JP2006233003A - 熱伝導性感圧接着性シート状成形体及びそれを剥離する方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)20〜55重量部、熱伝導性無機化合物(B)50〜500重量部、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)0.1〜5重量部、及び200℃以上かつ300℃以下で熱分解が開始する高温熱分解性発泡剤(D1)1〜10重量部からなる熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形し、及び100℃以上かつ200℃未満の温度に加熱することにより、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)のシート化及び(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合を行うことによりなる、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)。
【選択図】 なし
Description
特許文献1には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な極性モノマーを含有するモノマーからのポリマー及び熱伝導性電気絶縁性粒子(熱伝導性フィラー)とを含有する熱伝導性電気絶縁性感圧接着剤が開示されている。具体的には、ポリイソオクチルアクリレートシロップにアクリル酸とアルミナとトリプロピレングリコールジアクリレート等の架橋剤を添加して、光重合により感圧接着剤を得ている。
特許文献2には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、かつ極性基含有単量体を含まない単量体混合物、光重合開始剤、交叉結合剤としての多官能(メタ)アクリレート及び熱伝導性充填剤の混合物の光重合物からなる熱伝導性感圧接着剤が開示されている。
これらの文献に開示された感圧接着剤は、硬度と感圧接着性とのバランスをとるのが難しく、また、現実には、光重合を必要とするため、そのための設備が必要であり、経済的に有利とは言い難い。
この方法では、相応の効果を得るためには、特殊なモノマーを多量に使用しなければならないため、経済的に有利とはいえず、また、硬度と感圧接着性とのバランスをとるのが難しいという問題がある。
本出願人は、これらの先行技術の問題点を解消するものとして、特定の溶媒可溶性を有する(メタ)アクリレート系ポリマーを含有してなる感圧接着剤組成物を提案した(特許文献4)が、やはり、硬度と感圧接着性とのバランスを十分に良好に保つことが難しく、また凹凸のある発熱体等への形状追随性も十分でないことが分かった。
特許文献5には、特定倍率で発泡させた感圧接着剤組成物が提案されている。これにより、凹凸のある発熱体等への形状追随性は改善されたが、この感圧接着剤組成物からなるシートはプラズマディスプレイパネル(PDP)用などの用途にガラスやアルミ板などの基材と接着されて使用された後に、廃棄する段階になって、基材からの剥離が難しいという問題があった。
1. (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)20〜55重量部、熱伝導性無機化合物(B)50〜500重量部、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)0.1〜5重量部、及び200℃以上かつ300℃以下で熱分解が開始する高温熱分解性発泡剤(D1)1〜10重量部からなる熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形し、及び100℃以上かつ200℃未満の温度に加熱することにより、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)のシート化及び(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合を行うことによりなる、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F);
2. 前記熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に更に100℃以上かつ160℃以下で熱分解が開始する低温熱分解性有機発泡剤(D2)を前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部に対して0.01〜0.8重量部含有させてなる低温発泡性熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)を、シート状に成形し、及び100℃以上かつ200℃未満の温度に加熱することにより、低温発泡性熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)のシート化、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合、及び低温熱分解性有機発泡剤(D2)の熱分解を行うことによりなる、発泡セルの平均径が50μm〜550μmのシート状発泡成形体である、請求項1に記載の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F);
3. 基材に接着又は粘着している請求項1又は2に記載の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を200℃〜300℃に加熱して、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)中の高温熱分解性発泡剤(D1)を熱分解させることにより、基材と熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)との間に気体を存在させて、基材からの熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を剥離する方法;
