JP2011058554A - シール部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力軸とボス部との間のシール性を確保しつつ、部品点数の削減と組立作業性の向上とを実現する。
【解決手段】本体部51の径方向外側に、貫通孔49の縁部を挟持する挟持部55を設け、本体部51のボス部41側に、内周部がボス部41の外周部に接触する各第1突部56を設け、本体部51のクランクアーム21側に、内周部が出力軸39の外周部に接触する第2突部57を設け、本体部51のクランクアーム21側に、クランクアーム21の一側面21aに接触する各環状リップ58a,58bを設けた。よって、本体部51に各第1突部56,第2突部57および各環状リップ58a,58bを一体化し、部品点数を削減できる。本体部51の挟持部55によりシール部材50をブラケット34に固定でき、組立作業性が向上する。
【選択図】図4

Description

本発明は、モータ装置に装着されるシール部材に係り、特にワイパモータの出力軸とボス部との間への異物の進入を阻止するために用いられるシール部材に関する。
従来、自動車等の車両の前方側には、フロントウィンドシールドに付着した雨水や埃等を払拭し、運転者の視界を確保するためにワイパ装置が搭載されている。ワイパ装置はワイパモータ(モータ装置)を備え、ワイパモータは、車室内のワイパスイッチ等を操作することにより回転駆動される出力軸を有している。出力軸は、ワイパモータを形成するケーシングのボス部により回転自在に支持され、出力軸の先端側には板状リンクの一端側が固定されている。板状リンクは、運転席側(DR側)および助手席側(AS側)のそれぞれに対応するDR側ピボット軸およびAS側ピボット軸を同期動作させるリンク機構を形成している。
車両のフロントウィンドシールドの前端部分にはカウルが形成され、カウル内にはブラケットを介してワイパ装置が固定されている。カウルはカウルトップパネルにより閉塞され、これにより車両の見栄えを良くしている。カウルトップパネルには、各ピボット軸の先端側が貫通する一対の貫通穴が設けられ、各ピボット軸の先端側は外部に延出されている。各ピボット軸の先端側には、フロントウィンドシールド上に設けられるDR側ワイパ部材およびAS側ワイパ部材の基端側がそれぞれ固定されている。なお、カウル内にはカウルトップパネルの各貫通穴を介して雨水等(異物)が進入するが、カウル内に進入した雨水等は、カウルの底部に形成された排出孔を介して外部に排出される。
このように、ワイパ装置は雨水等に曝される環境下に設けられている。したがって、ワイパモータの出力軸とボス部との間からケーシング内に雨水等が進入するのを阻止し、出力軸とボス部との円滑な相対回転を長期に亘り確保するために、出力軸とボス部との間にシール部材を設けている。このようなシール部材が記載された技術としては、例えば、特許文献1に記載されたワイパモータがある。
特許文献1に記載されたワイパモータは、ブラケットとクランクアーム(板状リンク)との間に略円筒形状の弾性シール部材を備え、弾性シール部材の径方向内側には樹脂製のキャップが設けられている。キャップは、出力軸へのクランクアームの固定時に、出力軸に圧入されて密着するようになっている。このように、特許文献1に記載されたワイパモータにおいては、シール部材を弾性シール部材およびキャップよりなる二重シール構造としており、これにより出力軸の外周が被水するのを防止し、ひいては出力軸とスリーブ(ボス部)との間からワイパモータ(ケーシング)内に雨水等が進入するのを防止している。
実開平05−022227号公報(図1)
しかしながら、上述の特許文献1に記載されたシール部材によれば、弾性シール部材およびキャップよりなる二重シール構造としているため、部品点数が多く部品管理の煩雑化を招いていた。
また、弾性シール部材およびキャップは、ブラケットの出力軸挿通口および出力軸にそれぞれ仮装着した後に、クランクアームを出力軸に固定することで本装着される構成となっている。したがって、弾性シール部材およびキャップを仮装着した状態のもとでワイパモータ(サブアッシ)を搬送したときに、弾性シール部材およびキャップが出力軸挿通口および出力軸から脱落する虞があった。
