JP2011057124A - 車両用制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 車両を適切に制動するとともに車両の運動エネルギーを効率よく電気エネルギーとして回収する車両用制動装置を提供すること。
【解決手段】 車両用制動装置Sは、車輪Wと一体的に回転するブレーキドラム11に接続されて回転駆動する油圧ポンプ12を備えている。油圧回路20は、制御装置40により作動制御されて車両の制動時にポンプ12を介して流通する作動流体(フルード)の流量を変更してポンプ12の回転駆動に対して負荷を与え、ドラム11(車輪W)に制動力を付与する。また、回路20には、電力回収部30が組み付けられる。回収部30は、車両制動時の回路20内の流量変更に伴い車両の運動エネルギーから変換されて増加するフルードの熱エネルギーを電気エネルギーに変換して電力として回収する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、自動車等の車両用制動装置に関し、特に、車両の車輪を制動することに加えてこの制動に伴って発生するエネルギーを回収する車両用制動装置に関する。
近年、車両の走行により発生する運動エネルギーを電気エネルギーに変換して回収(回生)し、この回生した電気エネルギーを蓄電手段に蓄電して有効に利用することが盛んに研究されている。
例えば、下記特許文献1には、回転部にブレーキパッドを圧着してブレーキをかけるブレーキキャリパと、ブレーキキャリパに接続するヒートパイプと、ヒートパイプの放熱側端に接続する熱電変換素子と、熱電変換素子の冷却側面に接続する放熱器と、熱電変換素子に接続する蓄電池とを備えた回生ブレーキ装置が示されている。この回生ブレーキ装置においては、制動により生じた摩擦熱がヒートパイプを介して熱電変換素子の加熱面に伝達される一方で熱電変換素子の冷却面が放熱器によって冷却されるため、熱電変換素子は加熱側と冷却側との間の温度差により電力を発生することができる。したがって、制動により生じた摩擦熱を効率よく電気エネルギーに変換できるようになっている。
また、例えば、下記特許文献2には、車のホイールハブ内のベアリングに発生する熱をペルチェ効果による熱電変換効果を利用して電気エネルギーを発生させる熱電変換素子によるホイール内発電機構が示されている。このホイール内発電機構においては、車軸回転機構部の摩擦熱ををペルチェ素子によって電気エネルギーに変換し、この電気エネルギーを各種センサーの駆動電力に利用するようになっている。
特開平11−220804号公報 特開2004−282851号公報
ところで、上記特許文献1,2に記載された装置(機構)においては、車両の走行に伴って発生する運動エネルギーを摩擦熱などの熱を介して電気エネルギーに変換して回収(回生)する。このように、運動エネルギーから電気エネルギーを回収(回生)する場合には、如何にして運動エネルギーを熱として効率よく回収するか、および、如何にして回収した熱を電気エネルギーとして効率よく回収(回生)するかが、エネルギーを回収して利用する上で極めて重要な課題となる。
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的は、車両を適切に制動するとともに、車両の運動エネルギーを効率よく電気エネルギーとして回収(回生)する車両用制動装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、車両の車輪に対して制動力を付与するとともに、この制動力の付与に伴って発生するエネルギーを回収する車両用制動装置であって、前記車両の車輪と一体的に回転する回転部材に接続されて、この回転部材の回転によって回転駆動される流体ポンプと、前記流体ポンプの吸入口に作動流体を流通させる供給側流路および前記流体ポンプの吐出口から加圧された作動流体を流通させる圧送側流路を有する流体回路と、前記圧送側流路に設けられて、この圧送側流路内における前記加圧された作動流体の流量を変更する流量変更手段と、前記車両の車輪に対して付与する制動力の大きさに応じて前記圧送側流路内を流通する前記加圧された作動流体の流量を決定し、この決定した流量を用いて前記流量変更手段の作動を制御する制御手段と、前記圧送側流路に設けられて、前記流量変更手段による前記流量の変更に伴って変化する前記加圧された作動流体が有する熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する電力回収手段とを備えたことにある。
この場合、前記作動流体は、例えば、作動油であり、前記電力回収手段を、前記圧送側流路における前記流量変更手段よりも下流側に設けるとよい。また、前記作動流体は、例えば、空気であり、前記熱電変換手段を、前記圧送側流路に接続されて、前記圧送側流路を流通する前記加圧された作動流体の圧力を蓄圧する蓄圧手段に組み付けるとともに、前記電力回収手段を、前記圧送側流路における前記蓄圧手段の接続位置よりも下流側に設けるとよい。
また、この場合、前記流体回路が、前記流体ポンプの吸入口と前記供給側流路とに接続されるとともに、前記流体ポンプの吐出口と前記圧送側流路とに接続されて、前記流体ポンプの吸入口と前記供給側流路との連通および前記流体ポンプの吐出口と前記圧送側流路との連通を許可する切替位置と、前記流体ポンプの吸入口と前記供給側流路との連通および前記流体ポンプの吐出口と前記圧送側流路との連通を禁止するとともに前記流体ポンプの吸入口と前記流体ポンプの吐出口との連通を許可する切替位置とに切り替えられる流路方向制御手段を備えるとよい。この場合、前記流路方向制御手段は、さらに、前記圧送側流路内における前記加圧された作動流体の流量を変更するようにするとよく、また、前記流量変更手段と前記流路方向制御手段とを一体的に構成するとよい。
また、前記電力回収手段は、例えば、一面側が前記圧送側流路に接触して加熱されるとともに他面側が冷却されて、前記一面側と前記他面側との温度差に応じて前記熱エネルギーを前記電気エネルギーに変換する熱電変換素子であるとよい。そして、前記電力回収手段は、例えば、前記熱エネルギーから変換した前記電気エネルギーを電力として蓄電する蓄電手段を備えるとよい。
これらによれば、車両の車輪と一体的に回転する回転部材に接続された流体ポンプは、回転部材(車輪)の回転によって回転駆動される。そして、流体ポンプの回転駆動によって加圧された作動流体(例えば、作動油や空気)は、流体回路の流量変更手段の設けられた圧送側流路に吐出される。これにより、回転部材(車輪)に対して制動力を付与するときには、制御手段が流量変更手段を作動制御して、例えば、圧送側流路内を流通する作動流体の流量を小さくすることにより、圧送側流路内の作動流体(作動油)またはアキュムレータ内の作動流体(空気)の圧力を上昇させて、流体ポンプの前記回転駆動に対して負荷(抵抗)を与えることができる。したがって、回転部材(車輪)に対して適切に制動力を付与することができる。
また、流体回路に流路方向制御手段を設けた場合には、例えば、回転部材(車輪)に対して制動力を付与しないとき、流路方向制御手段が流体ポンプの吸入口と供給側流路との連通および流体ポンプの吐出口と圧送側流路との連通を禁止するとともに流体ポンプの吸入口と流体ポンプの吐出口との連通を許可する切替位置に切り替えられることにより、流体ポンプから吐出された作動流体を吐出口から吸入口に向けて循環させることができる。これにより、流体ポンプは極めて小さな負荷(抵抗)を有して空回りし、その結果、回転部材(車輪)に対して制動力を付与しないようにすることができる。
また、回転部材(車輪)に対して制動力を付与するときには、流量変更手段によって圧送側流路内を流通する作動流体の流量を小さくすることができる。このため、回転部材(車輪)の回転(すなわち車両の運動エネルギー)により回転駆動される流体ポンプによって加圧された作動流体(作動油)の圧送側流路内における圧力または加圧された作動流体(空気)の蓄圧手段内における圧力が増加し、作動流体の温度が上昇(すなわち熱エネルギーが増加)する。言い換えれば、制動に伴って放出される車両の運動エネルギーは、直接的に作動流体(作動油または空気)の温度上昇として熱エネルギーに効率よく変換される。そして、増加した熱エネルギーにより、圧送側流路または蓄圧手段に組み付けられた電力回収手段の一面側が加熱され、他面側が冷却されるため、電力回収手段(例えば、熱電変換素子)は熱エネルギーを効率よく電気エネルギーに変換して電力を蓄電手段に出力することができる。
