JP4306304B2 - 燃料電池用セパレータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内部に反応用ガスの通路を備えた燃料電池のセパレータに関し、特に複数枚の金属板を接合して構成したセパレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、固体酸化物形燃料電池は第三世代の発電用燃料電池として注目されている。この固体酸化物形燃料電池は、円筒型、モノリス型、及び平板積層型の3種類が提案されており、何れも酸化物イオン伝導体から成る固体電解質を両側から空気極(カソード)と燃料極(アノード)で挟み込んだ積層構造を有する。この積層体から成る発電セルを、間に燃料極集電体と空気極集電体を介在してセパレータと交互に所望の数積層すると所定出力の燃料電池スタックを構成できる。
【0003】
固体酸化物形燃料電池では、反応用のガスとして空気極側に酸化剤ガス(酸素) が、燃料極側に燃料ガス (H2 、CO、CH4 等) が供給される。空気極と燃料極は、ガスが固体電解質との界面に到達することができるよう、何れも多孔質の層とされている。
空気極側に供給された酸素は、空気極層内の気孔を通って固体電解質層との界面近傍に到達し、この部分で空気極から電子を受け取って酸化物イオン(O2-)にイオン化される。この酸化物イオンは、燃料極に向かって固体電解質層内を拡散移動する。燃料極との界面近傍に到達した酸化物イオンは、この部分で、燃料ガスと反応して反応生成物(H2 O、CO2 等)を生じ、燃料極に電子を放出する。この電子を別ルートの外部回路にて起電力として取り出すことができる。
【0004】
ここで、一般的には、前記固体電解質層はイットリアを添加した安定化ジルコニア(YSZ)等で構成され、前記燃料極層はNi、Co等の金属あるいはNi−YSZ、Co−YSZ等のサーメットで構成され、前記空気極層はLaMnO3 、LaCoO3 等で構成され、前記燃料極集電体はNi基合金等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で構成され、前記空気極集電体はAg基合金等のスポンジ状の多孔質焼結金属板で構成され、前記セパレータは、ランタンクロマイト(LaCrO3 )のような電子伝導性を有するセラミックス、或いはステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等の金属材料等で構成されている。
【0005】
一般的に、セラミックス製のセパレータは1000℃前後で作動する高温作動型の燃料電池に用いられ、また、金属製のセパレータは700℃前後で作動する低温作動型の燃料電池に用いられている。特に金属製のセパレータは平板積層型の燃料電池に適している。この金属製のセパレータは、発電セル間を電気接続する機能と、発電セルに反応用のガスを供給する機能を有し、その内部に燃料ガスをセパレータ外周面から導入してセパレータの燃料極層に対向する面から吐出させる燃料ガス通路と、酸化剤ガスをセパレータ外周面から導入してセパレータの酸化剤極層に対向する面から吐出させる酸化剤ガス通路を有している。
【0006】
上記構成の平板積層型の固体酸化物形燃料電池は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−203588号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した燃料ガス通路や酸化剤ガス通路は、金属板の外側部から施されるストレートな孔空け加工により形成するのが一般的な方法であり、形成できるガス通路は何れもセパレータの側部と中心部を直線的に結ぶだけの単純な構造となる。従って、ガス通路の長さは自ずと短いものに限られてくる。
【0009】
それ故、セパレータ内部における燃料ガスの予熱や酸化剤ガス(空気)による燃料電池の冷却効果等を期待して特に長いガス通路を形成したい場合は、特許文献1にも見られるような、各ガス通路を金属板の広範囲に亘って蛇行させる通路構造が採られる。この場合は、外部からセパレータ内部へ施されるストレートな孔空け加工と、セパレータ外側部の溝加工とを組み合わせた構造となり、最終的にこの溝の開口部分をセパレータの側部から側板等の部材で封止することにより、蛇行する一連のガス通路を形成できる。
