JP2011063138A - エアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】第1、第2バッグによる乗員拘束時の荷重に対する第1、第2バッグの接続強度が確保されるエアバッグ装置を得る。
【解決手段】助手席用エアバッグ装置10は、ガス供給を受けて膨張、展開されることで乗員Pの上体Uを拘束するメインバッグ26と、ガス供給を受けて膨張、展開されることで乗員Pの膝Kを拘束するサブバッグ28と、メインバッグ26とサブバッグ28とをこれらの接合部Jを跨いで乗員側で連結する応力緩和布44とを備えている。助手席用エアバッグ装置10では、メインバッグ26及びサブバッグ28によって乗員Pを拘束する際に、応力緩和布44に張力が作用するように構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、乗員の上体を拘束する第1バッグと膝を拘束する第2バッグとを備えたエアバッグ装置に関する。
乗員の上体を拘束するためのエアバッグに膝を拘束するためのエアバッグを連設したエアバッグ装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、乗員の上体を拘束するためのエアバッグと、膝を拘束するためのエアバッグとを、共通の蓄圧器からのガス供給によって同時に膨張展開させるエアバッグ装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。
実開平7−17662号公報 特開昭51−23917号公報
ところで、上体を拘束するためのエアバッグと膝を拘束するためのエアバッグとを一体的に構成した場合、乗員の頭部からの入力と膝からの入力とによって、上体を拘束するためのエアバッグと膝を拘束するためのエアバッグとを上下に引き離す方向の荷重が作用する。
本発明は、第1、第2バッグによる乗員拘束時の荷重に対する第1、第2バッグの接続強度が確保されるエアバッグ装置を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係るエアバッグ装置は、ガス供給を受けて膨張、展開されることで、車両乗員の上体を車両前後方向の前側から拘束する第1バッグと、前記第1バッグよりも小容量とされると共に該第1バッグに接合され、ガス供給を受けて膨張、展開されることで前記乗員の膝を車両前後方向の前側から拘束する第2バッグと、前記第1バッグ及び第2バッグと共に折り畳まれ、少なくとも前記第1バッグ及び第2バッグの双方で乗員を拘束する場合に張力が作用するように、前記第1バッグと第2バッグとの前記乗員側の接合部を跨いで該第1バッグと第2バッグとを連結するシート状部材と、を備えている。
請求項1記載のエアバッグ装置では、例えば車両の前面衝突の際にガスが供給されると、第1バッグが乗員の上体に対する車両前方で展開されると共に、第2バッグが乗員の膝に対する車両前方で展開される。これにより、展開された第1バッグは乗員の上体を拘束し、展開された第2バッグは乗員の膝を拘束することとなる。この際、第1バッグが乗員側の面(背面)における頭部との接触(拘束)部分で車両上方に引っ張られ、第2バッグが乗員側の面(背面)における膝との接触(拘束)部分で車両下方に引っ張られることで、第1、第2エアバッグには上下に引き離す方向の荷重が作用する。
ここで、本エアバッグ装置では、第1、第2エアバッグが共に乗員を拘束する際には、該第1、第2バッグの接合部を跨いでこれらを連結したシート状部材に張力が作用する。すなわち、第1、第2バッグを上下に引き離す方向の荷重の少なくとも一部がシート状部材によって分担支持され、第1、第2バッグによる乗員の拘束に伴い第1、第2バッグ該接合部に応力が集中することが抑制される。
このように、請求項1記載のエアバッグ装置では、第1、第2バッグによる乗員拘束時の荷重に対する第1、第2バッグの接続強度が確保される。
請求項2記載の発明に係るエアバッグ装置は、ガス供給を受けて膨張、展開されることで、車両乗員の上体を車両前後方向の前側から拘束する第1バッグと、前記第1バッグよりも小容量とされると共に前記第1バッグに接合され、ガス供給を受けて膨張、展開されることで前記乗員の膝を車両前後方向の前側から拘束する第2バッグと、前記第1バッグ及び第2バッグと共に折り畳まれ、前記第1バッグと第2バッグとの前記乗員側の接合部を跨いで該第1バッグと第2バッグとを連結し、かつ該第1バッグ及び第2バッグとの連結点間の長さが該連結点間を結ぶ前記第1バッグ及び第2バッグの基布の長さよりも短く設定されたシート状部材と、を備えている。
