JP2011067382A - 超音波洗浄装置及びその超音波振動子の駆動電圧制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】超音波振動子の出力を一定にする。
【解決手段】ドライブ回路61から、超音波振動子(BLT)が並列に接続されてなるBLT並列回路68に、駆動電圧を印加する。電流検出回路64にて、駆動電圧の印加によりBLT並列回路68に流れた電流値を検出する。駆動電圧決定部76は、電流検出回路64による電流値の検出結果に基づき、BLT並列回路68に流れる電流値が所定値で一定になるように、BLT並列回路68に印加する駆動電圧の大きさを決定する。駆動電圧制御部73は、駆動電圧決定部76が決定した駆動電圧値に基づき、電源回路58からドライブ回路61へ供給される電力の電圧を調整する。BLT並列回路68に流れる電流値がほぼ一定になるため、超音波振動子の出力をほぼ一定にすることができる。
【選択図】図6
【解決手段】ドライブ回路61から、超音波振動子(BLT)が並列に接続されてなるBLT並列回路68に、駆動電圧を印加する。電流検出回路64にて、駆動電圧の印加によりBLT並列回路68に流れた電流値を検出する。駆動電圧決定部76は、電流検出回路64による電流値の検出結果に基づき、BLT並列回路68に流れる電流値が所定値で一定になるように、BLT並列回路68に印加する駆動電圧の大きさを決定する。駆動電圧制御部73は、駆動電圧決定部76が決定した駆動電圧値に基づき、電源回路58からドライブ回路61へ供給される電力の電圧を調整する。BLT並列回路68に流れる電流値がほぼ一定になるため、超音波振動子の出力をほぼ一定にすることができる。
【選択図】図6
Description
本発明は、超音波振動子に印加する駆動電圧を最適に制御する超音波洗浄装置及びその超音波振動子の駆動電圧制御方法に関するものである。
使用済みの内視鏡の洗浄及び消毒を効率よく行うために、内視鏡洗浄消毒装置が利用されている。内視鏡洗浄消毒装置は、使用済みの内視鏡を洗浄槽に収容し、洗浄工程、消毒工程等を行う。洗浄工程は、内視鏡に水、洗剤等を噴射して外表面及び各チャンネル内に付着した体液や汚物を洗い流す。消毒工程は、洗浄槽内に消毒液を供給し、消毒液中に内視鏡を浸漬させて病原菌やウイルスを除去し、または病原性を消失させる。
内視鏡の洗浄に超音波洗浄を用いる内視鏡洗浄消毒装置が知られている(特許文献1参照)。この内視鏡洗浄消毒装置の洗浄槽には、底面に振動板が設けられており、この振動板の下面には、複数個の超音波振動子が取り付けられている。超音波洗浄を実施する際には、洗浄液中に内視鏡を浸漬させた状態で、超音波振動子に対して、所定の大きさの交流電圧(駆動電圧)を印加して超音波振動子を振動させる。これにより、超音波振動子により振動板を介して洗浄液が振動されて、内視鏡に超音波洗浄が施される。
超音波振動子は、機械的な共振現象を利用する共振子であるので、超音波振動子が取り付けられる内視鏡洗浄消毒装置の使用状況などの外的要因によってインピーダンスが変化し、この変化に伴い、駆動電圧が印加されたときに超音波振動子に流れる電流が変化する。外的要因は、例えば、洗浄槽に貯留される液体の液面の高さ、液面の揺れ、洗浄槽内における内視鏡のセット位置、超音波振動子を振動板に固定するためのボルトの締め付けトルクの変化などである。このため、超音波振動子を定電圧駆動すると、そのインピーダンスの変化により超音波振動子に流れる電流が大きく変動して、超音波振動子の出力が大きく変動するおそれがある。ここで、超音波振動子の出力とは、超音波振動子が実際に振動板及び洗浄液を振動させる力である。
超音波振動子の出力が所定の基準より小さくなると、超音波洗浄を行っても内視鏡の汚れが十分に除去されないおそれがある。逆に超音波振動子の出力が基準よりも大きくなると、内視鏡にダメージを与えて故障させたり、その外表面を形成する樹脂素材を劣化させたりする場合がある。特に内視鏡は、イメージセンサや信号処理回路等の多数の精密部品で構成されているため、超音波振動子の出力が大きくなるほど、精密部品の故障やその固定位置のずれなどの問題が発生し易くなる。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、超音波振動子の出力を一定することができる超音波洗浄装置及びその超音波振動子の駆動電圧制御方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の超音波洗浄装置は、洗浄槽内の液体を振動させて洗浄槽に収容された被洗浄物を超音波洗浄するための超音波振動子と、前記超音波振動子に交流の駆動電圧を印加して、前記超音波振動子を駆動する駆動手段と、前記駆動電圧の印加により前記超音波振動子に流れる電流を検出する電流検出手段と、前記電流検出手段の検出結果に基づき、前記超音波振動子に流れる電流が所定の設定値で略一定になるように、前記駆動電圧の大きさを制御する電圧制御手段と、を備えることを特徴とする。
前記超音波振動子は、複数個設けられていることが好ましい。また、前記電流検出手段は、複数個の前記超音波振動子に流れる電流の合計値を検出し、前記電圧制御手段は、前記合計値に基づいて複数個の前記超音波振動子に印加する1つの駆動電圧の大きさを制御することが好ましい。さらに、複数個の前記超音波振動子は並列接続されていることが好ましい。
複数個の前記超音波振動子に対応して前記駆動手段が複数設けられており、前記電流検出手段は、個々の前記超音波振動子に流れる電流をそれぞれ個別に検出し、前記電圧制御手段は、個々の前記超音波振動子に流れる電流がそれぞれ前記設定値で略一定になるように、個々の前記駆動手段がそれぞれ前記超音波振動子に印加する駆動電圧の大きさを制御することが好ましい。
前記電圧制御手段は、前記電流検出手段により検出された前記超音波振動子毎の電流の検出結果の中から、前記超音波振動子に流れる電流の設計値に最も近い値を、前記設定値として用いることが好ましい。
