JP2011139777A - 超音波洗浄装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】超音波洗浄する内視鏡の数や種類などの外的要因の変化にかかわらず、超音波振動子を共振周波数で駆動する。
【解決手段】内視鏡12に、その内視鏡IDを記憶したRFIDタグ12aを設ける。洗浄消毒装置10にタグリーダ27aを設ける。洗浄消毒装置10のメモリ51に、複数種類の内視鏡12の内視鏡IDと、個々の内視鏡12に適した中心周波数C及び周波数範囲Δfとを対応付けた範囲情報テーブル75を格納する。制御範囲設定部72は、超音波洗浄前に、タグリーダ27aで読み取られた内視鏡IDに基づき、範囲情報テーブル75を参照して、内視鏡IDに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを読み出す。PLL駆動制御部73は、中心周波数C及び周波数範囲Δfに基づき、PLL回路65の制御範囲Aを設定する。
【選択図】図7

Description

本発明は、超音波洗浄の実行期間中に、超音波振動子の駆動周波数を最適に調整する超音波洗浄装置に関するものである。
使用済みの内視鏡の洗浄及び消毒を効率よく行うために、内視鏡洗浄消毒装置が利用されている。内視鏡洗浄消毒装置は、使用済みの内視鏡を洗浄槽に収容し、洗浄工程、消毒工程等を行う。洗浄工程は、内視鏡に水、洗剤等を噴射して外表面及び各チャンネル内に付着した体液や汚物を洗い流す。消毒工程は、洗浄槽内に消毒液を供給し、消毒液中に内視鏡を浸漬させて病原菌やウイルスを除去し、または病原性を消失させる。
内視鏡の洗浄に超音波洗浄を用いる内視鏡洗浄消毒装置が知られている(特許文献1参照)。この内視鏡洗浄消毒装置の洗浄槽には、底面に振動板が設けられており、この振動板の下面には、複数個の超音波振動子が取り付けられている。超音波振動子は、振動板を介して洗浄液を振動させることで、内視鏡に超音波洗浄を施す。
超音波振動子は、交流の電圧の印加により駆動され、共振周波数と一致する駆動周波数の電圧が印加されたときに、強力な超音波が発生する。ここで、共振周波数は、電圧と電圧の印加によって生じる電流の位相差がゼロとなる周波数である。また、駆動周波数が共振周波数に一致していないと、電力効率が悪いばかりか、超音波振動子の駆動回路の発熱量が増加することにより、故障や不具合の原因となる。
超音波振動子は、機械的な共振現象を利用する共振子であるので、インピーダンスの周波数特性は、内視鏡洗浄消毒装置にて行われる超音波洗浄の状況などの外的要因によって変化し、これに伴い共振周波数が変動する。超音波洗浄の状況は、例えば、洗浄槽に貯留される液体の液面の高さ、液面の揺れ、洗浄槽内における内視鏡のセット位置などである。
図16において、太線はインピーダンスの周波数特性を示し、細線は電圧と電流の位相差の周波数特性を示す。超音波洗浄の状況が変化すると、インピーダンスの周波数特性が変化し、それに応じて共振周波数も変動する。このような共振周波数の変動に対応するために、超音波振動子の駆動に際しては、駆動周波数を制御することにより電圧と電流の位相を同期させるPLL(Phase Locked Loop)回路を用いて、共振周波数の変動に駆動周波数を追尾させる周波数制御が行われている。
PLL回路は、予め設定された中心周波数Cを基準にしてその前後の仕様で定められた周波数範囲Δfを制御範囲Aとして、周波数制御を行う。例えば、中心周波数Cが36kHzに設定されると、その中心周波数Cを基準としてその前後の周波数範囲Δf(例えば1kHz)を制御範囲A(35kHz〜37kHz)として、周波数制御を行う。超音波洗浄の状況が変化して、共振周波数が36.2kHzに変動した場合には、PLL回路は、制御範囲A内で駆動周波数を制御することにより、駆動周波数を、電圧と電流の位相差がほぼゼロになる36.2kHzの共振周波数に合わせる。
超音波洗浄の状況が共振周波数に与える影響は、比較的小幅な変化であるので、予め設定された制御範囲A内において周波数制御を行うPLL回路によって駆動周波数を共振周波数に追尾させることが可能である。
特開平9−28669号公報
しかし、共振周波数が制御範囲Aから外れてしまうほど共振周波数の変動が大きい場合に、PLL回路は、駆動周波数を共振周波数に追尾させる周波数制御を行うことができない。PLL回路による周波数制御が不可能なほど共振周波数を大きく変動させる外的要因の代表例には、洗浄槽に収容される内視鏡の種類の変化や、洗浄槽に収容する内視鏡の数の変化などが挙げられる。特に内視鏡の大きさや形状が大きく異なったり、あるいは洗浄槽に収容する内視鏡の数に応じて洗浄液の液面高さを変更したりする場合には、共振周波数が大きく変動するおそれがある。
このような共振周波数の変動に対応するため、例えば制御範囲Aを広く設定する方法が考えられるが、この場合には、制御範囲A内に共振周波数と反共振周波数の両方が含まれるおそれがあり、駆動周波数を反共振周波数に追尾させる可能性がある。反共振周波数は、共振周波数と同様に電圧と電流の位相差がほぼゼロになるが、インピーダンスが最小となる共振周波数とは反対に、インピーダンスが最大となる周波数である。
このため、上述の外的要因により共振周波数が大きく変動するような場合には、PLL回路による制御可能範囲を超えてしまうので、共振周波数で超音波振動子を駆動することができず、超音波振動子を最も振動させた状態で効率良く超音波洗浄を行うことができないおそれがある。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、洗浄槽に収容する内視鏡の数などの超音波洗浄の外的要因が変化した場合でも、超音波振動子を共振周波数で駆動することができるようにした超音波洗浄装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の超音波洗浄装置は、洗浄槽内の液体を振動させて洗浄槽に収容された被洗浄物を超音波洗浄するための超音波振動子と、前記超音波振動子に交流の駆動電圧を印加して、前記超音波振動子を駆動する駆動手段と、前記超音波洗浄の実行期間中に、予め設定された制御範囲内で、前記駆動電圧の駆動周波数を、超音波洗浄の状況に応じて変動する前記超音波振動子の共振周波数に追尾させる周波数制御を行う駆動周波数制御手段と、前記超音波洗浄の実行前に、前記被洗浄物の種類を表すID情報の入力を受け付けるID情報受け付け手段と、前記被洗浄物の種類毎に定められた、前記制御範囲を設定するための範囲情報を、前記被洗浄物の前記ID情報と対応付けて記憶する記憶手段から、入力された前記ID情報に対応する前記範囲情報を読み出す範囲情報読み出し手段と、前記範囲情報読み出し手段により読み出された前記範囲情報に基づいて、前記制御範囲を設定する制御範囲設定手段と、を備えていることを特徴とする。