本発明の目的は、出力軸とボス部との間のシール性を確保しつつ、部品点数の削減と組立作業性の向上とを実現できるシール部材を提供することにある。
本発明のシール部材は、固定対象物に固定されるブラケットと、前記ブラケットに固定されるケーシングと、前記ケーシングのボス部に回転自在に支持され、先端側が前記ブラケットの貫通孔を貫通する出力軸と、前記出力軸の先端側に固定される板状リンクとを備えるモータ装置に装着され、前記出力軸と前記ボス部との間への異物の進入を阻止するシール部材であって、環状に形成される本体部と、前記本体部の径方向外側に設けられ、前記貫通孔の縁部を前記出力軸の軸方向から挟持する挟持部と、前記本体部の軸方向に沿う前記ボス部側に設けられ、内周部が前記ボス部の外周部に接触する第1突部と、前記本体部の軸方向に沿う前記板状リンク側に設けられ、内周部が前記出力軸の外周部に接触する第2突部と、前記本体部の軸方向に沿う前記板状リンク側に設けられ、前記板状リンクの一側面に接触する第3突部とを有することを特徴とする。
本発明のシール部材は、前記本体部の軸方向に沿う前記第1突部と前記第2突部との間に、前記出力軸と前記ボス部との相対回転を円滑にするグリスを収容するグリス収容部を設けることを特徴とする。
本発明のシール部材は、前記第3突部を、直径寸法を異ならせた複数の環状リップにより形成することを特徴とする。
本発明のシール部材は、前記各環状リップを、前記本体部の径方向外側に傾斜させて設けることを特徴とする。
本発明のシール部材は、前記第1突部を、前記本体部の軸方向に並べて複数設けることを特徴とする。
本発明のシール部材によれば、本体部の径方向外側に、貫通孔の縁部を出力軸の軸方向から挟持する挟持部を設け、本体部の軸方向に沿うボス部側に、内周部がボス部の外周部に接触する第1突部を設け、本体部の軸方向に沿う板状リンク側に、内周部が出力軸の外周部に接触する第2突部を設け、本体部の軸方向に沿う板状リンク側に、板状リンクの一側面に接触する第3突部を設ける。したがって、本体部に第1突部,第2突部および第3突部を設けてシール部材を一の部品で形成し、部品点数の削減を図ることができる。また、第1突部,第2突部および第3突部により、出力軸とボス部との間のシール性を確保することができる。さらに、本体部の挟持部によりシール部材をブラケットに固定できるので、モータ装置のサブアッシ状態(仮組状態)でのシール部材の脱落を防止でき、組立作業性の向上を図ることができる。また、ケーシングにはシール部材を軸方向から受ける受け面を形成する必要が無いので、ケーシングの形状を簡素化することができるとともに、シール部材の汎用性を向上させることができる。
本発明のシール部材によれば、本体部の軸方向に沿う第1突部と第2突部との間に、出力軸とボス部との相対回転を円滑にするグリスを収容するグリス収容部を設けるので、出力軸とボス部との円滑な相対回転を長期に亘り確保することができる。
本発明のシール部材によれば、第3突部を、直径寸法を異ならせた複数の環状リップにより形成するので、出力軸とボス部との間への異物の進入を、より確実に阻止することができる。
本発明のシール部材によれば、各環状リップを、本体部の径方向外側に傾斜させて設けるので、出力軸とボス部との間に異物が進入し難くなる。また、各環状リップの軸方向への撓み剛性を弱めることができるので、各環状リップと板状リンクとを安定接触させることができ、さらには板状リンクの各環状リップに対する摺動抵抗の増大を抑制できる。
本発明のシール部材によれば、第1突部を、本体部の軸方向に並べて複数設けるので、出力軸とボス部との間への異物の進入を、より確実に阻止することができる。また、シール部材の軸心とボス部の軸心とを精度良く一致させることができるので、第2突部の軸心と出力軸の軸心とを精度良く一致させて第2突部の偏摩耗を抑制できる。
本発明を適用したワイパモータを備えるワイパ装置を説明する説明図である。 図1のワイパ装置を拡大して示す斜視図である。 図2のA−A線に沿う断面図である。 図3の破線円B部を拡大して示す拡大断面図である。 ワイパモータに装着されるシール部材を拡大して示す斜視図である。 図5のシール部材を単体で示す斜視図である。 (a),(b),(c)は、図6のシール部材の詳細構造を説明する説明図である。 シール部材のブラケットへの装着手順を説明する説明図である。 ワイパ装置の組み立て手順を説明する説明図である。
