JP2011060465A - リチウムイオン二次電池用黒鉛材料およびその製造方法 - Google Patents

リチウムイオン二次電池用黒鉛材料およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低い比表面積を有し、電極密度、初期効率、負荷特性などの性能に優れたリチウムイオン二次電池用黒鉛材料、並びに、該リチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料は、天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子が加圧処理された加圧黒鉛粒子の表面に炭化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする。本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法は、天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子を加圧処理して加圧黒鉛粒子を得る加圧工程;得られた加圧黒鉛粒子を炭素物質前駆体により被覆した後、熱処理して炭素被覆する被覆工程を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池用黒鉛材料およびその製造方法に関するものである。
従来、リチウムイオン二次電池においては、安全性を向上させる方法として、負極材に比表面積の小さい材料を用いることにより、負極材表面での電解液の分解を抑制することがなされている。特に、人造黒鉛と比較して比表面積が大きい傾向にある天然黒鉛の場合、表面をピッチなどの炭素源で被覆した後、熱処理を行うなどの方法により、比表面積を低減させてから負極材として使用する方法がとられている。
このような負極材あるいはその製造方法として、例えば、特許文献1には、生成温度以上かつ2000℃以下の範囲の温度で成長したメソカーボンマイクロビーズ、および炭素材料の少なくとも一方からなる炭素系材料に対して、フリーカーボンを含むピッチ、キノリンに不溶である成分を2%以上含有したピッチ、またはポリマーのうちいずれか1種類からなる被覆材料を混合する工程と、前記被覆材料を混合した前記炭素系材料に黒鉛化を施す工程とを含むことを特徴とする炭素系負極材料の製造方法が記載されている。特許文献2には、黒鉛粒子の表面に結晶性炭素の被覆層が形成された平均粒子径が100μm以下の負極材料であって、前記黒鉛粒子がその内部に褶曲した積層構造を有することを特徴とするリチウム二次電池用負極材料が記載されている。
特許文献3には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水系二次電池の負極用黒鉛粒子がリン状またはリン片状の天然黒鉛粒子から構成される塊状黒鉛粒子群であり、該塊状黒鉛粒子群が、(ア)レーザー光回折法による累積50%径(D50径)が10〜25μm、窒素ガス吸着法による比表面積が2.5〜5m2/g、静置法による見掛け密度が0.45g/cm3以上、タップ法による見掛け密度が0.70g/cm3以上;(イ)前記タップ法による見掛け密度は静置法による見掛け密度の1.3倍〜2.0倍の範囲;(ウ)ラマン分光分析の1,350cm-1付近に現れるDピークと1,580cm-1付近に現れるGピークの面積強度比(ID/IG)が0.1〜0.45の範囲;を具備していることを特徴とする非水系二次電池の負極用黒鉛粒子が記載されている。
特許文献4には、炭素質粉末に力学的エネルギーを加えることで球形化し、処理前後の見かけ密度比を1.1以上、処理前後のメディアン径比が1以下とする炭素質粉末を高充填化処理する工程から製造される、非水電解液二次電池の極板用の高充填性炭素粉末が記載されている。特許文献5には、処理前後の見かけ密度比を1.1以上、処理前後のメディアン径比が1以下となるように力学的エネルギー処理を行った炭素質あるいは黒鉛質粒子が記載されている。
特許文献6には、球形化黒鉛を等方的に加圧することを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極材料の製造方法が開示されている。
特開2001−332263号公報 特開2002−367611号公報 特開2003−168432号公報 特開2007−169160号公報 特開2007−191389号公報 特開2005−50807号公報