前記範囲情報には、前記制御範囲の基準となる中心周波数が含まれていることが好ましい。また、前記範囲情報には、さらに、前記中心周波数の前後の制御幅を規定する周波数範囲が含まれていることが好ましい。また、前記中心周波数に加えて、前記周波数範囲についても、前記ID情報に応じて定められていることが好ましい。
前記範囲情報は、前記ID情報に加えて、前記洗浄槽に収容される前記被洗浄物の数に応じて定められていることが好ましい。また、前記範囲情報は、前記洗浄槽に収容される複数の洗浄物の種類の組み合わせに応じて定められていることが好ましい。
前記範囲情報は、前記ID情報に加えて、前記洗浄槽内の液体の液面の高さに応じて定められていることが好ましい。また、前記記憶手段には、前記範囲情報が、テーブル情報として記憶されていることが好ましい。
前記ID情報受け付け手段は、前記被洗浄物に設けられたRFIDタグと通信して前記ID情報の入力を受け付けるタグリーダであることが好ましい。また、前記記憶手段は、装置本体内に設けられていることが好ましい。
前記記憶手段は外部のサーバに設けられており、前記情報読み出し手段は、通信回線を介して前記サーバと通信を行って前記範囲情報を読み出すことが好ましい。
本発明の超音波洗浄装置は、超音波洗浄の実行前に、被洗浄物のID情報を読み取り、このID情報に対応する範囲情報を記憶手段から読み出して、この範囲情報に基づき制御範囲の設定を行うので、被洗浄物の種類や数などの超音波洗浄の外的要因が変化した場合でも、超音波洗浄実行時に超音波振動子を共振周波数で駆動することができる。また、上述の外的要因に応じて制御範囲の設定を行うため、この制御範囲を狭く設定することができる。
洗浄槽に収容される被洗浄物の数、複数の被洗浄物の種類の組み合わせ、及び洗浄槽内の液体の液面高さに応じて範囲情報を定めるようにしたので、制御範囲を、被洗浄物の数、被洗浄物の種類の組み合わせ、及び液面高さに対応した最適な範囲に自動設定することができる。
制御範囲を設定するための範囲情報をサーバに記憶させておき、このサーバと通信を行って範囲情報の読み出しを行うようにしたので、超音波洗浄装置のCPUの処理負荷を減らすことができる。また、新たな被洗浄物に対応した範囲情報の追加を行う際に、サーバのデータ更新を行うだけでよく、超音波洗浄装置のデータ更新を行う必要がなくなるので、更新作業の手間を減らすことができる。
内視鏡洗浄消毒装置の斜視図である。 トップカバーを開放したときの内視鏡洗浄消毒装置の斜視図である。 洗浄槽の上面図である。 洗浄槽の断面図である。 内視鏡洗浄消毒装置の電気的構成を示すブロック図である。 範囲情報テーブルを説明するための説明図である。 PLL回路の制御範囲の自動設定処理の流れを説明するための説明図である。 内視鏡洗浄消毒装置による洗浄消毒処理の流れを説明するためのフローチャートである。 洗浄槽に複数の内視鏡を収容する第2実施形態の内視鏡洗浄消毒装置の電気的構成を示すブロック図である。 第2実施形態における洗浄消毒処理の流れを説明するためのフローチャートである。 迅速モードを有する第3実施形態の内視鏡洗浄消毒装置の電気的構成を示すブロック図である。 第3実施形態における洗浄消毒処理の流れを説明するためのフローチャートである。 第4実施形態の洗浄消毒システムの電気的構成を示すブロック図である。 把持鉗子や超音波メス等の医療器具を超音波洗浄する際に用いられる範囲情報テーブルを説明するための説明図である。 内視鏡、把持鉗子、超音波メスなどを組み合せて超音波洗浄を行う際に用いられる範囲情報テーブルを説明するための説明図である。 駆動周波数と、超音波振動子のインピーダンス、及び電圧と電流の位相差との関係をそれぞれ示したグラフである。
図1及び図2に示すように、内視鏡洗浄消毒装置(以下、洗浄消毒装置と呼ぶ)10は、箱状の装置本体11を備えている。装置本体11の上部には、使用後の内視鏡12を収容し、洗浄液や消毒液が供給される洗浄槽13が設けられている。洗浄槽13は、上部が開放された水槽であり、例えばステンレス等の耐熱性、耐蝕性等に優れた金属材料で形成されている。装置本体11には、洗浄槽13の開口部13aを覆う蓋として機能するトップカバー16が設けられている。
装置本体11は、シャーシ(図示せず)を有しており、シャーシには、洗浄槽13やトップカバー16の他、洗浄液や消毒液の供給、排出等の洗浄消毒処理に係る各種機構が設けられている。シャーシの外周は、前面パネル17、側面パネル18、上部パネル19からなる外装部材によって覆われている。
装置本体11内には、前面パネル17の下部に配されたフットスイッチ20とトップカバー16を連動させる連動機構(図示せず)が組み込まれている。トップカバー16は、フットスイッチ20が踏み込まれたときに開放され、さらにフットスイッチ20がもう一度踏み込まれたときに閉じられる。装置本体11には、図示は省略するが、内視鏡12の洗浄消毒処理の間、トップカバー16を閉じた位置でロックするロック機構、及びトップカバー16の開閉を検出する開閉センサが設けられている。
前面パネル17内には、図示しない収納トレイが設けられている。収納トレイには、洗剤タンク及びアルコールタンクが収納されている。洗剤タンクには、内視鏡12の洗浄に使用される洗剤が貯えられている。アルコールタンクには、内視鏡12の洗浄、消毒後に、鉗子チャンネル等の各チャンネル内に流されるアルコールが貯えられている。前面パネル17には、各タンク内の液体の残量視認用の透明窓22が取り付けられている。
また、収納トレイには、消毒液を濃縮した濃縮液を貯えた供給ボトルが交換可能に収納される。供給ボトルは、シャーシに備え付けられた消毒液タンクに接続され、濃縮液を消毒液タンク内に供給する。濃縮液は、消毒液タンク内において水によって希釈されて使用される。
前面パネル17には、排紙口23が設けられている。排紙口23は、洗浄履歴情報が印字されたプリントを排出する。洗浄履歴情報は、例えば、洗浄を実施した日時、洗浄担当者名、洗浄した内視鏡12のIDなどの情報である。洗浄履歴情報が印字されたプリントは、内視鏡12の洗浄消毒結果の確認、管理等に用いられる。
上部パネル19の前端部には、操作部24が設けられている。操作部24には、各種の操作指示を入力するための操作ボタン25、各種表示を行うディスプレイ26、及び読み取り部27が設けられている。操作ボタン25は、例えば、洗浄、消毒の開始を指示するスタートボタン、緊急停止を指示するためのストップボタン、ディスプレイ26に表示される操作画面を操作するための操作キーからなる。ディスプレイ26は、洗浄消毒処理のメニューを選択する選択画面や各種設定を行うための設定画面を含む操作画面を表示する他、洗浄・消毒処理の進捗状況や残り時間、トラブル発生時の警告メッセージ等を表示する。
