JP2014067636A - 非水系二次電池負極用複合炭素材、及び負極並びに、非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】充放電時の粒子膨張が、より三次元的に緩和され、電極膨れの少ない非水系二次電池を提供する。また、電極膨れ、負極粒子とバインダーとの接着強度が上がることでサイクル特性に優れた高容量な非水系二次電池を提供する。
【解決手段】加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上15原子%以下である非水系二次電池負極用複合炭素材を製造する。
【選択図】なし
【解決手段】加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上15原子%以下である非水系二次電池負極用複合炭素材を製造する。
【選択図】なし
Description
本発明は、非水系二次電池負極に用いる非水系二次電池負極用複合炭素材と、その炭素材を用いて形成された負極と、その負極を備える非水系二次電池に関するものである。
電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度が高く、大電流充放電特性に優れた非水系二次電池池が注目されてきている。
非水系二次電池池の負極材としては、コストと耐久性の面から、黒鉛材料や非晶質炭素が使用されることが多い。しかしながら、非晶質炭素材は、実用化可能な材料範囲での可逆容量の小ささ故、また黒鉛材料は、高容量化のために負極材料を含む活物質層を高密度化すると、材料破壊により初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。
非水系二次電池池の負極材としては、コストと耐久性の面から、黒鉛材料や非晶質炭素が使用されることが多い。しかしながら、非晶質炭素材は、実用化可能な材料範囲での可逆容量の小ささ故、また黒鉛材料は、高容量化のために負極材料を含む活物質層を高密度化すると、材料破壊により初期サイクル時の充放電不可逆容量が増え、結果として、高容量化に至らないといった問題点があった。
更に近年、タブレットPCやスマートフォン用リチウム二次電池として、パウチタイプのリチウム二次電池の需要が伸びてきている。パウチタイプのリチウム二次電池は外装がラミネートフィルムで形成されており、サイズ、内部構成などのセルデザインの自由度が高く、またそのコストも安いため、今後さらなる需要の増加が見込まれる。しかしながら、外装がラミネートフィルムのために電極の膨れがセル自体の膨れに直接反映し、負極材への要望としてサイクル経過時の電極膨れ低減という新しい特性が必要となっている。
上記問題点を解決するため、例えば、特許文献1には、球形化黒鉛を等方的に加圧し、高密度化された等方性の高い黒鉛を含有する非水系二次電池池用負極材料の製造方法が開示されている。
また特許文献2においては、黒鉛と炭素前駆体を混合後、焼成複合化した非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法が開示されている。
更に特許文献3では、炭素粉末を等方的加圧処理したリチウム二次電池負極用炭素粉末の製造方法が開示されている。
また特許文献2においては、黒鉛と炭素前駆体を混合後、焼成複合化した非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法が開示されている。
更に特許文献3では、炭素粉末を等方的加圧処理したリチウム二次電池負極用炭素粉末の製造方法が開示されている。
また、特許文献4では、天然黒鉛球状化粒子および天然黒鉛塊状化粒子のうち少なくとも一方が加圧処理された加圧黒鉛粒子の表面に、炭化物からなる被覆層が形成されていることを特徴とする非水系二次電池池用黒鉛材料が開示されている。
一方、特許文献5には、ペースト性状、初回効率、サイクル特性、低温出力および極板強度等の性能を良好に発現させるために、衝撃力を極力与えることなく、複合炭素材複合炭素材に一定の仕事率以下のエネルギーを一定の時間与えることで、僅かに複合炭素材複合炭素材内に残存する微凝集の結合を切断し、さらに周辺雰囲気と反応させるという製造方法が開示されている。
一方、特許文献5には、ペースト性状、初回効率、サイクル特性、低温出力および極板強度等の性能を良好に発現させるために、衝撃力を極力与えることなく、複合炭素材複合炭素材に一定の仕事率以下のエネルギーを一定の時間与えることで、僅かに複合炭素材複合炭素材内に残存する微凝集の結合を切断し、さらに周辺雰囲気と反応させるという製造方法が開示されている。
しかしながら本発明者らの検討によると、特許文献1には、球形化黒鉛を等方的に加圧することによって黒鉛を高密度化し、負荷特性、サイクル特性などに優れる非水系二次電池池についての記載があるが、この方法では黒鉛の表面構造が破壊されることから、改善の余地があった。
また、特許文献2に記載の技術では、黒鉛と炭素前駆体を混合後、焼成複合化した負極活物質を用い、サイクル特性に優れた高い出力特性を示す非水電解質二次電池についての記載があるものの、更なるサイクル特性の向上が必要であった。
また、特許文献2に記載の技術では、黒鉛と炭素前駆体を混合後、焼成複合化した負極活物質を用い、サイクル特性に優れた高い出力特性を示す非水電解質二次電池についての記載があるものの、更なるサイクル特性の向上が必要であった。
特許文献3では、炭素粉末に対して等方的加圧処理を施すことにより負極用炭素粉末の流動性が向上し、密度のバラツキが少なくなることから、集電体との密着性が向上する負極用炭素粉末が製造できる旨が開示されている。そして、この負極用炭素粉末を用いることでリチウム二次電池のサイクル特性が向上するという記載があるが、この方法では黒鉛の表面構造が破壊されることから、改善の余地があった。
また、特許文献4では、天然黒鉛球状化粒子および天然黒鉛塊状化粒子のうち少なくとも一方が加圧処理された加圧黒鉛粒子の表面に、炭化物からなる被覆層が形成されている非水系二次電池池用黒鉛材料が開示されているが、このような炭素材料では、上記市場の電極膨れなどの新たな要求性能を満足できていなかった。
また、特許文献5では、複層構造炭素材を特定の解砕条件にて処理することにより、ペースト性状、初回効率、サイクル特性、低温出力及びスラリー特性等の性能に優れた非水電解液二次電池負極用複層構造炭素材が開示されているが、低温出力及びスラリー特性での改善は認められるが、電極膨れが十分とはいえず市場の要求性能を満足できていなかった。
また、特許文献5では、複層構造炭素材を特定の解砕条件にて処理することにより、ペースト性状、初回効率、サイクル特性、低温出力及びスラリー特性等の性能に優れた非水電解液二次電池負極用複層構造炭素材が開示されているが、低温出力及びスラリー特性での改善は認められるが、電極膨れが十分とはいえず市場の要求性能を満足できていなかった。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、有機化合物を炭素材と混合する前に炭素材の加圧処理の工程を行い、有機化合物と混合、焼成し得られた複合炭素材であって、表面含酸素率を特定範囲とした複合炭素材とすることで、充放電に伴う電極膨れが軽減し、電解液との副反応が抑制されサイクル時の劣化が少なくなり、サイクル特性に優れた非水系二次電池が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の趣旨は、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下である非水系二次電池負極用複合炭素材に存する。
すなわち、本発明の趣旨は、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下である非水系二次電池負極用複合炭素材に存する。
本発明の非水系二次電池負極用複合炭素材を非水系二次電池用負極材として用いることにより、充放電時の粒子膨張が、より三次元的に緩和され、電極膨れの少ない非水系二次電池を提供することができる。また、電極膨れが少なく、負極粒子とバインダーとの接着強度が上がることでサイクル特性に優れた高容量な非水系二次電池を提供することができる。
ここで前記効果の詳細は不明であるが、発明者らが鋭意検討した結果、優れた電池特性は次の様な効果によると考えられる。
電極膨れの原因として、リチウム挿入に伴う黒鉛層間距離の増加による粒子膨張とそれに伴う電極膨れ、粒子の充填密度を上げるためのプレス時の残留応力開放に伴う電極膨れ、粒子とバインダーの結着力不足による電極膨れなどが考えられる。
電極膨れの原因として、リチウム挿入に伴う黒鉛層間距離の増加による粒子膨張とそれに伴う電極膨れ、粒子の充填密度を上げるためのプレス時の残留応力開放に伴う電極膨れ、粒子とバインダーの結着力不足による電極膨れなどが考えられる。
本発明の複合炭素材は、炭素材を加圧処理することにより粒子形状が凹凸化しているので、粒子の結晶配向がランダムになり、粒子膨張が三次元的に緩和され、電極膨れが少な
くなっていること、また、加圧処理により粒子内部の空隙が減少することで充填密度が上がり、プレス時の残留応力が小さくなり、応力開放に伴う電極膨れが少なくなっていること、更に、表面含酸素率(O/C値)を特定の範囲とすることで粒子とバインダーの結着力が向上し、電極膨れが少なくなっていることが考えられる。
すなわち、これらの効果により電極膨れが少なくなり、更に、負極粒子とバインダーとの接着強度が高く、電極膨れが少ないことで導電パス切れが抑制され、優れたサイクル特性を得ることができると考えられる。
くなっていること、また、加圧処理により粒子内部の空隙が減少することで充填密度が上がり、プレス時の残留応力が小さくなり、応力開放に伴う電極膨れが少なくなっていること、更に、表面含酸素率(O/C値)を特定の範囲とすることで粒子とバインダーの結着力が向上し、電極膨れが少なくなっていることが考えられる。
すなわち、これらの効果により電極膨れが少なくなり、更に、負極粒子とバインダーとの接着強度が高く、電極膨れが少ないことで導電パス切れが抑制され、優れたサイクル特性を得ることができると考えられる。
一方、後述する比較例に示すとおり、加圧処理は実施し表面含酸素率(O/C値)を特定の範囲外にした場合、若しくは加圧処理をしないで表面含酸素率(O/C値)を特定の範囲内にした場合は、電極膨れ及びサイクル特性が優れておらず、本発明の複合炭素材(加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下)とすることで初めて優れた効果が得られると考えられる。
以下、本発明の内容を詳細に述べる。なお、以下に記載する発明構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの形態に特定されるものではない。また、“重量%”と“質量%”とは同義である。
<非水系二次電池負極用複合炭素材>
本発明における非水系二次電池負極用複合炭素材は、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下であれば、特に制限はない。
本発明における非水系二次電池負極用複合炭素材は、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下であれば、特に制限はない。
本明細書でいう複合炭素材とは、例えば、加圧処理された黒鉛粒子(核黒鉛)に対して炭素質物(非晶質炭素など)又は、黒鉛質物(黒鉛など)を一部又は全面に被覆したものが挙げられる。この態様は下記に示す物性やSEM写真等で確認することができる。以下に好ましい複合炭素材の物性および構成を記載する。
[複合炭素材の主な物性]
・表面含酸素率
本発明における表面含酸素率(O/C値と省略する場合がある)は下記式1にて算出される。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面含酸素率はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
・表面含酸素率
本発明における表面含酸素率(O/C値と省略する場合がある)は下記式1にて算出される。
式1
O/C値(%)=X線光電子分光法(XPS)分析におけるO1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたO原子濃度/XPS分析におけるC1sのスペクトルのピーク面積に基づいて求めたC原子濃度×100
本発明における表面含酸素率はX線光電子分光法(XPS)を用いて測定することができる。
本発明の複合炭素材のO/C値は、0.7原子%以上であり、好ましくは1原子%以上、より好ましくは1.5原子%以上、更に好ましくは、3原子%以上である。上限は15原子%以下であり、好ましくは7原子%以下、より好ましくは6原子%以下、更に好ましくは5原子%以下である。
表面含酸素率O/C値を上記範囲内とすることにより、スラリー作成時にバインダーの分散性が良くなり、複合炭素材を用いた電極における電極強度が向上し、電極膨れが少なくなり、サイクル特性および入出力特性を向上することができるので好ましい。
表面含酸素率O/C値を上記範囲内とすることにより、スラリー作成時にバインダーの分散性が良くなり、複合炭素材を用いた電極における電極強度が向上し、電極膨れが少なくなり、サイクル特性および入出力特性を向上することができるので好ましい。
表面含酸素率O/C値がこの範囲よりも小さすぎると、本発明の電極強度向上の効果を
得難く、一方この範囲を上回ると、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下またはガス発生の増加を招く可能性がある。
ここで、表面含酸素率O/C値は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。
得難く、一方この範囲を上回ると、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下またはガス発生の増加を招く可能性がある。
ここで、表面含酸素率O/C値は、X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。
得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)×100を炭素材の表面含酸素率O/C値と定義する。
・空隙比
本発明でいう空隙比は下記式2にて算出される。
式2
空隙比=(DBP吸油量から算出される空隙率)/(タップ密度から算出される空隙率)
ここで、DBP吸油量で規定される空隙率とタップ密度から算出される空隙率は、後述の方法で求めることができる。
本発明でいう空隙比は下記式2にて算出される。
式2
空隙比=(DBP吸油量から算出される空隙率)/(タップ密度から算出される空隙率)
ここで、DBP吸油量で規定される空隙率とタップ密度から算出される空隙率は、後述の方法で求めることができる。
本発明の複合炭素材の空隙比は特に限定されないが、通常0.90以上、好ましくは0.91以上、より好ましくは0.92以上であり、また、通常1.01以下であり、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.97以下、更に好ましくは0.96以下である。
空隙比を上記範囲内とすることにより、複合炭素材を極板化した際の粒子充填性を向上することができ、塗布密度を増加させ、電極強度が向上し優れたサイクル特性が得られる。空隙比がこの範囲よりも小さすぎると、電解液との反応性が高くなり良いサイクル特性が得難くなる可能性がある。また、空隙比がこの範囲よりも大きすぎると、本発明の電極膨れの抑制効果が現れ難い可能性がある。
ここで、DBP吸油量とタップ密度の違いについて述べる。DBP吸油量は後述するような方法で測定されるが、粒子間や粒子内の空隙や凹凸に充填されるDBP液量(粒子の大きさ、形状、粒度分布などに影響を受ける)を測定しており、粒子表面の官能基などによる影響を受け難いと考えられる。一方、タップ密度は粒子の大きさ、形状、粒度分布以外に粒子同士が直接接触する為に粒子表面の官能基などの影響を受け易いと考えられる。すなわち、DBP吸油量とタップ密度から求められる空隙比は、粒子表面の表面含酸素率の影響を受けていると推定される。依って、空隙比を特定の範囲にすると電池性能が向上する理由は、表面含酸素率の効果の一部を表していると考えられる。
・DBP吸油量
本発明の複合炭素材のDBP(フタル酸ジブチル)吸油量は、通常30ml/100g以上、好ましくは35ml/100g以上、より好ましくは40ml/100g以上である。一方、通常75ml/100g以下、好ましくは65ml/100g以下、より好ましくは55ml/100g以下、更に好ましくは43ml/100g以下である。
本発明の複合炭素材のDBP(フタル酸ジブチル)吸油量は、通常30ml/100g以上、好ましくは35ml/100g以上、より好ましくは40ml/100g以上である。一方、通常75ml/100g以下、好ましくは65ml/100g以下、より好ましくは55ml/100g以下、更に好ましくは43ml/100g以下である。
DBP吸油量がこの範囲よりも小さすぎると、粒子内の細孔構造が殆ど存在しておらず、反応面積が小さくなりすぎる傾向がある。一方、大きすぎると、例えば解砕できなかった凝集粒子が多く存在している可能性があり、本発明の効果を得難くなる虞がある。
なお、DBP吸油量の測定はJIS K6217に準拠し、測定材料を40g投入し、滴下速度4ml/min、回転数125rpmとし、トルクの最大値が確認されるまで測
定を実施し、測定開始から最大トルクを示す間の範囲で、最大トルクの70%のトルクを示した時の滴下油量から算出された値(負極材100g当たりのDBP滴下油量)によって定義される。
なお、DBP吸油量の測定はJIS K6217に準拠し、測定材料を40g投入し、滴下速度4ml/min、回転数125rpmとし、トルクの最大値が確認されるまで測
定を実施し、測定開始から最大トルクを示す間の範囲で、最大トルクの70%のトルクを示した時の滴下油量から算出された値(負極材100g当たりのDBP滴下油量)によって定義される。
・DBP吸油量から算出される空隙率(DBP吸油量算出の空隙率と記載することもある)
本発明でいうDBP吸油量から算出される空隙率は下記式3にて算出される。
式3
DBP吸油量から算出される空隙率(%)=(DBP吸油量)/{DBP吸油量+(100/真密度)}×100
なお、本発明における真密度は、ブタノールを使用した液相置換法(ピクノメータ法)によって測定した値を用いることができる。
本発明でいうDBP吸油量から算出される空隙率は下記式3にて算出される。
式3
DBP吸油量から算出される空隙率(%)=(DBP吸油量)/{DBP吸油量+(100/真密度)}×100
なお、本発明における真密度は、ブタノールを使用した液相置換法(ピクノメータ法)によって測定した値を用いることができる。
本発明の複合炭素材のDBP吸油量から算出される空隙率は特に限定されないが、通常30%以上、好ましくは45%以上、より好ましく48%以上であり、一方、通常50.2%以下、好ましくは49.6%以下、より好ましくは49%以下、更に好ましくは48.7%以下である。
DBP吸油量から算出される空隙率がこの範囲よりも大きすぎると、例えば解砕できなかった凝集粒子が多く存在している可能性があり、本発明の効果を得難くなる虞がある。一方、DBP吸油量から算出される空隙率がこの範囲よりも小さすぎると、粒子内の細孔構造が殆ど存在していない可能性があり、反応面が少なくなる可能性がある。
DBP吸油量から算出される空隙率がこの範囲よりも大きすぎると、例えば解砕できなかった凝集粒子が多く存在している可能性があり、本発明の効果を得難くなる虞がある。一方、DBP吸油量から算出される空隙率がこの範囲よりも小さすぎると、粒子内の細孔構造が殆ど存在していない可能性があり、反応面が少なくなる可能性がある。
・タップ密度
本発明の複合炭素材のタップ密度は特に限定されないが、通常0.5g/cm3以上、好ましくは0.75g/cm3以上、より好ましくは0.85g/cm3以上、更に好ましくは、0.9以上である。一方、通常1.35g/cm3以下、好ましくは1.2g/cm3以下、より好ましくは1.1g/cm3以下である。
本発明の複合炭素材のタップ密度は特に限定されないが、通常0.5g/cm3以上、好ましくは0.75g/cm3以上、より好ましくは0.85g/cm3以上、更に好ましくは、0.9以上である。一方、通常1.35g/cm3以下、好ましくは1.2g/cm3以下、より好ましくは1.1g/cm3以下である。
タップ密度がこの範囲よりも低すぎると、極板化する際にスジ引きして、工程上問題となる傾向がある。タップ密度がこの範囲よりも高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる傾向がある。
タップ密度は、例えば、粉体密度測定器(パウダーテスターPT−N ホソカワミクロン社製)を用い、直径5cm、体積容量100cm3の円筒状タップセルに、炭素材料を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長18mmのタップを500回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義することができる。
