JP2011062870A - 液滴吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】いわゆる「引き打ち」方式を採用した液滴吐出装置において、ノズル内部への撥液領域の入り込み量と駆動電圧を最適化することにより駆動効率が良い小液滴吐出を可能とする液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】1つのノズルから吐出される液滴のうち、大液滴が吐出する駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV1(V)、小液滴が吐出する駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV2(V)、としたとき、前記ノズルの内面には、前記吐出口側の一端から所定の深さで撥液面が形成されていて、|V1|>|V2|の関係にあり、前記駆動電圧パルスの駆動電圧V(V)が、小液滴のみの吐出が可能となるように下記の関係式を満足する範囲内に設定されていることを特徴とする液滴吐出装置。
|V2|≦|V|<|V1|
【選択図】図5

Description

本発明は、液滴吐出装置に関する。
インクジェット記録装置などの液滴吐出装置に用いられる液滴吐出ヘッドとしては、ノズルに連通する圧力室の容積を変化させることにより液滴の吐出を行う形式のものが知られている。
インクジェット記録装置などの液滴吐出装置では、高品位の記録を実現するには吐出一回当たりの液滴量を少なくする必要がある。
吐出一回当たりの液滴量は、ノズルのサイズに大きく影響されるのは、言うまでもない。従って、液滴の微小化は、ノズルの微細化によって図ることができる。しかしながら、ノズルの微細化には加工精度の限界があり、十分な精度を保っての液滴の微小化には、制限がある。また、ノズル径を微細化するとノズル詰まりが起こりやすくなるので好ましくない。
そこで、液滴量を少なくする方法として、従来から、ノズルに連通する圧力室を膨張させてから収縮させるという、いわゆる「引き打ち」方式が採用されている。この方式によれば、液滴量を少なくすることが可能である。
特許文献1では、収縮パルスによりインクメニスカスを一度押し出した後、「引き打ち」方式によりノズル内の奥深くに引き込んでから吐出することにより、ノズル径より小さい液滴を吐出する方法が開示されている。
一方、インクジェット記録装置などの液滴吐出装置では、ノズル回りの状態、つまり、ノズルの周囲のインク等の液体の濡れによって、液滴が飛翔方向にズレを生じるといった問題を抱えている。
このような問題に対して特許文献2に開示されたノズルプレートは、スパッタリングによってノズルの内面とノズルプレートの表面にフッ素樹脂等の撥インク性被膜を均一に形成して、ノズル回りのインクの濡れを抑えるようにしたものである。
特開2002−127418号公報 特開昭57−107848号公報
しかしながら、インクジェット記録装置などの液滴吐出装置では、記録品位のより一層の向上が望まれており、このような要求に対応するには、液滴量をさらに少なくする必要があるが、このような要求には、特許文献1のような従来の「引き打ち」方式を採用するだけでは対応することが難しい。
また、特許文献1では、ノズルのメニスカス形成位置がノズル先端にあり、この状態からノズル内の奥深くに引き込んで吐出させるため、駆動効率が低下するという問題がある。
そこで、本発明の課題は、いわゆる「引き打ち」方式を採用した液滴吐出装置において、ノズル内部への撥液領域の入り込み量と駆動電圧を最適化することにより駆動効率が良い小液滴吐出を可能とする液滴吐出装置を提供することにある。
なお、特許文献2には、撥インク性被膜をノズルプレートの表面からノズルの内部に入り込ませて形成することが開示されてはいるが、駆動効率が良い小液滴吐出を可能とするのに必要な構成、つまりノズル内部への撥液領域の入り込み量については何ら開示されていない。
前記目的は下記の発明により達成される。
1.液滴を吐出する吐出口を有するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を発生させる圧力発生手段とを有する液滴吐出ヘッドを備え、
前記吐出口から液滴を吐出させるために前記圧力発生手段に印加する駆動電圧パルスが、前記圧力室の容積を増大させる膨張エッジと、該膨張エッジの後に前記圧力室の容積を収縮させて液滴を吐出させる収縮エッジとを含み、
1つのノズルから吐出される液滴のうち、大液滴が吐出する前記駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV1(V)、小液滴が吐出する前記駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV2(V)、としたとき、
前記ノズルの内面には、前記吐出口側の一端から所定の深さで撥液面が形成されていて、|V1|>|V2|の関係にあり、
前記駆動電圧パルスの駆動電圧V(V)が、前記小液滴のみの吐出が可能となるように下記の関係式を満足する範囲内に設定されていることを特徴とする液滴吐出装置。
