以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、ここでは、置換又は無置換を明示していない基及び原子団には、置換基を有していないものと置換基を有しているものとの双方が含まれることとする。例えば、置換又は無置換を明示していない「アルキル基」は、置換基を有していないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有しているアルキル基(置換アルキル基)をも包含することとする。
本発明に係る感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物は、酸増殖剤担持樹脂と、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、光酸発生剤ともいう)とを含んでいる。以下、これらについて説明する。
<酸増殖剤担持樹脂>
酸増殖剤担持樹脂は、酸増殖剤ユニットを含んでいる。この酸増殖剤ユニットは、酸の作用により又は酸の作用及び加熱により分解してスルホン酸を発生する繰り返し単位である。
上述したように、本発明に係る組成物は、酸増殖剤担持樹脂と光酸発生剤とを含んでいる。それゆえ、本発明に係る組成物を活性光線又は放射線で照射すると、光酸発生剤が酸を発生する。そして、酸増殖剤担持樹脂が含んでいる酸増殖剤ユニットの少なくとも一部は、光酸発生剤から発生した酸の作用により又はこの酸の作用及び加熱により分解して、スルホン酸を発生する。更に、このようにして発生したスルホン酸の作用により、他の酸増殖剤ユニットが分解する。これにより、当該他の酸増殖剤ユニットは、スルホン酸を更に発生する。このように、酸増殖剤ユニットの各々は、連鎖的に酸を発生することができる。
酸増殖剤担持樹脂は、下記一般式(I)により表される構造を備えている。
式中、R1乃至R5の各々は、水素原子又は置換基を表す。R1乃至R5は、それらの2以上が互いに結合して、環を形成していてもよい。
一般式(I)により表される構造は、酸の作用によりスルホン酸を発生し得る。その機構は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、下記のスキームに従って反応が進行していると考えている。なお、下記スキーム中、「○」で表した部分は、一般式(I)により表される構造の結合サイトを意味している。
上記のスキームに示すように、一般式(I)により表される構造は、酸を触媒とする脱水反応により、炭素−炭素二重結合を生じる。次いで、この構造は、カルボカチオンの脱離を伴って、スルホン酸アニオンを生成する。その後、カルボカチオンからアルケンが生じると共に、スルホン酸アニオンからスルホン酸が生じる。以上の反応は、脱離により生じるカルボカチオンが共役安定化されているため、高い効率で進行し得る。
本発明者らは、一般式(I)により表される構造を備えた酸増殖剤担持樹脂は、従来の酸増殖剤と比較して、酸増殖能及び安定性がより高いことを見出している。その理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは、以下のように推測している。即ち、優れた酸増殖能は、上述した脱離反応のし易さに起因していると推定している。また、優れた安定性は、水酸基を含んだ構造の熱安定性の高さに起因していると推定している。
従って、この酸増殖剤担持樹脂を用いると、感度と経時安定性との双方に優れた組成物を得ることが可能となる。即ち、こうすると、優れた感度と優れた経時安定性とを両立することが可能となる。
また、一般式(I)により表される構造は、樹脂に担持されている。従って、この酸増殖剤担持樹脂は、スルホン酸を、樹脂に結合した形で発生させることができる。そのため、この酸増殖剤担持樹脂を用いると、発生したスルホン酸の組成物中における拡散を抑制することが可能となる。それゆえ、こうすると、優れた解像度及びラフネス特性を達成することが可能となる。
以下、一般式(I)により表される構造について、詳しく説明する。
R1乃至R5の各々は、水素原子又は置換基を表している。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基、アルキルチオキシ基、アリールチオキシ基及び複素環基が挙げられる。
R1乃至R3の各々は、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましい。
R4及びR5の各々は、水素原子、アルキル基、アリール基又はシアノ基であることが好ましい。
アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクダデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基及び3−ニトロフェナシル基が挙げられる。
シクロアルキル基は、単環を有していてもよく、多環を有していてもよい。単環を有したシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等が好ましい。多環を有したシクロアルキル基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等が好ましい。炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基がより好ましい。
アルケニル基としては、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、アリル基及びスチリル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2〜10のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、プロピニル基及びプロパルギル基等が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−、m−及びp−トリル基、キシリル基、o−、m−及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びにオバレニル基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピオキシ基、n−ブトキシ基、トリフルオロメトキシ基、ヘキシロキシ基、t−ブトキシ基、2−エチルヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基、デシロキシ基及びドデシロキシ基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、例えば、フェニルオキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、トリルオキシ基、メトキシフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、クロロフェニルオキシ基、トリフルオロメチルフェニルオキシ基、シアノフェニルオキシ基及びニトロフェニルオキシ基が挙げられる。
アルカノイル基としては、炭素数2〜20のアルカノイル基が好ましく、例えば、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロメチルカルボニル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基及び4−メトキシベンゾイル基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基及びトリフルオロメチルオキシカルボニル基が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基及び4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が挙げられる。
アルキルスルホニルオキシ基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニルオキシ基が好ましく、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、ブチルスルホニルオキシ基、ヘキシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基、オクチルスルホニルオキシ基、2−エチルヘキシルスルホニルオキシ基、デカノイルスルホニルオキシ基、ドデカノイルスルホニルオキシ基、オクタデカノイルスルホニルオキシ基、シアノメチルスルホニルオキシ基、メトキシメチルスルホニルオキシ基及びパーフルオロアルキルスルホニルオキシ基が挙げられる。
アリールスルホニルオキシ基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニルオキシ基が好ましく、例えば、フェニルスルホニルオキシ基、1−ナフチルスルホニルオキシ基、2−ナフチルスルホニルオキシ基、2−クロロフェニルスルホニルオキシ基、2−メチルフェニルスルホニルオキシ基、2−メトキシフェニルスルホニルオキシ基、2−ブトキシフェニルスルホニルオキシ基、3−クロロフェニルスルホニルオキシ基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニルオキシ基、3−シアノフェニルスルホニルオキシ基、3−ニトロフェニルスルホニルオキシ基、4−フルオロフェニルスルホニルオキシ基、4−シアノフェニルスルホニルオキシ基、4−メトキシフェニルスルホニルオキシ基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニルオキシ基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニルオキシ基及び4−ジメチルアミノフェニルスルホニルオキシ基が挙げられる。
アルキルスルホニル基としては、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基が好ましく、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、デカノイルスルホニル基、ドデカノイルスルホニル基、オクタデカノイルスルホニル基、シアノメチルスルホニル基、メトキシメチルスルホニル基及びパーフルオロアルキルスルホニル基が挙げられる。
アリールスルホニル基としては、炭素数6〜30のアリールスルホニル基が好ましく、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基、2−ナフチルスルホニル基、2−クロロフェニルスルホニル基、2−メチルフェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、2−ブトキシフェニルスルホニル基、3−クロロフェニルスルホニル基、3−トリフルオロメチルフェニルスルホニル基、3−シアノフェニルスルホニル基、3−ニトロフェニルスルホニル基、4−フルオロフェニルスルホニル基、4−シアノフェニルスルホニル基、4−メトキシフェニルスルホニル基、4−メチルスルファニルフェニルスルホニル基、4−フェニルスルファニルフェニルスルホニル基及び4−ジメチルアミノフェニルスルホニル基が挙げられる。
アルキルチオキシ基としては、例えば、メチルチオキシ基、エチルチオキシ基、プロピルチオキシ基、n−ブチルチオキシ基、トリフルオロメチルチオキシ基、ヘキシルチオキシ基、t−ブチルチオキシ基、2−エチルヘキシルチオキシ基、シクロヘキシルチオキシ基、デシルチオキシ基及びドデシルチオキシ基が挙げられる。
アリールチオキシ基としては、例えば、フェニルチオキシ基、1−ナフチルチオキシ基、2−ナフチルチオキシ基、トリルチオキシ基、メトキシフェニルチオキシ基、ナフチルチオキシ基、クロロフェニルチオキシ基、トリフルオロメチルフェニルチオキシ基、シアノフェニルチオキシ基及びニトロフェニルチオキシ基が挙げられる。
複素環基としては、好ましくは、窒素原子、酸素原子、硫黄原子又はリン原子を含んだ芳香族又は脂肪族の複素環基が挙げられる。この複素環基としては、例えば、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b] チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサニリル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基及びチオキサントリル基が挙げられる。
R1乃至R5の何れかが有し得る置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基及びベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びメトキサリル基等のアシル基;メチルスルファニル基及びtert−ブチルスルファニル基等のアルキルスルファニル基;フェニルスルファニル基及びp−トリルスルファニル基等のアリールスルファニル基;メチルアミノ基及びシクロヘキシルアミノ基等のアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基及びピペリジノ基等のジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基及びp−トリルアミノ基等のアリールアミノ基;メチル基、エチル基、tert−ブチル基及びドデシル基等のアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基及びフェナントリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ホルミル基;メルカプト基;スルホ基;メシル基;p−トルエンスルホニル基;アミノ基;ニトロ基;シアノ基;トリフルオロメチル基;トリクロロメチル基;トリメチルシリル基;ホスフィニコ基;ホスホノ基;トリメチルアンモニウミル基;ジメチルスルホニウミル基、並びにトリフェニルフェナシルホスホニウミル基が挙げられる。
上述したように、R1乃至R5は、それらの2以上が互いに結合して、環を形成していてもよい。この環は、脂肪族若しくは芳香族の炭化水素環であってもよく、へテロ原子を含んだ複素環であってもよい。また、これらR1乃至R5は、縮合環を形成していてもよい。
脂肪族又は芳香族の炭化水素環としては、例えば、6員環、5員環又は7員環のものが挙げられる。この炭化水素環としては、6員環又は5員環のものが好ましく、5員環のものが特に好ましい。
複素環としては、例えば、ヘテロ原子として硫黄原子、酸素原子又は窒素原子を含んだものが挙げられる。この複素環としては、ヘテロ原子として硫黄原子を含んだものがより好ましい。