請求項2記載のエアバッグ装置では、例えば車両の前面衝突の際にガスが供給されると、第1バッグが乗員の上体に対する車両前方で展開されると共に、第2バッグが乗員の膝に対する車両前方で展開される。これにより、展開された第1バッグは乗員の上体を拘束し、展開された第2バッグは乗員の膝を拘束することとなる。この際、第1バッグが乗員側の面(背面)における頭部との接触(拘束)部分で車両上方に引っ張られ、第2バッグが乗員側の面(背面)における膝との接触(拘束)部分で車両下方に引っ張られることで、第1、第2エアバッグには上下に引き離す方向の荷重が作用する。
ここで、本エアバッグ装置では、第1、第2バッグの接合部から第1、第2バッグとシート状部材との各連結点までの基布の長さの和が、シート状部材の第1、第2エアバッグとの連結点間の基布の長さ(第1、第2エアバッグの接合部を通る長さ)よりも長いので、第1、第2エアバッグが共に乗員を拘束する際には、該第1、第2バッグを引き離す方向の荷重は、主にシート状部材に作用する張力として支持される。すなわち、第1、第2バッグを上下に引き離す方向の荷重がシート状部材によって分担支持され、第1、第2バッグによる乗員の拘束に伴い第1、第2バッグ該接合部に応力が集中することが抑制される。
このように、請求項2記載のエアバッグ装置では、第1、第2バッグによる乗員拘束時の荷重に対する第1、第2バッグの接続強度が確保される。
請求項3記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1又は請求項2記載のエアバッグ装置において、前記シート状部材は、前記乗員の膝が接触するように構成されている。
請求項3記載のエアバッグ装置では、第2バッグは、シート状部材を介して乗員の膝を拘束する。このため、膝を拘束するのに伴い第1、第2バッグを近づける方向の荷重が作用し、該第1バッグと第2バッグとの接合部に作用する応力が一層緩和される。
請求項4記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載のエアバッグ装置において、前記シート状部材は、前記第1バッグ、第2バッグを構成する基布とは別の基布にて構成され、車両上端側が前記第1バッグの前記乗員側を構成する基布に縫製されると共に車両下端側が前記第2バッグの前記乗員側を構成する基布に縫製されている。
請求項4記載のエアバッグ装置では、第1、第2バッグの基布とは別の基布が、縫製によって第1、第2バッグのそれぞれに接合(縫合)される簡単な構造で、シート状部材が構成されている。
請求項5記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載のエアバッグ装置において、前記シート状部材は、前記第1バッグ及び第2バッグを構成する基布の少なくとも一方から延設された延設部が、他方の基布に縫製されて構成されている。
請求項5記載のエアバッグ装置では、第1、第2バッグの一方に設けられた延設部が他方のバッグの基布に縫製により接合(縫合)される簡単な構造で、シート状部材が構成されている。
請求項6記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載のエアバッグ装置において、前記シート状部材は、前記第1バッグに設けられた上部と、前記第2バッグに設けられた下部とが接合されて構成されている。
請求項6記載のエアバッグ装置では、シート状部材が上下2分割構造とされている。このため、第1、第2バッグが接続されて成るエアバッグは、最終工程でシート状部材の上部と下部とを接合して容易に製造することができる。
請求項7記載の発明に係るエアバッグ装置は、請求項6記載のエアバッグ装置において、前記シート状部材は、前記上部が前記第1バッグの基布とは別体とされると共に該第1バッグに縫製にて接合されると共に、前記下部が前記第2バッグの基布とは別体とされると共に該第2バッグに縫製にて接合され、かつ、前記上部と下部とが縫製により接合されて構成されている。
請求項7記載のエアバッグ装置では、上下2分割構造のシート状部材がそれぞれ第1、第2バッグの基布とは別部材とされているので、エアバッグの製造が一層容易となる。
以上説明したように本発明に係るエアバッグ装置は、第1、第2バッグによる乗員拘束時の荷重に対する第1、第2バッグの接続強度が確保されるという優れた効果を有する。