が提供される。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸エステルというときは、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルを意味する。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)は、それから導かれる単量体単位(a1)が(メタ)アクリル酸エステル共重合体(A1)中、好ましくは80〜99.9重量%、より好ましくは85〜99.5重量%となるような量で重合に使用される。(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)の使用量が、前記範囲内であると、これから得られる熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の室温付近での感圧接着性に優れる。
スルホン酸基を有する単量体の具体例としては、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のα,β−不飽和スルホン酸及びこれらの塩を挙げることができる。
これらの有機酸基を有する単量体のうち、カルボキシル基を有する単量体がより好ましく、中でも、アクリル酸及びメタクリル酸が特に好ましい。これらは、工業的に安価で容易に入手することができ、他の単量体成分との共重合性も良く生産性の点でも好ましい。
これらの有機酸基を有する単量体(a2m)は、それから導かれる単量体単位(a2)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、20〜0.1重量%、好ましくは15〜0.5重量%となるような量で重合に使用されるのが望ましい。前記範囲内での使用においては、重合時の重合系の粘度を適正な範囲に保つことができる。
なお、有機酸基を有する単量体単位(a2)は、前述のように、有機酸基を有する単量体(a2m)の重合によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体中に導入するのが簡便であり好ましいが、(メタ)アクリル酸エステル重合体生成後に、公知の高分子反応により、有機酸基を導入してもよい。
有機酸基以外の官能基としては、水酸基、アミノ基、アミド基、エポキシ基、メルカプト基等を挙げることができる。
水酸基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル等の、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等を挙げることができる。
アミノ基を含有する単量体としては、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、アミノスチレン等を挙げることができる。
アミド基を有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体等を挙げることができる。
エポキシ基を有する単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
これらの有機酸基以外の官能基を有する単量体(a3m)は、それから導かれる単量体単位(a3)が(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)中、10重量%以下となるような量で重合に使用されるのが好ましい。10重量%以下の単量体(a3m)を使用することにより、重合時の粘度を適正に保つことができる。
単量体(a4m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
単量体(a4m)から導かれる単量体単位(a4)の量は、アクリル酸エステル重合体(A1)の10重量%以下となる量が好ましく、より好ましくは、5重量%以下となる量である。
単量体(a4m)は、特に限定されないが、その具体例として、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)以外の(メタ)アクリル酸エステル単量体、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステル、アルケニル芳香族単量体、共役ジエン系単量体、非共役ジエン系単量体、シアン化ビニル単量体、カルボン酸不飽和アルコールエステル、オレフィン系単量体等を挙げることができる。
イタコン酸メチル、マレイン酸ブチル、フマル酸プロピル等のα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸完全エステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、イタコン酸ジメチル等を挙げることができる。
アルケニル芳香族単量体の具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、メチルα−メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼン等を挙げることができる。
非共役ジエン系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等を挙げることができる。
シアン化ビニル単量体の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−エチルアクリロニトリル等を挙げることができる。
カルボン酸不飽和アルコールエステル単量体の具体例としては、酢酸ビニル等を挙げることができる。
オレフィン系単量体の具体例としては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)は、ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a1m)、有機酸基を有する単量体(a2m)、必要に応じて使用する、有機酸基以外の官能基を含有する単量体(a3m)及び必要に応じて使用するこれらの単量体と共重合可能な単量体(a4m)を共重合することによって特に好適に得ることができる。
重合の方法は、特に限定されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合等のいずれであってもよく、これ以外の方法でもよい。好ましくは、溶液重合であり、中でも重合溶媒として、酢酸エチル、乳酸エチル等のカルボン酸エステルやベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒を用いた溶液重合がより好ましい。
重合に際して、単量体は、重合反応容器に分割添加してもよいが、全量を一括添加するのが好ましい。