読み取り部27は、その内部にタグリーダ(ID情報受け付け手段)27aが配置されている。タグリーダ27aは、内視鏡12に設けられたRFIDタグ12aや、洗浄担当者のネームプレートに設けられたRFIDタグ(図示せず)と非接触で通信して、RFIDタグからの情報の入力を受け付ける。タグリーダ27aがRFIDタグ12aから取得する情報は、内視鏡12の固有識別情報を表す内視鏡IDである。
タグリーダ27aは、超音波洗浄の開始前にトップカバー16が開放されたときに、内視鏡ID等の配信を要求するIDリクエストの発信を開始する。このIDリクエストの発信は、トップカバー16が閉じられるまで継続する。
RFIDタグ12aは、図示は省略するが、無線による情報の送受信を行うためのアンテナと、内視鏡IDなどの情報を記憶したメモリと、受信した電波の一部を駆動用の電力に変換する電力変換回路とを備えている。RFIDタグ12aは、タグリーダ27aから発信されるIDリクエストを受信したときに作動し、このIDリクエストに応答して内視鏡IDを発信する。
洗浄槽13の後方部分の底面には、廃液口28が設けられており、側面には、液面センサ29が設けられている。廃液口28は、洗浄槽13から使用済みの水、洗浄液、消毒液を排出する。液面センサ29は、例えば、アース電極及び検出電極に被測定物(導電性液体)が接触した場合に、両電極間に流れる電流を検知する電極式レベルセンサであり、洗浄槽13内に貯えられた液体の液面位置を検出する。
洗浄槽13の後方部分には、洗浄槽13の底面よりも一段高いテラス部13b、13cが設けられている。各テラス部13b、13cは、後方部分の2つの角にそれぞれ設けられている。一方のテラス部13bには、気密試験ポート30が設けられている。気密試験ポート30は、内視鏡12の挿入部及びユニバーサルコードの外皮と内蔵物の隙間に圧縮エアを送り込み、外皮に液体が進入する小さな孔や亀裂が生じていないかを試験するためのポートである。
また、テラス部13bには、内視鏡12の洗浄、消毒に用いる液体を洗浄槽13内に供給する供給ポートが設けられている。供給ポートには、洗浄槽13内に向けて屈曲された給水ノズル31a、消毒液供給ノズル31b、洗剤供給ノズル31cが設けられている。これらのノズル31a〜31cは、洗浄槽13内に貯えられる液体の液面よりも高い位置に配置されている。
給水ノズル31aは、洗浄槽13内に水を供給し、洗剤供給ノズル31cは、洗剤タンク内に貯えられている洗剤を洗浄槽13内に供給する。消毒液供給ノズル31bは、消毒液タンク内に貯えられている消毒液を洗浄槽13内に供給する。
テラス部13bの側面には、洗浄槽13内の液体に水流を生じさせるために、洗浄槽13に貯えられた液体を吸引して、循環させるための吸引口32が設けられている。給水ノズル31aは、循環用のノズルとしても使用され、吸引口32から吸引された液体は、配管を通って給水ノズル31aから再び洗浄槽13に供給される。
テラス部13cには、内視鏡12の送気・送水チャンネル、吸引チャンネル及び鉗子チャンネル内の洗浄、消毒に用いられるチャンネル洗浄ポート33が設けられている。チャンネル洗浄ポート33には、送気・送水チャンネル用カプラ、吸引チャンネル用カプラが設けられている。各カプラは、図示しない接続チューブを介して、内視鏡12に設けられた送気・送水ボタン及び吸引ボタンのそれぞれの装着口と接続される。チャンネル洗浄ポート33は、水、洗浄液、消毒液、アルコール、及び圧縮エア等の液体及び気体を、送気・送水チャンネル、鉗子チャンネル及び吸引チャンネル内に供給する。
図3に示すように、洗浄槽13の前方部分の底面には、洗浄槽13の形状に合わせて円板状の振動板35が配置されている。振動板35は、例えばステンレスなどの耐エロージョン性の高い材料で形成されている。この振動板35上には、内視鏡12が載置される略円形のネット36が配置されている。ネット36は、内視鏡12と底面との間に液体が流れ込む隙間を作り、洗浄槽13に供給される液体が、内視鏡12の外表面に接触する面積を増加させる。
ネット36の中央には、内視鏡12から取り外された、送気・送水ボタンや吸引ボタンなどの小物部品を収容する小物洗浄かご37が配置されている。小物洗浄かご37の近傍には、噴射ノズル38や温度センサ(図示せず)が配置されている。噴射ノズル38は、上方に位置するトップカバー16に向けて水を噴射する。温度センサは、洗浄槽13内に貯えられた液体の温度を測定する。洗浄槽13の下部には、洗浄槽13内の液体を加熱するヒータ(図示せず)が設けられており、ヒータは、温度センサが測定する温度によって制御される。
内視鏡12は、被検体内に挿入される挿入部及びユニバーサルコードが巻き回された状態で、小物洗浄かご37の周囲を取り囲むようにして、ネット36上に載置される。
図4に示すように、振動板35は、洗浄槽13の底面から僅かに上方に離れた位置で固定されている。振動板35の周縁部と底面との間には、防振及び液漏れ防止のためにリング状のパッキン39が設けられている。また、振動板35の周縁部には、鉛直下方に長く延びた複数のスタッド40が設けられている。各スタッド40は、パッキン39及び洗浄槽13の底部を貫通して、この底部の下面から下方に突出している。
各スタッド40の先端部はネジ切りされており、この先端部にはナット41が締結されている。ナット41は、スタッド40を介して、振動板35を洗浄槽13に固定する。なお、ナット41と洗浄槽13の底部との間には、ワッシャ42及びスプリングワッシャ43が設けられている。
洗浄槽13の底部には、パッキン39よりも内側で開口した開口部44が形成されている。振動板35の下面には、開口部44により空いたスペースに複数のボルト締めランジュバン型超音波振動子(Bolt-clamped Langevin type Transducer:以下、BLTと略す)45が設けられている。各BLT45は、接着剤46と、振動板35を上面側から下面側に貫通するBLT固定用ボルト47とで、振動板35に固定されている。各BLT45は、交流駆動電圧(以下、駆動電圧と略す)の印加により振動して、振動板35を振動させる。
図5に示すように、洗浄消毒装置10は、CPU50によって、装置の各部が統括的に制御される。CPU50には、上述の操作部24やタグリーダ27a等の他に、メモリ51、洗浄消毒機構52、BLT駆動回路53、及びトップカバー16の開閉を検知するカバー開閉検知センサ54等が接続している。CPU50は、操作部24からの操作指示の入力によって制御プログラムを実行することで、洗浄消毒装置10の各部を制御する。なお、図中では、CPU50と装置の各部との間で遣り取りされる信号、及びCPU50の内部で遣り取りされる信号を点線で表示している。
