JP2011060560A - リチウムイオン二次電池用集電体 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池用集電体へのリチウムイオンの吸蔵を抑制する手段を提供する。
【解決手段】樹脂基材および導電材料を含むリチウムイオン二次電池用集電体であって、前記導電材料が前記樹脂基材の少なくとも一方の表面から露出しており、かつ前記導電材料の露出部の外周の合計(A)が下記数式1の範囲である、リチウムイオン二次電池用集電体である。
「数1」
Figure 2011060560

【選択図】図3

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用集電体に関する。
近年、大気汚染や地球温暖化に対処するため、二酸化炭素量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が盛んに行われている。
モータ駆動用二次電池としては、全ての電池の中で最も高い理論エネルギーを有するリチウムイオン二次電池が注目を集めており、現在急速に開発が進められている。リチウムイオン二次電池は、一般に、活物質等がバインダとともに集電体に塗布されてなる活物質層を有する正極および負極が、電解質層を介して接続され、電池ケースに収納される構成を有している。
上述したような自動車等のモータ駆動用電源として用いられる非水電解質二次電池には、携帯電話やノートパソコン等に使用される民生用非水電解質二次電池と比較して極めて高い出力特性を有することが求められている。このような要求に応えるべく、鋭意研究開発が進められているのが現状である。
上記リチウムイオン二次電池は、集電体を構成部材として含む。この集電体の軽量化を目的として、樹脂を含む集電体(以下、単に樹脂集電体とも称する)が用いられる。特許文献1では、カーボンフィラーを混合した導電性を有する樹脂を含む集電体が提案されている。
特開2006−190649号公報
しかしながら、特許文献1に記載されているような樹脂集電体は、金属箔からなる集電体よりもイオン遮断性が劣るため、集電体内部にリチウムイオンが透過してしまう。そのため、集電体内部にリチウムイオンが吸蔵されたままとなり放出されにくく、充放電に利用できるリチウムイオン量が減少し、電池容量が低下するという問題があった。
そこで本発明は、リチウムイオン二次電池用集電体へのリチウムイオンの吸蔵を抑制する手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を積み重ねた。その結果、樹脂基材に導電材料が取り込まれており、さらに前記導電材料の一部が前記樹脂基材から露出しており、その露出部の外周の合計が特定の範囲にある集電体を用いることによって、上記目的が達成されることを見出した。
樹脂基材の表面に導電材料の一部が露出しており、この露出部の外周の合計が、特定の範囲にある集電体により、樹脂集電体の体積抵抗率を確保しつつ(すなわち、導電性を低下させることなく)、導電材料と樹脂との接触界面を低減することができる。したがって、電気化学的に活性な樹脂が低減され、樹脂集電体内部にリチウムイオンが吸蔵されにくくなる。
積層型リチウムイオン二次電池の構造を示す断面概略図である。 双極型リチウムイオン二次電池の構造を示す断面概略図である。 第1実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 第2実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 第3実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 第4実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 第5実施形態の集電体を模式的に表した断面概略図である。 リチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
まず、好ましい実施形態である非水電解質リチウムイオン二次電池について説明するが、以下の実施形態のみには制限されない。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
リチウムイオン二次電池の構造・形態で区別した場合には、積層型(扁平型)電池、巻回型(円筒型)電池など特に制限されず、従来公知のいずれの構造にも適用されうる。
同様に、電解質の形態で区別した場合にも、特に制限はない。例えば、非水電解液をセパレータに含浸させた液体電解質型電池、ポリマー電池とも称される高分子ゲル電解質型電池および固体高分子電解質(全固体電解質)型電池のいずれにも適用されうる。高分子ゲル電解質および固体高分子電解質に関しては、これらを単独で使用することもできるし、これら高分子ゲル電解質や固体高分子電解質をセパレータに含浸させて使用することもできる。
[電池の全体構造]
図1は、扁平型(積層型)のリチウムイオン二次電池(以下、単に「積層型電池」ともいう)の一実施形態の基本構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態の積層型電池10aは、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、外装体であるラミネートシート29の内部に封止された構造を有する。ここで、発電要素21は、正極集電体11の両面に正極活物質層13が配置された正極と、電解質層17と、負極集電体12の両面に負極活物質層15が配置された負極とを積層した構成を有している。具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物質層15とが、電解質層17を介して対向するようにして、負極、電解質層および正極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、電解質層および負極は、1つの単電池層19を構成する。したがって、本実施形態の積層型電池10aは、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。なお、発電要素21の両最外層に位置する最外層正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されているが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。また、図1とは正極および負極の配置を逆にすることで、発電要素21の両最外層に最外層負極集電体が位置するようにし、該最外層負極集電体の片面または両面に負極活物質層が配置されているようにしてもよい。
正極集電体11および負極集電体12は、各電極(正極および負極)と導通される正極集電板25および負極集電板27がそれぞれ取り付けられ、ラミネートシート29の端部に挟まれるようにしてラミネートシート29の外部に導出される構造を有している。正極集電板25および負極集電板27はそれぞれ、必要に応じて正極リードおよび負極リード(図示せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体12に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられていてもよい。
図2は、双極型リチウムイオン二次電池10bの全体構造を模式的に表した断面概略図である。図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10は、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電要素21が、電池外装材であるラミネートフィルム29の内部に封止された構造を有する。