【0010】
ところが、このような孔空け加工や溝加工によるガス通路の構造は以下のような問題を有していた。
すなわち、セパレータの側部より水平方向の孔空け加工を施すには、電池出力にもよるが、必要なガス流量を確保し得る孔径(例えば、2.5〜3φ程度のガス通路)が加工可能な板厚5〜10mm程度の金属板単板を用いる必要があった。しかしながら、セパレータ材にこのような厚肉の金属単板を用いると単セル自体の重量が重くなり、これを多数積層して構成する燃料電池スタックでは、下方に配置される単セルが上層の重圧によって変形・破損し易いといった問題があり、よって、燃料電池スタックの支持機構もその重量に耐え得る強硬なものが要求されるため、構造的に複雑化してくる。また、セパレータが厚ければ、それだけ燃料電池は大型化する。
【0011】
また、セパレータ内部に蛇行したガス通路を有する特許文献1の構成では、溝の開口部を封止するための複数の側板を必要とし、且つ、これら側板をセパレータの側部に接合するためのろう付け工程やレーザ溶接工程が必要であり、組立作業も煩雑化する。
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、セパレータを金属板複数枚の張り合わせ構造として、内部ガス通路の形成を容易にすると共に、薄型化・軽量化を図った燃料電池用セパレータを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち、請求項1に記載の本発明は、内部に反応用ガスの通路となる燃料ガス通路と酸化剤ガス通路を備えた燃料電池用セパレータであって、平面同士が接合されるとともに一端に板厚方向に貫通する燃料ガス導入孔が形成され、他端に板厚方向に貫通する酸化剤ガス導入孔が形成された2枚の金属板で構成され、前記2枚の金属板の内の一方の接合面にのみ、前記反応用ガスの通路を形成するための燃料ガス通路用溝と酸化剤ガス通路用溝を設けて成り、前記酸化剤ガス通路用溝の一端が前記一方の接合面を有する一方の金属板の前記酸化剤ガス導入孔に連通するとともに、他端が前記一方の金属板の板厚方向に貫通する酸化剤ガス吐出孔に連通し、かつ前記燃料ガス通路用溝の一端が前記一方の金属板の前記燃料ガス導入孔に連通するとともに、他端が他方の前記金属板の板厚方向に貫通する燃料ガス吐出孔に連通していることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記金属板の表面に、Ni、Ag、Sn、Zn、Crの何れかで成る被覆層を少なくとも1層以上形成したことを特徴としている。
【0014】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータにおいて、前記酸化剤ガス導入孔および前記燃料ガス導入孔は、前記金属板の面方向外周部に設けられると共に、前記酸化剤ガス吐出孔および前記燃料ガス吐出孔は、前記金属板の面方向中央部に設けられ、かつ前記燃料ガス通路と前記酸化剤ガス通路は、各々渦巻き状に形成されていることを特徴としている。
【0019】
ここで、前記請求項1から請求項3までの何れかに記載の構成によれば、予め2枚の金属板の接合面にガス通路用の溝を形成しておき、双方を接合することにより、その接合面にガス通路を形成することができるので、直線部のみの単純なガス通路だけでなく、曲線部を有する複雑なガス通路(例えば、渦巻き状ガス通路)も、その形状を問わず比較的簡単に形成することができ、製造コストの低減が図れる。また、本構造の場合、例えば、0.5〜1mm程度の比較的肉薄の金属板を使用することが可能であり、これによりセパレータ自体を薄くできるから、燃料電池スタックの薄型化・軽量化が図れる。
【0021】
また、請求項2に記載の構成では、セパレータ(金属材料として、ステンレス鋼、ニッケル基合金、クロム基合金等が使用される)の耐熱性・耐食性が向上し、燃料電池の使用環境下でのセパレーター表面の酸化を防止し、各集電体との良好な電気的導通を長期に亘って確保できることから、内部抵抗を低減し、燃料電池の性能を向上できる。
【0022】