複数の超音波洗浄装置間で共通に設定された前記設定値の入力を受け付ける受付手段を備え、前記電圧制御手段は、前記受付手段が受け付けた設定値に基づき、前記駆動電圧の大きさを制御することが好ましい。
前記洗浄槽内の液体の汚れ具合を検出する汚れ検出手段と、前記汚れ検出手段で検出された汚れ具合がひどいほど、前記駆動電圧を大きく補正する電圧補正手段とを備えていることが好ましい。
前記電圧制御手段は、一定期間毎または超音波洗浄が実行される毎に、前記駆動電圧の大きさの制御を行うことが好ましい。
また、本発明の超音波洗浄装置の超音波振動子の駆動電圧制御方法は、洗浄槽に設けられた超音波振動子に駆動電圧を印加する駆動電圧印加ステップと、前記駆動電圧の印加により前記超音波振動子に流れる電流を検出する電流検出ステップと、前記電流検出ステップでの検出結果に基づき、前記超音波振動子に流れる電流が所定の設定値で略一定になるように、前記駆動電圧の大きさを制御する電圧制御ステップと、を有することを特徴とする。
本発明の超音波洗浄装置及びその超音波振動子の駆動電圧制御方法は、駆動電圧の印加により超音波振動子に流れる電流が所定の設定値で略一定になるように、駆動電圧の大きさを制御するので、超音波振動子の出力をほぼ一定にすることができる。これにより、超音波振動子の出力が基準よりも小さくなり被洗浄物の汚れが十分に除去されなかったり、逆に、この出力が基準よりも大きくなり被洗浄物を故障させたりすることが防止される。特に多数の精密部品で構成されている内視鏡を超音波洗浄する際に、各精密部品の故障やその固定位置のずれなどの発生を防止することができる。
複数個の前記超音波振動子に流れる電流の合計値を検出し、この合計値に基づいて複数個の前記超音波振動子に印加する1つの駆動電圧の大きさを制御するので、電流の検出と、駆動電圧の印加とをそれぞれ一つの回路で行うことができる。これにより、超音波振動子の駆動回路を小型化することができ、さらに、その製造コストを下げることができる。
個々の超音波振動子に流れる電流を個別に検出し、この検出結果に基づき、個々の超音波振動子に印加する駆動電圧の大きさを制御するので、より高精度に個々の超音波振動子の出力を一定にすることができる。さらに、超音波振動子毎の電流の検出結果の中から、設計値に最も近い値を設定値として決定したので、各超音波振動子の出力をほぼ同じ大きさにすることができる。
複数の超音波洗浄装置間で共通に設定された設定値の入力を受け付け、この設定値に基づき駆動電圧の制御を行うので、各超音波洗浄装置の超音波振動子の出力をほぼ同じ大きさにすることができる。
洗浄槽内の液体の汚れ具合がひどいほど、駆動電圧を大きく補正して、超音波振動子の出力を増加させるようにしたので、液体の汚れによる洗浄力の低下が防止される。
図1及び図2に示すように、内視鏡洗浄消毒装置(以下、洗浄消毒装置と呼ぶ)10は、箱状の装置本体11を備えている。装置本体11の上部には、使用後の内視鏡12を収容し、洗浄液や消毒液が供給される洗浄槽13が設けられている。洗浄槽13は、上部が開放された水槽であり、例えばステンレス等の耐熱性、耐蝕性等に優れた金属材料で形成されている。装置本体11には、洗浄槽13の開口部13aを覆う蓋として機能するトップカバー16が設けられている。
装置本体11は、シャーシ(図示せず)を有しており、シャーシには、洗浄槽13やトップカバー16の他、洗浄液や消毒液の供給、排出等の洗浄消毒処理に係る各種機構が設けられている。シャーシの外周は、前面パネル17、側面パネル18、上部パネル19からなる外装部材によって覆われている。
装置本体11内には、前面パネル17の下部に配されたフットスイッチ20とトップカバー16を連動させる連動機構(図示せず)が組み込まれている。トップカバー16は、フットスイッチ20が踏み込まれたときに開放され、さらにフットスイッチ20がもう一度踏み込まれたときに閉じられる。装置本体11には、図示は省略するが、内視鏡12の洗浄消毒処理の間、トップカバー16を閉じた位置でロックするロック機構、及びトップカバー16の開閉を検出する開閉センサが設けられている。
前面パネル17内には、図示しない収納トレイが設けられている。収納トレイには、洗剤タンク及びアルコールタンクが収納されている。洗剤タンクには、内視鏡12の洗浄に使用される洗剤が貯えられている。アルコールタンクには、内視鏡12の洗浄、消毒後に、鉗子チャンネル等の各チャンネル内に流されるアルコールが貯えられている。前面パネル17には、各タンク内の液体の残量視認用の透明窓22が取り付けられている。
また、収納トレイには、消毒液を濃縮した濃縮液を貯えた供給ボトルが交換可能に収納される。供給ボトルは、シャーシに備え付けられた消毒液タンクに接続され、濃縮液を消毒液タンク内に供給する。濃縮液は、消毒液タンク内において水によって希釈されて使用される。
前面パネル17には、排紙口23が設けられている。排紙口23は、洗浄履歴情報が印字されたプリントを排出する。洗浄履歴情報は、例えば、洗浄を実施した日時、洗浄担当者名、洗浄した内視鏡12のIDなどの情報である。洗浄履歴情報が印字されたプリントは、内視鏡12の洗浄消毒結果の確認、管理等に用いられる。
上部パネル19の前端部には、操作部24が設けられている。操作部24には、各種の操作指示を入力するための操作ボタン25、各種表示を行うディスプレイ26、及び読み取り部27が設けられている。操作ボタン25は、例えば、洗浄、消毒の開始を指示するスタートボタン、緊急停止を指示するためのストップボタン、ディスプレイ26に表示される操作画面を操作するための操作キーからなる。ディスプレイ26は、洗浄・消毒処理のメニューを選択する選択画面や各種設定を行うための設定画面を含む操作画面を表示する他、洗浄・消毒処理の進捗状況や残り時間、トラブル発生時の警告メッセージ等を表示する。