図2に示すように、双極型リチウムイオン二次電池10bの発電要素21は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23は、電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。なお、電解質層17は、基材としてのセパレータの面方向中央部に電解質が保持されてなる構成を有する。この際、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15とが電解質層17を介して向き合うように、各双極型電極23および電解質層17が交互に積層されている。すなわち、一の双極型電極23の正極活物質層13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極活物質層15との間に電解質層17が挟まれて配置されている。
隣接する正極活物質層13、電解質層17、および負極活物質層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型リチウムイオン二次電池10bは、単電池層19が積層されてなる構成を有するともいえる。また、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する目的で、単電池層19の外周部にはシール部(絶縁層)31が配置されている。なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。ただし、正極側の最外層集電体11aの両面に正極活物質層13が形成されてもよい。同様に、負極側の最外層集電体11bの両面に負極活物質層15が形成されてもよい。
さらに、図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10bでは、正極側の最外層集電体11aに隣接するように正極集電板25が配置され、これが延長されて電池外装材であるラミネートフィルム29から導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するように負極集電板27が配置され、同様にこれが延長されて電池の外装であるラミネートフィルム29から導出している。
図2に示す双極型リチウムイオン二次電池10bにおいては、通常、各単電池層19の周囲に絶縁部31が設けられる。この絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体11どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。かような絶縁部31の設置により、長期間の信頼性および安全性が確保され、高品質の双極型リチウムイオン二次電池10bが提供されうる。
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節する。また、双極型リチウムイオン二次電池10bでは、電池の厚みを極力薄くしても十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしてもよい。双極型リチウムイオン二次電池10bでも、使用する際の外部からの衝撃、環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装材であるラミネートフィルム29に減圧封入し、正極集電板25および負極集電板27をラミネートフィルム29の外部に取り出した構造とするのがよい。
図3は、リチウムイオン二次電池10aまたは10bで用いられる集電体11(第1実施形態)を模式的に表した断面概略図である。図3に示すように、集電体11は、樹脂基材1aの両表面に、導電材料1bの一部が露出しており、この露出部の外周の合計が、後述する特定の範囲にある。
従来の樹脂集電体は、金属箔からなる集電体よりもイオン遮断性が劣るため、集電体の内部に、リチウムイオンが透過してしまう。そのため、集電体内部にリチウムイオンが吸蔵されたままとなり放出されにくく、充放電に利用できるリチウムイオン量が減少し、電池容量が低下するという問題があった。
これに対し、本実施形態の集電体は、樹脂基材の表面に、導電材料の一部が露出しており、この露出部の外周の合計が、特定の範囲にある。これにより、樹脂集電体の体積抵抗率を確保しつつ(すなわち、導電性を低下させることなく)、導電材料と樹脂との接触界面を低減することができる。したがって、電気化学的に活性な樹脂が低減され、樹脂集電体内部にリチウムイオンが吸蔵されにくくなり、リチウムイオン二次電池の容量低下を抑制することができる。
以下、本実施形態の集電体について、詳細に説明する。
(集電体)
集電体は樹脂基材および導電材料を含む。以下、樹脂基材および導電材料について説明する。
<樹脂基材>
樹脂基材の具体的な形態として、1)樹脂を構成する高分子材料が導電性高分子である形態、2)樹脂を構成する高分子材料が導電性のない高分子である形態が挙げられる。
導電性高分子は、導電性を有し、電荷移動媒体として用いられるイオンに関して伝導性を有さない材料から選択される。これらの導電性高分子は、共役したポリエン系がエネルギー帯を形成し伝導性を示すと考えられている。代表的な例としては電解コンデンサなどで実用化が進んでいるポリエン系導電性高分子を用いることができる。具体的には、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアクリロニトリル、ポリオキサジアゾール、またはこれらの混合物などが好ましい。電子伝導性および電池内で安定に使用できるという観点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレンがより好ましい。
導電性のない高分子の例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンなどのオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、またはこれらの混合物が挙げられる。これらの材料は電位窓が非常に広く、正極電位、負極電位のいずれに対しても安定である。また軽量であるため、電池の高出力密度化が可能となる。
前記樹脂基材の1層あたりの厚さは、軽量化により電池の出力密度を高める上では、薄い方が好ましい。具体的には、樹脂基材の1層あたりの厚さは、0.1〜200μmであることが好ましく、5〜150μmであることがより好ましく、10〜100μmであることがさらに好ましい。なお、集電体中の樹脂基材の層数は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。
<導電材料>
導電材料は、導電性を有する物質であれば特に制限なく用いることができる。例えば、導電性、耐電位性、またはリチウムイオン遮断性に優れた材料として、金属および導電性カーボンなどが挙げられる。
金属としては、特に制限はないが、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、Cr、Sn、Zn、In、Sb、およびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属もしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物を含むことが好ましい。これらの金属は、集電体表面に形成される正極または負極の電位に対して耐性を有する。これらのうち、Ni、Ti、Al、Cu、Pt、Fe、およびCrからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む合金であることがより好ましい。