したがって、車両用制動装置は、車輪に対して適切な制動力を付与することができるとともに、車両の運動エネルギーを熱エネルギーに効率よく変換し、熱エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
本発明の第1実施形態に係る車両用制動装置の構成を概略的に示す概略構成図である。 図1の油圧回路の構成を示す概略図である。 図1の電力回収部の構成を示す概略図である。 図1の制御装置の構成を示す概略的なブロック図である。 図4の電子制御ユニットによって実行される制動力制御プログラムを示すフローチャートである。 ストローク量と絞り量の関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態に係り、空圧回路の構成を示す概略図である。 本発明の変形例に係る制動部を示す概略図である。 本発明の変形例に係り、ポンプ制動力と摩擦制動力を協調させた場合に付与される制動力を概念的に示した図である。
a.第1実施形態
以下、本発明の実施形態に係る車両用制動装置について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用制動装置Sのシステム構成を概略的に示している。この車両用制動装置Sは、車両を制動することに加えて、制動に伴って車両の運動エネルギーを熱エネルギーに変換し、さらに、この熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収するものである。
このため、車両用制動装置Sは、図1に示すように、車輪Wに対して制動力を付与する制動部10と、制動部10によって付与される制動力の大きさを制御するとともに制動部10による制動に伴って車両の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して回収する流体回路としての油圧回路20と、油圧回路20によって回収された熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収(回生)する電力回収手段としての電力回生部30と、油圧回路20を作動制御することによって制動部10による制動力付与を制御する制御手段としての制御装置40とを備えている。なお、以下の説明においては、車両の左右前輪側(図1には車両の右側前輪を代表して図示)に制動部10を設けた場合を説明するが、車両の全輪に制動部10を設けたり、車両の後輪側のみに制動部10を設けたりして実施することも可能である。
制動部10は、ベアリングBによって回転可能に支持されたハブHに対して組み付けられて車輪Wと一体的に回転する回転部材としてのブレーキドラム11を備えている。ブレーキドラム11は、断面が略コの字状に形成されており、図1および図2に示すように、その内周面側にギア11aが形成されている。また、制動部10は、後述する油圧回路20内における作動流体としてのフルード(作動油)の圧力に応じて、ブレーキドラム11(車輪W)の回転に制動力を付与する流体ポンプとしての油圧ポンプ12を備えている。油圧ポンプ12は、図1および図2に示すように、ブレーキドラム11に対してギア11aに噛合する伝達ギア12aを介して連結される、例えば、2方向回転型ポンプであり、油圧回路20に接続されている。これにより、油圧ポンプ12は、ブレーキドラム11(車輪W)の回転が伝達されて回転駆動する。そして、油圧ポンプ12は、後述するように、油圧回路20内を流通する作動流体(フルード)の圧力増加に対応して、前記回転駆動に対して発生する負荷(抵抗)によって、ブレーキドラム11(車輪W)の回転に制動力を付与することができる。なお、油圧ポンプ12の回転駆動に対する負荷(抵抗)によって制動力を発生させるため、従来からの摩擦によって制動力を発生する制動装置とは異なり、所謂、鳴きやフェードなどが生じない。
また、制動部10は、ブレーキドラム11の内周面に対して摩擦係合するブレーキライニング13を備えている。ブレーキライニング13は、周知の自動駐車ブレーキ装置を構成するものであり、車両の駐停車時において、ブレーキドラム11の内周面と摩擦係合することによって、ブレーキドラム11(車輪W)に制動力を付与するものである。なお、自動駐車ブレーキ装置の作動自体については、本発明に直接関係しないため、その説明を省略する。ここで、この第1実施形態においては、ブレーキライニング13を前輪側に設け、後述するように、車両駐停車時のブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するように実施するが、他の輪(例えば、全輪または後輪側のみ)にブレーキライニング13を設けて実施することも可能である。また、運転者が、車両の駐停車時に、手動で駐車ブレーキ装置を操作する場合には、周知の手動駐車ブレーキ装置を採用して実施することも可能である。
油圧回路20は、図2に具体的に示すように、流路方向制御手段としての4ポート2位置方向制御弁21(以下、単に方向制御弁21ともいう)を備えている。なお、以下の説明においては、理解を容易とするために、車両前進時における油圧ポンプ12の回転駆動方向を基準として説明する。方向制御弁21は、後述する制御装置40によって電磁的に作動制御されるアクチュエータとして、例えば、ソレノイドを有しており、作動流体(フルード)の流通方向を切り替えるものである。このため、方向制御弁21の4つのポートには、それぞれ、リザーバタンク22から作動流体(フルード)を流通させる供給配管23、油圧ポンプ12の回転駆動によって加圧された作動流体(フルード)を流通させる圧送配管24、供給配管23から供給された作動流体(フルード)を車両前進時における油圧ポンプ12の吸入口12bに流通させる吸入配管25、車両前進時における油圧ポンプ12の吐出口12cから吐出された作動流体(フルード)を流通させる吐出配管26が接続されている。なお、供給配管23および吸入配管25が本発明の供給側流路を形成し、圧送配管24および吐出配管26が本発明の圧送側流路を形成する。
このように、供給配管23、圧送配管24、吸入配管25および吐出配管26が接続される方向制御弁21は、ソレノイドによって方向制御位置が切り替えられることによって、作動流体(フルード)の流通方向を制御する。具体的に説明すると、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しない場合(以下、通常走行時という)には、方向制御弁21は、スプリングによる付勢力によって、図2に示す位置(以下、通常切替位置という)に切り替えられる。
方向制御弁21における通常切替位置は、供給配管23と圧送配管24との連通を禁止するとともに供給配管23と吸入配管25および圧送配管24と吐出配管26の連通を禁止して、吸入配管25と吐出配管26との連通を許可する方向制御位置である。すなわち、この通常切替位置においては、供給配管23を介した油圧ポンプ12への作動流体(フルード)の供給および油圧ポンプ12から加圧された作動流体(フルード)の圧送配管24への吐出が禁止される。一方で、吸入配管25と吐出配管26との連通が許可されることにより、方向制御弁21、吸入配管25、油圧ポンプ12および吐出配管26によって循環流路が形成される。したがって、方向制御弁21が通常切替位置に切替制御された場合には、油圧ポンプ12は極めて小さい負荷(抵抗)を有して空回りすることができる。
一方、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与する場合(以下、制動時という)には、方向制御弁21は、スプリングの付勢力に抗するアクチュエータの駆動力によって、通常切替位置から他方の切替位置(以下、制動時切替位置という)に切り替えられる。すなわち、方向制御弁21における制動時切替位置は、供給配管23と吸入配管25との連通を許可するとともに、圧送配管24と吐出配管26との連通を許可する切替位置である。これにより、方向制御弁21が制動時切替位置に切り替えられた場合には、車両の走行に伴って車輪Wと一体的に回転するブレーキドラム11からギア11aおよび伝達ギア12aを介して伝達される回転力(駆動力)によって油圧ポンプ12が回転駆動すると、油圧ポンプ12はリザーバタンク22から供給される作動流体(フルード)を加圧して圧送配管24に吐出することができる。