以下、本発明の一実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明を適用したワイパモータを備えるワイパ装置を説明する説明図を、図2は図1のワイパ装置を拡大して示す斜視図を、図3は図2のA−A線に沿う断面図を、図4は図3の破線円B部を拡大して示す拡大断面図を、図5はワイパモータに装着されるシール部材を拡大して示す斜視図を、図6は図5のシール部材を単体で示す斜視図を、図7(a),(b),(c)は図6のシール部材の詳細構造を説明する説明図をそれぞれ表している。
図1に示すように、自動車等の車両10の前方側には、フロントウィンドシールド11が設けられている。フロントウィンドシールド11上には、フロントウィンドシールド11の表面に付着した雨水や埃等を払拭するDR側ワイパ部材12およびAS側ワイパ部材13が設けられている。
DR側ワイパ部材12は、DR側ワイパブレード12aとDR側ワイパアーム12bとを備えており、DR側ワイパブレード12aはDR側ワイパアーム12bの先端側に回動自在に取り付けられている。AS側ワイパ部材13は、AS側ワイパブレード13aとAS側ワイパアーム13bとを備えており、AS側ワイパブレード13aはAS側ワイパアーム13bの先端側に回動自在に取り付けられている。
各ワイパブレード12a,13aは、フロントウィンドシールド11上の下反転位置LRPと上反転位置URPとの間に形成される各払拭範囲11a,11bを、それぞれ同期して同一方向に往復払拭動作するようになっている。つまり、各ワイパブレード12a,13aの払拭パターンはタンデム型となっている。
車両10におけるフロントウィンドシールド11の前端側には、カウル10aが形成されている。カウル10a内には、各ワイパ部材12,13を揺動駆動するワイパ装置14が収容されている。カウル10aの開口部(図示せず)はカウルトップパネル10bにより閉塞され、これにより車両10の見栄えを良くしている。ここで、カウル10a内には雨水や埃等の異物が進入するが、カウル10aの底部には排出孔(図示せず)が形成されており、カウル10a内に進入した雨水や埃等の異物は、排出孔からカウル10a外に排出される。
図2に示すように、ワイパ装置14は、車両10の図示しない車体フレーム(固定対象物)にそれぞれ固定されるDR側ピボットホルダ15aとAS側ピボットホルダ15bとを有している。各ピボットホルダ15a,15bは、それぞれ中空のパイプ材よりなるフレーム部材16により連結されており、ワイパ装置14は、所謂フレーム一体型のモジュラー型ワイパ装置となっている。
各ピボットホルダ15a,15bは、それぞれDR側ピボット軸17aおよびAS側ピボット軸17bを回動自在に支持している。各ピボット軸17a,17bの先端側は、カウルトップパネル10bに形成された各貫通孔10c(図1参照)を介して車両10の外部に延出されている。DR側ピボット軸17aの先端側にはDR側ワイパアーム12bの基端側が固定され、AS側ピボット軸17bの先端側にはAS側ワイパアーム13bの基端側が固定されている。
各ピボット軸17a,17bの基端側には、DR側駆動レバー18aおよびAS側駆動レバー18bの一端側がそれぞれ固定されている。各駆動レバー18a,18bの他端側には、それぞれボールジョイント(図示せず)を介して連結ロッド19の端部が回動自在に連結されている。AS側駆動レバー18bの他端側には、さらに別のボールジョイント(図示せず)を介して、駆動ロッド20の一端側が回動自在に連結され、駆動ロッド20の他端側は、ボールジョイント(図示せず)を介してクランクアーム(板状リンク)21の一端側に回動自在に連結されている。