合金としては、具体的には、ステンレス鋼(SUS)、インコネル(登録商標)、ハステロイ(登録商標)、およびその他Fe−Cr系合金、Ni−Cr合金等が挙げられる。これらの合金を用いることにより、より高い耐電位性が得られうる。
また、導電性カーボンとしては、特に制限はないが、アセチレンブラック、バルカン、ブラックパール、カーボンナノファイバー、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノバルーン、ハードカーボン、およびフラーレンからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの導電性カーボンは、電位窓が非常に広く、正極電位および負極電位の双方に対して幅広い範囲で安定であり、さらに、優れた導電性を有する。また、上記の金属を含む導電材料よりも密度が小さいので、集電体の軽量化を図ることができる。なお、これらの金属および導電性カーボンなどの導電材料は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、これらの導電材料は、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電材料をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電材料の形状は、特に制限はなく、粒子状、粉末状、繊維状、板状、塊状、布状、またはメッシュ状などの公知の形状を適宜選択することができる。例えば、樹脂に対して広範囲に亘って導電性を付与したい場合は、粒子状の導電材料を使用することが好ましい。一方、樹脂において特定方向への導電性をより向上させたい場合は、繊維状等の形状に一定の方向性を有するような導電材料を使用することが好ましい。
また、図3では、導電材料の露出部の形状が円形状となっている例を示しているが、露出部の形状はこれに限定されるものではない。露出部の形状の例としては、例えば、楕円形状、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状、正方形状、または長方形状などが挙げられる。この露出部の形状は、集電体の表面内で同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。また、露出部の面積方向の間隔は、一定であっても良いし、それぞれ異なっていてもよい。
本実施形態において、導電材料の露出部の外周の合計(A)は、下記数式1で表される範囲である。かような範囲であれば、集電体の体積抵抗率を確保しつつ(すなわち、導電性を低下させることなく)、導電材料と樹脂との接触界面を低減することができる。よって、電気化学的に活性な樹脂が低減され、樹脂集電体内部にリチウムイオンが吸蔵されにくくなり、リチウムイオン二次電池の容量低下を抑制することができる。
Figure 2011060560
導電材料の露出部の外周の合計(A)は、好ましくは6.0×10−4〜2.0×10−1μmであり、より好ましくは7.0×10−4〜2.0×10−1μmである。
導電材料の露出部の外周の合計(A)は、以下のようにして算出する。例えば、露出部が円形状の場合、y×π×z(ただし、yは導電材料の露出部の長径(すなわち直径、単位:μm)、zはフィラー個数(単位:個/μm)である)を計算することにより求められる。また、露出部の形状が多角形状の場合、辺の長さの合計に対してフィラー個数を乗じることにより算出される。
ここで、フィラー個数とは、単位面積あたりの導電材料の露出部の個数を意味し、走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線元素分析装置(SEM−EDX)を用いて測定することができる。また、「導電材料の露出部の長径」とは、導電材料の露出部の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち最大の距離を意味し、フィラー個数と同様にSEM−EDXを用いて測定することができる。
さらに、集電体に含まれる導電材料は、下記数式2の関係を満たすことが好ましい。下下記数式2の関係を満たせば、電池の面直方向の抵抗が低減し、電池性能を向上させることができる。下記数式2の関係を満たさない場合、電池の面直方向の抵抗が上昇し、電池性能が低下する場合がある。
Figure 2011060560
前記数式2中、aは樹脂基材1層あたりの厚さ(単位:μm)であり、xは導電材料の体積抵抗率(単位:Ω・cm)であり、yは導電材料の露出部の長径(単位:μm)である。
導電材料の露出部の外周の合計(A)、導電材料の露出部の長径、およびフィラー個数は、導電材料の平均粒子径および集電体中の導電材料の含有量を制御することにより、制御することができる。
導電材料の平均粒子径は、樹脂基材の1層あたりの厚さ以下であることが好ましい。かような大きさであれば、樹脂基材表面からの導電材料の脱落を防止することができ、この脱落に起因する液絡や抵抗の増加を抑制でき、リチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させることができる。
なお、本明細書において、「粒子径」とは、導電材料の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。後述する活物質などの粒子径や平均粒子径も同様に定義することができる。
集電体中の導電材料の含有量は、樹脂基材100質量部に対して、好ましくは5〜110質量部であり、より好ましくは10〜110質量部であり、さらに好ましくは15〜100質量部である。上記範囲で導電材料が含有されることにより、集電体の質量増加を抑制しつつ、非導電性高分子材料に対しても十分な導電性を付与することができる。さらに、上述のように集電体の体積抵抗率を確保しつつ(すなわち、導電性を低下させることなく)、導電材料と樹脂との接触界面を低減することができる。
また、上記集電体の体積抵抗率は、1.0×10−3〜1.0×10Ω・cmであることが好ましい。
樹脂基材および導電材料を含む集電体の製造方法は、例えば、(1)樹脂基材および導電材料を混合してフィルム状に成形した後、得られたフィルムの表面を研磨して、導電材料の一部をフィルムの表面に露出させる方法、が挙げられる。また、(2)樹脂基材の前駆体と導電材料とを混合した溶液を、平滑な支持体上に塗布し加熱乾燥してフィルム状にした後、さらに熱処理により前駆体を重合させ集電体とする方法、も挙げられる。
例えば、樹脂基材の前駆体としてポリアミック酸を用い、上記(2)の方法により樹脂基材がポリイミドである集電体を製造する場合は、下記のような製造方法により製造することができる。
上記の平滑な支持体としては、ポリアミック酸溶液をフィルム状に成形するに足りる程度の平滑性、剛性を有していればよく、例えば、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム状またはベルト状回転体などが好ましく用いられる。中でも、支持体の表面は好ましくは金属で、錆びなくて耐腐食性に優れるステンレスがより好ましい。また、支持体の表面にCr、Ni、Snなどの金属メッキを施したものを使用することも可能である。
ポリアミック酸のフィルムを作製する際の加熱手段は特に制限されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、熱風乾燥機、熱窒素乾燥機、遠赤外線乾燥機、高周波誘導加熱装置などが挙げられる。また、加熱時間も特に制限されないが、好ましくは5〜180分、より好ましくは10〜120分、さらに好ましくは30〜90分である。さらに、加熱温度も特に制限されないが、好ましくは70〜150℃、より好ましくは80〜120℃、さらに好ましくは70〜112℃、特に好ましくは70〜104℃である。乾燥温度が高すぎると、脱水反応が平行して起こり、塗膜内に組成の不均一が生じて、最終的な生成物の機械的物性が低下する可能性がある。