本発明の第1の実施形態に係るエアバッグ装置におけるエアバッグの展開状態を示す側断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るエアバッグ装置を構成するエアバッグを拡大して示す側断面図である。 本発明の第1の実施形態に係るエアバッグ装置におけるエアバッグの展開状態を示す背面断面図である。 本発明の第2の実施形態に係るエアバッグ装置を構成するエアバッグを拡大して示す側断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るエアバッグ装置を構成するエアバッグを拡大して示す側断面図である。
本発明の第1の実施形態に係るエアバッグ装置としての助手席用エアバッグ装置10について、図1〜図3に基づいて説明する。なお、各図に適宜記す矢印FR、矢印UP、矢印Wは、それぞれ助手席用エアバッグ装置10が適用された自動車V、助手席12の車両前方向(進行方向)、上方向、車幅方向を示している。また、以下の説明でエアバッグ20(その構成部分)の形状等を説明する場合、特に断りのない場合は膨張展開状態における形状等をいうものとする。
図1には、助手席用エアバッグ装置10の作動状態における自動車Vの車室C内の前部が模式的な側断面図にて示されている。この図に示される如く、車室C内前部には、車両用シートとしての助手席12が配置されている。助手席12は、乗員Pが車両前向きに着座するためのシートクッション12Aと、シートクッション12Aの着座乗員Pを車両後方から支持するシートバック12Bとを有する。
助手席12に対する車両前方には、車室Cの車両前端を規定するウインドシールドガラス14が配置されている。また、ウインドシールドガラス14に対する車両下方には、インストルメントパネル16が設けられている。インストルメントパネル16は助手席12側に突出しており、助手席12の着座乗員Pはインストルメントパネル16の下方に足を入れるようになっている。したがって、助手席12の着座乗員Pが、その膝Kをインストルメントパネル16に近接させる構成とされている。
助手席用エアバッグ装置10は、インストルメントパネル16内に配置されたエアバッグモジュール18を備えている。エアバッグモジュール18は、後述するエアバッグ20と、エアバッグ20にガスを供給するためのインフレータ22と、エアバッグ20及びインフレータ22を保持(一部収容)したエアバッグケース24とを主要部として構成されている。エアバッグモジュール18は、エアバッグケース24においてインストルメントパネル16に設けられた取付部16Aに保持されている。
この実施形態では、図1に示される如くエアバッグ20が着座乗員Pの頭部Hを含む上体Uの保護用の第1バッグとしてのメインバッグ26と、膝Kの保護用の第2バッグとしてのサブバッグ28とを有する。このため、助手席用エアバッグ装置10では、エアバッグモジュール18は、インストルメントパネル16の上部における車両最後部近傍に、車両後向きでかつ上向きに設けられている。具体的には、助手席用エアバッグ装置10では、エアバッグモジュール18のエアバッグケース24が車両後方でかつ車両上方に向けて開口する姿勢で、インストルメントパネル16の取付部16Aに保持されている。
このエアバッグケース24は、図1に二点鎖線にて示される如く折り畳み状態のエアバッグ20を保持(一部収容)している。エアバッグ20は、図示しない保持シート等に包まれることで、折り畳み状態が維持されている。インフレータ22は、ガス噴出口22Aを含む一部がエアバッグ20内に挿入された状態で、エアバッグケース24に固定的に保持されている。この実施形態では、インフレータ22は、所謂ディスクタイプのインフレータとされ、上記の通りメインバッグ26とサブバッグ28とを有するエアバッグ20に対し十分なガス容量が確保されている。
エアバッグ20のメインバッグ26は、ウインドシールドガラス14及びインストルメントパネル16と着座乗員Pの上体Uとの間で膨張展開され、該上体Uの車両前方への相対移動を拘束するようになっている。この実施形態では、メインバッグ26には、内圧調整用のベントホール25が形成されている。サブバッグ28は、インストルメントパネル16と膝Kとの間で膨張展開され、該膝Kの車両前方への相対移動を拘束するようになっている。これらエアバッグ20のメインバッグ26とサブバッグ28とは、図2及び図3に示される如く、一体的に構成されている。
具体的には、メインバッグ26は、エアバッグ20における車両上下方向の上部及び中間部を構成する第1基布30により袋状に膨張展開するように形成されている。この実施形態では、メインバッグ26は、図3に示される如く車幅方向に隣接された左右のバッグを連結した如き所謂ツインチャンバ構造のエアバッグとされている。このメインバッグ26は、左右のバッグ(チャンバ)の車両後端がそれぞれ着座乗員Pの左右別の肩部(又はその近傍)を拘束するように形成されている。
