(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1乃至図17を用いて詳細に説明する。図1は、本発明方法が適用される電気自動車となる、特に、プラグインハイブリッドカーにおいて配線ネットワークの概要を示す説明図である。
この車両は、車両外部(家庭用コンセント)から深夜電力などでバッテリ1に充電しておいて、モータのみで電気自動車として近距離走行する一方、長距離走行時にはガソリンエンジンなどが自動的に稼動するものである。
このような自動車では、車内の配線の簡素化、及び画一化が重要であり、これが達成されれば、配線作業の人件費の削減が可能とあると共に、ロボット等による作業も容易になる。
また、車両の安全性の向上、多様化のニーズに答えるために、ユーザがカメラ等の構築物搭載機器を成す後付車載機器を設置する位置の自由度を提供する車体の配線構造が望まれる。このためには、事前に、後付車載機器に必要な配線を埋め込んだ車体構造が望ましい。
この第1実施形態に使用する車両は、具体的には、車体の補強材(レインフォースメント)の中の空間を配線敷設空間として利用している。図1において、プラグインハイブリッドカーのバッテリ1は車両前部のボンネット2内に配置され、このバッテリ1付近から図示しない電力線と制御用の多重通信を活用した通信線が張り巡らされている。
各所に配置された図示しないモジュール間を結ぶ通信線の分岐部には、ルータ3及び4が設置されている。ルータ3及び4は、ネットワーク間を相互接続する通信用の車載機器である。
車両前部のミドルルータ3から前面窓ガラスの側部を通って、トップルータ4が接続されている。また、これらの通信線及びルータ3及び4の根幹部となる制御手段を成す図示しない車載サーバが車両の計器盤の下方に設置されている。
この車載サーバは、通信を開始する前に、ID情報を持つ図示しないコネクタの情報を集めて配線トポロジを決定するための後述する配線トポロジ把握手段を持っている。そして、車載サーバは、車両のネットワークと、そのネットワークに接続された後付車載機器の管理を行う。
具体的には、車載サーバは、車両のどの位置にどのような配線がなされたかを、コネクタのID情報の位置マップとして記憶している。また、配線の変更があれば、コネクタのID情報の位置マップを変更して記憶内容をアップデートしている。
この自動車を成す構築物の構造は、車体を構成する複数の骨材と、補強材(レインフォースメント)とからなる。補強材(レインフォースメント)とは、ボンネット2の裏の骨組みや、衝撃吸収のためにバンパー5及び6の裏等の車体内の各所に備えられた骨格を示している。
この車両に、予めカメラをサイドミラー7に埋め込むとか、車両後部の車体の屋根8付近に固定するとか、バンパー5及び6に埋め込む等、種々の車両の位置にカメラを固定して設置するものは従来から存在する。しかし、これでは、特定のユーザが見たい場所の近くにカメラを設置して、見たい場所を確実に見るという要求には応えられない。
このために、カメラを後付で、接着剤やねじなどを用いて、個々のユーザに適した位置に設置する製品も売られている。この製品は、自由な位置にカメラを設置することができるので、ユーザは自分の見たい場所を積極的に見えるようにすることが可能である。しかし、カメラ画像を車室内の表示機に表示させるには、カメラへの電源供給線、及び画像のデータを表示機に送る信号線などを配線する手間がかかる。
また、車体に後付車載機器を上手につけないと、接着剤が露出するとか、配線が外に出て見栄えが悪くなるとかの問題もある。また、上記接着剤等の樹脂の紫外線による劣化など、経年劣化の不安も残る。
このため、自動車の車外や車室内において、複数の後付車載機器(例えば、周辺監視用カメラ、路車間または車相互間の通信機器、ワイヤレス通信を利用したセンサ等)を、ユーザが装備したい場所に付けられるように、図1の車両の内装材及び外装材が工夫されている。
図1の200a〜200iは、後付車載機器のために車両の内装材及び外装材が工夫されている箇所である。これにより、特に、自動車の周辺を複数のカメラで撮影し、運転者に周辺の状況を表示して、危険な場合は警告音や表示を行うシステムの後付に有益となっている。
図2は複数の骨材と補強材(レインフォースメント)からなる車体の骨格部201に、後述するユニット配線部15の硬質の配管部10を内蔵または沿わせて固着した上記車両の骨格構成を示している。
図3は、上記配管部10内に通した配線11を相互に接続して車両内の配線ネットワークを構築した状態を模式的に示す模式図である。なお、この図3では上述のルータ3及び4や、モジュール等の後付車載機器の図示は省略している。
図4は上記配管部10を中核部品に持つユニット配線部15を示した模式構成図である。このユニット配線部15は、配線ネットワークの基本単位部品となるものであり、複数の規格化された仕様のものが予め製作されており、図2及び図3で示した車体の骨格部201の製造組み付け時に、取り付けられるものである。なお、図2及び図3では、ユニット配線部15のうちの主な20本が図示されている。
図4のユニット配線部15は、補強部材となる硬質の金属パイプ(樹脂製でも良いが導電性のあるものが電波障害対策のために好ましい)からなる配管部10を供えている。この配管部10の前後端、及び側面には取り外し可能な蓋体16、17、18、及び19を設けている。この蓋体をブッシング部材16、17、18、及び19と呼ぶことにする。
これは単なる電線出口に取り付けるブッシング(又はブッシュ)としての機能のほか、電線固定機能や部品収納機能を持っている。また、ブッシング部材16、17、18、及び19と総称されるものは、両端ブッシング部材16及び17と側面ブッシング部材18及び19から成る。また、配管部10は、車体の骨材や補強材(レインフォースメント)に、図示しない固定用のサドルやバンドでネジ締めされている。
このブッシング部材16、17、18、及び19を設けて、図示しない後付車載機器に配線が行いやすい構造になっている。また、図4の配線11は、前後の両端ブッシング部材16及び17の前後に内部コネクタ20、21、22及び24と余裕配線となる弛み部28及び29を設けている。
この弛み部により、図示しない後付車載機器に対する配線が容易に行えるようになっている。なお、図4では隣接するユニット配線部15同士は、外部コネクタ26及び27で接続されている。
しかし、外部コネクタ26及び27を使用せず、配管内の内部コネクタ20及び24を配管部10の外部に出して外部コネクタ26及び27の代わりとしても良い。この場合、外部コネクタ26及び27の代わりとされた内部コネクタ20及び24は、外部で他のコネクタと接続された後、配管部10内に戻しても良い。このようにすれば、外部コネクタの代わりの内部コネクタ20及び24は配管部10内にあるので防水性等に優れる。
配管部10の奥に位置する内部コネクタ21及び22は、上記内部コネクタ21及び22を形成するものであり、側面ブッシング部材18及び19により必要に応じて配管部10の外部に取り出され、図示しない後付車載機器等が接続される。
これらの内部コネクタ21及び22はいずれか一方のみを設けても良いし、短い配管部10のものでは省略することも出来る。図2及び図3では、簡略化のために単一の側面ブッシング部材18または19のみを持つものとして図示されている。
配管部10内の配線11の一部と、内部コネクタ21または22とを、側面ブッシング部材18または19を取り付ける側面の開口部から引き出すことが出来る。この引き出した配線11等の一部を側面ブッシング部材18または19に、側面ブッシング部材の裏の図示しない弾性部材(クリップ)等で固定してから、引き出した配線11と内部コネクタ21または22を配管部10内に戻す。
引き出した配線11と内部コネクタ21または22を配管部10内に戻した後、側面ブッシング部材18または19で配管部10の開口部に蓋をしておけば、側面ブッシング部材18または19及び上記弾性部材(クリップ)を上記開口部から取り外したときに、上記引き出した配線11が再び配管部10外に露出する。この露出により、内部コネクタ21または22、及び配線11の一部を側面の開口部から引き出す作業が容易になる。
蓋体となる両端ブッシング部材16及び17は、配線後に、配線を固定する機能と補強部材となる配管部10の空間内に湿気などが入ることを防止するシール機能と、外からの電磁ノイズとなる電波を遮蔽する電気部品等の収納構造を併せ持つ。
図5は、両端ブッシング部材16の正面図、図6は両端ブッシング部材16の側面から見た断面図である。配管部10の端部10a側の配管部10の内周面には螺子溝10a1が刻設されている。そして配管部10の内部には筒状の合成樹脂よりなるブッシング本体16aがねじ込まれて固定されている。
図5の蓋部材16cは、合成樹脂性のカバーから成り、ブッシング本体16aの端部に小ネジ290a及び290bによって取り付けられている。これらブッシング本体16a及び蓋部材16cからなる両端ブッシング部材16は、配管部10の中の図4の配線11及びコネクタ20等が予め貫通して形成されているが、図5及び図6では、配線11等を省略して図示している。
また、図5及び図6に示すように、蓋部材16cの中央には配線11が通過する丸孔16c1が開けられているが、丸孔16c1の代わりにU字状の溝16c2を持つものであっても良い。このU字状の溝16c2を持つものでは、図4のコネクタ26、20、21、22、24、及び27等が結合された図4の配線11をブッシング部材16及び17の中に通すことが出来る。
図6の中央の配線保持空間30は、配線11が通過する空間である。また小ネジ290a及び290bがねじ込まれて蓋部材16cが、ブッシング本体16aにねじ込まれて固定されていく過程で、バネ板31及び32が小ネジ290a及び290bの先端に押されて変形し、中央の配線保持空間30内の配線11(図4)を押圧して固定することが出来る。なお、中央の配線保持空間30内に配線11を直接挟持しないで配線保護用の柔軟な樹脂からなるスリーブを介して配線を挟持するようにしても良い。
図7は、上記第1実施形態の変形例として、両端ブッシング部材16等の蓋部材16cにU字状の溝16c2を形成した場合の組み付け例を示す、配管部の端面部における模式的分解一部断面図である。
この図7において、電波ノイズが大きい場合、配線圧接部材となる上記バネ板31及び32の近傍に、フェライトコアや誘電体から成る電波障害対策部品等の電気部品33及び34を設けることができる。図7において、16c2及び16c21はU字状の溝である。また、内部コネクタ20はコネクタ部20a及び20bに分解されて図示されている。