クランクアーム21の他端側は、ワイパモータ30の出力軸39(図3参照)に固定されており、クランクアーム21は、出力軸39の回転に伴いその一端側、つまり駆動ロッド20との連結部分が回転するようになっている(図5中実線矢印R参照)。ここで、クランクアーム21,駆動ロッド20,AS側駆動レバー18b,連結ロッド19およびDR側駆動レバー18aによりリンク機構を形成しており、リンク機構は、出力軸39の回転運動を揺動運動に変換して、各ピボット軸17a,17bを揺動駆動するようになっている。
フレーム部材16の軸方向略中央部分には、モータ装置としてのワイパモータ30が設けられている。ワイパモータ30は、モータ本体31とギヤハウジング(ケーシング)32とを備えており、モータ本体31とギヤハウジング32とは、複数の締結ネジ33(図示では1つのみ示す)によって固定されている。ギヤハウジング32はブラケット34に固定され、ギヤハウジング32とブラケット34とでフレーム部材16を挟持している。これによりワイパモータ30はフレーム部材16の軸方向略中央部分に固定されている。
モータ本体31は、薄板鋼板等をプレス成形(深絞り加工)することにより有底筒状に形成されたヨーク35を備えている。ヨーク35内には一対の永久磁石(図示せず)が固定され、各永久磁石の内側にはアーマチュア(図示せず)が回転自在に設けられている。アーマチュアの回転中心には、アーマチュア軸36(図3参照)が固定されており、アーマチュア軸36はヨーク35内からギヤハウジング32内に延出されて回転自在となっている。図3に示すように、アーマチュア軸36の先端側(ギヤハウジング32側)には、ウォーム37が一体に設けられ、ウォーム37は、アーマチュアの回転に伴いギヤハウジング32内で回転するようになっている。
図3に示すように、ギヤハウジング32は、アルミ材料等を鋳造成形することにより有底状に形成され、ギヤハウジング32の開口部(図中下側)は、樹脂製のケースカバー(図示せず)により閉塞されている。
ギヤハウジング32内には、アーマチュア軸36のウォーム37と噛み合うウォームホイール38が回転自在に収容されている。ウォームホイール38は、プラスチック等の樹脂材料を射出成形することにより略円盤状に形成されている。ウォームホイール38の回転中心には出力軸39の基端側が固定され、出力軸39の先端側は、ギヤハウジング32の底部40に形成された筒状のボス部41を介して外部に延出されている。ボス部41の内周壁と出力軸39の外周壁との間には、軸受けとしてのスリーブ42が設けられ、これにより出力軸39のボス部41に対する円滑な回転を可能としている。
出力軸39の先端側には、外周に複数の凹凸を有し、図中上側に向かうにつれて徐々に縮径したテーパセレーション部43(図9参照)が設けられ、テーパセレーション部43には、クランクアーム21の他端側が相対回転不能に固定されている。テーパセレーション部43のさらに図中上側には、雄ネジ部44が設けられ、雄ネジ部44には、クランクアーム21の出力軸39からの脱落(抜け)を防止するナット45がネジ結合されている。
ここで、ウォーム37およびウォームホイール38は減速機構を形成しており、この減速機構は、アーマチュア軸36の回転を所定速度にまで減速して高トルク化し、出力軸39を介して外部(クランクアーム21)に出力するようになっている。
ギヤハウジング32の底部40には、ボス部41の軸方向に沿うようにして3つの固定脚46(図3においては2つのみ示す)が一体に設けられている。各固定脚46には、それぞれ締結ボルト47がネジ結合され、これによりギヤハウジング32とブラケット34とがフレーム部材16を挟持した状態で一体化される。ここで、ブラケット34は、当該ブラケット34に設けられた取付部48(図2参照)を介して車体フレームに固定される。つまり、ワイパ装置14は、各ピボットホルダ15a,15bおよびブラケット34の3箇所で車体フレームに固定されている。
ブラケット34には、出力軸39の先端側(雄ネジ部44側)が貫通する貫通孔49が設けられている。貫通孔49の直径寸法は、ボス部41のクランクアーム21側(図中上側)の外径寸法よりも大きい寸法に設定され、これにより、貫通孔49とボス部41との間に環状の隙間Sが形成されている。ここで、ブラケット34の一側(図中下側)にワイパモータ30が配置され、ブラケット34の他側(図中上側)にクランクアーム21が配置されている。