過酸化物重合開始剤としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシドのようなペルオキシド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;等を挙げることができる。
これらの過酸化物は、還元剤と適宜組み合わせて、レドックス系触媒として使用することもできる。
アゾ化合物重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等を挙げることができる。
重合開始剤(C1)の使用量は、特に限定されないが、単量体100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲であるのが好ましい。
これらの単量体のその他の重合条件(重合温度、圧力、撹拌条件等々)に、特に制限はない。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)における、(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率は、好ましくは70〜99.9重量%、より好ましくは75〜99重量%である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)の比率が、上記範囲にあるときは、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の感圧接着性や柔軟性に優れる。
有機酸基を有する単量体(a6m)は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)における、有機酸基を有する単量体(a6m)の比率は、30〜0.1重量%が好ましく、より好ましくは25〜1重量%である。
有機酸基を有する単量体(a6m)の比率が、上記範囲にあるときは、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の硬度が適正となり、高温(100℃)での感圧接着性が良好なものとなる。
ガラス転移温度が−20℃以下となる単独重合体を形成する(メタ)アクリル酸エステル単量体(a5m)及び有機酸基を有する単量体(a6m)と共重合可能な単量体(a7m)の例としては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)の合成に用いる単量体(a3m)、単量体(a4m)、又は下記に示す多官能性単量体として例示したと同様の単量体を挙げることができる。
多官能性単量体としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能性(メタ)アクリレート;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−p−メトキシスチレン−5−トリアジン等の置換トリアジン;4−アクリルオキシベンゾフェノンのようなモノエチレン系不飽和芳香族ケトン;等を用いることができる。
(1)重合時の温度は、100℃以上かつ200℃未満である。100℃未満では、重合反応がスムーズに進行せず、一方、200℃以上では、高温熱分解性発泡剤(D1)の分解が起こってしまう他、単量体が揮発したり、分解する可能性があるので、好ましくない。
(2)重合開始の方法としては、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)を用いることが必須である。有機過酸化物熱重合開始剤(C2)に代えて光重合開始剤を使用すると、得られる熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の接着力が劣る。また、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)に代えてアゾ系熱重合開始剤を使用すると、分解時に窒素ガスの放出が起こり、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)中に本発明の目的外の発泡セルが生成する可能性があるため、好ましくない。
有機過酸化物熱重合開始剤(C2)としては、t−ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド;ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(以下、「tBCH」と略記することがある。)、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン(以下、「TMCH」と略記することがある。)のようなペルオキシド;等を挙げることができるが、熱分解時に臭気の原因となる揮発性物質を放出しないことが好ましい。前記有機過酸化物熱重合開始剤(C2)の中でも、1分間半減期温度が120℃以上かつ170℃以下のものが好ましい。
有機過酸化物熱重合開始剤(C2)の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部に対して、通常、0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、より好ましくは0.7〜2重量部である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合転化率は、95重量%以上であることが好ましい。重合転化率が低すぎると、得られる熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)に単量体臭が残るので好ましくない。
熱伝導性無機化合物(B)としては、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化チタン等の金属酸化物;窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物;炭化ケイ素等の炭化物;銅、銀、鉄、アルミニウム、ニッケル等の金属;ダイヤモンド、カーボン等の炭素化合物;石英、石英ガラス等のシリカ粉末等が挙げられるが、好ましくは、周期律表第2族又は第13族の金属の水酸化物、酸化物又は窒化物である。
第2族の金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等を、第13族の金属としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム等を挙げることができる。
これらの熱伝導性無機化合物(B)は、一種類を単独で使用してもよく、二種類以上を併用してもよい。