天然黒鉛の表面をピッチなどの炭素源で被覆する場合、充分に低い比表面積を得ようとすると表面被覆量が多くなり、その結果粒子の変形が困難となるため、負極材として使用する際の電極密度が低下するという問題がある。また、表面被覆量が多く変形が困難である粒子を無理に圧縮し変形させた場合には、粒子が破壊され比表面積が増大してしまい、初期効率の低下を引き起こし、さらに、粒子同士の結着力が低下して粒子間の導電性が悪くなりサイクル特性が低下するという問題がある。なお、天然黒鉛をそのまま使用した場合には、粒子が変形しやすく電極密度は向上するが、比表面積が高く初期効率が低くなる傾向があり、さらに、電解液の電極内部への通液性が悪くなり負荷特性が劣る傾向がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、電極密度、初期効率、負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池に好適なリチウムイオン二次電池用黒鉛材料、並びに、該リチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決することができた本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料は、天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子が加圧処理された加圧黒鉛粒子の表面に炭化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする。本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料により、電極密度、初期効率、負荷特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる理由は、加圧黒鉛粒子は内部の間隙が低減されているので、負極材料を高圧力でプレスして電極密度を高めた場合にも、粒子が破壊されにくいためと考えられる。
前記天然黒鉛球状化粒子としては、鱗片状天然黒鉛粒子を球状化したものが好適である。
本発明には、前記リチウムイオン二次電池用黒鉛材料を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極および、該リチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池も含まれる。
また、本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法は、天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子を加圧処理して加圧黒鉛粒子を得る加圧工程;得られた加圧黒鉛粒子を炭素物質前駆体により被覆した後、熱処理して炭素被覆する被覆工程を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料を用いることにより、電極密度、初期効率、負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池が得られる。
本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料および未加圧処理品を説明するための模式図である。 本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料および未加圧処理品の圧縮変形を説明するための模式図である。 球状化黒鉛を製造する装置を例示する模式図である。 円筒形リチウムイオン二次電池の内部構造を例示する斜視図である。 コイン型リチウムイオン二次電池の内部構造を例示する断面図である。
リチウムイオン二次電池用黒鉛材料
本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料(以下、単に「黒鉛材料」と称することがある。)は、天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子(以下、「改質粒子」と称することがある。)が加圧処理された加圧黒鉛粒子の表面に炭化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料により、電極密度、初期効率、負荷特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られる理由は、必ずしも明らかでないが、以下のように考えられる。
以下、図1、図2を参照して、本発明の黒鉛材料と未加圧処理品との違いを説明する。図1は、本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料および未加圧処理品を説明するための模式図である。図2は、本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料および未加圧処理品の圧縮変形を説明するための模式図である。
図1に示すように、天然黒鉛球状化粒子21はその内部に多くの空隙22を有している。そして、未加圧処理品では、天然黒鉛球状化粒子21をそのまま用いて、その表面に炭化物からなる被覆層23を形成しているため、得られる黒鉛材料は多くの空隙22を有している。これに対して、本発明の黒鉛材料では、天然黒鉛球状化粒子21を加圧処理して加圧黒鉛粒子24とした後、該加圧黒鉛粒子24の表面に炭化物からなる被覆層23を形成している。そのため、本発明の黒鉛材料は内部の空隙22が低減されている。