縮合環としては、例えば、炭化水素環のみからなる縮合環が挙げられる。この多環縮合環としては、例えば、2〜4個のベンゼン環が縮合環を形成したもの及びベンゼン環と5員不飽和環とが縮合環を形成したものが挙げられる。
縮合環は、少なくとも1つの複素環を含んだ縮合環であってもよい。この縮合環としては、例えば、ベンゼン環と5員複素環とが縮合環を形成したもの、及び、ベンゼン環と6員複素環とが縮合環を形成したものが挙げられる。
R1乃至R5が形成し得る環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、フルオレン環、トリフェニレン環、ナフタセン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ジチオラン環、オキシラン、ジオキシラン環、チイラン環、ピロリジン環、ピペリジン環、イミダゾール環、イソオキサゾール環、ベンゾジチオール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ベンゾジチオール環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キナゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環及びフェナジン環が挙げられる。中でも、ジチオラン環、ベンゾジチオール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環及びベンゾオキサゾール環が特に好ましい。
一般式(1)におけるR
1乃至R
5としては、例えば、以下の化学式中に記載されているものが挙げられる。
酸増殖剤ユニットの少なくとも一部は、好ましくは、下記一般式(II)により表される繰り返し単位である。即ち、酸増殖剤ユニットの少なくとも一部は、好ましくは、上記一般式(I)により表される構造を、下記一般式(II)により表される形態で含んでいる。
一般式(II)中、Ra及びRbは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。
Rcは、水素原子又は置換基を表す。Lは、単結合又は連結基を表す。なお、Rcが前記置換基であり且つLが前記連結基である場合、RcとLとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。
R1乃至R5の各々は、先に一般式(I)について説明したのと同義である。
Ra及びRbの各々は、上述したように、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子、並びにヒドロキシ基が挙げられる。Ra又はRbのアルキル基としては、例えば、メチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、及びヒドロキシメチル基が挙げられる。Ra及びRbの各々は、好ましくは水素原子又はメチル基であり、更に好ましくは水素原子である。
Rcは、上述したように、水素原子又は置換基を表す。この置換基としては、例えば、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルカノイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基、複素環基、(ジ)アルキルアミノカルボニル基、及びアミノチオカルボニル基が挙げられる。
Lは、上述したように、単結合又は連結基を表す。
この連結基は、好ましくは、単結合、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの組み合わせである。この連結基は、より好ましくは、単結合、アリーレン基、アルキレン基、−O−、−SO2−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの組み合わせである。ここで、R33は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
RcとLとは、互いに結合して、環を形成していてもよい。この環としては、例えば、単環式炭化水素、縮合多環式炭化水素及び複素環が挙げられる。
一般式(II)におけるRa、Rb、Rc及びLは、好ましくは、下記一般式(III−1)、(III−2)、(III−3)、(IV−1)、(IV−2)又は(V−1)に示す構成を有している。これらのうち、一般式(III−1)又は(III−2)に示す構成が特に好ましい。
式中、
Ar1aは、アリーレン基を表す。
R01は、水素原子、アルキル基又はシアノ基を表す。このアルキル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子及び塩素原子等のハロゲン原子が挙げられる。R01のアルキル基としては、例えば、メチル基、クロロメチル基及びトリフルオロメチル基が挙げられる。R01は、好ましくは水素原子又はメチル基であり、更に好ましくは水素原子である。
R02及びR021の各々は、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基は、例えば、アリーレン基、アルキレン基、シクロアルキレン基、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−N(R33)−又はこれらの組み合わせである。ここで、R33は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
R02又はR021としてのアリーレン基は、炭素数が6〜14であることが好ましく、具体的には、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基等が挙げられる。このアリーレン基は、置換基を更に有していてもよい。
R02又はR021としてのアルキレン基は、好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基及びオクチレン基等の炭素数1〜8のアルキレン基である。このアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
R02又はR021としてのシクロアルキレン基は、好ましくは、シクロペンチレン基及びシクロヘキシレン基等の炭素数5〜8のシクロアルキレン基である。このシクロアルキレン基は、置換基を更に有していてもよい。
R03及びR019は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
R03又はR019としてのアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等の炭素数が20以下のものであり、より好ましくは、炭素数が8以下のものである。
R03又はR019としてのシクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。このシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数が3〜8の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。
R03又はR019としてのアリール基は、好ましくは、炭素数が6〜15のものである。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
R03又はR019としてのアラルキル基は、好ましくは、炭素数が6〜20のものである。このようなアラルキル基としては、例えば、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基の各々は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、水酸基;フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子等のハロゲン原子;ニトロ基;シアノ基;アミド基;スルホンアミド基;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、プロポキシ基、ヒドロキシプロポキシ基及びブトキシ基等のアルコキシ基;メトキシカルボニル基及びエトキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;ホルミル基、アセチル基及びベンゾイル基等のアシル基;アセトキシ基及びブチリルオキシ基等のアシロキシ基、並びにカルボキシ基が挙げられる。なお、これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
Ar1aとしてのアリーレン基は、好ましくは炭素数6〜14のものである。このようなアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基及びナフチレン基が挙げられる。
このアリーレン基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、先にR03及びR019について説明したのと同様のものが挙げられる。
一般式(II)の好ましい部分構造としては、例えば、下記のものが挙げられる。
以下、上記の酸増殖剤ユニットに相当する重合性化合物の具体例を挙げるが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
酸増殖剤担持樹脂中に占める酸増殖剤ユニットの含有量は、全繰り返し単位を基準として、3〜80モル%の範囲内とすることが好ましく、5〜70モル%の範囲内とすることがより好ましく、7〜60モル%の範囲内とすることが特に好ましい。
酸増殖剤ユニットに相当する酸増殖剤モノマーは、例えば、対応するアルコール化合物と重合性基を備えたスルホニルハライド又はスルホン酸無水物とを用いて、塩基(例えば、トリエチルアミン又はピリジン)存在下で、THF、DMF及びアセトニトリル等の不活性溶媒又はピリジン等の塩基性溶媒中で反応させることにより合成できる。反応温度としては、−10〜60℃が好ましい。
また、上記のスルホニルハライドとして、アルキルスルホニルハライド及びアリールスルホニルハライド等を用いることにより、対応する種々の酸増殖剤モノマーが合成可能である。
酸増殖剤担持樹脂は、上述した酸増殖剤ユニット以外に、以下の繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。即ち、酸増殖剤担持樹脂は、(A)酸分解性単位、(B)アルカリ可溶性単位、(C)極性基で置換された脂環炭化水素構造を備えた繰り返し単位及び/又は(D)現像補助基を備えた繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。以下、これら繰り返し単位について、順に説明する。
(A)酸分解性単位
酸分解性単位は、酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる基(以下、酸分解性基という)を含んだ繰り返し単位である。
酸分解性基としては、例えば、−COOH基及び−OH基等のアルカリ可溶性基の水素原子を、酸の作用により脱離する基で置換したものが挙げられる。
酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、及び−CH(R36)(Ar)により表される基が挙げられる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
酸分解性単位としては、例えば、下記一般式(IA)により表される繰り返し単位が挙げられる。
式中、
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
R03は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはアルコキシカルボニル基を表すか、又は、下記Ar1と結合して、環を形成している。
Ar1は、芳香環基を表す。
n個のYは、各々独立に、水素原子又は酸の作用により脱離する基を表す。但し、Yの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。
nは、1〜4の整数を表し、1〜2が好ましく、1がより好ましい。
R01〜R03としてのアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基及びドデシル基等の炭素数20以下のアルキル基であり、好ましくは、炭素数8以下のアルキル基である。これらアルキル基は、置換基を有していてもよい。
R01〜R03としてのアルコキシカルボニル基に含まれるアルキル基は、例えば、先にR01〜R03としてのアルキル基として挙げたのと同様のものである。
R01〜R03としてのシクロアルキル基は、単環型であってもよく、多環型であってもよう。このシクロアルキル基としては、好ましくは、シクロプロピル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の炭素数3〜8の単環型のシクロアルキル基が挙げられる。これらシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。中でも、フッ素原子が特に好ましい。
R03とAr1とが結合して形成し得る環としては、例えば、5員環又は6員環が挙げられる。
Ar1としての芳香環基は、炭素数6〜14のものが好ましく、具体的には、ベンゼン環基及びナフタレン環基等が挙げられる。
上述したように、n個のYの少なくとも1つは、酸の作用により脱離する基を表す。この酸の作用により脱離する基としては、例えば、−C(R36)(R37)(R38)、−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、−C(R01)(R02)(OR39)、−C(R01)(R02)−C(=O)−O−C(R36)(R37)(R38)、及び−CH(R36)(Ar)により表される基が挙げられる。
式中、R36〜R39は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。R36とR37とは、互いに結合して環を形成してもよい。
R01〜R02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基又はアルケニル基を表す。
Arは、アリール基を表す。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアルキル基は、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、へキシル基及びオクチル基が挙げられる。