読み取り部27は、その内部にタグリーダ(図示せず)が配置されている。タグリーダは、内視鏡12に設けられたRFIDタグや、洗浄担当者のネームプレートに設けられたRFIDタグと非接触で通信してRFIDタグ内の情報(内視鏡12のIDや洗浄担当者名など)を読み取る。
洗浄槽13の後方部分の底面には、廃液口28が設けられており、側面には、液面センサ29が設けられている。廃液口28は、洗浄槽13から使用済みの水、洗浄液、消毒液を排出する。液面センサ29は、例えば、アース電極及び検出電極に被測定物(導電性液体)が接触した場合に、両電極間に流れる電流を検知する電極式レベルセンサであり、洗浄槽13内に貯えられた液体の液面位置を検出する。
洗浄槽13の後方部分には、洗浄槽13の底面よりも一段高いテラス部13b、13cが設けられている。各テラス部13b、13cは、後方部分の2つの角にそれぞれ設けられている。一方のテラス部13bには、気密試験ポート30が設けられている。気密試験ポート30は、内視鏡12の挿入部及びユニバーサルコードの外皮と内蔵物の隙間に圧縮エアを送り込み、外皮に液体が進入する小さな孔や亀裂が生じていないかを試験するためのポートである。
また、テラス部13bには、内視鏡12の洗浄、消毒に用いる液体を洗浄槽13内に供給する供給ポートが設けられている。供給ポートには、洗浄槽13内に向けて屈曲された給水ノズル31a、消毒液供給ノズル31b、洗剤供給ノズル31cが設けられている。これらのノズル31a〜31cは、洗浄槽13内に貯えられる液体の液面よりも高い位置に配置されている。
給水ノズル31aは、洗浄槽13内に水を供給し、洗剤供給ノズル31cは、洗剤タンク内に貯えられている洗剤を洗浄槽13内に供給する。消毒液供給ノズル31bは、消毒液タンク内に貯えられている消毒液を洗浄槽13内に供給する。
テラス部13bの側面には、洗浄槽13内の液体に水流を生じさせるために、洗浄槽13に貯えられた液体を吸引して、循環させるための吸引口32が設けられている。給水ノズル31aは、循環用のノズルとしても使用され、吸引口32から吸引された液体は、配管を通って給水ノズル31aから再び洗浄槽13に供給される。
テラス部13cには、内視鏡12の送気・送水チャンネル、吸引チャンネル及び鉗子チャンネル内の洗浄、消毒に用いられるチャンネル洗浄ポート33が設けられている。チャンネル洗浄ポート33には、送気・送水チャンネル用カプラ、吸引チャンネル用カプラが設けられている。各カプラは、図示しない接続チューブを介して、内視鏡12に設けられた送気・送水ボタン及び吸引ボタンのそれぞれの装着口と接続される。チャンネル洗浄ポート33は、水、洗浄液、消毒液、アルコール、及び圧縮エア等の液体及び気体を、送気・送水チャンネル、鉗子チャンネル及び吸引チャンネル内に供給する。
図3に示すように、洗浄槽13の前方部分の底面には、洗浄槽13の形状に合わせて円板状の振動板35が配置されている。振動板35は、例えばステンレスなどの耐エロージョン性の高い材料で形成されている。この振動板35上には、内視鏡12が載置される略円形のネット36が配置されている。ネット36は、内視鏡12と底面との間に液体が流れ込む隙間を作り、洗浄槽13に供給される液体が、内視鏡12の外表面に接触する面積を増加させる。
ネット36の中央には、内視鏡12から取り外された、送気・送水ボタンや吸引ボタンなどの小物部品を収容する小物洗浄かご37が配置されている。小物洗浄かご37の近傍には、噴射ノズル38や温度センサ(図示せず)が配置されている。噴射ノズル38は、上方に位置するトップカバー16に向けて水を噴射する。温度センサは、洗浄槽13内に貯えられた液体の温度を測定する。洗浄槽13の下部には、洗浄槽13内の液体を加熱するヒータ(図示せず)が設けられており、ヒータは、温度センサが測定する温度によって制御される。
内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部及びユニバーサルコードが巻き回された状態で、小物洗浄かご37の周囲を取り囲むようにして、ネット36上に載置される。
図4に示すように、振動板35は、洗浄槽13の底面から僅かに上方に離れた位置で固定されている。振動板35の周縁部と底面との間には、防振及び液漏れ防止のためにリング状のパッキン39が設けられている。また、振動板35の周縁部には、鉛直下方に長く延びた複数のスタッド40が設けられている。各スタッド40は、パッキン39及び洗浄槽13の底部を貫通して、この底部の下面から下方に突出している。
各スタッド40の先端部はネジ切りされており、この先端部にはナット41が締結されている。ナット41は、スタッド40を介して、振動板35を洗浄槽13に固定する。なお、ナット41と洗浄槽13の底部との間には、ワッシャ42及びスプリングワッシャ43が設けられている。
洗浄槽13の底部には、パッキン39よりも内側で開口した開口部44が形成されている。振動板35の下面には、開口部44により空いたスペースに複数のボルト締めランジュバン型超音波振動子(Bolt-clamped Langevin type Transducer:以下、BLTと略す)45が設けられている。各BLT45は、接着剤46と、振動板35を上面側から下面側に貫通するBLT固定用ボルト47とで、振動板35に固定されている。各BLT45は、交流駆動電圧(以下、駆動電圧と略す)の印加により振動して、振動板35を振動させる。
図5に示すように、洗浄消毒装置10は、CPU50によって、装置の各部が統括的に制御される。CPU50には、上述の操作部24などの他に、メモリ51、洗浄消毒機構52、BLT駆動回路53等が接続している。CPU50は、操作部24からの操作指示の入力によって、制御プログラムを実行し、洗浄消毒機構52やBLT駆動回路53を制御する。なお、図中では、CPU50と装置の各部との間で遣り取りされる信号、及びCPU50の内部で遣り取りされる信号を点線で表示している。
