JP2011054575A - 耐熱合金製インターコネクタを有する固体酸化物形燃料電池及びその運転方法 - Google Patents

耐熱合金製インターコネクタを有する固体酸化物形燃料電池及びその運転方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間にわたり安定して運転できるクロムを含む耐熱合金製のインターコネクタを構成材料とする固体酸化物形燃料電池及びその運転方法を得る。
【解決手段】インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池であって、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込んでなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池及びその運転方法。
【選択図】図9

Description

本発明は、耐熱合金製インターコネクタを有する固体酸化物形燃料電池及びその運転方法に関し、より詳しくは、クロムを含む耐熱合金製インターコネクタを有する固体酸化物形燃料電池を長期間にわたり安定して運転できる固体酸化物形燃料電池及びその運転方法に関する。
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cell)、以下適宜SOFCと略称する〕は、一般的には、作動温度が800〜1000℃程度と高いが、最近では800℃程度以下、すなわち650〜800℃という作動温度のものも開発されつつある。SOFCは、電解質材料を挟んでアノードとカソードが配置され、アノード/電解質/カソードの三層ユニットで構成される。
SOFCは、そのように作動温度が高いことなどにより、(1)電極における電気化学反応が円滑に進行するために、エネルギーロスが少なく発電効率が高い、(2)水素のほか、一酸化炭素(CO)も発電反応に関与させることができるため、燃料を多様化できる、(3)構成材料がすべて固体であるため、取り扱いが容易である、(4)排熱温度が高いので、多段に利用することにより、さらに発電効率を高めることが可能である、などの利点があり、実用化に向けて研究、開発が進められている。
SOFCには平板方式や円筒方式や一体積層方式などがあるが、これらは原理的には同じである。そのうち平板方式のSOFCには、(a)電解質膜自体でその構造を保持する自立膜式SOFCや(b)膜厚の厚いアノードで電解質膜を支持する支持膜式SOFCなどがある。図1(a)〜(b)はそれらの態様例を説明する図である。
図1(a)は自立膜式のSOFCである。セル1は、電解質膜3の下面にアノード2が配置され、電解質膜3の上面にカソード4が配置され、アノード2とカソード4が膜厚の厚い電解質膜3によって支持されて構成される。図1(b)は支持膜式のSOFCである。セル1は、アノード2の上に電解質膜3が配置され、電解質膜3の上にカソード4が配置されて構成される。支持膜式のセルは、電解質膜3の膜厚を例えば10μm程度と薄くでき、650〜850℃という低温で運転できる。このため、その構成材料として耐熱合金、例えばステンレス鋼などの安価な材料の使用を可能とし、また小型化が可能であるなど各種利点を有する。
これらいずれのSOFCにおいても、セル一つでは高い電圧は得られないので、セルとセルをインターコネクタを介して交互に積層してスタック化される。すなわち、平板形SOFCスタックでは、隣接するセルを電気的に接続するのと同時に、カソードとアノードのそれぞれに空気と燃料とを分配し供給し排出する目的で、インターコネクタとセルとが交互に積層される。
図2は、そのようにして構成された単セルを組み込んだSOFCスタックの構成例で、支持膜式セルの場合を示している。図2(b)は支持膜式セルをカソード側から見た斜視図である。図2(a)において、カソードとインターコネクタAとの間に空気が流通し、カソードとインターコネクタAの間は電気的に接触している必要がある。このため、カソードとインターコネクタAの間には、空気流通用の溝を有し且つ導電性のインターコネクタが設けられるが、図示は省略している。当該インターコネクタは、インターコネクタAとは別個に設けてもよく、それと一体に設けてもよい。
図2(a)のとおり、支持膜式SOFCスタックは、上部から下部へ順次インターコネクタA、インターコネクタB、インターコネクタC、セル、インターコネクタDが配置される。このうちインターコネクタCはセルサポートフォイルともいわれる。インターコネクタAの上部、インターコネクタDの下部には集電板等が配置されるが、図示は省略している。インターコネクタA〜Dはステンレス鋼等のクロムを含む耐熱合金で構成される。
なお、図2(a)中、アノードと集電板との間に間隙を置いて示しているが、両者は電気的に接触している必要がある。このため、アノードの下面と集電板を直かに接するようにしてもよく、両者間にニッケルフェルト等を介在させてもよい。アノードは多孔質体であるので、燃料はアノード中やその下面を流通しながら発電に寄与する。
ところで、上記のような低温作動の支持膜式SOFCにおいても、単セル一個の電圧は低いため、通常、単セルを複数層電気的に直列に積層して構成される。単セルをセルサポートフォイル(すなわち図2中インターコネクタC)に接合し、それをマニホールド(図2中インターコネクタB、D)に納まるように配置、接合したものをユニットとし、これを耐熱合金製のインターコネクタを介して次のユニットに接合することによりスタックが形成される。