また、油圧回路20は、図2に示すように、圧送配管24に組み付けられた流量変更手段としての可変絞り弁27を備えている。可変絞り弁27は、後述する制御装置40によって電磁的に作動制御されるアクチュエータとして、例えば、ステッピングモータを有しており、圧送配管24内を流通する加圧された作動流体(フルード)の流量を調整(変更)することによって、流通する作動流体(フルード)の圧力を変化させるものである。具体的に説明すると、可変絞り弁27は、方向制御弁21の切替位置が制動時切替位置に切替制御されているときに、ステッピングモータによって絞り量が変更されることによって、油圧ポンプ12から圧送配管24内に吐出されてリザーバタンク22に向けて流通する加圧された作動流体(フルード)の流量を調整(変更)する。そして、このように、可変絞り弁27が、圧送配管24内を流通する作動流体(フルード)の流量を調整(変更)することによって、流通する作動流体(フルード)の圧力を変化(具体的には増加または減少)させ、油圧ポンプ12の回転駆動に対して負荷(抵抗)を付与することができる。
より具体的に、方向制御弁21が制動時切替位置に制御されている状態において、可変絞り弁27の絞り量を減少させると、絞り量の減少に伴って圧送配管24内の作動流体(フルード)の流量が大きくなる。したがって、この場合には、圧送配管24内の圧力の増加が抑制されて(あるいは、圧力が減少して)、油圧ポンプ12の回転駆動に対する負荷(抵抗)が小さくなり、ブレーキドラム11(車輪W)に付与する制動力は小さくなる。
一方、方向制御弁21が制動時切替位置に制御されている状態において、可変絞り弁27の絞り量を増大させると、絞り量の増大に伴って圧送配管24内の作動流体(フルード)の流量が小さくなり、圧送配管24内の圧力が増加する。そして、圧送配管24内の圧力の増加に伴って油圧ポンプ12の回転駆動に対する負荷(抵抗)が大きくなり、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に付与する制動力が増大する。したがって、可変絞り弁27の絞り量すなわち圧送配管24内を流通する作動流体(フルード)の流量を調整(変更)して圧力の増減を制御することにより、ブレーキドラム11(車輪W)に対して適切な制動力を付与することができる。
このように、油圧回路20においては、可変絞り弁27の絞り量を調整(変更)することによって、車両の制動時に、ブレーキドラム11(車輪W)の回転により回転駆動される油圧ポンプ12から吐出される作動流体(フルード)の圧送配管24内における圧力を増減させることができる。ところで、圧送配管24内において作動流体(フルード)の圧力が増加する場合には、圧力の増加に伴って作動流体(フルード)の液温が上昇する。このため、油圧回路20は、車両の制動時に圧送配管24内における作動流体(フルード)の圧力を増加させることによって、制動に伴って放出される車両の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して回収することができる。
次に、電力回生部30を説明する。電力回生部30は、図2および図3に示すように、油圧回路20の可変絞り弁27よりも下流側に組み付けられた熱電変換部31を備えている。熱電変換部31は、図3に示すように、圧送配管24の外周面を覆う円筒状に形成されており、その内周面側には、例えば、周知のゼーベック効果を利用したペルチェ素子などの熱エネルギーを電気エネルギーに変換する薄膜状の熱電変換素子部31aが配置され、外周面側(より詳しくは、熱電変換素子部31aの外周面側)には、ラジエータ32aを備えた冷却水路32に接続されて冷却される冷却部31bが配置されている。
このように構成される熱電変換部31による熱電変換について簡単に説明しておく。上述したように、圧送配管24内を流通する作動流体(フルード)の圧力が増加することに伴って、作動流体(フルード)の液温が上昇する。これにより、圧送配管24の外周面における温度も上昇するため、可変絞り弁27よりも下流側にて圧送配管24の外周面に設けられた熱電変換部31の熱電変換素子部31aの一面側(圧送配管24の外周面との接触面側)は速やかに加熱される。一方、熱電変換部31の冷却部31bはラジエータ32aを通過する冷却水によって冷却されるため、熱電変換素子部31aの他面側(冷却部31bとの接触面側)は冷却される。したがって、熱電変換素子部31aは、一面側が加熱されるとともに他面側が冷却されるため、周知のゼーベック効果によって、一面側と他面側との間で起電力を発生する。すなわち、熱電変換部31(より詳しくは、熱電変換素子部31a)は、作動流体(フルード)の熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収(回生)することができる。
このように、熱電変換部31によって熱エネルギーから変換された電気エネルギー(電力)は、変圧回路33を介して蓄電手段としてのバッテリ34に供給される。変圧回路33は、例えば、DC−DCコンバータやコンデンサを主要構成部品とする電気回路であり、熱電変換部31から出力された起電力(以下、この起電力を回生電力という)を変圧してバッテリ34に出力するものである。バッテリ34は、出力された回生電力を蓄電するものである。
次に、制御装置40を説明する。制御装置40は、図4に示すように、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とする電子制御ユニット41を備えている。電子制御ユニット41は、後述する制動力制御プログラムを含む各種プログラムを実行して、車両用制御装置S(より具体的には、油圧回路20を介して制動部10)の作動を制御するものである。このため、電子制御ユニット41の入力側には、運転者によって操作される図示しないブレーキペダルのストローク量を検出するブレーキペダルストロークセンサ42が接続されている。ブレーキペダルストロークセンサ42は、運転者によるブレーキペダルのストローク量dを検出し、このストローク量dを表す信号を出力するものである。なお、ストローク量dは、運転者によってブレーキペダルが操作されたときには、正の値として検出される。
また、電子制御ユニット41の出力側には、方向制御弁21に設けられたソレノイドおよび可変絞り弁27に設けられたステッピングモータをそれぞれ駆動制御するための駆動回路43,44が接続されている。駆動回路43,44内には、ソレノイドおよびステッピングモータに流れる駆動電流を検出する電流検出器43a,44aが設けられている。電流検出器43a,44aによって検出された駆動電流は、ソレノイドおよびステッピングモータの駆動を制御するために、電子制御ユニット41にフィードバックされている。
次に、上記のように構成した車両用制動装置の作動について、図5に示す制動力制御プログラムのフローチャートに基づいて詳細に説明する。
電子制御ユニット41は、運転者によって図示省略のイグニッションスイッチがオン状態とされると、制動力制御プログラムの実行を所定の短い時間間隔で繰り返しステップS10にて開始する。続くステップS11においては、電子制御ユニット41は、ブレーキペダルストロークセンサ42によって検出されたストローク量dを入力し、ステップS12に進む。
ステップS12においては、電子制御ユニット41は、運転者によってブレーキペダルが操作されているか否か、具体的には、入力したブレーキペダルのストローク量dが「0」よりも大きいか否かを判定する。すなわち、電子制御ユニット41は、前記ステップS11にて入力したストローク量dが「0」よりも大きければ、運転者によってブレーキペダルが操作されているため、「Yes」と判定してステップS13に進む。一方、電子制御ユニット41は、ストローク量dが「0」であれば、運転者によってブレーキペダルが操作されていないため、「No」と判定してステップS15に進む。なお、ステップS12における判定処理においては、ブレーキペダルのストローク量dを用いることに代えて、または、加えて、例えば、ストローク量dを時間微分したストローク速度d'やストローク速度d'をさらに時間微分したストローク加速度d''を用いて、運転者によるブレーキペダルの操作状態(踏み込み操作か戻し操作か)を判定するように実施することも可能である。
