JP2011068422A - マグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機 - Google Patents

マグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機 Download PDF

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Abstract

【課題】確実にマグネット作業機の転倒を防止でき、且つマグネット作業を効率的に行うことを可能にしたマグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機を提供する。
【解決手段】ブーム5の角度及び長さと、アーム6の角度及び長さとからリフティングマグネット11の水平位置Pyを求めるとともに、このリフティングマグネット11の水平位置Pyに応じた吸着物の最大吸着量を求め、最大吸着量の吸着物がリフティングマグネット11に吸着保持されるようにリフティングマグネット11の電磁石に供給する電流T’をリフティングマグネット11の水平位置Pyに応じて制御するようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば油圧ショベルのバケットに換えてリフティングマグネットを装着し、鉄屑など(吸着物)の選別、運搬、積み込みなどに使用されるマグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機に関する。
従来、油圧ショベル(1)は、下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に設けられた上部旋回体3と、上部旋回体3上に上下方向に起倒自在に取り付けられたフロント作業機4とを備えて構成されている。また、フロント作業機4は、後端が上部旋回体3に回動自在に支持されたブーム5と、ブーム5の先端に後端が回動自在に支持されたアーム6と、アーム6の先端側に回動自在に取り付けられたバケット(アタッチメント)とを備えて多関節状に形成されている。そして、ブームシリンダ7とアームシリンダ8がそれぞれ伸縮駆動することにより、ブーム5とアーム6がそれぞれ回動して起倒し、バケットシリンダ9が伸縮駆動することにより、リンク機構10を介してバケットが回動するように構成されている(図7参照)。
また、油圧ショベルには、図7に示すように、アタッチメントのバケットをリフティングマグネット11に換え、マグネット作業機1として使用できるように構成したものがある。このようにアタッチメントとしてリフティングマグネット11を装着したマグネット作業機1は、リフティングマグネット11に電磁石が内蔵され、オペレータがマグネット操作スイッチをオンにすると発電機から電磁石のコイルに電流が供給され、励磁したリフティングマグネット11に電流の大きさに比例する重量の鉄屑(スクラップ)などの吸着物12が吸着する。また、オペレータがマグネット操作スイッチをオフにすると電流の供給が停止し、吸着した吸着物12を釈放(解放)させることができる。これにより、上部旋回体3の旋回、ブーム5とアーム6の回動(起倒)、マグネット操作スイッチのオン/オフ操作を行いながら、鉄屑などのスクラップ(吸着物12)の選別、運搬、積み込みなどが行える。
さらに、マグネット作業機1には、ブームシリンダ7の作用力を検出する圧力センサと、ブーム角度を検出するブーム角度センサと、アーム6の回動を自由に開放するアーム回動開放手段と、アーム6の回動を自由にしたときの圧力センサ並びにブーム角度センサの計測値に基づいてリフティングマグネット11に吸着された吸着物12の重量を演算する演算表示手段とからなるリフティングマグネット作業量計測器を備えたものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−230820号公報
しかしながら、従来のマグネット作業機1においては、マグネット操作スイッチをオンにした際に一定の電流がリフティングマグネット11の電磁石に供給される。そして、例えば図7及び図8に示すように、フロント作業機4(ブーム5及びアーム6)を伸ばしてリフティングマグネット11が上部旋回体3から遠く離れた状態(水平距離Yが大きい状態)であっても、フロント作業機4を縮めてリフティングマグネット11が上部旋回体3に近い状態(水平距離Yが小さい状態)であっても、リフティングマグネット11には一定の電流値に応じた一定重量の吸着物12が吸着される。このため、リフティングマグネット11が上部旋回体3から遠く離れているほどに、上部旋回体3及び下部走行体2(機械本体13)に大きなモーメント(転倒モーメント)Mが生じることになり、マグネット作業機1が転倒するおそれが生じるという問題があった。