そして、図2に示すように、未加圧処理品を用いた場合、黒鉛材料が内部に多くの空隙22を有しているため、通常の圧力による圧縮では電極材の密度が低いため電極密度が向上しない。また、電極密度を向上させるために電極材を高圧力で圧縮すると、黒鉛材料内部の空隙が押し潰され黒鉛材料が大きく変形する。この際、表面に形成された炭化物からなる被覆層23が破壊されてしまうため、黒鉛材料の比表面積が増大して初期効率の低下を引き起こし、また、表面に生じた亀裂により隣接する粒子との結着力が低下し導電性が低下して負荷特性、サイクル特性の低下を引き起こす。
これに対して、本発明の黒鉛材料を用いた場合、黒鉛材料内部の空隙が低減されているため、通常の圧力による圧縮でも電極材の密度が高くなり高い電極密度が得られる。また、さらに高圧力で圧縮した場合でも、黒鉛材料が大きく変形しすぎず炭化物からなる被覆層23が破壊されない。そのため、本発明の黒鉛材料を用いることにより、電極密度、初期効率、負荷特性に優れるリチウムイオン二次電池が得られると考えられる。
本発明に用いられる改質粒子は、天然黒鉛が球状化されている粒子および/または天然黒鉛が塊状化されている粒子であれば特に限定されず、例えば、鱗片状天然黒鉛粒子を球状化したものが好ましい。前記改質粒子としては、鱗片状天然黒鉛粒子がランダム状にあるいはキャベツ状に結球した天然黒鉛球状化粒子、鱗片状天然黒鉛粒子を粉砕して再凝集した天然黒鉛球状化粒子などを使用することがより好ましい。また、前記改質粒子としては、鱗片状天然黒鉛粒子を球形に近づくように、かつ元となる鱗片状天然黒鉛粒子の層状構造を含みながらもその構造がキメラ状になるように改質した天然黒鉛球状化粒子が特に好ましい。
前記鱗片状天然黒鉛粒子を球状化した粒子は、形状が球形に近づいておりかつ鱗片状の単位を有しながらも独特のランダム配向性を有している。そのため、この球状化粒子を用いてスラリーを調製すると、スラリー化時の溶媒量が少量であっても粘度が低く流動性が保たれるため、スラリーの固形分濃度を高くすることができる。また、この球状化粒子は長期間スラリーの状態で保管しても沈降し難く、たとえ沈降しても粒子が丸いため空間を保って完全には凝固しないので、使用時に簡単な撹拌を行うだけで再スラリー化が容易に達成できる。また、前記天然黒鉛球状化粒子は、鱗片状黒鉛に比べて等方性が高く、これを出発原料とすれば、等方性が一層高められた天然黒鉛粒子を含有する黒鉛材料が得られる。
前記改質粒子の平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上であり、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。前記改質粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、所望の平均粒子径を有する黒鉛材料を容易に得ることができる。ここで、本願において平均粒子径とは、水に分散させた試料を、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、島津製作所製の「SALD(登録商標)−2000」)により測定して、求められる体積基準メディアン径である。
前記加圧黒鉛粒子は、前記改質粒子を加圧処理することにより得られるものである。前記改質粒子を加圧処理する方法は、特に限定されず、例えば、熱間等方加圧処理、冷間等方加圧処理などを採用すればよい。なお、加圧処理方法については後記の製造方法において詳述する。
前記加圧黒鉛粒子の表面に炭化物からなる被覆層が形成されているとは、加圧黒鉛粒子表面の少なくとも一部が、炭素物質前駆体の炭化物により被覆されていることをいう。なお、炭化物からなる被覆層は、加圧黒鉛粒子表面の全体に形成されていることが好ましい。
前記炭素物質前駆体としては、例えば、石炭ピッチ、コールタールピッチ、石油系ピッチ、合成ピッチなどのピッチ;石油系油(石油系重質油の接触分解油、熱分解油、常圧残油、減圧残油など)、石炭系油などの重質油;ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレンなどの縮合多環芳香族を加熱加圧して得られるタール;塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、フェノール樹脂、芳香族ポリアミド、フルフリルアルコール樹脂、イミド樹脂などの樹脂;が挙げられる。これらの炭素物質前駆体は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、石炭ピッチ、コールタールピッチ、石油系ピッチ、合成ピッチなどのピッチが好ましく、石炭ピッチがより好ましい。
前記加圧黒鉛粒子を炭素被覆する方法は、特に限定されず、例えば、加圧黒鉛粒子を炭素質物質前駆体により被覆した後、熱処理する方法などが挙げられる。なお、炭素被覆処理方法については後記の製造方法において、詳述する。