図7において、図示しない相手側のユニット配線部からの配線11x1を、ユニット配線部15の配管部10内の配線11x2に接続する場合を説明する。コネクタ部20bが結合した状態の配線11x1をU字状の溝16c2及び16c21内に通して、コネクタ部同士20a及び20bを結合する。
このコネクタ部同士20a及び20bの結合後、配管部10の端部10a内に、両端ブッシング部材16のブッシング本体16aを螺子溝10a1にねじ込んだ後に、小ネジ290a及び290bで蓋部材16cを取り付ける。
勿論、U字状の溝16c2及び16c21の代わりに丸孔を採用しても良いが、配線11x1からコネクタ部20bを外してから、ブッシング部材16内に配線11x1を通し、その後に、コネクタ部同士20a及び20bを結合する必要がある。
この図7の場合も、配管部10内の奥に内蔵された図示しない内部コネクタは、図示しない側面ブッシング部材を取り外すことで、配管部10内から外部に取り出すことが出来る。また、コネクタ部20aを配管部10の外側に露出させることも出来る。
また、図7において、配管部10内に、コネクタ部20a及び20bが結合された配線11x1を、図示されない弛み部が形成されるように余分に引き入れる。この後、配線11x1に、配線圧接部材と成るバネ板31及び32をはさんだ状態で、配管部10の端部10aにブッシング部材16を装着し、小ネジ290a及び290bを締める。これにより、配線11x1が配線圧接部材となるバネ板31及び32で固定できる。
このように、第1実施形態のユニット配線部15は、単一のものでなく、規格化された複数種類のパーツとして予め形成されており、ユニット配線部15を配置する位置に応じて最適なものが選択される。そしてユニット配線部15をロボット等により車体に取付けた後、手作業でコネクタを接続して配線ネットワークを完成させる。
また、配管部10の空間内に通される配線11は、配管部10の変形があっても配線が切れないように、配線長に余裕を持たせてある(図4の配線余裕部となる弛み部28及び29を形成している)。
なお、配管部10内の内部コネクタ21及び22は、側面の開口部が設けられていない場合は設ける必要がない。側面の開口部が簡単に開けられる構造、及び材質のパイプを配管部10に使用した場合、設定された長さ毎に、配線11に内部コネクタ21及び22を接続しておくことが望ましい。
このようにしておくと、側面の開口部の側面ブッシング部材18及び19が外された場合に、後付のための後付車載機器を接続する内部コネクタ21及び22を探すことが容易になる。
図4のコネクタ20、21、22、24、26及び27は、車載サーバ側のコネクタ部とクライアント側のコネクタ部とが結合されるようになっている。例えば、図7において配線11x1の先に図示しない車載サーバがあれば、コネクタ部20bが、車載サーバ側のコネクタ部となり、コネクタ部20aが、クライアント側のコネクタ部となる。
そして、車載サーバ側のコネクタ部20bとクライアント側のコネクタ部20aの夫々がID情報部を持っているが、このID情報部には、車載サーバ側のコネクタ部20bとクライアント側のコネクタ部20aとを区別するデータが付与されている。
これにより、車載サーバのコマンドにより、嵌合構成のコネクタ部20a及び20bからのID情報を夫々収集して、嵌合で対(ペア)になり得るコネクタ部同士20a及び20bのID情報を車載サーバ側で確認することが出来る。なお、第1実施形態の説明では、ペアのコネクタ部同士20a及び20bを総称して単にコネクタ20と称し、ペアのID情報を単にコネクタのID情報と呼ぶ。
図8は、例えば、図7に示した配管部10内の、配線11x1及び11x2が接続された3本のコネクタピンを持つコネクタ20の模式構成図である。コネクタ20内には、コネクタ部20a及び20b相互間の通信を遮断する図示しない通信制御部48(図9)が格納されている。
車載サーバ側のコネクタ部20bは、通信制御部48と協力して、ペアになったコネクタ部20aの下流側への通信を遮断する機能を有する。また、コネクタ部同士20a及び20bの通信信号は、電磁誘導を利用して非接触で伝達可能なように構成されている。
図9は、図8のコネクタ部20a及び20bからなるコネクタ20が3本のコネクタピンと、該コネクタピンが嵌合する図示しない3個のピン穴とが結合した状態を模式的に示す構成図である。また、図10は、図9の矢印45方向から見たコネクタ部20b内のプリント板46に形成されたコイル47の状態を模式的に示す左側面図である。
図10において、コイル47は、コネクタ部20b内の通信制御部48によって励磁されて図9の磁束40a及び40bを発生する。図9の49は、ID情報が記憶されたID情報部並びにパワー素子が格納された電気回路である。
なお、電磁結合でコネクタ部同士20a及び20bが結合されているが、静電式結合等の、その他の非接触通信技術を用いても良い。
このコネクタ部20a及び20b間のデータ通信により、下流側のコネクタ部20aの端子破損などで、下流へ電源供給ができない状態を把握する。また、上流側より電源供給する場合、車載サーバ側のコネクタ部20bの状態を、下流側のコネクタ部20aに知らせることができる。
コネクタ部20a及び20bには、表示手段をなすLED75〜78を設けて、電源状況や通信状況を目視できるようにしている。つまり、下流側のコネクタ部20aに電源が送られていない場合、上流側のコネクタ部20bの白色LED75が点灯し、下流側のコネクタ部20aの白色LED77が点灯しないようにして、下流側の電源停止が目で見てわかるようにしている。
なお、コネクタ部20a及び20b同士は、位置合わせをしないと接続できないようになっている。また、コネクタ接続前は、電源供給が自動的に停止されるようになっている。コネクタ部20a及び20b同士が接続されると、機械的ロックがなされる周知の構造となっており、ロックを外さないとコネクタ部20a及び20b同士が分離できないようになっている。
更に、コネクタ部20a及び20bの電極数は固定されているが、配線に使わない予備の電極があってもよい。図8等では円形のコネクタの形状を図示したが、形状はどのような形でも構わない。またコネクタ部20bには、手動操作用のスイッチ手段79(図8)が設けられ、手動での電源線の遮断や、診断用のスイッチ操作が可能になっている。
図11は、図1に示した電気自動車の配線ネットワークを模式的に示す電気系統図である。図11において、電源線と、図示しない計器盤下方に設置された制御手段を成す車載サーバの通信コントローラからの通信線から成る配線11が、図4に示したような配管部10内とコネクタ20等を介して配線される。
図11では、車載サーバとバッテリ1(図1)の集合をバッテリサーバモジュール60として図示している。なお、簡略化のために、図4の配管部10外の外部コネクタ26及び27、図1のルータ3及び4、及び、その他の後付車載機器の集合である各種モジュールは図示を省略している。
図3及び図11から判明するように、配管部10を持つユニット配線部15の敷設構成(配線系統)を車両前面から見て左右対称にしている。また、図11のように、上記配線系統の途中で、例えばルーフ部の補強部(レインフォースメント)において、左右対称の配線11を中継する中継配線(ループ配線)11L1〜11L6等を設けている。この中継配線11L1〜11L6には、中継コネクタ21L1〜21L6が、配管部10(図4と同様)内に設けられている。
中継コネクタ21L1〜21L6を介して、左右対称の配線ネットワークのうち、どちらか片側の配線ネットワークが衝突事故などで断線したとき、車載サーバが、破損していない配線ルートを判定し、電源供給と情報の収集ができるようになっている。
図12は、図11の配線ネットワークを、図11の矢印70方向から見た電気自動車内部の配線ネットワークを模式的に示す電気系統図である。この図12において、ボトムラインL3、及びルーフラインL1の配線が壊れると、車両のリア71に配設した図示しないモジュール内の後部ランプやリア通信車載機器等が動作しなくなる。
このときに、図11のバッテリサーバモジュール60内の車載サーバ内の電源通信コントローラが、配線ネットワーク内のコネクタネットワークを調査し、破損位置を明確にして、上記リア71の後部ランプやリア通信車載機器への配線ラインを検索する。その結果、リアの後部ランプやリア通信車載機器に到達できる上記中継コネクタ21L1から21L6等のいずれかを利用して、電源供給と通信処理を行う。
上記リア71内のモジュール内の各車載機器は、一度断線した停止状態から起動すると、上記車載サーバへ始動信号を送る。この処理によって、停止した車載機器への電源供給が完全に復旧する。
この中継コネクタ21L1ないし21L6の各コネクタ部にもID情報部を有している。そして、この中継コネクタのコネクタ部のID情報部は、中継用のコネクタ部であるのかメイン配線側の非中継用のコネクタ部であるのかのデータを保持している。また、このように、コネクタの種類を層別するID情報を付与すると共に、中継配線や中継コネクタの被覆色を、メイン配線の被覆色と異なるようにしてもよい。
中継配線11L1ないし11L6は、メイン配線が正常に動作している場合は、電源や通信データを中継することは無い。しかし、メイン配線に異常があった場合に、図11の中継配線11L1〜11L6内の中継コネクタ21L1〜21L6をON状態(導通状態)にして、電源供給すべき車載機器に電源と通信データが送られるようにしている。
次に、上記第1実施形態における後付車載機器の取り付け構造について説明する。この後付車載機器の一例は、車両の周辺を監視するための監視用カメラである。図13は、車両の進行方向に直行する断面において、配管部10x1〜10x4の配置と、その近傍に設ける車体の金属部分の窪み空間82x1〜82x4の形状、そして上記窪み空間82x1〜82x4内に配置した後付車載機器83x1〜83x4の状態を示す模式構成図である。
モノコックボディと呼ばれる車体の構造では、車両の屋根部、側面部、及び底部等に補強材(レインフォースメント)で補強を行っている。つまり図13は、車両の断面において、各種配管部10x1〜10x4の配置と、その近傍に設ける車体の金属部分からなる補強材(レインフォースメント)80x1〜80x7、及び骨材の窪みによって形成された窪み空間82x1〜82x4、そして後付車載機器83x1〜83x4を上記窪み空間82x1〜82x4内に配置した例を示している。202はタイヤである。
モノコック車体の屋根部、側面部、及び底部等に補強材(レインフォースメント)80x1〜80x7で補強を行っている。図13では配管部10x1〜10x4と補強材(レインフォースメント)の区別を容易にするために、補強材(レインフォースメント)の断面部分には×印を付している。
以下に、窪み空間82x1〜82x4の窪みカバー84x1〜84x4を取り外した後に、窪みカバー84x1〜84x4に隣接していた窪み空間82x1〜82x4内に車外監視用のカメラアッセンブリから成る後付車載機器83x1〜83x4を取り付ける例を説明する。