加えて、SOFCスタックを流通する燃料、空気等の酸化剤ガス、アノードオフガス、カソードオフガスはすべて気体であることからガス封止をするが、その封止性を高めるために各部材間にはシール材を挟み込む必要がある。
図3はその構成例を示す図である。図3では平板形SOFCスタックの各部材について、その配置関係を示すため間隔を置いて示している。セル1を二個、その間にインターコネクタ5を一個、上方のセルの上面及び下方のセルの下面にそれぞれインターコネクタ6(このインターコネクタは枠体でもある)を備えてスタックを構成した場合を示している。インターコネクタ5の下面にはセルに空気を供給するための複数個の溝状のガス流路が形成され、その上面にはセルに燃料を供給するための複数個の溝状のガス流路が形成されている。下部のインターコネクタ6の上面にはセルに燃料を供給するための複数個の溝状のガス流路が形成され、上部のインターコネクタ6の下面にはセルに空気を供給するための複数個の溝状のガス流路が形成されている。これらは、例えば荷重をかけることで積層される。
ところで、そのように用いられるインターコネクタに対しては、下記(1)〜(8)というような数多くの性質が求められる。(1)緻密であってガスを透過、漏洩しない、(2)電子導電性が大きい、(3)イオン導電性が無視できるほど小さい、(4)高温での酸化性、還元性の両雰囲気において材料自身が化学的に安定である、(5)二つの電極など、接触する他の部材との反応や過度な相互拡散が起こらない、(6)他の電池構成材料と熱膨張係数が整合している、(7)雰囲気の変動による寸法変化が小さい、(8)十分な強度を有する。
このように厳しい要求のため、850〜1000℃という高温作動の条件下では、インターコネクタとして使用できる材料が限定される。これらの要求をなるべく多く満たすものとして、最も一般的にはLaCrO3基の酸化物固溶体(ランタンクロマイト)等の導電性セラミックスが用いられる。この材料はLaの一部をCa、Srといったアルカリ土類金属元素で置換するか、さらにCrの一部をMg、Co、Mn、Niなどの3d遷移金属元素で置換することで特性が改善されている。
インターコネクタには、上記のように厳しい要求があるため、その構成材料が限定される。作動温度が中低温(650〜850℃程度)のSOFCの場合にも、これらの要求をなるべく多く満たすものとしてCrを含む耐熱合金が用いられる。マニホールドやインターコネクタ用の材料として、Crを含む耐熱合金を用いることが上記のような性質、性能面に加え、コストの面からも有利である。
ところで、SOFCスタックを起動する場合、通常、開回路状態において昇温するが、その間、アノード側に水素等の還元性のガスを流し、カソード側に空気等の酸化剤ガスを流すことにより行われる。しかし、このような昇温過程を経て、現実にSOFCスタックを運転すると、電圧が低下し、例えば運転時間1000時間で5〜20%もの電池の性能劣化を来すことが分かった。
本発明は、SOFCの起動時における以上のような問題点に鑑み、それらの問題点を解決するためになされたものであり、クロムを含む耐熱合金製のインターコネクタを構成材料とするSOFCを長期間にわたり安定して運転できる固体酸化物形燃料電池及びその運転方法を提供することを目的とするものである。
なお、本願は原出願(特願2004−293800)の分割出願に係る出願であるが、本明細書中、本願に係る発明を“本発明(1)〜(2)”とし、これに関連する原出願に係る発明を“関連発明(a)〜(b)”として記載している。
関連発明(a)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、その起動時に、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、引き続き開回路状態において、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上保持することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の運転方法である。
関連発明(b)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、その起動時に、アノード側に不活性ガスまたは還元性ガスを流し、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、引き続き開回路状態において、アノード側に不活性ガスまたは還元性ガスを流し、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上保持することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の運転方法である。
本発明(1)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池であって、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込んでなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池を提供する。
また、本発明(2)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込んだ固体酸化物形燃料電池を用い、その起動時に、アノード側には還元性ガスを流し、カソード側には酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、閉回路状態に切り替えて発電することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の運転方法を提供する。