|V2|≦|V|<|V1|
2.前記ノズルは、入口の径と出口である前記吐出口の径とが実質的に等しいストレート部を有し、該ストレート部の内面の一部に前記撥液面が形成されていることを特徴とする1に記載の液滴吐出装置。
3.前記小液滴の液滴径は、前記吐出口の径の1/2以下であることを特徴とする1または2に記載の液滴吐出装置。
4.前記ノズルの内面のうち、前記撥液面が形成された以外の面が親液面であることを特徴とする1から3の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
5.前記ノズルのメニスカス形成位置が撥液面と親液面の境界にあることを特徴とする4に記載の液滴吐出装置。
本発明によれば駆動効率が良い小液滴吐出を可能とする液滴吐出装置を提供することができる。
本実施形態に係る液滴吐出装置の一例の全体構成を示す断面模式図である。 ノズルとノズルプレートの一例を示す断面斜視図である。 液滴吐出ヘッドの一例を構成要素毎に分解して模式的に示す図である。 液滴吐出ヘッドの駆動電圧パルスの一例を示す図である。 駆動電圧パルスの印加により本実施形態の液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される一連の様子を示す模式図である。 駆動電圧パルスの印加により比較例の液滴吐出ヘッドから液滴が吐出される一連の様子を示す模式図である。
以下、本発明に係る液滴吐出装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液滴吐出装置1の全体構成を示す断面模式図である。なお、本発明の液滴吐出ヘッド2は、いわゆるシリアル方式或いはライン方式等の各種の液滴吐出装置に適用可能である。
本実施形態の液滴吐出装置1は、インク等の液体Lの液滴R1を吐出する後述するノズル5が形成された液滴吐出ヘッド2と、液滴吐出ヘッド2のノズル5に対向する対向面を有するとともにその対向面で液滴R1の着弾を受ける基材Kを支持するプラテン3とを備えている。
液体吐出ヘッド2のプラテン3に対向する側には、複数のノズル5が形成されたノズルプレート4が備えられている。
各ノズル5は、ノズルプレート4を穿孔することにより形成されており、一端が後述する圧力室20と連通し圧力室20から液体Lを供給される液体供給口となり、他端が吐出面6に開口された吐出口11となり、吐出口11からプラテン3に対して液滴R1を吐出するようになっている。
ノズルプレート4の吐出面6(表面)と反対側の面(裏面)には、ボディプレート19が設けられている。ボディプレート19の各ノズル5の液体供給口に面する部分には、それぞれ液体供給口によりも大きい面積を有する略矩形状の空間が形成されており、各空間は、吐出される液体Lを一時貯蔵するための圧力室20とされている。
なお、ボディプレート19には、圧力室20に液体Lを供給するための図示しない流路が形成されている。具体的には、ボディプレート19としてのシリコンプレートをエッチング加工して共通液室および共通液室と圧力室20とを結ぶ液体供給流路とが設けられており、共通液室には、外部の図示しない液体タンクから液体Lを供給する図示しない供給管が連絡されており、供給管に設けられた図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により流路や圧力室20、ノズル5等の液体Lに所定の供給圧力が付与されるようになっている。
ボディプレート19の背後の薄肉部の各圧力室20に対応する部分には、それぞれ圧力発生手段としての圧電アクチュエータである圧電素子22が設けられており、圧電素子22の上面には個別電極(図示せず)が形成され、圧電素子22の下面及びボディプレート19の上面には共通電極(図示せず)が形成されている。圧電素子22の個別電極と共通電極には、圧電素子に駆動電圧パルスを印加して圧電素子を変形させるための駆動電圧電源23が接続されている。圧電素子22は、駆動電圧電源23からの駆動電圧パルスの印加により変形し、圧力室の容積を変化させて液体Lに圧力を発生させる。ノズル内の液体Lに圧力を生じさせてノズル5の吐出口11から液滴R1を吐出させるようになっている。なお、圧力発生手段は、本実施形態のような圧電アクチュエータのほかに、例えば、静電アクチュエータやサーマル方式等を採用することも可能である。
駆動電圧電源23は、動作制御手段24に接続されており、動作制御手段24による制御を受けるようになっている。
動作制御手段24は、本実施形態では、CPU25やROM26、RAM29等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU25は、ROM26に格納された電源制御プログラムに基づいて各駆動電圧電源23を駆動させてノズル5の吐出口11から液滴R1を吐出させるようになっている。
液体吐出ヘッド2の下方には、基材Kを支持する平板状のプラテン3が液体吐出ヘッド2の吐出面6に平行に所定距離離間されて配置されている。
各ノズル5についてさらに詳説する。