R36〜R39、R01、又はR02としてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基及びシクロオクチルが挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、炭素数6〜20のシクロアルキル基が好ましく、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボロニル基、カンファニル基、ジシクロペンチル基、α−ピネル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデシル基及びアンドロスタニル基が挙げられる。なお、シクロアルキル基中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
R36〜R39、R01、R02、又はArとしてのアリール基は、炭素数6〜10のアリール基であることが好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアラルキル基は、炭素数7〜12のアラルキル基であることが好ましく、例えば、ベンジル基、フェネチル基及びナフチルメチル基が好ましい。
R36〜R39、R01、又はR02としてのアルケニル基は、炭素数2〜8のアルケニル基であることが好ましく、例えば、ビニル基、アリル基、ブテニル基及びシクロへキセニル基が挙げられる。
R36とR37とが互いに結合して形成し得る環は、単環型であってもよく、多環型であってもよい。単環型としては、炭素数3〜8のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、シクロプロパン構造、シクロブタン構造、シクロペンタン構造、シクロへキサン構造、シクロヘプタン構造及びシクロオクタン構造が挙げられる。多環型としては、炭素数6〜20のシクロアルカン構造が好ましく、例えば、アダマンタン構造、ノルボルナン構造、ジシクロペンタン構造、トリシクロデカン構造及びテトラシクロドデカン構造が挙げられる。なお、環中の炭素原子の一部は、酸素原子等のヘテロ原子によって置換されていてもよい。
上記各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
酸の作用により脱離する基としては、下記一般式(IIA)により表される構造がより好ましい。
式中、L1及びL2は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基を表す。
Mは、単結合又は2価の連結基を表す。
Qは、アルキル基、シクロアルキル基、脂環基、芳香環基、アミノ基、アンモニウム基、メルカプト基、シアノ基又はアルデヒド基を表す。なお、これら脂環基及び芳香環基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
なお、Q、M、L1の少なくとも2つが互いに結合して、5員又は6員環を形成していてもよい。
L1及びL2としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのシクロアルキル基は、例えば炭素数3〜15のシクロアルキル基であり、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基及びアダマンチル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアリール基は、例えば炭素数6〜15のアリール基であり、具体的には、フェニル基、トリル基、ナフチル基及びアントリル基が挙げられる。
L1及びL2としてのアラルキル基は、例えば炭素数6〜20のアラルキル基であり、具体的には、ベンジル基及びフェネチル基が挙げられる。
Mとしての2価の連結基は、例えば、アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基又はオクチレン基)、シクロアルキレン基(例えば、シクロペンチレン基又はシクロヘキシレン基)、アルケニレン基(例えば、エチレン基、プロペニレン基又はブテニレン基)、アリーレン基(例えば、フェニレン基、トリレン基又はナフチレン基)、−S−、−O−、−CO−、−SO2−、−N(R0)−、又は、これらの2以上の組み合わせである。ここで、R0は、水素原子又はアルキル基である。R0としてのアルキル基は、例えば炭素数1〜8のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、ヘキシル基及びオクチル基が挙げられる。
Qとしてのアルキル基及びシクロアルキル基は、上述したL1及びL2としての各基と同様である。
Qとしての脂環基又は芳香環基としては、例えば、上述したL1及びL2としてのシクロアルキル基及びアリール基が挙げられる。これらシクロアルキル基及びアリール基は、好ましくは、炭素数3〜15の基である。
Qとしてのヘテロ原子を含んだ脂環基又は芳香環基としては、例えば、チイラン、シクロチオラン、チオフェン、フラン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾピロール、トリアジン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、チアジアゾール、チアゾール及びピロリドン等の複素環を有した基が挙げられる。但し、炭素とヘテロ原子とで形成される環、又は、ヘテロ原子のみによって形成される環であれば、これらに限定されない。
Q、M及びL1の少なくとも2つが互いに結合して形成し得る環としては、例えば、これらがプロピレン基又はブチレン基を形成してなる5員又は6員環が挙げられる。なお、この5員又は6員環は、酸素原子を含有している。
一般式(IIA)におけるL1、L2、M及びQにより表される各基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アミノ基、アミド基、ウレイド基、ウレタン基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子、アルコキシ基、チオエーテル基、アシル基、アシロキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基及びニトロ基が挙げられる。これら置換基は、炭素数が8以下であることが好ましい。
−(M−Q)により表される基としては、炭素数1〜30の基が好ましく、炭素数5〜20の基がより好ましい。
一般式(IA)により表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
また、酸分解性単位としては、下記一般式(X)により表される繰り返し単位を採用することも可能である。
式中、
Xa1は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基又はヒドロキシメチル基を表す。
Tは、単結合又は2価の連結基を表す。
Rx1〜Rx3は、各々独立に、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキル基が挙げられる。なお、Rx1〜Rx3の少なくとも2つが互いに結合して、単環又は多環のシクロアルキル基を形成していてもよい。
Tとしての2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、−(COO−Rt)−基、及び−(O−Rt)−基が挙げられる。ここで、Rtは、アルキレン基又はシクロアルキレン基を表す。
Tは、単結合又は−(COO−Rt)−基であることが好ましい。ここで、Rtは、炭素数1〜5のアルキレン基が好ましく、−CH2−基又は−(CH2)3−基がより好ましい。
Rx1〜Rx3としてのアルキル基は、好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基及びt−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である。
Rx1〜Rx3としてのシクロアルキル基は、好ましくは、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基である。
Rx1〜Rx3の少なくとも2つが互いに結合して形成し得るシクロアルキル基としては、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等の単環のシクロアルキル基、又は、ノルボルニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。
特には、Rx1がメチル基又はエチル基であり、Rx2とRx3とが互いに結合して、上述のシクロアルキル基を形成している態様が好ましい。
一般式(X)により表される繰り返し単位の具体例を以下に示すが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
酸増殖剤担持樹脂中に占める酸分解性単位の含有量は、全繰り返し単位を基準として、3〜90モル%の範囲内とすることが好ましく、5〜80モル%の範囲内とすることがより好ましく、7〜70モル%の範囲内とすることが特に好ましい。
酸増殖剤ユニットと酸分解性単位とのモル比(酸増殖剤ユニットのモル数/酸分解性単位のモル数)は、0.04〜1.0が好ましく、0.05〜0.9がより好ましく、0.06〜0.8が特に好ましい。
(B)アルカリ可溶性単位
アルカリ可溶性単位としては、好ましくは、下記一般式(VI)により表される繰り返し単位が挙げられる。
式中、
R01及びR02は、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
R03は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子、シアノ基若しくはアルコキシカルボニル基を表すか、又は、下記Ar1と結合して、5員環若しくは6員環を形成している。
Ar1は、芳香環基を表す。
nは、1〜4の整数を表す。
一般式(VI)におけるR01、R02、R03及びAr1の具体例としては、一般式(IA)におけるR01、R02、R03及びAr1と同様のものが挙げられる。
一般式(VI)により表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
酸増殖剤担持樹脂中に占めるアルカリ可溶性単位の含有量は、全繰り返し単位を基準として、3〜90モル%の範囲内とすることが好ましく、5〜80モル%の範囲内とすることがより好ましく、7〜70モル%の範囲内とすることが特に好ましい。
酸増殖剤ユニットとアルカリ可溶性単位とのモル比(酸増殖剤ユニットのモル数/アルカリ可溶性単位のモル数)は、0.04〜1.0が好ましく、0.05〜0.9がより好ましく、0.06〜0.8が特に好ましい。
(C)極性基で置換された脂環炭化水素構造を備えた繰り返し単位
酸増殖剤担持樹脂は、極性基で置換された脂環炭化水素構造を備えた繰り返し単位を更に含有していることが好ましい。酸増殖剤担持樹脂にこの繰り返し単位を含有させると、基板密着性及び現像液親和性を更に向上させることができる。
この繰り返し単位が含んでいる極性基としては、水酸基又はシアノ基が好ましい。なお、極性基としての水酸基は、アルコール性水酸基を形成する。
極性基で置換された脂環炭化水素構造としては、例えば、下記一般式(VIIa)又は(VIIb)により表される構造が挙げられる。
一般式(VIIa)中、R2c〜R4cは、各々独立に、水素原子、水酸基又はシアノ基を表す。但し、R2c〜R4cのうちの少なくとも1つは、水酸基又はシアノ基を表す。好ましくは、R2c〜R4cのうちの1つ又は2つが水酸基であり、残りが水素原子である。更に好ましくは、R2c〜R4cのうちの2つが水酸基であり、残りの1つが水素原子である。
一般式(VIIa)により表される基は、好ましくはジヒドロキシ体又はモノヒドロキシ体であり、より好ましくはジヒドロキシ体である。
一般式(VIIa)又は(VIIb)により表される基を有する繰り返し単位としては、上記一般式(II−AB1)又は(II−AB2)中のR
13’〜R
16’のうちの少なくとも1つが上記一般式(VIIa)又は(VIIb)により表される基を有するもの、及び、下記一般式(AIIa)又は(AIIb)により表される繰り返し単位が挙げられる。前者の例としては、−COOR
5のR
5が一般式(VIIa)又は(VIIb)により表される基である構造が挙げられる。
一般式(AIIa)、(AIIb)中、
R1cは、水素原子、メチル基、トリフロロメチル基又はヒドロキメチル基を表す。
R2c〜R4cは、一般式(VIIa)におけるR2c〜R4cと同義である。
一般式(AIIa)又は(AIIb)により表される繰り返し単位の具体例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
極性基で置換された脂環炭化水素構造を備えた繰り返し単位の酸増殖剤担持樹脂中に占める含有量は、全繰り返し単位を基準として、3〜90モル%の範囲内とすることが好ましく、5〜80モル%の範囲内とすることがより好ましく、7〜70モル%の範囲内とすることが特に好ましい。
酸増殖剤ユニットとこの繰り返し単位とのモル比(酸増殖剤ユニットのモル数/極性基で置換された脂環炭化水素構造を備えた繰り返し単位のモル数)は、0.04〜1.0が好ましく、0.05〜0.9がより好ましく、0.06〜0.8が特に好ましい。
(D)現像補助基を備えた繰り返し単位
酸増殖剤担持樹脂は、現像補助基、即ち、アルカリ現像液の作用で分解し当該現像液中への溶解速度が増大する基を備えた繰り返し単位を更に含んでいることが好ましい。これにより、アルカリ現像時に現像補助基が分解し、アルカリ現像液中への溶解速度が増大する。
現像補助基は、例えば、アルカリ現像液で分解し親水的な官能基を生じる基である。親水的な官能基としては、例えば、カルボキシ基及び水酸基等のアルカリ可溶性基が挙げられる。
現像補助基は、例えば、ラクトン構造を有する基、ハロゲン原子等の極性基によって置換されたカルボン酸エステル基、酸無水物構造を有する基、環状アミド構造を有する基、酸アミド基、カルボン酸チオエステル基、炭酸エステル基、硫酸エステル基、及びスルホン酸エステル基等が挙げられる。好ましくは、ラクトン構造、環状アミド構造、及び環状酸無水物構造の少なくとも1つの部分構造を有する基が挙げられる。特に好ましくは、ラクトン基が挙げられる。
なお、ハロゲン原子などの極性基で置換されていないカルボン酸エステル基(例えば、(メタ)アクリレート繰り返し単位の主鎖に直結のエステル基で、ハロゲン原子などの極性基で置換されていないもの)は、アルカリ現像液による分解反応の速度が遅い。それゆえ、ここでは、このようなカルボン酸エステル基は、現像補助基には含めないこととする。
ラクトン構造を有する基としては、好ましくは、5〜7員環ラクトン構造が挙げられ、5〜7員環ラクトン構造にビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環が縮環しているものが更に好ましい。