本発明の黒鉛材料の平均粒子径は、5μm以上が好ましく、より好ましくは10μm以上であり、50μm以下が好ましく、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下である。前記平均粒子径が5μm以上であれば、黒鉛材料の比表面積をより低くすることができ、リチウムイオン二次電池の初期効率がより向上し、また、粒子間の通液性が良好となる。また、前記平均粒子径が50μm以下であれば、黒鉛材料の比表面積が低くなりすぎず反応面積が充分に確保することができ、得られるリチウムイオン二次電池用負極の急速充放電性がより良好となる。
本発明の黒鉛材料のBET比表面積は1.0m2/g以上が好ましく、より好ましくは1.5m2/g以上であり、6.0m2/g以下が好ましく、より好ましくは3.0m2/g以下である。BTE比表面積が1.0m2/g以上であれば、電解液との接触面積を十分に大きくすることができ、得られるリチウムイオン二次電池の急速充放電性がより良好となる。また、BET比表面積が6.0m2/g以下であれば、黒鉛材料の表面に生じる不動態膜の量を抑制することができ、得られるリチウムイオン二次電池の初期効率がより良好となる。
本発明の黒鉛材料において、前記加圧黒鉛粒子と被覆層(炭化後の炭素質物質)との比率(加圧黒鉛粒子/被覆層(合計100質量部))は、80質量部/20質量部〜99.5質量部/0.5質量部が好ましく、より好ましくは90質量部/10質量部〜99質量部/1質量部である。前記比率が80質量部/20質量部以上であれば、相対的に加圧黒鉛粒子の比率が高くなり、得られるリチウムイオン二次電池の放電容量がより向上する。また、前記比率が99.5質量部/0.5質量部以下であれば、加圧黒鉛粒子の表面が被覆層により十分に被覆され、黒鉛材料の比表面積がより低減されているため、得られるリチウムイオン二次電池の初期効率がより向上する。
ここで、加圧黒鉛粒子と被覆層との比率は、製造時の加圧黒鉛粒子と炭素質物質前駆体の仕込み量から算出するか、あるいは、炭素質物質と黒鉛の酸化雰囲気中での燃焼速度の違いを利用して、熱分析の測定データを解析することにより確認することができる。
リチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法
以下、本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法について詳細に説明する。本発明の製造方法は、天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子を加圧処理して加圧黒鉛粒子を得る加圧工程;得られた加圧黒鉛粒子を炭素物質前駆体により被覆した後、熱処理して炭素被覆する被覆工程を有することを特徴とする。
前記加圧工程では、前記改質粒子を加圧して加圧黒鉛粒子を得る。改質粒子を加圧処理することにより、改質粒子の粒子内空隙を低減させることができ、得られるリチウムイオン二次電池用負極の電極密度をより向上させることができると考えられる。
改質粒子としては、市販の天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子を使用してもよいが、天然黒鉛粒子から調製することもできる。改質粒子を製造する方法は特に限定されない。例えば、天然黒鉛球状化粒子は、本発明者らが先に提案した方法(特開平11−263612号)やこれに類似する方法で製造できる。以下、図面を参照して、天然黒鉛球状化粒子の製造方法の一例を説明する。
図3は、天然黒鉛球状化粒子の製造に用いられる装置の概略説明図であり、1は槽、2はフィーダー、3は対向ノズル、4は分級機、5は吹き上げノズルを夫々示している。鱗片状天然黒鉛(原料)を、槽1に設けられたフィーダー2から槽1内へ供給する。フィーダー2は、ホッパー式のものを槽1の適当箇所に設置することが好ましく、球状化黒鉛の取出口としても利用できる。また、フィーダー2は、スクリュー式のものを槽1の下部に設けてもよい。槽1内への原料供給量は、槽1の容量を考慮して定めればよい。
槽1の下部側には槽壁を貫通して対向ノズル3を設け、対向ノズル3からジェット気流を吹き込むことにより、槽1内の下部側に衝突域を形成する。衝突域の気流に入った前記鱗片状天然黒鉛粒子は互いに衝突し、凝集あるいは粉砕されながら再凝集して球状化する。対向ノズル3は、複数個(例えば、3個または4個)設けることが好ましい。対向ノズル3から吹き込むジェット気流の速度、吹き込みガス量、槽圧などは、円滑な衝突と流動が達成できるように設定され、操作時間を適宜に設定することにより鱗片状黒鉛粒子を球状化する。例えば、ノズル吐出圧は0.01MPa〜0.50MPa程度、吹き込みガス量は0.2Nm3/min〜1.0Nm3/min程度、槽圧は−10kPa〜30kPa程度、操作時間は1分〜100分程度とすればよい。これらの条件を適宜変更することにより、得られる改質粒子の平均粒子径を調整することができる。なお、対向ノズル3から吹き込むガスとしては空気や窒素、水蒸気などを用いればよく、また槽1内の温度は0℃〜60℃程度とすればよい。