また、請求項3に記載の構成のように、各ガス通路をセパレータの全域に渦巻き状に形成することにより、燃料ガスや酸化剤ガスの流路を長くすることができる。これにより、運転開始時の予熱にあっては、外部からの加熱気体をこれらガス通路に流通することにより、セパレータ全域を均一に加熱することができ、また、発電時にあっては、長い流路を流通する過程で高温のセパレータとの熱交換作用で燃料ガスを効率良く予熱できると共に、酸化剤ガスの流路を長くすることにより、燃料電池スタックを効率良く冷却することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6に基づいて本発明の実施形態を説明する。
先ず、図4に基づいて本発明が適用された固体酸化物形燃料電池の構成を説明する。図4は平板積層型固体酸化物形燃料電池の要部構成を示している。
単セルは、固体電解質層の両面に燃料極層と空気極層を配して構成した発電セル5と、燃料極層の外側に配した燃料極集電体6と、空気極層の外側に配した空気極集電体7と、各集電体6、7の外側に配したセパレータ8とで構成される。燃料電池スタック1は、この単セルを間に絶縁性の燃料用マニホールドリング15と絶縁性の酸化剤用マニホールドリング16を介在して多数積層して成る。
スタック化することにより、各マニホールドリング15、16がセパレータ8に設けた各ガス導入孔13、14を介して積層方向に連結されてスタックの両側に並行する2本の管状マニホールド17、18が形成される。尚、各マニホールド17、18には、外部から供給される燃料ガスと酸化剤ガス(一般的には空気)が流通する。
【0024】
前記単セルを構成する各要素は、従来と同様の物性ものが使用できるが、本発明では、セパレータ8の構造が厚肉の金属単板で成る従来型と相違している。
【0025】
以下、図1(a)〜(c)に基づいて本発明の参考形態としてのセパレータ8の構造を説明する。
【0026】
本参考形態として示すセパレータ8は、ステンレス鋼を金属母材とし、その表面に下地NiメッキにAgメッキを施した、例えば、厚さ0.5〜1mm程度の薄肉の四角状ステンレス板2枚を接合して構成される上板8aと下板8bの2層構造で成る。この金属板の左端に燃料ガス導入孔13が右端に酸化剤ガス導入孔14が形成されており、これらガス導入孔13、14は何れも板厚方向に貫通する楕円形状を成す。
【0027】
耐熱合金であるステンレス鋼板にAgメッキを施すことにより、ステンレス鋼の有する耐酸化性がより一層向上し、燃料電池作動時の高温酸化雰囲気下において優れた耐酸化性・耐熱性を有するセパレータを構成できる。尚、メッキ材としてNiやAgの他、Sn、Zn、Cr等を用いることができ、これらメッキ材およびこれらメッキ材の組み合わせによるメッキ処理もまた、セパレータ8に前記同様の優れた耐酸化性・耐熱性を与える。
【0028】
図1において、前記上板8aと下板8bの接合面には図4で示した燃料ガス通路9となる燃料ガス通路用凹溝9aと、酸化剤ガス通路10となる酸化剤ガス通路用凹溝10aが形成されている。本参考形態では、これら凹溝9a、10aは、何れもセパレータ8のほぼ全面に亘って配設された渦巻き状と成され、上板8aと下板8bを重ね合わせると、各凹溝9a、10a同士が上下で合致するように面対称となっており、その接合面に断面四角形の各ガス通路9、10が形成される。
【0029】
上板8aにあっては、燃料ガス通路用凹溝9aの一端は燃料ガス導入孔13に連通しており、他端が中央付近の燃料ガス吐出孔9bに連通している。また、酸化剤ガス用凹溝10aの一端は前記酸化剤ガス導入孔14に連通しており、他端が中央付近で閉塞している。
【0030】
一方、下板8bにあっては、上板8aとは逆に、酸化剤ガス用凹溝10aの一端が酸化剤ガス導入孔14に連通しており、他端が中央付近の酸化剤ガス吐出孔10bに連通している。また、燃料ガス用凹溝9aの一端は燃料ガス導入孔13に連通しており、他端が中央付近で閉塞する構造を有する。
【0031】
尚、上記した燃料ガス吐出孔9bと酸化剤ガス吐出孔10bは何れも板厚方向に貫通するものであるが、スタック化した際の、最上層と最下層に位置するセパレータ8については、燃料ガス吐出孔9bあるいは酸化剤ガス吐出孔10bの何れか一方のみ有をする。