図2はノズル5とノズルプレート4の詳細を説明するための断面斜視図である。なお、図2においては、撥液面61の構成をより明瞭にするために、ノズルプレート4の向きを図1とは上下反転して示してある。
図2に示す通り、ノズル5は、円筒形状を呈しており、ノズル5の吐出口の径をd1、入口側の液体供給口の径をd2としたとき、各ノズル5はd1=d2で一定の直線状を呈している。このノズル5の吐出口の径d1は、液滴量をより少なくする観点から小さい方が好ましいが、吐出口を小さくすると、ノズルの加工が困難になってコストが高くなるうえ、精度も低下しやすくなり、また、装置の休止中等に吐出口近傍の液体が乾燥して起こる目詰まりが生じやすくなるため、5μm以上10μm以下が好ましい。
なお、各ノズル5は、必ずしも径が一定である必要はなく、テーパ状に形成されてもよい。この場合、ノズルは、入口の径と出口である吐出口の径とが実質的に等しいストレート部とすることが好ましい。ここで実質的に等しいとは、入口の径と出口である吐出口の径が±1[μm]の範囲にあることをいう。また、ノズルの径は、開口が円形の場合は、その直径をさす。なお、開口形状は円形形状に限定されることはなく、円形形状の代わりに、多角形状や楕円形状等としてもよい。尚、形状が円でない場合、その面積を同じ面積の円形に置き換えた場合の直径をノズルの径とする。
液滴吐出ヘッド2のノズルプレート4の吐出面6には、撥液面61(網点で示す。)が形成されると共に、各ノズル5の内面にも、液滴を吐出する吐出口側の一端から所定の深さL2までの領域に環状に撥液面61が形成されており、ノズルの液滴吐出口側先端から所定量L2だけノズルの内部に入り込んだ位置に定常状態のメニスカス(ノズルの開口で露出する液体の自由表面)が形成されるような構成となっている。即ち、撥液面61の下端がメニスカスの振動中心を決める重要な要素となる。
図示例のノズルプレート4は、ノズルプレート4の吐出面6に撥液面61を形成することにより、吐出安定性の向上を図っている。なお、本発明は、これに限定はされず、ノズルプレート4の吐出面6には、撥液面61が形成されていなくてもよい。
また、撥液面の形成方法にも限定はなく、液体の組成等に応じて、適宜、決定すればよいが、撥液性は高い方が好ましい。さらに、ノズル5の内面の撥液面が形成されていない領域は、親液面62を形成するのが好ましい。これにより、ノズルへ液体を充填する際にスムーズに充填でき、定常状態のメニスカスは撥液面61と親液面62の境界に形成される。
ここで、撥液面とは、吐出させる液体の濡れを発生しない接触角を有し、定常状態のメニスカスが撥液面の下端に形成される程度の撥液性を有する面を指し、好ましくは、撥液面の撥液性は液体の接触角が90(度)以上である。親液面とは吐出させる液体の濡れを発生する接触角を有し、好ましくは、液体の接触角が30(度)以下である。接触角は、JIS R 3257の静滴法で測定される。
なお、ノズルの形状は、吐出口側に筒状のストレート部を設ける構成に加えて、圧力室側に大きく開口した漏斗状部分を設けたり、圧力室側にストレート部よりも径の大きな筒状部分を設けた複数段構造としても良い。いずれの場合も吐出側先端はストレート部で構成し、ストレート部の内面の一部(L2<L1)に撥液面を形成することが好ましい。
図3は本発明の実施の形態に係る液滴吐出ヘッドの一例を構成要素毎に分解して模式的に示し、液滴吐出ヘッド2はノズルプレート4、ボディプレート19及び圧電素子22を有する。なお、図3において、ノズル内面の撥液面61は省略してある。
ノズルプレート4には、液滴吐出のためのノズル5を複数配列してある。
ボディプレート19には、これにノズルプレート4を被せて接合することで、圧力室20となる圧力室溝204、液体供給流路となる液体供給流路溝203、共通液室となる共通液室溝202、及び液体供給口201が形成されている。
そして、ノズルプレート4のノズル5とボディプレート19の圧力室溝204とが一対一で対応するようにノズルプレート4とボディプレート19とが接合される。
更に、ボディプレート19のノズルプレート4と接合する面と反対側の面の各圧力室20に対応した位置に圧電素子22が接着される。圧電素子22はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなるアクチュエータであり、前述のように、上下両面に設けられた電極を経て接続された駆動電圧電源23からの駆動電圧パルスの印加を受けると変形して圧力室の体積を変化させることにより圧力を発生させ、圧力室内部の液体Lをノズル5から吐出させるようになっている。
なお、以下の説明において、液体供給流路溝203とノズルプレート4とにより形成された部屋を液体供給流路203と言い、共通液室溝202とノズルプレート4とにより形成された部屋を共通液室202と言う。
次に、液滴吐出ヘッド2の作成について説明する。
ノズルプレート4の作製方法は、基材としてシリコン基板を用いて、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)とエッチング技術等を用いることでノズル5を形成するという手順により行われる。
