JP2011063829A - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】歪取り焼鈍後でもその歪領域の効果が消失しない磁区幅の細分化方法を提供する。
【解決手段】脱炭焼鈍後の鋼板に、冷間圧延方向と交差する方向に線状の歪付与領域を形成し、さらに、圧延直角方向に温度勾配を付与して最終仕上げ焼鈍を施す。二次再結晶開始温度に達した時点で温度勾配が鋼帯コイルに付与されていれば、二次再結晶粒が圧延方向と交差する歪付与領域に沿って成長し、歪取り焼鈍でも消失しない磁区細分化効果が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、変圧器の鉄心材料等に用いて好適な、磁束密度が高くかつ鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
方向性電磁鋼板は、主に変圧器やその他の電気機器の鉄心として利用されていて、その特性としては、磁気特性に優れていること、中でも鉄損の低いことが要求される。この鉄損というのは、概ねヒステリシス損と渦電流損との和によって求められる特性である。
上記したヒステリシス損は、強い抑制力をもつインヒビタを用いることにより、結晶粒をゴス方位、すなわち{110}<001>方位に高度に集積させることや、磁化時に起こる磁壁移動のピンニング因子を生成する原因である不純物元素を低減化させること、等により大幅に改善されてきた。
一方、渦電流損については、Si含有量を増加して電気抵抗を増大させることや、鋼板板厚を薄くすること、鋼板地鉄表面に地鉄と熱膨張係数の異なる皮膜を形成して地鉄に張力を付与すること、結晶粒を微細化することにより磁区幅を減少させること、等によって改善が図られてきた。
近年では、さらに渦電流損を低減化すべく、鋼板の圧延方向とほぼ垂直な方向に磁極を導入し、180度磁区を細分化する方法が開発されており、非耐熱型磁区細分化法としてレーザ光(特許文献1)、プラズマ炎(特許文献2)などを照射する方法、耐熱型磁区細分化法としては、2次再結晶後の鋼板に機械的加工により溝を形成する方法(特許文献3)、仕上焼鈍前に圧延方向と直角な方向に線状の刻み目を導入する方法(特許文献4)などがそれぞれ提案されている。
また、特許文献5には、結晶粒の<001>方位の圧延面からの勾配角を適正に制御することで、渦電流損を低減化する方法が記載されている。
しかしながら、二次再結晶粒径を細かくすると、結晶粒界に生じる磁極の効果で磁区幅が狭くなり鉄損は低下するが、結晶粒径の微細化に伴って、磁束密度が低下し、所望の磁気特性が得られなくなる、という問題が残っていた。
特公昭57−2252号公報 特開昭62−96617号公報 特公昭50−35679号公報 特公平3−69968号公報 特開昭54−40223号公報 特開平8−49045号公報
上述したように、従来は、ヒステリシス損低減のためには結晶粒のゴス方位への集積化、および渦電流損の低減のためには圧延方向の磁区幅の低減化、がその対策として講じられてきた。
しかし、製品の鋼板表面に線状の歪領域を形成し、渦電流損を低減させる方法には、歪取り焼鈍によって、その歪領域の効果が消失してしまうという問題を残していた。
さらに、鋼板表面に線状の溝を形成して磁区幅を低減し、渦電流損を低減する方法においては、溝の存在により高磁場域での透磁率が低下するので、特に高い磁束密度で設計される変圧器等では、その磁気特性の改善効果が十分でないという問題を残していた。
本発明は、これらの問題を有利に解決するもので、歪取り焼鈍後でも、その歪領域の効果が消失しない磁区幅の細分化技術を提供することを目的とする。
発明者らは、上記した問題を解決するために、人工的に結晶粒界を生成させると共に、最終仕上げ焼鈍の際の温度勾配を利用し、二次再結晶粒を適正に伸張させる方法を発案し、これを検討した。
その結果、人工的な結晶粒界は、けがきやレーザ光、プラズマ炎などを用い、脱炭焼鈍後に線状の歪として付与することが有効であり、しかも圧延方向と交差する方向に結晶粒界を形成させるのが良いことが分かった。
これは、結晶粒界による磁区細分化効果を狙ったものであり、上述したような圧延方向と交差する方向に人工的な結晶粒界を設けた場合、溝を付したときのように磁束密度を低下させることなく磁区幅を低減させることが可能である。