【0032】
次に、図2(a)〜(c)は本発明に係るセパレータの実施形態を示している。
本実施形態によるセパレータ8は、母材や表面メッキ処理等については図1に示した参考形態と同様であるが、各ガス通路9、10の構造が相違し、上板8aとして凹溝9a、10a等を設けてない扁平板が使用される。但し、上板8aの中央付近に燃料ガス吐出孔9bのみが形成されている。尚、下板8bについては、図1と同様の構造を有する。
【0033】
すなわち、本構成では、上板8aと下板8bを重ね合わせることにより、下板8bに形成された凹溝9a、10aの開口部が上板8aによって封止されてガス通路9、10となる。係る構造では、図1の構造に比べてセパレータの溝加工が半減するためセパレータ8の製造が容易になると共に、ガス通路を有しない金属板の板厚をより薄くできるので、セパレータ8の薄型化・軽量化に極めて効果的であるという利点を有する。
【0034】
更に、図3(a)〜(c)は本発明に係るセパレータの参考形態を示しており、2枚の金属板8a、8bの内の上板8aに燃料ガス通路用溝9aが形成され、下板8bに酸化剤ガス通路用溝10aが形成される構造である。
上板8aに設けた燃料ガス通路用凹溝9aの一端は燃料ガス導入孔13に連通しており、他端が中央付近の燃料ガス吐出孔9bに連通している。また、下板8bに設けた酸化剤ガス用凹溝10aの一端は酸化剤ガス導入孔14に連通しており、他端が中央付近の酸化剤ガス吐出孔10bに連通している。
【0035】
本構成では、上板8aと下板8bを重ね合わせると、下板8bの凹溝10aの開口部が上板8aの扁平な部分で封止されると共に、上板8aの凹溝9aの開口部が下板8bの扁平な部分で封止されて各ガス通路9、10が形成される。
係る構造は、セパレータの溝加工を簡素化できる共に、各金属板の溝加工を少なくしてセパレータ自体の強度を向上できるという利点を有する。
【0036】
次に、図1に基づいて上記構成の燃料電池スタック1における反応用ガスの流れを説明すれば、外部から供給される燃料ガスと酸化剤ガスは、図示しない燃料ガス供給管と酸化剤ガス供給管を介して各々燃料ガス用マニホールド17と酸化剤ガス用マニホールド18に導入される。反応用ガスは各マニホールド17、18の管内を下方より上方に流通する過程で、それぞれ各層(単セル)のガス導入孔13、14より分配されながら各セパレータ8の各ガス通路9、10を通して各発電セル5の電極層に供給されていく。
【0037】
すなわち、燃料ガス用マニホールド内の燃料ガスは、各セパレータ8の燃料ガス導入孔13から燃料ガス通路9に導入され、中央付近の燃料ガス吐出孔9bを介して通路末端の燃料ガス吐出口11より上方に吐出して対面する燃料極集電体6に供給され、多孔質焼結金属板内を拡散しながら通過して発電セル5の燃料極層に達するガス流路となる。
一方、酸化剤ガス用マニホールド内の酸化剤ガスは、各セパレータ8の酸化剤ガス導入孔14から酸化剤ガス通路10に導入され、中央付近の酸化剤ガス吐出孔10bを介して通路末端の酸化剤ガス吐出口12より下方に吐出して対面する空気極集電体7に供給され、多孔質焼結金属板内を拡散しながら通過して発電セル5の空気極層に達するガス流路となる。
【0038】
尚、以降、各電極内での電気化学反応は従来技術の欄で述べた通りであり、この電気化学反応で生じた高温の排ガスは所定の排気ルートで各単セル5よりスタック外に排出される。
【0039】
以上、説明したように、セパレータ8を2枚の金属板の張り合わせによる2層構造とし、その接合面にガス通路用の溝を形成すると共に、双方を接合してガス通路を形成する構造であれば、従来のような直線的なガス通路のみならず、渦巻き状のように狭い面積で長い流路が得られる複雑なガス通路も簡単に形成することができ、製造コストの低減と共に、セパレータの薄型化・軽量化が図れる。
【0040】
特に、上記のように各ガス通路を渦巻き状に形成して長いガス流路を確保すると、運転開始時(起動時)の予熱にあっては、外部より導入した加温気体をこれら燃料ガス通路9や酸化剤ガス通路10に流通することにより、その際の熱交換作用でセパレータ8の内部を面方向の全域に亘って均一に加熱し、発電セルを効率良く一様な温度分布で昇温することができる。その結果、不均一な温度分布により生じるセル内の熱応力を小さくして、発電セルの破損を防止することができる。