ノズルプレート4の吐出面6、および、各ノズル5の内面の液滴を吐出する吐出口側の一端からメニスカス形成位置までの領域に所定の深さL2で撥液層を形成することにより、撥液面61を形成する。
撥液層は、例えば、液体Lが水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体Lが油性であれば撥油性を有する材料を用いることが好ましい。一般に、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面6とノズル5の内面に成膜されている。
本実施形態においては、ノズルプレート4の裏面及びノズル内部の所定の深さまで感光性樹脂によりマスク処理を施し、マスクされていない部分を撥液処理することにより、このノズルプレート4の表面及びノズル5の内面の所定の深さまで撥液層を形成している。
具体的には、このノズルプレート4の裏面には、はじめに、光により硬化する感光性樹脂フィルム、一例として三菱レイヨン製ダイヤロンFRA305−38(商品名)のドライフィルムレジストをラミネートし、ついで、この感光性樹脂フィルムに4.0kgf/cm程度の圧力を加えつつ40〜70℃前後の温度で加熱して、ノズル5の内部に、裏面から所定の深さ(L1−L2)のところまでフィルムの一部を入り込ませる。
つぎに、ノズルプレート4の裏面と表面(吐出面)から紫外線を照射して、ノズルプレート4の裏面及びノズル5内へ入り込んだ光感光性樹脂フィルム全体を硬化させる。
この工程は、つぎのフッ素樹脂層形成工程でフッ素樹脂層をノズル5内へ入り込ませるその入り込み量、即ち、撥液面の深さL2を規制するための前処理工程として位置付けられる。
このフッ素樹脂層の入り込み量を規制するために使用するこの感光性樹脂材は、一般にその粘度が温度により大きく変化するため、所要のフッ素樹脂層入り込み量L2位置まで感光性樹脂フィルムの一部をノズル5内に入り込ませるには、加える圧力を一定にして、感光性樹脂フィルム5に加える温度t、つまり加熱量を管理するようにした方が得策である。温度を高くすることにより感光性樹脂材の入り込み量(L1−L2)を大きくできる。
つぎに、このノズルプレート4を、フッ素樹脂の塗布液に浸漬あるいは塗布し、ノズルプレート4の表面にフッ素樹脂層を形成する。
これにより、フッ素樹脂層は、ノズルプレート5の表面と、表面から与えられた深さL2の点までノズル5の内周囲を均一に覆う。
そしてこのあと、適宜の溶剤を用いてノズルプレート4の裏面とノズル5内に入り込んだ感光性樹脂フィルムを溶解除去して、ノズルプレート4の表面と、与えられた深さL2の点までのノズルの内周面に撥液性のフッ素樹脂層を形成する。
撥液層が形成されていないノズル内面及び裏面は、シリコンで形成されているので親液性であるが、より安定した親液性にするため撥液層を形成する前に表面処理してもよい。
本発明において、撥液面の形成方法は限定されず、例えば、フッ素樹脂の塗布液をフレキソ印刷法によって均一の厚さでノズルプレート4の表面に印刷することで、ノズル5の内面に撥液性膜を化学吸着させてもよい。その後レーザー加工、プラズマエッチング加工、またはドリルによる機械加工でノズルを開口する。そして、フレキソ印刷法による印刷の厚さを調整することによって、撥液面61の深さL2を調整できる。
また、撥液面61を形成する方法として、ノズルプレート4を、液滴吐出側に設けた撥液性部材と、圧力室側に設けた親液性部材とで構成してもよい。
例えば、撥液性部材としては、四フッ化エチレン樹脂、あるいは四フッ化エチレン〜六フッ化プロピレン共重合樹脂性等の含フッ素高分子樹脂の成型シートを用い、また親液性部材としては、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、あるいはポリエーテルサルフォン等の高分子樹脂の成型シートを用いて、貼り合わせればよい。その後レーザー加工、プラズマエッチング加工、またはドリルによる機械加工でノズルを開口する。ノズルは、撥液性部材側及び親液性部材側のどちらの面から開口してもよいが、液滴吐出側を撥液性部材とし、圧力室側に親液性部材を配置する。撥液性部材の厚みを調整することにより、撥液面61の深さL2を調整できる。
ボディプレート19は、ノズルプレート4の作製方法と同様に、基材として厚みが200〜500μm程度のシリコン基板を用いて、例えば、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)とエッチング技術等を用いることで、ノズルプレート4に有するノズル5にそれぞれ連通する複数の圧力室となる圧力室溝204、圧力室にそれぞれ連通する複数の液体供給流路となる液体供給流路溝203、及び液体供給流路に連通する共通液室となる共通液室溝202、液体供給口201を形成する。
ここで形成する溝の大きさは、本実施の形態の一例である液滴吐出ヘッドでは、例えば、圧力室溝204は幅50μm〜350μm程度、高さ10μm〜200μm程度、長さ50μm〜3000μm程度、液体供給流路溝203は幅10μm〜150μm程度、高さ10μm〜200μm程度、長さ10μm〜300μm程度、共通液室溝202は幅400μm〜1000μm程度、深さ50μm〜200μm程度、液体供給口201は直径φ400μm〜1500μm程度の貫通した穴である。また、ノズルについても同様に、例えば、吐出口の径は5μm〜10μm、ノズルの深さL1は5μm〜30μm程度とされる。