一方、実際のマグネット作業において、吸着物12をリフティングマグネット11に吸着させる際には、オペレータがマグネット操作スイッチのオン/オフ(吸着/釈放)操作を吸着操作毎に繰り返し行い、リフティングマグネット11に吸着した一部の吸着物12を振るい落として過大な吸着物12の吸着によるマグネット作業機1の転倒を防止するようにしている。このため、作業効率が低下し、また、マグネット作業機1の転倒を確実に防止できないおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑み、確実にマグネット作業機の転倒を防止でき、且つマグネット作業を効率的に行うことを可能にしたマグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1記載のマグネット作業機の制御方法は、ブームとアームを備えて機械本体に起倒自在に取り付けられたフロント作業機の先端部に、リフティングマグネットを装着してなるマグネット作業機の制御方法であって、ブームの角度及び長さと、アームの角度及び長さとからリフティングマグネットの水平位置を求めるとともに、このリフティングマグネットの水平位置に応じた吸着物の最大吸着量を求め、最大吸着量の吸着物がリフティングマグネットに吸着保持されるようにリフティングマグネットの電磁石に供給する電流をリフティングマグネットの水平位置に応じて制御するようにしたことを特徴とする。
請求項2記載のマグネット作業機の制御方法は、請求項1記載のマグネット作業機の制御方法において、最大吸着量を求めた水平位置よりもリフティングマグネットが機械本体から離れるようにフロント作業機が操作されるとともに、警告を発するように、及び/又はフロント作業機の駆動が停止するように制御することを特徴とする。
請求項3記載のマグネット作業機の制御装置は、アームとブームを備えて機械本体に起倒自在に取り付けられたフロント作業機の先端部に、リフティングマグネットを装着してなるマグネット作業機の制御装置であって、ブームの角度及び長さと、アームの角度及び長さとからリフティングマグネットの水平位置を演算するマグネット位置演算手段と、マグネット位置演算手段で演算したリフティングマグネットの水平位置に応じた吸着物の最大吸着量を演算する最大吸着量演算手段と、最大吸着量演算手段で演算した最大吸着量の吸着物がリフティングマグネットに吸着保持されるようにリフティングマグネットの電磁石に供給する電流をリフティングマグネットの水平位置に応じて制御して出力する電流制御出力手段とを備えていることを特徴とする。
請求項4記載のマグネット作業機の制御装置は、請求項3記載のマグネット作業機の制御装置において、最大吸着量演算手段で最大吸着量を演算した水平位置よりもリフティングマグネットが機械本体から離れるようにフロント作業機が操作されるとともに、警告を発するように制御する警告出力手段及び/又はフロント作業機の駆動を停止させるように制御する駆動停止手段を備えていることを特徴とする。
請求項5記載のマグネット作業機は、ブームとアームを備えて機械本体に起倒自在に取り付けられたフロント作業機の先端部に、リフティングマグネットを装着してなるマグネット作業機であって、請求項3または請求項4に記載のマグネット作業機の制御装置を備えていることを特徴とする。
請求項1記載のマグネット作業機の制御方法及び請求項3記載のマグネット作業機の制御装置においては、ブーム角度とアーム角度から求めたリフティングマグネットの水平位置における吸着物の最大吸着量を求め、この吸着物の最大吸着量に応じて電磁石に供給する電流を制御することで、リフティングマグネットの水平位置に応じた(リフティングマグネットの水平位置における)最大吸着量の吸着物をリフティングマグネットに吸着保持させることが可能になる。すなわち、フロント作業機(ブーム及びアーム)を伸ばしてリフティングマグネットが機械本体(上部旋回体)から遠く離れているほど、電磁石に供給する電流値が小さくなるように制御して、吸着物の吸着量を少なくすることが可能になる。
これにより、リフティングマグネットの位置にかかわらず、一定の電流が供給されて一定の重量の吸着物が吸着される従来のマグネット作業機と比較し、リフティングマグネットが機械本体から遠く離れている場合であっても、機械本体に大きな転倒モーメントが生じることがなく、マグネット作業機が転倒することを確実に防止することが可能になる。
また、吸着操作毎にオペレータがマグネット操作スイッチのオン/オフ(吸着/釈放)操作を繰り返し行ってリフティングマグネットに吸着した一部の吸着物を振るい落とす必要がなくなり、作業効率を向上させることも可能になる。
請求項2記載のマグネット作業機の制御方法及び請求項4記載のマグネット作業機の制御装置においては、最大吸着量を求めた水平位置よりもリフティングマグネットが機械本体から離れるようにフロント作業機が操作されるとともに、警告が発せられるため、あるいはフロント作業機の駆動が停止するため、より確実にマグネット作業機が転倒することを防止できる。