サブバッグ28は、第2基布32にて車両上向きに開口する袋状に形成されており、該開口縁がメインバッグ26の車両下側開口縁に対し縫製等により接合されている(図1〜図3に示される接合部J参照)。これにより、エアバッグ20は、全体として大きな袋状を成している。第2基布32は、表面にシリコンコート等の織り目シール加工が施されている点で第1基布30とは異なり、その織り目を経由したサブバッグ28内からのガス漏れが防止(第1基布30に対し抑制)されるようになっている。サブバッグ28の内圧保持用のシリコンコートは、ガス漏れ防止の観点からはサブバッグ28の内面に施すことが好ましい。
上記の通り全体として大きな袋状に展開されるエアバッグ20は、内部をメインバッグ26のチャンバとサブバッグ28のチャンバとに区画(分離)するための布状材としてのテザー34を有する。テザー34は、布状を成しており、図1及び図2に示される如くサブバッグ28の車両前後方向の膨張を規制するようになっている。この実施形態では、テザー34は、図3に示される如く第1基布30と第2基布32との縫製による接合部Jに縫製等により接合されている。また、サブバッグ28内における展開状態で車両上下方向の略中間部となる部分にも、サブバッグ28の車両前後方向の膨張(厚み)を規制するためのテザーやストラップを設けても良い。
そして、助手席用エアバッグ装置10を構成するエアバッグ20は、インフレータ22のガスをメインバッグ26、サブバッグ28に導く可撓性のガス流路部材としてのインナチューブ35を備えている。インナチューブ35は、第1基布30と同様の織物である第2基布36にて、メインバッグ26、サブバッグ28とは独立して、図1に示される如く車両前方でかつ車両下方に向けて開口される略「U」字状に膨張展開される袋体として構成されている。具体的には、インナチューブ35は、上記の通り車両後方でかつ車両上方に向けて開口するエアバッグケース24から該開口方向に延びる上部38と、該上部38から車両前方でかつ車両下方側に折り返されるように展開される下部40とを主要部として構成されている。
このインナチューブ35の下部40は、テザー34を貫通しており、その先端にはサブバッグ28にガスを供給するためのガス供給口40Aが形成されている。一方、インナチューブ35の上部38における下部40の折り返し部の近傍、すなわちテザー34に対するメインバッグ26側には、該メインバッグ26にガスを供給するためのガス供給口38Aが形成されている。この実施形態では、図3に示される如く、ガス供給口38Aは、インナチューブ35の上部38における車幅方向両側に、それぞれ第2基布36を貫通した貫通孔として形成されている。これにより、助手席用エアバッグ装置10では、インナチューブ35の上部38から車幅方向の両側に向けてメインバッグ26内にガスが供給される構成とされている。
また、助手席用エアバッグ装置10では、インナチューブ35の下部40におけるガス供給口40Aの周りには、ガス排出抑制手段としての逆止弁(一方向弁)42が形成されている。逆止弁42は、サブバッグ28内からガス供給口38Aを覆う布片42Aを有し、上部38からのガス供給口38Aを通じたサブバッグ28へのガス供給を許容するようになっている。一方、逆止弁42は、サブバッグ28の内圧(動圧)が上部38の内圧よりも高くなると、該内圧によって布片42Aがガス供給口38Aを閉止する構成とされている。なお、逆止弁42の構成を理解し易くするために、図2では逆止弁42の非作動状態であるガス供給口40Aの閉止状態、図3では逆止弁42によるガス供給口40Aの開放状態を図示している。
そして、助手席用エアバッグ装置10は、エアバッグ20の乗員(背面)側において、第1基布30と第2基布32との縫製による接合部Jを跨いで第1基布30と第2基布32とを連結する、シート状部材としての応力緩和布44を備えている。
応力緩和布44は、縫製部S1においてメインバッグ26に接合されており、縫製部S2においてサブバッグ28に接合されている。この応力緩和布44における縫製部S1から縫製部S2までの長さLは、第1基布30と第2基布32との接合部Jから縫製部S1までの第1基布30の長さL1と、接合部Jから縫製部S2までの第2基布32の長さL2との和よりも短く設定されている。これにより、応力緩和布44は、後述する如くメインバッグ26とサブバッグ28とを上下に引き離す方向の荷重が作用した場合に、該荷重(の一部)を張力として支持するようになっている。