タップ密度は、例えば、粉体密度測定器(パウダーテスターPT−N ホソカワミクロン社製)を用い、直径5cm、体積容量100cm3の円筒状タップセルに、炭素材料を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長18mmのタップを500回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義することができる。
・タップ密度から算出される空隙率(タップ密度算出の空隙率と記載することもある)本発明でいうタップ密度から算出される空隙率は下記式4にて算出される。
式4
タップ密度から算出される空隙率(%)=100−(タップ密度)/(真密度)×100
本発明の複合炭素材のタップ密度から算出される空隙率は、通常42%以上、好ましくは45%以上、より好ましく49%以上である。一方、通常77%以下、好ましくは66%以下、より好ましくは55%以下、更に好ましくは51%以下である。
式4
タップ密度から算出される空隙率(%)=100−(タップ密度)/(真密度)×100
本発明の複合炭素材のタップ密度から算出される空隙率は、通常42%以上、好ましくは45%以上、より好ましく49%以上である。一方、通常77%以下、好ましくは66%以下、より好ましくは55%以下、更に好ましくは51%以下である。
タップ密度から算出される空隙率がこの範囲よりも小さすぎると、粒子内の細孔構造が殆ど存在しておらず、反応面積が小さくなりすぎる傾向がある。一方、大きすぎると、例えば解砕できなかった凝集粒子が多く存在している可能性があり、本発明の効果を得難くなる虞がある。
・ラマンR値
複合炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。
本発明の複合炭素材のラマンR値は特に限定されないが、通常0.15以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.3以上である。一方、通常0.9以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.5以下である。
複合炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。
本発明の複合炭素材のラマンR値は特に限定されないが、通常0.15以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.3以上である。一方、通常0.9以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.5以下である。
ラマンR値がこの範囲よりも小さすぎると、解砕によって生成した破断面が少ないことを示し、解砕処理が十分進んでおらず、本発明の効果を得難い可能性もある。一方、ラマンR値がこの範囲よりも大きすぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下またはガス発生の増加を招く可能性もある。
ラマンスペクトルの測定は、ラマン分光器(日本分光社製ラマン分光器)を用いて、試料を測定セル内へ自然落下させて充填し、セル内のサンプル表面に固体レーザー光を照射しながら、セルをレーザー光と垂直な面内で回転させることにより行なう。得られるラマンスペクトルについて、1580cm−1付近のピークPA の強度IA と、1360cm−1付近のピークPB の強度IB とを測定し、その強度比R(R=IB /IA
)を算出する。該測定で算出されるラマンR値を、本発明の負極活物質のラマンR値と定義する。
)を算出する。該測定で算出されるラマンR値を、本発明の負極活物質のラマンR値と定義する。
また、上記のラマン測定条件は、次の通りである。
・固体レーザー波長 :532nm
・試料上のレーザーパワー :約20mW
・分解能 :約10cm−1
・測定範囲 :約1100cm−1〜1700cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
・3μm以下の粒子個数比率
本発明の複合炭素材の3μm以下の粒子個数比率は特に限定はされないが、通常5%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上である。一方、通常40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
・固体レーザー波長 :532nm
・試料上のレーザーパワー :約20mW
・分解能 :約10cm−1
・測定範囲 :約1100cm−1〜1700cm−1
・ラマンR値、ラマン半値幅解析:バックグラウンド処理
・スムージング処理 :単純平均、コンボリューション5ポイント
・3μm以下の粒子個数比率
本発明の複合炭素材の3μm以下の粒子個数比率は特に限定はされないが、通常5%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上である。一方、通常40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下である。
3μm以下の粒子個数比率がこの範囲よりも小さすぎると、微小粒子の存在が不十分であり、サイクル特性を得難い可能性もある。一方この範囲よりも大きすぎると、過粉砕となっている可能性があり、電解液との反応が過剰となって初回効率の低下を招く可能性がある。
複合炭素材の3μm以下の粒子個数比率の測定には、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、ここで得られた粒子個数の分布のうち、全粒子個数に占める3μm以下の粒子個数の比率で算出する。
・円形度
本発明の炭素複合材の円形度は特に限定されないが、通常0.8以上、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.88以上である。一方、通常0.99以下、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.95以下である。
円形度がこの範囲よりも小さすぎると、高い充放電レート特性が得難い可能性がある。一方円形度がこの範囲よりも大きすぎると、真球状となる為、接点面積が減少し良いサイクル特性を得難い可能性がある。
なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1の時に理論的真球となる。
円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)として算出できる。
本発明の炭素複合材の円形度は特に限定されないが、通常0.8以上、好ましくは0.85以上、より好ましくは0.88以上である。一方、通常0.99以下、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.95以下である。
円形度がこの範囲よりも小さすぎると、高い充放電レート特性が得難い可能性がある。一方円形度がこの範囲よりも大きすぎると、真球状となる為、接点面積が減少し良いサイクル特性を得難い可能性がある。
なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1の時に理論的真球となる。
円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)として算出できる。
ここで、円形度は、フロー式粒子像分析装置(例えば、シスメックスインダストリアル社製FPIA)を用い、試料約0.2gを、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)に分散させ、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が1.5〜40μmの範囲の粒子について測定した値を用いる。
円形度を向大きくする方法は特に限定されないが、球形化処理を施して球形にしたものが、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理の例としては、せん断力、圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダーもしくは、粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的または物理的処理方法等が挙げられる。
・BET比表面積(比表面積と記載することもある)
本発明の複合炭素材のBET法を用いて測定した比表面積は特に限定されないが、通常0.1m2/g以上、好ましくは0.7m2/g以上、より好ましくは1m2/g以上、更に好ましくは2m2/g以上である。一方、通常100m2/g以下、好ましくは25m2/g以下、より好ましくは15m2/g以下、更に好ましくは10m2/g以下、特に好ましくは7m2/g以下である。
本発明の複合炭素材のBET法を用いて測定した比表面積は特に限定されないが、通常0.1m2/g以上、好ましくは0.7m2/g以上、より好ましくは1m2/g以上、更に好ましくは2m2/g以上である。一方、通常100m2/g以下、好ましくは25m2/g以下、より好ましくは15m2/g以下、更に好ましくは10m2/g以下、特に好ましくは7m2/g以下である。
比表面積がこの範囲よりも低すぎると、負極材として用いた場合の反応面積が減少し、リチウムが電極表面で析出し易くなり、好ましい電池特性を得難い可能性がある。一方、比表面積がこの範囲よりも高すぎると、負極材として用いた時に電解液との反応性が増加し、ガス発生が多くなり易く、好ましい電池特性を得難い可能性がある。
ここで、比表面積は、例えば、島津製作所製比表面積測定装置「ジェミニ2360」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET6点法にて測定する。具体的には試料1.01gをセルへ充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、ヘリウム70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により算出できる。
ここで、比表面積は、例えば、島津製作所製比表面積測定装置「ジェミニ2360」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET6点法にて測定する。具体的には試料1.01gをセルへ充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、ヘリウム70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により算出できる。
・体積基準平均粒径
本発明の複合炭素材の体積基準平均粒径(本明細書では、d50、平均粒径ともいう)は特に限定されないが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは7μm以上である。一方、通常40μm以下、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは27μm以下であり、特に好ましくは、25μm以下である。
本発明の複合炭素材の体積基準平均粒径(本明細書では、d50、平均粒径ともいう)は特に限定されないが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは7μm以上である。一方、通常40μm以下、好ましくは35μm以下、より好ましくは30μm以下、更に好ましくは27μm以下であり、特に好ましくは、25μm以下である。
体積基準平均粒径がこの範囲よりも小さすぎると、不可逆容量の増加またはDBP吸油量の増加を招き、塗布工程を有する電極化の際にスジ引きなどの問題を引き起す可能性がある。一方、この範囲よりも大きすぎると、高入出力特性を阻害する可能性がある。
ここで、本発明における体積基準平均粒径は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[例として、ツィーン20(登録商標)]の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分
間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
ここで、本発明における体積基準平均粒径は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[例として、ツィーン20(登録商標)]の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材料0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分
間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明におけるd50と定義する。
・X線パラメータ
本発明の複合炭素材の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は特に限定されないが、通常0.340nm以下、好ましくは0.337nm以下である。d002値がこの範囲よりも大きいと結晶性が低いことを示し、電池容量が小さくなる可能性がある。
本発明の複合炭素材の学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は特に限定されないが、通常0.340nm以下、好ましくは0.337nm以下である。d002値がこの範囲よりも大きいと結晶性が低いことを示し、電池容量が小さくなる可能性がある。
一方、黒鉛の002面の面間隔の理論値は0.335nmであるため、通常0.335nm以上である。また、学振法によるX線回折で求めた炭素材料の結晶子サイズ(Lc)は、通常1.5nm以上であり、好ましくは3nm以上である。この範囲を下回ると、結晶性が低い粒子となり、電池容量が小さくなる可能性がある。
・灰分
本発明の複合炭素材に含まれる灰分は特に限定はされないが、複合炭素材の全質量に対して、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、下限としては1ppm以上であることが好ましい。
上記の範囲を上回ると充放電時の電解液との反応による電池性能の劣化が無視できなくなる場合がある。この範囲を下回ると、製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要とし、コストが上昇する場合がある。
本発明の複合炭素材に含まれる灰分は特に限定はされないが、複合炭素材の全質量に対して、通常1質量%以下、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、下限としては1ppm以上であることが好ましい。
上記の範囲を上回ると充放電時の電解液との反応による電池性能の劣化が無視できなくなる場合がある。この範囲を下回ると、製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要とし、コストが上昇する場合がある。
・水銀細孔量
複合炭素材の水銀細孔量としては特に限定されないが、水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)により求められる、直径0.01μm以上、1μm以下に相当する細孔量(例えば粒子内の空隙、粒子表面のステップによる凹凸)が、通常0.01mL/g以上、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.10mL/g以上である。一方、通常0.6mL/g以下、好ましくは0.4mL/g以下、より好ましくは0.3mL/g、更に好ましくは0.15mL/g以下である。
水銀細孔量がこの範囲よりも多すぎると、極板化時に結着剤を多量に必要となる可能性がある。水銀細孔量がこの範囲より少なすぎると、高電流密度充放電特性が低下し、且つ充放電時の電極の膨張収縮の緩和効果が得られない可能性がある。
複合炭素材の水銀細孔量としては特に限定されないが、水銀ポロシメトリー(水銀圧入法)により求められる、直径0.01μm以上、1μm以下に相当する細孔量(例えば粒子内の空隙、粒子表面のステップによる凹凸)が、通常0.01mL/g以上、好ましくは0.05mL/g以上、より好ましくは0.10mL/g以上である。一方、通常0.6mL/g以下、好ましくは0.4mL/g以下、より好ましくは0.3mL/g、更に好ましくは0.15mL/g以下である。
水銀細孔量がこの範囲よりも多すぎると、極板化時に結着剤を多量に必要となる可能性がある。水銀細孔量がこの範囲より少なすぎると、高電流密度充放電特性が低下し、且つ充放電時の電極の膨張収縮の緩和効果が得られない可能性がある。
・全細孔容積
また、前記測定法で得られた複合炭素材の全細孔容積は特に限定されないが、通常0.1mL/g以上、好ましくは0.2mL/g以上、より好ましくは0.25mL/g以上である。一方、通常10mL/g以下、好ましくは5mL/g以下、より好ましくは2mL/g以下である。全細孔容積がこの範囲よりも多すぎると極板化時に結着剤が多量に必要となる可能性がある。全細孔容積がこの範囲よりも少なすぎると、極板化時に増粘剤または結着剤の分散効果が得られない可能性がある。
また、前記測定法で得られた複合炭素材の全細孔容積は特に限定されないが、通常0.1mL/g以上、好ましくは0.2mL/g以上、より好ましくは0.25mL/g以上である。一方、通常10mL/g以下、好ましくは5mL/g以下、より好ましくは2mL/g以下である。全細孔容積がこの範囲よりも多すぎると極板化時に結着剤が多量に必要となる可能性がある。全細孔容積がこの範囲よりも少なすぎると、極板化時に増粘剤または結着剤の分散効果が得られない可能性がある。
・平均細孔径
また、前記測定法で得られた複合炭素材の平均細孔径は特に限定されないが、通常0.03μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。一方、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。平均細孔径が大きすぎると、結着剤が多量に必要となる可能性があり、また平均細孔径が小さすぎると、高電流密度充放電特性が低下する可能性がある。
また、前記測定法で得られた複合炭素材の平均細孔径は特に限定されないが、通常0.03μm以上、好ましくは0.05μm以上、より好ましくは0.1μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。一方、通常50μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。平均細孔径が大きすぎると、結着剤が多量に必要となる可能性があり、また平均細孔径が小さすぎると、高電流密度充放電特性が低下する可能性がある。
ここで、水銀ポロシメトリー用の装置としては、水銀ポロシメータ(オートポア952
0:マイクロメリテックス社製)を用いることができる。試料(負極材料)を、0.2g前後の値となるように秤量し、パウダー用セルに封入し、室温、真空下(50μmHg以下)にて10分間脱気して前処理を実施する。
0:マイクロメリテックス社製)を用いることができる。試料(負極材料)を、0.2g前後の値となるように秤量し、パウダー用セルに封入し、室温、真空下(50μmHg以下)にて10分間脱気して前処理を実施する。
引き続き、4psia(約28kPa)に減圧し水銀を導入し、4psia(約28kPa)から40000psia(約280MPa)までステップ状に昇圧させた後、25psia(約170kPa)まで降圧させた。昇圧時のステップ数は80点以上とし、各ステップでは10秒の平衡時間の後、水銀圧入量を測定する。
こうして得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔分布を算出する。なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°として算出する。平均細孔径には累計細孔体積が50%となるときの細孔径を用いる。
こうして得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔分布を算出する。なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°として算出する。平均細孔径には累計細孔体積が50%となるときの細孔径を用いる。
・内部空隙率
本発明の複合炭素材の内部空隙率は特に限定されないが、通常1%以上、好ましくは2%以上、より好ましく5%以上、更に好ましくは7%以上である。一方、通常22%以下、好ましくは20以下、より好ましくは18%以下、更に好ましくは16%以下、特に好ましくは14%以下である。内部空隙率がこの範囲よりも小さすぎると粒子内に入る電解液量が少なくなり、充放電特性が悪化する可能性があり、一方、内部空隙率がこの範囲よりも大きすぎると、電極にした場合に粒子間空隙が少なくなり、電解液の拡散が不十分になる可能性がある。