この加熱処理は、残溶剤量が好ましくは45質量%以下となるように、より好ましくは42質量%以下、さらに好ましく39質量%以下、特に好ましくは36質量%以下となるように行う。
得られたポリアミック酸のフィルムをポリイミドフィルムとする場合の熱処理は、2段階で行うことが好ましい。好ましくは1段目の熱処理を100〜250℃で1〜10分間行い、2段目の熱処理を400〜600℃で0.1〜15分間行う。また、1段目の熱処理終了後から2段目の熱処理開始までの昇温条件は、1〜15℃/秒が好ましい。一般には、上記ポリアミック酸のフィルムを作製する際の乾燥温度よりも高温で熱処理することにより、イミド化反応が進行して、ポリイミドフィルムを得ることができる。
なお、前記導電材料は、樹脂基材の少なくとも一方の表面に露出していればよく、本実施形態のように樹脂基材の両表面に露出していてもよい。
以上説明した第1実施形態の集電体は、以下の効果を有する。
第1実施形態の集電体は、樹脂基材の両表面に、導電材料の一部が露出しており、この露出部の外周の合計が、特定の範囲にある。これにより、集電体の体積抵抗率を確保しつつ(すなわち、導電性を低下させることなく)、導電材料と樹脂との接触界面を低減することができる。よって、電気化学的に活性な樹脂が低減され、樹脂集電体内部にリチウムイオンが吸蔵されにくくなり、リチウムイオン二次電池の容量低下を抑制することができる。
図4は、樹脂基材2aの一方の表面に金属層2cが設けられている集電体の実施形態(第2実施形態)を模式的に表した断面概略図である。また、図5は、樹脂基材3aの両方の表面に金属層3cが設けられている集電体の実施形態(第3実施形態)を模式的に表した断面概略図である。このように金属層を設けることにより、積層型リチウムイオン二次電池用電極としても好適に用いることができるようになる。金属層(2c、3c)の形成材料として用いられる金属は特に制限されず、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス、チタン、銅などが挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、またはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性や電池作動電位の観点からは、アルミニウム、ステンレス、銅が好ましい。
図6は、金属層4cの両面に樹脂基材4aおよび導電材料4bを含む層を有する集電体(第4実施形態)を示す断面概略図である。金属層4cの両面に、樹脂基材4aおよび導電材料4bを含む層を設けることにより、金属層4cが電極電位に曝されないようになる。よって、金属層4cに用いる材料の選択肢が広がるとともに、積層型リチウムイオン二次電池用電極としても好適に用いることができるようになる。
図7は、図6の第4実施形態の集電体に対して、さらに導電改善層5dを設けた集電体(第5実施形態)の断面概略図である。導電改善層5dは、樹脂基材5aと金属層5cの間に設けられている。この導電改善層5dは、集電体と同様に樹脂基材および導電材料から形成されるが、導電材料の含有量が集電体における導電材料の含有量に比べて多い。図6に示す集電体では、金属層4cに接していない導電材料が導通に寄与しない場合があるが、本実施形態のように導通改善層5dを設けることによって、導通に寄与しない導電材料を低減することができる。
前記導電改善層の形成材料は、特に制限されないが、上述のように集電体で用いられる樹脂基材および導電材料を用いることが好ましい。樹脂基材および導電材料の具体的な例は、集電体の項で示した例と同様なので、ここでは説明は省略する。集電体の形成材料と導電改善層の形成材料とは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
導電改善層中の導電材料の含有量は、好ましくは55〜80質量%、より好ましくは55〜75質量%である。また、導電改善層の厚さは、好ましくは0.05〜50μm、より好ましくは0.5〜10μmである。
導通改善層の作製方法は特に制限されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解させたポリアミック酸(U−ワニスA、宇部興産株式会社製)に対して導電材料を分散させ、混合物を作製する。その混合物を、樹脂集電体の形成時に同時に成膜するか、または導電改善層形成用混合物、樹脂集電体形成用混合物の順に用いて成膜を行うことによって作製することができる。
なお、上記集電体は、樹脂基材および導電材料の他に、他の添加剤を含んでいてもよい。
上記で説明したリチウムイオン二次電池は、集電体の構成に特徴を有する。以下、その他の主要な構成部材について説明する。
(活物質層)
[正極(正極活物質層)および負極(負極活物質層)]
活物質層13または15は活物質を含み、必要に応じてその他の添加剤をさらに含む。
正極活物質層13は、正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、Li(Ni−Co−Mn)Oおよびこれらの遷移金属の一部が他の元素により置換されたもの等のリチウム−遷移金属複合酸化物、リチウム−遷移金属リン酸化合物、リチウム−遷移金属硫酸化合物などが挙げられる。場合によっては、2種以上の正極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、リチウム−遷移金属複合酸化物が、正極活物質として用いられる。なお、上記以外の正極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
負極活物質層15は、負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイト、ソフトカーボン、ハードカーボン等の炭素材料、リチウム−遷移金属複合酸化物(例えば、LiTi12)、金属材料、リチウム合金系負極材料などが挙げられる。場合によっては、2種以上の負極活物質が併用されてもよい。好ましくは、容量、出力特性の観点から、炭素材料またはリチウム−遷移金属複合酸化物が、負極活物質として用いられる。なお、上記以外の負極活物質が用いられてもよいことは勿論である。
各活物質層13、15に含まれるそれぞれの活物質の平均粒子径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μmである。
正極活物質層13および負極活物質層15は、バインダを含む。
活物質層に用いられるバインダとしては、特に限定されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム、エポキシ樹脂等が挙げられる。中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアミドであることがより好ましい。これらの好適なバインダは、耐熱性に優れ、さらに電位窓が非常に広く正極電位、負極電位双方に安定であり活物質層に使用が可能となる。これらのバインダは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
活物質層中に含まれるバインダ量は、活物質を結着することができる量であれば特に限定されるものではないが、好ましくは活物質層に対して、0.5〜15質量%であり、より好ましくは1〜10質量%である。
活物質層に含まれうるその他の添加剤としては、例えば、導電助剤、電解質塩(リチウム塩)、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