現像補助基を備えた繰り返し単位としては、好ましくは、下記一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表されるラクトン構造を備えたものが挙げられる。なお、ラクトン構造を有する基は、主鎖に直接結合していてもよい。好ましいラクトン構造としては、(LC1−1)、(LC1−4)、(LC1−5)、(LC1−6)、(LC1−13)、(LC1−14)及び(LC1−17)が挙げられる。特定のラクトン構造を用いることにより、ラインエッジラフネス及び現像欠陥を更に減少させ得る。
ラクトン構造部分は、置換基(Rb2)を有していてもよく、有していなくてもよい。好ましい置換基(Rb2)としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数1〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシ基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基及び酸分解性基が挙げられる。
n2は、0〜4の整数を表す。n2が2以上の整数である場合、複数存在するRb2は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。また、この場合、複数存在するRb2同士が互いに結合して、環を形成してもよい。
一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表されるラクトン構造を備えた繰り返し単位としては、下記一般式(AII)により表される繰り返し単位が挙げられる。
一般式(AII)中、
Rb0は、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
Rb0のアルキル基が有していてもよい好ましい置換基としては、水酸基及びハロゲン原子が挙げられる。このハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
Rb0は、好ましくは、水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基又はトリフルオロメチル基である。これらのうち、水素原子及びメチル基が特に好ましい。
Abは、アルキレン基、単環若しくは多環の脂環炭化水素構造を有する2価の連結基、単結合、エーテル基、エステル基、カルボニル基、カルボキシ基、又はこれらの組み合わせを表す。Abは、好ましくは、単結合又は−Ab1−CO2−により表される連結基である。
Ab1は、直鎖若しくは分岐鎖アルキレン基、又は、単環若しくは多環のシクロアルキレン基であり、好ましくは、メチレン基、エチレン基、シクロヘキシレン基、アダマンチレン基又はノルボルニレン基である。
Vは、一般式(LC1−1)〜(LC1−17)の何れかにより表される基である。
なお、ラクトン構造を有する繰り返し単位には、通常、光学異性体が存在するが、何れの光学異性体を用いてもよい。また、1種の光学異性体を単独で用いても、複数の光学異性体を混合して用いてもよい。1種の光学異性体を主に用いる場合、その光学純度が90%ee以上のものが好ましく、95%ee以上のものがより好ましい。
特に好ましいラクトン基を有する繰り返し単位としては、下記の繰り返し単位が挙げられる。最適なラクトン基を選択することにより、パターンプロファイル及び疎密依存性を更に良好にすることが可能となる。式中、Rx及びRは、H、CH
3、CH
2OH又はCF
3を表す。
現像補助基を備えた繰り返し単位は、例えば、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルによる繰り返し単位等の、樹脂の主鎖に現像補助基が結合している繰り返し単位である。或いは、この繰り返し単位は、現像補助基を備えた重合開始剤又は連鎖移動剤を重合時に用いて、樹脂の末端に導入されていてもよい。
酸増殖剤担持樹脂に占める現像補助基を備えた繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位を基準として、1〜40モル%の範囲内とすることが好ましく、3〜30モル%の範囲内とすることがより好ましく、5〜15モル%の範囲内とすることが特に好ましい。
酸増殖剤担持樹脂の形態は、ランダム型、ブロック型、クシ型及びスター型等の何れであってもよい。
上述した酸増殖剤ユニットと他の繰り返し単位とを含んだ樹脂は、例えば、各構造に対応する不飽和モノマーを、ラジカル、カチオン又はアニオン重合させることにより合成することができる。また各構造の前駆体に相当する不飽和モノマーを用いて重合した後に、高分子反応を行うことにより合成することも可能である。
酸増殖剤担持樹脂の分子量は、特に制限されないが、重量平均分子量が1000〜100000の範囲であることが好ましく、1500〜70000の範囲であることがより好ましく、2000〜50000の範囲であることが特に好ましい。ここで、樹脂の重量平均分子量は、GPC(溶媒:N−メチル−2−ピロリドン(NMP))によって測定したポリスチレン換算分子量を示す。
また分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.00〜5.00であり、より好ましくは1.03〜3.50であり、更に好ましくは1.05〜2.50である。
<光酸発生剤>
光酸発生剤は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物である。光酸発生剤としては、例えば、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、マイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物、及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。これらの例としては、スルホニウム塩及びヨードニウム塩等のオニウム塩、並びに、ビス(アルキルスルホニルジアゾメタン)等のジアゾジスルホン化合物が挙げられる。
光酸発生剤の好ましい例としては、下記一般式(ZI)、(ZII)及び(ZIII)により表される化合物が挙げられる。
上記一般式(ZI)において、R201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203のうち2つは、単結合又は連結基を介して互いに結合して、環を形成してもよい。この場合の連結基としては、例えば、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合、アミド結合、カルボニル基、メチレン基及びエチレン基が挙げられる。R201〜R203のうちの2つが結合して形成する基としては、例えば、ブチレン基及びペンチレン基等のアルキレン基が挙げられる。
R201、R202及びR203の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)又は(ZI−3)における対応する基が挙げられる。
X
−は、非求核性アニオンを表す。X
−としては、例えば、スルホン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF
4 −、PF
6 −及びSbF
6 −が挙げられる。X
−は、好ましくは、炭素原子を含んだ有機アニオンである。好ましい有機アニオンとしては、例えば、下記AN1〜AN3に示す有機アニオンが挙げられる。
式AN1〜AN3中、Rc1〜Rc3は、各々独立に、有機基を表す。この有機基としては、例えば、炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは、アルキル基、アリール基、又はこれらの複数が連結基を介して連結された基である。なお、この連結基としては、例えば、単結合、−O−、−CO2−、−S−、−SO3−及び−SO2N(Rd1)−が挙げられる。ここで、Rd1は水素原子又はアルキル基を表し、結合しているアルキル基又はアリール基と環を形成してもよい。
Rc1〜Rc3の有機基は、1位がフッ素原子又はフロロアルキル基で置換されたアルキル基、又は、フッ素原子若しくはフロロアルキル基で置換されたフェニル基であってもよい。フッ素原子又はフロロアルキル基を含有させることにより、光照射によって発生する酸の酸性度を上昇させることが可能となる。これにより、感活性光線性又は感放射線性樹脂組成物の感度を向上させることができる。なお、Rc1〜Rc3は、他のアルキル基及びアリール基等と結合して、環を形成していてもよい。
また、好ましいX
-として、下記一般式(SA1)又は(SA2)により表されるスルホン酸アニオンが挙げられる。
式(SA1)中、
Arは、アリール基を表し、−(D−B)基以外の置換基を更に有していてもよい。
nは、1以上の整数を表す。nは、好ましくは1〜4であり、より好ましくは2〜3であり、最も好ましくは3である。
Dは、単結合又は2価の連結基を表す。この2価の連結基は、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、スルホキシド基、スルホン基、スルホン酸エステル基又はエステル基である。
Bは、炭化水素基を表す。
式(SA2)中、
Xfは、各々独立に、フッ素原子、又は少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基を表す。
R1、R2は、各々独立に、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基を表し、複数存在する場合のR1及びR2の各々は、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Lは、単結合又は2価の連結基を表し、複数存在する場合のLは、互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
Eは、環状構造を有する基を表す。
xは1〜20の整数を表し、yは0〜10の整数を表し、zは0〜10の整数を表す。
まず、式(SA1)により表されるスルホン酸アニオンについて、詳しく説明する。
式(SA1)中、Arは、好ましくは、炭素数6〜30の芳香族環である。具体的には、Arは、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インデセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセタフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環又はフェナジン環である。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
Arが−(D−B)基以外の置換基を更に有している場合、この置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、この置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基及び2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基;分岐鎖アルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基;プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;並びにスルホン酸基が挙げられる。中でも、ラフネス改良の観点から、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基が好ましい。
式(SA1)中、Dは、好ましくは、単結合であるか、又は、エーテル基若しくはエステル基である。より好ましくは、Dは、単結合である。
式(SA1)中、Bは、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基である。Bは、好ましくは、アルキル基又はシクロアルキル基である。Bとしてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
Bとしてのアルキル基は、好ましくは、分岐鎖アルキル基である。この分岐鎖アルキル基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、sec−ブチル基、イソブチル基、イソヘキシル基、3,3−ジメチルペンチル基及び2−エチルヘキシル基が挙げられる。
Bとしてのシクロアルキル基は、単環のシクロアルキル基であってもよく、多環のシクロアルキル基であってもよい。単環のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基及びシクロオクチル基が挙げられる。多環のシクロアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基及びピネニル基が挙げられる。
Bとしてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基又はシクロアルキル基が置換基を有している場合、この置換基としては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、この置換基として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基及びtert−ブトキシ基等のアルコキシ基;フェノキシ基及びp−トリルオキシ基等のアリールオキシ基;メチルチオキシ基、エチルチオキシ基及びtert−ブチルチオキシ基等のアルキルチオキシ基;フェニルチオキシ基及びp−トリルチオキシ基等のアリールチオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基及びフェノキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、ドデシル基及び2―エチルヘキシル基等の直鎖アルキル基;分岐鎖アルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、プロペニル基及びヘキセニル基等のアルケニル基;アセチレン基;プロピニル基及びヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基及びトリル基等のアリール基;ヒドロキシ基;カルボキシ基;スルホン酸基;並びにカルボニル基等が挙げられる。中でも、ラフネス改良と高感度化との両立の観点から、直鎖アルキル基及び分岐鎖アルキル基が好ましい。
次に、式(SA2)により表されるスルホン酸アニオンについて、詳しく説明する。