また、このような線状の歪を付与した領域(以下、線状歪付与領域という)を形成した状態で、圧延方向に対して直角の方向(以下、圧延直角方向という)に温度勾配を付与しながら最終仕上げ焼鈍を行い、二次再結晶粒を線状歪付与領域に沿って圧延方向と交差する方向に成長させてやることが、低鉄損でありながら高磁束密度も維持するのに適していることを見出した。
ここで、二次再結晶粒を圧延方向と交差する方向に成長させることは、特許文献6に示された技術からも明らかなように、方向性電磁鋼板が磁化された場合の磁束密度の分布を均一にし、鉄損を改善する効果を有する。ただし、特許文献6に示された技術では、圧延方向にもある程度二次再結晶粒が成長するので、磁区細分化効果に乏しく、鉄損の低減化は未だ十分ではなかった。
また、従来から実施されてきた脱炭焼鈍板に線状の溝を導入する方法は、良好な二次再結晶粒の成長を阻害するため、線状歪付与領域を設けない場合に比べて、二次再結晶粒の方位が不揃いとなり磁束密度が低下する。従って、この方法もやはり、鉄損低減化の効果が十分とはいえなかった。
これらの問題に対しても、発明者らは、脱炭焼鈍板に線状歪付与領域を設けて圧延方向への二次再結晶粒の成長を停止させることにより、前述したように結晶粒界の磁区細分化効果により、鉄損を格段に低減させることが可能となることを知見した。さらに、この線状歪付与領域による圧延方向への二次再結晶粒の成長阻止は、必ずしも完全である必要はないことを併せて知見した。
また、最終仕上げ焼鈍を施す際に、圧延直角方向に温度勾配を付与しつつ行うことで、従来では、発生が避けられなかった磁束密度の低下を起こすことなく、圧延方向への二次再結晶粒の成長を阻止させることに成功した。
この理由については、未だ明らかとなってはいないが、最終仕上げ焼鈍中に圧延直角方向に温度勾配を付与することにより、二次再結晶の核として選択される粒の先鋭度が高まったことが原因の一つであると考えている。
すなわち、圧延方向への二次再結晶粒の成長を阻止しようとすると、結晶粒が小さくなるので、発生する結晶粒が多くなり、ゴス方位からずれた方位の粒の発生頻度も高くなる。そこで、圧延直角方向に温度勾配を付与すると二次再結晶の核として選択される粒のゴス方位への先鋭度が高まるので、ゴス方位からずれた方位の粒の発生が少なくなり、その結果として、磁束密度の低下を防止できたものと考えられる。
以上述べたように、発明者らは、脱炭焼鈍板に圧延方向と交差する向きに線状歪付与領域を設けるとともに、最終仕上げ焼鈍中、圧延直角方向に温度勾配を付与するという条件を組み合わせることで、磁束密度の低下なしに、鉄損を大幅に低減できることを究明したのである。
本発明は上記知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:2.0〜5.0%、Mn:0.03〜0.20%、sol.Al:0.010〜0.035%およびN:0.0015〜0.0130%を含有し、かつSおよびSeのうちから選んだ1種または2種で0.005〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、加熱後、熱間圧延し、その後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延によって最終板厚にしたのち、脱炭焼鈍し、ついで最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
該脱炭焼鈍後の鋼板に、圧延方向と交差する方向に線状の歪付与領域を形成し、さらに、圧延直角方向に温度勾配を付与して最終仕上げ焼鈍を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
2.前記最終仕上げ焼鈍において、圧延直角方向に付与する温度勾配が、単位長さ1cm当たり5℃以上とすることを特徴とする前記1に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