本発明の複合炭素材の内部空隙率は特に限定されないが、通常1%以上、好ましくは2%以上、より好ましく5%以上、更に好ましくは7%以上である。一方、通常22%以下、好ましくは20以下、より好ましくは18%以下、更に好ましくは16%以下、特に好ましくは14%以下である。内部空隙率がこの範囲よりも小さすぎると粒子内に入る電解液量が少なくなり、充放電特性が悪化する可能性があり、一方、内部空隙率がこの範囲よりも大きすぎると、電極にした場合に粒子間空隙が少なくなり、電解液の拡散が不十分になる可能性がある。
内部空隙率は、例えば公知のHgポロシメトリー測定(水銀圧入法)により得られた細孔分布(積分曲線)(L)を元に傾きの最小値に対して接線(M)を引き、当該接線(M)と前記積分曲線(L)の分岐点(P)を求め、その分岐点よりも小さい細孔容積を粒子内細孔量(cm3/g)(V)として定義する。得られた粒子内細孔量と黒鉛の真密度から内部空隙率を算出できる。算出に用いる黒鉛の真密度は、一般的な黒鉛の真密度である2.26g/cm3を用いる。算出式を式5に示す。
式5
内部空隙率(%)=[粒子内細孔量/{粒子内細孔量+(1/黒鉛の真密度)}]×100
・真密度
本発明の複合炭素材の真密度は特に限定されないが、通常1.9g/cm3以上、好ましくは2g/cm3以上、より好ましくは2.1g/cm3以上、更に好ましくは2.2g/cm3以上であり、上限としては2.26g/cm3以下であることが好ましい。上限は黒鉛の理論値である。この範囲を下回ると炭素の結晶性が低すぎて初期不可逆容量が増大する場合がある。
内部空隙率(%)=[粒子内細孔量/{粒子内細孔量+(1/黒鉛の真密度)}]×100
・真密度
本発明の複合炭素材の真密度は特に限定されないが、通常1.9g/cm3以上、好ましくは2g/cm3以上、より好ましくは2.1g/cm3以上、更に好ましくは2.2g/cm3以上であり、上限としては2.26g/cm3以下であることが好ましい。上限は黒鉛の理論値である。この範囲を下回ると炭素の結晶性が低すぎて初期不可逆容量が増大する場合がある。
・アスペクト比
本発明の複合炭素材のアスペクト比は特に限定されないが、通常1以上であり、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。一方、通常10以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは5以下である。アスペクト比がこの範囲よりも大きすぎると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する傾向がある。下限はアスペクト比の理論値である。
本発明の複合炭素材のアスペクト比は特に限定されないが、通常1以上であり、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。一方、通常10以下であり、好ましくは8以下、より好ましくは5以下である。アスペクト比がこの範囲よりも大きすぎると、極板化時にスジ引きや、均一な塗布面が得られず、高電流密度充放電特性が低下する傾向がある。下限はアスペクト比の理論値である。
アスペクト比は、3次元的に観察した時の負極材粒子の最長となる径Aと、それと直交する最短となる径Bとしたとき、A/Bで表される。負極材粒子の観察は、拡大観察ができる走査型電子顕微鏡で行う。
厚さ50ミクロン以下の金属の端面に固定した任意の50個の粒負極材粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、A、Bを測定し、
A/Bの平均値を求める。
厚さ50ミクロン以下の金属の端面に固定した任意の50個の粒負極材粒子を選択し、それぞれについて試料が固定されているステージを回転、傾斜させて、A、Bを測定し、
A/Bの平均値を求める。
・被覆率
本発明の複合炭素材(A)は、炭素質物又は黒鉛質物で被覆されている。この中でも炭素質物、好ましくは非晶質炭素質物で被覆されていることがリチウムイオンの受入性の点から好ましく、この被覆率は、通常0.5重量部以上10重量部以下、好ましくは1重量部以上9重量部以下、より好ましくは、2重量部以上8重量部以下である。この含有率が大きすぎると負極材の非晶質炭素部分が多くなり、電池を組んだ際の可逆容量が小さくなる傾向がある。含有率が小さすぎると、加圧処理された炭素材(a)に対して非晶質炭素部位が均一にコートされないとともに強固な造粒がなされず、焼成後に粉砕した際、粒径が小さくなりすぎる傾向がある。
本発明の複合炭素材(A)は、炭素質物又は黒鉛質物で被覆されている。この中でも炭素質物、好ましくは非晶質炭素質物で被覆されていることがリチウムイオンの受入性の点から好ましく、この被覆率は、通常0.5重量部以上10重量部以下、好ましくは1重量部以上9重量部以下、より好ましくは、2重量部以上8重量部以下である。この含有率が大きすぎると負極材の非晶質炭素部分が多くなり、電池を組んだ際の可逆容量が小さくなる傾向がある。含有率が小さすぎると、加圧処理された炭素材(a)に対して非晶質炭素部位が均一にコートされないとともに強固な造粒がなされず、焼成後に粉砕した際、粒径が小さくなりすぎる傾向がある。
なお、最終的に得られる電極用炭素材料の有機化合物由来の炭化物の含有率(被覆率)は、用いる原料炭素材の量と、有機化合物の量及びJIS K 2270に準拠したミクロ法により測定される残炭率により、下記式(6)で算出することができる。
式(6)
有機化合物由来の炭化物の被覆率(重量部)=(有機化合物の質量×残炭率×100)/{原料炭素材の質量+(有機化合物の質量×残炭率)}
式(6)
有機化合物由来の炭化物の被覆率(重量部)=(有機化合物の質量×残炭率×100)/{原料炭素材の質量+(有機化合物の質量×残炭率)}
<複合炭素材の原料である炭素材>
本発明の複合炭素材の原料である炭素材は、一例として下記に示すが、特に限定されない。
本発明の複合炭素材の原料である炭素材は、一例として下記に示すが、特に限定されない。
・原料炭素材の種類
原料炭素材の例としては、黒鉛から非晶質のものにいたるまで種々の黒鉛化度の原料炭素材が挙げられる。
また、商業的にも容易に入手可能であるという点で、黒鉛又は黒鉛化度の小さい原料炭素(非晶質炭素)材が好ましい。このような黒鉛又は黒鉛化度の小さい黒鉛(非晶質炭素)を原料炭素材として用いると、他の負極活物質を用いた場合よりも、高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので好ましい。
原料炭素材の例としては、黒鉛から非晶質のものにいたるまで種々の黒鉛化度の原料炭素材が挙げられる。
また、商業的にも容易に入手可能であるという点で、黒鉛又は黒鉛化度の小さい原料炭素(非晶質炭素)材が好ましい。このような黒鉛又は黒鉛化度の小さい黒鉛(非晶質炭素)を原料炭素材として用いると、他の負極活物質を用いた場合よりも、高電流密度での充放電特性の改善効果が著しく大きいので好ましい。
黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛の何れを用いてもよい。黒鉛としては、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて種々の精製処理を施して用いる。
天然黒鉛の具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛としては、ピッチ原料を高温熱処理して製造した、コークス、ニードルコークス、高密度炭素材料等の黒鉛質粒子が挙げられる。好ましくは、低コストと電極作製のし易さの点で、球形化した天然黒鉛である
天然黒鉛の具体例としては、鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛、土壌黒鉛等が挙げられる。人造黒鉛としては、ピッチ原料を高温熱処理して製造した、コークス、ニードルコークス、高密度炭素材料等の黒鉛質粒子が挙げられる。好ましくは、低コストと電極作製のし易さの点で、球形化した天然黒鉛である
人造黒鉛の具体例としては、コールタールピッチ、石炭系重質油、常圧残油、石油系重質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサイルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を、通常2500℃以上、3200℃以下の範囲の温度で焼成し、黒鉛化したものが挙げられる。
原料炭素材は、原料炭素材に金属粒子、及び金属酸化物粒子等の粒子を任意の組み合わせで適宜混合して用いても良い。また、個々の粒子中に複数の材料が混在するものであってもよい。例えば、黒鉛の表面を黒鉛化度の小さい炭素材で被覆した構造の炭素質粒子や、炭素材を適当な有機物で集合させ再黒鉛化した粒子でも良い。更に、前記複合粒子中にSn、Si、Al、Biなどの、Liと合金化が可能な金属を含んでいても良い。
・原料炭素材の物性
本発明における原料炭素材は以下の物性を示すものである。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
本発明における原料炭素材は以下の物性を示すものである。なお、本発明における測定方法は特に制限はないが、特段の事情がない限り実施例に記載の測定方法に準じる。
(1)原料炭素材のd002
学振法によるX線回折で求めた格子面(002)のd値(層間距離)は、通常0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値は好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d値が大きすぎると結晶性が低下し、初期不可逆容量が増加する場合がある。一方、下限値である0.335nmは黒鉛の理論値である。
学振法によるX線回折で求めた格子面(002)のd値(層間距離)は、通常0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値は好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d値が大きすぎると結晶性が低下し、初期不可逆容量が増加する場合がある。一方、下限値である0.335nmは黒鉛の理論値である。
(2)原料炭素材の表面含酸素率
本発明の複合炭素材の原料である炭素材は、表面含酸素率O/C値が通常1原子%以上、好ましくは2原子%以上、より好ましくは2.6原子%以上であり、一方、通常4原子%以下であり、好ましくは3.6原子%以下、より好ましくは3原子%以下である。
この表面含酸素率O/C値がこの範囲よりも小さすぎると、バインダーとの親和性が低下し、負極表面とバインダーの相互作用が弱くなり、バインダーがはがれやすくなる可能性がある。一方、表面含酸素率O/C値がこの範囲よりも大きすぎると、O/C値の調整が困難となり、製造処理を長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下やコストの上昇を招く虞がある。
表面含酸素率O/C値は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
本発明の複合炭素材の原料である炭素材は、表面含酸素率O/C値が通常1原子%以上、好ましくは2原子%以上、より好ましくは2.6原子%以上であり、一方、通常4原子%以下であり、好ましくは3.6原子%以下、より好ましくは3原子%以下である。
この表面含酸素率O/C値がこの範囲よりも小さすぎると、バインダーとの親和性が低下し、負極表面とバインダーの相互作用が弱くなり、バインダーがはがれやすくなる可能性がある。一方、表面含酸素率O/C値がこの範囲よりも大きすぎると、O/C値の調整が困難となり、製造処理を長時間行う必要が生じたり、工程数を増加させる必要が生じたりする傾向があり、生産性の低下やコストの上昇を招く虞がある。
表面含酸素率O/C値は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
(3)原料炭素材の体積基準平均粒径(d50)
原料炭素材の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、メジアン径d50が通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下である。また、通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。
原料炭素材の粒径については特に制限が無いが、使用される範囲として、メジアン径d50が通常50μm以下、好ましくは30μm以下、更に好ましくは25μm以下である。また、通常1μm以上、好ましくは4μm以上、更に好ましくは10μm以上である。
この粒径が大きすぎると極板化した際に、筋引きなどの工程上の不都合が出る傾向があり、また、粒径が小さすぎると、表面積が大きくなりすぎて、電解液に対する活性を抑制することが難しくなる傾向がある。
粒径の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
粒径の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
(4)原料炭素材のBET比表面積
本発明の原料炭素材のBET法で測定した比表面積については、通常4m2/g以上、好ましくは5m2/g以上である。また、通常11m2/g以下、好ましくは9m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下である。
比表面積が小さすぎると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性及び出力特性に劣り、一方、比表面積が大きすぎると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない傾向がある。
BET比表面積の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
本発明の原料炭素材のBET法で測定した比表面積については、通常4m2/g以上、好ましくは5m2/g以上である。また、通常11m2/g以下、好ましくは9m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下である。
比表面積が小さすぎると、Liが出入りする部位が少なく、高速充放電特性及び出力特性に劣り、一方、比表面積が大きすぎると、活物質の電解液に対する活性が過剰になり、初期不可逆容量が大きくなるため、高容量電池を製造できない傾向がある。
BET比表面積の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
(5)原料炭素材のX線回折構造解析(XRD)
原料炭素材のX線回折構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱面体晶)に対するHexagonal(六方晶)の結晶の存在比(3R/2H)は通常0.20以上、0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましい。3R/2Hが小さすぎると、高速充放電特性の低下を招く傾向がある。
原料炭素材のX線回折構造解析(XRD)から得られる、Rhombohedral(菱面体晶)に対するHexagonal(六方晶)の結晶の存在比(3R/2H)は通常0.20以上、0.25以上が好ましく、0.30以上がより好ましい。3R/2Hが小さすぎると、高速充放電特性の低下を招く傾向がある。
なお、X線回折構造解析(XRD)の測定方法は、0.2mmの試料板に原料炭素材を配向しないように充填し、X線回折装置で、CuKα線にて出力30kV、200mAで測定する。得られた43.4°付近の3R(101)、及び44.5°付近の2H(101)の両ピークからバックグラウンドを差し引いた後、強度比3R(101)/2H(101)を算出できる。
(6)原料炭素材のタップ密度
本発明の原料炭素材のタップ密度は、通常0.7g/cm3以上、0.8g/cm3以上が好ましく、1g/cm3以上がより好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
タップ密度の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
本発明の原料炭素材のタップ密度は、通常0.7g/cm3以上、0.8g/cm3以上が好ましく、1g/cm3以上がより好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
タップ密度の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
(7)原料炭素材のラマンスペクトル(Raman)スペクトル
原料炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は通常0.15以上であり、0.4以下であることが好ましく、0.3以下がより好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
ラマンスペクトルの測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
原料炭素材のラマンR値は、1580cm−1付近のピークPAの強度IAと、1360cm−1付近のピークPBの強度IBとを測定し、その強度比R(R=IB/IA)を算出して定義する。その値は通常0.15以上であり、0.4以下であることが好ましく、0.3以下がより好ましい。ラマンR値がこの範囲を下回ると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く傾向がある。一方、この範囲を上回ると、粒子表面の結晶性が乱れ、電解液との反応性が増し、充放電効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
ラマンスペクトルの測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
(8)原料炭素材の製造方法
本発明の原料炭素材は、その原料として、黒鉛化されている炭素粒子であれば特に限定はないが、上述したように天然黒鉛、人造黒鉛、並びにコークス粉、ニードルコークス粉、及び樹脂等の黒鉛化物の粉体等を用いることができる。これらのうち、天然黒鉛が好ましく、中でも球形化処理を施した球形化天然黒鉛が加圧処理の効果が現れ易い点から特に好ましい。以下に、一例として球形化天然黒鉛の製造方法を記載する。
本発明の原料炭素材は、その原料として、黒鉛化されている炭素粒子であれば特に限定はないが、上述したように天然黒鉛、人造黒鉛、並びにコークス粉、ニードルコークス粉、及び樹脂等の黒鉛化物の粉体等を用いることができる。これらのうち、天然黒鉛が好ましく、中でも球形化処理を施した球形化天然黒鉛が加圧処理の効果が現れ易い点から特に好ましい。以下に、一例として球形化天然黒鉛の製造方法を記載する。
球形化処理には、例えば、衝撃力を主体として粒子の相互作用も含め圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し炭素粒子に与え、球形化を行う装置を用いることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された原料炭素材に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。
また、原料炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有するものであるのが好ましい。好ましい装置として、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
例えば本発明で用いる原料炭素材が鱗片状黒鉛である場合には、上記の表面処理による球形化工程を施すことにより、鱗片状の天然黒鉛が折りたたまれて球状になる。又は、原料炭素材の周囲エッジ部分が球形粉砕されて球状となり、その母体粒子に、さらに粉砕により生じた主に5μm以下の微粉が付着してなる。
表面処理後の原料炭素材の表面含酸素率O/C値が1原子%以上4原子%以下となる条件で、球形化処理を行うことにより製造することが好ましい。この際には、機械処理のエネルギーにより黒鉛表面の酸化反応を進行させ、黒鉛表面に酸性官能基を導入することができるよう、活性雰囲気下で行うことが好ましい。
表面処理後の原料炭素材の表面含酸素率O/C値が1原子%以上4原子%以下となる条件で、球形化処理を行うことにより製造することが好ましい。この際には、機械処理のエネルギーにより黒鉛表面の酸化反応を進行させ、黒鉛表面に酸性官能基を導入することができるよう、活性雰囲気下で行うことが好ましい。
例えば前述の装置を用いて処理する場合は、回転するローターの周速度を30〜100m/秒にするのが好ましく、40〜100m/秒にするのがより好ましく、50〜100m/秒にするのが更に好ましい。また、球形化処理は単に炭素質物を通過させるだけでも可能であるが、30秒以上装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、1分以上装置内を循環又は滞留させて処理することがより好ましい。
<複合炭素材の原料である有機化合物>
