JP2011057877A - 多官能ウレタン(メタ)アクリレートの希釈剤と保存安定化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイルモルフォリンが配合され、重合禁止剤を含有する被覆剤組成物であって、前記重合禁止剤が、2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物。
【選択図】なし
Description
又、多官能ウレタン(メタ)アクリレートは、一般的に粘性が高く単独では使用できない為、例えば、アクリロイルモルフォリン、β−カルボキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、オクチル/デシルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート等の低粘性モノマーを希釈剤として用いることができ、うちアクリロイルモルフォリンが好適に用いられている。
そこで、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリロイルモルフォリンを含有する被覆剤組成物の重合を防止するため、本発明者らは、当該混合物に各種の重合禁止剤を添加して重合禁止効果を調べたが、通常の重合禁止剤(フェノール系、硫黄系、燐系、アミン系化合物)ではいずれも重合禁止効果が見られなかった。
また、本発明者らは、上記被覆剤組成物中にクエン酸、コハク酸、セバシン酸などのカルボン酸化合物を含有させることにより、組成物の白濁を抑制できることを見出した。さらに、上記の重合禁止剤とカルボン酸を併用することにより、相乗的な重合禁止効果も見られた。
(1)少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリロイルモルフォリンが配合され、重合禁止剤を含有する被覆剤組成物であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物。
(2)上記(1)記載の被覆剤組成物であって、さらにカルボン酸化合物を含有することを特徴とする、被覆剤組成物。
(3)重合禁止剤を含有する(メタ)アクリロイルモルフォリンからなる、多官能ウレタン(メタ)アクリレート用の希釈剤であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする希釈剤。
(4)上記(3)記載の希釈剤であって、さらにカルボン酸化合物を含有することを特徴とする希釈剤。
(5)少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイルモルフォリンとを混合してなる被覆剤組成物において、その混合の前または後で重合禁止剤を添加することによる該被覆剤組成物の保存安定化方法であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物の保存安定化方法。
(6)少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイルモルフォリンとを混合してなる被覆剤組成物において、その混合の前または後で重合禁止剤およびカルボン酸化合物を添加することによる該被覆剤組成物の保存安定化方法であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物の保存安定化方法。
(7)前記重合禁止剤が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキサミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−1−オキシル)コハク酸エステル、トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)ホスファイト、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、3−ヒドロキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、ガルビノキシルから選ばれる少なくとも1種の化合物である、上記(5)または(6)に記載の被覆剤組成物の保存安定化方法。
(8)前記カルボン酸化合物が、オクチル酸、コハク酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クエン酸、アクリル酸から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものである、上記(6)に記載の被覆剤組成物の保存安定化方法。
である。
また、混合するだけで保存安定性のよい被覆剤組成物を容易に調製することができる希釈剤が得られる。
さらに、そのことにより、有機錫化合物を含有するモノマーでもそれを除去することなく、被覆剤組成物の原料として用いうる。
(メタ)アクリロイルモルフォリンとはアクリロイルモルフォリン若しくはメタクリロイルモルフォリンを意味する。
このような化合物を添加することにより、錫化合物存在下に(メタ)アクリロイルモルフォリンを混合しても、白濁といった外観悪化を起こすことなく、長期安定である。その理由は定かではないが、カルボン酸骨格を有する化合物を共存させた場合、活性種に対してカルボン酸の配位が起こり、金属捕捉剤として選択的に白濁を抑制する効果を発現していると考えられる。
1000ppmメトキノン含有のアクリロイルモルフォリン50gをガラス製の50mL遮光瓶に入れ、熱伝対を液中に挿入し、ガラス製のキャピラリー管にて溶存酸素の影響が無くなる様に、加熱試験の間中、窒素150mL/分の流量でバブリング通気した。60℃に加熱したオイルバスに遮光瓶を浸積させ、内温を60℃に制御して24時間後の重合評価、外観評価を実施した。
なお、試験温度60℃については、実際の多官能ウレタン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリロイルモルフォリンを混合する際の混合温度を想定して試験を実施した。
アクリロイルモルフォリンをベースとするポリマーはメタノールに不溶であるため重合性評価を簡易に行うため以下の方法にて評価する。50mLガラス製ビーカーに加熱試験後の試料5gを秤取り、その3倍量のメタノール15gを加える。マグネチックスターラーにて3分かくはんして透過率(T%)を測定する。透過率測定には島津製作所製分光光度計(UV−1700型)を用い、測定波長;800nm、対照液;メタノール、UVセル;石英(10mm)の条件にて測定する。重合性評価の判断基準として、透過率100%=重合無し、透過率の低下=重合の発生と判断する。