槽1内では気体の対流が起こり、槽1の下部側の衝突域で互いに衝突して球状化した天然黒鉛粒子は、槽1内の対流に沿って上部側へ吹き上げられ、その後再び沈降する。すなわち、粒子は槽1の中心部近傍で吹き上げられ、槽1の壁際に沿って降下して、槽1内に循環流動が起こる。槽1の上部には、分級機4を設けることで分級限界以下の微粉を槽1外に排出できる。分級機4は、公知のものを設ければよいが、高速回転分級機を用いるのが通常である。このときの排出量は、原料として用いる鱗片状黒鉛の粒度によって異なる。上記の操作はバッチで行なうことが好ましく、槽1の底部に設けられた吹き上げノズル5から槽1内へ空気を送り込むと球状化天然黒鉛粒子をフィーダー2から回収できる。
なお、球状化黒鉛粒子の原料としては、鱗片状の天然黒鉛粒子を使用することができる。鱗片状天然黒鉛粒子は、一般に85%から99%を上まわる純度で入手できるのでそのまま用いればよい。必要に応じて、公知の方法でさらに純度を高めることも好ましい。原料となる鱗片状天然黒鉛粒子の粒度には種々のものがあるが、例えば、平均粒子径が10μm〜60μm程度の鱗片状天然黒鉛(原料)を用いるのがよい。
前記天然黒鉛球状化粒子の粒子形状は、サッカーボールやテニスボールの様な真球状のみならず、ラグビーボールの様な楕円体のものも含み、特に限定されないが、円形度が0.86程度以上のものであることが好ましい。但し、円形度は三次元の黒鉛粒子を二次元平面に投影して算出される指標であるので、例えば一般的に入手できる鱗片状天然黒鉛粒子の円形度を算出すると0.84程度になり、本発明で使用する球状化黒鉛の円形度と近似する。しかし、鱗片状黒鉛粒子(原料)が平面的な粒子であるのに対し、天然黒鉛球状化粒子の実際の形状は立体的であり全く異なる。なお、円形度は、次式のようにして求めることができる(特開平11−263612号参照)。
円形度=(相当円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
ここで、相当円とは、撮像した粒子像と同じ投影面積を持つ円であり、粒子投影像の周囲長とは、2値化された粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。
前記加圧処理方法は、特に限定されないが、例えば、ガス、液体などの加圧媒体を用いて、改質粒子を等方的に加圧する方法が好ましい。改質粒子を等方的に加圧する方法としては、例えば、高温で等方的に加圧する熱間等方加圧処理(Hot Isostatic Pressing)、水もしくはアルゴンなどを加圧媒体として用いて、室温で等方的に加圧する冷間等方加圧処理(Cold Isostatic Pressing)などが挙げられ、特に、改質をアルミ製ラミネートに入れて冷間等方加圧処理する方法が好適である。
加圧処理を行う際の圧力は50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは200MPa以上である。加圧圧力が200MPa以上であれば、改質粒子中の空隙を十分に低減させることができる。
前記加圧処理を施した改質粒子は解砕することが好ましい。得られた成形体を解砕することによって、高密度化された改質粒子が得られる。なお、加圧処理に際してバインダーを使用していないので、わずかの剪断力を付与するだけで容易に解砕できる。解砕の方法は特に限定されないが、例えば、撹拌羽根を有する撹拌機を用いて行うことができ、通常のジェットミル、振動ミル、ピンミル、ハンマーミルなどの公知の粉砕機を使用してもよい。また、解砕不足を防止するため、解砕後の改質粒子は篩を通過させることが好ましい。
前記被覆工程では、得られた加圧黒鉛粒子を炭素物質前駆体により被覆した後、熱処理することにより、加圧黒鉛粒子の表面を炭素被覆して、比表面積を低減させる。比表面積を低減させることにより、リチウムイオン二次電池に用いた際に、負極材料の表面に生じる不動態膜の量を抑制することができ、得られるリチウムイオン二次電池の初期効率がより良好となる。
前記加圧黒鉛粒子を炭素物質前駆体により被覆する方法としては、特に限定されないが、加圧黒鉛粒子と炭素物質前駆体とを混合する方法が簡便である。加圧黒鉛粒子と炭素物質前駆体とを混合する方法としては、例えば、炭素物質前駆体を溶融させた状態で混合する方法;炭素物質前駆体を溶媒に溶解させた後、混合する方法などの従来用いられる方法が挙げられる。これらの中でも、加圧黒鉛粒子の表面をより均一に被覆することができることから、炭素物質前駆体を溶媒に溶解させた後、加圧黒鉛粒子と混合する方法が好ましい。なお、炭素物質前駆体を溶解させる溶媒は、用いる炭素物質前駆体を溶解し得るものであれば特に限定されない。炭素物質前駆体として、石炭ピッチを用いる場合、溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドンなどを用いればよい。
前記熱処理を行う際の加熱温度は800℃以上が好ましく、より好ましくは1000℃以上であり、2800℃以下が好ましく、より好ましくは2000℃以下、さらに好ましくは1500℃以下である。また、熱処理を行う際の加熱時間は0.5時間以上が好ましく、より好ましくは1.0時間以上、さらに好ましくは2.0時間以上である。なお、熱処理時の雰囲気は、アルゴン、ヘリウム、窒素などの不活性ガス雰囲気が好ましい。