導電助剤とは、正極活物質層または負極活物質層の導電性を向上させるために配合される添加物をいう。導電助剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト、気相成長炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。
電解質塩(リチウム塩)としては、Li(CSON、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiCFSO等が挙げられる。
イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)系およびポリプロピレンオキシド(PPO)系のポリマーが挙げられる。
正極活物質層および負極活物質層中に含まれる成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水溶媒二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。各活物質層の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、各活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
(電解質層)
電解質層13を構成する電解質としては、液体電解質またはポリマー電解質が用いられうる。
液体電解質は、可塑剤である有機溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解した形態を有する。可塑剤として用いられうる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)等のカーボネート類が例示される。また、支持塩(リチウム塩)としては、LiBETI等の電極の活物質層に添加されうる化合物が同様に採用されうる。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない真性ポリマー電解質に分類される。
ゲル電解質は、イオン伝導性ポリマーからなるマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。マトリックスポリマーとして用いられるイオン伝導性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、およびこれらの共重合体等が挙げられる。かようなポリアルキレンオキシド系ポリマーには、リチウム塩などの電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合には、電解質層にセパレータを用いてもよい。セパレータの具体的な形態としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンからなる微多孔膜が挙げられる。
真性ポリマー電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が真性ポリマー電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
ゲル電解質や真性ポリマー電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発現しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(例えば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合等の重合処理を施せばよい。
(最外層集電体)
最外層集電体の材質としては、例えば、金属や導電性高分子が採用されうる。電気の取り出しやすさの観点からは、好適には金属材料が用いられる。具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、銅などの金属材料が挙げられる。これらのほか、ニッケルとアルミニウムとのクラッド材、銅とアルミニウムとのクラッド材、あるいはこれらの金属の組み合わせのめっき材などが好ましく用いられうる。また、金属表面にアルミニウムが被覆されてなる箔であってもよい。なかでも、電子伝導性、電池作動電位という観点からは、アルミニウム、銅が好ましい。
(タブおよびリード)
電池外部に電流を取り出す目的で、タブを用いてもよい。タブは最外層集電体や集電板に電気的に接続され、電池外装材であるラミネートシートの外部に取り出される。
タブを構成する材料は、特に制限されず、リチウムイオン二次電池用のタブとして従来用いられている公知の高導電性材料が用いられうる。タブの構成材料としては、例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)、これらの合金等の金属材料が好ましく、より好ましくは軽量、耐食性、高導電性の観点からアルミニウム、銅などが好ましい。なお、正極タブと負極タブとでは、同一の材質が用いられてもよいし、異なる材質が用いられてもよい。
正極端子リードおよび負極端子リードに関しても、必要に応じて使用する。正極端子リードおよび負極端子リードの材料は、公知のリチウムイオン二次電池で用いられる端子リードを用いることができる。なお、電池外装材29から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
(電池外装材)
電池外装材29としては、公知の金属缶ケースを用いることができるほか、発電要素(電池要素)を覆うことができる、アルミニウムを含むラミネートフィルムを用いた袋状のケースが用いられうる。該ラミネートフィルムには、例えば、PP、アルミニウム、ナイロンをこの順に積層してなる3層構造のラミネートフィルム等を用いることができるが、これらに何ら制限されるものではない。高出力化や冷却性能に優れ、EV、HEV用の大型機器用電池に好適に利用することができるという観点から、ラミネートフィルムが望ましい。
(絶縁部)
絶縁部31は、電解質層17からの電解液の漏れによる液絡を防止する。また、絶縁部31は、電池内で隣り合う集電体どうしが接触したり、発電要素21における単電池層19の端部の僅かな不揃いなどに起因する短絡が起こったりするのを防止する目的で設けられる。
絶縁部31を構成する材料としては、絶縁性、固体電解質の脱落に対するシール性や外部からの水分の透湿に対するシール性(密封性)、電池動作温度下での耐熱性などを有するものであればよい。例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ゴムなどが用いられうる。なかでも、耐蝕性、耐薬品性、作り易さ(製膜性)、経済性などの観点から、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂が、絶縁部31の構成材料として好ましく用いられる。
なお、上記のリチウムイオン二次電池は、従来公知の製造方法により製造することができる。
<リチウムイオン二次電池の外観構成>
図8は、二次電池の代表的な実施形態である扁平なリチウムイオン二次電池の外観を表した斜視図である。
図8に示すように、扁平なリチウムイオン二次電池50では、長方形状の扁平な形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極タブ58、負極タブ59が引き出されている。発電要素(電池要素)57は、リチウムイオン二次電池50の電池外装材52によって包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素(電池要素)57は、正極タブ58および負極タブ59を外部に引き出した状態で密封されている。ここで、発電要素(電池要素)57は、先に説明した図1および2に示すリチウムイオン二次電池10a、10bの発電要素(電池要素)21に相当するものである。発電要素(電池要素)57は、正極(正極活物質層)13、電解質層17および負極(負極活物質層)15で構成される単電池層(単セル)19が複数積層されたものである。
