JP2011058588A - オイルポンプのシール構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】オイルポンプのケーシング70と、当該ケーシングに回転自在に支持される駆動軸54との間に設けられるオイルポンプのシール構造であって、駆動軸の外周に形成された少なくとも一つの円周溝83と、駆動軸の外周のうち円周溝を跨ぐ領域に摺接しつつ駆動軸を内挿し、ケーシングに保持される筒状部材84と、ケーシングに対する筒状部材の位置を規制する位置規制部材85と、筒状部材とケーシングとの間に圧縮変形状態で配置され、かつ、少なくとも一つの円周溝の径方向外方位置で筒状部材に当接し、筒状部材を駆動軸の側に付勢する環状の弾性部材86とを備えた。
【選択図】図4
Description
また、内径が当該駆動軸の外径よりも小さい筒状部材と環状の弾性部材とを、駆動軸の外周面に形成した周溝に入り込むように組み付ける場合は、筒状部材と弾性部材とをその内径が駆動軸の外形よりも大きくなるように強制的に押し広げて当該駆動軸に被せる必要があり、筒状部材と弾性部材の組み付けに手間が掛かる欠点がある。
さらに、駆動軸の回転に伴って、筒状部材が弾性部材に対して相対回転すると、筒状部材と弾性部材との界面からオイルが漏れ出すおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、シール性に優れ、組み付けが容易なオイルポンプのシール構造を提供することを目的とする。
また、筒状部材とケーシングとの間に弾性部材を配置し、筒状部材に駆動軸を内挿して組み付けることができるので、従来の筒状部材と弾性部材とを駆動軸の外周面に形成した周溝に入り込むように組み付ける場合に比べて、筒状部材や弾性部材の組み付け手間を軽減できる。
さらに、ケーシングに対する筒状部材の位置を規制する位置規制部材を備えているので、駆動軸の回転に伴って筒状部材が弾性部材に対して相対回転することがなく、筒状部材と弾性部材との界面から、あるいは、ケーシングと弾性部材との界面からオイルが漏れ出すおそれが少ない。
したがって、本構成であればシール性に優れ、組み付けが容易なシール構造を得ることができる。
また、交差箇所が鈍角であるため、筒状部材と駆動軸との相対摺動に伴う筒状部材の剪断による磨耗の程度が減少し、耐久性を向上させることができる。
また、当該鍔部の突出側端部は、ケーシングの内面に近接配置されている。このため、筒状部材とケーシングとの間に圧縮変形状態で配置された弾性部材が、鍔部の突出側端部とケーシングとの間に入り込むことがない。よって、当該弾性部材の弾性復元力の減少を防止することができ、筒状部材を駆動軸の外周面に効率良く圧接させることができる。
図1は、オイルポンプとしての回転式ポンプを備えた車両用ブレーキ装置の概略図である。後述するように、回転式ポンプ10,13を内装してあるケーシング70と、回転式ポンプ10,13の駆動軸54とに亘って本発明によるオイルポンプのシール構造を設けてある。
ブレーキ装置は、右前輪FR及び左後輪RL用の第1配管系統と、左前輪FL及び右後輪RR用の第2配管系統の2系統から構成されている。
ブレーキ装置は、ブレーキペダル1と接続された倍力装置2を備え、倍力装置2により倍力された踏力がマスタシリンダ3に伝達される。マスタシリンダ圧は、ABS制御等を行うブレーキ液圧制御用アクチュエータAを介して例えば右前輪FR用のホイールシリンダ4及び左後輪RL用のホイールシリンダ5へ伝達される。
図2は、ブレーキ液圧制御用アクチュエータAのハウジング150に組付けたポンプ本体100の断面図である。
そして、第1〜第4中心孔72a〜72d内に駆動軸54が嵌入され、ベアリング51、52によって回転自在に軸支されている。
吐出口63は、ハウジング150の凹部150aの内周面のうち中央プレート73bの外周と対向する部分全周に形成した環状溝163を介して、回転式ポンプ13の吐出用管路154に接続されている。
図4はシール構造90の一部断面側面図、図5は駆動軸54の表面近傍部位の断面図、図6は円筒状の筒状部材84及びゴム製弾性部材86の斜視図である。
シール構造90は、円柱状の駆動軸54の外周面に形成された複数の円周溝83と、第4シリンダ71dに保持される筒状部材84と、第4シリンダ71dに対する筒状部材84の軸芯周りでの位置を規制する位置規制部材85と、筒状部材84と第4シリンダ71dとの間に圧縮変形状態で配置されて、筒状部材84を駆動軸54の側に付勢する円環状のゴム製弾性部材86とを備えている。