本発明の複合炭素材のもう一方の原料である被覆用の炭素質物又は黒鉛質物の前駆体である有機化合物は、下記に示す物性を満たせば特に制限されない。
・有機化合物の種類
本発明における有機化合物とは、焼成を行うことによって炭素質物又は黒鉛質物となる原料である。ここで、炭素質物とはd値が0.340nm以上の炭素のことであり、炭素質物と非晶質炭素質物とは同義である。一方、黒鉛質物とはd値が0.340nm未満の黒鉛のことである。
本発明の複合炭素材のもう一方の原料である被覆用の炭素質物又は黒鉛質物の前駆体である有機化合物は、下記に示す物性を満たせば特に制限されない。
・有機化合物の種類
本発明における有機化合物とは、焼成を行うことによって炭素質物又は黒鉛質物となる原料である。ここで、炭素質物とはd値が0.340nm以上の炭素のことであり、炭素質物と非晶質炭素質物とは同義である。一方、黒鉛質物とはd値が0.340nm未満の黒鉛のことである。
具体的には、含浸ピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、及びエチレンヘビーエンドタール等の分解系重質油等の石油系重質油等に例示される易黒鉛化性有機化合物、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、天然高分子、ポリフェニレンサイルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などが挙げられ、この中でも焼成によって黒鉛化又は炭素化が可能な易黒鉛化性有機化合物が好ましい。
・有機化合物の物性
(1)X線パラメータ(d002値)
<有機化合物を焼成した炭素質物の場合>
有機化合物のみを焼成処理して得られた炭素質物粉末のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が通常0.340nm以上、好ましくは0.342nm以上である。また、通常0.380nm未満、好ましくは0.370nm以下、より好ましくは0.360nm以下である。d002値が大きすぎるということは結晶性が低いことを示し、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって不可逆容量が増加する場合があり、d002値が小さすぎると炭素質物を複合化させた効果が得られ難い。
(1)X線パラメータ(d002値)
<有機化合物を焼成した炭素質物の場合>
有機化合物のみを焼成処理して得られた炭素質物粉末のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が通常0.340nm以上、好ましくは0.342nm以上である。また、通常0.380nm未満、好ましくは0.370nm以下、より好ましくは0.360nm以下である。d002値が大きすぎるということは結晶性が低いことを示し、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって不可逆容量が増加する場合があり、d002値が小さすぎると炭素質物を複合化させた効果が得られ難い。
<有機化合物を焼成した黒鉛質物の場合>
有機化合物のみを黒鉛化処理して得られた黒鉛質物粉末のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が通常0.3354nm以上、好ましくは0.3357nm以上、より好ましくは0.3359nm以上である。また、通常0.340nm未満、好ましくは0.338nm以下、より好ましくは0.337nm以下である。d002値が大きすぎるということは結晶性が低いことを示し、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって黒鉛質物を複合化させた効果が得られ難い場合があり、d002値が小さすぎると充放電反応性が低下して、高温保存時のガス発生増加や大電流充放電特性低下の虞がある。
有機化合物のみを黒鉛化処理して得られた黒鉛質物粉末のX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が通常0.3354nm以上、好ましくは0.3357nm以上、より好ましくは0.3359nm以上である。また、通常0.340nm未満、好ましくは0.338nm以下、より好ましくは0.337nm以下である。d002値が大きすぎるということは結晶性が低いことを示し、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって黒鉛質物を複合化させた効果が得られ難い場合があり、d002値が小さすぎると充放電反応性が低下して、高温保存時のガス発生増加や大電流充放電特性低下の虞がある。
(2)結晶子サイズ(Lc(002))
<有機化合物を焼成した炭素質物の場合>
有機化合物を焼成処理して得られた炭素質物粉末の学振法によるX線回折法で求めた炭素材料の結晶子サイズ(Lc(002))は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。また通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。結晶子サイズが大きすぎると、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって不可逆容量が増加する傾向があり、結晶子サイズが小さすぎると、炭素質物を複合化させた効果が得られ難い。
<有機化合物を焼成した炭素質物の場合>
有機化合物を焼成処理して得られた炭素質物粉末の学振法によるX線回折法で求めた炭素材料の結晶子サイズ(Lc(002))は、通常5nm以上、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上である。また通常300nm以下、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm以下である。結晶子サイズが大きすぎると、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって不可逆容量が増加する傾向があり、結晶子サイズが小さすぎると、炭素質物を複合化させた効果が得られ難い。
<有機化合物を焼成した黒鉛質物の場合>
有機化合物を黒鉛化処理して得られた黒鉛質物粉末の学振法によるX線回折法で求めた炭素材料の結晶子サイズ(Lc(002))は、通常300nm以上、好ましくは400nm以上、より好ましくは500nm以上である。また通常1000nm以下、好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下である。結晶子サイズが大きすぎると、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって黒鉛質物を複合化させた効果が得られ難い場合があり、結晶子サイズが小さすぎると、充放電反応性が低下して、高温保存時のガス発生増加や大電流充放電特性低下の傾向がある。
有機化合物を黒鉛化処理して得られた黒鉛質物粉末の学振法によるX線回折法で求めた炭素材料の結晶子サイズ(Lc(002))は、通常300nm以上、好ましくは400nm以上、より好ましくは500nm以上である。また通常1000nm以下、好ましくは800nm以下、より好ましくは600nm以下である。結晶子サイズが大きすぎると、複合炭素材複合炭素材が結晶性の低い粒子となって黒鉛質物を複合化させた効果が得られ難い場合があり、結晶子サイズが小さすぎると、充放電反応性が低下して、高温保存時のガス発生増加や大電流充放電特性低下の傾向がある。
(3)軟化点
有機化合物の軟化点が通常400℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。軟化点が高すぎると、原料炭素材と混合又は捏合する際に、均一に混合又は捏合することが困難になり、且つ高温で取り扱う必要が生じるため生産性に欠ける場合がある。下限は特に制限されないが、通常40℃以上である。
有機化合物の軟化点が通常400℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下である。軟化点が高すぎると、原料炭素材と混合又は捏合する際に、均一に混合又は捏合することが困難になり、且つ高温で取り扱う必要が生じるため生産性に欠ける場合がある。下限は特に制限されないが、通常40℃以上である。
<複合炭素材の製造方法>
複合炭素材の製造方法は、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上15原子%以下となるような製造方法であれば特に制限されない。例えば、複合炭素材(A)に対して加圧処理する方法、上述した原料炭素材を加圧処理した後、解砕し、(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物被覆部分を得るための有機化合物と混合し、得られた混合物を焼成、粉砕処理を行う工程、もしくは、原料炭素材と(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物被覆部分を得るための有機化合物と混合し、加圧処理した後、得られた混合物を焼成、粉砕処理を行う工程にて本発明に用いられる炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した複合炭素材(A)を製造することができる。これらの中でも、上述した原料炭素材を加圧処理した後、解砕し、(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物被覆部分を得るために有機化合物と混合し、得られた混合物を焼成、粉砕処理を行うことで本発明に用いられる炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した複合炭素材を製造することができる。以下に、好ましい態様の一つとしての複合炭素材の製造方法を記載するが、本発明の複合炭素材はこれに限定されない。
複合炭素材の製造方法は、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上15原子%以下となるような製造方法であれば特に制限されない。例えば、複合炭素材(A)に対して加圧処理する方法、上述した原料炭素材を加圧処理した後、解砕し、(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物被覆部分を得るための有機化合物と混合し、得られた混合物を焼成、粉砕処理を行う工程、もしくは、原料炭素材と(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物被覆部分を得るための有機化合物と混合し、加圧処理した後、得られた混合物を焼成、粉砕処理を行う工程にて本発明に用いられる炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した複合炭素材(A)を製造することができる。これらの中でも、上述した原料炭素材を加圧処理した後、解砕し、(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物被覆部分を得るために有機化合物と混合し、得られた混合物を焼成、粉砕処理を行うことで本発明に用いられる炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した複合炭素材を製造することができる。以下に、好ましい態様の一つとしての複合炭素材の製造方法を記載するが、本発明の複合炭素材はこれに限定されない。
・原料炭素材を加圧処理する工程
本発明における複合炭素材の製造方法においては、有機化合物と原料炭素材を混合する前に、原料炭素材に対して加圧処理を行うことを特徴とする。
原料炭素材を加圧することにより原料炭素材の内部空隙が圧縮される。その結果、加圧処理をした後に解砕した原料炭素材の密度が増加し、混合する有機化合物が原料炭素材の内部空隙に吸収されることなく、原料炭素材の表面を効率的に被覆する。加圧及び成型する方法は特に限定されず、ロールコンパクター、ロールプレス、プリケット機、冷間等方圧加圧装置(CIP)、一軸成形機及びタブレット機などを用いることができる。
本発明における複合炭素材の製造方法においては、有機化合物と原料炭素材を混合する前に、原料炭素材に対して加圧処理を行うことを特徴とする。
原料炭素材を加圧することにより原料炭素材の内部空隙が圧縮される。その結果、加圧処理をした後に解砕した原料炭素材の密度が増加し、混合する有機化合物が原料炭素材の内部空隙に吸収されることなく、原料炭素材の表面を効率的に被覆する。加圧及び成型する方法は特に限定されず、ロールコンパクター、ロールプレス、プリケット機、冷間等方圧加圧装置(CIP)、一軸成形機及びタブレット機などを用いることができる。
また、必要があればロールに彫り込まれたパターンどおりに原料炭素材を加圧と同時に
成形することも可能である。また、原料炭素材粒子間に存在する空気を排気し、真空プレスする方法も適用できる。
なお、加圧処理は、一方向からの加圧による加圧処理でもよいし、等方的に加圧する処理でもよいが、粒子の扁平化が起こり難く、球形を保つことができ、塗料化した際の流動性の低下も防げる点で、等方的に加圧処理することが好ましい。
成形することも可能である。また、原料炭素材粒子間に存在する空気を排気し、真空プレスする方法も適用できる。
なお、加圧処理は、一方向からの加圧による加圧処理でもよいし、等方的に加圧する処理でもよいが、粒子の扁平化が起こり難く、球形を保つことができ、塗料化した際の流動性の低下も防げる点で、等方的に加圧処理することが好ましい。
原料炭素材を加圧する圧力は、特に限定されるものではないが、通常50kgf/cm2以上、好ましくは100kgf/cm2以上、より好ましくは300kgf/cm2以上、最も好ましくは1000kgf/cm2以上である。また、加圧処理の上限は特に限定されないが、通常2000kgf/cm2以下、好ましくは1500kgf/cm2以下である。圧力が低すぎると、強固な造粒が達成されず内部空隙が減少しない傾向があり、圧力が高すぎると工程上のコストの増加につながる傾向がある。
加圧する時間は、通常0.1秒以上、好ましくは3秒以上、より好ましくは1分以上である。また、通常30分以下、好ましくは10分以下、より好ましくは3分以下である。時間が長すぎると、製造工程に悪影響を及ぼす。また、時間が短すぎると強固な造粒が達成されず内部空隙が減少しない傾向がある。
加圧処理することにより得られた原料炭素材(a)は、以下のような物性を示すことが好ましい。
加圧処理することにより得られた原料炭素材(a)は、以下のような物性を示すことが好ましい。
・粒子内部空隙率
圧縮、解砕された原料炭素材(a)の粒子内部空隙率は、通常5%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上であり、一方、通常30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。粒子内部空隙率がこの範囲よりも高すぎると混合する有機化合物が原料炭素材(a)の内部空隙に余分に吸収されることになり、効率的に原料炭素材(a)を被覆することができない傾向がある。粒子内部空隙率がこの範囲よりも低すぎると混合する有機化合物が過剰に存在することになり、原料炭素材(a)同士を凝集させてしまい効率的に原料炭素材(a)を被覆することができない傾向がある。
なお、粒子内部空隙率の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
圧縮、解砕された原料炭素材(a)の粒子内部空隙率は、通常5%以上、好ましくは7%以上、より好ましくは10%以上であり、一方、通常30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下である。粒子内部空隙率がこの範囲よりも高すぎると混合する有機化合物が原料炭素材(a)の内部空隙に余分に吸収されることになり、効率的に原料炭素材(a)を被覆することができない傾向がある。粒子内部空隙率がこの範囲よりも低すぎると混合する有機化合物が過剰に存在することになり、原料炭素材(a)同士を凝集させてしまい効率的に原料炭素材(a)を被覆することができない傾向がある。
なお、粒子内部空隙率の測定方法は、前記の複合炭素材と同様な手法を用いて求めることができる。
・密度
圧縮された原料炭素材(a)の密度は、通常1.2g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以上である。また、上限に関しては特に制限はないが、通常1.8g/cm3以下である。
・圧縮、解砕された原料炭素材(a)と有機化合物とを混合する工程
圧縮、解砕された原料炭素材(a)と有機化合物との混合は常法により行うことができる。混合温度は通常は常温〜150℃であり、50〜150℃がより好ましく、100〜130℃が原料炭素材と有機化合物が均一に混合し易い点から更に好ましい。
圧縮された原料炭素材(a)の密度は、通常1.2g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以上である。また、上限に関しては特に制限はないが、通常1.8g/cm3以下である。
・圧縮、解砕された原料炭素材(a)と有機化合物とを混合する工程
圧縮、解砕された原料炭素材(a)と有機化合物との混合は常法により行うことができる。混合温度は通常は常温〜150℃であり、50〜150℃がより好ましく、100〜130℃が原料炭素材と有機化合物が均一に混合し易い点から更に好ましい。
圧縮、解砕された原料炭素材(a)と混合する際に、有機化合物は有機溶媒によって希釈することが好ましい。希釈する理由としては、有機溶媒で希釈することで混合する有機化合物の粘度を下げ、より効率良く、均一に原料炭素材(a)を被覆できるからである。
有機溶媒の種類としては、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ジメチルブタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、アミルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル等のエーテル;アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸イソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸シクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、安息香酸ブチル、安息
香酸イソアミル等のエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、テトラアミルベンゼン、ドデシルベンゼン、ジドデシルベンゼン、アミルトルエン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素等があるが、これらに限定されるものではない。
有機溶媒の種類としては、ペンタン、ヘキサン、イソヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、ジメチルブタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素;エチルエーテル、イソプロピルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、アミルフェニルエーテル、エチルベンジルエーテル等のエーテル;アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、酢酸メチル、酢酸イソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸シクロヘキシル、酪酸メチル、酪酸エチル、安息香酸ブチル、安息
香酸イソアミル等のエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、テトラアミルベンゼン、ドデシルベンゼン、ジドデシルベンゼン、アミルトルエン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素等があるが、これらに限定されるものではない。
また、これらを2種以上混合したものでもよい。この中でも、ベンゼン、トルエン、キシレンが比較的沸点が高く粘度の低い有機溶媒であり、揮発による濃度変化等が起こり難く、有機化合物の粘度を下げられる点で特に好ましい。
また、有機溶媒による希釈倍率は、有機溶媒の質量に対して、有機化合物が、通常5%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上であり、通常90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。この希釈倍率が大きすぎると有機化合物の濃度が低下し、効率的に原料炭素材を被覆することができない傾向がある。希釈倍率が小さすぎると有機化合物濃度が充分に低下せず効率的に原料炭素材を被覆することができない傾向がある。