請求項5記載のマグネット作業機においては、請求項3または請求項4に記載のマグネット作業機の制御装置を備えているため、上記の作用効果を確実に得ることが可能になる。
本発明の一実施形態に係るマグネット作業機及びマグネット作業機の制御装置を示す図である。 本発明の一実施形態に係るマグネット作業機の制御装置に予め記憶されているマグネットの水平位置と最大吸着量の情報を示す図である。 本発明の一実施形態に係るマグネット作業機の制御装置に予め記憶されている最大吸着量とマグネット制限電流の情報を示す図である。 本発明の一実施形態に係るマグネット作業機の制御方法のフロー図である。 本発明の一実施形態に係るマグネット作業機の制御方法で制御することにより、機械本体から遠く離れたマグネットに少ない吸着物が吸着した状態を示す図である。 本発明の一実施形態に係るマグネット作業機の制御方法で制御することにより、機械本体から近いマグネットに多くの吸着物が吸着した状態を示す図である。 従来のマグネット作業機を示す図であり、機械本体から遠く離れたマグネットに多くの吸着物(一定重量の吸着物)が吸着した状態を示す図である。 従来のマグネット作業機を示す図であり、機械本体から近いマグネットに多くの吸着物(一定重量の吸着物)が吸着した状態を示す図である。
以下、図1から図6を参照し、本発明の一実施形態に係るマグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機について説明する。ここで、本実施形態は、油圧ショベルのフロント作業機のアタッチメントをバケットからリフティングマグネットに交換して、鉄屑などのスクラップ(吸着物)の選別、運搬、積み込みなどに使用されるマグネット作業機に関するものである。このため、本実施形態では、図7及び図8に示したマグネット作業機と同様の構成に対し同一符号を付して説明を行う。
本実施形態のマグネット作業機20は、図1に示すように、マグネット制御装置(制御装置)21と、ブーム角度センサ22と、アーム角度センサ23と、マグネット作業とバケット作業を切替える作業モード切替スイッチ(不図示)と、マグネット(リフティングマグネット)11の励磁/非励磁(オン/オフ、吸着/釈放)を切替えるマグネット操作スイッチ24とを備えている。
ブーム角度センサ22は、ブーム5の後端側を上部旋回体3に回動可能に軸支して連結するブームピン25に取り付けられており、ブームシリンダ7の駆動とともに回動するブームピン25の回動量に基づいてブーム5の角度を検出する。そして、ブーム角度センサ22はマグネット制御装置21に接続されており、このブーム角度センサ22で検出したブーム角度の検出信号をマグネット制御装置21に出力する。
アーム角度センサ23は、アーム6の後端側をブーム5の先端側に回動可能に軸支して連結するアームピン26に取り付けられており、アームシリンダ8の駆動とともに回動するアームピン26の回動量に基づいてアーム6の角度を検出する。そして、アーム角度センサ23も、ブーム角度センサ22と同様に、マグネット制御装置21に接続されており、このアーム角度センサ23で検出したアーム角度の検出信号をマグネット制御装置21に出力する。
一方、マグネット制御装置21は、マグネット位置演算手段30と、最大吸着量演算手段31と、電流制御出力手段32と、警告出力手段33と、駆動停止手段34とを備えている。
マグネット位置演算手段30は、ブーム角度センサ22とアーム角度センサ23から入力されたブーム角度とアーム角度の検出信号及び予め記憶されたブーム5とアーム6の長さに基づいて、フロント作業機4の先端部の位置(マグネット11の水平方向の位置(水平位置)Py、上下位置Px)を演算する。
また、最大吸着量演算手段31は、例えば図2に示すように、マグネット11の水平位置Pyにおけるマグネット11に吸着可能な吸着物12の最大吸着量の情報を記憶している。すなわち、マグネット11に吸着物12を吸着させた際に吸着物12の重量に応じた大きさのモーメント(転倒モーメント)Mが機械本体13に作用することになるが、マグネット11の水平位置Pyに対し(機械本体13からマグネット11の水平距離Yの大小に応じて)、機械本体13が転倒することのない最大吸着量(最大吸着可能量)の情報を記憶している。そして、この最大吸着量演算手段31は、図2のマグネット11の水平位置Pyに対する最大吸着量の情報を基に、マグネット位置演算手段30で求めたマグネット11の水平位置Pyにおける最大吸着量を演算する。なお、このマグネット11の水平位置Pyに対する最大吸着量の情報は、最大吸着量の吸着物12をマグネット11に吸着させた状態で上部旋回体3を旋回させた場合であっても機械本体13が転倒することがないように、上部旋回体3の下部走行体2に対する旋回量(旋回角度)を考慮して作成されている。