クランクアーム21と出力軸39との間,出力軸39とボス部41との間およびボス部41と貫通孔49との間には、一の部品よりなるシール部材50が装着されている。図6および図7に示すように、シール部材50はゴム等の弾性材料を射出成形することにより略円盤状に形成され、シール部材50は出力軸39とボス部41(スリーブ42)との間への雨水や埃等の異物の進入を阻止するようになっている。
シール部材50は、環状に形成された本体部51を備えている。本体部51の外周側には、略円弧形状に切り欠かれた切り欠き部52が形成され、切り欠き部52は、図7(a)の破線部分に示すように、締結ボルト47を固定脚46(図3参照)にネジ結合させる際に用いる締結工具T(例えば、ボックスレンチ等)が入り込む空間を形成している。これにより、シール部材50は、締結工具Tを用いた締結ボルト47の締結作業の障害とならず、かつ締結ボルト47を出力軸39に近接配置可能とし、ひいてはワイパ装置14のコンパクト化を実現している。
本体部51の表面側(図6中上側)には、図6および図7(a)に示すように、三角形形状に形成された目印部53が設けられている。目印部53は、本体部51の周方向に沿う切り欠き部52側とは反対側に設けられ、目印部53は径方向外側を指し示している。本体部51の目印部53に対応する裏面側(図6中下側)には、フレーム部材16が入り込む逃げ部54が形成され、目印部53は、シール部材50をブラケット34に装着する際の組み付け方向を指し示している(図8参照)。このように、シール部材50に逃げ部54を形成することにより、フレーム部材16を出力軸39に近接配置可能とし、ひいてはワイパ装置14のコンパクト化を実現している。
本体部51の径方向外側における裏面側には、ブラケット34における貫通孔49の縁部を部分的に挟持する挟持部55が設けられている。挟持部55は、図7(b),(c)に示すように、本体部51の周方向に沿って逃げ部54を除く他の部分に設けられ、本体部51とともに出力軸39の軸方向から貫通孔49の縁部を部分的に挟持するようになっている(図4参照)。なお、図7(b)は図7(a)のC−C線に沿う断面図を表している。
本体部51の軸方向に沿う挟持部55側、つまりワイパモータ30を組み付けた状態におけるボス部41側(図4参照)には、本体部51の軸方向に並ぶようにして一対の第1突部56が設けられている。各第1突部56は、本体部51の径方向内側に向けて突出するよう環状に設けられ、各第1突部56の内周部は、ギヤハウジング32のボス部41の外周部にそれぞれ接触するようになっている。
各第1突部56の内周部は、弾性変形を伴いボス部41の外周部に接触し、これによりシール部材50の軸心とボス部41の軸心とを精度良く一致させている。ここで、各軸心を一致させる機能(センタリング機能)は、第1突部56を1つ設ける場合よりも、第1突部56を2つ以上設ける場合の方が向上する。ただし、必要とされるシール部材50のボス部41への装着性やセンタリング機能に応じて、1つまたは3つ以上の第1突部56を設けるようにしても良い。
本体部51の軸方向に沿う挟持部55側とは反対側、つまりワイパモータ30を組み付けた状態におけるクランクアーム21側(図4参照)には、内周部が出力軸39の外周部に接触する第2突部57が設けられている。第2突部57は、本体部51の径方向内側に向けて突出するよう環状に設けられ、出力軸39の回転駆動時に出力軸39の外周部と摺接するようになっている。ここで、各第1突部56のセンタリング機能により、第2突部57の軸心および出力軸39の軸心においても精度良く一致する。これにより、出力軸39の回転駆動による第2突部57の偏摩耗を効果的に抑制することができる。
本体部51の軸方向に沿う第2突部57よりもさらにクランクアーム21側には、クランクアーム21の一側面21a(図4参照)に接触する一対の環状リップ(第3突部)58a,58bが設けられている。各環状リップ58a,58bの直径寸法は異なっており、環状リップ58aは環状リップ58bよりも小径に形成されている。つまり、各環状リップ58a,58bは径方向に向けて二重リップのシール構造を採用している。