また、有機溶媒による希釈倍率は、有機溶媒の質量に対して、有機化合物が、通常5%以上、好ましくは25%以上、より好ましくは40%以上、更に好ましくは50%以上であり、通常90%以下、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下、更に好ましくは60%以下である。この希釈倍率が大きすぎると有機化合物の濃度が低下し、効率的に原料炭素材を被覆することができない傾向がある。希釈倍率が小さすぎると有機化合物濃度が充分に低下せず効率的に原料炭素材を被覆することができない傾向がある。
混合は通常は常圧下で行うが、所望ならば、減圧下又は加圧下で行うこともできる。混合は回分方式及び連続方式のいずれで行うこともできる。いずれの場合でも、粗混合に適した装置及び精密混合に適した装置を組合せて用いることにより、混合効率を向上させることができる。
回分方式の混合装置としては、2本の枠型が自転しつつ公転する構造の混合機;高速高剪断ミキサーであるディゾルバーや高粘度用のバタフライミキサーの様な、一枚のブレートがタンク内で撹拌・分散を行う構造の装置;半円筒状混合槽の側面に沿ってシグマ型などの撹拌翼が回転する構造を有する、いわゆるニーダー形式の装置;撹拌翼を3軸にしたトリミックスタイプの装置;容器内に回転ディスクと分散媒体を有するいわゆるビーズミル型式の装置などが用いられる。
回分方式の混合装置としては、2本の枠型が自転しつつ公転する構造の混合機;高速高剪断ミキサーであるディゾルバーや高粘度用のバタフライミキサーの様な、一枚のブレートがタンク内で撹拌・分散を行う構造の装置;半円筒状混合槽の側面に沿ってシグマ型などの撹拌翼が回転する構造を有する、いわゆるニーダー形式の装置;撹拌翼を3軸にしたトリミックスタイプの装置;容器内に回転ディスクと分散媒体を有するいわゆるビーズミル型式の装置などが用いられる。
またシャフトによって回転されるパドルが内装された容器を有し、容器内壁面はパドルの回転の最外線に実質的に沿って、好ましくは長い双胴型に形成され、パドルは互いに対向する側面を摺動可能に咬合するようにシャフトの軸方向に多数対配列された構造の装置(例えば栗本鉄工所製のKRCリアクタ、SCプロセッサ、東芝機械セルマック社製のTEM、日本製鋼所製のTEX−Kなど);更には内部一本のシャフトと、シャフトに固定された複数のすき状又は鋸歯状のパドルが位相を変えて複数配置された容器を有し、その内壁面はパドルの回転の最外線に実質的に沿って、好ましくは円筒型に形成された構造の(外熱式)装置(例えばレーディゲ社製のレディゲミキサー、大平洋機工社製のフローシェアーミキサー、月島機械社製のDTドライヤーなど)を用いることもできる。連続方式で混合を行うには、パイプラインミキサーや連続式ビーズミルなどを用いればよい。
本工程で得られた混合物又は希釈混合物の粘度は、通常100cP以下、好ましくは70cP以下、より好ましくは50cP以下である。また1cP以上、好ましくは10cP以上である。粘度が高すぎると、サイクル時の劣化が起こり易く、サイクル特性が悪くなる傾向がある。
・混合物を焼成する工程
得られた混合物を非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素などの流通下で加熱することにより、加圧処理された炭素材(a)を被覆した有機化合物を炭化(好ましくは非晶質炭素化)又は黒鉛化させ、複合炭素材を製造する。
焼成温度は混合物の調製に用いた有機化合物により異なるが、(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物が被覆された複合炭素材を得る場合、通常は500℃以上、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上に加熱して有機化合物を十分に炭化させる。加熱温度
の上限は有機化合物の炭化物が、混合物中の原料炭素材(a)の結晶構造と同等の結晶構造に達しない温度であり、通常は高くても3000℃以下、好ましくは2000℃以下、1500℃以下がより好ましい。
得られた混合物を非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素などの流通下で加熱することにより、加圧処理された炭素材(a)を被覆した有機化合物を炭化(好ましくは非晶質炭素化)又は黒鉛化させ、複合炭素材を製造する。
焼成温度は混合物の調製に用いた有機化合物により異なるが、(非晶質)炭素質物又は黒鉛質物が被覆された複合炭素材を得る場合、通常は500℃以上、好ましくは800℃以上、より好ましくは900℃以上に加熱して有機化合物を十分に炭化させる。加熱温度
の上限は有機化合物の炭化物が、混合物中の原料炭素材(a)の結晶構造と同等の結晶構造に達しない温度であり、通常は高くても3000℃以下、好ましくは2000℃以下、1500℃以下がより好ましい。
焼成処理条件において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は、適宜設定する。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。
焼成に使用する炉は上記要件を満たせば特に制約はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ等の反応槽、コーカー(コークス製造の熱処理槽)、タンマン炉、アチソン炉、高周波誘導加熱炉などを用いることができ、加熱方式も、直接式抵抗加熱、間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱等を用いることができる。熱処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
焼成に使用する炉は上記要件を満たせば特に制約はないが、例えば、シャトル炉、トンネル炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ等の反応槽、コーカー(コークス製造の熱処理槽)、タンマン炉、アチソン炉、高周波誘導加熱炉などを用いることができ、加熱方式も、直接式抵抗加熱、間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱等を用いることができる。熱処理時には、必要に応じて攪拌を行なってもよい。
上記工程を経た複合炭素材は、必要に応じて、再度粉砕、解砕、分級処理等の粉体加工をしてもよい。
再度の粉砕や解砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられる。中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、さらに、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
再度の粉砕や解砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられる。中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、さらに、微粉砕機としてはボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル等が挙げられる。
分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができる。乾式気流式分級の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロン等)を用いることができる。また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等も用いることができる。
・解砕処理
解砕処理について、代表的な方法を以下に挙げるが、本発明の複合炭素材は本明細書で記載する解砕処理で得られたものに限定されるものではない。
解砕処理とは、複合炭素材の表面を削りながら平滑化し、せん断(摩砕)力を与える処理方法である。本発明の製造方法においては、解砕処理により複合炭素材に僅かに残存する微凝集粒子の結合を切断し、複合炭素材の表面に所定の含酸素官能基を付与することが可能である。
解砕処理について、代表的な方法を以下に挙げるが、本発明の複合炭素材は本明細書で記載する解砕処理で得られたものに限定されるものではない。
解砕処理とは、複合炭素材の表面を削りながら平滑化し、せん断(摩砕)力を与える処理方法である。本発明の製造方法においては、解砕処理により複合炭素材に僅かに残存する微凝集粒子の結合を切断し、複合炭素材の表面に所定の含酸素官能基を付与することが可能である。
解砕処理としては、より具体的には、複合炭素材の崩壊による比表面積増加に起因する不可逆容量の増加を招かないよう、極力、処理時に複合炭素材の周囲に含酸素物質が存在し、衝撃力を極力与えることなく、一定の仕事率のエネルギーを一定の時間与える手法が好ましい。なお、、通常、ターボミル、ピンミル等の微粉砕処理後に行われる処理を指すがこれは、これらの処理は省略することもできる。
具体的には、複合炭素材への重量あたりの仕事率は、通常50W/kg以上であり、好ましくは100W/kg以上、より好ましくは200W/kg以上、更に好ましくは400W/kg以上であり、通常3000W/kg以下であり、好ましくは2000W/kg以下、更に好ましくは1000W/kg以下である。
複合炭素材の重量あたりの仕事率を上記範囲内とすることにより、複合炭素材の表面における含酸素官能基量を増加し、複合炭素材に残存する微凝集粒子を低減することができる。このことにより、結合剤の量を減少させた場合にも極板強度を高めて入出力特性を向上するとともに、均一に電極に塗布することが可能となりサイクル特性を向上することができる。
複合炭素材の重量あたりの仕事率を上記範囲内とすることにより、複合炭素材の表面における含酸素官能基量を増加し、複合炭素材に残存する微凝集粒子を低減することができる。このことにより、結合剤の量を減少させた場合にも極板強度を高めて入出力特性を向上するとともに、均一に電極に塗布することが可能となりサイクル特性を向上することができる。
仕事率が大きすぎると、凝集粒子の解砕だけではなく、複合炭素材の粉砕が発生する為に比表面積増大による初回効率の低下、サイクル特性の低下が起こる傾向がある。また、仕事率が小さすぎると、解砕処理が十分行われず、複合炭素材の粒子同士が接触しているのみとなり、サイクル特性向上の効果が得にくくなる傾向がある。
なお、複合炭素材の仕事率の計算は、処理運転時の仕事率(W)から複合炭素材を入れないで空運転した時の仕事率(W)の差を取り、更にこれを処理重量(kg)で除した値を解砕処理に与えられた仕事率(W/kg)として計算した。
なお、複合炭素材の仕事率の計算は、処理運転時の仕事率(W)から複合炭素材を入れないで空運転した時の仕事率(W)の差を取り、更にこれを処理重量(kg)で除した値を解砕処理に与えられた仕事率(W/kg)として計算した。
前記仕事率を与える時間は、通常0.5分以上であることが好ましく、より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、最も好ましくは10分以上であり、通常120分以下であることが好ましく、より好ましくは、60分以下、更に好ましくは50分以下である。
処理時間が長すぎると、過剰なエネルギーを消費し、環境負荷やコスト面での損失が発生する傾向があり、処理時間が短すぎると解砕処理が十分行われず、複合炭素材の粒子同士が接触しているのみとなり、サイクル特性向上の効果が得にくくなる傾向がある。
処理時間が長すぎると、過剰なエネルギーを消費し、環境負荷やコスト面での損失が発生する傾向があり、処理時間が短すぎると解砕処理が十分行われず、複合炭素材の粒子同士が接触しているのみとなり、サイクル特性向上の効果が得にくくなる傾向がある。
また、仕事率に処理時間を乗じ、更に単位系をJ/gとした値を1gの複合炭素材に与えるエネルギーとすると、通常50J/g以上であることが好ましく、より好ましくは100J/g以上、更に好ましくは200J/g以上である。上限は、40000J/g以下であることが好ましく、より好ましくは、10000J/g以下、更に好ましくは、5000J/g以下、特に好ましくは3000J/g以下、最も好ましくは1500J/g以下である。
複合炭素材に与えるエネルギーが小さすぎると解砕処理が不十分でサイクル特性向上の効果が得にくくなる傾向があり、大きすぎると、過剰なエネルギーを消費し、環境負荷やコスト面での損失が発生する傾向がある。
使用する装置の構造としては、粉砕媒体同士ないしは装置の外壁に複合炭素材が挟まれる、ないしは擦られる装置であれば、本発明に用いることができる。
使用する装置の構造としては、粉砕媒体同士ないしは装置の外壁に複合炭素材が挟まれる、ないしは擦られる装置であれば、本発明に用いることができる。
通常、せん断作用または衝撃作用の少ない圧縮と磨砕作用の大きい装置を用いることが好ましい。具体的には、例えば、乳鉢と粉砕媒体を組み合わせた装置、振動式ボールミル、メカノフュージョン(ホソカワミクロン社製)、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械社製)、ボールミル、ファカルティー(ホソカワミクロン社製)またはコンポジ(日本コークス社製)などが挙げられる。
この中でも、内部が円筒状になっている装置内部に固定された金属の棒状の部位とそれとは一定のクリアランスを維持して相対的に運動し、その運動によって複合炭素材が挟まれる、ないしは擦られる装置が好ましい。
このような装置を用いる理由として、せん断作用や衝撃作用の少なく、圧縮作用と磨砕作用の大きく、比較的粒子の滞留時間が長い装置が好ましく用いることができる。
このような装置を用いる理由として、せん断作用や衝撃作用の少なく、圧縮作用と磨砕作用の大きく、比較的粒子の滞留時間が長い装置が好ましく用いることができる。
なお、使用する装置によっては、前述のクリアランスを設定する場合がある。その際には、通常1mm以上であることが好ましく、より好ましくは2mm以上、更に好ましくは3mm以上であり、特に好ましくは5mmである。また通常20mm以下であることが好ましく、より好ましくは15mm以下、更に好ましくは10mm以下である。
クリアランスの数値が小さすぎると、エネルギーを受ける粒子の数が減少し、粒子に対して磨砕の効果が小さくなる傾向があり、この数値が大きすぎると、インナーピースとローターとの間隔が大きくなる為に、シェアが掛かりにくくなり、磨砕の効果が小さくなる傾向がある。
クリアランスの数値が小さすぎると、エネルギーを受ける粒子の数が減少し、粒子に対して磨砕の効果が小さくなる傾向があり、この数値が大きすぎると、インナーピースとローターとの間隔が大きくなる為に、シェアが掛かりにくくなり、磨砕の効果が小さくなる傾向がある。
また、周速は、通常100m/s以上であることが好ましく、より好ましくは500m/s以上、更に好ましくは1000m/s以上であり、また通常3000m/s以下であることが好ましく、より好ましくは2000m/s以下である。
周速が小さすぎると、粉砕媒体同士ないしは装置の外壁に擦り付けられることによる磨砕の作用が小さくなる傾向があり、周速が大きすぎると、装置の衝撃力が強くなり、解砕ではなく、粉砕が起こってしまう傾向がある。
周速が小さすぎると、粉砕媒体同士ないしは装置の外壁に擦り付けられることによる磨砕の作用が小さくなる傾向があり、周速が大きすぎると、装置の衝撃力が強くなり、解砕ではなく、粉砕が起こってしまう傾向がある。
この処理の特徴からも複合炭素材の内部から官能基を発生させるのではなく、複合炭素材の表面の炭素質と複合炭素材の周辺の液体や気体の状況は重要な因子となる。
処理時の複合炭素材の周辺環境としては、複合炭素材の解砕時に表面に官能基が付与できれば、特に指定はないが、酸素雰囲気下が好ましく、具体的には、酸素原子を含む液体乃至気体がより好ましい。
処理時の複合炭素材の周辺環境としては、複合炭素材の解砕時に表面に官能基が付与できれば、特に指定はないが、酸素雰囲気下が好ましく、具体的には、酸素原子を含む液体乃至気体がより好ましい。
酸素の含有濃度としては、通常0.1mol%以上であることが好ましく、より好ましくは1mol%以上、更に好ましくは、5mol%以上、特に好ましくは20mol%以上、上限は80mol%以下であることが好ましく、より好ましくは50mol%以下、更に好ましくは40mol%以下である。
与える酸素分圧が小さすぎると官能基付与が不十分でサイクル特性向上の効果が得にくくなる傾向があり、大きすぎると、爆発などの危険があり、安全運転上の問題が発生する傾向がある。
与える酸素分圧が小さすぎると官能基付与が不十分でサイクル特性向上の効果が得にくくなる傾向があり、大きすぎると、爆発などの危険があり、安全運転上の問題が発生する傾向がある。
また、上記以外にも、メタノール、エタノール若しくはイソプロピルアルコールに代表される単座のアルコール、エチレングリコール若しくはプロピレングリコールに代表される多座のアルコール、またはエーテル若しくはエステル化合物なども好ましく用いることができる。また気体では、オゾン、一酸化炭素、SOxやNOxなども用いることができる。
例えば、上述したような特定の解砕処理を複合炭素材に施すことによって、加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上であることを特徴とする非水系二次電池負極用複合炭素材を製造することができる。
<複合炭素材とその他の炭素材との混合>
本発明の非水系二次電池池における複合炭素材には、上記複合炭素材以外に、それとは炭素質の物性が異なる炭素質物(炭素質材料)を1種以上含有させることにより、更に電池性能の向上を図ることが可能である。
本発明の非水系二次電池池における複合炭素材には、上記複合炭素材以外に、それとは炭素質の物性が異なる炭素質物(炭素質材料)を1種以上含有させることにより、更に電池性能の向上を図ることが可能である。
ここで述べた「炭素質の物性」とは、X線回折パラメータ、メジアン径、アスペクト比、BET比表面積、配向比、ラマンR値、タップ密度、真密度、細孔分布、円形度、灰分量のうちの一つ以上の特性を示す。
また、好ましい実施の形態としては、体積基準粒度分布がメジアン径を中心としたときに左右対称とならないことや、ラマンR値異なる炭素材料を2種以上含有していること、X線パラメータが異なること等が挙げられる。
また、好ましい実施の形態としては、体積基準粒度分布がメジアン径を中心としたときに左右対称とならないことや、ラマンR値異なる炭素材料を2種以上含有していること、X線パラメータが異なること等が挙げられる。
その効果の一例としては、天然黒鉛若しくは人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト)、アセチレンブラック等のカーボンブラック、またはニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料を副材として含有されることにより電気抵抗を低減させること等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
副材として添加する場合には、複合炭素材における含有量は通常0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上
であり、通常80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。この範囲を下回りすぎると、導電性向上の効果が得にくい傾向がある。上回りすぎると、初期不可逆容量の増大を招き好ましくない。
副材として添加する場合には、複合炭素材における含有量は通常0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.6質量%以上
であり、通常80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。この範囲を下回りすぎると、導電性向上の効果が得にくい傾向がある。上回りすぎると、初期不可逆容量の増大を招き好ましくない。
・導電剤
導電剤としては、鱗片状天然黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。中でも、鱗片状天然黒鉛やカーボンブラックは、導電パス切れによる充電状態の粒子をできるだけ少なくできる可能性があり、電極膨れの観点で、本発明の炭素材料に導電助剤を追加した方がより好ましい。
導電剤としては、鱗片状天然黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。中でも、鱗片状天然黒鉛やカーボンブラックは、導電パス切れによる充電状態の粒子をできるだけ少なくできる可能性があり、電極膨れの観点で、本発明の炭素材料に導電助剤を追加した方がより好ましい。
導電剤は、X線広角回折法による002面の面間隔(d002)が3.37Å以下、アルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値が0.18以上0.7以下であり、アスペクト比が4以上であって、平均粒径(d50)が2μm以上12μm以下の条件を満たすものである。以下に本発明の導電剤の代表的な特性を記載する。
(a)002面の面間隔(d002)