また、動作時(発電時)にあっては、長いガス通路を流通する過程で、燃料ガスが高温のセパレータに接してその熱交換作用により燃料ガスを効率良く予熱でき、電極反応に好適な温度に燃料ガスを昇温して燃料極集電体6に供給できると共に、一方では、酸化剤ガス(空気)を長い流路を通してセパレータ内を満遍なく流通することにより、少ない冷却空気量で燃料電池スタック1を効率良く冷却することができる。
【0041】
尚、上記作用効果を確実にするためには、各ガス通路9、10の表面面積を少なくとも発電セルとの接触面積の4%以上にすると良い。
【0042】
ここで、上記した凹溝9a、10aの形成には、研磨剤を使用する機械エッチング法、化学薬品を使用する化学的エッチング法(ウエットエッチング、ドライエッチング)、液相中で通電して行う電解エッチング法等、様々な公知のエッチング加工技術を用いることができるが、本実施形態では微細・高精度の加工に好適な化学的エッチング法を用いている。
【0043】
また、上板8aと下板8bの接合には、熱と荷重を同時に加えて行う公知の熱圧着法を用い、積層一体化されたセパレータ8を得た。この熱圧着法は、接着面の密着性が良好で、優れた気密性が得られるものであり、よって、2層構造の当セパレータ8は、その接合面において高いガスシール性が確保されている。
尚、各金属板同士の接合面には、既述したNiメッキ、Znメッキ、Snメッキ、Agメッキ等の他、研磨処理(鏡面研磨)が成されることが気密性の面から極めて好ましい。
【0044】
更に、図5、図6は本発明に係るセパレータの参考形態を示している。
本参考形態のセパレータ8は、上記した実施形態と相違し、厚さ方向に貫通する各ガス通路用の切り抜きを設けた金属板を複数枚重ね合わせることによって形成された渦巻き状の燃料ガス通路30と酸化剤ガス通路31を有する。
【0045】
図5に示すように、セパレータ8は、所定の厚みを有する金属製の円板で構成されており、その内部には燃料ガスが流通する渦巻き状の燃料ガス通路30と、酸化剤ガスが流通する渦巻き状の酸化剤ガス通路31とを有し、各々が入れ子状態で形成されている。燃料ガス通路30の一端はセパレータ8の側部に開口し、他端が中央付近で上面に開口する燃料ガス吐出孔32に連通しており、酸化剤ガス通路31の一端はセパレータ8の側部に開口し、他端が中央付近で下面に開口する酸化剤ガス吐出孔33に連通している。
【0046】
また、図6に示すように、上記したセパレータ8は、中央付近に燃料ガス吐出孔32が形成された金属製薄板(上板34)と、燃料ガス通路用の渦巻き状切り抜き30aと酸化剤ガス通路用の渦巻き状切り抜き31aを入れ子状態に設けた金属製薄板(中板35)と、中央付近に酸化剤ガス吐出孔33が形成された金属製薄板(下板36)を順次重ね合わせて接合した多層構造を有する。接合は、前記実施形態と同様に熱圧着法により行うことができる。
これら上板34と中板35と下板36を重ね合わせることにより、複数の中板35の各切り抜き30a、31a同士が合致して、セパレータ内部に断面四角形の渦巻き状のガス通路30、31が形成できる。尚、本参考形態では、中板35を2枚積層し、4層構造としたが、中板35は必要なガス流量に応じて適宜枚数が積層される。また、各ガス通路30、31の表面面積は、発電セルとの接触面積の4%以上にすると良い。
【0047】
本参考形態によるガス通路の構成では、上記実施形態で説明したエッチング加工技術によらず、薄い金属板のプレス加工(打ち抜き加工)により簡単に作製できるというメリットを有し、更なる軽量化、薄型化が図れる。
【0048】