メモリ51は、制御プログラムや各種設定情報が格納されるROMと、ROMからロードしたプログラムをCPU50が実行する際の作業領域になるRAMとからなる。洗浄消毒機構52は、洗浄液や消毒液を洗浄槽13に供給するための配管、洗浄槽13の給排液を行うためのポンプ、配管の経路を切り換えるための電動弁、及びCPU50の制御の下、これらを駆動するための各種のドライバからなり、内視鏡12の洗浄消毒処理を実行する。洗浄消毒処理は、大別して、超音波洗浄工程、洗浄工程、消毒工程からなる。
BLT駆動回路53は、CPU50の制御の下、各BLT45に交流駆動電圧(以下、単に駆動電圧という)を印加して振動させるとともに、この駆動電圧の駆動周波数を制御する。このBLT駆動回路53には、ドライブ回路(駆動手段)61、カレントトランス62、出力トランス63、PLL回路(駆動周波数制御手段)65が設けられている。
ドライブ回路61は、PLL回路65から入力される周波数信号に基づき、電源(図示せず)から供給される電力を、周波数信号と同じ周波数の交流電力に変換する。これにより、ドライブ回路61から、周波数信号と同じ周波数の駆動電圧が出力トランス63に印加される。
ドライブ回路61と出力トランス63とを接続する信号線路上には、コンデンサ66と、カレントトランス62とが直列に並べて設けられている。カレントトランス62は、駆動電圧の印加により信号線路を流れる駆動電流を検出して電圧信号に変換する。この電圧信号は、駆動電流の位相を示す電流位相信号となる。
出力トランス63は、ドライブ回路61から入力される駆動電圧を所定の大きさに昇圧した後、この駆動電圧を各BLT45に印加する。各BLT45は、互いに並列接続されているので、各BLT45には同じ大きさの駆動電圧が印加される。また、各BLT45には、1つの位相補正インダクタ69が直列接続し、この位相補正インダクタ69は出力トランス63に接続している。
位相補正インダクタ69は、コイルであり、駆動電圧と駆動電流の位相が小さくなるように位相を補正する。位相補正インダクタ69のリアクタンスは、BLT45の固有インピーダンスに応じて決められる。
PLL回路65には、カレントトランス62からの電流位相信号と、ドライブ回路61からの駆動電圧とが入力される。なお、PLL回路65に入力される駆動電圧は、駆動電流との位相の比較に用いられるものであり、以下、電圧位相信号という。
PLL回路65は、図示しない位相検出回路、電圧制御発振回路、ループフィルタ、分周器から構成されている。PLL回路65は、CPU50の制御の下、ドライブ回路61へ周波数信号を出力し、ドライブ回路61から出力される駆動電圧の駆動周波数を制御する。具体的には、電圧位相差信号及び電流位相信号に基づき、駆動電圧と駆動電流の位相差を検出し、この位相差がほぼゼロとなるように周波数信号の周波数を制御することで、駆動周波数をBLT45の共振周波数に追尾させる。
また、PLL回路65から出力される周波数信号の周波数は、上述の図16で説明したように、CPU50により設定された中心周波数Cと周波数範囲Δfとで定まる制御範囲A内で制御される。
CPU50は、メモリ51から読み出したプログラムを逐次実行することで、BLT駆動制御部71、制御範囲設定部72、PLL駆動制御部73として機能する。BLT駆動制御部71は、ドライブ回路61による駆動電圧の印加のON/OFFを切り替える。
制御範囲設定部72は、本発明の範囲情報読み出し手段に相当する。制御範囲設定部72は、超音波洗浄の開始前にタグリーダ27aで読み取られた内視鏡IDに基づき、メモリ51内の範囲情報テーブル75を参照して、これから超音波洗浄する内視鏡12の種類に対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを範囲情報テーブル75から読み出す。
PLL駆動制御部73は、PLL回路65からの周波数信号の出力のON/OFFを切り替える。また、PLL駆動制御部73は、上述の制御範囲設定部72とともに本発明の制御範囲設定手段として機能し、制御範囲設定部72が範囲情報テーブル75から読み出した中心周波数C及び周波数範囲ΔfをPLL回路65に設定する。これにより、PLL回路65の駆動周波数の制御範囲Aが設定される。
図6に示すように、範囲情報テーブル75には、複数種類の内視鏡12の内視鏡IDと、中心周波数C及び周波数範囲Δfとが対応付けて格納されている。内視鏡12の種類が異なると、内視鏡の大きさ、形状、及び材質等の少なくともいずれか一つが異なるため、上述の図16で説明したようなBLT45のインピーダンスの周波数特性が変わり、それに応じてBLT45の共振周波数が変わる。このため、内視鏡12の種類別に、中心周波数C及び周波数範囲Δfがそれぞれ設定されている。
各中心周波数C及び周波数範囲Δfは、各種類の内視鏡12をそれぞれ超音波洗浄したときのBLT45のインピーダンスの周波数特性と、駆動電圧と駆動電流の位相差の周波数特性とをLCRメータ等で予め測定した結果に基づき定められている。
例えば、内視鏡ID「S○○△△1」の内視鏡12について両周波数特性の測定を複数回行い、各測定結果から求められたBLT45の共振周波数の平均値が30.0kHzであった場合、「S○○△△1」の中心周波数Cは30.0kHzに定められる。次いで、この中心周波数Cを基準としたときに、各測定で得られた共振周波数が全てあるいは所定の割合(例えば90%)以上含まれ、かつ反共振周波数が含まれないような周波数の範囲を求めることで、周波数範囲Δfが例えば±1.0kHzに定められる。なお、範囲情報テーブル75では、周波数範囲Δfが全て±1.0kHzに定められているが、この値は内視鏡12の種類毎に変えてもよい。
次に、図7を用いて、PLL回路65の制御範囲Aの自動設定処理の流れについて説明する。内視鏡12を洗浄槽13に収容する際に、CPU50からの指令に基づき、タグリーダ27aは、括弧付き数字(1)に示すように、IDリクエストを電波にて発信する。
内視鏡12のRFIDタグ12aがタグリーダ27aの通信可能範囲内にある場合、RFID12aは、タグリーダ27aからのIDリクエストを受信し、このIDリクエストに応じて内視鏡IDを電波にて発信する。これにより、括弧付き数字(2)に示すように、内視鏡IDがタグリーダ27aで受信される。タグリーダ27aは、括弧付き数字(3)に示すように、受信した内視鏡IDをCPU50の制御範囲設定部72へ出力する。