3.前記スラブが、さらに質量%で、Cr:0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、Sn:0.01〜0.10%、Sb:0.01〜0.10%、Bi:0.002〜0.1%およびB:0.0005〜0.01%のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする前記1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、磁束密度を低下させることなく、低鉄損の方向性電磁鋼板を得ることができるので、特に設計磁束密度の高い変圧器等に好適に使用することができる。
脱炭焼鈍板に対する線状の歪の付与状態(a)、最終仕上げ焼鈍中の温度勾配の付与状態(b)および最終仕上げ焼鈍後の結晶粒の状態(c)を表す模式図である。
以下、本発明に従う方向性電磁鋼板の製造方法と、鋼板成分等の限定理由について述べる。なお、鋼板成分における%表示は 特に断らない限り、質量%を表すものとする。
C:0.01〜0.10%以下
Cは、変態を利用して熱延組織を改善するのに有用な元素であるだけでなく、ゴス核の発生に有用な元素であり、スラブ中には少なくとも0.01%の含有を必要とする、一方0.10%を超えると脱炭焼鈍において脱炭不良を起こすので、スラブ中のCは0.01〜0.10%の範囲とする必要がある。
Si:2.0〜5.0%
Siは、電気抵抗を高めて鉄損を低下させると共に、鉄のα相を安定化させて高温の熱処理を可能とするために必要な元素であり、少なくとも 2.0%の含有を必要とする、一方 5.0%を超えると冷間圧延を施すことが困難となるので、Siは 2.0〜5.0%の範囲に限定した。
Mn:0.03〜0.20%
Mnは、鋼の熱間脆性の改善に有効に寄与するだけでなく、本発明のようにSやSeが混在している場合には、MnSやMnSe等の析出物を形成し、インヒビタとしての機能を発揮する。しかしながら、Mn量が0.03%より少ないと上記の効果が十分に発揮されず、一方0.20%を超えるとMnSe等の析出物の粒径が粗大化して、インヒビタとしての効果が失われるため、Mnは0.03〜0.20%の範囲に限定した。
SおよびSeのうちから選んだ1種または2種で0.005〜0.030%
SやSeは、MnやCuと結合してMnS、MnSe、Cu2-XS、Cu2-XSeを形成し、鋼中の分散第二相としてインヒビタの作用を発揮する有用成分である。これらS、Seの合計量が 0.005%に満たないとその添加効果が十分に発揮されず、一方0.030%を超えるとスラブ加熱時の固溶が不完全となるだけでなく、製品表面の欠陥の原因ともなるため、これらの単独添加または複合添加いずれの場合でも、添加量は0.005〜0.030%の範囲に限定した。
sol.Al:0.010〜0.035%
sol.Alは、鋼中でAlNを形成して分散第二相としてインヒビタの作用を発現する有用元素であるが、sol.Al量が 0.010%に満たないと、インヒビタとして作用を発現する十分な析出量が確保できず、一方 0.035%を超えて添加するとAlNが粗大に析出してインヒビタとしての作用が失われるため、sol.Alは0.010〜0.035%の範囲に限定した。
N:0.0015〜0.0130%
Nは、Alと同時に鋼中に添加することによってAlNを形成するために必要な元素である。N量が0.0015%を下回るとAlNの析出が不十分となりインヒビタ効果が十分に得られない。一方0.0130%を超えて添加するとスラブ加熱時にふくれ等を生じるため、Nは0.0015〜0.0130%の範囲に限定した。
以上、基本成分について説明したが、本発明では、その他にも、以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Cr:0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、Sn:0.01〜0.10%、Sb:0.01〜0.10%、Bi:0.002〜0.1%およびB:0.0005〜0.01%(5〜100ppm)のうち少なくとも1種
これらはいずれも、粒界偏析型のインヒビタ元素であるが、これらの補助的インヒビタ元素を添加することによって抑制力がさらに強化され、磁束密度の安定性を高めることができる。
ただし、いずれの元素についても、含有量が下限値を下回ると、抑制力補助効果に乏しく、一方上限値を超えて含有すると、飽和磁束密度の低下や磁気特性の劣化などを招くので、それぞれ上記の範囲で含有させることが好ましい。
本発明に従う方法の概要を図1に示す。