熱伝導性無機化合物(B)の形状も特に限定されず、球状、針状、繊維状、鱗片状、樹枝状、平板状及び不定形状のいずれでもよい。
前記熱伝導性無機化合物(B)の中でも、金属の水酸化物が好ましく、特に水酸化アルミニウムが好ましい。水酸化アルミニウムを用いることにより、本発明の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)に優れた難燃性を付与することができる。
一方、平均粒径が80μmを超えるものは、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)が軟らかくなりすぎ、過度に感圧接着したり、高温で接着力が低下したり、高温で熱変形したりするおそれがある。
使用量が50重量部未満では、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の高温接着力,熱伝導率低下等の問題が有り、逆に500重量部を超えると、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の硬度が増大し、形状追随性低下の問題が生じる。
高温熱分解性発泡剤(D1)としては、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミドなどが挙げられるが、その他にも、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、及び/又はMgCO3・Mg(OH)2・5H2Oなどの熱分解開始温度が高い発泡剤に前述した発泡助剤を一定量混合して熱分解開始温度を200℃以上かつ300℃以下とした発泡システムも同様に高温熱分解性発泡剤(D1)として挙げることができる。
高温熱分解性発泡剤(D1)の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、より好ましくは3〜5重量部である。このように高温熱分解性発泡剤(D1)の使用量を前記の好ましい範囲とするほど、基材より熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を容易に剥離することができる。
顔料としては、カーボンブラックや二酸化チタン等、有機系、無機系を問わず使用できる。
その他の充填材としては、クレーなどの無機化合物などが挙げられる。フラーレンやカーボンナノチューブ等のナノ粒子を添加しても良い。
その他の熱伝導性付与材としては、金属の水酸化物以外の熱伝導性付与材として窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの無機化合物が挙げられる。
難燃剤としては、ポリ燐酸アンモニウム、ホウ酸亜鉛、錫化合物、有機リン系化合物、赤リン系化合物、シリコーン系難燃材を挙げることができる。
老化防止剤としては、ラジカル重合を阻害する可能性が高いため通常は使用しないが、必要に応じてポリフェノール系、ハイドロキノン系、ヒンダードアミン系等の酸化防止剤を使用することができる。
増粘剤としては、アクリル系ポリマー粒子、微粒シリカ等の無機化合物微粒子、酸化マグネシウム等のような反応性無機化合物を使用することできる。
粘着付与剤としては、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、ロジン系樹脂、石油系樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール系樹脂、水添ロジンエステル、不均化ロジンエステル、キシレン樹脂等を挙げることができる。
外部架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンジイソシアネート、ジフェニルメタントリイソシアネート等の多官能性イソシアネート系架橋剤;ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等のエポキシ架橋剤;メラミン樹脂架橋剤;アミノ樹脂架橋剤;金属塩架橋剤;金属キレート架橋剤;過酸化物架橋剤;等が挙げられる。
外部架橋剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)及び(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合体の混合物を得た後、これに添加して、加熱処理や放射線照射処理を行うことにより、共重合体の分子内及び/又は分子間に架橋を形成させるものである。
低温熱分解性有機発泡剤(D2)の例としては、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(以下、「OBSH」と記載することがある。)などが挙げられる。アゾジカルボアミドなどの熱分解開始温度が高い有機発泡剤に前述した発泡助剤を一定量混合して熱分解開始温度を120℃以上かつ160℃以下とした発泡システムも同様に低温熱分解性有機発泡剤(D2)とすることができる。
低温熱分解性有機発泡剤(D2)の使用量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部に対して好ましくは0.01〜0.8重量部、より好ましくは0.05〜0.6重量部、更に好ましくは0.1〜0.4重量部、特に好ましくは0.1〜0.3重量部である。このように低温熱分解性有機発泡剤(D2)の使用量を前記の好ましい範囲とするほど、発泡セルの平均径を好ましい範囲に調節することができ、硬度と感圧接着性とのバランスに優れ、かつ形状追随性と感圧接着保持性に優れた熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を得ることができる。
本発明の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)における熱伝導性感圧接着剤組成物(E)の層の厚さは特に限定されないが、通常、50μm〜3mmである。50μmより薄いと、発熱体と放熱体に貼付する際に空気を巻き込み易く、結果として充分な熱伝導性を得られないおそれがある。一方、3mmより厚いと、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の熱抵抗が大きくなり、放熱性が損なわれるおそれがある。