図13では、窪みカバー84x1及び84x3は取り付けられたままになっており、後付車載機器83x1と83x3は作動しない状態となっているが、いつでも、窪みカバー84x1、及び84x3を取り外して、後付車載機器83x1と83x3となるカメラアッセンブリを使用することが出来るようになっている。
カメラアッセンブリを収納するための収納空間となる窪み空間82x1及び82x3には、湿度が上がらないように、車体用の窪みカバー84x1及び84x3が設けられている。また、ゴム等を使ったシール材が窪みカバー84x1及び84x3の周囲に形成されて車体に固定されている。使用可能な状態の後付車載機器83x2と83x4となるカメラアッセンブリの窪みカバー84x2及び84x4は取り外してある。
前述のように、図13の車体の骨材や補強材の窪み空間(閉断面空間)82x1〜82x4内等にユニット配線部15(図4)の配管部10x1〜10x4を配置し、ユニット配線部15同士を外部コネクタ26及び27(図4)等で接続し、車体の配線ネットワークが完成する。
上記窪み空間82x1〜82x4のサイズは、設置する後付車載機器83x1〜83x4の大きさの標準サイズを事前に決めておくことで、標準化できる。特に可動部のある後付車載機器83x1〜83x4では、後付車載機器83x1〜83x4の動作によっても後付車載機器83x1〜83x4が上記窪み空間82x1ないし82x4の内面と接触しないように、可動範囲のある後付車載機器形状及び寸法のガイドラインを設けておくとよい。
車体の窪み空間82x1及び82x4が、外からは目立たないように、車体と一体化できる形状の窪みカバー84x1及び84x3を設ける。窪みカバー84x1及び84x3は、車体から脱着出来るように取りつけられる。
後付車載機器83x2と83x4となるカメラアッセンブリが設置されるまで、事前に配線された配線11(図4)は、上記窪み空間82x2及び82x4の近くに存在するユニット配線部15の配管部10内に非導通状態で配置されている。なお、すでに他の後付車載機器が搭載されて電源供給と通信が行われている場合は導通状態になっている。
上記カメラアッセンブリを後付する際、配管部10の側面の側面ブッシング部材18及び19(図4)を外して、配管部10内にある内部コネクタ21、及び22等を取り出す。この取り外した内部コネクタ21及び22を、カメラアッセンブリのコネクタに接続する。
図13の車内に図示しない後付車載機器83x2と83x4を設置する場合、車内用窪みカバーは、車外用の上記窪みカバー84x1及び84x3よりも簡易な構造で製作できる。車内設置用のアタッチメントなど取り付けられるように、標準的な螺子を使用して取り付ける構造やバネを用いてワンタッチで搭載する構造等の周知の構造を採用できる。
図14は、図13の窪み空間82x2内に収納された後付車載機器83x2となるカメラアッセンブリと配管部10x2内の配線との接続構造を示した模式構成図である。図14に示すように、ユーザが、窪みカバー84x2(図13)を外すと、ユニット配線部15の配管部10x2側面と、この側面の一部に設けられた側面ブッシング部材18及び19が見えるようになっている。
この側面ブッシング部材18及び19は、ドライバー等で外すことができる。側面ブッシング部材18及び19を外すと、配管部10x2の中に設置してある配線11と内部コネクタ21及び22が見つかる。
配管部10x2から側面ブッシング部材18及び19を取り外した後の側面の開口部から配線11を引き出す。その後、内部コネクタ21及び22の夫々のコネクタ部を外して分離し、内部コネクタ21及び22を後付車載機器83x2側のコネクタに接続することで後付車載機器83x2の作動が可能になる。
前述のように、内部コネクタ21及び22のそれぞれには、ID情報部が付けられており、後付車載機器83x2となるカメラアッセンブリが接続されると、自動的にカメラアッセンブリに電源が供給され通信が開始される。
なお、カメラアッセンブリを接続した後、導通を開始するためのスイッチ手段105a(図14)を設けてもよい。この場合は、スイッチ手段105aのON操作を検知すると、確認した配線トポロジに基づいて、カメラアッセンブリの設置位置情報、及びカメラの取り付け方向に応じた機能ソフトを、設置されたカメラアッセンブリ内の記憶回路に送信して記憶させる。
カメラアッセンブリを取り付けた後に、カメラ本体の撮影位置が希望位置になるように、カメラアッセンブリの方向を決める。なお、カメラアッセンブリは、カメラが鉛直下方向を撮影するか、上方向を撮影するかを、回転軸の固定位置で変更できるようになっている。
図15は、後付車載機器83x2となるカメラアッセンブリの模式構成図である。また、カメラアッセンブリの上下方向を決定すると、カメラ本体を駆動するカメラアッセンブリ内のモータ100の初期位置が決定される。
モータ100とカメラ本体101との関係において、複数の回転軸102を有する動力伝達機構が正しく動作するように、カメラ本体101の固定位置の調整を行ってからカメラ本体101が固定される。
あるいは、カメラ本体101を収納したメインボックス104と、上記モータ100を保持するサイドボックス105との相対的位置を調整してから、サイドボックス105とメインボックス104の相対的角度を確定しても良い。
図16は、図13の車体天井部の右側に装着された、後付車載機器83x1となるカメラアッセンブリの動きの変化を示す模式構成図である。図13の窪みカバー84x1が除去されたあと。図16の(a)に示す後付車載機器83x1のメインボックス104が、サイドボックス105から起こされるように回動して、図16の(b)のように、カメラ本体が車両側方の道路面を監視するように設定する。
次に、配線ネットワークの配線トポロジの決定方法について述べる。上述したように、図11及び図12に示すような配線が行われている。つまり、図11のようにメインラインとして、左右一対のルーフラインL1及びL2と、左右一対のボトムラインL3及びL4の4つがあるものとする。
図11の中継コネクタ21L1〜21L6等は、配線トポロジ決定前では、非導通状態に設定される。これは、図11のバッテリサーバモジュール60内の車載サーバが、予めID情報と取り付け位置が判明している中継コネクタ21L1〜21L6等にコマンドを送り、この中継コネクタ21L1〜21L6等の非導通状態を指定できるようになっているからである。
つまり、車載サーバは、中継コネクタ21L1〜21L6等を非導通状態に設定し、全ての中継コネクタ21L1〜21L6等のID情報を確認している。なお、図11及び図12に記載したように、コネクタを配線コネクタと呼称し、丸の中の数字1´から12´を付与して配線コネクタ1´等と呼ぶことにする。
また、中継コネクタも、丸の中のA´〜F´でも呼ぶことにする。図17は、図11のルーフラインL1に接続された配線コネクタと配線の配線トポロジを決定するためのフローチャートである。
(ステップS1)
先ず、図17のステップS1において、ID情報のリストを作成する。このために指定されたメインライン(例えば図11のルーフラインL1)の全ての配線コネクタ1´〜12´にID情報を出力して車載サーバに返すように命令を出す。車載サーバは、指定の時間内に配線コネクタのID情報を受信して、該ID情報を記憶する。
車載サーバは、ID情報を返信してきた配線コネクタのうちの任意の一つに対し、今後応答を返さないように個別指示をして、再度、全配線コネクタにID情報を返すよう命令を出す。
車載サーバは、指定の時間内に帰ってきた配線コネクタのID情報を受信して、確定し記憶する。次に、再度の命令でID情報を返してきた配線コネクタのうちの別の任意の一つに対し、今後応答を返さないように個別指示をして、再び全配線コネクタにID情報を返すよう命令を出す。
このような処理を繰り消し行い、指定されたメインラインであるルーフラインL1の配線コネクタのID情報を全て集めて確定する。これにより、ルーフラインL1内の全配線コネクタ1´〜12´のID情報が確定する。この全てのID情報の数をNc個とする。
なお、この処理は、単に全配線コネクタにID情報を返信させて、返信されてきたID情報のうち確認されたものだけを登録し確定する方法に比べると、通信エラーがあっても、より確実に全部のID情報を登録できるという利点を有する。
次に、上記確定された全配線コネクタの数Ncを記憶する。このとき、配線コネクタのID情報は、車載サーバに近いほうから並ぶのでなくて、ランダムに並んでいる。
(ステップS2)
次に、ステップS2において、車載サーバは、このランダムに並んだ任意の配線コネクタのID情報を指定する。次に、車載サーバは、指定したID情報に係る配線コネクタの下流側への通信を止めるようにコマンドを出す。
その後、車載サーバは、全部の配線コネクタにID情報を返すように指示する。これを登録されている全ID情報に対して行う。そして、いくつのID情報の応答があるか、応答数を調べる。
このとき当然、指定した配線コネクタの下流側への通信を止めていたので、下流側の配線コネクタからはID情報の返信がなく、自身の配線コネクタと上流側の配線コネクタからしか応答がない。
その結果、応答数の少ない配線コネクタが、車載サーバの近くに有るとして、ID情報のリストを並べ替える。図11では車載サーバに近いところ程、応答数が少ないが、応答数は下流側に行くに従って1つずつ連続的に増加する。
(ステップS3)
次に、図17のステップS3において、分岐点の有無を判定する。分岐点があると応答数は不連続になるので、この不連続の有無を把握して配線の分岐の有無を判定する。分岐が無ければ、ステップS9において、応答数の少ない順に並んだ配線トポロジが確定し記録される。
例えば、図11の配線コネクタ1´の応答数は下流側に配線コネクタが無いので応答数は1であり最も車載サーバに近いとわかる。また、配線コネクタ5´の応答数は5個に成る。
中継コネクタ21L1〜21L6(図11)は、中継コネクタであることを示すID情報(予め車載サーバが当該ID情報と搭載位置とを把握している)を返信してくる。更に、配線コネクタ8´は8つのID情報を返信するが、配線コネクタ9´は11個のID情報を返信してくる。また、配線コネクタ11´も11個のID情報を返信してくるので、応答数は8から10のように不連続となり、分岐の存在が判明する。
(ステップS4)
次に分岐の有無によって、ステップS5またはステップS9に進む。
(ステップS5)
次に、配線の分岐がある場合は、図17のステップS5に進み、応答数が、上記Nc個(全てのID情報の数)の配線コネクタを末端の配線コネクタとする。そして、末端の配線コネクタの数より分岐数を決定する。