導電剤のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は、通常3.37Å以下、好ましくは3.36Å以下である。またLcは、通常900Å以上、好ましくは950Å以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)は実施例で後述する方法により測定する。002面の面間隔(d002)が大きすぎると、炭素材料の粒子の表面を除くほとんどの部分の結晶性が低くなり、非晶質炭素材料に見られるような不可逆容量が大きいことによる容量が低下する傾向がある。またLcが小さすぎると、結晶性が低くなる傾向がある。
導電剤のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)は、通常3.37Å以下、好ましくは3.36Å以下である。またLcは、通常900Å以上、好ましくは950Å以上である。X線広角回折法による002面の面間隔(d002)は実施例で後述する方法により測定する。002面の面間隔(d002)が大きすぎると、炭素材料の粒子の表面を除くほとんどの部分の結晶性が低くなり、非晶質炭素材料に見られるような不可逆容量が大きいことによる容量が低下する傾向がある。またLcが小さすぎると、結晶性が低くなる傾向がある。
(b)ラマンR値
導電剤のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値は、通常0.18以上、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上であり、通常0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下である。
ラマンR値が小さすぎると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、ラマンR値が大きすぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
導電剤のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値は、通常0.18以上、好ましくは0.2以上であり、より好ましくは0.25以上であり、通常0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下である。
ラマンR値が小さすぎると、粒子表面の結晶性が高くなり過ぎて、高密度化した場合に電極板と平行方向に結晶が配向し易くなり、負荷特性の低下を招く虞がある。一方、ラマンR値が大きすぎると、粒子表面の結晶が乱れ、電解液との反応性が増し、効率の低下やガス発生の増加を招く傾向がある。
(c)アスペクト比
導電剤のアスペクト比は、通常4以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。アスペクト比が小さすぎると、不可逆容量が上昇する傾向がある。またアスペクト比が大きすぎると、電極にした際に、バインダー樹脂の吸着能力が低くなる傾向がある。
導電剤のアスペクト比は、通常4以上、好ましくは4.5以上、より好ましくは5以上、通常25以下、好ましくは20以下、より好ましくは15以下である。アスペクト比が小さすぎると、不可逆容量が上昇する傾向がある。またアスペクト比が大きすぎると、電極にした際に、バインダー樹脂の吸着能力が低くなる傾向がある。
(d)平均粒径
導電剤の平均粒径(d50)は、通常2μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、また、通常12μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。平均粒径が小さすぎると、比表面積が小さくなり不可逆容量の増加を防ぎにくくなる傾向がある。また、平均粒径が大きすぎると、電解液と導電剤の粒子との接触面積が減ることによる急速充放電性の低下を防ぎにくくなる。
導電剤の平均粒径(d50)は、通常2μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは4μm以上であり、また、通常12μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下である。平均粒径が小さすぎると、比表面積が小さくなり不可逆容量の増加を防ぎにくくなる傾向がある。また、平均粒径が大きすぎると、電解液と導電剤の粒子との接触面積が減ることによる急速充放電性の低下を防ぎにくくなる。
(e)タップ密度
導電剤のタップ密度は、通常0.6g/cm3以下、好ましくは0.5g/cm3以下、より好ましくは0.4g/cm3以下である。導電剤のタップ密度が大きすぎると、鱗片状黒鉛質粒子が十分な嵩高さを有しにくく、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)の吸着能力が低く、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防止しにくい傾向がある。
導電剤のタップ密度は、通常0.6g/cm3以下、好ましくは0.5g/cm3以下、より好ましくは0.4g/cm3以下である。導電剤のタップ密度が大きすぎると、鱗片状黒鉛質粒子が十分な嵩高さを有しにくく、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)の吸着能力が低く、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防止しにくい傾向がある。
(f)BET法による比表面積
導電剤のBET法による比表面積は、通常30m2/g以下であることが好ましく、27m2/g以下であることがより好ましい。また、5m2/g以上であることが好ましく、7m2/g以上であることがより好ましい。
導電剤の比表面積が大きすぎると、不可逆容量の増大による容量の低下を防ぎにくくなる傾向がある。また、比表面積が小さすぎると、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)の吸着能力が低くなり、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防ぎにくくなる傾向がある。
導電剤のBET法による比表面積は、通常30m2/g以下であることが好ましく、27m2/g以下であることがより好ましい。また、5m2/g以上であることが好ましく、7m2/g以上であることがより好ましい。
導電剤の比表面積が大きすぎると、不可逆容量の増大による容量の低下を防ぎにくくなる傾向がある。また、比表面積が小さすぎると、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)の吸着能力が低くなり、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防ぎにくくなる傾向がある。
(g)導電剤の種類及び製造方法
導電剤の種類としては、種々の炭素材の中でも鱗片状黒鉛質炭素が好ましい。このような導電剤を混合することで、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)を導電剤に吸着させ、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防ぎ、より均一に炭素材表面をバインダー樹脂(CMC、SBR等)で覆うことができ、不可逆容量を減少させることができる。
導電剤の種類としては、種々の炭素材の中でも鱗片状黒鉛質炭素が好ましい。このような導電剤を混合することで、電極にした際にバインダー樹脂(CMC、SBR等)を導電剤に吸着させ、バインダー樹脂(CMC、SBR等)の無駄食いを防ぎ、より均一に炭素材表面をバインダー樹脂(CMC、SBR等)で覆うことができ、不可逆容量を減少させることができる。
導電剤を製造する方法は、上記の特性を満たせば、どのような製法でも問題ないが、例えば、導電剤は球形化黒鉛粒子を製造する際に副生された炭素材を使用することができる。従来、球形化黒鉛粒子を製造する際に、非常に大量で且つ様々な物性の微粉が副生している。本発明では、これら副生物に対して種々の分級や解砕等々を施すことにより得られる特定の物性値に制御された炭素材を選択すること、そしてその炭素材を黒鉛質粒子(A)とブレンドすることによって、利用価値の高い非水電解液二次電池用炭素材に適用できる。また導電剤を製造する他の方法としては、そのものを目的物質として製造してもかまわない。具体的な製法として例えば、球形化黒鉛粒子の製造法として鱗片、鱗状、板状および塊状の例えば天然で産出される黒鉛、並びに石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークスおよびメソフェーズピッチなどを2500℃以上に加熱して製造した人造黒鉛に、特定の物性値になるように、種々の粉砕、解砕、分級等々を施すことでも製造できる。
本発明の非水系二次電池用負極材は、構成要素の一つである上述した複合炭素材と、上述した導電材以外にも、例えば、以下で規定されるその導電材を含んでいてもよい。複合炭素材と組み合わせる導電材は、以下に示される炭素材のうち一種、又は二種以上を任意の組成及び組み合わせ用いることにより、非水系二次電池の負極材として好適に使用することができる。
上述の複合炭素材に上述した導電剤(以下、その他の炭素材ともいう)を混合する場合、複合炭素材とその他の炭素材の総量に対する複合炭素材の混合割合は、特に制限はないが、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%、更に好ましくは7質量%、また、通常99質量%以下、好ましくは96質量%以下、より好ましくは50質量%、更に好ましくは25質量%の範囲である。その他の炭素材の混合割合が前記範囲を下回ると、その他の炭素材を添加した効果が現れ難い傾向がある。一方、前記範囲を上回ると、複合炭素材の特性が現れ難い傾向がある。
その他の炭素材としては、天然黒鉛(C)、人造黒鉛(D)、加圧処理されていない原料炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した被覆黒鉛(E)、及び非晶質炭素(F)からなる群より選ばれる材料を用いる。これらの材料は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び組成で併用しても良い。この中でもその他の炭素材は炭素材(C)〜(F)のうち、(C)〜(E)からなる群より選ばれる1以上の材料が、複合炭素材との組合せに於いて、複合炭素材を含む効果を得易いので好ましい。
その他の炭素材の体積基準平均粒径d50は3μm以上60μm以下であることが複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。また、比表面積は通常1m2/g以上20m2/g以下であることが好ましく、1m2/g以上15m2/g以下であることが負極材料の不可逆容量が小さいのでより好ましい。その他の炭素材のタップ密度は0.6g/cm3以上1.5g/cm3以下であることが複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
また、その他の炭素材は高純度化した方が、不純物が少なく、電池の安全性の点から好ましい。さらに、その他の炭素材は球形化天然黒鉛が加圧処理の効果が表れやすい点から、特に好ましい。
天然黒鉛(C)としては、例えば、高純度化した炭素材や球形化した天然黒鉛を用いることができる。本発明でいう高純度化とは、灰分や金属等を除去した状態を意味する。通常、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸などの酸中で処理すること、又はこれらの1以上の酸処理工程を組み合わせて行なうことにより、低純度天然黒鉛中に含まれる灰分や金属等を溶解除去できる(高純度化処理工程)。そして前記酸処理工程の後には通常、水洗処理等を行ない高純度化処理工程で用いた酸分を除去する。
天然黒鉛(C)としては、例えば、高純度化した炭素材や球形化した天然黒鉛を用いることができる。本発明でいう高純度化とは、灰分や金属等を除去した状態を意味する。通常、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸などの酸中で処理すること、又はこれらの1以上の酸処理工程を組み合わせて行なうことにより、低純度天然黒鉛中に含まれる灰分や金属等を溶解除去できる(高純度化処理工程)。そして前記酸処理工程の後には通常、水洗処理等を行ない高純度化処理工程で用いた酸分を除去する。
酸処理工程の代わりに2000℃以上の高温で処理することにより、灰分や金属等を蒸発、除去しても良い。また、高温熱処理時に塩素ガス等のハロゲンガス雰囲気で処理することにより灰分や金属等を除去しても良い。更に、これらの高純度化の手法を任意に組み合わせて用いても良い。
天然黒鉛(C)のうち、高純度化した天然黒鉛(C)を用いることが、不純物が少ないので、電池の安全性の点から好ましい。
天然黒鉛(C)のうち、高純度化した天然黒鉛(C)を用いることが、不純物が少ないので、電池の安全性の点から好ましい。
ここで、高純度化を行なった天然黒鉛の純度は、通常98.0質量%以上、好ましくは99.0質量%以上、より好ましくは99.6質量%以上である。純度がこの範囲であれば、負極材料として用いた場合、電池容量が高くなるのでより好ましい。
天然黒鉛(C)の体積基準平均粒径d50は、通常3μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
天然黒鉛(C)の体積基準平均粒径d50は、通常3μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
ここで、体積基準平均粒径とはd50を意味し、上述の原料炭素材の体積基準平均粒径と同様の方法によって測定することができる。
天然黒鉛(C)のBET比表面積は、通常3.5m2/g以上、好ましくは、4.5m2/g以上、また、通常20m2/g以下、好ましくは15m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下、更に好ましくは6m2/g以下の範囲である。上記範囲内であれば、負極材料とした場合の不可逆容量が小さい点から好ましい。
天然黒鉛(C)のBET比表面積は、通常3.5m2/g以上、好ましくは、4.5m2/g以上、また、通常20m2/g以下、好ましくは15m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下、更に好ましくは6m2/g以下の範囲である。上記範囲内であれば、負極材料とした場合の不可逆容量が小さい点から好ましい。
また、天然黒鉛(C)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タッ
プ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
プ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
人造黒鉛(D)としては、原料炭素材を黒鉛化した粒子等が挙げられ、例えば、単一の黒鉛前駆体粒子を粉状のまま焼成して黒鉛化した粒子や、複数の黒鉛前駆体粒子を成形し焼成して黒鉛化し解砕した造粒粒子などを用いることができる。
人造黒鉛(D)の体積基準平均粒径d50は、通常3μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材との組み合わせに於いて、複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
人造黒鉛(D)の体積基準平均粒径d50は、通常3μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材との組み合わせに於いて、複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
人造黒鉛(D)のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上、好ましくは、1.0m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。上記範囲内であれば負極材料とした場合の不可逆容量が小さい点から好ましい。
また、人造黒鉛(D)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.5g/cm3以下、1.4g/cm3以下が好ましく、1.3g/cm3以下がより好ましい。上記範囲内であればタップ密度が高く粒子が充填し易く、圧延性に優れる点から好ましい。
また、人造黒鉛(D)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.5g/cm3以下、1.4g/cm3以下が好ましく、1.3g/cm3以下がより好ましい。上記範囲内であればタップ密度が高く粒子が充填し易く、圧延性に優れる点から好ましい。
加圧処理されていない原料炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した被覆黒鉛(E)としては、例えば、加圧処理されていない天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質前駆体を被覆、焼成及び黒鉛化のうちいずれか1以上の処理をした粒子や、加圧処理されていない天然黒鉛や人造黒鉛に非晶質炭素をCVD法により被覆した粒子を用いることができる。
被覆黒鉛(E)の体積基準平均粒径d50は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
被覆黒鉛(E)の体積基準平均粒径d50は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
被覆黒鉛(E)のBET比表面積は、通常1.0m2/g以上、好ましくは、2.0m2/g以上、更に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常20m2/g以下、好ましくは15m2/g以下、より好ましくは8m2/g以下、更に好ましくは6m2/g以下、最も好ましくは4m2/g以下の範囲である。上記範囲内であれば負極材料とした場合の不可逆容量が小さい点から好ましい。
また、被覆黒鉛(E)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
非晶質炭素(F)としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、易黒鉛化性有機化合物を不融化処理し、焼成した粒子を用いることができる。
非晶質炭素(F)の体積基準平均粒径d50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
非晶質炭素(F)の体積基準平均粒径d50は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材との組合せに於いて複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
非晶質炭素(F)のBET比表面積は、通常1.0m2/g以上、好ましくは、2.0m2/g以上、更に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。上記範囲内であれば負極材料とした場合の不可逆容量が小さい点から好ましい。
また、非晶質炭素(F)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
また、非晶質炭素(F)のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
<複合炭素材とその他の炭素材の混合方法>
複合炭素材とその他の炭素材との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機等を用いることができ、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
複合炭素材とその他の炭素材との混合に用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機等を用いることができ、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
<非水系二次電池用負極材>
複合炭素材とその他の炭素材との混合物(非水系二次電池用負極材)の物性は以下のような物性であることが好ましい。
本発明の非水系二次電池用負極材の体積基準平均粒径d50は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
複合炭素材とその他の炭素材との混合物(非水系二次電池用負極材)の物性は以下のような物性であることが好ましい。
本発明の非水系二次電池用負極材の体積基準平均粒径d50は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。上記範囲内であれば複合炭素材を含む効果を得易い点から好ましい。