この実施形態では、図3に想像線にて示される如く、応力緩和布44の車幅方向に沿った幅は、サブバッグ28の車幅方向に沿った幅と同等とされている。また、この応力緩和布44とサブバッグ28との縫製部S2は、サブバッグ28における膝Kの拘束部位にラップするか、又は該拘束部位に対する車両下方に位置している。これにより、この実施形態における応力緩和布44は、サブバッグ28が乗員Pの両膝Kを拘束する際に、該サブバッグ28と両膝Kとの間に介在するようになっている。
また、図1に示される如く、インストルメントパネル16におけるエアバッグモジュール18を取り付けた部分には、エアバッグ20の膨張展開圧によって破断され開口するエアバッグドア46が形成されている。この実施形態に係るエアバッグドア46は、インストルメントパネル16がその内面側に形成した溝状のティアラインにおいて開裂されることでヒンジ部を中心に上下に展開され、インストルメントパネル16に開口を形成するようになっている。この開口を通じて、エアバッグ20のインストルメントパネル16外すなわち車室Cへの膨張展開が許容される構成である。
以上説明した助手席用エアバッグ装置10では、例えば図示しない衝突センサの出力に基づいて自動車Vの前面衝突を検出又は前面衝突が不可避であることを予測した場合、図示しない制御装置としてのエアバッグECUがインフレータ22を作動させるようになっている。
次に、本実施形態の作用を説明する。
上記構成の助手席用エアバッグ装置10では、衝突センサからの信号に基づいて自動車Vの前面衝突が検出又は予測されると、エアバッグECUは、インフレータ22を作動(着火)させる。すると、インフレータ22からガス供給を受けたエアバッグ20は、インストルメントパネル16内で膨張され、その展開圧でエアバッグドア46を展開させて形成された開口を通じて車室Cで膨張展開される。
この際、インフレータ22のガスが供給されたインナチューブ35が先ず膨張展開される。インフレータ22からのガスは、インナチューブ35の上部38に形成されたガス供給口38Aを通じてメインバッグ26に供給されると共に、下部40に形成されたガス供給口40Aを通じてサブバッグ28に供給される。
すると、サブバッグ28は、ガス供給口40Aを通じたガス供給によって、インストルメントパネル16と乗員Pの両膝Kとの間で膨張展開される。一方、相対的に容量の大きいメインバッグ26は、サブバッグ28の展開完了後に乗員Pの上体Uに対する車両前方で展開が完了される。
このように、助手席用エアバッグ装置10では、メインバッグ26及びサブバッグ28を備えたエアバッグ20にインナチューブ35が設けられているため、助手席用エアバッグ装置10では、インフレータ22からのガスがメインバッグ26及びサブバッグ28のそれぞれに直接的に(独立して)供給される。これにより、助手席用エアバッグ装置10では、相対的に小容量であるサブバッグ28がインフレータ22の作動から短時間で膨張展開される。したがって、助手席用エアバッグ装置10では、車両前後方向のスペース(ストローク)が小さい着座乗員Pの膝Kに対する車両前方に、前面衝突の検知から短時間でサブバッグ28を膨張展開させることができる。
このサブバッグ28によって、膝Kが拘束され、インストルメントパネル16側から膝Kに作用する荷重が軽減される。すなわち、着座乗員Pの膝Kが保護される。特に、助手席用エアバッグ装置10では、インナチューブ35の下部40におけるガス供給口40A側に逆止弁42が設けられているため、膝Kの拘束に伴ってサブバッグ28の内圧が上昇すると逆止弁42がガス供給口40Aを閉止する。このため、膝Kの拘束に伴うサブバッグ28の内圧低下(ガス排出)が抑制され、着座乗員Pの膝Kが一層良好に保護される。
一方、乗員Pの頭部H及び上体Uは、膨張展開されたメインバッグ26によって拘束され、衝撃吸収が果たされる。これらにより、乗員Pは助手席用エアバッグ装置10によって良好に保護される。特に、助手席用エアバッグ装置10では、左右のガス供給口38Aを通じてメインバッグ26内で車幅方向両側に向けてガスが供給される。このため、車両後向きにガスが供給される構成と比較して、メインバッグ26の車両後方への展開力(展開速度)が抑制され、着座乗員Pの頭部H及び上体Uを拘束する際に荷重が軽減される。
ところで、乗員Pの頭部Hを拘束しているメインバッグ26における頭部Hが接触される部分26Hには、第1基布30を車両前向きかつ上向きに引っ張る荷重が作用する。一方、乗員Pの膝Kを拘束しているサブバッグ28における膝Kが接触される部分には、第2基布32を車両前向きかつ下向きに引っ張る荷重が作用する。すなわち、乗員Pの頭部H、膝Kの拘束過程のエアバッグ20には、メインバッグ26とサブバッグ28とを上下に引き離そうとする荷重が作用する。