上記図11の場合は、配線コネクタ10´の応答数と配線コネクタ12´の応答数は、共に12個で上述のNc個と一致する。よって、配線コネクタ10´と配線コネクタ12´とが、末端の配線コネクタであることが判明し、分岐数は2であることが判明する。
(ステップS6)
次に、ステップS6において、応答数の不連続が生じた配線コネクタ9´及び配線コネクタ11´の下流への通信停止コマンドを出す。それと共に、全配線コネクタに応答を返すコマンドを出す。
(ステップS7)
次に、ステップS7において、応答のあったID情報と、その応答数を記録する。これにより、配線コネクタ8´の次に配線コネクタ9´と配線コネクタ11´とが分岐していること、及び分岐点までに配線コネクタ1´から配線コネクタ8´が存在することが判明する。つまり、分岐点と分岐点までの配線コネクタが確定する。
(ステップS8)
次に、ステップS6における不連続が生じた配線コネクタ下流への通信停止コマンドの影響で応答が無かった配線コネクタのID情報を記録する。この場合は、図11の配線コネクタ10´と配線コネクタ12´とが、応答が無かった配線コネクタのID情報である。これにより、分岐の枝の構成が確定する。
(ステップS9)
確定した配線トポロジを記録または更新する。このような手順で、一つのメインラインの配線コネクタのID情報と中継コネクタA´〜F´(図11)の配置が決定される。なお、中継コネクタA´〜F´であるか否かは、ID情報が特殊であるので判明するようにされている。
また、車載サーバは、その中継コネクタA´〜F´がどこに存在するか、位置が予め判明している。よって、その中継コネクタA´〜F´の位置をもとにして、各配線コネクタ1´〜12´がどこに配設されているか把握することが出来る。かくして、図11のルーフラインL1内の配線トポロジを決定して車載サーバ内のメモリに記録する。
次に、他のメインラインL2、L3、及びL4でも、同等の処理が行われる。以上のような手順で全配線トポロジが決定できる。配線トポロジが決定されると車載サーバがその情報を記録する。
それ以降、ユーザなどにより、配線コネクタが外されると、配線コネクタを外す操作により車載サーバに、外された配線コネクタのID情報が送信される。つまり、配線コネクタは、図8及び図9のように、ペアになったコネクタ部同士20a及び20bが外されたことを検知すると、それをトリガとして、車載サーバに、どの配線コネクタが外されたというID情報が送られるようになっている。
その結果、車載サーバは、どの配線コネクタがユーザに外されたかを記憶する。車載サーバは、取り外された配線コネクタに応答を返し、その配線コネクタへの通信と電源供給を停止する。ユーザ等により配線コネクタに上述の後付車載機器が接続され、電源供給依頼があると、車載サーバは当該配線コネクタに電源供給を開始する。
また、車載サーバは、接続された後付車載機器の配線コネクタのID情報、及び後付車載機器本体のID情報を受信し、ユーザに取り外された配線コネクタに、どのような後付車載機器が接続されたかを記録する。この後付車載機器には型番、メーカ、機能、通信仕様、及び主要コマンドセットが記録されており、車載サーバに、これらの後付車載機器情報が送信される。
また、新たに配線コネクタに何かが接続された場合、車載サーバに、どのID情報を持つ配線コネクタに後付車載機器が接続されたかという情報が送られる。そのとき配線された配線コネクタのID情報と共に後付車載機器のID情報が車載サーバに送られる。そして、後付車載機器の配線コネクタにもID情報が付与される。
後付車載機器は、後付車載機器の接続後に、車両サーバと通信をする際、車載サーバまで、どのような通信経路があるかを把握できるようになっている。なお、上記配線コネクタは一対の配線コネクタ部が各々ID情報を送信するが、車載サーバは、どの配線コネクタ部からのID情報同士がペアになっているのかをID情報の内容を見れば判明するようになっており、配線コネクタ部からのID情報同士を1つの配線コネクタのID情報として取り扱うことが可能になっている。
以上のように、各配線コネクタは、以下の制御機能を持っている。
(1)車載サーバからのコマンドを受信する。
(2)車載サーバにID情報を返す
(3)隣接の接続された配線コネクタ部のID情報を読み、車載サーバに送信する。
(4)下流側への電源及び通信情報の供給を停止する。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以降の各実施形態においては、上述した第1実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成および特徴について説明する。図18は、配線とコネクタとブッシング部材との第2実施形態を示す模式構成図である。
この図18では、配線11を収納する配管部10y1、及び10y2が省略して図示されている、全ての配線11に配管部10y1及び10y2が無くても良い。配管部10y1及び10y2に保護されない配線11の部分は、車体の骨材や補強材(レインフォースメント)の内部に保護されることが好ましい。
図18では、車載サーバ側(上流側)から見て、弛み部28y1、コネクタ24y1、ブッシング部材17y1、外部コネクタ26、弛み部28y2、ブッシング部材16、内部コネクタ20、及び弛み部28という順序で配列されている。
配線余裕部となる弛み部28y2を、配管部10y1及び10y2の外に設けている。少々の車体の変形があっても、配線の変形を弛み部28y1、28y2、及び28にて回避し、断線しにくいようにしてある。
図19は、第2実施形態における3方分岐部分の構成を示す模式構成図である。分岐用の外部コネクタ26y4には、配線11y3の外部コネクタ26y3が接続されている。車載サーバ側(上流側)から見て、弛み部28y3、ブッシング部材16y3、内部コネクタ20y3、及び弛み部28y4という順序で配管部10y3内に、各部分が配列されている。
図20は、第2実施形態における3方分岐部分の別の部分の構成を示す模式構成図である。図19と異なり分岐部分が露出せず、T字型の分岐配管部10y4が設けられている。この分岐配管部10y4には、配管部10y1、10y2、及び10y3が圧入結合されている。
この図20の構成は、分岐部分が露出しないので、分岐部分の強度を強くしたい場合や防水性を高めたい部分に適している。また、分岐用の外部コネクタ26y4を設けて、分岐の有無が判明するようにしている。この分岐用の外部コネクタ26y4は、他の分岐用ではないコネクタと色を変えても良い。
図21は、第2実施形態における外部コネクタ26y3(図20)の模式配線図である。この外部コネクタ26y3は、商用電源100ボルトの端子110、及び111と、車載電源24ボルトの端子112及び113と、通信用端子114及び115とを有している。
車両が車庫で停止しているときに、車庫内の商用電源が、車室内に配電されているので、商用電源を用いる充電器、掃除機、及び音響機器等に交流の商用電源が使用できる。また車載電源のマイナス側もボディアースでなくコネクタにて配電されている点が第1実施形態と異なる。
図22及び図23は、配管部10y5の側面の開口部120の模式的構成図である。側面の開口部120には、側面ブッシング部材19y1及び19y2が設置できるようになっている。側面ブッシング部材19y1及び19y2の配管部10y5内部への突出量は、後々の配線増設時に配線の邪魔にならないように小さくされている。
図22のように側面ブッシング部材19y1内に電気部品を収納する等により構造上突出量が小さくできない場合は、側面ブッシング部材19y1に面取り19y1aを施して、追加配線時、配線の邪魔をしないようにしている。図23では、側面ブッシング部材19y2の突出量がゼロにされている。
図24は、配管部10が、車体の補強部(レインフォースメント)130の窪み空間82x1内に固定されている状態を示す模式構成図である。配管部10は第1実施形態のように固定用のサドルやバンドでネジ締めしてもよいが、この図24では、配管部10が接着部(または溶接部)131により、車体に固着されている。
図25は、第2実施形態において配線トポロジの決定を示す模式構成図である。この場合、分岐点は2箇所形成されている。つまり該当する配線コネクタの下流側の通信を遮断してID情報の応答数を調べたときに応答数が跳ぶ(スキップする)箇所が2箇所存在する。
また、全個数分の12個応答のあった配線コネクタ5´、9´、及び12´が末端の配線コネクタであり、配線コネクタ5´がそのID情報から中継コネクタであることを示している。
図26の(a)〜(d)は、第2実施形態において、配管部10または配線11を車体の閉空間内に取り付けた構成例を示す断面模式図である。この図26において、曲げで完全な閉断面を作るのは容易ではないため、擬似的な閉空間を作るために、シール材140、140x1及び140x2によるシール加工が行われる。
シール材140、140x1及び140x2は、耐環境性のある樹脂でも良いし、通常のろうづけまたは溶接を用いてもよい。また、車体の窪みに雨水が進入しないように、一部の窪みカバー84の上に、雨水を流すレインガイド142を設けるようにしている。
図26の(a)、及び(c)は、窪み空間82内に、ユニット配線部15の配管部10を収納し、配管部10を接着剤による接着部又は溶接部131で車体の補強材130に固着し、配管部10内に配線11を収納している。一方、図25の(b)、及び(d)は、管状の補強材130aによって形成された車体の窪み閉空間144内に、配線11を直接収納している。
車体の窪み空間82に、水分やほこりが入らないように、窪みカバー84が設けられている。窪みカバー84の外周に、シール材140が設けられ、窪みカバー84内部に水分が進入するのを防止している。また、車体から窪みカバー84の脱着が比較的容易に行える固定構造になっている。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、この第3実施形態において、先の実施形態と同じ図面のときは先の実施形態の図面を援用する。上述したように、第1実施形態では、図14において、側面ブッシング部材18及び19を外して配線11を引き出し、内部コネクタ21及び22を外して分離し、内部コネクタ21及び22を後付車載機器83x2側の配線コネクタに接続することで後付車載機器83x2の作動を可能とした。
また、内部コネクタ21及び22のそれぞれには、ID情報部が付けられており、後付車載機器83x2となるカメラアッセンブリが接続されると、自動的にカメラアッセンブリに電源が供給され通信が開始された。
また、配線ネットワークの配線トポロジの決定方法について、図11及び図12、図17並びに図25を用いて説明した。そして、配線トポロジが決定されると車載サーバがその情報を記録し、それ以降、ユーザなどにより、配線コネクタが外されると、配線コネクタを外す操作により車載サーバに、外された配線コネクタのID情報が送信される点について述べた。