電流制御出力手段32は、例えば図3に示すように、最大吸着量演算手段31で求めた最大吸着量の吸着物12をマグネット11に吸着保持させるために必要な電流値(マグネット制限電流)の情報を記憶している。そして、この電流制御出力手段32は、図1に示すように、図3の最大吸着量とマグネット制限電流の情報を基に、機械本体13に搭載された発電機40から入力される電流Tを最大吸着量演算手段31で求めた最大吸着量に応じて制御し、すなわちマグネット11の水平位置Pyに応じて求めた最大吸着量の吸着物12がマグネット11に吸着保持されるように電流値を調整し、この調整した電流(マグネット制限電流)T’をマグネット11の電磁石に出力する。
警告出力手段33は、最大吸着量演算手段31で最大吸着量を演算した水平位置(マグネット位置演算手段30で求めたマグネット11の水平方向の位置Py)よりもマグネット11が機械本体13から離れるように(Pyよりも大きな水平位置Py’になるように)フロント作業機4が操作された際に、これを検知して警告信号を出力する。
また、駆動停止手段34は、最大吸着量演算手段31で最大吸着量を演算した水平位置Pyよりもマグネット11が機械本体13から離れるようにフロント作業機4が操作された際に、これを検知してフロント作業機4の駆動を停止させる。
上記のマグネット制御装置21を備えたマグネット作業機20で、鉄屑などのスクラップ(吸着物12)の選別、運搬、積み込みなどのマグネット作業を行う際には、はじめに、油圧ショベルのバケットを取り外し、マグネット12をフロント作業機4の先端部に装着する。このようにマグネット11を装着した段階で、オペレータが作業モード切替スイッチを操作して、油圧ショベルとしてのバケット作業モードからマグネット作業機20としてのマグネット作業モードに切り替える。
そして、図4に示すように、マグネット作業モードに切り替わるとともに、随時、ブーム角度センサ22とアーム角度センサ23からブーム角度とアーム角度の検出信号がマグネット制御装置21に送られ、マグネット位置演算手段30によって、ブーム5の角度及び長さと、アーム6の角度及び長さからマグネット位置Py、Pxが求められる(ステップ1)。
さらに、最大吸着量演算手段31によって、マグネット位置演算手段30で求めたマグネット位置Py、Pxと予め記憶された図2の情報とからマグネット11の水平位置Pyに応じた最大吸着量が随時算出される(ステップ2)。
そして、上部旋回体3の旋回、フロント作業機4の伸縮の操作を適宜行ってマグネット11を吸着物12がある所定位置(Py、Px)に配置した段階で、オペレータがマグネット操作スイッチ24をオンにすると(ステップ3)、マグネット制限電流が既に設定保持されているか否かの確認が行われる(ステップ4)。このとき、マグネット制限電流T’が設定保持されていない場合には、前記所定位置(Py、Px)におけるマグネット11の水平位置Pyから最大吸着量演算手段31によって算出された最大吸着量と予め記憶された図3の情報とを基に、この最大吸着量の吸着物12を吸着させるために必要なマグネット制限電流T’が電流制御出力手段32によって算出される(ステップ5)。そして、電流制御出力手段32が算出したマグネット制限電流T’を設定保持するとともに、発電機40から入力された電流Tをマグネット制限電流T’に調整してマグネット11に出力する(ステップ6)。
ここで、電流制御出力手段32によってマグネット11に出力されるマグネット制限電流T’は、マグネット11の水平位置Pyに応じ、マグネット11が機械本体13から遠く離れているほど小さくなるように調整されている。このため、フロント作業機4を伸ばしてマグネット11が機械本体13から遠く離れている場合には、小さなマグネット制限電流T’が供給され、図5に示すように、励磁したマグネット11に少ない吸着物12が吸着されることになる。また、フロント作業機4を縮め、マグネット11が機械本体13から近い場合には、大きなマグネット制限電流T’が供給され、図6に示すように、励磁したマグネット11に多くの吸着物12が吸着されることになる。
そして、このようにマグネット11の水平位置Pyに応じてマグネット11に供給する電流T’を制御し、マグネット11が機械本体13から遠く離れているほどに最大吸着量が少なくなるようにしたことで、マグネット11が機械本体13から遠く離れている場合であっても、吸着物12の重量によって機械本体13に過大なモーメントMが生じることが防止され、マグネット作業機20の転倒が確実に防止される。
また、マグネット11が機械本体13から遠く離れているほどに自動的に吸着量が少なくなるため、従来のマグネット作業機1のように吸着物12を吸着させた後にオペレータがマグネット操作スイッチ24をオン/オフ繰り返し操作して、一部の吸着物12を振るい落とす作業が不要になる。