その具体例としては、アルミニウム、銅、ステンレススティール、ベリリウム銅等の熱伝導性に優れる金属及び合金の箔状物;熱伝導性シリコーン等のそれ自体熱伝導性に優れるポリマーからなるシート状物;熱伝導性フィラーを含有させた熱伝導性プラスチックフィルム;各種不織布;ガラスクロス;ハニカム構造体;等を用いることができる。プラスチックフィルムとしては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルペンテン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、芳香族ポリアミド等の耐熱性ポリマーからなるフィルムを使用することができる。
シート化に際して、厚さを均一にするために、加圧することが望ましい。加圧条件は、通常、10MPa以下、好ましくは1MPa以下とする。10MPaを超えて加圧するのは、発泡セルが潰れてしまう可能性があるため、好ましくない。加圧時間は、温度条件や使用する重合開始剤の種類・量等に応じて最適点を選べばよいが、生産性等を考えると1時間以内が好ましい。
シート化しながら、あるいはシート化後に、例えば、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を熱風、電気ヒーター、赤外線等により加熱することによって、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を得ることができる。このときの加熱温度は、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)及び低温熱分解性有機発泡剤(D2)が効率良く分解し、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合と低温熱分解性有機発泡剤(D2)の熱分解とがほぼ同時に進行する条件が好ましい。温度範囲は、用いる有機過酸化物熱重合開始剤(C2)及び低温熱分解性有機発泡剤(D2)の種類により異なるが、100℃〜160℃が好ましい。
なお、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)及び熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の各特性の評価法は、下記のとおりである。
(1) (メタ)アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)
テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより、標準ポリスチレン換算で求める。
(2) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の発泡セルの平均径
レーザー顕微鏡にて熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の表面を観察し、100個の発泡セルの径を測定し、その平均径を求める。
(3) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の発泡倍率
発泡させた熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の単位重量あたりの体積を、同じ組成の未発泡の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の単位重量あたりの体積で除して得られる。
(4) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の硬度
日本ゴム協会規格(SRIS)アスカーC法で測定する。
(5) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の熱伝導性
迅速熱伝導率計(QTM−500、京都電子工業社製)により、室温で測定する。
25mm×125mm×1mmの試験片をアルミ板に重ね、2kgのローラーで圧着させた後、1時間放置する。このサンプルを室温設定した恒温槽内にセットし、引張速度50mm/分で90度方向の最大接着強度を測定する。
(7) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の高温接着力
恒温槽の温度を100℃にする他は、室温接着力の試験と同様に行う。
(8) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の形状追随性
50mm×100mm×1mmの試験片上にガラス板を載せ、そのガラス板に20g/cm2の応力を30秒かける。応力を取り除き3日間状態調整した後、ガラス面に密着している面積の割合を測定する。
(9) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の感圧接着保持性
25mm×25mm×1mmの試験片をアルミ板に重ね、2kgのローラーで圧着させた後、もう一方の面にガラス板を圧着させる。1時間放置した後、この試験片を垂直にした状態で、アルミ板を壁に固定し、ガラス板に500gのおもりを吊り下げ100℃雰囲気化の恒温層に設置する。この状態でおもりが落下するまでの時間(保持時間)を計測する。時間が長いほど、感圧接着保持性に優れる。
(10) 熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)の基材からの易剥離性
縦100mm×横50mm×厚み1mmの試験片をアルミ板に重ね、2kgのローラーで圧着させた後、もう一方の面にガラス板を圧着させる。そのガラス板に20g/cm2の応力を24時間かける。応力を取り除き、この試験片を垂直にした状態でアルミ板を壁に固定し、200℃雰囲気下の恒温槽に30分間設置する。30分間設置後恒温槽から試験片を取り出してすぐに、アルミ板を垂直に固定した状態で、プッシュプルゲージでガラス板の側面下部を押して時計方向に回転させ、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を捻りながら剥離させる。このときの剥離に要する最大の力をプッシュプルゲージで計測する。数値が小さいほど易剥離性に優れる。