つまり、配線コネクタは、ペアになった配線コネクタ部同士が外されたことを検知すると、それをトリガとして、車載サーバに、どの配線コネクタが外されたというID情報が送られるようになっていた。
その結果、車載サーバは、どの配線コネクタがユーザに外されたかを記憶した。車載サーバは、取り外された配線コネクタに応答を返し、その配線コネクタへの通信と電源供給を停止した。ユーザ等により配線コネクタに上述の後付車載機器が接続され、電源供給依頼があると、車載サーバは配線コネクタに電源供給を開始した。
また、車載サーバは、接続された後付車載機器の配線コネクタ、あるいは後付車載機器本体のID情報を受信し、ユーザに取り外された配線コネクタに、どのような後付車載機器が接続されたかを記録した。
また、新たに配線コネクタに何かが接続された場合、車載サーバに、どのID情報を持つ配線コネクタに後付車載機器が接続されたかという情報が送られ、そのとき配線された配線コネクタのID情報、及び後付車載機器のID情報が車載サーバに送られた。そして、後付車載機器の配線コネクタにもID情報が付与される点について述べた。
次に、図25を用いて、配線トポロジの決定を示す模式構成図として、分岐点が2箇所形成されている例について述べた。つまり該当する配線コネクタの下流側の通信を遮断してID情報の応答数を調べたときに応答数が跳ぶ(スキップする)箇所が2箇所存在することについて述べた。
また、全個数分の12個応答のあった本発明の第2実施形態を示す配線コネクタ5´、9´、及び12´が末端のコネクタであり、配線コネクタ5´がそのID情報から中継コネクタであることを示している点について述べた。
以下、本発明の第3実施形態を、上述した実施形態と一部重複さして説明する。この第3実施形態は、車外、車室内の複数の後付機器(例えば、周辺監視用カメラ、車車間通信機、ワイヤレス通信を利用したセンサ等)を、ユーザ等が取り付けたい場所に付けられるようにしたものである。
そのために、車両の配線構造として、事前に配線コネクタを使用した配線ネットワークを設置している。この配線ネットワークは、配線を切り離したり連結して新たに配線を追加したり車載機器を追加できるものであればよく、必ずしも図2に示したような硬質の配管部10を使用したユニット配線部でなくても良い。
また、全ての配線部分に配線コネクタを使用して後付し易くされている必要も無い。周知のターミナルやジャンクションボックスを利用したり、配線の弛みを利用したりして、新たな配線や機器の取り付けが可能な配線部分があっても良い。しかし、全ての亘り、配線コネクタを利用して、新たな配線や機器の取り付けが容易とされることが好ましい。
つまり、軟質のフレキシブルな配管部を使用したり、配管部が無いケーブルと配線コネクタとを連結したりしたものでも良い。しかし、以下の説明では、上記実施形態と同じ配線ネットワークを使用するものとして説明する。
そして、配線のトポロジを自動的に把握できるように、配線コネクタにID情報を付与し、かつ配線コネクタに制御回路を設けておく。第3実施形態は、上記配線コネクタを使用して、カメラを取り付けた場所に応じて、そのカメラに適したデバイスドライバー、通信及びデータ処理などのソフトウェアが自動的に設定できる制御システムに関するものである。
後付機器となるカメラの設置位置に応じて、それぞれのカメラの機能が異なるため、それぞれを違った条件で動作させる必要がある。例えば(1)後方を見るカメラであれば、車両の後方の斜め下側を明るい画像で撮影する必要がある。
一方、(2)前方の信号や標識を見たい場合は、車両の斜め上方の明るい空の中や建物と重なる中にある画像を撮影する必要がある。上記(1)と(2)の場合では、撮影する対象が異なるため、画像の明るさ、コントラストの調整を異なる設定にする必要がある。(2)の場合は、逆光に対応した明るさの調整や、拡大縮小(ズーム)、平行移動(パン)などの処理が必要になる。
また、(3)車体の側方の死角を見る場合、(4)車両の前方の左右の道路を見る場合なども、状況に応じた撮影条件の設定や、画像処理条件(撮影パラメータ)の設定が必要になる。
このために、カメラの設置位置に応じた撮影パラメータを、それぞれのカメラに設定することができるとよい。従来のカメラは、設置位置がどのような場合でも対応できるように、個々のカメラに各種の条件のデータを全て記憶していたが、複数のカメラに色々な状況に対応した撮影条件を全て記憶すると、ソフトウェアが大きくなり、その結果、記憶媒体の容量が大きくなる。その結果、カメラシステムが高価になるという問題がある。
そのため、この第3実施形態では、車両購入後、車体の外(あるいは車内)に、後付するカメラや通信機器を車両に接続すると、その設置位置を自動的に判定して、設置位置に応じて必要になるソフトウェアや撮影パラメータを限定して、外部より設定できるようにして、記憶媒体の容量を小さくできるようにしたものである。
なお、後付ではなく、車両製造メーカにおける車載器のライン装着時においても、このシステムを利用することができる。また、構築物搭載機器としては、カメラ以外の機器もあり得る。また、構築物は自動車に限らないが、この第3実施形態では、特にカメラを自動車に取り付ける、しかも後付する場合を例示している。
ユーザがカメラを設置する位置の自由度を提供する車体の配線構造(事前配線埋め込み型車体構造)については、先の実施形態と同様のもので良い。構築物搭載機器(カメラあるいは通信機、補助照明など)設置時に、その設置位置を自動で(あるいはユーザの手動選択や手動入力に従って)、車載サーバが自動認識し(あるいは、ユーザが車載サーバに伝達しても良い)、設置位置に応じたソフトウェアを設置機器に提供する。
ここで、車載サーバは、車両の配線がどのようになっているかを事前に把握している。つまり、車載サーバが自動で、配線トポロジを把握できる仕組みを持っている。よって、車載サーバから情報(機器のファームウェアや制御用ソフトウェア)を後付機器に通信で送信する。この通信方式は、従来の通信線を使った有線通信でも良いし、電源線を通信線として用いる電源線通信でも良いし、ブルートゥース、無線LANなどの無線通信でも良いし、これらを混在させてもよい。
以下においては、車体に後付でカメラを設置する構造(後付電子ミラーと呼ぶ)について記述する。予め、車両に、後付機器を取り付けるための事前配線を行っておく。事前配線は、配線コネクタで接続された多数の配線が用いられる。
先の実施形態で述べたように、自動的に配線トポロジ(車両のどの位置にどのような配線がされているかという配線位置構成)が把握できるようになっている。また、それ以外の方法で車載ネットワークを形成し、ネットワークの位置関係(トポロジ)が把握できるような仕組みであっても良い。
つまり、予めどの位置に、どのような配線を行なったかが把握できるようになっている、あるいは、配線上に取り付けた機器の位置がわかるようにした車載ネットワークがあれば良い。
この第3実施形態では、配線コネクタにID素子を取り付け、車載サーバが、そのID素子の読み取りを行って、自動的に配線構成を構築できる電源・通信配線システムになっている。
これにより、配線コネクタのID情報のネットワークと、その空間配置の情報とを車載サーバが把握できる。この空間配置の情報は、配線コネクタの位置情報を使って、車載サーバにおいて、後付機器の取り付け位置を認識し、位置に応じた情報を後付機器に送るために利用される。
配線コネクタには、車載サーバとの通信機能があり、車載サーバ側(上流)に位置するか、クライアント側(下流)に位置するかを分類するデータが付加されている。車載サーバは、目的の配線コネクタに応答依頼コマンドを出力し、配線コネクタの応答を受け取って、配線構成を調査できる。
また、配線コネクタの嵌めあい構成を対(ペア)でグルーピングして記憶する機能を持つ。これを使って、配線コネクタのペアのセットが変更されたとき、及び配線コネクタに配線以外のものが接続されたことを検知する。
この実施形態では、車載サーバが、配線以外のものが配線内に接続されたと検知すると、接続された機器との通信を行って、接続された機器の接続位置、機器の種類等を認識する。
そして、その機器の接続位置によって処理が異なるソフトウェアが必要か否かを判断し、必要であれば、そのソフトウェアが車両に存在するかどうかを車載サーバが調査する。調査の結果、接続された機器用の、接続位置によって処理が異なるソフトウェアが存在する場合は、接続された機器の接続位置に基づいて、必要なソフトウェアを設定し、接続された機器の記憶媒体にデータを書き込む。また、車載サーバが接続機器を制御するためのデバイスドライバーを設定する。
接続機器にファームウェアの変更などが必要な場合、接続機器のファームウェアを書き換える。車載サーバに接続された機器のソフトウェアが車載サーバー(車両)に記憶されていない場合は、車載サーバは無線通信などで、ソフトウェアをダウンロードできる車外のサーバ等に接続して、必要なソフトウェアをダウンロードする。そしてカメラの取り付け位置に応じた動作が行えるようにソフトウェアを設定する。
また、他の車両に搭載してあるソフトウェアを無線で受領して車載サーバが記憶し、それを自車の後付機器にインストールするようにしてもよい。車載サーバ側の配線コネクタは、ペアになったコネクタ部の上流側(車載サーバ側)のみの通信を許可する手段を有する。
車載サーバは、通信開始を設定したID情報を持つ配線コネクタの情報を受信する。そしてこの受信した配線コネクタより上流側(車載サーバに近い側)の配線コネクタのID情報(コネクタID)を集める。そして、通信開始を設定したID情報の変更を行う。コネクタIDの数の違いに基づいて、先に述べた実施形態のように、配線トポロジを決定する。
先に述べたように、中継配線とメイン配線とをコネクタの特性データ(メイン配線か、中継配線か識別できるコネクタに付けられた配線層別データ)で区別する。嵌め合わせたコネクタ部のID情報が、他方のコネクタ部から無線で取得できる。
他方のコネクタ部までの距離が、設定範囲内であれば、コネクタ部が電源に接続されていなくても、つまりコネクタとして結合されていなくても、相手のコネクタ部に無線により通信用電源を供給して通信可能なようにパッシブタイプの無線IDタグを使い、相手の状況(破損度合い等)を認識できる。
ここで、パッシブタイプの無線IDタグとは、自ら電池のような電源を持っておらず、送信側からの電波から、作動電源エネルギーを作り出し、送信側に応答する周知のものである。
そして、上記相手の状況から、破損度合いを調べ、相手のコネクタ部の制御が行える状況であれば、設定距離範囲にある別の通信可能なコネクタ部を使って、無線で他のコネクタ部の遠隔制御が行える。