制御範囲設定部72は、括弧付き数字(4)に示すように、タグリーダ27aから取得した内視鏡IDを、メモリ51内の範囲情報テーブル75の内視鏡ID欄に登録されている各ID番号と照合する。次いで、制御範囲設定部72は、括弧付き数字(5)に示すように、内視鏡IDに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを読み出す。例えば、内視鏡IDが「S○○△△1」である場合、中心周波数C及び周波数範囲Δfとして、それぞれ30.0kHz、±1.0kHzが読み出される。
括弧付き数字(6)に示すように、制御範囲設定部72は、範囲情報テーブル75から読み出した中心周波数C及び周波数範囲Δfからなる制御範囲情報をPLL駆動制御部73へ出力する。
PLL駆動制御部73は、括弧付き数字(7)に示すように、受信した制御範囲情報に基づき、PLL回路65に対して中心周波数C及び周波数範囲Δfを設定する。これにより、PLL回路65による駆動周波数の制御範囲Aが、中心周波数Cを基準としたその前後の周波数範囲Δfに設定される。例えば、内視鏡IDが「S○○△△1」である場合、制御範囲Aは29.0kHz〜31.0kHzとなる。
次に、図8を用いて上記構成の洗浄消毒装置10の作用について説明を行う。洗浄消毒装置10は、起動中に操作指示の入力を待機する。フットスイッチ20が踏み込み操作されると、連動機構によりトップカバー16が開放される。CPU50は、カバー開閉検知センサ54によりトップカバー16の開放が検知されたときに、タグリーダ27aからのIDリクエストの発信を開始させる。
内視鏡12を洗浄槽13に収容する前に、この内視鏡12を読み取り部27に近づけると、RFIDタグ12aがIDリクエストを受信し、このIDリクエストに応じて内視鏡IDを発信する。タグリーダ27aは、RFIDタグ12aから受信した内視鏡IDをCPU50へ出力する。なお、内視鏡IDの受信が完了したときに、その旨を示す音声表示やメッセージ表示を行ってもよい。
次いで、内視鏡12が洗浄槽13内のネット36上にセットされ、内視鏡12の送気・送水ボタン及び吸引ボタンのそれぞれの装着口が、チューブによってチャンネル洗浄ポート33の各カプラに接続される。内視鏡12の収容が完了した後、フットスイッチ20がもう一度踏み込まれると、トップカバー16が閉じる。なお、内視鏡IDを受信しないでトップカバー16が閉じられた場合には、その旨を示す警告を行ってもよい。
トップカバー16が閉じたことがカバー開閉検知センサ54により検知されると、タグリーダ27aの作動が停止された後、上述の図7の括弧付き数字(4)〜(7)で説明したPLL回路65の制御範囲Aの自動設定処理が実行される。これにより、洗浄槽13に収容する内視鏡12の種類を変えた場合でも、これに対応してPLL回路65の制御範囲Aを最適に設定することができる。
また、内視鏡12の種類に応じて周波数範囲Δfを決定して、制御範囲Aの設定を行うため、この制御範囲Aを狭く設定することができる。これは、複数種類の内視鏡12に対応するように制御範囲Aを設定する場合には、BLT45の共振周波数の変動に対応して制御範囲Aを広く設定する必要があるが、本発明では、内視鏡12の種類毎に制御範囲Aの設定を行うため、制御範囲Aを広く設定する必要がないためである。
操作部24のスタートボタンが操作されると、CPU50は、ロック機構によりトップカバー16をロックする。次いで、CPU50は、洗浄消毒機構52及びBLT駆動回路53を制御して、超音波洗浄工程を開始させる。
洗浄消毒機構52は、洗浄槽13に水と洗剤(水だけでも可)を供給する。液面センサ29により、水と洗剤とが混合されてなる洗浄液の液面位置が規定値に達したことが検知されたときに、CPU50は、BLT駆動回路53の各部を制御して、各BLT45の駆動を開始させる。これにより、各BLT45が振動して、振動板35を介して洗浄液を振動させることにより、内視鏡12の超音波洗浄が実施される。
この際に、PLL回路65は、駆動電圧と駆動電流の位相差に基づき、先に設定された制御範囲A内で、電圧と電流の位相差がほぼゼロとなるようにBLT45の駆動周波数を制御する。PLL回路65が、内視鏡12の種類に対応した制御範囲Aに設定されているので、例えば洗浄液の水面の揺れや洗浄槽13内における内視鏡12の位置のばらつき等の影響でBLT45のインピーダンスが変化し、これに伴い共振周波数が変動した場合でも、駆動周波数を、BLT45の変動する共振周波数に追尾させることができる。このように、BLT45を共振周波数で常時駆動することができるので、電力効率よく超音波洗浄を実行することができる。
所定の超音波洗浄時間が経過後、CPU50からの指令に基づき、各BLT45の駆動が停止される。また、洗浄消毒機構52は、洗浄液を洗浄槽13から排出させる。これにより、超音波洗浄工程が終了する。
超音波洗浄工程の終了後、CPU50は、洗浄消毒機構52を制御して、洗浄工程を開始させる。洗浄消毒機構52は、最初に洗浄槽13に水と洗剤を供給し、洗浄液の液面位置が規定値に達したときに、吸引口32から洗浄液を吸引させる。吸引された洗浄液は、配管により循環され、給水ノズル31aから内視鏡12に向けて噴射され、外表面に付着した汚物を洗い流す。また、内視鏡12の各チャネル内にも洗浄液を流して洗浄する。所定の洗浄時間が経過後、洗浄液は洗浄槽13から排出され、洗浄工程が終了する。
なお、洗浄消毒機構52は、洗浄工程終了後、洗浄槽13内に水を供給し、この水を循環させて、内視鏡12の外表面、各チャネル内に残っている洗浄液をすすぎ流す。すすぎに使用された水も洗浄槽13から排出される。
すすぎ終了後、CPU50は、洗浄消毒機構52を制御して消毒工程を開始させる。洗浄消毒機構52は、洗浄槽13に消毒液を供給する。以下、洗浄工程と同様に、消毒液は、洗浄槽13及び内視鏡12の各チャネル内を循環され、超音波洗浄工程や洗浄工程で洗い流されなかった病原菌やウイルスを除去し、または病原性を消失させる。所定の消毒時間が経過後、消毒液は洗浄槽13から排出されて、消毒工程が終了する。
洗浄消毒機構52は、消毒工程終了後、洗浄工程終了後と同様に洗浄槽13内への水の供給と、水の循環とを順次実行して、内視鏡12の外表面、各チャネル内に残っている消毒液をすすぎ流す。なお、すすぎの終了後、内視鏡12の各チャネル内をアルコールにより乾燥させる乾燥工程を実施しても良い。
以上で洗浄消毒処理の全工程が終了する。CPU50は、トップカバー16のロックを解除する。次いで、トップカバー16が開放され、洗浄槽13から内視鏡12が取り出される。
次に、図9を用いて本発明の第2実施形態の洗浄消毒装置80について説明を行う。洗浄消毒装置80は、上記第1実施形態と基本的に同じ構成であるが、洗浄槽13に複数の内視鏡12を収容した状態で超音波洗浄を行う。なお、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する(第3実施形態以降も同様)。