本発明の非水系二次電池用負極材のBET比表面積は、通常1.5m2/g以上、好ましくは、2.0m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下の範囲である。上記範囲内であれば負極材料とした場合の不可逆容量が小さい点から好ましい。
また、本発明の非水系二次電池用負極材のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.4g/cm3以下、1.3g/cm3以下が好ましく、1.2g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
また、本発明の非水系二次電池用負極材のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.4g/cm3以下、1.3g/cm3以下が好ましく、1.2g/cm3以下がより好ましい。タップ密度が低すぎると、高速充放電特性に劣り、タップ密度が高すぎると、粒子内炭素密度が上昇し、圧延性に欠け、高密度の負極シートを形成することが難しくなる場合がある。
<非水系二次電池用負極>
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、当該活物質層は少なくとも本発明にかかる非水系二次電池用複合炭素材を含有することを特徴とする。更に好ましくは、当該活物質層にはバインダーを含有する。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備え、当該活物質層は少なくとも本発明にかかる非水系二次電池用複合炭素材を含有することを特徴とする。更に好ましくは、当該活物質層にはバインダーを含有する。
バインダーとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダーを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダーと、前述の活物質とを組み合わ
せて用いることにより、負極板の強度を高くすることができる。負極板の強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。また、本発明に係る負極では、活物質層と集電体との接着強度が高いので、活物質層中のバインダーの含有量を低減させても、負極を捲回して電池を製造する際に、集電体から活物質層が剥離することもないと推察される。
せて用いることにより、負極板の強度を高くすることができる。負極板の強度が高いと、充放電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。また、本発明に係る負極では、活物質層と集電体との接着強度が高いので、活物質層中のバインダーの含有量を低減させても、負極を捲回して電池を製造する際に、集電体から活物質層が剥離することもないと推察される。
分子内にオレフィン性不飽和結合を有するバインダーとしては、その分子量が大きいものか、或いは、不飽和結合の割合が高いものが望ましい。
具体的に、分子量が大きいバインダーの場合には、その重量平均分子量が通常1万以上、好ましくは5万以上、また、通常100万以下、好ましくは30万以下の範囲にあるものが望ましい。また、不飽和結合の割合が高いバインダーの場合には、全バインダーの1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数が、通常2.5×10−7以上、好ましくは8×10−7以上、また、通常5×10−6以下、好ましくは1×10−6以下の範囲にあるものが望ましい。
具体的に、分子量が大きいバインダーの場合には、その重量平均分子量が通常1万以上、好ましくは5万以上、また、通常100万以下、好ましくは30万以下の範囲にあるものが望ましい。また、不飽和結合の割合が高いバインダーの場合には、全バインダーの1g当たりのオレフィン性不飽和結合のモル数が、通常2.5×10−7以上、好ましくは8×10−7以上、また、通常5×10−6以下、好ましくは1×10−6以下の範囲にあるものが望ましい。
バインダーとしては、これらの分子量に関する規定と不飽和結合の割合に関する規定のうち、少なくとも何れか一方を満たしていればよいが、両方の規定を同時に満たすものがより好ましい。オレフィン性不飽和結合を有するバインダーの分子量が小さ過ぎると機械的強度に劣り、大き過ぎると可撓性に劣る。また、バインダー中のオレフィン性不飽和結合の割合が低過ぎると強度向上効果が薄れ、高過ぎると可撓性に劣る。
また、オレフィン性不飽和結合を有するバインダーは、その不飽和度が、通常15%以上、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上、また、通常90%以下、好ましくは80%以下の範囲にあるものが望ましい。なお、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単位に対する二重結合の割合(%)を表す。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダーと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダー量に対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの混合比率は、通常150質量%以下、好ましくは120質量%以下の範囲である。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダーと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダー量に対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの混合比率は、通常150質量%以下、好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーを併用することにより、塗布性を向上することができるが、併用量が多すぎると活物質層の強度が低下する。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉等の多糖類;カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩;ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダーの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉等の多糖類;カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩;ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
本発明の炭素材は、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダーと組み合わせて用いた場合、活物質層に用いるバインダーの比率を従来に比べて低減することができる。具体的には、本発明の負極材料と、バインダー(上述のように不飽和結合を有するバインダーと、不飽和結合を有さないバインダーとの混合物であってもよい。)との質量比率(負極材料/バインダー)は、それぞれの乾燥質量比で、通常90/10以上、好ましくは95/5以上であり、通常99.9/0.1以下、好ましくは99.5/0.5以下の範囲である。
バインダーの割合が高過ぎると容量の減少や、抵抗増大を招きやすく、バインダーの割
合が少な過ぎると負極板強度が劣る。
本発明の負極は、上述の本発明の負極材料とバインダーとを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成される。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。このスラリーには更に、所望により導電剤を加えてもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の負極材料に対して通常10質量%以下程度である。
合が少な過ぎると負極板強度が劣る。
本発明の負極は、上述の本発明の負極材料とバインダーとを分散媒に分散させてスラリーとし、これを集電体に塗布することにより形成される。分散媒としては、アルコールなどの有機溶媒や、水を用いることができる。このスラリーには更に、所望により導電剤を加えてもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からなる微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の負極材料に対して通常10質量%以下程度である。
スラリーを塗布する集電体には、従来公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜が挙げられる。集電体の厚さは、通常4μm以上、好ましくは6μm以上であり、通常30μm以下、好ましくは20μm以下である。
このスラリーを、集電体である銅箔上に、負極材料が5〜15mg/cm2付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾を行う。更に110℃で30分乾燥後、ロールプレスで、活物質層の密度が1.7g/cm3になるよう調整することにより、好ましい電極シートを得ることができる。
このスラリーを、集電体である銅箔上に、負極材料が5〜15mg/cm2付着するように、ドクターブレードを用いて幅5cmに塗布し、室温で風乾を行う。更に110℃で30分乾燥後、ロールプレスで、活物質層の密度が1.7g/cm3になるよう調整することにより、好ましい電極シートを得ることができる。
スラリーを集電体上に塗布した後、通常60℃以上、好ましくは80℃以上、また、通常200℃以下、好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物性層を形成する。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、ロールプレスを行った後の状態において、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiイオンの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、ロールプレスを行った後の状態において、通常5μm以上、好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、通常200μm以下、好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層が薄すぎると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に欠け、厚すぎると、高密度の電流値に対する十分なLiイオンの吸蔵・放出の機能が得られにくい。
活物質層における炭素材の密度は、用途により異なるが、容量を重視する用途では、好ましくは1.55g/cm3以上、とりわけ1.6g/cm3以上、更に1.65g/cm3以上、特に1.7g/cm3以上が好ましい。密度が低すぎると、単位体積あたりの電池の容量が必ずしも充分ではない。また、密度が高すぎるとレート特性が低下するので、1.9g/cm3以下が好ましい。
以上説明した本発明の非水系二次電池用複合炭素材を用いて非水系二次電池用負極を作製する場合、その手法や他の材料の選択については、特に制限されない。また、この負極を用いて非水系二次電池池を作製する場合も、非水系二次電池池を構成する正極、電解液等の電池構成上必要な部材の選択については特に制限されない。
以下、本発明の負極材料を用いた非水系二次電池池用負極及び非水系二次電池池の詳細を例示するが、使用し得る材料や作製の方法等は以下の具体例に限定されるものではない。
以下、本発明の負極材料を用いた非水系二次電池池用負極及び非水系二次電池池の詳細を例示するが、使用し得る材料や作製の方法等は以下の具体例に限定されるものではない。
<非水系二次電池>
本発明の非水系二次電池、特に非水系二次電池池の基本的構成は、従来公知の非水系二次電池池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダーを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
本発明の非水系二次電池、特に非水系二次電池池の基本的構成は、従来公知の非水系二次電池池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダーを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、
放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物;バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物;NiPS3、FePS3等の遷移金属のリン−硫黄化合物;VSe2、NbSe3などの遷移金属のセレン化合物;Fe0.25V0.75S2、Na0.1CrS2などの遷移金属の複合酸化物;LiCoS2、LiNiS2などの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物;バナジウムの硫化物、モリブデンの硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物;NiPS3、FePS3等の遷移金属のリン−硫黄化合物;VSe2、NbSe3などの遷移金属のセレン化合物;Fe0.25V0.75S2、Na0.1CrS2などの遷移金属の複合酸化物;LiCoS2、LiNiS2などの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
これらの中でも、V2O5、V5O13、VO2、Cr2O5、MnO2、TiO、MoV2O8、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、TiS2、V2S5、Cr0.25V0.75S2、Cr0.5V0.5S2などが好ましく、特に好ましいのはLiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4や、これらの遷移金属の一部を他の金属で置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。これらの正極活物質は、単独で用いても複数を混合して用いてもよい。
正極活物質を結着するバインダーとしては、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。これらの中でも好ましいのは、不飽和結合を有さない樹脂である。正極活物質を結着する樹脂として不飽和結合を有する樹脂を用いると酸化反応時(充電時)に分解するおそれがある。これらの樹脂の重量平均分子量は通常1万以上、好ましくは10万以上、また、通常300万以下、好ましくは100万以下の範囲である。
正極活物質層中には、電極の導電性を向上させるために、導電材を含有させてもよい。導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダーを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定されない。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダーを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定されない。
電解質としては、非水系溶媒にリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、この非水系電解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
これらの非水系溶媒は、何れか一種を単独で用いても良く、二種以上を混合して用いても良い。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組合せが好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの混合溶媒であることが、低温でも高いイオン電導度を発現でき、低温充電負荷特性が向上するという点で特に好ましい。
中でもプロピレンカーボネートが非水系溶媒全体に対し、2重量%以上80重量%以下の範囲が好ましく、5重量%以上70重量%以下の範囲がより好ましく、10重量%以上60重量%以下の範囲がさらに好ましい。プロピレンカーボネートの割合が上記より低いと低温でのイオン電導度が低下し、プロピレンカーボネートの割合が上記より高いと、負極に黒鉛系電極を用いた場合に、Liイオンに溶媒和したプロピレンカーボネートが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化が起こり、十分な容量が得られなくなる問題がある。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、この用途に用い得ることが知られている公知のリチウム塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物;LiClO4、LiBrO4、LiClO4などの過ハロゲン酸塩;LiPF6、LiBF4、LiAsF6などの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩;LiCF3SO3、LiC4F9SO3などのパーフルオロアルカンスルホン酸塩;Liトリフルオロスルフォンイミド((CF3SO2)2NLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられ、この中でもLiClO4、LiPF6、LiBF4、が好ましい。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5mol/L以上、2.0mol/L以下の範囲である。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして電解質を使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして電解質を使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
上述の非水系電解液は、更に被膜形成剤を含んでいても良い。被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物;エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。
更に、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。上記添加剤を用いる場合、その含有量は通常10質量%以下、中でも8質量%以下、更には5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。上記添加剤の含有量が多過ぎると、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、電解質として、リチウムイオン等のアルカリ金属カチオンの導電体である高分子固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLiの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
本発明の非水系二次電池池の形態は特に制限されない。例としては、シート電極及びセパレータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
本発明の非水系二次電池池を組み立てる手順も特に制限されず、電池の構造に応じて適切な手順で組み立てればよいが、例を挙げると、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共にかしめて電池にすることができる。
<電池の性能>
上述のように作製した電池は以下の様な性能を示すものである。
出力は、通常1.0W以上、好ましくは1.5W以上、より好ましくは1.8W以上である。出力が低すぎると、電気自動車用電源として非水系二次電池池を使用する場合に発進、加速時に大きなエネルギーを取り出せず、また、減速時に発生する大きなエネルギーを効率よく回生することができない。
上述のように作製した電池は以下の様な性能を示すものである。
出力は、通常1.0W以上、好ましくは1.5W以上、より好ましくは1.8W以上である。出力が低すぎると、電気自動車用電源として非水系二次電池池を使用する場合に発進、加速時に大きなエネルギーを取り出せず、また、減速時に発生する大きなエネルギーを効率よく回生することができない。