擂潰機用乳鉢に、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)(1)100部、アクリル酸2−エチルヘキシル91.3%、メタクリル酸6.1%、及びペンタエリスリトールトリアクリレート(ライトアクリレートPE−3A:共栄社化学(株)社製)(以下、「PETA」と略記する。)2.6%からなる(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)(1)32.85部、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)である1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン(以下、「tBCH」と略記する。)〔1分間半減期温度は150℃である。〕0.9部、高温熱分解性発泡剤(D1)であるアゾジカルボンアミド3部、低温熱分解性有機発泡剤(D2)であるp,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(以下、「OBSH」と略記する。)0.2部、並びに熱伝導性無機化合物(B)である水酸化アルミニウム200部を一括して投入し、擂潰機により室温で十分混合した。その後、減圧下において攪拌しながら脱泡し、粘性液状試料を得た。縦400mm、横400mm、深さ2mmの金型の底面に離型剤付きポリエステルフィルムを敷いてから、同試料を金型いっぱいに注入し、その上を離型剤付きポリエステルフィルムで覆った。これを金型から取り出し、155℃の熱風炉で30分間、重合及び発泡を行わせ、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)(1)を得た。
シート中の残存単量体量から(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合転化率を計算したところ、99.9%であった。
この熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)(1)について各特性を評価した。その結果を表1に示す。
高温熱分解性発泡剤(D1)であるアゾジカルボンアミドを用いなかった他は、実施例1と同様の操作を行い、両面を離型剤付きポリエステルフィルムで覆われた熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)(2)を得た。
この熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)(2)について各特性を評価した。その結果を表1に示す。
*1:ペンタエリスリトールトリアクリレート
*2:1,6−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサン
*3:アゾジカルボンアミド
*4:p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100部、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)32.85部、熱伝導性無機化合物(B)200部、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)0.9部、高温熱分解性発泡剤(D1)3部、及び低温熱分解性有機発泡剤(D2)0.2部からなる熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形し及び特定範囲の温度に加熱することにより、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)のシート化、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合、及び低温熱分解性有機発泡剤(D2)の熱分解を行って、発泡セルの平均径が340μmである熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)(1)の調製をした実施例1では、硬度が良好で、接着力、形状追随性、感圧接着保持性、及び基材からの易剥離性に優れた熱伝導性感圧接着性シート状成形体が得られた。
これに対して、高温熱分解性発泡剤(D1)を用いなかったもの(比較例1)では、基材からの易剥離性に劣る結果となった。
Claims (3)
- (メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)20〜55重量部、熱伝導性無機化合物(B)50〜500重量部、有機過酸化物熱重合開始剤(C2)0.1〜5重量部、及び200℃以上かつ300℃以下で熱分解が開始する高温熱分解性発泡剤(D1)1〜10重量部からなる熱伝導性感圧接着剤組成物(E)を、シート状に成形し、及び100℃以上かつ200℃未満の温度に加熱することにより、熱伝導性感圧接着剤組成物(E)のシート化及び(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合を行うことによりなる、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)。
- 前記熱伝導性感圧接着剤組成物(E)に更に100℃以上かつ160℃以下で熱分解が開始する低温熱分解性有機発泡剤(D2)を前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A1)100重量部に対して0.01〜0.8重量部含有させてなる低温発泡性熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)を、シート状に成形し、及び100℃以上かつ200℃未満の温度に加熱することにより、低温発泡性熱伝導性感圧接着剤組成物(E1)のシート化、(メタ)アクリル酸エステル単量体混合物(A2m)の重合、及び低温熱分解性有機発泡剤(D2)の熱分解を行うことによりなる、発泡セルの平均径が50μm〜550μmのシート状発泡成形体である、請求項1に記載の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)。
- 基材に接着又は粘着している請求項1又は2に記載の熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を200℃〜300℃に加熱して、熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)中の高温熱分解性発泡剤(D1)を熱分解させることにより、基材と熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)との間に気体を存在させて、基材からの熱伝導性感圧接着性シート状成形体(F)を剥離する方法。
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