式(SA2)中、Xfは、フッ素原子であるか、又は、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基である。このアルキル基としては、炭素数が1〜10のものが好ましく、炭素数が1〜4のものがより好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基は、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。
Xfは、好ましくは、フッ素原子又は炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基である。具体的には、Xfは、好ましくは、フッ素原子、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9又はCH2CH2C4F9である。中でも、フッ素原子又はCF3が好ましく、フッ素原子が最も好ましい。
式(SA2)中、R1及びR2の各々は、水素原子、フッ素原子、アルキル基、及び、少なくとも1つのフッ素原子で置換されたアルキル基から選ばれる基である。このフッ素原子で置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜4のものが好ましい。また、フッ素原子で置換されたアルキル基としては、炭素数1〜4のパーフルオロアルキル基が特に好ましい。具体的には、CF3、C2F5、C3F7、C4F9、C5F11、C6F13、C7F15、C8F17、CH2CF3、CH2CH2CF3、CH2C2F5、CH2CH2C2F5、CH2C3F7、CH2CH2C3F7、CH2C4F9及びCH2CH2C4F9が挙げられ、中でもCF3が好ましい。
式(SA2)中、xは1〜8が好ましく、1〜4がより好ましい。yは0〜4が好ましく、0がより好ましい。zは0〜8が好ましく、0〜4がより好ましい。
式(SA2)中、Lは、単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、例えば、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、アルキレン基、シクロアルキレン基及びアルケニレン基が挙げられる。中でも、−COO−、−OCO−、−CO−、−O−、−S−、−SO−又は−SO2−が好ましく、−COO−、−OCO−又は−SO2−がより好ましい。
式(SA2)中、Eは、環を有する基を表す。Eとしては、例えば、環状脂肪族基、アリール基及び複素環を有する基等が挙げられる。
Eとしての環状脂肪族基は、単環を有していてもよく、多環を有していてもよい。単環を有した環状脂肪族基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロオクチル基等の単環のシクロアルキル基が好ましい。多環を有した環状脂肪族基としては、ノルボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基及びアダマンチル基等の多環のシクロアルキル基が好ましい。特には、Eとして6員環以上のかさ高い構造を有する環状脂肪族基を採用した場合、PEB(露光後加熱)工程での膜中拡散性が抑制され、解像力及びEL(露光ラチチュード)を更に向上させることが可能となる。
Eとしてのアリール基は、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナンスレン環又はアントラセン環である。
Eとしての複素環を有する基は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。この基に含まれているヘテロ原子としては、窒素原子又は酸素原子が好ましい。複素環の具体例としては、フラン環、チオフェン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、ジベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環等が挙げられる。中でも、フラン環、チオフェン環、ピリジン環、ピペリジン環及びモルホリン環が好ましい。
Eは、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、炭素数1〜12が好ましい)、アリール基(炭素数6〜14が好ましい)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、エステル基、アミド基、ウレタン基、ウレイド基、チオエーテル基、スルホンアミド基及びスルホン酸エステル基が挙げられる。
光酸発生剤としては、一般式(ZI)により表される構造を複数有する化合物を使用してもよい。例えば、一般式(ZI)により表される化合物のR201〜R203の少なくとも1つが、一般式(ZI)により表されるもう1つの化合物のR201〜R203の少なくとも1つと結合した構造を有する化合物であってもよい。
更に好ましい(ZI)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)〜(ZI−4)を挙げることができる。
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である。即ち、化合物(ZI−1)は、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
化合物(ZI−1)は、R201〜R203の全てがアリール基であってもよく、R201〜R203の一部がアリール基であり、それら以外がアルキル基であってもよい。なお、化合物(ZI−1)が複数のアリール基を有する場合、これらアリール基は互いに同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
化合物(ZI−1)としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物及びアリールジアルキルスルホニウム化合物が挙げられる。
化合物(ZI−1)におけるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、又は、インドール残基及びピロール残基等のヘテロアリール基が好ましく、フェニル基、ナフチル基又はインドール残基が特に好ましい。
化合物(ZI−1)が必要に応じて有しているアルキル基としては、炭素数1〜15の直鎖、分岐鎖又はシクロアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。
これらアリール基及びアルキル基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜15)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基及びフェニルチオ基が挙げられる。
好ましい置換基としては、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、及び、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖又は環状のアルコキシ基が挙げられる。特に好ましい置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。置換基は、3つのR201〜R203のうちの何れか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がフェニル基の場合には、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
また、R201、R202及びR203のうち1つ又は2つが、置換基を有していてもよいアリール基であり、残りの基が直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基である態様も好ましい。この構造の具体例としては、特開2004−210670号公報の段落0141〜0153に記載の構造が挙げられる。
このとき、上記アリール基としては、具体的には、R201、R202及びR203としてのアリール基と同様であり、フェニル基又はナフチル基が好ましい。また、アリール基は、水酸基、アルコキシ基又はアルキル基の何れかを置換基として有することが好ましい。置換基としより好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基であり、更に好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。
上記の残りの基としての直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基は、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。これら基は、更に置換基を有していてもよい。また、上記の残りの基が2つ存在する場合、これら2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。
化合物(ZI−1)は、例えば、以下の一般式(ZI−1A)により表される化合物である。
一般式(ZI−1A)中、
R13は、水素原子、フッ素原子、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。
R14は、複数存在する場合は各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基を表す。
R15は、各々独立して、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。2つのR15は、互いに結合して、環を形成していてもよい。
lは0〜2の整数を表す。
rは0〜8の整数を表す。
X−は、非求核性アニオンを表し、例えば、一般式(ZI)におけるX−と同様のものが挙げられる。
R13、R14又はR15のアルキル基は、直鎖アルキル基であってもよく、分岐鎖アルキル基であってもよい。このアルキル基としては、炭素数1〜10のものが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられる。これらのうち、メチル基、エチル基、n−ブチル基及びt−ブチル基が特に好ましい。
R13、R14又はR15のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロドデカニル、シクロベンテニル、シクロヘキセニル及びシクロオクタジエニル基が挙げられる。これらのうち、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロオクチル基が特に好ましい。
R13又はR14のアルコキシ基のアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のアルキル基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基及びn−ブトキシ基が特に好ましい。
R13のシクロアルキルオキシ基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のシクロアルキル基として列挙したものが挙げられる。このシクロアルキルオキシ基としては、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基が特に好ましい。
R13のアルコキシカルボニル基のアルコキシ基部分としては、例えば、先にR13又はR14のアルコキシ基として列挙したものが挙げられる。このアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基及びn−ブトキシカルボニル基が特に好ましい。
R14のアルキルスルホニル基のアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のアルキル基として列挙したものが挙げられる。また、R14のシクロアルキルスルホニル基のシクロアルキル基部分としては、例えば、先にR13、R14又はR15のシクロアルキル基として列挙したものが挙げられる。これらアルキルスルホニル基又はシクロアルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、n−プロパンスルホニル基、n−ブタンスルホニル基、シクロペンタンスルホニル基及びシクロヘキサンスルホニル基が特に好ましい。
lは、好ましくは0又は1であり、より好ましくは1である。rは、好ましくは0〜2である。
R13、R14及びR15の各基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アルコキシアルキル基、シクロアルキルオキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、及びシクロアルキルオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、2−メチルプロポキシ基、1−メチルプロポキシ基及びt−ブトキシ基等の炭素数1〜20のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等の炭素数3〜20のものが挙げられる。
アルコキシアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、エトキシメチル基、1−メトキシエチル基、2−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基及び2−エトキシエチル基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルオキシメチル基、シクロペンチルオキシメチル基及びシクロヘキシルオキシエチル基等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、2−メチルプロポキシカルボニル基、1−メチルプロポキシカルボニル基及びt−ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシカルボニル基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニル基及びシクロヘキシルオキシカルボニル等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。このアルコキシカルボニルオキシ基としては、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、n−プロポキシカルボニルオキシ基、i−プロポキシカルボニルオキシ基、n−ブトキシカルボニルオキシ基及びt−ブトキシカルボニルオキシ基等の炭素数2〜21のものが挙げられる。
シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基としては、例えば、シクロペンチルオキシカルボニルオキシ基及びシクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基等の炭素数4〜21のものが挙げられる。
2つのR15が互いに結合して形成し得る環としては、一般式(ZI−1A)中のS原子と共に、5員環又は6員環、特に好ましくは5員環(即ち、テトラヒドロチオフェン環)を形成する構造が好ましい。
この環は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、及びアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。
R15としては、メチル基、エチル基、及び2つのR15が互いに結合して硫黄原子と共にテトラヒドロチオフェン環を形成する2価の基が特に好ましい。
R13のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基、R14のアルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホニル基及びシクロアルキルスルホニル基は、置換基を更に有していてもよい。この置換基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、及びハロゲン原子(特にフッ素原子)が好ましい。
以下に、一般式(ZI−1A)により表される化合物におけるカチオンの好ましい具体例を示す。
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
R201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、炭素数が例えば1〜30であり、好ましくは1〜20である。
R201〜R203は、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基、ビニル基であることが好ましい。更に好ましくは、直鎖、分岐鎖若しくは環状の2−オキソアルキル基又はアルコキシカルボニルメチル基であり、特に好ましくは、直鎖又は分岐鎖の2−オキソアルキル基である。
R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、好ましい例としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基又はペンチル基)及び炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基又はノルボニル基)が挙げられる。
R201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基の2位に>C=Oを有する基が挙げられる。
R201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基の好ましい例としては、炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)が挙げられる。
R201〜R203は、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基及び/又はニトロ基によって更に置換されていてもよい。
R201〜R203のうち2つが互いに結合して、環を形成していてもよい。この環は、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合及び/又はカルボニル基を含んでいてもよい。R201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、例えば、アルキレン基(例えば、ブチレン基又はペンチレン基)が挙げられる。
次いで、化合物(ZI−3)について説明する。
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)により表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
式中、R1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。アルキル基及びアルコキシ基の炭素数は、1〜6が好ましい。
R6c及びR7cは、水素原子又はアルキル基を表す。アルキル基の炭素数は、1〜6が好ましい。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、アリル基又はビニル基を表す。これら原子団の炭素数は、1〜6が好ましい。
R1c〜R7cの何れか2つ以上が互いに結合して、環を形成していてもよい。また、RxとRyとが結合して、環を形成していてもよい。これらの環は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合及び/又はアミド結合を含んでいてもよい。
一般式(ZI−3)におけるX−は、一般式(ZI)におけるX−と同義である。
化合物(ZI−3)の具体例としては、特開2004−233661号公報の段落0046及び0047、又は、特開2003−35948号公報の段落0040〜0046に例示されている化合物に記載されている化合物が挙げられる。
続いて、化合物(ZI−4)について説明する。
化合物(ZI−4)は、以下の一般式(ZI−4)により表されるカチオンを有した化合物である。この化合物(ZI−4)は、アウトガスの抑制に有効である。
一般式(ZI−4)中、
R1〜R13は、各々独立に、水素原子又は置換基を表す。R1〜R13のうち少なくとも1つは、アルコール性水酸基を含む置換基であることが好ましい。なお、ここで「アルコール性水酸基」とは、アルキル基の炭素原子に結合した水酸基を意味している。
Zは、単結合又は2価の連結基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、R1〜R13は−(W−Y)により表される基であることが好ましい。ここで、Yは水酸基で置換されたアルキル基であり、Wは単結合又は2価の連結基である。
Yにより表されるアルキル基の好ましい例としては、エチル基、プロピル基及びイソプロピル基が挙げられる。Yは、特に好ましくは、−CH2CH2OHにより表される構造を含んでいる。
Wにより表される2価の連結基としては、特に制限は無いが、好ましくは単結合、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基であり、更に好ましくは、単結合、アシルオキシ基、アルキルスルホニル基、アシル基又はアルコキシカルボニル基における任意の水素原子を単結合で置き換えた2価の基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含む置換基である場合、含まれる炭素数は、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜6であり、特に好ましくは2〜4である。
R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基は、アルコール性水酸基を2つ以上有していてもよい。R1〜R13としてのアルコール性水酸基を含む置換基の有するアルコール性水酸基の数は、1〜6であり、好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1である。
一般式(ZI−4)により表される化合物の有するアルコール性水酸基の数は、R1〜R13すべて合わせて1〜10であり、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13としての置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アニリノ基を含む)、アンモニオ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、ホスホノ基、シリル基、ヒドラジノ基、ウレイド基、ボロン酸基〔−B(OH)2〕、ホスファト基〔−OPO(OH)2〕、スルファト基(−OSO3H)、並びに、他の公知の置換基が挙げられる。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、アリール基、シアノ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、シリル基又はウレイド基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、更に好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、シアノ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アルコキシカルボニル基又はカルバモイル基である。
R1〜R13がアルコール性水酸基を含有しない場合、R1〜R13は、特に好ましくは水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、ハロゲン原子又はアルコキシ基である。
R1〜R13のうちの隣接する2つが互いに結合して、環を形成してもよい。この環には、芳香族及び非芳香族の炭化水素環並びに複素環が含まれる。これら環は、更に組み合わされて、縮合環を形成していてもよい。
化合物(ZI−4)は、好ましくは、R1〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有しており、更に好ましくは、R9〜R13のうち少なくとも1つがアルコール性水酸基を含んだ構造を有している。
Zは、上述したように、単結合又は2価の連結基を表している。この2価の連結基としては、例えば、アルキレン基、アリーレン基、カルボニル基、スルホニル基、カルボニルオキシ基、カルボニルアミノ基、スルホニルアミド基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、ジスルフィド基、アシル基、アルキルスルホニル基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基が挙げられる。
この2価の連結基は、置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、先にR1〜R13について列挙したのと同様のものが挙げられる。
Zは、好ましくは、単結合、アルキレン基、アリーレン基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、−CH=CH−、アミノカルボニルアミノ基及びアミノスルホニルアミノ基等の電子求引性を持たない結合又は基である。Zは、更に好ましくは、単結合、エーテル基又はチオエーテル基であり、特に好ましくは、単結合である。
以下、一般式(ZII)及び(ZIII)について説明する。
一般式(ZII)及び(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、アリール基、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。これらアリール基、アルキル基及びシクロアルキル基は、置換基を有していてもよい。
R204〜R207としてのアリール基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−1)におけるR201〜R203について列挙したのと同様の基が挙げられる。
R204〜R207としてのアルキル基及びシクロアルキル基の好ましい例としては、先に化合物(ZI−2)におけるR201〜R203について列挙した直鎖、分岐鎖又はシクロアルキル基が挙げられる。
なお、一般式(ZII)及び(ZIII)におけるX−は、一般式(ZI)におけるX−と同義である。
光酸発生剤の他の好ましい例として、下記一般式(ZIV)、(ZV)又は(ZVI)により表される化合物が挙げられる。
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換又は無置換のアリール基を表す。
R208は、一般式(ZV)と(ZVI)とで各々独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表している。これらアルキル基、シクロアルキル基及びアリール基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
これら基は、フッ素原子により置換されていることが好ましい。こうすると、光酸発生剤が発生する酸の強度を高めることが可能となる。
R209及びR210は、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又は電子吸引性基を表す。これらアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及び電子吸引性基は、置換されていてもよく、置換されていなくてもよい。
好ましいR209としては、置換又は無置換のアリール基が挙げられる。
好ましいR210としては、電子吸引性基が挙げられる。この電子吸引性基としては、好ましくは、シアノ基及びフロロアルキル基が挙げられる。
Aは、アルキレン基、アルケニレン基又はアリーレン基を表す。これらアルキレン基、アルケニレン基及びアリーレン基は、置換基を有していてもよい。
なお、光酸発生剤として、一般式(ZVI)により表される構造を複数有する化合物も好ましい。このような化合物としては、例えば、一般式(ZVI)により表される化合物のR209又はR210と、一般式(ZVI)により表されるもう一つの化合物のR209又はR210とが互いに結合した構造を有する化合物が挙げられる。
光酸発生剤としては、一般式(ZI)〜(ZIII)により表される化合物がより好ましく、一般式(ZI)により表される化合物が更に好ましく、化合物(ZI−1)〜(ZI−3)が特に好ましい。
光酸発生剤の具体例を以下に示すが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
なお、光酸発生剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
また、光酸発生剤の含量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.1〜40質量%であり、より好ましくは0.5〜30質量%であり、更に好ましくは1〜20質量%である。
<その他の成分>