関連発明(a)によれば、常法によるSOFCの起動操作時以降、引き続き開回路状態において、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上保持することにより、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転できる。また、関連発明(b)のように、アノード側に不活性ガスまたは還元性ガスを流すとともに、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上保持することにより、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転できる。
そして、本発明(1)〜(2)によれば、固体酸化物形燃料電池のインターコネクタとして、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込むことにより、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転することができる。
関連発明(a)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池の運転方法である。そして、その起動時に、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、引き続き開回路状態において、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上保持することを特徴とする。
関連発明(b)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池の運転方法である。そして、その起動時に、アノード側に不活性ガスまたは還元性ガスを流し、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、引き続き開回路状態において、アノード側に不活性ガスまたは還元性ガスを流し、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上保持することを特徴とする。
本発明(1)は、インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池である。そして、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込んでなることを特徴とする。
また、本発明(2)は、本発明(1)の固体酸化物形燃料電池(SOFC)の運転方法であり、その起動時に、アノード側には還元性ガスを流し、カソード側には酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、閉回路状態に切り替えて発電することを特徴とする。ここで、還元性ガスはSOFCの燃料ガスでもよく、この場合には、昇温後、閉回路状態に切り替えて発電するに際して、その燃料ガスを引き続き流すことができる。
関連発明(a)〜(b)、本発明(1)〜(2)で対象とするSOFCは、インターコネクタとして耐熱性のクロム含有鉄基合金、耐熱性のクロム含有ニッケル基合金、耐熱性のクロム含有コバルト基合金、耐熱性のクロム基合金などのクロムを含む耐熱合金を使用したSOFCである。これらクロムを含む耐熱合金の例としては、例えばフェライト系など各種ステンレス鋼が挙げられるが、それらステンレス鋼に限定されない。
また、関連発明(a)〜(b)、本発明(1)〜(2)は、クロムを含む耐熱合金製インターコネクタを有するSOFC、すなわちインターコネクタとしてそのようなクロムを含む耐熱合金を使用したSOFCであれば、自立膜式、支持膜式、円筒式あるいは一体積層方式などいずれの形式のSOFCにも適用される。
関連発明(a)においては、まずSOFCの起動時に、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、電気的に開回路状態で昇温する。この工程での昇温温度は、SOFCの運転温度あるいはその近辺であるのがよいが、それとは限らず650〜850℃の範囲の温度に昇温することができる。そして、その昇温工程に続き、同じく電気的に開回路状態において、カソード側に酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上、より好ましくは60時間以上保持する。
その保持工程は、関連発明(a)の運転方法において非常に重要な工程であり、これにより、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転することができる。酸化剤ガスとしては空気、酸素富化空気、酸素などが用いられる。
次に、関連発明(b)においては、まずSOFCの起動時に、アノード側には不活性ガスまたは還元性ガスを流し、カソード側には酸化剤ガスを流しながら、電気的に開回路状態で昇温する。この工程でアノード側に還元性ガスを流す場合は、従来法と同様の工程であり、昇温温度は、SOFCの運転温度あるいはその近辺であるのがよいが、それとは限らず650〜850℃の範囲の温度に昇温することができる。