シリコン基板に対するエッチング加工方法は、ボディプレートの面に対して垂直にエッチング加工ができるシリコン(Si)異方性ドライエッチング法が好ましい。シリコン(Si)異方性ドライエッチング法に関しては、産業図書株式会社「半導体ドライエッチング技術」等を参照することが出来る。
以上のようにして作製されたノズルプレート4に別途作製したボディプレート19を、接合した後に、圧電素子22を付設し、必要な配線接続、パッケージングが行われて、液滴吐出ヘッド2が完成する。
次に、本実施形態の液滴吐出装置1の作用について説明する。
図4(a)には液滴を吐出させるために駆動電圧電源23から圧電素子22に印加される駆動電圧パルスを示し、図5はこの駆動電圧パルスにより液滴が吐出される一連の様子を示している。
図4、図5のアルファベット(A、B、C、D)は、それぞれ時間的に対応している。
図5(a)に示すように、本実施形態にかかる駆動電圧パルスは、圧力室の容積を増大させる膨張エッジ(第1電圧変化)D1と、該膨張エッジD1からt1時間後に圧力室の容積を収縮させて液滴をノズルから吐出させる収縮エッジ(第2電圧変化)D2を含んで構成された矩形波の駆動電圧パルスである。D1とD2の間は、駆動電圧Vで一定に保持している。また、駆動電圧パルスの電圧を増加すると圧力室の容積が増大され、電圧を減少すると圧力室の容積が収縮されるものとする。
ここで、駆動電圧Vは、膨張エッジ(第1電圧変化)D1と収縮エッジ(第2電圧変化)D2とで構成される駆動電圧パルスの電圧の最大値を指す。本実施形態では、矩形波の駆動電圧パルスを用いているのでその波高値が駆動電圧Vとなる。
本実施形態で用いる液滴吐出ヘッドは、1つのノズルから吐出される液滴のうち、大液滴が吐出する駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV1(V)、小液滴が吐出する駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV2(V)、としたとき、ノズルの内面には、液滴を吐出する吐出口側の一端から所定の深さL2で撥液面が形成されていて、|V1|>|V2|の関係にある。
この最適なL2の範囲は、吐出する液体の物性やノズルの吐出口の径などにより異なるが、予め数値計算または実験により取得することができる。
実験により求める場合は、L2を種々異ならせた液滴ヘッドを作製し、駆動電圧を変化させながら駆動電圧パルスを圧電素子に印加し、液滴が吐出される際の駆動電圧と液滴量を測定すればよい。1つのノズルから吐出される液滴のうち、大液滴が吐出する最小駆動電圧V1(V)、小液滴が吐出する最小駆動電圧V2(V)を求めればよい。
数値計算の場合には、汎用の数値解析ソフトで解析を行うか、簡単なモデルに近似できる場合はソフトを用いずに容易に計算できる。
|V1|>|V2|となるように所定の深さL2で撥液面が形成されている本実施形態の液滴吐出ヘッドにおいて、圧電素子に駆動電圧パルスが印加された際のノズルにおける液体の挙動は、駆動電圧|V|の値が小さい方から大きくなるに従い、以下の3種類の挙動をする。
(1)|V|<|V2|の領域では、メニスカスMが振動するが、液滴が吐出しない状態。
(2)|V2|≦|V|<|V1|の領域では、メニスカスMが大きく振動し、小液滴が一滴吐出される状態。
(3)|V1|≦|V|の領域では、メニスカスMがさらに大きく振動し、小液滴が一滴吐出された後、大液滴が一滴吐出される状態。
本実施形態の液滴吐出装置においては、動作制御手段24により、液滴を吐出させる際の駆動電圧Vが、小液滴のみの吐出が可能となるように下記の関係式を満足する上記(2)の範囲内に設定されている。
関係式 |V2|≦|V|<|V1|
これにより、大液滴が吐出しない吐出状態で小液滴のみを吐出することができ、高品位の液滴パターンを形成することができる。
図5は、この関係式|V2|≦|V|<|V1|を満たす上記(2)の範囲に駆動電圧Vが設定された駆動電圧パルスにより液滴が吐出される一連の様子を示している。尚、本図では、撥液面61と親液面62の図示は省略されている。
図中Aは吐出開始前の待機状態(定常状態)を表しており、ノズル5の吐出側先端から深さL2で形成されている撥液面61は液体Lを弾いているため濡れていない。即ち、液体LのメニスカスMの位置は、ノズル5の吐出側先端から深さL2だけ圧力室20側に引き込まれ位置にある。この状態から、図5(a)の駆動電圧パルスを圧電素子22の個別電極に印加し、圧電素子22の共通電極を接地すると、まず、図中Bに示すように、待機状態の駆動電圧0(V)からV(V)まで駆動電圧を上昇させる膨張エッジD1により圧力室20に負圧が生じメニスカスMが圧力室側に大きく引き込まれた凹形状の状態になる。