本発明に係る組成物は、塩基性化合物、酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂、有機溶剤、界面活性剤、酸分解性溶解阻止化合物、染料、可塑剤、光増感剤、現像液に対する溶解促進性化合物、及びプロトンアクセプター性官能基を有する化合物等を更に含んでいてもよい。
(塩基性化合物)
本発明に係る組成物は、塩基性化合物を更に含んでいてもよい。塩基性化合物を更に含有させると、露光と加熱(ポストベーク)との間における性能の経時変化を更に低減することが可能となる。また、こうすると、露光によって発生した酸の膜中拡散性を制御することが可能となる。
この塩基性化合物は、含窒素有機化合物であることが好ましい。使用可能な化合物は特に限定されないが、例えば、以下の(1)〜(4)に分類される化合物を用いることができる。
一般式(BS−1)中、
Rは、各々独立に、水素原子又は有機基を表す。但し、3つのRのうち少なくとも1つは有機基である。この有機基は、直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、単環若しくは多環のシクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
Rとしてのアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常1〜20であり、好ましくは1〜12である。
Rとしてのシクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常3〜20であり、好ましくは5〜15である。
Rとしてのアリール基の炭素数は、特に限定されないが、通常6〜20であり、好ましくは6〜10である。具体的には、フェニル基及びナフチル基等が挙げられる。
Rとしてのアラルキル基の炭素数は、特に限定されないが、通常7〜20であり、好ましくは7〜11である。具体的には、ベンジル基等が挙げられる。
Rとしてのアルキル基、シクロアルキル基、アリール基及びアラルキル基は、水素原子が置換基により置換されていてもよい。この置換基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基及びアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
なお、一般式(BS−1)により表される化合物では、Rのうち少なくとも2つが有機基であることが好ましい。
一般式(BS−1)により表される化合物の具体例としては、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリイソデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ジデシルアミン、メチルオクタデシルアミン、ジメチルウンデシルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン、メチルジオクタデシルアミン、N,N−ジブチルアニリン、N,N−ジヘキシルアニリン、2,6−ジイソプロピルアニリン、及び2,4,6−トリ(t−ブチル)アニリンが挙げられる。
また、一般式(BS−1)により表される好ましい塩基性化合物として、少なくとも1つのRがヒドロキシル基で置換されたアルキル基であるものが挙げられる。具体的には、例えば、トリエタノールアミン及びN,N−ジヒドロキシエチルアニリンが挙げられる。
なお、Rとしてのアルキル基は、アルキル鎖中に酸素原子を有していてもよい。即ち、オキシアルキレン鎖が形成されていてもよい。オキシアルキレン鎖としては、−CH2CH2O−が好ましい。具体的には、例えば、トリス(メトキシエトキシエチル)アミン、及び、US6040112号明細書のカラム3の60行目以降に例示されている化合物が挙げられる。
(2)含窒素複素環を有する化合物
この含窒素複素環は、芳香族性を有していてもよく、芳香族性を有していなくてもよい。また、窒素原子を複数有していてもよい。さらに、窒素以外のヘテロ原子を含有していてもよい。具体的には、例えば、イミダゾール構造を有する化合物(2−フェニルベンゾイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾールなど)、ピペリジン構造を有する化合物〔N−ヒドロキシエチルピペリジン及びビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケートなど〕、ピリジン構造を有する化合物(4−ジメチルアミノピリジンなど)、並びにアンチピリン構造を有する化合物(アンチピリン及びヒドロキシアンチピリンなど)が挙げられる。
また、環を2つ以上有する化合物も好適に用いられる。具体的には、例えば、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン及び1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−ウンデカ−7−エンが挙げられる。
(3)フェノキシ基を有するアミン化合物
フェノキシ基を有するアミン化合物とは、アミン化合物が含んでいるアルキル基のN原子と反対側の末端にフェノキシ基を備えた化合物である。フェノキシ基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、カルボン酸エステル基、スルホン酸エステル基、アリール基、アラルキル基、アシロキシ基及びアリールオキシ基等の置換基を有していてもよい。
この化合物は、より好ましくは、フェノキシ基と窒素原子との間に、少なくとも1つのオキシアルキレン鎖を有している。1分子中のオキシアルキレン鎖の数は、好ましくは3〜9個、さらに好ましくは4〜6個である。オキシアルキレン鎖の中でも−CH2CH2O−が特に好ましい。
具体例としては、2−[2−{2―(2,2―ジメトキシ−フェノキシエトキシ)エチル}−ビス−(2−メトキシエチル)]−アミン、及び、US2007/0224539A1号明細書の段落[0066]に例示されている化合物(C1-1)〜(C3-3)が挙げられる。
(4)アンモニウム塩
アンモニウム塩も適宜用いることができる。このアンモニウム塩は、好ましくは、ヒドロキシド又はカルボキシレートである。より具体的には、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等のテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
その他、本発明に係る組成物に使用可能なものとして、特開2002−363146号公報の実施例で合成されている化合物、及び特開2007−298569号公報の段落0108に記載の化合物等が挙げられる。
また、塩基性化合物として、感光性の塩基性化合物を用いてもよい。感光性の塩基性化合物としては、例えば、特表2003−524799号公報、及びJ.Photopolym.Sci&Tech. Vol.8,P.543−553(1995)等に記載の化合物を用いることができる。
塩基性化合物の分子量は、250〜2000であることが好ましく、400〜1000であることが更に好ましい。
これらの塩基性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
塩基性化合物の含有量は、組成物の全固形分を基準として、0.01〜8.0質量%であることが好ましく、0.1〜5.0質量%であることがより好ましく、0.2〜4.0質量%であることが特に好ましい。
(酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂)
本発明に係る組成物は、酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂を更に含んでいてもよい。
酸の作用により分解してアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する樹脂(以下、「酸分解性樹脂」ともいう)は、典型的には、酸の作用により分解し、アルカリ可溶性基を生じる基(以下、酸分解性基ともいう)を備えている。この樹脂は、酸分解性基を、主鎖及び側鎖の一方に備えていてもよく、これらの両方に備えていてもよい。この樹脂は、酸分解性基を側鎖に備えていることが好ましい。
酸分解性樹脂は、欧州特許254853号明細書、特開平2−25850号公報、同3−223860号公報及び同4−251259号公報等に開示されているように、例えば、樹脂に酸の作用により脱離する基の前駆体を反応させるか、又は、酸の作用により脱離する基の結合したアルカリ可溶性樹脂モノマーを種々のモノマーと共重合させることにより得られる。
酸分解性基としては、−COOH基及び−OH基等のアルカリ可溶性基の水素原子を、酸の作用により脱離する基で置換した基が好ましい。
酸分解性基の具体例及び好ましい例としては、酸増殖剤担持樹脂が含み得る酸分解性単位について説明したのと同様のものが挙げられる。
上述したアルカリ可溶性基を有する樹脂としては、特に限定されないが、例えば、フェノール性水酸基を含んだ樹脂、並びに、(メタ)アクリル酸及びノルボルネンカルボン酸等のカルボキシ基を有する繰り返し単位を含んだ樹脂が挙げられる。
フェノール性水酸基を含んだ樹脂としては、好ましくは、ポリ(o−ヒドロキシスチレン)、ポリ(m−ヒドロキシスチレン)、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)及びこれらの共重合体、水素化ポリ(ヒドロキシスチレン)、下記構造により表される置換基を有するポリ(ヒドロキシスチレン)類、スチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、α−メチルスチレン−ヒドロキシスチレン共重合体、及び水素化ノボラック樹脂等のヒドロキシスチレン構造単位を有する樹脂が挙げられる。
これら樹脂のアルカリ溶解速度は、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)を用いて23℃で測定して、170Å/秒以上が好ましい。特に好ましくは330Å/秒以上である。
これら樹脂の原料として採用可能なモノマーとしては、例えば、アルキルカルボニルオキシスチレン(例えば、t−ブトキシカルボニルオキシスチレン)、アルコキシスチレン(例えば、1−アルコキシエトキシスチレン又はt−ブトキシスチレン)、及び、(メタ)アクリル酸3級アルキルエステル(例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート又は2−アルキル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート又はジアルキル(1−アダマンチル)メチル(メタ)アクリレート)が挙げられる。
酸で分解し得る基の含有率は、樹脂中の酸で分解し得る基の数(B)と酸で脱離する基で保護されていないアルカリ可溶性基の数(S)とにより、式B/(B+S)によって計算される。この含有率は、好ましくは0.01〜0.7であり、より好ましくは0.05〜0.50であり、更に好ましくは0.05〜0.40である。
本発明の組成物に、KrFエキシマレーザー光、電子線、X線又は波長50nm以下の高エネルギー光線(例えばEUV)を照射する場合には、酸分解性樹脂は、芳香族基を備えた繰り返し単位を含んでいることが好ましい。特には、ヒドロキシスチレンを繰り返し単位として含んでいることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ヒドロキシスチレンと酸の作用により脱離する基で保護されたヒドロキシスチレンとの共重合体、又は、ヒドロキシスチレンと(メタ)アクリル酸3級アルキルエステルとの共重合体が挙げられる。
酸分解性樹脂としては、一般式(VI)により表される繰り返し単位、及び、一般式(IA)により表される繰り返し単位を有する樹脂が特に好ましい。
式中、R01、R02、R03、Ar1、n及びYは、先に挙げたものと同義である。
また、酸分解性樹脂は、他の重合性モノマー由来の繰り返し単位を有していてもよい。これら他の重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類及びクロトン酸エステル類等から選ばれる付加重合性不飽和結合を1個有する化合物である。なお、これら他の重合性モノマー由来の繰り返し単位の含有量は、全繰り返し単位を基準として、一般的に50モル%以下であり、好ましくは30モル%以下である。
水酸基、カルボキシ基及びスルホン酸基等のアルカリ可溶性基を有する繰り返し単位の含有率は、酸分解性樹脂を構成する全繰り返し単位中、好ましくは1〜99モル%、より好ましくは3〜95モル%、特に好ましくは5〜90モル%である。
酸分解性基を有する繰り返し単位の含有率は、酸分解性樹脂を構成する全繰り返し単位中、好ましくは3〜95モル%、より好ましくは5〜90モル%、特に好ましくは10〜85モル%である。
酸分解性樹脂の重量平均分子量は、GPC法によるポリスチレン換算値として、好ましくは50,000以下であり、より好ましくは1,000〜20,000であり、特に好ましくは1,000〜10,000である。
酸分解性樹脂の分散度(Mw/Mn)は、好ましくは1.0〜3.0であり、より好ましくは1.05〜2.0であり、更に好ましくは1.1〜1.7である。
また、酸分解性樹脂は、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
酸分解性樹脂の好ましい具体例を以下に示すが、本発明の範囲は、これらに限定されるものではない。
酸増殖剤担持樹脂を除く酸分解性樹脂の組成物中に占める配合量は、組成物の全固形分を基準として、1.0〜70質量%であることが好ましく、3.0〜50質量%であることがより好ましく、5.0〜30質量%であることが更に好ましい。
(界面活性剤)
本発明に係る組成物は、界面活性剤を更に含有することが好ましい。この界面活性剤としては、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤が特に好ましい。
この界面活性剤としては、例えば、大日本インキ化学工業(株)製のメガファックF176及びメガファックR08、OMNOVA社製のPF656及びPF6320、トロイケミカル(株)製のトロイゾルS−366、住友スリーエム(株)製のフロラードFC430、並びに、信越化学工業(株)製のポリシロキサンポリマーKP−341が挙げられる。
また、フッ素系及び/又はシリコン系界面活性剤以外の界面活性剤を使用することもできる。より具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類及びポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類等が挙げられる。