本発明では、同図(a)に示したように、脱炭焼鈍後の鋼板に、圧延方向と交差する向きに線状歪付与領域を形成する必要がある。というのは、この領域の形成により、圧延方向への二次再結晶粒の成長を停止させて、結晶粒界をこの領域に生じさせることで、粒界磁極による磁区細分化効果が発現し、鉄損の低減効果が得られるからである。
この磁区細分化効果が発現する現象は、最終仕上げ焼鈍の初期に、脱炭焼鈍板に導入された歪により、一次再結晶粒が粗大化する効果によるものと考えられる。
本発明における線状歪の付与方法は、けがく方法や、線状の突起を有するロールや金型で押圧する方法、レーザ光やプラズマ炎、電子ビーム、ショットブラスト等を線状に走査する方法など、鋼板に歪を導入できるものであれば、従来公知の技術がいずれも適用可能である。
前記した十分な磁区細分化効果を得るために、線状歪付与領域と圧延方向との交差する角度は圧延直角方向に対し30°以下の範囲とするのが好ましい。というのは、この範囲を外れると、磁区細分化効果が低下するからである。
また、歪領域の間隔は3〜30mmとするのがよい。というのは、3mm以上であれば、磁束密度の低下が少なく、一方、30mm以下とすると鉄損低減効果が高いからである。
さらに、歪領域の個々の幅は0.01〜1.5mmとするのがよい。というのは、0.01mm以上では鉄損低減効果が高く、一方、1.5mm以下であれば、磁束密度の低下が少ないからである。
本発明は、圧延方向と交差する線状歪付与領域を脱炭焼鈍板に付与すると同時に、図1(b)に示すように、圧延直角方向に温度勾配を付与することにより、線状歪による磁束密度の低下を防止することができる。
上記した温度勾配は、単位長さ1cm当たり5℃以上の温度勾配とすることが望ましい。なお、温度勾配の付与は、必ずしも圧延方向に対し直角でなくても良く、圧延方向から直角方向に見たときに、上記した温度の勾配となっていれば良い。
上記した温度勾配は、二次再結晶粒の発現時に鋼帯に与えることが特に好ましく、最終仕上げ焼鈍中の鋼帯コイルの最高温度の部分が、二次再結晶開始温度に達した時点で、上記した温度勾配が鋼帯コイルに付与されていれば、図1(c)に示すように、二次再結晶粒が圧延方向と交差する歪付与領域に沿って成長し、その結果、所望の効果を得ることができる。
なお、図1(c)に示したように、最終仕上げ焼鈍終了後には、前記歪付与領域に微小な結晶粒が残存する場合と、線状歪の両側から成長してきた二次再結晶粒どうしが接した粒界となる場合とがあるが、いずれの場合でもよい。
ただし、前者の場合、微小粒の体積が過剰に大きくなると磁束密度が低下するので、脱炭焼鈍板へ導入する歪の大きさと幅とを調整することにより、微小粒の体積を一定以下に制御することが望ましい。
また、線状処理での歪量が部分的に弱まった部分があると、二次再結晶粒がこの部分を超えて成長する場合があるが、磁区細分化効果を大きく弱めるものではないので、許容することができる。
本発明に従う方向性電磁鋼板の製造方法は、上記した工程以外は、従来公知の工程に従えば良い。例えば、本発明の成分組成になるスラブを、加熱後、熱間圧延を施し、必要に応じて、熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延によって最終板厚にする工程、および、純化焼鈍、平坦化焼鈍等を施す工程、絶縁コーティングを塗布し、焼付けを行う工程である。
<実施例1>
Si:3.3%、C:0.06%、Mn:0.08%、S:0.023%、sol.Al:0.03%、N:0.007%、Cu:0.2%およびSb:0.02%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、1430℃で30分加熱後、熱間圧延により2.2mmの板厚の熱延板とし、1000℃,1分間の焼鈍を施した後、冷間圧延により板厚:1.5mmとし、ついで1100℃,2分間の中間焼鈍を施し、冷間圧延により0.23mmの最終板厚とした。次に 840℃,2分間の脱炭焼鈍を行った後、圧延方向となす角度:80°、幅:0.02mm、間隔:2,5,50mmで突起付きロールによる線状の押圧処理を行った。