次に、この駆動電圧V(V)をt1時間保持した後、図中Cに示すように、0(V)まで急激に電圧を降下させる収縮エッジD2により圧力室20に正圧が生じ、液体Lがノズル5から押し出され、液体LのメニスカスMは中央部が盛り上がった形状になる。この後、中央部の盛り上がりが更に増大し、このとき撥液面61は液体Lを弾いて濡れないためメニスカスMは撥液面の下端の位置まで押し出されてメニスカスの中央部分が液滴吐出方向に向けて細い柱状に伸長する。この過程が進むことによりさらにこの細い液柱から液滴径が吐出口11の径d1よりも小さい微小な液滴R1がメニスカスの柱状部分から分離して飛翔する。図中Dは、吐出が終了した状態を示す。リフィルによりメニスカスMは押し出される方向に移動するが、撥液面61は、瞬間的に液体を弾きメニスカスは図中Aと同じ状態にもどる。
このように、一旦メニスカスMを大きく引き込んだ状態で圧力室の圧力を上昇させて引き込まれたメニスカスMの中心近傍の液体を液滴として吐出するため、ノズルの吐出口の径に比較して小さな液滴を吐出することができる。後述する実施例に示すように、微小な液滴R1の液滴径(直径)は吐出口11の径d1の1/2以下にすることが可能であり、条件によっては1/3以下にすることも可能である。
また、ノズル内部への撥液層の入り込みにより、ノズル内壁面を伝わって吐出される大液滴の吐出が抑制されるものの、駆動電圧の増加により、上記(3)の|V1|≦|V|の領域では大液滴が吐出するのに十分なエネルギーを得てしまうことで大液滴が吐出されてしまう。この大液滴は小液滴に比べて液滴径が大きいので大液滴が発生すると画像の品位を大きく低下させてしまうことになるが、本実施形態では|V|<|V1|に設定されているので、このような大液滴が吐出されることはない。
一方、比較例としてノズルの内面の撥液面の深さL2が小さすぎる場合には、吐出口の径にもよるが、|V1|<|V2|となる。
この比較例の液滴吐出ヘッドの圧力発生手段に駆動電圧パルスが印加された際のノズルにおける液体の挙動は、駆動電圧|V|の値が小さい方から大きくなるに従い、以下の3種類の挙動をする。
(1)|V|<|V1|の領域では、メニスカスMが振動するが、液滴が吐出しない状態。
(2)|V1|≦|V|<|V2|の領域では、メニスカスMが大きく振動し、大液滴が一滴吐出される状態。
(3)|V2|≦|V|の領域では、メニスカスMがさらに大きく振動し、小液滴が一滴吐出された後、大液滴が一滴吐出される状態。
このように、比較例においては、液滴を吐出させる際の駆動電圧Vを調整しても、小液滴のみを吐出させることはできず、結果として吐出液滴量が大きくなってしまい、小液滴化の要請を満足できない。
図6は、比較例の液滴吐出ヘッドを用い、上記(3)の|V2|≦|V|の範囲に駆動電圧Vが設定された駆動電圧パルスにより液滴が吐出される一連の様子を示している。ここでは、撥液面の深さL2が0であり、ノズル内面は親水性である。
図中Aは吐出開始前の初期状態(定常状態)を表しており、ノズル5の内面に撥液面61が形成されていないため、ノズル内面は液体Lを弾かずに濡れた状態にある。即ち、液体LのメニスカスMの位置はノズル5の吐出側先端の位置にある。この状態から、図5(a)の駆動電圧パルスを圧電素子22の個別電極に印加し、圧電素子22の共通電極を接地すると、まず、図中Bに示すように、膨張エッジD1により圧力室20に負圧が生じメニスカスがノズル5内に大きく引き込まれた凹形状の状態になる。
次に、図中Cに示すように、収縮エッジD2により圧力室20に正圧が生じ、液体Lがノズル5から押し出され、液体LのメニスカスMは中央部が盛り上がった形状になる。この後、中央部の盛り上がりが更に増大し、このときノズル内面は液体Lを弾かずに濡れるため、メニスカスMはノズル5の吐出側先端の位置まで押し出されて凸形状になる。この過程が進むことによりさらにこの液柱から液体がちぎれて小液滴R2として吐出する。
図中Dは、小液滴R2の吐出が終了した状態を示す。しかし、図5の場合と異なり、吐出直後にはノズル5の内面は濡れたままの状態にありメニスカスMは外縁部も含めてメニスカスM全体がノズル5の吐出側先端の位置にあり、小液滴R2が吐出した後のメニスカスMの振動により大液滴R3が再吐出してしまう。即ち、小液滴R2が吐出した後のメニスカスMがノズル5の吐出口11から盛り上がり、このとき、メニスカスMがノズル5の内部にそれほど引き込まれない状態で液滴が吐出されるので、吐出される液滴は小液滴R2より大きな液滴となる。この大液滴R3の液滴径(直径)は、せいぜいノズルの吐出口の径d1同等の大きさまでしか下げられない。基本的に、大液滴R3の液滴径は、ノズルの吐出口の径d1以上である。
このように、ノズル5の内面が撥液処理されておらず親液性を持つ場合あるいは撥液面の深さが小さい場合には、ノズルプレート4の表面の撥液性との境界、すなわち、ノズル5の吐出口近傍でメニスカスの位置が維持固定されやすく、ノズル5内でメニスカスの位置を引き込んで移動させるためには大きな液体の圧力を必要とする。そのため、メニスカスの位置を大きく引き込んで振動させるには、圧力室の体積変化量を大きくしなければならず、その結果、圧電素子の駆動電圧を大きくしなければならないといった駆動エネルギーの効率の点で不都合が生じる。