ここで、各コネクタ部にIDチップを取り付け、車載LANでID情報を読み出す技術は、公知の技術を使用できる。また、配線トポロジを調査する技術は、先の実施形態の技術を使用できる。
自動車の場合、広い視野を得るためにはカメラを設定する場所として、車体の前方と後方では、凸部のある部位にカメラを設置する可能性が高くなる。たとえば、車両の前方では前照灯の上部付近や、ウインドシールドの上部、車両の後方では、車体の屋根付近、あるいはリアランプの周辺である。
これについては先の実施形態で、図1を用いて説明したとおりである。なお、バンパーにカメラを埋め込むような構造でもよいが、車両が障害物に衝突した時、カメラが破損する可能性が大きくなる。
いずれの位置にしろ、カメラを取り付けるとカメラへの電源供給とカメラが撮影した画像を表示機まで送る必要がある。また、運転支援に使うためには、画像の転送速度が遅いと危険であるため、高速な画像伝送が望まれる。
次に、カメラ搭載位置までの電源通信線について述べる。カメラへの電源供給と画像情報を、運転者の表示機に送るための信号線が、カメラ搭載候補位置まで配線されていると、カメラ等の後付が便利である。また、カメラの配線のためにワイヤハーネスを加工したり半田付けしたりすることは作業が煩雑になるため、できれば配線コネクタの抜き差しで配線を行いたい。
これらのニーズを考慮して、車両のこれまで利用されなかった空間に配線コネクタを使った配線を行うことを先の実施形態で述べた。この第3実施形態では、配線はどのような形態でもよいが、先の実施形態のものを使用することにして、以下に記述する。
先に述べた図11の実施形態において、車載サーバとバッテリ1(図1)の集合をバッテリサーバモジュール60として図示している。電源及び通信コントローラは、車両前方のボンネット内のバッテリサーバモジュール60内における車載サーバの一構成部分として存在する。この電源及び通信コントローラを基点として配線が行われる場合を説明する。
配線コネクタには、配線コネクタの動作を制御するコネクタ制御器(これには記憶手段も含まれる)がある。コネクタ制御器は、車載サーバとの通信を行って車載サーバの命令に応じて動作する。車載サーバとの通信が途絶えた場合、結合しているコネクタ部との通信を近接通信回路によって試みる。
また、プラグインハイブリッド車両の商用電源利用や、商用電源線通信などに対応できるように車載サーバが商用電源線経由の情報を処理して、車載ネットワークに情報を送れるようになっている。
また、車載サーバは、配線コネクタの配線の電源供給に、直流を使うか交流を使うかの切替制御を行う。このとき、許容電力以上の電力が車載機器に供給されないように、各配線コネクタに電源供給のON/OFF命令を出力して、動作させたい機器を作動させる。動作させたくない機器には、電源を供給しないように、配線コネクタをON/OFF制御をするスイッチが設けてある。
なお、車載機器に、それぞれ直流、交流を自動検知して、機器に応じた電源に変換する機能があると安全である。しかし、その機能はコスト高になり、重量も増加するので得策とはいえない。車載サーバで電源供給を一括制御したほうが効率的である。
配線コネクタには、コネクタ部を外す操作を検出するスイッチ手段をもつ。このスイッチ手段により、コネクタ部の分離が始まることを車載サーバに知らせる。コネクタ部を外す操作のために使う押さえ部をスイッチとし、スイッチを押した後、車載サーバが電源断処理依頼の有無を判定して、電源断を確定すると、電源断操作が行われる。
配線工程では、図27に示すような配線が行われる。この図27は、第3実施形態における後付車載器が配線ラインに設置される前の車載ネットワークの構成図である。図27において、丸印は通常の配線コネクタである。黒丸印は中継コネクタである。三角印はIPネットワークに対応した車載器用のルータ(単にIP用ルータとも言う)271、272、273、274、275、276である。
ここでIPアドレスとは、TCP/IPネットワークにおいて、パケットの宛先や送信元を特定するために利用される識別子である。車載器がIPアドレスに対応すると、特定条件を満たすデータを目的の機器へ送ることが容易に行なえ、配線ラインのデータが多くなっても調整を行うことができる。また、パケットフィルタリングにより、条件を満たさないデータを通さないようにすることができる。
図27において、メイン配線ラインとして、左右のボトムラインL3、L4が2本と、左右のルーフラインL1、L2が2本の4系統のメイン配線ラインがある例を示している。
4系統のメイン配線ラインは、車載サーバ内のネットワークコントローラ60c(以下車載サーバ60cとも言う)にて配線時に区別しておく。この配線時に、中継配線では、配線コネクタを非導通状態に設定しておく。車載サーバ60cが中継コネクタを指定して、その指定された中継コネクタを導通と非導通状態を指定できるようになっている。
配線トポロジの把握方法のシーケンスについては先の実施形態で説明したので、以下に概要のみ説明する。車載サーバは、中継コネクタを非導通状態に設定し、全ての中継コネクタのID情報を収集する。
メイン配線ラインを切り替えて、中継コネクタのID情報を収集することと、中継コネクタに直接挿入された相手のコネクタ部のID情報を非接触通信で調べることで、各メイン配線ラインの中継コネクタの終端のID情報を把握できる。
次に、車載サーバは、メイン配線ラインのどれかを指定し、その他のメイン配線ラインには情報が送られないようにする。指定されたメイン配線ラインの、すべての配線コネクタにID情報を出力する命令を出す。
車載サーバは、指定の時間内に配線コネクタのID情報を受信して記憶する。車載サーバは、ID情報を返した配線コネクタに対し、今後応答を返さないように指示をして、再度、配線コネクタにID情報を出力する命令を出す。車載サーバは指定の時間内に配線コネクタのID情報を受信して記憶する。このような処理を数回行い、配線コネクタのID情報の応答がなくなったことを確認して、指定されたメイン配線ラインの配線コネクタのID情報をすべて集めることができる。
メイン配線ラインの数だけ、この操作を繰り返すことで、各メイン配線ラインの配線コネクタのID情報をすべて集めることができる。この時点で、どのメイン配線ラインにどのようなコネクタのID情報を持つかが把握できる。
次に、車載サーバから配線コネクタのそれぞれの並び順を把握する処理を行う。まず、複数あるメイン配線ラインのどれかを指定する。指定されたメイン配線ラインの配線コネクタの数を記憶する。図28は、車載サーバがどこにあるかわからないコネクタの接続された順番を把握するための初期の工程を模式的に示す説明図である。
図28の(a)ように、車載サーバから見て、コネクタのID情報(コネクタIDとも言う)は、最初、適当に並んでいる。車載サーバは、配線コネクタを指定して、その隣接(連結されている)配線コネクタのID情報を検知する。
次に、図28の(b)のように、コネクタID1にコネクタID2が結合している場合、コネクタID1からは、コネクタID2が接続されていることが、車載サーバに伝達される。コネクタID2からは、コネクタID1が接続されていることが、車載サーバに伝達される。ここで、車載サーバ側を上流と称し、クライアント側を下流と称している。
次に、車載サーバは、図28の(c)のように、配線コネクタID情報を指定して、それの下流側の通信を止めるように順次設定する。その後、車載サーバは、配線コネクタに対しID情報の応答を返すコマンドを出す。このとき中継コネクタ21L1には応答を返す命令を出す。メイン配線ラインのすべての配線コネクタを指定して同様の処理を行う。
その結果、配線コネクタの下流側の通信を止めた状態で、車載サーバに応答するコネクタID情報の応答数の少ないものが、車載サーバの近くに有るとして、ID情報を並べ替える。配線の分岐が無い場合は、この処理で配線コネクタの順番が決定できる。
一方、配線に分岐があると、分岐状況を確定する必要がある。車載サーバに近いところの応答数が少ないが、下流の通信を止めたときに、どのID情報の応答がなくなるかを見ることで、分岐状態が確定できることについては、先の実施形態で述べたので詳細は省略する。
なお、応答数がジャンプするコネクタIDに着目して、分岐状況を調べる。このような手順で、一つのメイン配線ラインの配線コネクタのID情報と中継コネクタの配置(車載サーバからの順番)が決定される。そして、次のメイン配線ラインでも同等の処理が行われる。
次に、車載サーバは、車体のどの位置に、どの配線コネクタが接続されたかを調査する。そして、一つのメイン配線ラインのコネクタ配置が決定される。車載サーバは、自車の配線ネットワークの配線パターンデータを読み出す。配線パターンデータには、どの位置に中継コネクタがあるか否かが記録されている。
上述した図27は、車両を上から見た時の配線コネクタのネットワークを模式的に表している。車両の前部の車載サーバ内にあるネットワークコントローラ60cから後方へ、車両のボディの輪郭の上部と下部のレインフォースメント構造を利用して、4つのメイン配線L1、L2、L3、L4が構成されている。
この実施形態では、車両のボディの輪郭の上部にあるメイン配線L1とL2を中継する中継配線が設けてあり、配線には中継コネクタ21L1〜21L5(A´〜E´と記した部分)が設けてある。
なお、中継配線はボディの輪郭部の下側(車両底部)に設けても良い。中継コネクタのコネクタIDは、前述のコネクタIDの調査により判明するため、組み付け時に中継コネクタのID情報を調べる必要はない。
車両の中央及び左側における中継コネクタの位置は、ボンネットの上に1箇所(A´)、車両の屋根に3箇所(B´)、(C´)、(D´)、そして、トランクの上端(E´)、そして側面中央(F´)の計6箇所にあることが、車載サーバに記録されている。車載サーバは、車両の3次元の車体の形状データを持っている。
車載サーバは、レインフォースメント部がどの位置にあり、どのレインフォースメント部が中継配線に用いられるかという情報を持っている。具体的に、中継コネクタの位置は、ボンネットの上(A´)、屋根(ルーフ)の前(B´)、中央(C´)、後方(D´)、トランクの上(E´)、前から見て左側面(F´)であることを車載サーバが記憶している。これらの中継コネクタの位置データを使って、それぞれの配線コネクタの概略位置が決定できる。その手順は、以下のようになる。
図27の配線コネクタ2´と3´は、分岐の前後にあり、ボンネットの上の中継コネクタA´をはさんでいることから、車両のピラー付近に位置すると推定される。配線コネクタ4´は、中継コネクタB´の分岐配線と中継コネクタC´の分岐配線の間にあるため、ルーフ上の前部にある。
配線コネクタ5´、6´は、中継コネクタC´の分岐配線と中継コネクタD´の分岐配線の間にあるため、ルーフ上の後方にある。配線コネクタ7´、8´は、中継コネクタD´の分岐配線と中継コネクタE´の分岐配線の間にあるため、後方ピラー付近にあるということがわかる。