各環状リップ58a,58bは、先端側が径方向外側を向くよう所定角度傾斜して設けられ、これにより、シール部材50の軸方向に沿う各環状リップ58a,58bの撓み剛性を弱めている。これにより、各環状リップ58a,58bによるクランクアーム21の一側面21aへの押圧力が過大になるのを抑制し、クランクアーム21の各環状リップ58a,58bに対する摺動抵抗の増大を抑制している。よって、各環状リップ58a,58bのクランクアーム21に対する安定接触を実現している。また、各環状リップ58a,58bは第2突部57の近傍に形成され、シール部材50の軸方向端部から突出している。これにより、各環状リップ58a,58bをクランクアーム21の所定位置に接触させることが容易となるため、ワイパ装置14の組立作業性の向上を図ることができる。
図4に示すように、シール部材50の径方向内側には、出力軸39とボス部41(スリーブ42)との相対回転を円滑にするグリス(図示せず)を収容するグリス収容部59が設けられている。グリス収容部59は、本体部51の軸方向に沿う各第1突部56と第2突部57との間に形成され、出力軸39とボス部41との双方に対向している。これにより、出力軸39とスリーブ42との間にグリスを供給することができる。
次に、以上のように形成したシール部材50の装着手順およびワイパ装置14の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。図8はシール部材のブラケットへの装着手順を説明する説明図を、図9はワイパ装置の組み立て手順を説明する説明図をそれぞれ表している。
[シール部材50のブラケット34への装着工程]
図8に示すように、まず、ブラケット34とシール部材50とを準備する。次に、ブラケット34の貫通孔49にシール部材50を臨ませて、貫通孔49とシール部材50とを周方向に沿って位置決めする。つまり、シール部材50の目印部53(逃げ部54)をフレーム部材16側(ここでは、ブラケット34の取付部48側)に向ける。その後、図中矢印(1)に示すように、ブラケット34に対してシール部材50を所定角度傾斜させ、シール部材50を貫通孔49に装着し易くする。
次に、シール部材50を図中矢印(2)に沿うよう移動して貫通孔49に臨ませ、シール部材50の挟持部55を貫通孔49に潜り込ませる。その後、シール部材50をブラケット34に対して平行に戻し、図中矢印(3)に示すようにシール部材50をブラケット34に対して移動させる。これにより、シール部材50の軸心と貫通孔49の軸心とが一致され、シール部材50の本体部51と挟持部55とにより貫通孔49の縁部が挟持され、シール部材50のブラケット34への装着が完了する。
[ワイパ装置14の組み立て工程]
図9に示すように、シール部材50を装着したブラケット34(シール部材−ブラケット組立体SA)をワイパモータ30に組み付けるには、まず、ワイパモータ30をフレーム部材16に対して位置決めする。その後、出力軸39の軸心とシール部材50の軸心とを一致させた状態のもとで、図中矢印(4)に示すように、シール部材−ブラケット組立体SAをワイパモータ30に臨ませる。これにより、ボス部41の外周部に各第1突部56(図4参照)の内周部が接触し、さらに出力軸39の外周部に第2突部57(図4参照)の内周部が接触する。
次に、図中矢印(5)に示すように、ギヤハウジング32に設けた各固定脚46に各締結ボルト47を臨ませてネジ結合する。これにより、ギヤハウジング32とブラケット34とによりフレーム部材16が挟持されて固定され、ワイパモータ30のフレーム部材16への固定が完了する。ここで、シール部材50には逃げ部54(図7(b)参照)を設けているので、シール部材50にフレーム部材16が接触することは無く、シール部材50がブラケット34に対して位置ずれを起こしてシール不良等を発生することが無い。
次に、クランクアーム21の他端側を出力軸39の軸方向から臨ませて、図中矢印(6)に示すように、クランクアーム21を出力軸39のテーパセレーション部43に装着する。このとき、シール部材50の各環状リップ58a,58bの先端側は、押圧力を殆ど発生すること無くクランクアーム21の一側面21a(図4参照)に接触する。その後、図中矢印(7)に示すように、ナット45を出力軸39の雄ネジ部44に所定の締め付けトルクでネジ結合し、これにより、クランクアーム21の出力軸39への装着が完了する。