メモリ51は、制御プログラムや各種設定情報が格納されるROMと、ROMからロードしたプログラムをCPU50が実行する際の作業領域となるRAMとからなる。洗浄消毒機構52は、洗浄液や消毒液を洗浄槽13に供給するための配管、洗浄槽13の給排液を行うためのポンプ、配管の経路を切り換えるための電動弁、液面センサ、温度センサ、及びCPU50の制御の下、これらを駆動するための各種のドライバからなり、内視鏡12の洗浄消毒処理を実行する。この洗浄消毒処理は、大別して、洗浄工程、超音波洗浄工程、消毒工程の3つの工程からなる。
BLT駆動回路53は、CPU50の制御の下、各BLT45に駆動電圧を印加して振動させるとともに、この駆動電圧の大きさ及び周波数を調整する。
電源55は、洗浄消毒装置10の各部に電力を供給する。この電源55には、絶縁トランス56が接続している。絶縁トランス56は、電源55から供給される交流電力の電圧を所定の大きさに変換してBLT駆動回路53へ出力する。
BLT駆動回路53には、電源回路58、ドライブ回路(駆動手段)61、カレントトランス62、出力トランス63、電流検出回路64、PLL回路65が設けられている。
電源回路58は、CPU50の制御の下、絶縁トランス56から入力される交流電力を直流電力に変換してドライブ回路61に供給する。また、電源回路58は、ドライブ回路61に供給する直流電力の電圧をCPU50が指定した大きさに調整する。
ドライブ回路61は、PLL回路65から入力される周波数信号に基づき、電源回路58から入力される直流電力を、周波数信号と同じ周波数の交流電力に変換する。これにより、ドライブ回路61から出力トランス63に、周波数信号と同じ周波数の駆動電圧が印加される。
ドライブ回路61と出力トランス63とを接続する信号線路上には、コンデンサ66と、カレントトランス62とが直列に並べて設けられている。カレントトランス62は、駆動電圧の印加により信号線路を流れる駆動電流を検出して電圧信号に変換する。この電圧信号は、駆動電流の位相を示す電流位相信号となる。
出力トランス63は、ドライブ回路61から入力される駆動電圧を所定の大きさに昇圧した後、この駆動電圧を、各BLT45が互いに並列に接続されてなるBLT並列回路68に印加する。これにより、各BLT45に同じ大きさの駆動電圧が印加される。BLT並列回路68には、位相補正インダクタ69が直列接続している。
位相補正インダクタ69は、コイルであり、駆動電圧と電流の位相が小さくなるように位相を補正する。位相補正インダクタ69のリアクタンスは、BLT45の固有インピーダンスに応じて決められる。
電流検出回路64は、位相補正インダクタ69と出力トランス63との間に設けられている。電流検出回路64は、位相補正インダクタ69を介して、BLT並列回路68に直列に接続されており、駆動電圧の印加によりBLT並列回路68に流れる電流値、つまり、各BLT45に流れる電流値の合計を検出する。
PLL回路65には、カレントトランス62からの電流位相信号と、ドライブ回路61からの駆動電圧とが入力される。なお、PLL回路65に入力される駆動電圧は、電流との位相の比較に用いられるものであり、以下、電圧位相信号という。
PLL回路65は、図示しない位相検出回路、電圧制御発振回路、ループフィルタ、分周器から構成されており、CPU50の制御の下、ドライブ回路61へ周波数信号を出力し、このドライブ回路61から出力される駆動電圧の周波数(以下、駆動周波数という)を制御する。具体的には、電圧及び電流位相信号に基づき、駆動電圧と電流の位相差を検出し、この位相差がほぼゼロとなるように周波数信号の周波数を制御することにより、駆動周波数をBLT45の共振周波数に追尾させる。
CPU50は、メモリ51から読み出したプログラムを逐次実行することで、駆動電圧制御部73、BLT駆動制御部74、PLL駆動制御部75、駆動電圧決定部76として機能する。
駆動電圧制御部73は、電源回路58からドライブ回路61へ供給される直流電力の電圧を制御して、BLT並列回路68(各BLT45)に印加される駆動電圧の大きさを調整する。
BLT駆動制御部74は、ドライブ回路61による駆動電圧の印加のON/OFFを切り替える。また、PLL駆動制御部75は、PLL回路65からの周波数信号の出力のON/OFFを切り替える。
駆動電圧決定部76は、電流検出回路64の検出結果に基づき、BLT並列回路68に流れる電流値が所定の電流設定値で略一定になるように、BLT並列回路68に印加する駆動電圧の大きさを決定する。なお、目標となる所定の電流設定値は、操作部24からの入力操作により設定される。
次に、図6を用いて、BLT45の駆動電圧の制御について説明を行う。超音波洗浄工程が開始すると、駆動電圧制御部73からの指令に基づき、括弧付き数字(1)に示すように、電源回路58から直流電力がドライブ回路61に供給される。
次いで、括弧付き数字(2)に示すように、BLT駆動制御部74は、ドライブ回路61に対して、ドライブ回路ON指令を発する。ドライブ回路61は、ドライブ回路ON指令を受けて、PLL回路65からの周波数信号の入力待機状態となる。
PLL駆動制御部75は、括弧付き数字(3)に示すように、PLL回路65に対して周波数信号出力指令を発する。PLL回路65は、周波数信号出力指令を受けて、括弧付き数字(4)に示すように、周波数信号の出力を開始する。
ドライブ回路61は、PLL回路65から入力される周波数信号に基づき、括弧付き数字(5)に示すように、周波数信号と同じ駆動周波数の駆動電圧を出力トランス63に印加する。出力トランス63は、ドライブ回路61から印加された駆動電圧を昇圧した後、この駆動電圧をBLT並列回路68に印加する。これにより、各BLT45にそれぞれ同じ大きさの駆動電圧が印加され、各BLT45がそれぞれ振動を開始する。
このとき電流検出回路64は、駆動電圧の印加によりBLT並列回路68に流れる電流値を逐次検出して、括弧付き数字(6)に示すように、電流値検出信号を駆動電圧決定部76へ逐次出力する。