そして、その昇温工程に続き、同じく電気的に開回路状態において、アノード側には不活性ガスまたは還元性ガスを流し、カソード側には酸化剤ガスを流しながら、650〜850℃の範囲の温度域に少なくとも30時間以上、より好ましくは60時間以上保持する。この工程は、関連発明(b)の運転方法において非常に重要な工程であり、これにより、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転することができる。
ここで、上記不活性ガスとしては窒素、アルゴンなどが用いられ、上記還元性ガスとしては水素、水素を含むガスなどが用いられる。水素を含むガスの例としては水素に加え一酸化炭素、メタン等を含むガスが挙げられる。また、上記酸化剤ガスとしては空気、酸素富化空気、酸素などが用いられる。
本発明(1)のSOFCにおいては、そのインターコネクタとして、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込むことで構成される。インターコネクタに対するこの処理は、本発明(1)において非常に重要な工程であり、これにより、SOFCの運転時に、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転することができる。酸化性ガスとしては空気、酸素富化空気、酸素などが用いられる。
また、本発明(2)は、本発明(1)のSOFCの運転方法であり、その起動時に、アノード側には還元性ガスを流し、カソード側には酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、閉回路状態に切り替えて発電する。SOFCとしてクロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持してなるインターコネクタを組み込んだSOFCを用いているので、SOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転することができる。酸化性ガスとしては空気、酸素富化空気、酸素などが用いられる。
本発明において得られるそのような効果、すなわSOFCセルの性能劣化を来すことなく、SOFCを長期間にわたり安定して運転できる効果がどのような機序(からくり)により達成されるのかは正確には明らかでないが、これはおそらく、カソード側では、クロムを含む耐熱合金の表面に酸化剤ガスまたは酸化性ガスによる酸化作用により、その合金成分による複合酸化物からなる皮膜を生成し、この皮膜がクロムの飛散を防止し、クロム被毒に起因する電池性能の劣化を抑制しているものと推認される。また、アノード側に還元性ガスを流す場合には、アノードを十分に還元することによるものと推認される。
以下、実施例を基に本発明をさらに詳しく説明するが、本発明が実施例に限定されないことはもちろんである。図1(b)に示すようなセルを複数個作製するとともに、インターコネクタを作製し、これらを用いて性能試験を実施した。
〈セルの作製〉
アノード〔Ni−YSZサーメット、平面寸法11cm×11cm(121cm2)〕の上面に固体酸化物電解質材料(YSZ系電解質)を配置した。その電解質の上面に(La,Sr)(Co,Fe)O3(SrとFeをドープしたLaCoO3)製のカソードを配置して、図1(b)に示すような平板形SOFCセルを複数個作製した。こうして作製した各セルを以下の性能試験で使用した。
平面寸法11cm×11cm(121cm2)、厚さ約0.8mmのCrを含有する耐熱合金製インターコネクタを複数個構成した。Crを含有する耐熱合金の組成は以下のとおりである。Cr=22(重量%、以下同じ)、Mn=1.00、Si=1.00、Ni=0.50、Zr=0.33、Al=0.50、La=0.04、C=0.10、P=0.03、S=0.03、Fe=バランスからなる合金(750℃における電気抵抗=約23mΩ・cm2)。
こうして複数個のインターコネクタを作製した。図4はそのインターコネクタの斜視図である。これらのインターコネクタを用いて性能試験を行った。
〈性能試験〉
前記〈セルの作製〉で作製したSOFCセルと上記インターコネクタを用いて性能試験を実施した。本性能試験方法は、セル及び各インターコネクタを図5に示すようにセットし、(1)アノード側に還元性ガスとして水素を流し、カソード側に空気を流して、電気的に開回路状態で昇温してセル温度を750℃に上げた後、(2)引き続き電気的に開回路状態で、この温度に1〜300時間の間の所定時間保持した。その後、(3)電気的に閉回路状態に切り替え、電流密度を0.2A/cm2と一定にしてセル電圧を経時的に測定した。
それら(1)〜(3)の過程のうち、電気的に開回路状態で昇温してセル温度を750℃に上げるまでの段階である(1)の過程は従来の起動時と同じである。(1)の過程に引き続き電気的に開回路状態で、この温度に1〜300時間の間の所定時間保持する段階である(2)の過程は、本発明による作用効果が現れ、得られる時間を掴むための過程であり、カソードの空気による“予備酸化時間”に相当している。(2)の過程の後、電気的に閉回路状態に切り替え、電流密度を0.2A/cm2と一定にしてセル電圧を経時的に測定する段階である(3)の過程は発電により電力を得る過程である。
なお、上記(2)の過程により、前述のとおり、カソード側で、耐熱性のクロム含有鉄基合金の表面に、空気による酸化作用により、その合金成分による複合酸化物からなる皮膜を生成し、この皮膜がクロムの飛散を防止し、クロム被毒に起因する電池性能の劣化を抑制しているものと推認されることから、当該(2)の過程を、上記のように空気によるカソードの“予備酸化時間”として説明している。