次に、クランクアーム21の一端側に、ボールジョイント(図示せず)を介して、リンク機構を形成する駆動ロッド20(図2参照)の他端側を連結する等してワイパ装置14の他の構成部品を組み付けることにより、ワイパ装置14の組み立てが完了する。
以上詳述したように、本実施の形態に係るシール部材50によれば、本体部51の径方向外側に、貫通孔49の縁部を出力軸39の軸方向から挟持する挟持部55を設け、本体部51の軸方向に沿うボス部41側に、内周部がボス部41の外周部に接触する各第1突部56を設け、本体部51の軸方向に沿うクランクアーム21側に、内周部が出力軸39の外周部に接触する第2突部57を設け、本体部51の軸方向に沿うクランクアーム21側に、クランクアーム21の一側面21aに接触する各環状リップ58a,58bを設けた。
したがって、本体部51に各第1突部56,第2突部57および各環状リップ58a,58bを設けてシール部材50を一の部品で形成し、部品点数の削減を図ることができる。また、各第1突部56,第2突部57および各環状リップ58a,58bにより、出力軸39とボス部41との間のシール性を確保することができる。さらに、本体部51の挟持部55によりシール部材50をブラケット34に固定できるので、ワイパモータ30のサブアッシ状態(仮組状態)でのシール部材50の脱落を防止でき、組立作業性の向上を図ることができる。また、ギヤハウジング32にはシール部材50を軸方向から受ける受け面を形成する必要が無いので、ギヤハウジング32の形状を簡素化することができるとともに、シール部材50の汎用性を向上させることができる。
さらに、本実施の形態に係るシール部材50によれば、本体部51の軸方向に沿う各第1突部56と第2突部57との間に、出力軸39とボス部41との相対回転を円滑にするグリスを収容するグリス収容部59を設けたので、出力軸39とボス部41との円滑な相対回転を長期に亘り確保することができる。
また、本実施の形態に係るシール部材50によれば、直径寸法が異なる一対の環状リップ58a,58bを設けたので、出力軸39とボス部41との間への異物の進入をより確実に阻止することができる。
さらに、本実施の形態に係るシール部材50によれば、各環状リップ58a,58bを、本体部51の径方向外側に傾斜させて設けたので、出力軸39とボス部41との間に異物が進入し難くなる。また、各環状リップ58a,58bの軸方向への撓み剛性を弱めることができるので、各環状リップ58a,58bとクランクアーム21とを安定接触させることができ、さらにはクランクアーム21の各環状リップ58a,58bに対する摺動抵抗の増大を抑制できる。
また、本実施の形態に係るシール部材50によれば、各第1突部56を、本体部51の軸方向に並べて複数設けたので、出力軸39とボス部41との間への異物の進入をより確実に阻止することができる。また、シール部材50の軸心とボス部41の軸心とを精度良く一致させることができるので、第2突部57の軸心と出力軸39の軸心とを精度良く一致させて第2突部57の偏摩耗を抑制できる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態においては、第2突部を1つ設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、2つ以上の第2突部を設けるようにしても良い。
また、上記実施の形態においては、第3突部として一対の環状リップ58a,58bを設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、1つまたは3つ以上の環状リップを設けるようにしても良い。なお、第3突部としてはリップ形状に限らない。
さらに、上記実施の形態においては、シール部材50に逃げ部54を設け、シール部材50とフレーム部材16とを非接触としたものを示したが、本発明はこれに限らず、シール部材50とフレーム部材16とを接触させるようにしても良い。この場合、シール箇所を増やすことができるので、第1突部56への雨水や埃等の異物の進入をより抑制することが可能となる。