ステップS13においては、電子制御ユニット41は、前記ステップS12の判定処理によって運転者がブレーキペダルを操作しており、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するために油圧回路20の方向制御弁21を制動時切替位置に切り替える。具体的に、電子制御ユニット41は、駆動回路43を駆動制御して、方向制御弁21のソレノイドに対して所定の駆動電流を供給する。方向制御弁21においては、ソレノイドが供給された駆動電流により、スプリングの付勢力に抗する駆動力を発生し、通常切替位置から制動時切替位置に切り替えられる。これにより、油圧回路20においては、方向制御弁21を介して、供給配管23と吸入配管25とが連通されるとともに、圧送配管24と吐出配管26とが連通され、ブレーキドラム11(車輪W)の回転力(駆動力)によって回転駆動される油圧ポンプ12から加圧された作動流体(フルード)が可変絞り弁27に向けて供給される。このように、方向制御弁21を制動時切替位置に切り替えると、電子制御ユニット41は、ステップS14に進む。
ステップS14においては、電子制御ユニット41は、前記ステップS11にて入力したストローク量dを用い、例えば、図6に示すマップを参照して可変絞り弁27の絞り量、言い換えれば、ブレーキドラム11(車輪W)に付与する制動力の大きさを決定する。すなわち、電子制御ユニット41は、運転者によるブレーキペダルの操作量を表すストローク量dが増大するほど大きな制動力が要求されるため、ストローク量dの増大に伴って大きくなる可変絞り弁27の絞り量を決定する。そして、電子制御ユニット41は、駆動回路44を介して、決定した絞り量に対応する駆動電流が可変絞り弁27のステッピングモータに流れるように、電流検出器44aによって検出された駆動電流に基づいて駆動制御(フィードバック制御)する。
これにより、運転者によるブレーキペダルのストローク量dが小さい、すなわち、小さな制動力が要求されている場合には、可変絞り弁27の絞り量が小さく決定されるため、方向制御弁21から可変絞り弁27を介してリザーバタンク22に流れる作動流体(フルード)の流量が大きく維持され、その結果、油圧ポンプ12によって加圧された作動流体(フルード)の圧送配管24内における圧力増加が小さく抑制される。このため、油圧ポンプ12の回転駆動に対する負荷(抵抗)が小さくなって、ブレーキドラム11(車輪W)に対して小さな制動力が付与される。
一方、運転者によるブレーキペダルのストローク量dが大きい、すなわち、大きな制動力が要求されている場合には、可変絞り弁27の絞り量が大きく決定されるため、方向制御弁21から可変絞り弁27を介してリザーバタンク22に流れる作動流体(フルード)の流量が小さくなり、その結果、油圧ポンプ12によって加圧された作動流体(フルード)の圧送配管24内における圧力増加が大きくなる。このため、油圧ポンプ12の回転駆動に対する負荷(抵抗)が大きくなって、ブレーキドラム11(車輪W)に対して大きな制動力が付与される。
なお、上述した作動流体(フルード)の流れは、車両が前進している場合におけるものであるが、車両が後進している場合には、ブレーキドラム11(車輪W)の回転方向が逆転するため、油圧ポンプ12の回転駆動方向も逆転する。このため、車両が後進している場合には、作動流体(フルード)は、圧送配管24を介して、リザーバタンク22から可変絞り弁27および方向制御弁21を通過して油圧ポンプ12に流れるようになる。しかしながら、この場合においても、可変絞り弁27の絞り量を上述したように決定して変更することによって、前進時と逆方向となる油圧ポンプ12の回転駆動に対して負荷(抵抗)を与えることができ、その結果、車両が後進している場合であっても、ブレーキドラム11(車輪W)に対して適切な制動力を付与することができる。
また、上述したように、油圧ポンプ12の回転駆動に対して負荷(抵抗)を与えてブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与する場合、油圧ポンプ12が回転駆動していることが必要となる。すなわち、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与することによって車両が停止した場合には、油圧回路20内を循環する作動流体(フルード)がリザーバタンク22に戻る(リークする)ため、作動流体(フルード)の圧力が大気圧と等しくなる。言い換えれば、この場合には、油圧ポンプ12はブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与することができなくなる。したがって、電子制御ユニット41は、図示しない車速センサなどの検出結果に基づき、車両が停止(また駐車)しているときには、例えば、別途蓄圧された作動流体(フルード)の圧力を利用して自動駐車ブレーキ装置を作動させて、ブレーキドラム11の内周面とブレーキライニング13とを摩擦係合させ、車両の停止(または駐車)状態を維持するようにする。あるいは、運転者は、車両を停止(または駐車)させたときに、手動で駐車ブレーキ装置のレバーやペダルを操作してブレーキドラム11の内周面とブレーキライニング13とを摩擦係合させ、車両の停止(または駐車)状態を維持するようにするとよい。
ところで、電子制御ユニット41によって可変絞り弁27の絞り量が大きく決定されて圧送配管24内の作動流体(フルード)の流量が小さくなるほど、上述したように、作動流体(フルード)の圧力が増大して液温が高くなる。したがって、特に車両が前進しているときに運転者によってブレーキペダルが操作されると、ステップS14にて可変絞り弁27の絞り量が大きくなるように調整されて、可変絞り弁27よりも下流側に流通する作動流体(フルード)の液温が上昇するため、電力回生部30の熱電変換部31が回生電力を出力する。そして、熱電変換部31から出力された回生電力は、変圧回路33によって、例えば、昇圧されてバッテリ34に供給されて蓄電される。
このように、可変絞り弁27の絞り量を決定してブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与すると、電子制御ユニット41は、ステップS16に進み、制動力制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後に、ふたたび、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
一方、前記ステップS12において、前記ステップS11にてブレーキペダルストロークセンサ42から入力したストローク量dが「0」であれば、電子制御ユニット41は、運転者によってブレーキペダルが操作されていないため、「No」と判定してステップS15に進む。
ステップS15においては、電子制御ユニット41は、方向制御弁21を通常切替位置に維持する(または制動時切替位置から切り替える)。具体的に、電子制御ユニット41は、入力したストローク量dが「0」であるときには、駆動回路43を介して方向制御弁21のソレノイドに対して所定の駆動電流を供給しない。これにより、方向制御弁21においては、スプリングの付勢力によって、通常切替位置に維持される(または、制動時切替位置から通常切替位置に切り替えられる)。これにより、油圧回路20においては、供給配管23を介した油圧ポンプ12への作動流体(フルード)の供給および油圧ポンプ12から加圧された作動流体(フルード)の圧送配管24への吐出が禁止される一方で、吸入配管25と吐出配管26との連通が許可されることにより、方向制御弁21、吸入配管25、油圧ポンプ12および吐出配管26によって循環流路が形成される。これにより、方向制御弁21が通常切替位置にある場合には、油圧ポンプ12が極めて小さい負荷(抵抗)を有して空回りすることができ、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しない。
