラミックヒータの一端面とを揃えるようにして載せた。その後、23℃雰囲気下で、セラミックヒータに20Vの電圧を付加し、60分後にセラミックヒータと試料とを上面側からサーモビジョンで撮影した。セラミックヒータ表面の最も温度が高い部分を確認し、セラミックヒータに試料を接触させてない場合のセラミックヒータの温度との差分を温度低減度とした。この温度低減度の値が大きいほど、放熱性能(熱伝導率、熱放射性)が高いと言える。結果を表2に示す。
<表面状態の観察>
試験片の表面状態を目視で観察した。その結果を表2に示す。表2中の「良好」とは、表面の剥がれやひびなどがなく綺麗であったことを意味し、「表面剥がれ」とは、表面の剥がれが発生していたことを意味し、「クラック」とは、ひびが入っていたことを意味する。
(実施例1)
反応器に、アクリル酸2−エチルヘキシル94%とアクリル酸6%とからなる単量体混合物100部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.03部及び酢酸エチル700部を入れて均一に溶解し、窒素置換後、80℃で6時間重合反応を行った。重合転化率は97%であった。得られた重合体を減圧乾燥して酢酸エチルを蒸発させ、粘性のある固体状の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)を得た。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は270,000、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)は3.1であった。重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを溶離液とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求めた。
次に、電子天秤を用いて、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びペンタエリスリトールジアクリレートを60:35:5の割合で混合した多官能性単量体0.2部、アクリル酸2―エチルヘキシル(以下、「2EHA」と略記する。)35.4部、メタクリル酸(以下、「MAA」と略記する。)2.7部、有機過酸化物熱重合開始剤である1,6―ビス(t―ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(以下、「tBCH」と略記する。)〔1分間半減期温度は150℃である。〕1.8部の順で計量して混合し、液体原料を得た。
次に、上記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)61.9部と、膨張化黒鉛粉(B)(商品名「EC−100」、伊藤黒鉛工業株式会社製、平均粒径:100μm)44.2部と、PITCH系炭素繊維(C)(商品名「GRANOCチョップファイバー」、日本グラファイトファイバー株式会社製、グレード:XN−100、長さ:3mm)88.5部と、上記液体原料と、を列記した順でホバート容器に投入して減圧下において攪拌混合しながら脱泡し、熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)を得た。使用した原料について、表1に示す。なお、混合は、株式会社小平製作所製のホバートミキサー(商品名「ACM−5LVT型、容量:5L」)を用いて、下記条件に従って行った。
混合条件:
恒温槽(商品名「ビスコメイト 150III」、東機産業株式会社製)を用いて、ホバート容器の温調を40℃に設定。
1.回転数メモリ3×10分で混合
2.回転数メモリ5×20分で混合
3.回転数メモリ3×10分、−0.1MPaで真空脱泡しながら混合
その後、縦400mm、横400mm、深さ1mmの金型の底面に離型剤付きポリエステルフィルムを敷いてから、上記の熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)を、上記金型いっぱいに注入し、その上を離型剤付きポリエステルフィルムで覆った。
これを金型から取り出し、155℃の熱風炉で30分間、重合を行わせ、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた、熱伝導性感圧接着性シート(F1)を得た。
熱伝導性感圧接着性シート(F1)中の残存単量体量から(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。
この熱伝導性感圧接着性シート(F1)について各特性を評価した。その結果を表2に示す。
(実施例2〜4、比較例1〜6)
表1に示すように、各配合物種及びその量を変更した以外は実施例1と同様にして、熱伝導性感圧接着剤組成物(E2)〜(E4)及び(EC1)〜(EC6)、並びに、熱伝導性感圧接着性シート(F2)〜(F4)及び(FC1)〜(FC4)を得た。なお、比較例5(EC5)及び6(EC6)については、シート状に成形することができなかった。上記熱伝導性感圧接着性シート(F2)〜(F4)及び(FC1)〜(FC4)について、それぞれ、各特性を評価した結果を表2に示す。
但し、実施例1で使用していないものについては、下記に示すものを用いた。
比較例6で用いたPAN系炭素繊維:(商品名「Tenax−J HTA−C6−NR」、東邦テナックス株式会社製、繊維長6mm、繊維径7μm、数密度>380)
Figure 0005304216
Figure 0005304216
上記結果から、実施例1〜4の熱伝導性感圧接着性シートは、表面状態が良好であり、熱低減効果が高いことがわかる。また、実施例1〜3を比較することで、PITCH系炭素繊維(C)の含有量が多いほど、熱低減効果が高いことがわかる。一方、比較例1〜4はいずれも熱低減効果が低く、比較例1、2、4については表面状態も悪かった。表面に剥がれやクラック等が発生することで熱伝導率は著しく低下する。
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱伝導性感圧接着剤組成物、及び、熱伝導性感圧接着性シートもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。

Claims (5)

  1. ゴム、エラストマー及び樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも一種の重合体(S)と、該重合体(S)100質量部に対し、30質量部以上150質量部以下の膨張化黒鉛粉(B)と、85質量部以上280質量部以下のPITCH系炭素繊維(C)と、を含有し、かつ、該PITCH系炭素繊維(C)の含有量が該膨張化黒鉛粉(B)の含有量よりも多いことを特徴とする、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)。
  2. 前記重合体(S)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)である、請求項1に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)。
  3. さらに(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を含んでなる、請求項2に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)をシート状に成形してなる、熱伝導性感圧接着性シート(F)。
  5. 請求項3に記載の熱伝導性感圧接着剤組成物(E)をシート状に成形しながら、又はシート状に成形した後、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の存在下に該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)中の(メタ)アクリル酸エステル単量体(A2m)を重合することにより得られる、該熱伝導性感圧接着剤組成物(E)の固化物(E’)のシート状成形体である、熱伝導性感圧接着性シート(F)。
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