また、小液滴はメニスカスMの中心部を押し出すことで吐出されるのに対して、大液滴は、メニスカスM全体がノズル壁面を伝わって押し出されることにより吐出される。従って、ノズル5の内面が撥液処理されておらず親液性を持つ場合あるいは撥液面の深さが小さい場合には、メニスカスMがノズル壁面を伝わって押し出されやすくなり、大液滴が吐出されやすくなるため、|V1|<|V2|となる。その結果、液滴を吐出させる際の駆動電圧Vを調整しても、小液滴のみを吐出させることはできず、結果として吐出液滴量が大きくなってしまい、小液滴化の要請を満足できない。即ち、メニスカスの振動中心がノズルプレートの表面近くになる結果、小液滴が吐出する駆動電圧で駆動した場合、小液滴が吐出した後のメニスカスの振動により大液滴が再吐出するという問題が生じる。
また、撥液面の深さL2が大きすぎる場合には、メニスカスの振動中心がその分ノズルプレートの表面から離れてしまう結果、圧力室を膨張させると、メニスカスMがノズルの奥深くに引き込まれ、圧力室に侵入することでメニスカス形状の乱れ等により細い液柱の形成が困難となり、小液滴は吐出されない。即ち、|V1|>|V2|とすることはできない。
そこで、ノズルの内面に、|V1|>|V2|となるように、液滴を吐出する側の一端からメニスカス形成位置までの領域に所定の深さL2で撥液面が形成させると、撥液面により、メニスカスMがノズル壁面を伝わって押し出されにくくなるので、大液滴が吐出されにくくなり、|V1|>|V2|となるため、液滴を吐出させる際の駆動電圧Vが、下記の関係式を満足するように設定することにより、小液滴のみを吐出させることができる。
|V2|≦|V|<|V1|
また、定常状態のメニスカスMの位置が最表面からL2分内部側に偏る。これにより、例えば、本来ノズル深さのL1分必要な引き込みの駆動電圧がL2/L1で済み、結果的に駆動効率が向上する。
そして、液滴吐出時において、膨張エッジによりメニスカスが最も深く後退した時点においても、メニスカスMが撥液面61の下端の定常位置から内部に外れない範囲(メニスカスが圧力室に侵入しない範囲)に収まるように、撥液面の深さL2は、ストレート部で構成されたノズルの深さL1よりも所定量短く設定されている。すなわち、ノズルの深さL1が、ノズルからの液滴の吐出動作に伴ってノズル5の内壁面上を移動するメニスカスMの移動範囲を包含していて、メニスカスMの移動範囲がストレート部の範囲内になるように維持して液滴の吐出を行うようになっている。これにより、メニスカスの乱れを抑え、安定に小液滴を吐出できる。
このように、撥液面の深さL2を調整することにより、小液滴吐出の駆動電圧を下げ、駆動効率が向上するともに、小液滴吐出の駆動電圧を大液滴吐出の駆動電圧よりも小さくすることにより、小液滴のみを吐出させることができ、これにより、ノズル5のサイズによらず、液滴を微小化することが可能である。
なお、ここで説明した図4(a)の駆動電圧パルスは一例であり、本発明はこのタイプの駆動電圧パルスに限定されるものではない。駆動電圧パルスとしては、図4(b)に示すように、圧力室の容積を増大させる膨張エッジ(第1電圧変化)D1と、該膨張エッジD1からt1時間後に圧力室の容積を収縮させて液滴をノズルから吐出させる収縮エッジ(第2電圧変化)D2と、D2に引き続き圧力室の容積を収縮させて液滴をノズルから吐出させる収縮エッジ(第3電圧変化)D3と、該収縮エッジD3からt2時間後に圧力室の容積を膨張させる膨張エッジ(第4電圧変化)D4とを含む駆動電圧パルスでもよい。また、矩形波に限らず、図4(c)に示すように、台形波であってもよい。
いずれの駆動電圧パルスにおいても、圧力室の容積を増大させる膨張エッジ(第1電圧変化)D1と、該膨張エッジD1からt1時間後に圧力室の容積を収縮させて液滴をノズルから吐出させる収縮エッジ(第2電圧変化)D2とで構成される駆動パルスの駆動電圧Vを、関係式|V2|≦|V|<|V1|を満足するように設定することにより、大液滴が吐出されることなく、小液滴のみを吐出させることができる。
なお、本発明は上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更をおこなってもよい。
また、本発明の液滴吐出装置は、ノズルから液滴を吐出させるものであれば、インクジェット記録装置以外にも、処理液塗布装置等に、広く利用可能である。
本実施例では、上記実施形態中で示した液滴吐出ヘッド2と同様の液滴吐出ヘッドを上記製造方法に従いながら製造し、当該液滴吐出ヘッドの吐出口から液滴を吐出した際の駆動電圧Vと液滴の吐出体積(液滴径)を測定した。なお、液滴径は、1つの液滴の体積を球であると見なしたときの換算径(液滴の直径)を示している。
まず、ノズルプレートとボディプレートとをともにシリコンで構成し、吐出口の径d1、撥液面の深さL2を表1に示すように種々変更した複数の液滴吐出ヘッドを作製した。ノズルの内面のうち、撥液面が形成された以外の面はシリコンを露出させ親液面とした。なおノズルの深さL1は10μmとし、液体流入側の径d2はd1に等しくし、ストレート形状のノズルとした。