図6〜9は本性能試験の結果を示す図である。図6〜9中、横軸は時間(h)、縦軸はスタック電圧である。まず、図6のとおり、まず“予備酸化時間”10時間の場合のセル電圧については、発電開始時直後に上下にぶれがあるが、10時間経過時に0.860Vを示し、それ以降漸次低下していき、400時間経過時には0.800V程度となり、1000時間経過時には0.660Vにまで低下している。この時点での性能劣化率は23%であった。
次に、図7のとおり“予備酸化時間”30時間の場合のセル電圧については、発電開始時に0.850Vであり、それ以降100時間経過時まで僅かに高くなり、その時点で0.860Vとなる。それ以降、極僅かずつ低下し、600時間経過時に0.840Vの値を示している。図示は省略しているが、それ以降同じ傾向を示し、1000時間経過時での性能劣化率は4.7%であった。
また、図8のとおり“予備酸化時間”60時間の場合のセル電圧については、発電開始時から僅かずつ漸次高くなり、200時間経過時に0.736Vになり、その後ほぼ同じ電圧を維持し、800時間経過時にも0.735Vを維持している。1000時間経過時にも変化はなく、性能劣化はない。
さらに、図9のとおり“予備酸化時間”280時間の場合のセル電圧については、発電開始時点から僅か数時間で定常電圧0.800Vとなり、その後殆ど変化はなく、600時間経過時にも0.800Vの値を維持している。図示は省略しているが、それ以降、1000時間経過時まで変化はなく、性能劣化はなかった。また、加熱温度を700℃、780℃にして同様に試験した場合にも同様であった。
表1は、以上の〈性能試験〉の結果のほか、他の組成の耐熱性のクロム含有鉄基合金によるインターコネクタを用いた場合を含めて、“予備酸化時間”を1時間、2.5時間、40時間等と変えて実施した性能試験の結果を整理したものである。表1のとおり、“予備酸化時間”が30時間を下回る場合にはセルの性能劣化抑制効果は認められない。それが30時間から50時間程度までは完全ではないが、セル性能劣化抑制効果が現れる。これに対して、50時間程度以上、特に60時間以上であれば、セルの性能劣化を完全に抑制できることを示している。
Figure 2011054575
各種平板型SOFCセルの態様例を説明する図 平板型SOFCセルを組み込んだSOFCスタックの構成例を示す図 平板型SOFCセルをを積層する構成例を示す図 実施例で作製したインターコネクタを示す図 実施例で用いた性能試験装置を示す図 実施例の性能試験の結果を示す図 実施例の性能試験の結果を示す図 実施例の性能試験の結果を示す図 実施例の性能試験の結果を示す図
1 セル
2 アノード
3 電解質膜
4 カソード
A〜D、5、6 インターコネクタ

Claims (9)

  1. インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池であって、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込んでなることを特徴とする固体酸化物形燃料電池。
  2. 前記650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に保持する時間を60時間以上とすることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池。
  3. 前記酸化性ガスが空気であることを特徴とする請求項1または2に記載の固体酸化物形燃料電池。
  4. 前記固体酸化物形燃料電池が、自立膜式の固体酸化物形燃料電池、支持膜式の固体酸化物形燃料電池、円筒式の固体酸化物形燃料電池または一体積層方式の固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池。
  5. インターコネクタとしてクロムを含む耐熱合金を使用した固体酸化物形燃料電池の運転方法であって、クロムを含む耐熱合金からなるインターコネクタを予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に少なくとも30時間以上保持して酸化処理してなるインターコネクタを組み込んだ固体酸化物形燃料電池を用い、その起動時に、アノード側には還元性ガスを流し、カソード側には酸化剤ガスを流しながら、開回路状態で昇温した後、閉回路状態に切り替えて発電することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の運転方法。
  6. 前記予め650〜850℃の範囲の温度の酸化性ガス雰囲気に保持する時間を60時間以上とすることを特徴とする請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池の運転方法。
  7. 前記酸化性ガス及び前記酸化剤ガスが空気であることを特徴とする請求項5または6に記載の固体酸化物形燃料電池の運転方法。
  8. 前記還元性ガスが水素または水素を含むガスであることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の運転方法。
  9. 前記固体酸化物形燃料電池が、自立膜式の固体酸化物形燃料電池、支持膜式の固体酸化物形燃料電池、円筒式の固体酸化物形燃料電池または一体積層方式の固体酸化物形燃料電池であることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の固体酸化物形燃料電池の運転方法。
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