リチウムイオン二次電池用負極
本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、上述した本発明のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料を用いたことを特徴とする。本発明のリチウムイオン二次電池用負極は、例えば、上記黒鉛材料と電極作製用バインダーとを水あるいは有機溶剤に分散させたスラリーを銅箔などの集電体に塗布した後、乾燥しプレスすることにより得られる。前記電極作製用バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体などのフッ素系高分子化合物;カルボキシメチルセルロース、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどが挙げられる。
本発明のリチウムイオン二次電池用負極の電極密度は、1.0g/cm3以上が好ましく、より好ましくは1.2g/cm3以上、さらに好ましくは1.4g/cm3以上であり、2.0g/cm3以下が好ましく、より好ましくは1.9g/cm3以下、さらに好ましくは1.8g/cm3以下である。前記電極密度が1.0g/cm3以上であれば、得られるリチウムイオン二次電池の電池容量がより向上する。また、前記電極密度が2.0g/cm3以下であれば、黒鉛材料粒子間の通液性がより良好となり、得られるリチウムイオン二次電池の急速充放電性がより良好となる。
リチウムイオン二次電池
本発明のリチウムイオン二次電池は、上記本発明の負極を使用することを特徴とする。本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明の負極を用いたものであれば、特に限定されず、例えば、円筒(乾電池)型、角型、ボタン型、コイン型などの形状を有することができる。図4は、円筒(乾電池)型のリチウムイオン二次電池の内部構造を例示する斜視図であり、シート状の正極体14と負極体15との間にセパレータ16を挟んで渦巻状に巻いたスパイラル構造になっている。図5は、コイン型のリチウムイオン二次電池を例示する断面図であり、正極体14と負極体15と電解液とを備え、正極体14と負極体15とはセパレータ16によって分離されており、リチウムイオンが、電解液を介して正極体と負極体とを行き来することにより、起電反応が行われる。
リチウムイオン二次電池における正極材料としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiNi1-yCoy2、LiMnO2、LiMn24、LiFeO2などのリチウム複合酸化物などが挙げられる。これらの中でも好ましいのは、リチウムコバルト複合酸化物である。正極用のバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやポリ四フッ化エチレンなどを挙げることができる。電解液としては、エチレンカーボネート、メチルエチルカーボネートなどの有機溶媒や、該有機溶媒と、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1、2−ジエトキシメタン、エトキシメトキシエタンなどの低沸点溶媒との混合溶媒に、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiCF3SO3、LiAsF6などの電解液溶質(電解質塩)を溶解した溶液が用いられる。また、電解液の代わりに固体電解質を使用してもよい。正極体と負極体とを分離するセパレータとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンを主成分とした不織布、クロス、微孔フィルムなどを用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、前・後記の趣旨に適合しうる範囲で適宜変更して実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[評価方法]
1.平均粒子径
レーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所製、「SALD(登録商標)−2000」)を用いて測定を行い、体積基準メディアン径を求めた。
2.比表面積
比表面積測定装置(Micromeritics社製、「ASAP 2405」)を用いて、BET法による比表面積を測定した。
3.圧縮密度
黒鉛材料0.32gを、内径13mmのステンレス鋼製シリンダーに充填した。次に、前記ステンレス鋼製シリンダーと略同一径の内筒を用いて、充填した黒鉛材料を圧力29MPaで60秒間加圧した。加圧を解除した後、シリンダーに充填された負極材料の高さを測定し、圧縮密度(g/cm3)を算出した。
4.圧縮後の比表面積