このため、応力緩和布44を備えない比較例に係る助手席用エアバッグ装置(図示省略)では、メインバッグ26を構成する第1基布30とサブバッグ28を構成する第2基布32との接合部Jに応力が集中する。この対策として、例えば接合部の縫製を多重化するなどの接合部Jの補強が考えられるが、この補強によってもメインバッグ26とサブバッグ28とを引き離す方向の荷重が作用した場合には、接合部Jに応力が集中することとなる。
ここで、第1の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10では、接合部Jを跨いでメインバッグ26とサブバッグ28とを乗員側で連結する応力緩和布44を備えているため、メインバッグ26とサブバッグ28とを引き離そうとする荷重(の少なくとも一部)が応力緩和布44の張力として支持される。そして、接合部Jから縫製部S1、S2までの基布30、32の長さの和(L1+L2)が応力緩和布44の縫製部S1、S2間の長さよりも長いので、メインバッグ26とサブバッグ28とを引き離す方向の荷重が接合部Jには作用しにくい(メインバッグ26とサブバッグ28とを引き離そうとする荷重の大部分が応力緩和布44に張力として支持される)。このため、助手席用エアバッグ装置10では、メインバッグ26を構成する第1基布30とサブバッグ28を構成する第2基布32との接合部Jに作用する応力が、該接合部Jの補強構造に頼ることなく緩和される。
特に、助手席用エアバッグ装置10では、サブバッグ28によって膝Kを拘束する際に応力緩和布44がサブバッグ28と膝Kとの間に介在されるので、換言すれば、膝Kからの荷重が応力緩和布44に直接的に入力される。このため、応力緩和布44の撓みに伴って、該応力緩和布44のメインバッグ26との縫製部S1と、サブバッグ28との縫製部S2とが互いに近づけられ、膝Kからの荷重がサブバッグ28における縫製部S2の下方に入力される構成と比較して、接合部Jに作用する荷重が緩和される。
このように、第1の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10では、接合部Jの補強構造に頼ることなく、エアバッグ20による乗員拘束時の荷重に対するメインバッグ26とサブバッグ28との縫製強度が確保される。
また、助手席用エアバッグ装置10では、メインバッグ26を構成する基布30、サブバッグ28を構成する基布32とは別体である基布を接合する簡単な構造で、応力緩和布44を構成することができる。
次いで、本発明の他の実施形態について説明する。なお、上記第1の実施形態又は前出の構成と基本的に同一の部品・部分については、上記第1の実施形態又は前出の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
(第2の実施形態)
図4には、本発明の第2の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置50の要部が、図2に対応する側断面図にて示されている。この図に示される如く、助手席用エアバッグ装置50を構成するエアバッグ52は、第1基布30、第2基布32とは別体の応力緩和布44に代えて、第2基布32に一体に形成された応力緩和布54を備える点で、第1の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10とは異なる。
具体的には、サブバッグ28の少なくとも乗員側(背面側)を構成する基布32は、接合部Jにおいて第1基布30と接合された上側基布32Aと、該上側基布32Aとでサブバッグ28の背面を成す下側基布32Bとを含んで構成されている。下側基布32Bにおける上側基布32Aとの縫製部S3からは、応力緩和布54が一体に延設(形成)されている。この応力緩和布54は、その自由端側が縫製部S1においてメインバッグ26に接合されている。
応力緩和布54における縫製部S1から縫製部S3までの長さLは、基布30と上側基布32Aとの接合部Jから縫製部S1までの第1基布30の長さL1と、接合部Jから縫製部S3までの上側基布32Aの長さL3との和よりも短く設定されている。これにより、応力緩和布54は、メインバッグ26とサブバッグ28とを上下に引き離す方向の荷重が作用した場合に、該荷重(の一部)を張力として支持するようになっている。助手席用エアバッグ装置50における他の構成は、図示しない部分を含め、助手席用エアバッグ装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第2の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置50によっても、基本的に第1の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