以上、本実施形態では、ジルコニア等の固体酸化物を電解質とする固体酸化物形燃料電池(SOFC)のセパレータについて説明したが、これに限るものではなく、燐酸を電解質とする燐酸形燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩を電解質とする溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、或いは、イオン交換膜を電解質とする固体高分子形燃料電池(PEFC)等に使用されるセパレータについても勿論適用可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1〜請求項3に記載の本発明によれば、セパレータを2枚の金属板の張り合わせ構造とし、その接合面にガス通路用の溝を形成すると共に、双方を接合することによりガス通路を形成する構成としたので、蛇行状や渦巻き状のように、狭い面積で長い流路が得られる複雑なガス通路も簡単に形成することができ、製造コストの低減と共に、セパレータの薄型化や軽量化を図ることができる。
【0051】
また、請求項2に記載の本発明によれば、前記金属板の表面に、Ni、Ag、Sn、Zn、Crの何れかで成る被覆層を少なくとも1層以上形成したので、セパレータの耐熱性・耐食性が向上し、燃料電池の使用環境下でのセパレーター表面の酸化を防止し、各集電体との良好な電気的導通を長期に亘って確保できることから、内部抵抗を低減し、燃料電池の性能を向上できる。また、セパレータの接合面においても、優れた気密性が得られるため、高いガスシール性が確保されることになる。
【0052】
また、請求項3に記載の本発明によれば、 各ガス通路をセパレータの全域に渦巻き状に形成したので、燃料ガスや酸化剤ガスの流路を長くすることができ、これにより、運転開始時の予熱にあっては、外部からの加熱気体をこれらガス通路に流すことによりセパレータ全域を均一に加熱することができ、また、発電時にあっては、長いガス通路を流通する過程で燃料ガスを効率良く予熱できると共に、酸化剤ガスの流路を長くすることにより燃料電池スタックを効率良く冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考形態に係るセパレータの構造を示す斜視図。
【図2】 本発明の実施形態に係るセパレータの構造を示す斜視図。
【図3】 同、参考形態に係るセパレータの構造を示す斜視図。
【図4】 本発明が適用された平板積層型固体酸化物形燃料電池の要部構成を示す断面図。
【図5】 本発明の参考形態に係るセパレータを示し、(a)は平面図、(b)は側面図。
【図6】 図5のセパレータの構成を示す分解斜視図。
【符号の説明】
8 セパレータ
8a、34 金属板(上板)
35 金属板(中板)
8b、36 金属板(下板)
9、30 燃料ガス通路
9a 燃料ガス通路用溝(燃料ガス通路用凹溝)
10、31 酸化剤ガス通路
10a 酸化剤ガス通路用溝(酸化剤ガス通路用凹溝)
30a 燃料ガス通路用切り抜き
31a 酸化剤ガス通路用切り抜き
Claims (3)
- 内部に反応用ガスの通路となる燃料ガス通路と酸化剤ガス通路を備えた燃料電池用セパレータであって、
平面同士が接合されるとともに一端に板厚方向に貫通する燃料ガス導入孔が形成され、他端に板厚方向に貫通する酸化剤ガス導入孔が形成された2枚の金属板で構成され、前記2枚の金属板の内の一方の接合面にのみ、前記反応用ガスの通路を形成するための燃料ガス通路用溝と酸化剤ガス通路用溝を設けて成り、
前記酸化剤ガス通路用溝の一端が前記一方の接合面を有する一方の金属板の前記酸化剤ガス導入孔に連通するとともに、他端が前記一方の金属板の板厚方向に貫通する酸化剤ガス吐出孔に連通し、かつ前記燃料ガス通路用溝の一端が前記一方の金属板の前記燃料ガス導入孔に連通するとともに、他端が他方の前記金属板の板厚方向に貫通する燃料ガス吐出孔に連通していることを特徴とする燃料電池用セパレータ。 - 前記金属板の表面に、Ni、Ag、Sn、Zn、Crの何れかで成る被覆層を少なくとも1層以上形成したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用セパレータ。
- 前記酸化剤ガス導入孔および前記燃料ガス導入孔は、前記金属板の面方向外周部に設けられると共に、前記酸化剤ガス吐出孔および前記燃料ガス吐出孔は、前記金属板の面方向中央部に設けられ、かつ前記燃料ガス通路と前記酸化剤ガス通路は、各々渦巻き状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用セパレータ。
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