ついでMgO塗布後コイルに巻き取り、最終仕上げ焼鈍中、コイルの下部の温度が800℃から1100℃の間に板幅方向(圧延方向との角度90°)に0℃/cm、2℃/cm、5℃/cm、10℃/cmの温度勾配を与えながら昇温して2次再結晶を完了させてから、1200℃,5時間の純化焼鈍を行った。このようにして得られた製品からエプスタイン試験片を採取し、800℃,3時間の歪取り焼鈍の後、エプスタイン試験法(JIS C 2550)により磁気特性(鉄損W17/50および磁束密度B8)を測定した。
また、比較として鋼板表面に線状の溝(深さ20μm、圧延方向との角度80°)、間隔:1,3,10mmを設けた鋼板を製造した。
結果を表1に併記する。
Figure 2011063829
同表に示したように、本発明に従う鋼板は、低鉄損と高磁束密度を両立する耐熱型の方向性電磁鋼板であることが分かる。
これに対し、比較例の試料No.1,4および5は、磁束密度Bは高いものの、鉄損が大きく、比較例の試料No.2,3および9は、磁束密度Bが顕著に低下して鉄損が劣化し、比較例の試料No.13,14および15は、鉄損はある程度低いものの、磁束密度Bの低下が起こっていることが分かる。
<実施例2>
表2に示したスラブを、1430℃で30分加熱後、熱間圧延により2.2mmの板厚の熱延板とし、1000℃,1分間の焼鈍を施した後、冷間圧延により板厚:1.5mmとし、ついで1100℃,2分間の中間焼鈍を施し、冷間圧延により0.23mmの最終板厚とした。次に 840℃,2分間の脱炭焼鈍を行った後、圧延方向となす角度:80°、幅:7mm、間隔:10mmで突起付きロールによる線状の押圧処理を行った。
ついでMgO塗布後コイルに巻き取り、最終仕上げ焼鈍中、コイルの下部の温度が800℃から1100℃の間に板幅方向(圧延方向との角度90°)に10℃/cmの温度勾配を与えながら昇温し、2次再結晶を完了させてから、1200℃,5時間の純化焼鈍を行った。このようにして得られた製品からエプスタイン試験片を採取し、800℃,3時間の歪取り焼鈍の後、実施例1と同様に磁気特性を測定した。
結果を表2に併記する。
Figure 2011063829
同表に示したように、本発明に従えば、低鉄損と高磁束密度が両立した耐熱型の方向性電磁鋼板が得られることが分かる。
すなわち、実施例の試料No.16〜26は、高磁束密度かつ低鉄損であるのに対し、比較例の試料No.27〜30は、磁束密度が低く、鉄損が高いのが分かる。
本発明は、方向性電磁鋼板の磁区幅細分化効果を圧延後も効果的に残すことができる。その結果、高磁束密度を保ちながら鉄損の少ない鉄心を得ることができ、もって、エネルギー効率の高い変圧器やその他電気機器の作製が可能となる。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.10%、Si:2.0〜5.0%、Mn:0.03〜0.20%、sol.Al:0.010〜0.035%およびN:0.0015〜0.0130%を含有し、かつSおよびSeのうちから選んだ1種または2種で0.005〜0.030%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるスラブを、加熱後、熱間圧延し、その後、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を含む2回以上の冷間圧延によって最終板厚にしたのち、脱炭焼鈍し、ついで最終仕上げ焼鈍を施す一連の工程からなる方向性電磁鋼板の製造方法において、
    該脱炭焼鈍後の鋼板に、圧延方向と交差する方向に線状の歪付与領域を形成し、さらに、圧延直角方向に温度勾配を付与して最終仕上げ焼鈍を施すことを特徴とする方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記最終仕上げ焼鈍において、圧延直角方向に付与する温度勾配が、単位長さ1cm当たり5℃以上とすることを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記スラブが、さらに質量%で、Cr:0.05〜0.5%、Cu:0.05〜0.5%、Sn:0.01〜0.10%、Sb:0.01〜0.10%、Bi:0.002〜0.1%およびB:0.0005〜0.01%のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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