また、助手席用エアバッグ装置50では、サブバッグ28を構成する基布32から延設された延設部を第1基布30に接合する簡単な構造で、応力緩和布54を構成することができる。
(第3の実施形態)
図5には、本発明の第3の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置60の要部が、図2に対応する側断面図にて示されている。この図に示される如く、助手席用エアバッグ装置60を構成するエアバッグ62は、単一の基布よりなる応力緩和布44に代えて、張力方向に分割された分割構造の応力緩和布64を備える点で、第1の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10とは異なる。
具体的には、応力緩和布64は、縫製部S1においてメインバッグ26に接合された上側基布64Aの下端と、縫製部S2においてサブバッグ28に接合された下側基布64B上端とが、縫製部S4において接合されることで構成されている。
応力緩和布64の長さLは、応力緩和布44の長さLは、第1基布30と第2基布32との接合部Jから縫製部S1までの第1基布30の長さL1と、接合部Jから縫製部S2までの第2基布32の長さL2との和よりも短く、すなわちL<(L1+L2)に設定されている。これにより、応力緩和布64は、メインバッグ26とサブバッグ28とを上下に引き離す方向の荷重が作用した場合に、該荷重(の一部)を張力として支持するようになっている。助手席用エアバッグ装置60における他の構成は、図示しない部分を含め、助手席用エアバッグ装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第3の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置60によっても、基本的に第1の実施形態に係る助手席用エアバッグ装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。
また、助手席用エアバッグ装置60では、メインバッグ26に接合された上側基布64Aと、サブバッグ28に接合された下側基布64Bとを接合することで応力緩和布64が構成される。このため、エアバッグ62の製造の最終工程で(メインバッグ26とサブバッグ28とが接合部Jにおいて接合された後に)上側基布64Aと下側基布64Bとを互いの自由端で接合すれば良く、該エアバッグ62の製造が容易である。
なお、第3の実施形態では、上側基布64A、下側基布64Bがメインバッグ26、サブバッグ28とは別体である例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、上側基布64A、下側基布64Bの少なくとも一方が、例えば応力緩和布54の如く第1基布30、第2基布32から延設されたものであっても良い。
また、上記した実施形態では、応力緩和布44、54、64が膝Kの拘束時に該Kとサブバッグ28との間に介在される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、応力緩和布44、54、64が左右の膝間に配置された構成としても良く、サブバッグ28における膝Kの拘束部位よりも上側に配置された縫製部S2において該サブバッグ28に接合された構成としても良い。
さらに、上記した実施形態では、メインバッグ26及びサブバッグ28は、それぞれインナチューブ35を通じて直接的にインフレータ22からのガスが供給される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、エアバッグケース24内に設けたガス分配構造(ディフューザ等によって)メインバッグ26とサブバッグ28とのガス分配する構成としても良い。
またさらに、上記した実施形態では、サブバッグ28の内圧保持(ガス排出抑制)手段として逆止弁42を備えた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、内圧保持手段として、メインバッグ26やサブバッグ28の膨張展開に伴ってインナチューブ35の下部40を閉じてしまう絞り紐等を採用しても良い。