加熱試験後の試料を20mLガラス製サンプル瓶に10g秤取り、次の基準で外観を評価する。透明:目視で不溶解分が確認できないことを意味する。白濁:目視にて不溶解分が確認できることを意味する。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてクエン酸700ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてクエン酸700ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤としてガルビノキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてクエン酸700ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてオクチル酸1500ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてコハク酸500ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてセバシン酸1000ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物としてアクリル酸800ppm(錫原子に対して2倍当量)添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル10ppm添加、カルボン酸化合物を添加しないものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、カルボン酸化合物を添加せず加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤としてフェノチアジン1500ppm添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤としてヒドロキノン1500ppm添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1500ppm添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
ジブチル錫ジラウレート500ppm含有するアクリロイルモルフォリンに対し、ラジカル重合禁止剤としてジラウリルチオジプロピオネート10ppm添加したものを加熱試験し、重合性評価、外観評価を実施した。結果を表1に記載した。
これらのことから、有機錫化合物存在下でも、アクリロイルモルフォリン単独または多官能ウレタン(メタ)アクリレートとの混合物で、重合や白濁なく、長期間安定保存できることが見出された。
Claims (8)
- 少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと(メタ)アクリロイルモルフォリンが配合され、重合禁止剤を含有する被覆剤組成物であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物。
- 請求項1記載の被覆剤組成物であって、さらにカルボン酸化合物を含有することを特徴とする、被覆剤組成物。
- 重合禁止剤を含有する(メタ)アクリロイルモルフォリンからなる、多官能ウレタン(メタ)アクリレート用の希釈剤であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする希釈剤。
- 請求項3記載の希釈剤であって、さらにカルボン酸化合物を含有することを特徴とする希釈剤。
- 少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイルモルフォリンとを混合してなる被覆剤組成物において、その混合の前または後で重合禁止剤を添加することによる該被覆剤組成物の保存安定化方法であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物の保存安定化方法。
- 少なくとも、多官能ウレタン(メタ)アクリレートと、(メタ)アクリロイルモルフォリンとを混合してなる被覆剤組成物において、その混合の前または後で重合禁止剤およびカルボン酸化合物を添加することによる該被覆剤組成物の保存安定化方法であって、前記重合禁止剤が2,2,6,6−テトラメチル−1−オキシル類、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル類、2塩基酸などで複数の2,2,6,6−ピペリジン−1−オキシル類や2,2,5,5−ピロリジン−N−オキシル類分子を連結させた1分子内に複数のN−オキシル基が存在する化合物、又はガルビノキシル類であることを特徴とする、被覆剤組成物の保存安定化方法。
- 前記重合禁止剤が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−カルボキサミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、ビス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジ−1−オキシル)コハク酸エステル、トリス−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)ホスファイト、2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、3−ヒドロキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル、ガルビノキシルから選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項5または6に記載の被覆剤組成物の保存安定化方法。
- 前記カルボン酸化合物が、オクチル酸、コハク酸、セバシン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、クエン酸、アクリル酸から選ばれる少なくとも1種の化合物を含むものである、請求項6に記載の被覆剤組成物の保存安定化方法。
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