そして、方向制御弁21を通常切替位置に維持する(または制動時切替位置から通常切替位置に切り替える)と、電子制御ユニット41は、ステップS16に進み、制動力制御プログラムの実行を一旦終了する。そして、所定の短い時間の経過後に、ふたたび、ステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
以上の説明からも理解できるように、この第1実施形態によれば、車輪Wと一体的に回転するブレーキドラム11に対してギア11aおよび伝達ギア12aを介して接続された油圧ポンプ12は、ブレーキドラム11(車輪W)の回転によって回転駆動される。そして、油圧ポンプ12の回転駆動によって加圧された作動流体(フルード)は、吐出配管26および方向制御弁21を介して、可変絞り弁27が組み付けられた圧送配管24に吐出される。
これにより、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するときには、可変絞り弁27の絞り量を大きくして圧送配管24内を流通する作動流体(フルード)の流量を小さくすることにより、油圧ポンプ12の前記回転駆動に対して負荷(抵抗)を与えることができ、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与することができる。一方、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しないときには、方向制御弁21を通常切替位置に切り替えることにより、吸入配管25と吐出配管26との連通が許可されるため、油圧ポンプ12は極めて小さな負荷(抵抗)を有して空回りし、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しないようにすることができる。
また、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するときには可変絞り弁27の絞り量を大きくするため、ブレーキドラム11(車輪W)の回転(すなわち車両の運動エネルギー)により回転駆動される油圧ポンプ12によって加圧された作動流体(フルード)の圧送配管24内における圧力が増加して液温が上昇(すなわち熱エネルギーが増加)する。言い換えれば、制動に伴って放出される車両の運動エネルギーは、直接的に作動流体(フルード)の液温上昇として熱エネルギーに効率よく変換される。そして、増加した熱エネルギーにより、圧送配管24に組み付けられた熱電変換部31の熱電変換素子31aの一面側が加熱され、他面側が冷却水路32に接続された冷却部31bよって冷却されるため、熱電変換素子31aは熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回生電力を出力することができる。
したがって、この第1実施形態における車両用制動装置Sは、車輪Wに対して適切な制動力を付与することができるとともに、車両の運動エネルギーを熱エネルギーに効率よく変換し、熱エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
b.第2実施形態
上記第1実施形態においては、作動流体としてフルード(作動油)を用いた油圧回路20を形成し、可変絞り弁27の絞り量を変更することによって油圧ポンプ12の回転駆動に対して負荷(抵抗)を与えてブレーキドラム11(車輪W)に制動力を付与するように実施した。この場合、作動流体として、フルード(作動油)に代えて空気を用い、油圧回路20に代えて空圧回路を形成して実施することも可能である。以下、この第2実施形態を詳細に説明するが、この第2実施形態の説明にあたっては、上記第1実施形態と同一部分に同一の符号を付してその説明を省略する。
この第2実施形態においては、上述のように、作動流体として空気が用いられる。このため、この第2実施形態においては、図7に示すように、上記第1実施形態における流体ポンプとしての油圧ポンプ12がエアポンプ14に変更されるとともに、流体回路としての油圧回路20が空圧回路50に変更される。
エアポンプ14は、図7に示すように、ブレーキドラム11に形成されたギア11aに噛合する伝達ギア14aを介して連結される、例えば、2方向回転型ポンプであり、空圧回路50に接続されている。これにより、エアポンプ14も、上記第1実施形態の油圧ポンプ12と同様に、ブレーキドラム11(車輪W)の回転が伝達されて回転駆動するとともに、後述するように空圧回路50を作動制御して回転駆動に負荷(抵抗)を発生させることによってブレーキドラム11(車輪W)の回転に対して制動力を付与することができる。
空圧回路50は、図7に具体的に示すように、流路方向制御手段としての4ポート3位置方向制御弁51(以下、単に方向制御弁51ともいう)を備えている。なお、以下の説明においても、理解を容易とするために、車両前進時におけるエアポンプ14の回転駆動方向を基準として説明する。方向制御弁51も、上記第1実施形態の方向制御弁21と同様に、制御装置40によって電磁的に作動制御されるアクチュエータとして、例えば、ソレノイドを有しており、作動流体(空気)の流通方向を切り替える。そして、方向制御弁51の4つのポートには、それぞれ、サクションフィルタ52およびチェック弁53を介して作動流体(空気)を流通させる供給配管54、エアポンプ14の回転駆動によって加圧された作動流体(空気)を流通させる圧送配管55、供給配管54から供給された作動流体(空気)をエアポンプ14の吸入口14bに流通させる吸入配管56、エアポンプ14の吐出口14cから吐出された作動流体(空気)を流通させる吐出配管57が接続される。なお、供給配管54および吸入配管56が本発明の供給側流路を形成し、圧送配管55および吐出配管57が本発明の圧送側流路を形成する。
このように、供給配管54、圧送配管55、吸入配管56および吐出配管57が接続される方向制御弁51は、ソレノイドによって方向制御位置が切り替えられることによって、作動流体(空気)の流通方向を制御する。具体的に説明すると、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しない通常走行時には、方向制御弁51は、スプリングによる付勢力によって、図7に示す通常切替位置に切り替えられる。
方向制御弁51における通常切替位置は、供給配管54と圧送配管55との連通を禁止するとともに供給配管54と吸入配管56および圧送配管55と吐出配管57の連通を禁止して、吸入配管56と吐出配管57との連通を許可する方向制御位置である。すなわち、この通常切替位置においては、供給配管54を介したエアポンプ14への作動流体(空気)の供給およびエアポンプ14から加圧された作動流体(空気)の圧送配管55への吐出が禁止される。一方で、吸入配管56と吐出配管57との連通が許可されることにより、方向制御弁51、吸入配管56、エアポンプ14および吐出配管57によって循環流路が形成される。したがって、方向制御弁51が通常切替位置に切替制御された場合には、空気ポンプ14は極めて小さい負荷(抵抗)を有して空回りすることができる。
また、車両が前進している状況において、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与する場合(以下、前進制動時という)には、方向制御弁51は、スプリングの付勢力に抗するアクチュエータの駆動力によって、通常切替位置から隣接する切替位置(以下、前進制動時切替位置という)に切り替えられる。すなわち、方向制御弁51における前進制動時切替位置は、供給配管54と吸入配管56との連通を許可するとともに、圧送配管55と吐出配管57との連通を許可する方向制御位置である。これにより、方向制御弁51が前進制動時切替位置に切り替えられた場合には、車両の前進走行に伴って車輪Wと一体的に回転するブレーキドラム11からギア11aおよび伝達ギア14aを介して伝達される回転力(駆動力)によってエアポンプ14が回転駆動すると、エアポンプ14は、サクションフィルタ52、チェック弁53および供給配管54を介して供給される作動流体(空気)を加圧して圧送配管55に吐出することができる。