なお、上記リチウムイオン二次電池は、積層型の扁平な形状のものに制限されるものではない。巻回型のリチウムイオン二次電池では、円筒型形状のものであってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限されるものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材に、ラミネートフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよいなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素(電池要素)がアルミニウムラミネートフィルムで外装される。当該形態により、軽量化が達成されうる。
また、図8に示すタブ58、59の取り出しに関しても、特に制限されるものではない。正極タブ58と負極タブ59とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極タブ58と負極タブ59をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしてもよいなど、図8に示すものに制限されるものではない。また、巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
上記リチウムイオン二次電池は、電気自動車やハイブリッド電気自動車や燃料電池車やハイブリッド燃料電池自動車などの大容量電源として、高体積エネルギー密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に好適に利用することができる。
以下、本発明を、実施例を通じて説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[積層型二次電池の作製]
(実施例1)
<樹脂集電体の作製>
N−メチル−2−ピロリドン(NMP)に溶解したポリアミック酸(U−ワニスA、宇部興産株式会社製)を固形分換算で59質量部、およびニッケルパウダ(INCO type ニッケルパウダ287、INCO社製:平均粒子径2.6〜3.3μm)53質量部を混合した。この混合物を、平滑な支持体上に塗布し乾燥した(乾燥温度:100℃、乾燥時間:60分)。乾燥後、自己支持性となった前駆体フィルムに対して、さらに2段階の熱処理を行った。1段目の熱処理は、150℃で5分間行い、2段目の熱処理は500℃で5分間行った。これにより、厚さ100μmのニッケルフィラー入りポリイミドフィルム(以下、集電体1と称する)を得た。
得られた集電体1の表面を、SEM−EDX(SEM;走査型電子顕微鏡、VE−8800(株式会社キーエンス製)、EDX;エネルギー分散型X線分析装置、EDX−Genesis2000(エダックスジャパン社製))を用いて観察した。この観察により、導電材料の露出部の直径およびフィラー個数を測定した結果、導電材料の露出部の直径は2μm、フィラー個数は3.8×10−3(個/μm)であった。
<正極の形成>
正極活物質として、LiNiO(平均粒子径:5μm)86質量%、導電助剤としてアセチレンブラック 6質量%、およびバインダとしてPVdF 8質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるNMPを適量添加して、正極スラリーを作製した。
上記正極スラリーを、大きさが80mm×80mmであり、厚さが20μmであるアルミニウム箔の片面にコーターで塗布し、乾燥させて、厚さ30μmの正極活物質層を形成した。その後、ローラプレス機により圧延し、正極を完成させた。
<負極の形成>
負極活物質として、ハードカーボン(平均粒子径:20μm)85質量%、導電助剤としてアセチレンブラック 5質量%、およびバインダとしてPVdF 10質量%からなる固形分を用意した。この固形分に対し、スラリー粘度調整溶媒であるNMPを適量添加して、負極スラリーを作製した。
上記負極スラリーを、80mm×80mmに切り出した集電体1の片面にコーターで塗布し、乾燥させて負極活物質層を形成した。その後、ローラプレス機により圧延し、負極を完成させた。
<二次電池の作製>
正極活物質層が形成されたアルミ箔のアルミ露出部分(電極未塗布部分)に、シール用シート(PP/PEN/PPを積層した3層構造品)を配置した。次に、セパレータとして、70mm×70mmのポリエチレン製微多孔膜を、正極活物質層が形成された電極を全て覆うように配置した。その後、セパレータ上に、正極上に配置したものと同サイズのシール用シートを配置し、その上から、集電体1の負極層面を正極側に向けて重ね、電解液注液口のみ残し、シールした。かようにして、正負極が対向する二次電池構造体を作製した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)とが1:1(体積比)で混合された混合溶媒に、リチウム塩であるLiPFが1.0Mの濃度で溶解した溶液を準備した。そして、上記の二次電池構造体へ電解液を含浸させ、真空条件下で電解液注液口をシールすることで、正極と負極とが対向した積層型二次電池を作製した。
(実施例2〜7、比較例2〜7)
下記表1に示す導電材料(フィラー)を用い、樹脂基材および導電材料の配合量を下記表2に示す量にしたこと以外は実施例1と同様にして正極と負極とが対向した積層型二次電池を作製した。
<充放電サイクル特性の評価>
上記で作製した実施例1〜7および比較例1〜7の積層型二次電池について、充放電サイクル特性の評価を行った。充放電過程は、25℃の雰囲気下、定電流定電圧方式(CCCV、電流:1C、2時間)で4.2Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:1C)で2.5Vまで放電し、放電後10分間休止させるまでを1サイクルとした。20サイクルの充放電試験を行い、放電容量維持率を調べた。結果を下記表2に示す。なお、表2において、「放電容量維持率」は、1サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の割合を表す(百分率表示)。
Figure 2011060560
Figure 2011060560
[双極型二次電池の作製]
(実施例8)
<樹脂集電体の作製>
NMPに溶解したポリアミック酸(U−ワニスA、宇部興産株式会社製)を固形分換算で59質量部、およびニッケルパウダ(INCO type ニッケルパウダ287、INCO社製)53質量部を混合した。この混合物を厚さ20μmの平滑なアルミ箔上に塗布し乾燥した(乾燥温度:100℃、乾燥時間:60分)。さらに真空下で2段階の熱処理を行った。1段目の熱処理は、150℃で5分間行い、2段目の熱処理は500℃で5分間行った。これにより、厚さ100μmのニッケルフィラー入りポリイミドアルミ箔複合フィルム(以下、集電体15と称する)を得た。
得られた集電体15の表面を、SEM−EDX(SEM:VE−8800(株式会社キーエンス製)、EDX:EDX−Genesis2000(エダックスジャパン株式会社製))で観察した。この観察により、露出部の導電材料の直径およびフィラー個数を測定した結果、導電材料の露出部の直径は2μm、フィラー個数は4.1×10−3(個/μm)であった。
<電極および双極型二次電池の作製>