一方、マグネット作業では、マグネット11に吸着物12を吸着させた状態で、適宜上部旋回体3の旋回、フロント作業機4の伸縮を行って吸着物12の選別、運搬、積み込みなどを行う。そして、このとき、前記所定位置(Py、Px)のマグネット水平位置Pyに応じて設定したマグネット制限電流T’が保持されている。このため、マグネット作業に伴って、吸着物12を吸着した状態のマグネット11の水平位置Pyが変わってもマグネット制限電流T’が変化することはなく、マグネット11の水平位置Pyが変わるとともに、吸着物12がマグネット11から脱落したり、他の吸着物12をマグネット11が引きつけるようなことはない。
また、前記所定位置(Py、Px)のマグネット水平位置Pyで設定したマグネット制限電流T’に応じて最大吸着量の吸着物12がマグネット11に吸着保持されているため、マグネット作業時(フロント作業機の動作時)に、オペレータがフロント作業機4を伸ばして前記所定位置(Py、Px)よりもマグネット11が遠く離れるように操作した場合に、機械本体13に過大なモーメントMが生じるおそれがある。このため、図2のマグネット11の水平位置Pyに対する最大吸着量の情報を余裕をもって作成し、図1に示すように、前記所定位置(Py、Px)よりもある程度マグネット11が遠く離れた場合であっても、マグネット作業機20が転倒しないように許容範囲を確保しておくことが好ましい。
さらに、本実施形態のマグネット制御装置21には、警告出力手段33が設けられている。このため、図4に示すように、マグネット作業時に、オペレータが前記所定位置(Py、Px)よりもマグネット11が遠く離れるように(所定位置(Py、Px)のマグネット水平位置Pyよりも大きな水平位置Py’になるように)操作すると、これを検知した警告出力手段33から警告信号が出力され、この警告信号によって、例えば点灯器が点灯したり、警告音が発せられる(ステップ7、ステップ8)。これにより、オペレータに、前記所定位置(Py、Px)よりもマグネット11が機械本体13から離れるようにフロント作業機4が操作されたことが認識される。
また、本実施形態のマグネット制御装置21においては、警告出力手段33に加えて駆動停止手段34が設けられている。このため、マグネット作業時に、オペレータが前記所定位置(Py、Px)よりもマグネット11が遠く離れるように操作するとともに、これを検知した駆動停止手段34から停止信号が出力され、フロント作業機4の動作が停止する。
このように、本実施形態では、警告出力手段33と駆動停止手段34の両手段によって、オペレータが前記所定位置(Py、Px)よりもマグネット11が遠く離れるように操作したことを認識することができ、確実にマグネット作業機20の転倒が防止される。なお、警告出力手段33と駆動停止手段34のどちらか一方を備えるようにしてもよい。また、この場合には、マグネット作業時にフロント作業機4が急停止すると危険を伴うおそれがあるため、警告出力手段33のみで、オペレータに前記所定位置(Py、Px)よりもマグネット11が遠く離れるように操作したことを認識させることが好ましい。
一方、図4に示すように、マグネット作業時に、前記所定位置(Py、Px)から機械本体13までの範囲内にマグネット11が位置している場合には、警告を発することなく、フロント作業機4の動作が継続される(ステップ7、ステップ9)。
また、吸着物12の選別、運搬、積み込みなどを行う際には、前記所定位置(Py、Px)と吸着物12の搬送場所の間をマグネット11が繰り返し往復するように、適宜上部旋回体3の旋回、フロント作業機4の伸縮の操作を行う場合が多い。そして、この場合には、図4に示すように、マグネット11を前記所定位置(Py、Px)に戻した段階で、既にこの所定位置(Py、Px)に応じたマグネット制限電流T’が設定保持されている。このため、搬送作業(マグネット作業)を継続する場合には、電流制御出力手段32から設定保持したマグネット制限電流T’をそのまま出力し続けるようにする(ステップ10)。
また、オペレータがマグネット操作スイッチ24をオフにすると、マグネット制限電流T’の設定がリセットされ(ステップ11)、これとともにマグネット11へのマグネット制限電流T’の出力が停止する(ステップ12)。
したがって、本実施形態のマグネット作業機20の制御方法及びマグネット作業機20の制御装置21並びにマグネット作業機20においては、ブーム角度とアーム角度から求めたマグネット11の水平位置Pyにおける吸着物12の最大吸着量を求め、この吸着物12の最大吸着量に応じて電磁石に供給する電流T’を制御することで、マグネット11の水平位置Pyに応じた(マグネット11の水平位置Pyにおける)最大吸着量の吸着物12をマグネット11に吸着保持させることが可能になる。すなわち、フロント作業機4を伸ばしてマグネット11が機械本体13から遠く離れているほど、電磁石に供給する電流値が小さくなるように制御して、吸着物12の吸着量を少なくすることが可能になる。