Figure 2011062870
その後、圧電素子に図4(a)に示す駆動電圧パルスを用いて、駆動電圧Vを徐々に増加させながら印加して、液滴が吐出される際の駆動電圧と液滴量を測定し、1つのノズルから吐出される液滴のうち、大液滴が吐出する最小駆動電圧V1(V)、小液滴が吐出する最小駆動電圧V2(V)を求めた。
なお、吐出に用いた液体(水性インク)の物性値は、密度ρは10[kg/m]、粘度ηは3×10−3[Pa・s]、表面張力は50[dyne/cm]である。
この液体の、撥液面のフッ素樹脂層に対する接触角は100(度)であり、親液面のシリコンに対する接触角は、15(度)であった。接触角は、測定装置として協和界面科学社製のDM500を用いて、JIS R 3257の静滴法に基づいて測定した。
吐出の際の液滴の吐出体積を測定し、液滴径(液滴の直径)に換算した。
表1に示す通り、撥液層の深さL2が所定の範囲にある本発明の液滴吐出ヘッドでは、小液滴吐出(液滴径d3が吐出口の径d1の1/2以下)が始まる最小駆動電圧V2よりも、大液滴吐出(液滴径d3が吐出口の径d1以上)が始まる最小駆動電圧V1の方が高くなる。駆動電圧Vの増加に伴い、まず小液滴が吐出し、さらに駆動電圧Vを増加するとこの小液滴に加えて大液滴が吐出することになるため、駆動電圧Veを、|V2|≦|V|<|V1|の範囲に設定することで小液滴のみを吐出させることが可能となる。
また撥液層の深さL2が大きいほど、小液滴吐出のための駆動電圧V2も低くなることが判る。
一方、撥液層の深さL2が小さすぎる比較例の液滴吐出ヘッドでは、吐出口の径が10μmの場合、小液滴吐出が始まる駆動電圧V2よりも、大液滴吐出が始まる駆動電圧V1の方が低くなるため、小液滴のみを吐出させることが出来なくなり、駆動電圧V2も高くなっている。また、吐出口の径が5μm、7.5μmの場合、小液滴吐出が始まる駆動電圧V2が、大液滴吐出が始まる駆動電圧V1よりも低くなっているが、駆動電圧V2が高くなっている。
他方、撥液層の深さL2が大きすぎる比較例の液滴吐出ヘッドでは、小液滴は吐出できなかった。即ち、|V1|>|V2|とすることはできない。
以上のことから、駆動効率が良い小液滴吐出を可能とするためには、|V1|>|V2|となるように、撥液面の深さL2を定めればよいことがわかる。
表1において、|V1|>|V2|となるように、撥液面が形成された本発明の液滴吐出ヘッドを、図1記載の液滴吐出装置に装着し、基材K上にインクを吐出して、インクパターンを作製した。実際にインクパターンを作製する際の駆動電圧Veは、|V2|≦|V|<|V1|の範囲に設定した。いずれの吐出口径のヘッドに対しても安定に小液滴が吐出できて、高品位のパターンを形成できた。
1 液滴吐出装置
2 液滴吐出ヘッド
4 ノズルプレート
5 ノズル
6 吐出面
61 撥液面
62 親液面
11 吐出口
19 ボディプレート
20 圧力室
22 圧電素子(圧力発生手段)
23 駆動電圧電源
24 動作制御手段
25 CPU
26 ROM
29 RAM
K 基材
R1、R2、R3 液滴
L 液体

Claims (5)

  1. 液滴を吐出する吐出口を有するノズルと、前記ノズルに連通する圧力室と、前記圧力室の容積を変化させて前記圧力室内の液体に圧力を発生させる圧力発生手段とを有する液滴吐出ヘッドを備え、
    前記吐出口から液滴を吐出させるために前記圧力発生手段に印加する駆動電圧パルスが、前記圧力室の容積を増大させる膨張エッジと、該膨張エッジの後に前記圧力室の容積を収縮させて液滴を吐出させる収縮エッジとを含み、
    1つのノズルから吐出される液滴のうち、大液滴が吐出する前記駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV1(V)、小液滴が吐出する前記駆動電圧パルスの最小駆動電圧をV2(V)、としたとき、
    前記ノズルの内面には、前記吐出口側の一端から所定の深さで撥液面が形成されていて、|V1|>|V2|の関係にあり、
    前記駆動電圧パルスの駆動電圧V(V)が、前記小液滴のみの吐出が可能となるように下記の関係式を満足する範囲内に設定されていることを特徴とする液滴吐出装置。
    |V2|≦|V|<|V1|
  2. 前記ノズルは、入口の径と出口である前記吐出口の径とが実質的に等しいストレート部を有し、該ストレート部の内面の一部に前記撥液面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記小液滴の液滴径は、前記吐出口の径の1/2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記ノズルの内面のうち、前記撥液面が形成された以外の面が親液面であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記ノズルのメニスカス形成位置が撥液面と親液面の境界にあることを特徴とする請求項4に記載の液滴吐出装置。
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