また、上記実施の形態においては、挟持部55をシール部材50の周方向に沿って部分的に設けたものを示したが、本発明はこれに限らず、ブラケット34の貫通孔49側とフレーム部材16との間に軸方向に沿う隙間が形成されているのであれば、挟持部55をシール部材50の全周に亘り形成することもできる。この場合、シール部材50をブラケット34に対してより精度良く位置決めすることができるので、シール性をより向上させることができる。
さらに、上記実施の形態においては、本発明に係るシール部材50を、モータ装置としてのワイパモータ30に適用したものを示したが、本発明はこれに限らず、板状リンクを回転させる出力軸を有する他の用途のモータ装置にも適用することができる。
10 車両
10a カウル
10b カウルトップパネル
10c 貫通孔
11 フロントウィンドシールド
11a,11b 払拭範囲
12 DR側ワイパ部材
12a DR側ワイパブレード
12b DR側ワイパアーム
13 AS側ワイパ部材
13a AS側ワイパブレード
13b AS側ワイパアーム
14 ワイパ装置
15a DR側ピボットホルダ
15b AS側ピボットホルダ
16 フレーム部材
17a DR側ピボット軸
17b AS側ピボット軸
18a DR側駆動レバー
18b AS側駆動レバー
19 連結ロッド
20 駆動ロッド
21 クランクアーム(板状リンク)
21a 一側面
30 ワイパモータ(モータ装置)
31 モータ本体
32 ギヤハウジング(ケーシング)
33 締結ネジ
34 ブラケット
35 ヨーク
36 アーマチュア軸
37 ウォーム
38 ウォームホイール
39 出力軸
40 底部
41 ボス部
42 スリーブ
43 テーパセレーション部
44 雄ネジ部
45 ナット
46 固定脚
47 締結ボルト
48 取付部
49 貫通孔
50 シール部材
51 本体部
52 切り欠き部
53 目印部
54 逃げ部
55 挟持部
56 第1突部
57 第2突部
58a,58b 環状リップ(第3突部)
59 グリス収容部
S 隙間
T 締結工具
SA シール部材−ブラケット組立体
URP 上反転位置
LRP 下反転位置

Claims (5)

  1. 固定対象物に固定されるブラケットと、前記ブラケットに固定されるケーシングと、前記ケーシングのボス部に回転自在に支持され、先端側が前記ブラケットの貫通孔を貫通する出力軸と、前記出力軸の先端側に固定される板状リンクとを備えるモータ装置に装着され、前記出力軸と前記ボス部との間への異物の進入を阻止するシール部材であって、
    環状に形成される本体部と、
    前記本体部の径方向外側に設けられ、前記貫通孔の縁部を前記出力軸の軸方向から挟持する挟持部と、
    前記本体部の軸方向に沿う前記ボス部側に設けられ、内周部が前記ボス部の外周部に接触する第1突部と、
    前記本体部の軸方向に沿う前記板状リンク側に設けられ、内周部が前記出力軸の外周部に接触する第2突部と、
    前記本体部の軸方向に沿う前記板状リンク側に設けられ、前記板状リンクの一側面に接触する第3突部とを有することを特徴とするシール部材。
  2. 請求項1記載のシール部材において、前記本体部の軸方向に沿う前記第1突部と前記第2突部との間に、前記出力軸と前記ボス部との相対回転を円滑にするグリスを収容するグリス収容部を設けることを特徴とするシール部材。
  3. 請求項1または2記載のシール部材において、前記第3突部を、直径寸法を異ならせた複数の環状リップにより形成することを特徴とするシール部材。
  4. 請求項3記載のシール部材において、前記各環状リップを、前記本体部の径方向外側に傾斜させて設けることを特徴とするシール部材。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のシール部材において、前記第1突部を、前記本体部の軸方向に並べて複数設けることを特徴とするシール部材。
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