配線コネクタの概略位置が確定すると、配線コネクタの位置情報が車載サーバに記録される。このようにすると、配線コネクタのID情報を事前にきめておかなくてもよいので、多数の配線コネクタの管理が、短時間でできる。
また、後付機器の設置があっても、後付機器設置後に、その機器の登録を上記の車体の配線コネクタ位置の情報取得と同じ方法で行えるため、後付機器の車両システムへの登録が容易である。
さらに、配線システムに故障が起こった場合、どの位置で故障がおこったかがすぐに判断できる。また、正常の配線コネクタの近くの配線コネクタが断線した場合、異常の起こった配線コネクタの動作を無線で確認することが可能になる。
特に、カメラや指向性のある通信手段を用いた通信器等の後付機器では、設置位置に応じて処理が変わるため、車載サーバが設置位置をすぐに知ることは、それぞれの方向に応じて動作する制御ソフトを決定する上で都合がよい。また、制御ソフト自体、不要な方向の制御ソフトを削ることができ、ソフトを記録する記憶容量が小さくてすむ。
配線コネクタのトポロジが決定されると、配線コネクタ追加、取り外し、車載機器の追加、取り外しなどが以下の手順で行われる。ユーザが配線コネクタに触れる前に、ユーザは車載サーバに車載器取り付けを行うことを入力する。始動キーをOFFとして、通常の電源供給を停止しておく。このとき、車両の配線には微弱な通信用電源のみを供給する。
まず、監視モードにおいて、所定の操作が行われると、車載サーバのネットワーク監視部が起動し、ネットワークを監視する。操作をする相手に対し、何を行うかを入力するように依頼する。
車載器を後付する場合、「車載器追加」をユーザは選択する。どの位置に車載器を取り付けるかユーザが指定すると、該当する位置のロックがはずされ、車両のボディ取り付け部のカバーが取り外し可能になり、配線コネクタの変更が行える状態になる。
ユーザなどにより、配線コネクタが外されると、コネクタ部を外す操作により外された配線コネクタのID情報が車載サーバに送信される。車載サーバは、どの配線コネクタがユーザに外されたかを記憶する。
車載サーバは取り外された配線コネクタに応答を返し、その配線コネクタへの通信と電源供給を停止する。配線コネクタの電源供給停止がユーザに見えるようにLEDの点灯制御を行う。
ユーザ等により配線コネクタに車載器が接続され、車載器の電源スイッチONなどで、車載サーバに電源供給依頼があると、車載サーバは配線コネクタに電源供給を開始する。これにより配線コネクタを介して、車載サーバに接続情報が送られる。
車載サーバは、車載器のコネクタ、あるいは車載器本体のID情報を受信し、ユーザに取り外された配線コネクタに、どのような車載器が接続されたかを記録する。車載器には型番、メーカ、機能、通信仕様、主要コマンドセットが記録されており、車載サーバにこれらの車載器情報が送信される。なお、主要コマンドセットとは、外部からの情報に応答するという車載器の指定された動作を、外部の命令によって行なわせる信号である。
また、上流側の配線コネクタは、ペアになった配線コネクタが外されたことを検知すると、それをトリガとして車載サーバに、どのID情報の配線コネクタが外されたという情報が送られる。
また、何か別のID情報の機器や配線コネクタが、新たに配線コネクタに接続された場合、車載サーバにどのようなID情報を持つ配線コネクタあるいは車載器が接続されたかという情報が送られ、配線された配線コネクタのID情報、または車載器ID情報が車載サーバに記憶される。
後付機器のコネクタにも同様にID情報が付けられ、ID情報が車載サーバに送信される。外部の機器、あるいは後付機器は、機器の接続後、車載サーバと通信をする際、車載サーバ(あるいはそれに類する制御手段を成す機器)まで、どのような通信経路があるかを把握できるようになっている。
そのため、車両のネットワークとそのネットワークに接続された車載器の管理を行う。具体的には、車両のどの位置にどのような配線がされたかを、配線コネクタのID情報の位置マップとして記憶する。また配線コネクタの配線の変更があれば、配線コネクタのID情報の位置マップを変更後の状態にアップデートする。
配線コネクタが外され、機器に接続されると、配線コネクタがそれまで配線されていた配線コネクタから機器に変更されたことが車載サーバにより記憶される。必要に応じ、補強部の蓋体にID情報をつけて、サーバから蓋体の有無をチェックするようにしてもよい。各配線コネクタは、以下の制御機能を持っている。
(1)サーバコマンド受信
(2)サーバにID情報送信、コマンドに対する応答
(3)隣接の接続された配線コネクタのID情報を読み、隣接コネクタ部のID情報をサーバに送信
(配線の他端に接続された配線コネクタのID情報取得)
(このために近接通信は送信パワー可変であり、数cm離れても通信可能)
(4)特定の配線コネクタの下流・上流に対する電源供給制御、異常時電源供給制御、交流/直流切り替え
(5)通信線下流(異常時は上流方向)への通信停止
(6)車載サーバにステータス情報送信
(7)何もしない
図29は、第3実施形態において、車両の窪みに車外監視用のカメラを取り付けるときのステップを示す工程図である。以下に、図29を用いて、窪みに車外監視用のカメラを取り付ける例を説明する。
1)図29のステップS11において、後付機器の設置受付を行う。このために、ユーザが後付機器を取り付ける際、車載サーバに後付機器の取り付けを行なうことをユーザが入力する。車載サーバは設定時間、後付機器の取り付け開始を監視する。
2)ステップS12において、後付機器取り付け前のコネクタネットワーク構成の確認を行う。このために、後付機器の取り付けの前に車両の配線、つまりコネクタネットワーク構成の状況を読み出し、現在の状況と比較する。なお、このコネクタネットワーク構成確認は普段実施されていれば不要である。そして、コネクタネットワークに不具合がある場合、注意表示を行い、後付機器の設置を中止するように、ユーザに報知する。
3)ステップS13において、後付機器取り付け時の処理を行う。このために、窪みカバーの取り外し、配線の変更といったユーザ操作の有無を監視する。ユーザ操作があると、ユーザ操作がされた配線コネクタの位置を判定し、その配線ラインの電源供給と通信処理を停止する。もし、その配線ラインの先に動作中の別の車載機器があった場合、車載サーバは中断状況を記憶する。中断された処理は、車載サーバにより、後付機器設置後に再開される。
あるいは、配線ラインにルータを設けて、後付機器を設置する配線ラインの周辺の動作のみ停止し、作動が必要な車載器の停止を行なわなくても良いようにしておく。あるいは、車載サーバが、動作中の別の車載機器へ、中継配線を用いて情報を送り、必要な処理を継続する。
例として、図27の配線コネクタ3´と配線コネクタ4´のあたりに後付機器が設置されると、配線コネクタ3´と配線コネクタ4´の作動を停止する。配線コネクタ5´より下流の機器には、右側の配線ラインL2を使い配線ラインL2のルータを経由し、中継コネクタ21L3を作動させ、配線ラインL1のルータを経由して情報を伝達する。
4)図29のステップS14において、後付機器取り付け位置の確認を行う。ユーザが配線を変更し、後付機器の設置を終わって、後付機器への電源供給依頼があると、コネクタネットワークの変更を確認する。後付機器が取り付けられた配線コネクタのID情報と、後付機器のID情報、あるいは後付機器内の配線コネクタのID情報の変更を確認する。
コネクタIDの変更が確認できない場合は、配線コネクタの接続が確実に行なわれているか確認するように、ユーザに報知する。車載サーバは、後付機器が取り付けられた配線コネクタのID情報を知ることで、後付機器の取り付け位置を把握する。
5)ステップS15において、後付機器との通信処理を行う。このために、配線コネクタの接続が確認できると、車載サーバは、設置された後付機器との通信を行い、後付機器がどのメーカのどのような型番の車載機器であるかを確認する。
後付機器の詳細がわかると、該当するソフトウェアを準備する。車載サーバが後付機器のプログラムを持っていない場合は、外部サーバもしくは後付機器のメーカからダウンロードしてソフトウェアを準備する。
6)ステップS16において、後付機器用制御プログラムの設定を行う。車載サーバが、後付機器の設置位置を把握すると、その設置位置に必要なソフトウェアを選択する。車載サーバは、後付機器に必要なソフトウェアを選択し、後付機器の記憶手段にソフトウェアを登録し、後付機器の不要な機能は動作しないように設定する。車載サーバは、後付機器に登録したソフトウェアを車載サーバの記憶手段に記憶する。
7)ステップS17において、後付機器用制御プログラムの動作確認を行う。そのために、車載サーバは、登録したソフトウェアが正常に動作するか確認する。つまり、試験プログラムを使って制御コマンドを後付機器に送り、その応答が正しく帰ってくるかを確認する。後付機器が複数ある場合は、これらの処理を台数分行う。
8)ステップS18において、後付機器用制御プログラムのシステムへの統合を行う。車載サーバは、後付機器のテストが終了すると、その機器を操作するためのHuman Machine Interface(HMI)の設定を行なう。操作機器の配置、表示機の位置、表示サイズ、表示機台数などを考慮し、ユーザが後付機器の操作を行い易いように、操作コマンドをHMIコントローラに割り振る。
ユーザにより、後付機器の操作が選択されたときの操作内容、表示位置、表示サイズなどを車載サーバが設定する。このとき、後付機器の取り付け位置によってユーザに違和感を与えないような表示サイズ等の設定が車載サーバによって行なわれる。
そのために、車載サーバには、標準的なユーザインターフェースが複数記録されており、車両の型式や装備(操作機器の種類)とユーザの特性(体格、視力、腕力)にあわせて設定が行なわれる。これで車載サーバの後付機器の登録と基本設定が完了する。
9)ステップS19において、ユーザのカスタマイズ(後付機器用制御プログラムの微調整)を行う。このために、ユーザによって、操作のし易さや、表示位置の調整、画面サイズの設定が行われる。
ユーザが希望するように設定を変更すると、車載サーバはその設定を記録し、以後、ユーザに応じてその設定を切り替える。ユーザが複数存在する場合、乗車したユーザを認識して、そのユーザの設定が用いられる。
上記の手順をフローチャートで表すと図30のようになる。制御がスタートすると、ステップS21において、センサでユーザが近づいたかどうかを判定する。ユーザの接近を検知すると、ステップS22において、車載サーバを起動する。