括弧付き数字(7)に示すように、駆動電圧決定部76は、電流検出回路64から逐次入力される電流値検出信号に基づき、BLT並列回路68に印加する駆動電圧の大きさを決定する。例えば、電流設定値が2.0Aに設定されている状態で、BLT並列回路68に印加されている駆動電圧の大きさが50V、電流値の大きさが2.1Aである場合、電流値が2.0Aになるように、新たに印加する駆動電圧を47.6{=2.0×(50/2.1)}Vに決定する。
次いで、駆動電圧決定部76は、括弧付き数字(8)に示すように、決定した駆動電圧値を駆動電圧制御部73へ送る。駆動電圧制御部73は、駆動電圧決定部76から入力された駆動電圧値に基づき、括弧付き数字(9)に示すように、電源回路58に対して駆動電圧調整指令を発する。
電源回路58は、駆動電圧調整指令を受けて、括弧付き数字(10)に示すように、ドライブ回路61に供給する直流電力の電圧を調整する。次いで、ドライブ回路61からの駆動電圧が出力トランス63にて昇圧された後、BLT並列回路68に印加される。これにより、各BLT45にそれぞれ47.6Vの駆動電圧が印加される。
以下同様にして、上述の電流値検出、駆動電圧決定、電圧調整、駆動電圧印加の各処理が繰り返し実行され、BLT並列回路68を流れる電流値がほぼ一定に保たれる。
次に、図10を用いて上記構成の洗浄消毒装置10の作用について説明を行う。洗浄消毒装置10は、起動中に操作指示の入力を待機する。フットスイッチ20が踏み込み操作されると、連動機構によりトップカバー16が開放される。次いで、内視鏡12が洗浄槽13内のネット36上にセットされ、内視鏡12の送気・送水ボタン及び吸引ボタンのそれぞれの装着口が、チューブによってチャンネル洗浄ポート33の各カプラに接続される。内視鏡12のセットが完了した後、フットスイッチ20がもう一度踏み込まれると、トップカバー16が閉じる。
操作部24のスタートボタンが操作されると、CPU50は、ロック機構によりトップカバー16をロックする。次いで、CPU50は、洗浄消毒機構52及びBLT駆動回路53を制御して、超音波洗浄工程を開始させる。
洗浄消毒機構52は、洗浄槽13に水と洗剤(水だけでも可)を供給する。液面センサ29により、水と洗剤とが混合されてなる洗浄液の液面位置が規定値に達したことが検知されたときに、CPU50は、BLT駆動回路53の各部を制御して、各BLT45の駆動を開始させる。これにより、各BLT45が振動して、振動板35を介して洗浄液を振動させることにより、内視鏡12の超音波洗浄が実施される。
BLT45の駆動が開始されると、PLL回路65は、駆動電圧と電流の位相差がゼロとなるように、駆動周波数の制御を行う。これにより、駆動周波数をBLT45の共振周波数に追尾させて、各BLT45を共振周波数、あるいはその近傍で振動させることができる。
また、これと同時に、上述の図6で説明したBLT45の駆動電圧の制御が実行される。これにより、洗浄槽に貯留される液体の液面の高さ、液面の揺れ、洗浄槽内における内視鏡のセット位置などの使用状況、あるいは、メンテナンス時に生じたBLT固定用ボルト47の締め付けトルクの変化などの外的要因によって各BLT45のインピーダンスが変化した場合でも、このインピーダンスの増減に応じて駆動電圧が増減するため、BLT並列回路68に流れる電流値が、電流設定値でほぼ一定に制御される。その結果、各BLT45の出力をほぼ一定にすることができるので、BLT45の出力が基準より小さくなり内視鏡12の汚れが十分に除去されなかったり、逆に、この出力が基準よりも大きくなり内視鏡12を故障させたりすることが防止される。
本例においては、複数個のBLT45が並列接続されたBLT並列回路68に対して印加する駆動電圧を制御しているので、各BLT45に印加される駆動電圧は同じになる。個々のBLT45のインピーダンスの値は、上述の外的要因や各BLT45自体の個体差などにより、ばらつくので、個々のBLT45に流れる電流値にもばらつきは生じる。したがって、本例の電圧制御では、こうした個々のBLT45に流れる電流値を完全に同じにすることはできない。
しかし、個々のBLT45のインピーダンスに影響を与える主な要因としては、例えばBLT45の締め付けトルクの大きさが考えられる。従って、この場合には、各BLT45のそれぞれの締め付けトルクが一定になるように管理しておけば、各BLT45の間のインピーダンスのばらつきは小幅にとどまるので、本例のような電圧制御を行った場合でも、個々のBLT45の出力のばらつきも許容範囲に収めることができる。
また、各BLT45を互いに並列に接続することにより、駆動電圧の制御を行う際に、電流値の検出と駆動電圧の印加とをそれぞれ一つの回路で行うことができる。これにより、BLT駆動回路53を小型化することができ、さらに、BLT駆動回路53の製造コストを下げることができる。
所定の超音波洗浄時間が経過後、CPU50からの指令に基づき、各BLT45の駆動が停止される。また、洗浄消毒機構52は、洗浄液を洗浄槽13から排出させる。これにより、超音波洗浄工程が終了する。
超音波洗浄工程の終了後、CPU50は、洗浄消毒機構52を制御して、洗浄工程を開始させる。洗浄消毒機構52は、最初に洗浄槽13に水と洗剤を供給し、洗浄液の液面位置が規定値に達したときに、吸引口32から洗浄液を吸引させる。吸引された洗浄液は、配管により循環され、給水ノズル31aから内視鏡12に向けて噴射され、外表面に付着した汚物を洗い流す。また、内視鏡12の各チャネル内にも洗浄液を流して洗浄する。所定の洗浄時間が経過後、洗浄液は洗浄槽13から排出され、洗浄工程が終了する。
なお、洗浄消毒機構52は、洗浄工程終了後、洗浄槽13内に水を供給し、この水を循環させて、内視鏡12の外表面、各チャネル内に残っている洗浄液をすすぎ流す。すすぎに使用された水も洗浄槽13から排出される。