一方、車両が後進している状況において、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与する場合(以下、後進制動時という)には、方向制御弁51は、スプリングの付勢力に抗するアクチュエータの駆動力によって、通常切替位置(または前進制動時切替位置)から前進制動時切替位置に隣接する切替位置(以下、後進制動時切替位置という)に切り替えられる。すなわち、方向制御弁51における後進制動時切替位置は、エアポンプ14の逆転駆動に伴って、供給配管54と車両前進時における吐出配管57との連通を許可するとともに、圧送配管55と車両前進時における吸入配管56との連通を許可する方向制御位置である。これにより、方向制御弁51が後進制動時切替位置に切り替えられた場合には、車両の後進走行に伴って車輪Wと一体的に回転するブレーキドラム11からギア11aおよび伝達ギア14aを介して伝達される回転力(駆動力)によってエアポンプ14が逆転駆動すると、エアポンプ14は、サクションフィルタ52、チェック弁53および供給配管54を介して供給される作動流体(空気)を加圧して圧送配管55に吐出することができる。
また、空圧回路50は、図7に示すように、圧送配管55に接続された蓄圧手段としてのアキュムレータ58を備えている。アキュムレータ58は、エアポンプ14によって加圧された作動流体(空気)を蓄圧して保持するものである。また、空圧回路50は、図7に示すように、アキュムレータ58よりも下流側の圧送配管55に組み付けられた流量変更手段としての可変絞り弁59を備えている。可変絞り弁59も、上記第1実施形態の可変絞り弁27と同様に、制御装置40によって電磁的に作動制御されるアクチュエータとして、例えば、ステッピングモータを有しており、アキュムレータ58を介して圧送配管55内を流通する加圧された作動流体(空気)の流量を調整(変更)してアキュムレータ58内の作動流体(空気)の圧力を変更する。
具体的に説明すると、可変絞り弁59は、方向制御弁51の方向制御位置が前進制動時切替位置または後進制動時切替位置に作動制御されているときに、ステッピングモータによって絞り量が変更されることによって、エアポンプ14から圧送配管55内を流通する加圧された作動流体(空気)の流量を調整(変更)する。そして、このように、可変絞り弁59が、圧送配管55内を流通する作動流体(空気)の流量を調整(変更)することによって、アキュムレータ58内の作動流体(空気)の圧力を変化(具体的には、増加または減少)させ、エアポンプ14の回転駆動に対して負荷(抵抗)を付与することができる。
より具体的に、方向制御弁51が前進制動時切替位置または後進制動時切替位置に制御されている状態において、可変絞り弁59の絞り量を減少させると、絞り量の減少に伴って圧送配管55から大気中に放出される作動流体(空気)の流量が大きくなる。したがって、この場合には、アキュムレータ58内の作動流体(空気)の圧力の増加が抑制されて(あるいは、圧力が減少して)、エアポンプ14の回転駆動に対する負荷(抵抗)が小さくなり、ブレーキドラム11(車輪W)に付与する制動力は小さくなる。
一方、方向制御弁51が前進制動時切替位置または後進制動時切替位置に制御されている状態において、可変絞り弁59の絞り量を増大させると、絞り量の増大に伴って圧送配管55から大気中に放出される作動流体(空気)の流量が小さくなり、アキュムレータ58内の作動流体(空気)の圧力が増加する。これにより、圧送配管55内を流通する作動流体(空気)の圧力が増加してエアポンプ14の回転駆動に対する負荷(抵抗)が大きくなり、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に付与する制動力が増大する。したがって、この第2実施形態においては、可変絞り弁59の絞り量を調整してアキュムレータ58内の作動流体(空気)の蓄圧状態(圧力の増減)を制御することにより、ブレーキドラム11(車輪W)に対して適切な制動力を付与することができる。
このように、空圧回路50においては、可変絞り弁59の絞り量を調整(変更)することによって、車両の制動時に、ブレーキドラム11(車輪W)の回転により回転駆動されるエアポンプ14から吐出される作動流体(空気)の圧送配管55内(すなわち、アキュムレータ58内)における圧力を増減させることができる。ところで、圧送配管55内(すなわち、アキュムレータ58内)において作動流体(空気)の圧力が増加する場合には、圧力の増加に伴って作動流体(空気)の温度が上昇する。このため、空圧回路50は、車両の制動時に圧送配管55内(すなわち、アキュムレータ58内)内における作動流体(空気)の圧力を増加させることによって、制動に伴って放出される車両の運動エネルギーを熱エネルギーに変換して回収することができる。
また、この第2実施形態においては、図7に示すように、電力回生部30の熱電変換部31がアキュムレータ58の外周面を覆う中空円筒状に形成されており、その内周面側に薄膜状の熱電変換素子部31aが配置され、外周面側(より詳しくは、熱電変換素子部31aの外周面側)にラジエータ32aを備えた冷却水路32に接続されて冷却される冷却部31bが配置されている。
このように構成される第2実施形態における熱電変換部31による熱電変換について簡単に説明しておく。上述したように、アキュムレータ58内において作動流体(空気)の圧力が増加すると、作動流体(空気)が断熱圧縮されて温度が上昇する。これにより、アキュムレータ58の外周面における温度も上昇するため、アキュムレータ58の外周面に設けられた熱電変換部31の熱電変換素子部31aの一面側(アキュムレータ58の外周面との接触面側)は速やかに加熱される。一方、熱電変換部31の冷却部31bはラジエータ32aを通過する冷却水によって冷却されるため、熱電変換素子部31aの他面側(冷却部31bとの接触面側)は冷却される。したがって、熱電変換素子部31aは、一面側が加熱されるとともに他面側が冷却されるため、周知のゼーベック効果によって、一面側と他面側との間で起電力を発生する。そして、この第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、熱電変換部31によって出力された回生電力は、変圧回路33によって変圧されて、バッテリ34に蓄電される。
このように構成される第2実施形態においても、制御装置40の電子制御ユニット41は、上記第1実施形態と同様に、図5に示す制動力制御プログラムを実行する。ただし、この第2実施形態においては、上記第1実施形態にて説明したステップS13が若干異なる。
すなわち、この第2実施形態のステップS13においては、ステップS12の判定処理により、運転者によってブレーキペダルが操作されていれば、電子制御ユニット41は、例えば、図示しない車速センサや変速機のシフトポジションセンサなどの検出結果に基づいて車両が前進しているか後進しているかを判定する。そして、電子制御ユニット41は、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するために、駆動回路43を介して空圧回路50の方向制御弁51のソレノイドに所定の駆動電流を供給して、車両が前進していれば前進制動時切替位置に切り替え、車両が後進していれば後進制動時切替位置に切り替える。
このように、方向制御弁51の方向制御位置が切り替えられると、電子制御ユニット41は、ステップS14にて、上記第1実施形態と同様に、ストローク量dを用いて可変絞り弁59の絞り量を決定する。そして、電子制御ユニット41は、駆動回路44を介して、決定した絞り量に対応する駆動電流が可変絞り弁59のステッピングモータに流れるように、電流検出器44aによって検出された駆動電流に基づいて駆動制御(フィードバック制御)する。
これにより、運転者によるブレーキペダルのストローク量dが小さい、すなわち、小さな制動力が要求されている場合には、可変絞り弁59の絞り量が小さく決定されるため、可変絞り弁59から大気中に放出される作動流体(空気)の流量が大きく維持され、その結果、アキュムレータ58内における作動流体(空気)の圧力増加が小さく抑制される。このため、エアポンプ14の回転駆動に対する負荷(抵抗)が小さくなって、ブレーキドラム11(車輪W)に対して小さな制動力が付与される。
一方、運転者によるブレーキペダルのストローク量dが大きい、すなわち、大きな制動力が要求されている場合には、可変絞り弁59の絞り量が大きく決定されるため、可変絞り弁59から大気に放出される作動流体(空気)の流量が小さくなり、その結果、アキュムレータ58内における作動流体(空気)の圧力増加が大きくなる。このため、圧送配管55内の圧力も上昇してエアポンプ14の回転駆動に対する負荷(抵抗)が大きくなって、ブレーキドラム11(車輪W)に対して大きな制動力が付与される。