メモリ51には、範囲情報テーブル群81が格納されている。範囲情報テーブル群81は、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数に応じた第1〜第N(Nは2以上の自然数)範囲情報テーブル81−1〜81−Nで構成されている。
第1範囲情報テーブル81−1は、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数が1本の場合に使用されるテーブルであり、上記第1実施形態の範囲情報テーブル75と同じものである。
第2範囲情報テーブル81−2は、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数が2本の場合に使用されるテーブルであり、内視鏡12の組み合わせを示す内視鏡ID(1)、内視鏡ID(2)と、中心周波数C及び周波数範囲Δfとを対応付けて格納している。内視鏡12の組み合わせには、同じ種類の内視鏡12の組み合せと、異なる種類の内視鏡12の組み合わせとが含まれる。例えば、内視鏡12の種類が10種類である場合、組み合わせパターンの総数は、同じ種類の内視鏡12の組み合わせパターン数(10通り)と、異なる種類の内視鏡12の組み合わせパターン数(10=45通り)とを合計した55通りとなる。
各組み合わせに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfは、上記第1実施形態で説明したように、各組み合わせにおける、BLT45のインピーダンス及び位相差の周波数特性の測定結果に基づき定められる。第3〜第N範囲情報テーブル81−3〜81−Nも同様に、内視鏡12の組み合わせと、中心周波数C及び周波数範囲Δfとを対応付けて格納している。
洗浄消毒装置80のCPU50は、上記第1実施形態の制御範囲設定部72とは異なる制御範囲設定部83として機能する。制御範囲設定部83は、トップカバー16が開放されてから閉じられるまでの間にタグリーダ27aから入力された内視鏡IDに基づき、洗浄槽13に収容された内視鏡12の数を判定し、この数に対応した範囲情報テーブル81−1〜81−Nを選択して、中心周波数C及び周波数範囲Δfの読み出しを行う。
また、CPU50は、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数に応じて、洗浄消毒機構52を制御して、超音波洗浄工程、洗浄工程、及び消毒工程時などにおける洗浄液や消毒液の液面高さを調整する。この液面高さは、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数が増加するのに従って高くなるように調整される。
図10を用いて、上記構成の洗浄消毒装置80の作用について説明を行う。なお、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数が1本である場合は、上記第1実施形態と基本的に同じ処理となるため、ここでは説明を省略する。
トップカバー16が開放されると、上記第1実施形態で説明したように、タグリーダ27aがIDリクエストを開始する。1本目の内視鏡12を読み取り部27に近づけると、タグリーダ27aは、RFID12aから発信される内視鏡IDを受信して、この内視鏡IDを制御範囲設定部83へ出力する。制御範囲設定部83は、入力された内視鏡IDを一時的に記憶する。この内視鏡IDの読み取り後、1本目の内視鏡12が洗浄槽13内に収容される。以下同様にして、2本目以降の内視鏡12の内視鏡IDの受信・一時記憶と、収容とが繰り返し実行される。
全ての内視鏡12の収容が完了した後、トップカバー16が閉じられると、タグリーダ27aの作動が停止される。この停止後、制御範囲設定部83は、先に一時記憶された内視鏡IDの数に基づき、洗浄槽13に収容された内視鏡12の数を判定し、この数に対応した範囲情報テーブル81−1〜81−Nを選択する。例えば、一時記憶された内視鏡IDの数が2つである場合には、第2範囲情報テーブル81−2を選択する。
次いで、制御範囲設定部83は、一時記憶された2つの内視鏡IDを、第2範囲情報テーブル81−2の内視鏡ID(1)、(2)欄に登録されている各ID番号と照合して、内視鏡IDの組み合わせに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを読み出す。以下、第1実施形態と同様に、これら中心周波数C及び周波数範囲Δfに基づき、PLL回路65の制御範囲Aが自動設定される。
操作部24のスタートボタンが操作されると、超音波洗浄工程が開始されて、洗浄槽13内に、洗浄液が内視鏡12の数に応じた液面高さで貯留される。次いで、BLT45の駆動が開始されるとともに、PLL回路65による駆動周波数の周波数制御が実行される。
この際に、PLL回路65が、内視鏡12の組み合わせに対応した制御範囲Aに設定されているので、洗浄槽13に収容される内視鏡12の数や組み合わせの違い、洗浄液の液面高さの違い、及び洗浄液の水面の揺れ等の影響に関係なく、駆動周波数を共振周波数に追尾させることができる。従って、洗浄槽13に複数の内視鏡12を収容した場合でも、電力効率よく超音波洗浄を実行することができる。
以下、第1実施形態と同様に、超音波洗浄工程の終了後、洗浄工程及び消毒工程等が実行され、洗浄消毒処理の全工程が完了する。
次に、図11を用いて本発明の第3実施形態の洗浄消毒装置85について説明を行う。この洗浄消毒装置85は、上記第2実施形態と基本的に同じ構成であり、洗浄槽13に内視鏡12を複数収容した状態で超音波洗浄を行うことができる。ただし、洗浄消毒装置85は、洗浄槽13に収容する内視鏡12が1本の場合に、洗浄槽13に貯留される洗浄液や消毒液の液面高さを上述の第1及び第2実施形態時よりも低くすることで洗浄消毒処理に要する時間を短縮する迅速モードを有している。迅速モードのON/OFFは、操作部24で切り替えられる。
メモリ51に格納されている範囲情報テーブル群81aは、上述の第1〜第N範囲情報テーブル81−1〜81−Nと、迅速モード用範囲情報テーブル(以下、単に迅速モード用テーブルという)86とから構成されている。迅速モード用テーブル86には、複数種類の内視鏡12の内視鏡IDと、迅速モードに適した中心周波数C及び周波数範囲Δfとが対応付けて格納されている。各中心周波数C及び周波数範囲Δfは、基本的には第1実施形態と同様に、迅速モード下におけるBLT45の周波数特性を予め測定した結果に基づき定められる。