実施例1と同様の方法で調製した負極スラリーを、80mm角の大きさに切り出した集電体15のポリイミドの一方の面の中心部分へ、55mm角に塗布し、乾燥・プレスさせることによって、厚さ60μmの負極活物質層を形成した。また、負極活物質を塗布した面とは反対のアルミ箔面の中心部分へ、正極スラリーを50mm角に塗布し、乾燥・プレスさせることで厚さ30μmの正極活物質層を形成した。かようにして正極活物質層および負極活物質層が集電体15の表裏にそれぞれ塗布された双極型電極を1枚得た。同様に、正極および負極が集電体15の表裏にそれぞれ塗布された双極型電極を3枚準備した。
集電体15の正極活物質層が形成された面のアルミ露出部分(電極未塗布部分)に、シール用シート(PP/PEN/PPを積層した3層構造品)を配置した。次に、セパレータとして、70mm×70mmのポリエチレン製微多孔膜を正極活物質層が形成された電極が全て覆われるように配置した。その後、セパレータ上に正極上に配置したものと同サイズのシール用シートを配置し、その上から、集電体15の負極層面を正極側に向けて重ねた。かようにして、双極型電極、セパレータ、双極型電極、セパレータ、双極型電極の順に、双極型電極4枚をセパレータを介して積層し、電解液注液口のみ残しシールすることによって、単電池層が3個積層された双極型二次電池構造体を作製した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)が1:1(体積比)で混合された混合溶媒に、リチウム塩であるLiPFが1.0Mの濃度に溶解した溶液を準備した。そして、上記の双極型二次電池構造体へ電解液を含浸させ、真空条件下で電解液注液口をシールすることで、単電池層が3個積層された双極型二次電池を作製した。
(実施例9)
<樹脂集電体の作製>
NMP溶解ポリアミック酸(U−ワニスA:宇部興産製)を固形分で57質量部、ステンレスビーズ(BPS150)55質量部を混合し、20μmの平滑なアルミ箔上に塗布乾燥した。その後、アルミ箔の未塗布面側に同様のポリアミック酸−ステンレスビーズ混合物を塗布し乾燥した(乾燥温度:100℃、乾燥時間:60分)。さらに真空下で2段階の熱処理を行った。1段目の熱処理は、150℃で5分間行い、2段目の熱処理は500℃で5分間行った。これにより、200μmのステンレスビーズ入りポリイミドアルミ箔複合フィルム(以下、集電体16と称する)を得た。
得られた集電体16の表面を、SEM−EDX(SEM:VE−8800(株式会社キーエンス製)、EDX:EDX−Genesis2000(エダックスジャパン社製))で観察した。この観察により、露出部の導電材料の直径およびフィラー個数を測定した結果、導電材料の露出部の直径は85μm、フィラー個数は4.6×10−6(個/μm)であった。
<電極および双極型二次電池の作製>
実施例1で調製した負極スラリーを80mm角に切り出した集電体16の中心部分へ、55mm角に塗布し、乾燥・プレスさせることによって、厚さ60μmの負極活物質層を形成した。また、負極活物質を塗布した面とは反対面の中心部分へ正極スラリーを50mm角に塗布し、乾燥・プレスさせることで厚さ30μmの正極活物質層を形成した。かようにして正極活物質層および負極活物質層が集電体16の表裏にそれぞれ塗布された集電体16を1枚得た。同様に正負極が集電体16の表裏にそれぞれ塗布された集電体16をもう3枚準備した。
集電体16の正極活物質層が形成された面の導電性を有する樹脂層の露出部分(電極未塗布部分)に、シール用シート(PP/PEN/PPを積層した3層構造品)を配置した。次に、セパレータとして、70mm×70mmのポリエチレン製微多孔膜を、正極活物質層が形成された電極が全て覆われるように配置した。その後、セパレータ上に正極上に配置したものと同サイズのシール用シートを配置し、その上から、集電体15の負極層面を正極側に向けて重ねた。このようにして、双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)・セパレータ・双極型電極(負極活物質層・集電体・正極活物質層)・・・セパレータ・・・・の順番で、双極型電極4枚をセパレータを介して積層した。その後、電解液注液口のみ残しシールすることによって、単電池層が3個積層された双極型二次電池構造体を作製した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)が1:1(体積比)で混合された混合溶液に、リチウム塩であるLiPFが1.0Mの濃度に溶解した溶液を準備した。そして、上記の二次電池構造体へ電解液を含浸させ、真空条件下で電解液注液口をシールすることで、単電池層が3個積層された双極型二次電池を作製した。
<充放電サイクル特性の評価>
上記実施例8および9で作製した双極型二次電池について、充放電サイクル特性を評価した。充放電過程は、25℃の雰囲気下、定電流定電圧方式(CCCV、電流:1C、2時間)で12.6Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:1C)で7.5Vまで放電し、放電後10分間休止させるまでを1サイクルとした。20サイクルの充放電試験を行い、放電容量維持率を調べた。結果を下記表3および表4に示す。なお、表4において、「放電容量維持率」は、1サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の割合を表す(百分率表示)。
Figure 2011060560
Figure 2011060560
(実施例10)
<樹脂集電体の作製>
NMPに溶解したポリアミック酸(U−ワニスA、宇部興産株式会社製)を固形分換算で57質量部、およびステンレスビーズ(BPS150)55質量部を混合した。この混合物を、厚さ10μmの平滑な銅箔上に塗布し乾燥した(乾燥温度:100℃、乾燥時間:60分)。さらに真空下で2段階の熱処理を行った。これにより、厚さ100μmのニッケルフィラー入りポリイミド銅箔複合フィルム(以下、集電体17と称する)を得た。
得られた集電体17の表面をSEM−EDX(SEM:VE−8800(キーエンス製)、EDX:EDX−Genesis2000(エダックスジャパン製)により観察した。この観察により、露出している導電材料の直径およびフィラー個数を測定した結果、導電材料の直径は60μm、フィラー個数が4.6×10−6(個/μm)であった。
<電極および双極型二次電池の作製>
実施例1と同様の方法で調製した負極スラリーを、集電体17のポリイミド面および銅箔面の両方に塗布し、乾燥・プレスすることによって、厚さ60μmの負極活物質層が両面に配置された負極を作製した。作製した負極は、集電用のタブ部を残し、55mm角にカットした。この電極を「電極a」と称する。また、実施例1と同様の方法で調製した正極スラリーを、アルミ箔の両面に塗布し、乾燥・プレスすることにより厚さ30μmの正極活物質層が両面に配置された正極を作製した。作製した正極は、集電用のタブ部を残し、50mm角にカットした。この電極を「電極b」と称する。また、集電体17のポリイミド側にのみ負極スラリーを塗布し、乾燥・プレスすることにより厚さ60μmの負極活物質層が片面に配置された大きさ55mm角の負極を準備した。この電極を「電極c」と称する。さらに、アルミ箔の片面にのみ正極スラリーを塗布し、乾燥・プレスすることにより厚さ30μmの正極活物質層が片面に配置された大きさ50mm角の正極を準備した。この電極を「電極d」と称する。