黒鉛材料0.32gを、内径13mmのステンレス鋼製シリンダーに充填した。次に、前記ステンレス鋼製シリンダーと略同一径の内筒を用いて、シリンダーに充填された黒鉛材料の高さが約1.7mm(圧縮密度1.4(g/cm3))または約1.5mm(圧縮密度1.6(g/cm3))となるまで加圧し、ペレットを得た。得られたペレットを解砕し、比表面積測定装置(Micromeritics社製、「ASAP 2405」)を用いて、BET法により、黒鉛材料の圧縮後の比表面積を測定した。
5.電極密度(150MPa)
黒鉛材料100質量部に、CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液(濃度2.0質量%)50質量部、SBR(スチレンブタジエンゴム)分散液(SBR含有率;5.0質量%、溶媒;水)20質量部、純水30質量部を添加した後、撹拌機を用いて10分間撹拌し電極材スラリーを調製した。
得られたスラリーを銅箔上に塗布した後、100℃の乾燥機で乾燥することにより電極材付着量10mg/cm2の電極を得た。この電極材を圧力150MPaで10秒間加圧した後、電極材層の厚みをマイクロメータにより測定した。電極密度(150MPa)を、下記式(1)により算出した。
Figure 2011060465
6.初期効率
電池の充電を、電流密度0.14mA/cm2(0.2C)の定電流値で電圧が0.07Vになるまで行い、続けて、0.07Vの定電圧で電流値が0.01mAになるまで行った。次に、電池の放電を、電流密度0.14mA/cm2(0.2C)の定電流値で電圧が1.0Vになるまで行った。なお、電池の充放電は、25℃で行った。電池の初期効率を、一回目の充電容量と一回目の放電容量から下記式(2)により算出した。
Figure 2011060465
7.負荷特性
電池の充電を、電流密度0.14mA/cm2(0.2C)の定電流値で電圧が0.07Vになるまで行い、続けて、0.07Vの定電圧で電流値が0.01mAになるまで行った。次に、電流密度0.14mA/cm2(0.2C)の定電流値で電圧が1.0Vになるまで放電を行い、放電容量を測定した。続いて、上記と同様にして電池の充電を行った後、電流密度14.0mA/cm2(2.0C)の定電流値で電圧が1.0Vになるまで放電を行い、放電容量を測定した。なお、電池の充放電は、25℃で行った。
電池の負荷特性を、下記式(3)により算出した。
Figure 2011060465
リチウムイオン二次電池用黒鉛材料の作製
製造例1
平均粒子径20μmの鱗片状天然黒鉛をカウンタージェットミル「ホソカワミクロン社製、型式「100AFG」)を用いて、試料量200g、ノズル吐出空気圧0.20MPa、操作時間20分の条件で球状化し、平均粒子径12μmの球状化黒鉛粒子を得た。
得られた球状化黒鉛粒子200gを、アルミ製ラミネートに入れた後、静水圧圧縮装置(日本研究開発社製)を用いて、200MPa、5分間、冷間静水圧成形処理(等方加圧処理)を行い、加圧黒鉛粒子を得た。
得られた加圧黒鉛粒子90質量部、炭素質物質前駆体としての石炭ピッチ(Volatile Matter40質量%)10質量部およびNMP(N−メチルピロリドン)(キシダ化学社製、一級試薬)20質量部を撹拌混合した。得られた混合物を窒素雰囲気下、1300℃で2時間加熱することにより炭素被覆処理を行った。得られた炭素被覆黒鉛を解砕し、目開き38μmの篩を通過させることにより黒鉛材料Aを得た。得られた黒鉛材料Aについての評価結果を表1に示した。
製造例2
炭素被覆処理において、原料仕込み量を、加圧黒鉛粒子95質量部、石炭ピッチ5質量部、NMP20質量部に変更したこと以外は製造例1と同様にして黒鉛材料Bを得た。得られた黒鉛材料Bについての評価結果を表1に示した。
製造例3
球状化黒鉛粒子を加圧処理しなかったこと以外は製造例1と同様にして、すなわち、球状化黒鉛粒子に対して炭素被覆処理を行って、黒鉛材料Cを得た。得られた黒鉛材料Cについての評価結果を表1に示した。
製造例4
球状化黒鉛粒子を、加圧処理および炭素被覆処理しなかったこと以外は製造例1と同様にして黒鉛材料Dを得た。すなわち、球状化黒鉛粒子をそのまま黒鉛材料Dとして用いた。得られた黒鉛材料Dについての評価結果を表1に示した。
Figure 2011060465
球状化黒鉛粒子を加圧処理した加圧黒鉛粒子の表面に炭化物からなる被覆層を形成した黒鉛材料AおよびBは、比表面積が十分に低減されており、また、29MPaでの圧縮により高い圧縮密度が得られた。さらに、これらの黒鉛材料AおよびBを用いてリチウムイオン二次電池用負極を作製した場合、圧力150MPaでの圧縮で1.60g/cm3以上の電極密度を達成できた。
黒鉛材料Cは、球状化黒鉛粒子を加圧処理することなく、その表面に炭化物からなる被覆層を形成した場合であるが、比表面積は十分に低減されているものの、29MPaでの圧縮では圧縮密度が低かった。また、この黒鉛材料Cを用いてリチウムイオン二次電池用負極を作製した場合、圧力150MPaでの圧縮では電極密度は1.50g/cm3と低い値であった。