これにより、マグネット11の位置Pyにかかわらず、一定の電流が供給されて一定重量の吸着物12が吸着される従来のマグネット作業機1と比較し、マグネット11が機械本体13から遠く離れている場合であっても、機械本体13に大きな転倒モーメントが生じることがなく、マグネット作業機20が転倒することを確実に防止することが可能になる。
また、吸着操作毎にオペレータがマグネット操作スイッチ24のオン/オフ(吸着/釈放)操作を繰り返し行ってマグネット11に吸着した一部の吸着物12を振るい落とす必要がなくなり、作業効率を向上させることも可能になる。
さらに、最大吸着量を求めた水平位置Pyよりもマグネット11が機械本体13から離れるようにフロント作業機4を操作すると、警告が発せられるため、また、フロント作業機4の駆動が停止するため、より確実にマグネット作業機20が転倒することを防止できる。
以上、本発明に係るマグネット作業機の制御方法及びマグネット作業機の制御装置並びにマグネット作業機の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
1 従来のマグネット作業機
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 フロント作業機
5 ブーム
6 アーム
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 リンク機構
11 マグネット(リフティングマグネット)
12 吸着物(スクラップ)
13 機械本体
20 マグネット作業機
21 マグネット制御装置(マグネット作業機の制御装置)
22 ブーム角度センサ
23 アーム角度センサ
24 マグネット操作スイッチ
25 ブームピン
26 アームピン
30 マグネット位置演算手段
31 最大吸着量演算手段
32 電流制御出力手段
33 警告出力手段
34 駆動停止手段
40 発電機
M モーメント(転倒モーメント)
Py リフティングマグネットの水平位置(水平方向の位置)
Px リフティングマグネットの上下位置(上下方向の位置)
T 電流
T’ マグネット制限電流(電流)

Claims (5)

  1. ブームとアームを備えて機械本体に起倒自在に取り付けられたフロント作業機の先端部に、リフティングマグネットを装着してなるマグネット作業機の制御方法であって、
    ブームの角度及び長さと、アームの角度及び長さとからリフティングマグネットの水平位置を求めるとともに、このリフティングマグネットの水平位置に応じた吸着物の最大吸着量を求め、最大吸着量の吸着物がリフティングマグネットに吸着保持されるようにリフティングマグネットの電磁石に供給する電流をリフティングマグネットの水平位置に応じて制御するようにしたことを特徴とするマグネット作業機の制御方法。
  2. 請求項1記載のマグネット作業機の制御方法において、
    最大吸着量を求めた水平位置よりもリフティングマグネットが機械本体から離れるようにフロント作業機が操作されるとともに、警告を発するように、及び/又はフロント作業機の駆動が停止するように制御することを特徴とするマグネット作業機の制御方法。
  3. アームとブームを備えて機械本体に起倒自在に取り付けられたフロント作業機の先端部に、リフティングマグネットを装着してなるマグネット作業機の制御装置であって、
    ブームの角度及び長さと、アームの角度及び長さとからリフティングマグネットの水平位置を演算するマグネット位置演算手段と、
    マグネット位置演算手段で演算したリフティングマグネットの水平位置に応じた吸着物の最大吸着量を演算する最大吸着量演算手段と、
    最大吸着量演算手段で演算した最大吸着量の吸着物がリフティングマグネットに吸着保持されるようにリフティングマグネットの電磁石に供給する電流をリフティングマグネットの水平位置に応じて制御して出力する電流制御出力手段とを備えていることを特徴とするマグネット作業機の制御装置。
  4. 請求項3記載のマグネット作業機の制御装置において、
    最大吸着量演算手段で最大吸着量を演算した水平位置よりもリフティングマグネットが機械本体から離れるようにフロント作業機が操作されるとともに、警告を発するように制御する警告出力手段及び/又はフロント作業機の駆動を停止させるように制御する駆動停止手段を備えていることを特徴とするマグネット作業機の制御装置。
  5. ブームとアームを備えて機械本体に起倒自在に取り付けられたフロント作業機の先端部に、リフティングマグネットを装着してなるマグネット作業機であって、
    請求項3または請求項4に記載のマグネット作業機の制御装置を備えていることを特徴とするマグネット作業機。
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