サイクル維持率は、通常70%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。サイクル維持率が低すぎると、充放電を繰り返し、長い期間使用するような用途へ適さない。ここでサイクル維持率とは、1サイクル目の放電容量に対する、200サイクル目の放電容量のことを表す。
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
(測定方法)
(測定方法)
(1)体積基準平均粒径(d50)
粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明における体積基準平均粒径d50と定義する。
粒径の測定方法は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「HORIBA製LA−920」に導入し、28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、測定装置における体積基準のメジアン径として測定したものを、本発明における体積基準平均粒径d50と定義する。
(2)タップ密度
タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
タップ密度は、粉体密度測定器である(株)セイシン企業社製「タップデンサーKYT−4000」を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して、炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の重量から求めた密度をタップ密度として定義する。
(3)BET比表面積
BET比表面積の測定方法は、例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。具体的には、試料(炭素材)0.4gをセルに充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して
脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により比表面積を算出した。
なお、実施例で測定している上述した物性値以外の物性値等は、発明を実施をするための形態の項に記載した測定方法に準じて測定を行った。
BET比表面積の測定方法は、例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」を用いて、窒素ガス吸着流通法によりBET1点法にて測定する。具体的には、試料(炭素材)0.4gをセルに充填し、350℃に加熱して前処理を行った後、液体窒素温度まで冷却して、窒素30%、He70%のガスを飽和吸着させ、その後室温まで加熱して
脱着したガス量を計測し、得られた結果から、通常のBET法により比表面積を算出した。
なお、実施例で測定している上述した物性値以外の物性値等は、発明を実施をするための形態の項に記載した測定方法に準じて測定を行った。
実施例1
原料炭素材として球形化天然黒鉛を用い、加圧処理として1000kgf/cm2で2分間、等方的加圧処理を行った後解砕し、石油系重質油とを混練機にて混合した。次に得られた混合物を不活性ガス中において1300℃で1時間の焼成処理を施した。
原料炭素材として球形化天然黒鉛を用い、加圧処理として1000kgf/cm2で2分間、等方的加圧処理を行った後解砕し、石油系重質油とを混練機にて混合した。次に得られた混合物を不活性ガス中において1300℃で1時間の焼成処理を施した。
焼成物をターボミル(ターボ工業製)にて2000rpmで解砕処理を施し、加圧処理された球形化天然黒鉛表面に炭素質物が被覆した炭素材Aを得た。
焼成時の重質油の残炭素化率から、得られた炭素材Aの粉末は、黒鉛96.5質量部に対して3.5質量部の炭素質物で被覆されていた。
ここで、炭素材Aの体積基準平均粒径(d50)は16.9μm、BET比表面積が3.3m2/g、タップ密度が1.16g/cm3、内部空隙率は14.8%、O/Cは0.59原子%であった。
焼成時の重質油の残炭素化率から、得られた炭素材Aの粉末は、黒鉛96.5質量部に対して3.5質量部の炭素質物で被覆されていた。
ここで、炭素材Aの体積基準平均粒径(d50)は16.9μm、BET比表面積が3.3m2/g、タップ密度が1.16g/cm3、内部空隙率は14.8%、O/Cは0.59原子%であった。
(解砕処理)
前記炭素材Aを用い、一定のクリアランスを維持し相対的に回転運動する装置にて、2600rpmにて15分間、大気雰囲気にて解砕処理を施した。得られた処理物を目開き45μmの篩を用いて分級し、複合炭素材を得た。
ここで、複合炭素材の体積基準平均粒径(d50)は16.3μm、BET比表面積が3.6m2/g、タップ密度が1.12g/cm3、内部空隙率は14.4%、O/Cは3.27原子%であった。
前記炭素材Aを用い、一定のクリアランスを維持し相対的に回転運動する装置にて、2600rpmにて15分間、大気雰囲気にて解砕処理を施した。得られた処理物を目開き45μmの篩を用いて分級し、複合炭素材を得た。
ここで、複合炭素材の体積基準平均粒径(d50)は16.3μm、BET比表面積が3.6m2/g、タップ密度が1.12g/cm3、内部空隙率は14.4%、O/Cは3.27原子%であった。
更に導電材(その他の炭素材)として、d50が19.0μm、比表面積が5.3m2/g、タップ密度が0.89g/cm3である高純度化した球形化天然黒鉛を、複合炭素材と導電材の総量に対する導電材の混合割合が10質量%とになるように秤量し、双子円筒型混合機を用いて20分間混合し負極材を得た。複合炭素材の粉体物性を表1に、得られた負極材の極板物性と電池評価結果を表2に示す。
・正極、負極、電解液及び電池の作製
(負極の作製)
実施例1の負極材料を負極活物質とし、この負極活物質98質量%に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度40質量%)1質量%を加え、2軸混練で混合してスラリー化した。得られたスラリーを18μmの圧延銅箔に片面塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを、活物質層のサイズとして幅32mm、長さ42mm及び集電部タブ溶接部として未塗工部を有する形状に切り出し、負極とした。この時の負極の活物質の密度は1.6g/cm3であった。
(負極の作製)
実施例1の負極材料を負極活物質とし、この負極活物質98質量%に、増粘剤、バインダーとしてそれぞれ、カルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%、及び、スチレン−ブタジエンゴムの水性ディスパージョン(スチレン−ブタジエンゴムの濃度40質量%)1質量%を加え、2軸混練で混合してスラリー化した。得られたスラリーを18μmの圧延銅箔に片面塗布して乾燥し、プレス機で圧延したものを、活物質層のサイズとして幅32mm、長さ42mm及び集電部タブ溶接部として未塗工部を有する形状に切り出し、負極とした。この時の負極の活物質の密度は1.6g/cm3であった。
(正極の作製)
正極活物質は、以下に示す方法で合成したリチウム遷移金属複合酸化物であり、組成式LiMn0.33Ni0.33Co0.33O2で表される。マンガン原料としてMn3O4、ニッケル原料としてNiO、及びコバルト原料としてCo(OH)2を、Mn:Ni:Co=1:1:1のモル比となるように秤量し、これに純水を加えてスラリーとし、攪拌しながら、循環式媒体攪拌方湿式ビーズミルを用いて、スラリー中の固形分を、体積基準平均粒径d50が0.2μmになるように湿式粉砕した。
正極活物質は、以下に示す方法で合成したリチウム遷移金属複合酸化物であり、組成式LiMn0.33Ni0.33Co0.33O2で表される。マンガン原料としてMn3O4、ニッケル原料としてNiO、及びコバルト原料としてCo(OH)2を、Mn:Ni:Co=1:1:1のモル比となるように秤量し、これに純水を加えてスラリーとし、攪拌しながら、循環式媒体攪拌方湿式ビーズミルを用いて、スラリー中の固形分を、体積基準平均粒径d50が0.2μmになるように湿式粉砕した。
得られたスラリーをスプレードライヤーにより噴霧乾燥し、マンガン原料、ニッケル原料、コバルト原料のみからなる、粒径約5μmのほぼ球状の造粒粒子を得た。得られた造粒粒子に、体積基準平均粒径d50が3μmのLiOH粉末を、Mn、Ni、及びCoの合計モル数に対するLiのモル数の比が1.05となるように添加し、ハイスピードミキサーにて混合して、ニッケル原料、コバルト原料、マンガン原料の造粒粒子とリチウム原料との混合粉を得た。この混合粉を空気流通下、950℃で12時間焼成(昇降温度5℃/min)した後、解砕し、目開き45μmの篩を通し、正極活物質を得た。この正極活物質のBET比表面積は1m2/g、平均一次粒子径は1μm、体積基準平均粒径d50は8μm、タップ密度は1.7g/cm3であった。
上述の正極活物質を90質量%と、導電材としてのアセチレンブラック7質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)3質量%とを、N−メチルピロリドン溶媒中で混合して、スラリー化した。得られたスラリーを15μmのアルミ箔に塗布して乾燥し、プレス機で厚さ100μmに圧延したものを、正極活物質層のサイズとして幅30mm、長さ40mm及び集電用の未塗工部を有する形状に切り出し正極とした。正極活物質層の密度は2.6g/cm3であった。
(電解液の調製)
不活性雰囲気下でエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合物(体積比3:7)に、1mol/Lの濃度で、十分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させた。さらに、その電解液にビニレンカーボネート(VC)を1質量%添加したものを用いた。
不活性雰囲気下でエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)の混合物(体積比3:7)に、1mol/Lの濃度で、十分に乾燥したヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)を溶解させた。さらに、その電解液にビニレンカーボネート(VC)を1質量%添加したものを用いた。
(電池の作製)
正極1枚と負極1枚は活物質面が対峙するように配置し、電極の間に多孔性ポリエチレンシートのセパレータ(厚さ25μm)が挟まれるようにした。この際、正極活物質面が負極活物質面内から外れないよう対面させた。この正極と負極それぞれについての未塗工部に集電タブを溶接し、電極体としたものをポリプロピレンフィルム、厚さ0.04mmのアルミニウム箔、及びナイロンフィルムをこの順に積層したラミネートシート(合計厚さ0.1mm)を用い、内面側にポリプロピレンフィルムがくるようにしてラミネートシートではさみ、電解液を注入するための一片を除いて、電極のない領域をヒートシールした。その後、活物質層に前記非水電解液を200μL注入して、電極に充分浸透させ、密閉して、ラミネートセルを作製した。この電池の定格容量は、40mAhである。
正極1枚と負極1枚は活物質面が対峙するように配置し、電極の間に多孔性ポリエチレンシートのセパレータ(厚さ25μm)が挟まれるようにした。この際、正極活物質面が負極活物質面内から外れないよう対面させた。この正極と負極それぞれについての未塗工部に集電タブを溶接し、電極体としたものをポリプロピレンフィルム、厚さ0.04mmのアルミニウム箔、及びナイロンフィルムをこの順に積層したラミネートシート(合計厚さ0.1mm)を用い、内面側にポリプロピレンフィルムがくるようにしてラミネートシートではさみ、電解液を注入するための一片を除いて、電極のない領域をヒートシールした。その後、活物質層に前記非水電解液を200μL注入して、電極に充分浸透させ、密閉して、ラミネートセルを作製した。この電池の定格容量は、40mAhである。
(サイクル維持率測定)
25℃環境下で、電圧範囲4.2〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて初期コンディショニングを行った。さらに、60℃でエージングを行った後、サイクル試験を行った。1サイクル目の放電容量を基準とし、200サイクル目の放電容量から次式にしたがってサイクル維持率を算出した。
サイクル維持率(%)=(200サイクル目の放電容量÷1サイクル目の放電容量)×100
25℃環境下で、電圧範囲4.2〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて初期コンディショニングを行った。さらに、60℃でエージングを行った後、サイクル試験を行った。1サイクル目の放電容量を基準とし、200サイクル目の放電容量から次式にしたがってサイクル維持率を算出した。
サイクル維持率(%)=(200サイクル目の放電容量÷1サイクル目の放電容量)×100
(電極膨れ測定)
サイクル維持率測定と同様な条件で初期コンディショニング、60℃エージングを実施後、3Vまで0.2C放電処理を行った。放電処理終了後、12時間経過した時点で、ラミセルを解体し、負極だけを取り出し、電極厚みを9箇所で測定し、その電極厚みの平均を0cycle時の電極膜厚とした。同様に作成、初期コンディショニング、エージングを実施したラミセルを100cycleサイクル試験を実施後、ラミセルを解体し0cycle時の電極膜厚と同様に負極の電極厚みを測定し、100cycle後の電極膜厚とした。下
記、式7を用いて100cycle電極膨れを算出した。
サイクル維持率測定と同様な条件で初期コンディショニング、60℃エージングを実施後、3Vまで0.2C放電処理を行った。放電処理終了後、12時間経過した時点で、ラミセルを解体し、負極だけを取り出し、電極厚みを9箇所で測定し、その電極厚みの平均を0cycle時の電極膜厚とした。同様に作成、初期コンディショニング、エージングを実施したラミセルを100cycleサイクル試験を実施後、ラミセルを解体し0cycle時の電極膜厚と同様に負極の電極厚みを測定し、100cycle後の電極膜厚とした。下
記、式7を用いて100cycle電極膨れを算出した。
式7
100cycle電極膨れ(%)=100cycle後の電極膜厚/0cycle後の電極膜厚
比較例1
実施例1において、複合炭素材を炭素材Aとした以外は、実施例1と同様に導電材と混合し負極材を得た。得られた負極材の極板物性と電池評価結果を表2に示す。
100cycle電極膨れ(%)=100cycle後の電極膜厚/0cycle後の電極膜厚
比較例1
実施例1において、複合炭素材を炭素材Aとした以外は、実施例1と同様に導電材と混合し負極材を得た。得られた負極材の極板物性と電池評価結果を表2に示す。
比較例2
原料炭素材として加圧処理を行なわないで球形化天然黒鉛をそのまま用い、石油系重質油とを2軸混練機にて混合した。次に得られた混合物を不活性ガス中において1300℃で1時間の焼成処理を施した。
焼成物をターボミル(ターボ工業製)にて2000rpmで処理を施し、球形化天然黒鉛表面に炭素質物が被覆した炭素材を得た。焼成時の重質油の残炭素化率から、得られた炭素材の粉末は、黒鉛96.5重量部に対して3.5重量部の炭素質物で被覆されていた。この炭素材を用い、実施例1と同様に解砕処理を行ない、炭素材Bを得た。
原料炭素材として加圧処理を行なわないで球形化天然黒鉛をそのまま用い、石油系重質油とを2軸混練機にて混合した。次に得られた混合物を不活性ガス中において1300℃で1時間の焼成処理を施した。
焼成物をターボミル(ターボ工業製)にて2000rpmで処理を施し、球形化天然黒鉛表面に炭素質物が被覆した炭素材を得た。焼成時の重質油の残炭素化率から、得られた炭素材の粉末は、黒鉛96.5重量部に対して3.5重量部の炭素質物で被覆されていた。この炭素材を用い、実施例1と同様に解砕処理を行ない、炭素材Bを得た。
ここで、炭素材Bの体積基準平均粒径(d50)は15.7μm、BET比表面積が3.2m2/g、タップ密度が1.09g/cm3、粒子内空隙率は24.7%、O/Cは3.27原子%であった。実施例1において、複合炭素材を炭素材Bとした以外は、実施例1と同様に導電材と混合し負極材を得た。得られた負極材の極板物性と電池評価結果を表2に示す。
実施例2
導電材として加えるその他の炭素材を、d50が5.2μm、比表面積が14.7m2/g、タップ密度が0.42g/cm3である高純度化した鱗片黒鉛とし、複合炭素材と導電材の総量に対する導電材の混合割合が5質量%とになるようにした以外は実施例1と同様に負極材を得た。得られた負極材の極板物性と電池評価結果を表2に示す。
導電材として加えるその他の炭素材を、d50が5.2μm、比表面積が14.7m2/g、タップ密度が0.42g/cm3である高純度化した鱗片黒鉛とし、複合炭素材と導電材の総量に対する導電材の混合割合が5質量%とになるようにした以外は実施例1と同様に負極材を得た。得られた負極材の極板物性と電池評価結果を表2に示す。
以上の結果より、実施例1、2は加圧処理された炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆
した複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下である非水系二次電池負極用複合炭素材と導電材を混合した負極材であることから、本発明の範囲内であり、当該負極材料を用いた非水系二次電池の充放電試験において、電極膨れが小さく、且つサイクル特性も良好であった。尚、実施例、比較例において全て導電材を添加した同じ条件で行なった。
した複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下である非水系二次電池負極用複合炭素材と導電材を混合した負極材であることから、本発明の範囲内であり、当該負極材料を用いた非水系二次電池の充放電試験において、電極膨れが小さく、且つサイクル特性も良好であった。尚、実施例、比較例において全て導電材を添加した同じ条件で行なった。
一方、比較例1は加圧処理された炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した炭素材Aであるが、表面含酸素率が本発明の範囲外であり、当該負極材料を用いた非水系二次電池の充放電試験において、電極膨れ及び/またはサイクル特性が悪かった。
比較例2は表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下であるが、加圧処理されてない炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した炭素材Bであり本発明の範囲外であり、当該負極材料を用いた非水系二次電池の充放電試験において、電極膨れ及び/またはサイクル特性が悪かった。
比較例2は表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上、15原子%以下であるが、加圧処理されてない炭素材を炭素質物又は黒鉛質物で被覆した炭素材Bであり本発明の範囲外であり、当該負極材料を用いた非水系二次電池の充放電試験において、電極膨れ及び/またはサイクル特性が悪かった。
本発明の複合炭素材を含む負極材を非水系二次電池用負極材として用いることにより、充放電時の粒子膨張が、より三次元的に緩和され、電極膨れの少ない非水系二次電池を提供することができる。また、電極膨れ、負極粒子とバインダーとの接着強度が上がることでサイクル特性に優れた高容量な非水系二次電池を得ることができる。
Claims (6)
- 加圧処理された炭素材に炭素質物又は黒鉛質物が被覆されてなる複合炭素材であって、X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が0.7原子%以上15原子%以下であることを特徴とする非水系二次電池負極用複合炭素材。
- 該炭素材の内部空隙率が1%以上22%以下であることを特徴とする請求項1に記載の
非水系二次電池負極用複合炭素材。 - 該炭素材のDBP吸油量から算出される空隙率が30%以上49.6%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水系二次電池負極用複合炭素材。
- 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の複合炭素材と球形化天然黒鉛を混合したこ
とを特
徴とする非水系二次電池用負極材。 - 集電体と、前記集電体上に形成された活物質層とを備える非水系二次電池用負極であって、前記活物質層が、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材を含有することを特徴とする非水系二次電池用負極。
- 正極及び負極、並びに、電解質を備える非水系二次電池であって、前記負極が請求項5に記載の非水系二次電池用負極であることを特徴とする非水系二次電池。
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-
2012
- 2012-09-26 JP JP2012213049A patent/JP2014067636A/ja active Pending
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