また、上記した実施形態では、それぞれインフレータ22から逃すが直接的に供給されるサブバッグ28とメインバッグ26との容量差によってサブバッグ28がメインバッグ26に先行して展開される例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、所定値以上のガス圧によって破断されるティアシーム等にてガス供給口38Aを閉止しておき、インナチューブ35の内圧上昇後(サブバッグ28の展開過程又は展開完了後)にメインバッグ26の展開が開始される展開遅延構造を設けても良い。
さらに、上記した実施形態では、メインバッグ26が左右のバッグを連結した如き所謂ツインチャンバ構造のエアバッグである例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、メインバッグ26が単一のチャンバを有する所謂シングルチャンバ構造のエアバッグである構成としても良い。
またさらに、上記した各実施形態では、本発明に係るエアバッグ装置が助手席用エアバッグ装置10に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、本発明に係るエアバッグ装置は、車幅方向に3人の乗員が着座し得るシートのうち車幅方向中央のシート等に適用することができる。また、このような中央座席が本発明においては助手席に含まれると捉えることも可能である。
10 助手席用エアバッグ装置
26 メインバッグ(第1バッグ)
28 サブバッグ(第2バッグ)
44 応力緩和布(シート状部材)
50・60 助手席用エアバッグ装置
54・64 応力緩和布(シート状部材)
J 接合部

Claims (7)

  1. ガス供給を受けて膨張、展開されることで、車両乗員の上体を車両前後方向の前側から拘束する第1バッグと、
    前記第1バッグよりも小容量とされると共に該第1バッグに接合され、ガス供給を受けて膨張、展開されることで前記乗員の膝を車両前後方向の前側から拘束する第2バッグと、
    前記第1バッグ及び第2バッグと共に折り畳まれ、前記第1バッグ及び第2バッグの双方で乗員を拘束する場合に張力が作用するように、前記第1バッグと第2バッグとの前記乗員側の接合部を跨いで該第1バッグと第2バッグとを連結するシート状部材と、
    を備えたエアバッグ装置。
  2. ガス供給を受けて膨張、展開されることで、車両乗員の上体を車両前後方向の前側から拘束する第1バッグと、
    前記第1バッグよりも小容量とされると共に前記第1バッグに接合され、ガス供給を受けて膨張、展開されることで前記乗員の膝を車両前後方向の前側から拘束する第2バッグと、
    前記第1バッグ及び第2バッグと共に折り畳まれ、前記第1バッグと第2バッグとの前記乗員側の接合部を跨いで該第1バッグと第2バッグとを連結し、かつ該第1バッグ及び第2バッグとの連結点間の長さが該連結点間を結ぶ前記第1バッグ及び第2バッグの基布の長さよりも短く設定されたシート状部材と、
    を備えたエアバッグ装置。
  3. 前記シート状部材は、前記乗員の膝が接触するように構成されている請求項1又は請求項2記載のエアバッグ装置。
  4. 前記シート状部材は、前記第1バッグ、第2バッグを構成する基布とは別の基布にて構成され、車両上端側が前記第1バッグの前記乗員側を構成する基布に縫製されると共に車両下端側が前記第2バッグの前記乗員側を構成する基布に縫製されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載のエアバッグ装置。
  5. 前記シート状部材は、前記第1バッグ及び第2バッグを構成する基布の少なくとも一方から延設された延設部が、他方の基布に縫製されて構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載のエアバッグ装置。
  6. 前記シート状部材は、前記第1バッグに設けられた上部と、前記第2バッグに設けられた下部とが接合されて構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載のエアバッグ装置。
  7. 前記シート状部材は、前記上部が前記第1バッグの基布とは別体とされると共に該第1バッグに縫製にて接合されると共に、前記下部が前記第2バッグの基布とは別体とされると共に該第2バッグに縫製にて接合され、かつ、前記上部と下部とが縫製により接合されて構成されている請求項6記載のエアバッグ装置。
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