CPU50は、迅速モードがOFFされている場合、洗浄消毒機構52を制御して、超音波洗浄工程、洗浄工程、及び消毒工程などにおける洗浄液や消毒液の液面高さを、所定の通常液面位置に調整する。また、CPU50は、迅速モードがONされている場合、各工程における洗浄液や消毒液の液面高さが、通常液面位置よりも低い所定の低液面位置となるように、洗浄消毒機構52を制御する。
図12を用いて、上記構成の洗浄消毒装置85の作用について説明を行う。洗浄槽13に収容する内視鏡12が1本であり、さらに、洗浄消毒処理を短時間で終了させたい場合には、操作部24を操作して迅速モードをONさせる。なお、迅速モードがOFFされている場合は、上記第1実施形態と同じであるため説明は省略する。
トップカバー16が開放された後、第1実施形態で説明したように、内視鏡IDの受信と、洗浄槽13への内視鏡12の収容とが行われる。次いで、トップカバー16が閉じられると、制御範囲設定部83が作動する。
制御範囲設定部83は、迅速モードがONされているため、メモリ51内の迅速モード用テーブル86を参照して、内視鏡IDに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを読み出す。以下、これら中心周波数C及び周波数範囲Δfに基づき、PLL回路65の制御範囲Aが自動設定される。
操作部24のスタートボタンが操作されると、超音波洗浄工程が開始される。CPU50は、液面センサ29の検知結果を確認しながら洗浄消毒機構52を制御して、洗浄槽13内の低液面位置まで洗浄液を貯留させる。
次いで、第1実施形態で説明したように、BLT45の駆動及びPLL回路65による駆動周波数の周波数制御が実行される。PLL回路65の制御範囲Aが、内視鏡12の種類及び洗浄液の液面高さに対応した範囲に設定されているので、洗浄液の液面高さが低液面位置である場合でも、駆動周波数を共振周波数に確実に追尾させることができる。
以下、第1実施形態と同様に、超音波洗浄工程の終了後、洗浄工程及び消毒工程等が実行され、洗浄消毒処理の全工程が完了する。各工程時に洗浄槽13に貯留される洗浄液や消毒液の量が減るため、洗浄消毒処理に要する時間が短縮される。
なお、上記第3実施形態では、洗浄槽13内の洗浄液の液面高さを通常液面高さまたは低液面高さのいずれかに調整するが、この液面高さは任意に調整してよい。この場合は、内視鏡12の内視鏡ID及び洗浄液の液面高さの組み合わせと、この組み合わせに適した中心周波数C及び周波数範囲Δfとを対応付けた範囲情報テーブルを予めメモリ51に格納しておけばよい。また、他の実施形態についても同様である。
次に、図13を用いて本発明の第4実施形態について説明を行う。洗浄消毒システム90は、複数の洗浄消毒装置91と、サーバ92とから構成されている。
洗浄消毒装置91は、基本的には上記第1実施形態の洗浄消毒装置10と同じ構成である。ただし、洗浄消毒装置91は、メモリ51内に範囲情報テーブル75を格納する代わりに、LANI/F93を備えている。また、CPU50は、制御範囲設定部72の代わりに、送受信制御部94として機能する。
LANI/F93は、LANケーブル95を介してサーバ92に接続されており、このサーバ92との間で各種データの送受信を行う。送受信制御部94は、LANI/F93によるデータの送受信を制御する。洗浄消毒装置91からサーバ92へ送信されるデータは、タグリーダ27aで受信した内視鏡IDである。逆に、サーバ92から各洗浄消毒装置91へ送信されるデータは、制御範囲情報である。
サーバ92は、CPU97、ハードディスク(以下、HDDという)98、及びLANI/F99などから構成される。CPU97は、HDD98に格納された制御プログラムを図示しないメモリへロードして、このプログラムに従った処理を実行することにより、サーバ92の各部の動作を統括的に制御する。
HDD98には、各種制御プログラムやアプリケーションプログラムの他に、上述の範囲情報テーブル75が格納されている。LANI/F99は、LANケーブル95を介してLANI/F93と接続しており、CPU97の制御の下、洗浄消毒装置91との間でデータの送受信を行う。
CPU97は、HDD98から読み出したプログラムを逐次実行することで、範囲情報読出部100として機能する。範囲情報読出部100は、基本的には第1実施形態の制御範囲設定部72と同じものであり、LANI/F99で受信した内視鏡IDに基づき、HDD98内の範囲情報テーブル75を参照して、内視鏡IDに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを範囲情報テーブル75から読み出す。
以下、上記構成の洗浄消毒システム90の作用について説明する。なお、タグリーダ27aが内視鏡IDを受信するまでの処理の流れは上記第1実施形態と同じであるため、説明は省略する。タグリーダ27aは、RFID12aから受信した内視鏡IDをCPU50へ出力する。
CPU50の送受信制御部94は、LANI/F93を制御して、タグリーダ27aから入力された内視鏡IDをサーバ92へ送る。サーバ92のLANI/F99は、洗浄消毒装置91から入力された内視鏡IDをCPU97へ出力する。
CPU97の範囲情報読出部100は、上記第1実施形態と同様に、内視鏡IDに対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを範囲情報テーブル75から読み出す。次いで、CPU97は、LANI/F99を制御して、中心周波数C及び周波数範囲Δfからなる制御範囲情報を、内視鏡IDの送付元の洗浄消毒装置91へ送る。
洗浄消毒装置91のLANI/F93は、サーバ92から入力された制御範囲情報を送受信制御部94へ出力する。送受信制御部94は、入力された制御範囲情報をPLL駆動制御部73へ出力する。以下、第1実施形態と同様に、PLL駆動制御部73は、制御範囲情報に基づき、PLL回路65の制御範囲Aを自動設定する。
サーバ92で中心周波数C及び周波数範囲Δfを決定するので、洗浄消毒装置91のCPU50の処理負荷を軽減することができる。また、メモリ51に範囲情報テーブル75を記憶させる必要がないので、メモリ51の使用量を減らすことができる。さらに、新たな内視鏡12に対応した中心周波数C及び周波数範囲Δfを範囲情報テーブル75に追加する際に、サーバ92の範囲情報テーブル75を更新するだけでよく、個々の洗浄消毒装置91の範囲情報テーブルを個別に更新する必要がないので、更新作業等の手間を減らすことができる。
なお、上記第4実施形態では、洗浄槽13に収容される内視鏡12が1本である場合について説明を行ったが、第4実施形態と上記第2実施形態を組み合せることにより、洗浄槽13に収容される内視鏡12が複数本である場合にも、サーバ92から入力される制御範囲情報に基づき、制御範囲Aを自動設定することができる。また、第4実施形態と上記第3実施形態を組み合せてもよい。