黒鉛材料Dは、球状化黒鉛粒子をそのまま用いた場合であるが、表面を炭素被覆しておらず粒子が変形しやすいため、29MPaでの圧縮による圧縮密度およびリチウムイオン二次電池用負極を作製した際の圧力150MPaでの圧縮による電極密度はいずれも高かった。しかし、この黒鉛材料Dでは、炭素被覆していないため、比表面積が非常に高かった。
また、加圧黒鉛粒子に被覆層を形成した黒鉛材料Aと、球状化黒鉛粒子を加圧処理することなく被覆層を形成した黒鉛材料Cとを比較すると、圧縮前の比表面積はそれぞれ1.8m2/g、2.2m2/gであり、その差はわずか0.4m2/gである。しかしながら、圧縮密度1.6g/cm3にまで圧縮した後の比表面積は、それぞれ4.1m2/g、4.9m2/gであって、その差は0.8m2/gであり、黒鉛材料Aの方が比表面積の増加が抑制されていることがわかる。このことから、負極の電極密度をより高めた場合には、黒鉛材料Aの方が、黒鉛材料Cに比べて、黒鉛材料の比表面積の増大が小さく、得られるリチウムイオン二次電池の初期効率がより優れることが推測される。
リチウムイオン二次電池用負極の作製
黒鉛材料A〜Dを用いて、リチウムイオン二次電池用負極A〜Dを次のようにして作製した。まず、黒鉛材料100質量部、CMC(カルボキシメチルセルロース)水溶液(濃度2.0質量%)50質量部、SBR(スチレンブタジエンゴム)分散液(SBR含有率;5.0質量%、溶媒;水)20質量部、純水30質量部を、撹拌機を用いて10分間撹拌し電極材スラリーを調製した。
得られた電極材スラリーを銅箔(厚み;18μm)上に塗布した後、100℃に設定した乾燥機で乾燥することにより電極材付着量10mg/cm2、電極材面積2.0cm2の電極を得た。この電極材を、プレス機を用いて加圧することにより、電極材の密度を1.6g/cm3に調製し、リチウムイオン二次電池用負極を得た。
リチウムイオン二次電池の作製
得られたリチウムイオン二次電池用負極A〜Dを用いて、リチウムイオン二次電池を次のようにして作製した。リチウムイオン二次電池用負極を作用極とし、対極および参照極に金属リチウムを用いて3電極式セルを組み立てた。電解液としては、1M LiPF/(EC+MEC)を用いた。ここで、1M LiPF/(EC+MEC)とは、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)を容積比1:1で混合した溶媒に、LiPF6を濃度1Mとなるように溶解させたものである。得られたリチウムイオン二次電池についての評価結果を表2に示した。
Figure 2011060465
黒鉛材料AおよびBを用いたリチウムイオン二次電池AおよびBは、リチウムイオン二次電池CおよびDに比べて、初期効率および負荷特性が向上していた。リチウムイオン二次電池Cは、球状化黒鉛を加圧処理していないため、負極を作製する際の圧縮時に、黒鉛材料が変形し表面の被覆層が破壊されていると考えられる。このように被覆層が破壊されたため、黒鉛材料の比表面積が増加し、黒鉛材料の表面に生じる不動態膜の量が増加して、初期効率、負荷特性が低下したと考えられる。リチウムイオン二次電池Dは、黒鉛材料Dが高比表面積を有し、黒鉛材料の表面に生じる不動態膜の量が多いため、初期効率および負荷特性が劣ると考えられる。
本発明は、電極密度、初期効率、負荷特性に優れたリチウムイオン二次電池の製造に有用である。
1:槽、2:フィーダー、3:対向ノズル、4:分級機、5:吹き上げノズル、13:集電体、13a:負極集電体、13b:正極集電体、14:正極体、15:負極体、16:セパレータ、17:電池ケース、18:絶縁ガスケット、21:天然黒鉛球状化粒子、22:空隙、23:炭化物からなる被覆層、24:加圧黒鉛粒子、25:亀裂

Claims (5)

  1. 天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子が加圧処理された加圧黒鉛粒子の表面に炭化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とするリチウムイオン二次電池用黒鉛材料。
  2. 前記天然黒鉛球状化粒子が、鱗片状天然黒鉛粒子を球状化したものである請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料。
  3. 請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池用負極。
  4. 請求項3に記載のリチウムイオン二次電池用負極を用いたことを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. 請求項1または2に記載のリチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法であって、
    天然黒鉛球状化粒子および/または天然黒鉛塊状化粒子を加圧処理して加圧黒鉛粒子を得る加圧工程;得られた加圧黒鉛粒子を炭素物質前駆体により被覆した後、熱処理して炭素被覆する被覆工程;を有することを特徴とするリチウムイオン二次電池用黒鉛材料の製造方法。
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