また、電子制御ユニット41によって可変絞り弁59の絞り量が大きく決定されて、アキュムレータ58内における作動流体(空気)の圧力が増加するほど、上述したように、作動流体(空気)の温度が高くなる。したがって、運転者によってブレーキペダルが操作されると、ステップS14にて可変絞り弁59の絞り量が変更されるとともに、アキュムレータ58に組み付けられた電力回生部30の熱電変換部31は回生電力を出力する。そして、この第2実施形態においても、熱電変換部31から出力された回生電力は、変圧回路33によって、例えば、昇圧されてバッテリ34に供給されて蓄電される。
以上の説明からも理解できるように、この第2実施形態によれば、車輪Wと一体的に回転するブレーキドラム11に対してギア11aおよび伝達ギア14aを介して接続されたエアポンプ14は、ブレーキドラム11(車輪W)の回転によって回転駆動される。そして、エアポンプ14の回転駆動によって加圧された作動流体(空気)は、吐出配管57および方向制御弁51を介して、アキュムレータ58および可変絞り弁59が組み付けられた圧送配管55に吐出される。
これにより、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するときには、可変絞り弁59の絞り量を大きくして圧送配管55内を流通する作動流体(フルード)の流量を小さくすることにより、アキュムレータ58内の圧力が増加してエアポンプ14の前記回転駆動に対して負荷(抵抗)を与えることができ、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与することができる。一方、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しないときには、方向制御弁51を通常切替位置に切り替えることにより、吸入配管56と吐出配管57との連通が許可されるため、エアポンプ14は極めて小さな負荷(抵抗)を有して空回りし、その結果、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与しないようにすることができる。
また、ブレーキドラム11(車輪W)に対して制動力を付与するときには可変絞り弁59の絞り量を大きくするため、ブレーキドラム11(車輪W)の回転(すなわち車両の運動エネルギー)により回転駆動されるエアポンプ14によって加圧された作動流体(空気)の圧送配管55およびアキュムレータ58内における圧力が増加して温度が上昇(すなわち熱エネルギーが増加)する。言い換えれば、制動に伴って放出される車両の運動エネルギーは、直接的に作動流体(空気)の温度上昇として熱エネルギーに効率よく変換される。そして、増加した熱エネルギーにより、圧送配管24に組み付けられた熱電変換部31の熱電変換素子31aの一面側が加熱され、他面側が冷却水路32に接続された冷却部31bよって冷却されるため、熱電変換素子31aは熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回生電力を出力することができる。
したがって、この第2実施形態の車両用制動装置Sにおいても、車輪Wに対して適切な制動力を付与することができるとともに、車両の運動エネルギーを熱エネルギーに効率よく変換し、熱エネルギーを電気エネルギーに効率よく変換することができる。
本発明の実施にあたっては、上記第1および第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
例えば、上記各実施形態においては、車両用制動装置Sがブレーキドラム11を備えたドラムブレーキ方式を採用して実施した。これに代えて、図8に示すように、車両用制動装置Sが回転部材としてのブレーキディスク15とブレーキキャリパ16とを備えたディスクブレーキ方式を採用して実施することも可能である。
この場合、ブレーキディスク15は、車輪Wと一体的に回転するものであり、図8に示すように、有底円筒状に形成された凹部の内周面に形成されたギア15aと伝達ギア12a(伝達ギア14a)とが噛合するようになっている。ブレーキキャリパ16は、周知の自動駐車ブレーキ装置を構成するものであり、車両の駐停車時において、ブレーキディスク15のディスク面と摩擦係合することによって、ブレーキディスク15(車輪W)に制動力を付与するものである。
このように構成されるディスクブレーキ方式を採用した場合であっても、上記各実施形態と同様に、油圧ポンプ12(エアポンプ14)は、ブレーキディスク15(車輪W)が回転すると、ギア15aおよび伝達ギア12a(伝達ギア14a)を介して回転駆動され、油圧回路20(空圧回路50)を作動制御することによりギア15aおよび伝達ギア12a(伝達ギア14a)を介してブレーキディスク15(車輪W)に対して制動力を付与することができる。また、このように構成されるディスクブレーキ方式を採用した場合であっても、油圧ポンプ12(エアポンプ14)が回転駆動することによって作動流体(フルードまたは空気)の圧力を増加させて温度を上昇させることができるため、上記各実施形態と同様に、熱電変換部31は回生電力を出力することができる。したがって、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、上記各実施形態においては、方向制御弁21および方向制御弁51が作動流体(フルードおよび空気)の流路を単に切り替え、可変絞り弁27および可変絞り弁59が圧送配管24および圧送配管55内を流通する作動流体(フルードおよび空気)の流量を調整(変更)するように実施した。この場合、この可変絞り弁27,59による作動流体(フルードおよび空気)の流量変更に加えて、または、代えて、リニアな流量調整(変更)機能を有する4ポート2位置方向制御弁または4ポート3位置方向制御弁(以下、まとめて単に方向制御弁という)を設けて、作動流体(フルードおよび空気)の流路の切り替えとともに流量を調整(変更)して実施することも可能である。
これにより、油圧回路20および空圧回路50が可変絞り弁27,59に加えてリニアな流量調整(変更)機能を有する方向制御弁を備えている場合には、油圧ポンプ12およびエアポンプ14から圧送配管24,55に吐出される作動流体(フルードおよび空気)の流量をより細やかに調整(変更)することができるため、ブレーキドラム11(車輪W)に対して付与する制動力の大きさをより細やかに制御することができる。
また、油圧回路20および空圧回路50が可変絞り弁27,59に代えて、リニアな流量調整(変更)機能を有する方向制御弁のみを備えている場合には、油圧ポンプ12およびエアポンプ14から圧送配管24,55に吐出される作動流体(フルードおよび空気)の流量を調整(変更)することによって、油圧ポンプ12およびエアポンプ14の回転駆動に負荷(抵抗)を与えることができ、ブレーキドラム11(車輪W)に対して付与する制動力の大きさを制御することができる。また、油圧ポンプ12およびエアポンプ14から圧送配管24,55に吐出される作動流体(フルードおよび空気)の流量が調整(変更)されることによって、例えば、吐出配管26および吐出配管57内の作動流体(フルードおよび空気)の圧力が油圧ポンプ12およびエアポンプ14の回転駆動により増加して温度が上昇し、この温度の上昇した作動流体(フルードおよび空気)が圧送配管24,55に吐出される。これにより、圧送配管24内を流通する作動流体(フルード)の液温およびアキュムレータ58に供給される作動流体(空気)の温度が上昇するため、熱電変換部31が回生電力を出力することができる。なお、この場合、空圧回路50においては、可変絞り弁59に代えて、例えば、周知のリリーフ弁が設けられることはいうまでもない。