また、上記第4実施形態では、洗浄消毒装置91とサーバ92とがLANケーブル95により有線接続されているが、両者が無線通信I/Fを介して無線接続されていてもよい。
上記各実施形態では、洗浄槽13に収容する被洗浄物として内視鏡12を例に説明を行ったが、被洗浄物は内視鏡12に限定されるものでなく、例えば把持鉗子、高周波メスなど、内視鏡12とともに使用される処置具などの各種医療器具の超音波洗浄にも本発明を適用することができる。この場合には、これら各種医療器具に対応した範囲情報テーブルをメモリ51に格納すればよい。
例えば、図14に示すように、範囲情報テーブル群102は、内視鏡用範囲情報テーブル102a、把持鉗子用範囲情報テーブル102b、及び超音波メス用範囲情報テーブル102cなどから構成されている。
内視鏡用範囲情報テーブル102aは、上述の範囲情報テーブル75と同じものである。他の範囲情報テーブル102b,102cには、それぞれ把持鉗子、超音波メスのIDと、これらの超音波洗浄に適した中心周波数C及び周波数範囲Δfとが対応付けて格納されている。これにより、被洗浄物の種類に関係なく、タグリーダ27aで受信したIDに基づき、このIDに対応する中心周波数C及び周波数範囲Δfを範囲情報テーブルから読み出し、これに基づきPLL回路65の制御範囲Aを自動設定することができる。
なお、各範囲情報テーブル102a〜102cは、一つのテーブルにまとめてもよい。さらに、各範囲情報テーブル102a〜102cとして、上記第2実施形態で説明したような複数種類の内視鏡、把持鉗子、超音波メスに対応したテーブルを用いてもよい。
また、内視鏡、把持鉗子、超音波メスなどの異なる種類の被洗浄物を組み合せて超音波洗浄を行う場合には、例えば図15に示すように、ID(1)〜ID(3)で示される各被洗浄物の組み合せと、中心周波数C及び周波数範囲Δfとを対応付けた組み合わせ用範囲情報テーブル103を予め作成して、メモリ51に格納しておけばよい。なお、洗浄槽13に収容される被洗浄物の数は図15で示した3つに限定されず、2つあるいは4つ以上でもよく、この場合には、被洗浄物の数に対応した組み合わせ用範囲情報テーブルがメモリ51に格納すればよい。
上記各実施形態では、RFIDタグ12aに内視鏡ID等を記憶させておき、タグリーダ27aでRFIDタグ12aから発信される内視鏡ID等を受信しているが、RFIDタグの代わりにバーコード等の各種情報記憶部に内視鏡ID等を記憶させておき、情報記憶部に対応したリーダで内視鏡ID等を読み取るようにしてもよい。
上記各実施形態では、超音波振動子としてBLTを例に挙げて説明したが、超音波振動子の種類は特に限定されない。
上記各実施形態では、PLL回路65の中心周波数Cと周波数範囲Δfの両方の設定を行う場合について説明を行ったが、周波数範囲Δfは一定値に設定されていてもよい。
10,80,85,91 内視鏡洗浄消毒装置
12 内視鏡
12a RFIDタグ
27a タグリーダ
45 超音波振動子
50 CPU
53 BLT駆動回路53
61 ドライブ回路
65 PLL回路
72,83,100 制御範囲設定部
73 PLL駆動制御部
75 範囲情報テーブル
81−1〜81−N 第1〜第N範囲情報テーブル
86 迅速モード用範囲情報テーブル
92 サーバ

Claims (11)

  1. 洗浄槽内の液体を振動させて洗浄槽に収容された被洗浄物を超音波洗浄するための超音波振動子と、
    前記超音波振動子に交流の駆動電圧を印加して、前記超音波振動子を駆動する駆動手段と、
    前記超音波洗浄の実行期間中に、予め設定された制御範囲内で、前記駆動電圧の駆動周波数を、超音波洗浄の状況に応じて変動する前記超音波振動子の共振周波数に追尾させる周波数制御を行う駆動周波数制御手段と、
    前記超音波洗浄の実行前に、前記被洗浄物の種類を表すID情報の入力を受け付けるID情報受け付け手段と、
    前記被洗浄物の種類毎に定められた、前記制御範囲を設定するための範囲情報を、前記被洗浄物の前記ID情報と対応付けて記憶する記憶手段から、入力された前記ID情報に対応する前記範囲情報を読み出す範囲情報読み出し手段と、
    前記範囲情報読み出し手段により読み出された前記範囲情報に基づいて、前記制御範囲を設定する制御範囲設定手段と、
    を備えていることを特徴とする超音波洗浄装置。
  2. 前記範囲情報には、前記制御範囲の基準となる中心周波数が含まれていることを特徴とする請求項1記載の超音波洗浄装置。
  3. 前記範囲情報には、さらに、前記中心周波数の前後の制御幅を規定する周波数範囲が含まれていることを特徴とする請求項2記載の超音波洗浄装置。
  4. 前記中心周波数に加えて、前記周波数範囲についても、前記ID情報に応じて定められていることを特徴とする請求項3記載の超音波洗浄装置。
  5. 前記範囲情報は、前記ID情報に加えて、前記洗浄槽に収容される前記被洗浄物の数に応じて定められていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
  6. 前記範囲情報は、前記洗浄槽に収容される複数の洗浄物の種類の組み合わせに応じて定められていることを特徴とする請求項5記載の超音波洗浄装置。
  7. 前記範囲情報は、前記ID情報に加えて、前記洗浄槽内の液体の液面の高さに応じて定められていることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
  8. 前記記憶手段には、前記範囲情報が、テーブル情報として記憶されていることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
  9. 前記ID情報受け付け手段は、前記被洗浄物に設けられたRFIDタグと通信して前記ID情報の入力を受け付けるタグリーダであることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
  10. 前記記憶手段は、装置本体内に設けられていることを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
  11. 前記記憶手段は外部のサーバに設けられており、前記情報読み出し手段は、通信回線を介して前記サーバと通信を行って前記範囲情報を読み出すことを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の超音波洗浄装置。
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