すすぎ終了後、CPU50は、洗浄消毒機構52を制御して、消毒工程を開始させる。洗浄消毒機構52は、洗浄槽13に消毒液を供給する。以下、洗浄工程と同様に、消毒液は、洗浄槽13及び内視鏡12の各チャネル内を循環され、超音波洗浄工程や洗浄工程で洗い流されなかった病原菌やウイルスを除去し、または病原性を消失させる。所定の消毒時間が経過後、消毒液は洗浄槽13から排出されて、消毒工程が終了する。
洗浄消毒機構52は、消毒工程終了後、洗浄工程終了後と同様に洗浄槽13内への水の供給と、水の循環とを順次実行して、内視鏡12の外表面、各チャネル内に残っている消毒液をすすぎ流す。なお、すすぎの終了後、内視鏡12の各チャネル内をアルコールにより乾燥させる乾燥工程を実施しても良い。
以上で洗浄消毒処理の全工程が終了する。CPU50は、トップカバー16のロックを解除する。次いで、トップカバー16が開放され、洗浄槽13から内視鏡12が取り出される。
次に、図8を用いて本発明の第2実施形態について説明を行う。洗浄消毒システム80は、洗浄消毒装置10A〜10Cと、パーソナルコンピュータ(以下、PCと略す)81とから構成されている。
洗浄消毒装置10A〜10Cは、基本的には上記第1実施形態の洗浄消毒装置10と同じ構成であり、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。ただし、洗浄消毒装置10A〜10Cには、通信I/F(受付手段)82が設けられている。
通信I/F82は、PC81のCPU81aとの間で各種データの遣り取りを行う。洗浄消毒装置10A〜10CからCPU81aへ送信されるデータは、電流検出回路64から出力される電流値検出信号である。逆に、CPU81aから各洗浄消毒装置10A〜10Cへ送信されるデータは、電流設定値である。
PC81は、CPU81aの他に、図示は省略するが、メモリ、ハードディスク、及び通信I/Fから構成される。CPU81aは、洗浄消毒装置10A〜10Cから入力される電流値検出信号に基づき、上述の電流設定値を決定し、この電流設定値を各洗浄消毒装置10A〜10Cへ送る。
以下、上記構成の洗浄消毒システム80の作用について説明する。各洗浄消毒装置10A〜10Cにてそれぞれ超音波洗浄工程が開始されると、各洗浄消毒装置10A〜10Cの電流検出回路64でそれぞれ検出された電流値が、通信I/F82を介して、PC81のCPU81aに入力される。
例えば、各洗浄消毒装置10A〜10CのBLT45(BLT並列回路68)を50Vの駆動電圧で駆動したときに、CPU81aには、各洗浄消毒装置10A〜10Cからそれぞれ2.0A、2.1A、1.8Aの電流値が入力される。この場合、各洗浄消毒装置10A〜10CのBLT45の出力A,B,Cの大きさは、出力C<出力A<出力Bとなる。
CPU81aは、各洗浄消毒装置10A〜10Cで検出された電流値のいずれか一つを電流設定値として決定する。具体的には、各洗浄消毒装置10A〜10Cでそれぞれ検出された電流値の中から、BLT並列回路68に流れる電流の設計値に最も近い値を、電流設定値として決定する。CPU81aは、決定した電流設定値を各洗浄消毒装置10A〜10Cへそれぞれ送る。
各洗浄消毒装置10A〜10Cの駆動電圧決定部76は、通信I/F82を介して受信した電流設定値に基づき、BLT並列回路68に流れる電流値が電流設定値でほぼ一定になるように、上述の図6で説明した駆動電圧の制御を実行する。
例えば、電流設定値が第1洗浄消毒装置10Aで検出された電流値2.0Aである場合、第2洗浄消毒装置10BのBLT45の駆動電圧が47.6{=2.0×(50/2.1)}Vに調整される。これにより、第2洗浄消毒装置10BのBLT45の出力が小さくなる。また、第3洗浄消毒装置10CのBLT45の駆動電圧が55.6{=2.0×(50/1.8)}Vに調整され、BLT45の出力が大きくなる。
各洗浄消毒装置10A〜10Cにて、BLT並列回路68に流れる電流値が電流設定値でほぼ一定に制御されるため、各洗浄消毒装置10A〜10CのBLT45の出力の大きさをほぼ均一化することができる。これにより、各洗浄消毒装置10A〜10Cでそれぞれ行われる内視鏡12の超音波洗浄処理にばらつきが生じることが防止される。
なお、各洗浄消毒装置10A〜10Cが同時に超音波洗浄工程を開始する必要はなく、超音波洗浄工程の開始の時間がずれていてもよい。この場合、CPU81aは、新たな洗浄消毒装置から電流値検出信号が入力されるたびに、上述の電流設定値の決定及び送信を繰り返し実行する。また、洗浄消毒システム80を構成する洗浄消毒装置の数は3台に限定されるものではなく、2台あるいは4台以上であってもよい。
次に、図9を用いて本発明の第3実施形態の洗浄消毒装置85について説明する。この洗浄消毒装置85は、上記第1実施形態と基本的に同じ構成であるが、洗浄槽13に貯留された洗浄液の光透過率の変化に応じて、各BLT45に印加する駆動電圧の大きさに補正を加える。
洗浄槽13の互いに対向する側壁部には、それぞれ互いに対向する透明な窓86a,86bが形成されている。一方の窓86aには、他方の窓86bに向けて光を照射する照射部87aが設けられている。また、他方の窓86bには、照射部87aから照射された光を受光する受光部87bが設けられている。照射部87a及び受光部87bは、洗浄槽13内の洗浄液の光透過率を検出する光透過率検出センサとして機能する。
洗浄消毒装置85のCPU50は、上記第1実施形態の駆動電圧決定部76とは異なる駆動電圧決定部(電圧補正手段)88として機能する。駆動電圧決定部88は、上述の駆動電圧の決定を行う以外に、受光部87bで検出される受光強度から洗浄液の光透過率を求め、この光透過率に基づき、メモリ51内の電圧補正テーブル89を参照して駆動電圧の補正を行う。なお、光透過率Tは、例えば、照射部87aから出射される光の強度をI0 とし、受光部87bで検出された受光強度をIとしたときに、T=I/I0 ×100(%)で表される。