円周溝83は夫々、駆動軸54の周方向に一周する閉じた環状を呈しており、隣り合う円周溝83同士が軸方向に離間して配置されている。これにより、例えば、螺旋溝のような軸方向に連続する溝を採用した態様と比較して、溝内のブレーキ液が筒状部材84を越えて軸方向に漏れ出すといったことが生じ難くなる。
なお、溝幅aと摺接面幅bとの寸法関係はa<bであり、具体的には、溝幅aが略0.3mm、摺接面幅bが略0.6mmである。また、溝深さcは略60μm、駆動軸54の外周面に対する溝壁面83aの傾斜角dは30°である。
弾性部材86の幅L3は、円周溝83の溝幅aと筒状部材84の摺接面幅bとの和(a+b)よりも大きく設定してある。これは、弾性部材86の幅L3内に円周溝83が確実に存在するようにするための設定である。ここで、例えば、駆動軸54や筒状部材84、弾性部材86は、組立性や寸法公差を考慮して軸方向に余裕を持たせた寸法関係とされている。即ち、駆動軸54は例えば第1〜第4シリンダ71a〜71dに対して軸方向に移動可能な寸法設定がなされており、筒状部材84は同じく第1〜第4シリンダ71a〜71d及び駆動軸54に対して軸方向に移動可能な寸法設定がなされ、また、弾性部材86は筒状部材84に対して(鍔部87a,87b同士の間隔L2内で)軸方向に移動可能な寸法設定がなされている。上述した弾性部材86の幅L3、円周溝83の溝幅a、及び筒状部材84の摺接面幅bは、こうした各部材の寸法関係を考慮したうえで弾性部材86の幅L3内に円周溝83が(本実施形態では複数本)存在するように設定されている。
弾性部材86は、図6に示す非圧縮変形状態において、軸芯方向に沿って径が一定の内周面93aと、軸芯方向の両端部において中間部よりも径外方向に波状に突出する外周面93bとを備えた円環状に形成されている。
1.本発明によるオイルポンプのシール構造は、横断面形状が台形や円弧状の円周溝が形成されていてもよい。
2.本発明によるオイルポンプのシール構造は、ケーシング70に対する筒状部材84の軸芯周りでの位置を規制する位置規制部材が、ケーシング70に係合するように鍔部87bの外周部に突出固定したピンで構成されていてもよい。
3.第1の回転式ポンプ10と第2の回転式ポンプ13とを遮断するシール部材80を構成するOリング81及び樹脂部材82を、同順に、本発明の弾性部材86及び筒状部材84と同様の構成としてもよい。
13 オイルポンプ
54 駆動軸
70 ケーシング
83 円周溝
83a 溝壁面
84 筒状部材
85 位置規制部材
86 弾性部材
87a (挿入方向奥側の)鍔部
87b 鍔部
88 収納空間
89 面取り部
93a 内周面
93b 外周面
θ 鈍角
X 軸芯
Claims (5)
- オイルポンプのケーシングと、当該ケーシングに回転自在に支持される駆動軸との間に設けられるオイルポンプのシール構造であって、
前記駆動軸の外周面に形成された少なくとも一つの円周溝と、
前記駆動軸の外周面のうち前記駆動軸の軸芯方向において前記円周溝と隣接する面、及びその面と前記円周溝の溝壁面との交差箇所に摺接しつつ前記駆動軸を内挿し、前記ケーシングに保持される筒状部材と、
前記ケーシングに対する前記筒状部材の位置を規制する位置規制部材と、
前記筒状部材と前記ケーシングとの間に圧縮変形状態で配置され、かつ、前記少なくとも一つの円周溝の径方向外方位置で前記筒状部材に当接し、前記筒状部材を前記駆動軸の側に付勢する環状の弾性部材とを備えたオイルポンプのシール構造。 - 前記溝壁面は、前記円周溝と隣接する面と鈍角で交差してなる請求項1に記載のオイルポンプのシール構造。
- 前記筒状部材のうち、前記弾性部材が配置される領域を挟んで前記駆動軸の軸芯方向に沿った両側に、径方向外方側に突出する環状の鍔部が形成され、
当該鍔部の突出側端部が、前記ケーシングの内面に近接配置されている請求項1又は2に記載のオイルポンプのシール構造。 - 前記筒状部材が、前記ケーシングに形成した筒状の収納空間に対して前記駆動軸の軸芯に平行な方向に挿入可能であり、前記筒状部材に形成した鍔部のうち挿入方向奥側の鍔部の外周縁部に、挿入方向奥側に対向して傾斜した面取り部を形成してある請求項3に記載のオイルポンプのシール構造。
- 前記弾性部材が、非圧縮変形状態において、前記軸芯方向に沿って径が一定の内周面と、前記軸芯方向の両端部において中間部よりも径外方向に突出する外周面とを備えている請求項1〜4の何れか一項に記載のオイルポンプのシール構造。
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