したがって、このように、流量変更手段としてのリニアな流量調整(変更)機能を有する方向制御弁を設けた場合であっても、上記各実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記各実施形態においては、方向制御弁27,59を設けて実施した。これにより、制動力を付与しないときに、通常切替位置に切替制御した場合には、油圧ポンプ12およびエアポンプ14を極めて小さな負荷(抵抗)を有して空回りさせることができるようにした。これに対して、上記各実施形態において、方向制御弁27,59を省略して実施することも可能である。すなわち、供給配管23,54に対して吸入配管25,56をそれぞれ直結し、圧送配管24,55に対して吐出配管26,57を直結して実施することも可能である。この場合、特に、制動力を付与しない状況において、作動流体(フルードおよび空気)が流通する距離が増加することに伴って、所謂、流路抵抗が増加するため、若干、回転駆動に対する負荷(抵抗)が大きくなるものの、この点を除けば、上記各実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記各実施形態においては、ブレーキドラム11(車輪W)の回転が伝達されることによる油圧ポンプ12およびエアポンプ14の回転駆動に対し、油圧回路20および空圧回路50内を流通する作動流体(フルードおよび空気)の流量を変更して負荷(抵抗)を与えることにより、ブレーキドラム11(車輪W)に制動力(以下、この制動力をポンプ制動力という)を付与するように実施した。このようなポンプ制動力に対して、自動駐車ブレーキ装置の作動に伴ってブレーキドラム11とブレーキライニング13との間に発生する摩擦力による制動力(以下、この制動力を摩擦制動力という)を協調させて付与するように実施することも可能である。
具体的に説明すると、上述した図5に示す制動力制御プログラムにおいて、電子制御ユニット41は、前記ステップS14にて前記ステップS11にて入力したストローク量dを用いて運転者が要求する制動力(以下、要求制動力という)の大きさを決定するとともに、可変絞り弁27,59の絞り量を決定する。さらに、電子制御ユニット41は、決定した要求制動力の大きさに応じて自動駐車ブレーキ装置の作動、すなわち、ブレーキドラム11とブレーキライニング13との間に発生する摩擦力による制動力の大きさを決定する。
そして、電子制御ユニット41は、決定した絞り量となるように可変絞り弁27,59のステッピングモータを作動させるとともに、図示しない自動駐車ブレーキ装置に設けられたアクチュエータを作動させ、図9に示すように、ポンプ制動力と摩擦制動力とを協調させて要求制動力を発生させる。これにより、図9に示すように、ポンプ制動力の増加が緩やかな領域にて摩擦制動力を増大させるように協調させることによって、運転者が要求する要求制動力を速やかに発生させることができる。
また、このようにポンプ制動力と摩擦制動力を協調させる場合であっても、油圧ポンプ12およびエアポンプ14はブレーキドラム11(車輪W)の回転によって回転駆動するため、上記各実施形態と同様に、ポンプ制動力の付与に伴って作動流体(フルードおよび空気)の圧力が増加して温度が上昇する。このため、ポンプ制動力と摩擦制動力とを協調させて要求制動力を付与する場合であっても、上記各実施形態と同様に、熱電変換部31は回生電力を出力することができる。したがって、上記各実施形態と同様の効果が期待できる。
また、上記各実施形態においては、熱電変換部31を構成する熱電変換素子31aを薄膜円筒状として圧送配管24またはアキュムレータ58の外周面上に接触するように実施した。この場合、熱電変換部31として、例えば、熱電変換素子31aが平板状に形成されたモジュールタイプの熱電変換部を採用して実施可能であることはいうまでもない。
さらに、上記第2実施形態においては、アキュムレータ58に蓄圧した空気を可変絞り弁59を介して大気中に放出(開放)するように実施した。この場合、アキュムレータ58内に蓄圧された圧力を空油圧変換器(エアブースタなど)を介して油圧に変換し、この変換した油圧を油圧源として、車両の油圧駆動装置(例えば、油圧ポンプ12およびエアポンプ14が設けられていない他の車輪が備える油圧ブレーキ装置など)により利用することが可能である。
10…制動部、11…ブレーキドラム、11a…ギア、12…油圧ポンプ、12a…伝達ギア、12b…吸入口、12c…吐出口、13…ブレーキライニング、14…エアポンプ、20…油圧回路、21…4ポート2位置方向制御弁、22…リザーバタンク、23…供給配管、24…圧送配管、25…吸入配管、26…吐出配管、27…可変絞り弁、30…電力回生部、31…熱電変換部、31a…熱電変換素子部、31b…冷却部、32…冷却水路、32a…ラジエータ、33…変圧回路、34…バッテリ、40…制御装置、41…電子制御ユニット、42…ブレーキペダルストロークセンサ、43,44…駆動回路、50…空圧回路、51…4ポート3位置方向制御弁、52…サクションフィルタ、53…チェック弁、54…供給配管、55…圧送配管、56…吸入配管、57…吐出配管、58…アキュムレータ、59…可変絞り弁、S…車両用制動装置

Claims (8)

  1. 車両の車輪に対して制動力を付与するとともに、この制動力の付与に伴って発生するエネルギーを回収する車両用制動装置であって、
    前記車両の車輪と一体的に回転する回転部材に接続されて、この回転部材の回転によって回転駆動される流体ポンプと、
    前記流体ポンプの吸入口に作動流体を流通させる供給側流路および前記流体ポンプの吐出口から加圧された作動流体を流通させる圧送側流路を有する流体回路と、
    前記圧送側流路に設けられて、この圧送側流路内における前記加圧された作動流体の流量を変更する流量変更手段と、
    前記車両の車輪に対して付与する制動力の大きさに応じて前記圧送側流路内を流通する前記加圧された作動流体の流量を決定し、この決定した流量を用いて前記流量変更手段の作動を制御する制御手段と、
    前記圧送側流路に設けられて、前記流量変更手段による前記流量の変更に伴って変化する前記加圧された作動流体が有する熱エネルギーを電気エネルギーに変換して回収する電力回収手段とを備えたことを特徴とする車両用制動装置。
  2. 請求項1に記載した車両用制動装置において、
    前記流体回路が、
    前記流体ポンプの吸入口と前記供給側流路とに接続されるとともに、前記流体ポンプの吐出口と前記圧送側流路とに接続されて、
    前記流体ポンプの吸入口と前記供給側流路との連通および前記流体ポンプの吐出口と前記圧送側流路との連通を許可する切替位置と、前記流体ポンプの吸入口と前記供給側流路との連通および前記流体ポンプの吐出口と前記圧送側流路との連通を禁止するとともに前記流体ポンプの吸入口と前記流体ポンプの吐出口との連通を許可する切替位置とに切り替えられる流路方向制御手段を備えたことを特徴とする車両用制動装置。
  3. 請求項1に記載した車両用制動装置において、
    前記電力回収手段は、
    一面側が前記圧送側流路に接触して加熱されるとともに他面側が冷却されて、前記一面側と前記他面側との温度差に応じて前記熱エネルギーを前記電気エネルギーに変換する熱電変換素子であることを特徴とする車両用制動装置。
  4. 請求項1に記載した車両用制動装置において、
    前記作動流体は、作動油であり、
    前記電力回収手段を、
    前記圧送側流路における前記流量変更手段よりも下流側に設けたことを特徴とする車両用制動装置。
  5. 請求項1に記載した車両用制動装置において、
    前記作動流体は、空気であり、
    前記熱電変換手段を、
    前記圧送側流路に接続されて、前記圧送側流路を流通する前記加圧された作動流体の圧力を蓄圧する蓄圧手段に組み付けるとともに、
    前記電力回収手段を、
    前記圧送側流路における前記蓄圧手段の接続位置よりも下流側に設けたことを特徴とする車両用制動装置。
  6. 請求項1に記載した車両用制動装置において、
    前記電力回収手段は、
    前記熱エネルギーから変換した前記電気エネルギーを電力として蓄電する蓄電手段を備えたことを特徴とする車両用制動装置。
  7. 請求項2に記載した車両用制動装置において、
    前記流路方向制御手段は、さらに、
    前記圧送側流路内における前記加圧された作動流体の流量を変更することを特徴とする車両用制動装置。
  8. 請求項2に記載した車両用制動装置において、
    前記流量変更手段と前記流路方向制御手段とを一体的に構成したことを特徴とする車両用制動装置。
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