電極dの電極層塗布面上に、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜を正極活物質層が全て覆われるように配置した。次に、そのセパレータの上に、電極a、セパレータ、電極b、セパレータの順で積層した後、電極cの電極層塗布面がセパレータ側になるように配置した。得られた積層体の外側をアルミラミネートで覆うことにより、正極および負極の対向部分が3箇所あるリチウムイオン二次電池構造体を作製した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)が1:1(体積比)で混合された混合溶媒に、リチウム塩であるLiPFが1.0Mの濃度に溶解した溶液を準備した。そして、上記の二次電池構造体へ電解液を含浸させ、真空条件下で電解液注液口をシールすることで、3層構造のリチウムイオン二次電池を作製した。
(実施例11)
<樹脂集電体の作製>
NMPに溶解したポリアミック酸(U−ワニスA、宇部興産株式会社製)を固形分換算で59質量部、およびニッケルパウダ(ニッケルパウダ287、INCO社製)53質量部を混合した。この混合物を、20μmの平滑なアルミ箔上に塗布し乾燥した(乾燥温度:100℃、乾燥時間:60分)。アルミ箔の未塗布面側に、同様にポリアミック酸およびニッケルパウダの混合スラリーを塗布し乾燥した後、さらに真空下で2段階の熱処理を行った。1段目の熱処理は、150℃で5分間行い、2段目の熱処理は500℃で5分間行った。これにより、厚さ200μmのニッケルパウダ入りポリイミドアルミ箔複合フィルム(以下、集電体18と称する)を得た。
得られた集電体18の表面を、SEM−EDX(SEM:VE−8800(株式会社キーエンス製)、EDX:EDX−Genesis2000(エダックスジャパン株式会社製))で観察した。露出している導電材料(ニッケルパウダ)の直径、および単位面積当たりの導電材料の個数を測定した結果、導電材料の直径は2μm、単位面積当たりの導電材料の個数は4.1×10−3(個/μm)であった。
<電極および双極型二次電池の作製>
実施例1と同様の方法で調製した負極スラリーを、集電体18の両面に塗布し、乾燥・プレスさせることにより、厚さ60μmの負極活物質層が両面に配置された負極を作製した。作製した負極は、集電用のタブ部を残し55mm角にカットした。この電極を「電極e」と称する。また、実施例1と同様の方法で調製した正極スラリーを、アルミ箔の両面に塗布し、乾燥・プレスすることにより、厚さ30μmの正極活物質層が両面に配置された正極を作製した。作製した正極は、集電用のタブ部を残し、50mm角にカットした。この電極を「電極b」と称する。また、集電体18の片側のみに負極スラリーを塗布し、乾燥・プレスすることによって、厚さ60μmの負極活物質層が片面に配置された大きさ55mmにカットした負極を準備した。この電極を「電極f」と称する。さらに、アルミ箔の片面に正極スラリーを塗布し、乾燥・プレスすることによって厚さ30μmの正極活物質層が片面に配置された50mm角の正極を準備した。この電極を「電極d」と称する。
電極dの電極層塗布面上に、セパレータとしてポリエチレン製微多孔膜を正極活物質層が全て覆われるように配置した。次に、そのセパレータの上に、電極e、セパレータ、電極b、セパレータの順で積層した後、電極fの電極層塗布面がセパレータ側になるように配置した。得られた積層体の外側をアルミラミネートで覆うことにより、正極および負極の対向部分が3箇所あるリチウムイオン二次電池構造体を作製した。
電解液として、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)が1:1(体積比)で混合された混合溶媒に、リチウム塩であるLiPFが1.0Mの濃度に溶解した溶液を準備した。そして、上記の二次電池構造体へ電解液を含浸させ、真空条件下で電解液注液口をシールすることで、3層構造のリチウムイオン二次電池を作製した。
<充放電サイクル特性の評価>
上記実施例10および実施例11で作製したリチウムイオン二次電池について、充放電サイクル特性を評価した。充放電過程は、25℃の雰囲気下、定電流定電圧方式(CCCV、電流:1C、2時間)で12.6Vまで充電し、10分間休止させた後、定電流(CC、電流:1C)で7.5Vまで放電し、放電後10分間休止させるまでを1サイクルとした。20サイクルの充放電試験を行い、放電容量維持率を調べた。結果を下記表5および表6に示す。なお、表6において、「放電容量維持率」は、1サイクル目の放電容量に対する20サイクル目の放電容量の割合を表す(百分率表示)。
Figure 2011060560
Figure 2011060560
上記表1〜6から明らかなように、実施例1〜11の場合は良好な放電容量維持率であった。一方、導電材料の露出部の外周の合計が範囲外である比較例の場合は、低い放電容量維持率となった。また、比較例2の場合、導電材料の露出部の直径が樹脂基材の厚みより大きいため、導電材料が脱落して液絡を起し、放電容量が測定不可となった。比較例5および7の場合、フィラー個数が少なすぎるため、抵抗の高い集電体となり、電池動作ができなかった。比較例3の場合、フィラー個数が多すぎるため、リチウムイオン吸蔵による電池容量の低下が大きく、放電容量維持率が低下した。以上の結果より、導電材料が露出した樹脂集電体を適用することで、導電材料と樹脂基材との接触界面を減らして電気化学的に活性な樹脂を減らすことができ、集電体へのリチウムイオンの吸蔵量を減らし、サイクル特性を向上することができることがわかった。
1a、2a、3a、4a、5a 樹脂基材、
1b、2b、3b、4b、5b 導電材料、
2c、3c、4c、5c 金属層、
5d 導通改善層、
10a、10b、50 双極型リチウムイオン二次電池、
11 集電体、
11a 正極側の最外層集電体、
11b 負極側の最外層集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 電解質層、
19 単電池層、
21、57 発電要素、
23 双極型電極、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
29 ラミネートフィルム、
31 シール部、
58 正極タブ、
59 負極タブ。

Claims (7)

  1. 樹脂基材および導電材料を含むリチウムイオン二次電池用集電体であって、
    前記導電材料が前記樹脂基材の少なくとも一方の表面から露出しており、かつ前記導電材料の露出部の外周の合計(A)が下記数式1の範囲である、リチウムイオン二次電池用集電体。
    Figure 2011060560
  2. さらに下記数式2の関係を満たす、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用集電体:
    Figure 2011060560
    前記数式2中、aは樹脂基材1層あたりの厚さであり、xは導電材料の体積抵抗率であり、yは導電材料の露出部の長径である。
  3. 前記導電材料の平均粒子径が、前記樹脂基材の1層あたりの厚さ以下である、請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
  4. 前記樹脂基材の少なくとも一方の表面に金属層を備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
  5. 前記樹脂基材の両方の表面に金属層を備える、請求項4に記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
  6. 双極型電池用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池用集電体。
  7. 請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用集電体を含む、双極型電池。
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