電圧補正テーブル89には、光透過率と駆動電圧の補正値とが対応付けて格納されている。駆動電圧の補正値は、洗浄液の光透過率が減少するのに従って次第に高くなるように設定されている。
図10を用いて、上記構成の洗浄消毒装置85の作用について説明を行う。なお、駆動電圧決定部88が駆動電圧を決定するまでの処理は、上記第1実施形態と同じであるため、ここでは説明を省略する。また、超音波洗浄工程が開始すると、照射部87aから光の照射が開始され、受光部87bは受光した光の受光強度をCPU50へ逐次出力する。
駆動電圧決定部88は、駆動電圧の決定後、受光部87bから受光強度に基づき洗浄液の光透過率を算出し、この光透過率に基づき、電圧補正テーブル89を参照して、駆動電圧の補正値を決定する。次いで、駆動電圧決定部88は、決定した補正値に基づき、先に求めた駆動電圧を補正し、この補正後の駆動電圧値を駆動電圧制御部73へ送る。駆動電圧制御部73は、補正後の駆動電圧値に基づき、BLT並列回路68に印加される駆動電圧を制御する。
以下、超音波洗浄工程が終了するまで、上述の処理が繰り返し実行される。洗浄液の汚れ具合がひどくなるのに従って、洗浄液の光透過率が減少するため、BLT並列回路68に印加される駆動電圧が大きくなるように補正される。これにより、各BLT45に流れる電流が増加して、各BLT45の出力が大きくなるため、洗浄液の汚れによる洗浄力の低下が防止される。
なお、上記第3実施形態では、洗浄液の光透過率を検出する光透過率検出センサとして照射部87a及び受光部87bを用いたが、これに限らず、各種の光透過率検出センサを用いることができる。また、上記第3実施形態では、光透過率検出センサにより洗浄液の汚れ具合を検出しているが、例えば、洗浄液を汚染する汚物の1つである特定の物質の濃度を検出する濃度センサなどを用いて洗浄液の汚れ具合を検出してもよい。
次に、図11を用いて本発明の第4実施形態の洗浄消毒装置90について説明を行う。上述の第1〜第3実施形態では、BLT並列回路68に流れる電流値の検出結果に基づき、全BLT45に印加する駆動電圧の大きさを一括制御している。
これに対して、洗浄消毒装置90では、各BLT45a,45b,45c,45dに流れる電流値を個別に検出して、各BLT45a〜45dに印加する駆動電圧の大きさを個別に制御する。
洗浄消毒装置90のBLT駆動回路91には、BLT45a〜45d毎にそれぞれ個別の電源回路58a〜58d、ドライブ回路61a〜61d、カレントトランス(図示は省略)、出力トランス63a〜63d、電流検出回路64a〜64d等が設けられている。また、各BLT45a〜45dには、位相補正インダクタ69a〜69dがそれぞれ直列接続されている。これら各部は、制御対象が上述のBLT並列回路68から個別のBLT45a〜45dに変わった点を除けば、上記第1実施形態で説明したものと基本的に同じであるので説明は省略する。
なお、図面の煩雑化を防止するため、PLL回路65、各電源回路58a〜58dに電力を供給する電源55や絶縁トランス56は、図示を省略している。
電流検出回路64a〜64dは、それぞれBLT45a〜45dに流れる電流値を検出して、電流値検出信号をCPU92へ出力する。
CPU92は、図示しないBLT駆動制御部、PLL駆動制御部の他に、駆動電圧決定部93、駆動電圧制御部94として機能する。駆動電圧決定部93は、各電流検出回路64a〜64dから入力される電流値検出信号に基づき、電流設定値を決定する。また、駆動電圧決定部93は、決定した電流設定値に基づき、各BLT45a〜45dに印加する駆動電圧値をそれぞれ決定する。
駆動電圧制御部94は、駆動電圧決定部93が決定したBLT45a〜45d毎の駆動電圧値に基づき、各電源回路58a〜58dを制御して、各BLT45a〜45dにそれぞれ印加される駆動電圧の大きさを調整する。
次に、上記構成の洗浄消毒装置90の作用について説明する。超音波洗浄工程が開始されると、基本的には上記第1実施形態と同様にして、各ドライブ回路61a〜61dからの駆動電圧が、それぞれ出力トランス63a〜63dにて昇圧された後、各BLT45a〜45dに印加される。
駆動電圧の印加に伴い各BLT45a〜45dに流れた電流値は、それぞれ電流検出回路64a〜64dにて検出され、各電流検出回路64a〜64dからそれぞれ電流値検出信号がCPU92へ出力される。
例えば、各BLT45a〜45dを50Vの駆動電圧で駆動したときに、各電流検出回路64a〜64dからそれぞれ0.5A、0.4A、0.6A、0.7Aの電流値が入力される。従って、上記第2実施形態で説明したように、振動板35や洗浄液を振動させる力(出力)は、BLT45b<BLT45a<BLT45c<BLT45dの順番で大きくなる。
駆動電圧決定部93は、各電流検出回路64a〜64dから入力される電流値検出信号に基づき、電流設定値を決定する。具体的には、上記第2実施形態と同様に、各電流検出回路64a〜64dで検出された電流値の中から、BLT45a〜45dに流れる電流の設計値に最も近い値を、電流設定値として決定する。
次いで、駆動電圧決定部93は、決定した電流設定値に基づき、各BLT45a〜45dの駆動電圧を決定する。例えば、BLT45aに流れた0.5Aの電流値を電流設定値として決定した場合、BLT45bに印加される駆動電圧は62.5{=0.5×(50/0.4)}V、BLT45cに印加される駆動電圧は41.6{=0.5×(50/0.6)})V、BLT45dに印加される駆動電圧は35.7{=0.5×(50/0.7)}Vとなる。このように駆動電圧決定部93は、BLT45aよりも出力の小さいBLTの駆動電圧を増加させるとともに、逆に出力の大きいBLTの駆動電圧を減少させる。