ステップS23において、後付機器取り付け依頼がユーザから操作入力されたかどうかを確認し、ユーザが後付機器を取り付ける意思表示があれば、車載サーバはステップS24から処理を開始する。ステップS24では後付機器の取り付け処理が行われたかどうかを調査する。
後付機器の取り付けが検知されると、ステップS25において、後付機器取り付け位置の判定を行う。これは後付のために配線コネクタを外した位置を判定することであり、具体的には、配線コネクタを外した位置の下流の電源断を検知する。
次に、ステップS26において、後付機器の取り付けが完了したかどうかを確認する。取り付けが完了していれば、ステップS27において、後付機器取り付け位置の判定を行う。つまり、配線コネクタを外した位置を判定し、車載サーバは配線トポロジの変化を把握する。
ステップS28において、車載サーバは配線コネクタを外した位置を記録する。次に、図31のステップS29では、後付機器取り付け済み情報を受領したかどうかを判定する。後付機器取り付け済み情報を受領した後にステップS30に進み、後付機器との通信を行い、後付機器を確認して、後付機器情報を車載サーバ内のメモリに記憶する。
ステップS31で後付機器と車載サーバとの通信処理が正常かどうかを確認し、通信が正常に行われると、ステップS32にて、後付機器の仕様と取り付け位置を確認し、確認した後付機器の仕様と取り付け位置を記憶する。
ステップS33において、車載サーバのメモリ内に後付機器のソフトウェアが有るかどうかを判定し、有れば、ステップS34にて必要なソフトを車載サーバと後付機器にインストールする。
その後、ステップS35にて、ユーザが操作を行う操作機器または制御器に、操作用画面を、後付機器の位置に応じて設定する。つまり、後付機器の操作用コマンドを操作機器へ割り付け、後付機器の操作用画面を自動生成する。これにより基本設定を完了する。
なお、ステップS31で後付機器と車載サーバとの通信処理が正常かどうかを確認し、正常でなければ、ステップS36において取り付け機器を確認するようにユーザに報知する。また、ステップS33において、車載サーバに後付機器のソフトウェアが有るかどうかを判定し、無ければ、ステップS37において、取り付け機器用ソフトの収集を行う。
図32は、図27の車載ネットワークにおいて後付機器となる通信機やカメラ等を取り付けた状態を示す車載ネットワークの構成図である。車両前方に道路と車両との間の通信や車両相互間の通信を行う通信機205、206が設けられ、車両のルーフ部にはカメラ212〜215が搭載されている。
また、車両後部のルーフには後方直下監視カメラ216〜219が取り付けられている。また、二重丸で示した220、221は、車両後方のオートバイ等を監視する車両側部後方監視カメラである。また、220、221は、超音波センサ、後方用の通信器(無線通信、LED等の光通信)、あるいは周辺を照明する補助照明器具等であっても良い。また、レーザやマイクロ波を利用した障害物検知レーダであっても良い。
また、ユーザによっては、後方の障害物を確実に検知して、狭い駐車区画に車両を駐車するための超音波を利用した装置、レーザ等の障害物検知用機器を取り付けることも考えられる。更に、後方の車両と、指向性の高い通信手段で通信する場合、後方に車車間通信機器を取り付けても良い。
図示していないが、HMI用の操作画面も、後付機器のソフトウェアをインストールしたとき、後付機器の設置位置において不要な動作が行なえないように、操作の制限などを設けると操作性が向上する。操作反力を操作者に与える公知の操作機器においては、操作できない方向の反力を過大にして、操作が行えないようにする等の設定を行なう。
カメラ搭載候補位置には、カメラを収納するための収納空間(窪み)が設けてある。その収納空間は湿度が上がらないように、窪みカバーとなるボディ用カバーが設けられている。
カメラが設置されるまで、事前配線の信号線は、設置収納空間の近くにあるレインフォースメント(補強部)の空間内に配置されている。他の車載器が、後付機器を設置する配線ラインに搭載されて、電源供給と通信に用いられている場合は、配線ラインが導通状態になっている。そのため、後付機器取り付けの際は、感電事故が起こらないように、後付を行なう位置の配線の電源供給が自動的に停止される。
該当する位置の配線コネクタを外す操作が検知されると、自動的に電源供給が停止される。配線コネクタを外す操作の検知には、配線コネクタのロック解除に使う部位にセンサを設けておく。あるいは、後付機器を後付する際、窪みカバーが取り外された位置を検知して、該当する配線ラインの電源供給を停止するようにしてもよい。
窪みカバーが外されると、レインフォースメント配管の側面にある蓋体を外して、レインフォースメント空間内にある配線コネクタを取り出し、コネクタ部を分離して、カメラアッセンブリの両端に配線コネクタを接続する。
この実施形態では、後付機器(カメラ)のスイッチONを車載サーバが検知すると、後付機器のIPアドレス及び配線トポロジに基づいて後付機器(カメラ)の位置を判定し、機器の取り付け位置に応じて必要な、デバイスドライバーと、設置位置、及び方向に応じた機能ソフトを、車載サーバとカメラに記憶させる。この処理により、車載サーバは、後付機器の取り付け位置に応じた動作を的確におこなうことが可能である。
カメラの撮影画像を、表示機の画面内に表示する際、表示機の画面内での表示位置をカメラの設置位置に応じて設定すると、運転者が撮影画像の位置を判定しやすくなる。例えば、車両の左側側面において、車両の左側の後方に向けてカメラを設置した場合は、そのカメラが作動状態になると、表示機の画面内の左側に自動的に表示できるように、表示コントローラに撮影画像の表示位置を記憶させる。
また、車両の左側の後方に向けてカメラを設置した場合は、ユーザが、後方の見える範囲(視野範囲)を変えたり、電子的に画像を拡大・縮小したりする設定操作を行うため、車載サーバは、カメラ操作を制御する図示しないHMIコントローラに、設定された内容の視野範囲制御コマンド、及び拡大縮小コマンドを記憶するように依頼する。
これらの表示位置や操作に関する設定は、ユーザがカメラを取り付けた後、ユーザ自身でカスタマイズできるようにしてもよい。さらに、設定機能に優先度をつけて設定するようにすると良い。これにより、ユーザが後付カメラを操作したい場合、手元操作などで、画像の視野を変更することが可能になる。
(その他の実施形態)
本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。例えば、一例として、車体のカメラ設置位置の構造(後付電子ミラー)について記述したが、その他の用途の視覚センサや、外部情報を集めるセンサ、マイク、スピーカ、警報装置、サーチライト、コンセント、充電器、外部サーバ及びアンテナ等を後付車載機器としても良い。
構築物として、電気自動車の車体構造を示したが、本発明の構築物は、その他の車両、列車、航空機等の乗り物のほか、実験室や特殊ハウス等の居住空間にも応用できる。これらの構築物は、殻構造の形状に補強材を加えて、強度を保つようにしている。
そして、強度向上対策として、殻構造を構成する骨材や補強材に、管状の強度部材である硬質の配管部(例えば、アルミニウム製の金属パイプ、繊維強化プラスチック(FRP)製のパイプ、及び矩形型またはC字型チャンネル構造体等)を用いることが出来る。そして、配管部の一部に、蓋状の開閉のできるブッシング部材を設けて、構築物の組み立て時に、ユニット配線部を敷設すれば良い。
また、電源線や通信線を後で増設できるように、配線用のガイド線(呼び線)を配管部内に配置しておいても良い。この呼び線に、増設する電源線や通信線の端部を括りつけて、配管部内に必要な配線を導入することが可能である。なお、配管部に最初から配線を通して配線する以外にも、上述の呼び線(配線ガイド線)のみを挿入した予備の配管部が有ってもよい。
車体が分割されている車体構造の場合は、分割車体ごとの配線またはガイド線の接続、及び取り外しが容易にできる構造とすることが望ましい。増設配線が不要な場合、あるいは増設配線が行われた後は、上記呼び線が取り外せる構造にすれば軽量化することができる。
なお、配管内の配線は電線の他に光ケーブルが収納されていても良い。この場合の配線コネクタは光通信用のコネクタが用いられる。また、配線の用途として、車載機器のネットワークの他に、商用電源線を配管部内に配置して、自分の家の駐車場や、公共あるいは私営の駐車場で商用電源と上記商用電源線とを接続して、車内及び車両の外部表面に商用電源のコンセントを設けて、充電や車載用以外の一般家電品を使えるようにしても良い。
また、配管部の一部を、空調用ダクトとして活用して、配管部内に、低温、あるいは高温の空気や高濃度酸素ガスや冷却用液体(ブラインや冷媒)を通して、車室内の温度調整や空気調和を行っても良い。このときに、配管部内の要所にセンサを設けて制御に活用しても良い。
なお、必要に応じ、蓋体を成すブッシング部材にID情報を付与して、車載サーバから、ブッシング部材の蓋体の開閉状態をチェックするようにしてもよい。また、配管部内にセンサを配置して、配管部内の水分、ガス、煙、及び温度を計測できるようにすると、異常高温、水没、結露等の有無を車載サーバが把握でき、配管部内の異常検知が行える。
また、窪みカバーの形状及び寸法、電源線及び通信線の電源仕様、及び通信仕様等を、車両が販売される前にインターネットなどで公開しておくと、後付車載機器のメーカにとって、後付車載機器の開発に都合がよい。
また本発明において、内部コネクタ及び外部コネクタは、少なくとも一対のコネクタ部に分割できるものであって、抜き差しにより(嵌合により)接続と接続解除が出来るものを言い、端子台を介した螺子止めによる接続部や圧着端子により電線相互を接続するジャンクションボックスは上記コネクタ及び配線コネクタに含まれない。しかし、プラグやコンセントは、上記コネクタ及び配線コネクタに含まれる。
また、本発明に言う後付機器とは、車両販売後においてユーザが後付する機器のみでなく、車両製造時において、標準的な車載機器(第1次車載機器)の取り付け、配線ネットワークの構築、制御手段を成す車載サーバの設置及び車載サーバの正常稼動が成された後に取り付けられる第2次車載機器、例えば、オプションとしての車載機器も含まれる。これによれば、オプションとしての車載機器を車両に取り付けた後、車載サーバないし表示機や操作機器の設定が自動的に成される。また、必要な場合は、車両外部サーバ内のメモリからプログラムをインストールすることができる。
また、これらの車載機器は、恒久的に取り付けられる必要は無い。一時的に取り付けられる外部充電器、外部情報提供装置、他車両との相互情報交換装置などであっても良い。これらの一時的に接続される機器に対応した表示、警報、プログラムの設定、配線ネットワークの設定を自動的に行うことができ、異なるメーカの機器でも対応が可能となる等、取り扱い機器の多様化が可能になる。