駆動電圧制御部94は、駆動電圧決定部93が決定したBLT45a〜45d毎の駆動電圧値に基づき、各電源回路58a〜58dを制御して、各ドライブ回路61a〜61dへ供給する直流電力の電圧を調整する。これにより、駆動電圧決定部93が決定した各駆動電圧値が、それぞれ各BLT45a〜45dに印加される。
以下、超音波洗浄工程が終了するまで、上述の処理が繰り返し実行される。これにより、各BLT45a〜45dに流れる電流値が電流設定値でほぼ一定に制御されるため、各BLT45a〜45dの出力の大きさをほぼ均一化することができる。このように、BLT45a〜45d毎にそれぞれ印加する駆動電圧の大きさを制御することで、上記第1実施形態よりも高精度に、BLT45a〜45dの出力を制御することができる。
なお、上記第4実施形態では、各BLT45a〜45dに流れる電流値の中で最も設計値に近いものを電流設定値として用いているが、上述の第2実施形態と同様に、複数の洗浄装置間で共通に設定された電流設定値、あるいは操作部24で入力された電流設定値を用いて駆動電圧の制御を行ってもよい。また、上記第4実施形態と上記第3実施形態を組み合せてもよい。
上記各実施形態では、超音波洗浄工程が行われている間、電流検出回路にて検出される電流値に基づきBLTに印加する駆動電圧の設定を逐次更新しているが、駆動電圧の設定は、予め定めた一定期間(例えば、1週間に1回など)毎に行ってもよい。定期的に駆動電圧の設定を行うことで、BLT45や振動板35の交換を行った場合でも、駆動電圧が再設定されるため、BLT45の出力を一定にすることができる。
上記各実施形態では、超音波振動子としてBLTを例に挙げて説明したが、超音波振動子の種類は特に限定されない。
上記各実施形態では、内視鏡12に超音波洗浄を施す洗浄消毒装置を例に挙げて説明を行ったが、被洗浄物は内視鏡に限定されるものでなく、把持鉗子、高周波メスなど、内視鏡とともに使用される処置具などの各種医療器具の洗浄に用いられる各種の超音波洗浄装置に本発明を適用することができる。
10,10A〜10C,85,90 内視鏡洗浄消毒装置
80 洗浄消毒システム
12 内視鏡
13 洗浄槽
45,45a〜45d BLT
50 CPU
53 BLT駆動回路
58,58a〜58d 電源回路
61,61a〜61d ドライブ回路
73,94 駆動電圧制御部
76,88,93 駆動電圧決定部
80 洗浄消毒システム
12 内視鏡
13 洗浄槽
45,45a〜45d BLT
50 CPU
53 BLT駆動回路
58,58a〜58d 電源回路
61,61a〜61d ドライブ回路
73,94 駆動電圧制御部
76,88,93 駆動電圧決定部
Claims (10)
- 洗浄槽内の液体を振動させて洗浄槽に収容された被洗浄物を超音波洗浄するための超音波振動子と、
前記超音波振動子に交流の駆動電圧を印加して、前記超音波振動子を駆動する駆動手段と、
前記駆動電圧の印加により前記超音波振動子に流れる電流を検出する電流検出手段と、
前記電流検出手段の検出結果に基づき、前記超音波振動子に流れる電流が所定の設定値で略一定になるように、前記駆動電圧の大きさを制御する電圧制御手段と、
を備えることを特徴とする超音波洗浄装置。 - 前記超音波振動子は、複数個設けられていることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄装置。
- 前記電流検出手段は、複数個の前記超音波振動子に流れる電流の合計値を検出し、
前記電圧制御手段は、前記合計値に基づいて複数個の前記超音波振動子に印加する1つの駆動電圧の大きさを制御することを特徴とする請求項2記載の超音波洗浄装置。 - 複数個の前記超音波振動子は並列接続されていることを特徴とする請求項3記載の超音波洗浄装置。
- 複数個の前記超音波振動子に対応して前記駆動手段が複数設けられており、
前記電流検出手段は、個々の前記超音波振動子に流れる電流をそれぞれ個別に検出し、
前記電圧制御手段は、個々の前記超音波振動子に流れる電流がそれぞれ前記設定値で略一定になるように、個々の前記駆動手段がそれぞれ前記超音波振動子に印加する駆動電圧の大きさを制御することを特徴とする請求項2記載の超音波洗浄装置。 - 前記電圧制御手段は、前記電流検出手段により検出された前記超音波振動子毎の電流の検出結果の中から、前記超音波振動子に流れる電流の設計値に最も近い値を、前記設定値として用いることを特徴とする請求項5記載の超音波洗浄装置。
- 複数の超音波洗浄装置間で共通に設定された前記設定値の入力を受け付ける受付手段を備え、
前記電圧制御手段は、前記受付手段が受け付けた設定値に基づき、前記駆動電圧の大きさを制御することを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の超音波洗浄装置。 - 前記洗浄槽内の液体の汚れ具合を検出する汚れ検出手段と、
前記汚れ検出手段で検出された汚れ具合がひどいほど、前記駆動電圧を大きく補正する電圧補正手段とを備えていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の超音波洗浄装置。 - 前記電圧制御手段は、一定期間毎または超音波洗浄が実行される毎に、前記駆動電圧の大きさの制御を行うことを特徴とする請求項1ないし8記載の超音波洗浄装置。
- 洗浄槽に設けられた超音波振動子に駆動電圧を印加する駆動電圧印加ステップと、
前記駆動電圧の印加により前記超音波振動子に流れる電流を検出する電流検出ステップと、
前記電流検出ステップでの検出結果に基づき、前記超音波振動子に流れる電流が所定の設定値で略一定になるように、前記駆動電圧の大きさを制御する電圧制御ステップと、
を有することを特徴とする超音波洗浄装置の超音波振動子の駆動電圧制御方法。
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Legal Events
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