その他、公知の界面活性剤が適宜使用可能である。使用可能な界面活性剤としては、例えば、米国特許2008/0248425A1号明細書の[0273]以降に記載の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の使用量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは0.0001〜2質量%であり、より好ましくは0.001〜1質量%である。
(溶剤)
組成物を調製する際に使用できる溶剤としては、各成分を溶解するものである限り特に限定されないが、例えば、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、アルキレングリコールモノアルキルエーテル(プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、乳酸アルキルエステル(乳酸エチル及び乳酸メチルなど)、環状ラクトン(γ−ブチロラクトンなど、好ましくは炭素数4〜10)、鎖状又は環状のケトン(2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンなど、好ましくは炭素数4〜10)、アルキレンカーボネート(エチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートなど)、カルボン酸アルキル(酢酸ブチルなどの酢酸アルキルが好ましい)、及びアルコキシ酢酸アルキル(好ましくはエトキシプロピオン酸エチル)などが挙げられる。その他使用可能な溶媒として、例えば、US2008/0248425A1号明細書の[0244]以降に記載されている溶剤などが挙げられる。
上記の溶剤のうち、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、及び乳酸エチルが特に好ましい。
これら溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤とを混合することが好ましい。水酸基を有する溶剤と水酸基を有しない溶剤との質量比は、1/99〜99/1であり、好ましくは10/90〜90/10であり、更に好ましくは20/80〜60/40である。
水酸基を有する溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテル又は乳酸アルキルエステルが好ましく、水酸基を有しない溶剤としてはアルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレートが好ましい。
溶剤の使用量は特に限定されないが、組成物の全固形分濃度が、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1.0〜10質量%となるように調製される。特に、本発明の組成物を用いて電子線又はEUVリソグラフィーを行う場合は、好ましくは2.0〜6.0質量%、より好ましくは2.0〜4.5質量%となるようにする。
(酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物)
酸の作用により分解してアルカリ現像液中での溶解度が増大する、分子量3000以下の溶解阻止化合物(以下、「溶解阻止化合物」ともいう)としては、220nm以下の透過性を低下させないため、Proceeding of SPIE, 2724, 355 (1996) に記載されている酸分解性基を含むコール酸誘導体等の、酸分解性基を含有する脂環族又は脂肪族化合物が好ましい。この酸分解性基としては、例えば、先に酸分解性単位について説明したのと同様のものが挙げられる。
なお、本発明に係る組成物をKrFエキシマレーザーで露光するか又は電子線で照射する場合には、溶解阻止化合物としては、フェノール化合物のフェノール性水酸基を酸分解基で置換した構造を含んだ化合物が好ましい。フェノール化合物としては、フェノール骨格を1〜9個含有するものが好ましく、2〜6個含有するものが更に好ましい。
溶解阻止化合物の添加量は、組成物の全固形分を基準として、好ましくは3〜50質量%であり、より好ましくは5〜40質量%である。
以下に溶解阻止化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
(その他の添加剤)
本発明に係る組成物は、必要に応じて、染料、可塑剤、光増感剤、光吸収剤、及び現像液に対する溶解を促進させる化合物(例えば、分子量1000以下のフェノール化合物、又は、カルボキシ基を有する脂環族若しくは脂肪族化合物)等を更に含有させることができる。また、特開2006−208781号公報及び特開2007−286574号公報等に記載されているプロトンアクセプター性官能基を備えた化合物も好適に用いることができる。
<パターン形成方法>
本発明に係る組成物は、典型的には、以下のようにして用いられる。即ち、本発明に係る組成物は、典型的には、基板等の支持体上に塗布されて、膜を形成する。この膜の厚みは、0.02〜0.1μmが好ましい。基板上に塗布する方法としては、スピン塗布が好ましく、その回転数は1000〜3000rpmが好ましい。
例えば、この組成物は、精密集積回路素子の製造等に使用される基板(例:シリコン/二酸化シリコン被覆、窒化シリコン及びクロム蒸着された石英基板など)上に、スピナー及びコーター等の適当な塗布方法により塗布される。その後、これを乾燥して、感活性光線性又は感放射線性の膜(以下、感光性膜ともいう)を得る。なお、公知の反射防止膜を予め塗設することもできる。
次いで、感光性膜に活性光線又は放射線を照射し、好ましくはベーク(加熱)を行った後、現像する。ベークを行うことにより、上述した酸増殖剤ユニットからのスルホン酸の発生を促進することができる。従って、これにより、更に良好なパターンを得ることが可能となる。なお、ベーク温度は、感度及び安定性の観点から、80℃〜150℃とすることが好ましく、90℃〜130℃とすることがより好ましい。
活性光線又は放射線としては、例えば、赤外光、可視光、紫外光、遠紫外光、X線、及び電子線が挙げられる。これら活性光線又は放射線としては、例えば250nm以下、特には220nm以下の波長を有したものがより好ましい。このような活性光線又は放射線としては、例えば、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm)、X線、及び電子ビームが挙げられる。特に好ましい活性光線又は放射線としては、ArFエキシマレーザー、F2エキシマレーザー、EUV(13nm)及び電子ビームが挙げられる。
なお、活性光線又は放射線の照射時に、感光性膜とレンズとの間に空気よりも屈折率の高い液体(純水など)を満たしての露光、即ち、液浸露光を行ってもよい。これにより、解像度を高めることができる。この場合、膜と液浸液との間には、膜と液浸液との接触を避けるために、膜の上に液浸液難溶性膜(「トップコート」ともいう)を設けてもよい。また、膜と液浸液との接触を避けるための別の手段として、前述の組成物に予め疎水性樹脂(HR)を添加しておいてもよい。この疎水性樹脂(HR)として具体的には、US2008/0305432A1号明細書の段落0172〜0253で説明されている樹脂などがあげられる。
現像工程では、通常アルカリ現像液を用いる。
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム及びアンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン及びn−プロピルアミン等の第一アミン類、ジエチルアミン及びジ−n−ブチルアミン等の第二アミン類、トリエチルアミン及びメチルジエチルアミン等の第三アミン類、ジメチルエタノールアミン及びトリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド及びテトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩、又は、ピロール及びピヘリジン等の環状アミン類を含んだアルカリ性水溶液が挙げられる。
アルカリ現像液には、アルコール類及び/又は界面活性剤を、適当量添加してもよい。
アルカリ現像液の濃度は、通常、0.1〜20質量%である。アルカリ現像液のpHは、通常、10.0〜15.0である。
なお、本発明に係る組成物を用いてインプリント用モールドを作成する場合のプロセスの詳細については、例えば、特許第4109085号公報、特開2008−162101号公報、及び「ナノインプリントの基礎と技術開発・応用展開―ナノインプリントの基板技術と最新の技術展開―編集:平井義彦(フロンティア出版)」等を参照されたい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明の内容は、これにより限定されるものではない。
<酸増殖剤担持樹脂>
[合成]
酸増殖剤担持樹脂として、下記表1に示す樹脂P−1〜P−26を、以下のようにして合成した。なお、この表1において、「モノマー(1)」〜「モノマー(4)」の列には、各樹脂の原料として用いたモノマーの構造を記載している。また、組成比の列には、各モノマーに対応した各繰り返し単位のモル比を記載している。そして、「Mw」の列には、GPC(溶媒:NMP)を用いて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量を記載している。また、「MWD」の列には、分散度Mw/Mnを記載している。
<モノマーの合成>
樹脂P−6のモノマー(3)として用いる化合物(A−1)を、非特許文献2及び3の記載を参照して合成した。また、その他のモノマーも、化合物(A−1)と同様にして合成した。
〔合成例1:樹脂(P−6)の合成〕
4.62質量部の4−ヒドロキシスチレンと、3.50質量部のモノマー(M−4)と、1.88質量部のモノマー(A−1)と、9.29質量部の1−メトキシー2−プロパノールと、0.99質量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65;和光純薬工業(株)製〕との混合溶液を調製した。
9.29質量部の1−メトキシ−2−プロパノールを、窒素気流下、65℃に加熱した。その後、この液を攪拌しながら、上記の混合溶液を、2時間かけて滴下した。滴下終了後、65℃で更に2時間攪拌した。次いで、0.99質量部の2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕を更に加えた後、65℃で更に2時間攪拌した。
反応液を放冷した後、多量のヘキサン/酢酸エチルを用いて再沈殿させた。その後、これを真空乾燥に供して、7.0質量部の樹脂(P−6)を得た。
〔合成例2:樹脂(P−1)〜(P−5)及び(P−7)〜(P−26)の合成〕
使用するモノマーを変更したこと以外は、樹脂(P−6)と同様にして、樹脂(P−1)〜(P−5)及び(P−7)〜(P−26)を合成した。
〔比較化合物〕
上記表1に示す比較化合物1〜4を準備した。また、下記化合物Xを準備した。
<光酸発生剤>
光酸発生剤としては、先に挙げた(z1)〜(z102)のうち少なくとも1つを用いた。
<塩基性化合物>
塩基性化合物としては、下記の化合物C−1〜C−5の何れかを用いた。
C−1:2,4,5−トリフェニルイミダゾール
C−2:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド
C−3:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン
C−4:
<界面活性剤>
界面活性剤としては、下記のW−1〜W−4の何れかを用いた。
W−1:メガファックF176(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素系)
W−2:メガファックR08(大日本インキ化学工業(株)製;フッ素及びシリコン系)
W−3:ポリシロキサンポリマーKP−341(信越化学工業(株)製;シリコン系)
W−4:トロイゾルS−366(トロイケミカル(株)製;フッ素系)
<溶剤>
溶剤としては、下記のA1〜A4並びにB1及びB2を用いた。なお、これら溶剤は、適宜混合して用いた。
A1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
A2:2−ヘプタノン
A3:シクロヘキサノン
A4:γ−ブチロラクトン
B1:プロピレングリコールモノメチルエーテル
B2:乳酸エチル
<実施例A>
(実施例1A〜12A及び比較例1A〜3A)
(レジスト調製)
下記表2に示す成分を溶剤に溶解させて、固形分濃度4.0質量%の溶液を調製した。この溶液をポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターを用いてろ過して、ポジ型レジスト溶液を得た。
(レジスト評価)
まず、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に、スピンコーターを用いてブリューワーサイエンス社製反射防止膜DUV−42を60nm均一に塗布した。次いで、100℃で90秒間ホットプレート上で乾燥した後、190℃で240秒間加熱乾燥を行った。その後、各ポジ型レジスト溶液をスピンコーターを用いて塗布し、120℃で90秒間乾燥を行い、0.12μmの膜厚を有したレジスト膜を形成した。
このレジスト膜に対し、マスクを通してArFエキシマレーザーステッパー(ISI社製;NA=0.6)で露光し、露光後直ぐに、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。さらに2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥させて、ラインパターンを得た。
〔感度、解像度(γ)〕
露光量を10〜45mJ/cm2の範囲で0.5mJずつ変えながら面露光を行い、さらに、110℃で90秒間ベークした。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、溶解速度曲線を得た。
この溶解速度曲線において、レジストの溶解速度が飽和するときの露光量を感度とし、また溶解速度曲線の直線部の勾配から解像度(γ値)を算出した。γ値が大きいほど、溶解コントラストに優れている。
〔パターン形状、ラインエッジラフネス(LER)〕
線幅150nmのラインアンドスペース(L/S=1/1)のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量におけるプロファイルを走査型顕微鏡(SEM)により観察した。また、このパターンにおいて、その長さ方向50μmに含まれる任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。
〔経時安定性〕
各組成物を室温で1ヶ月間に亘って保存した。そして、保存前後の感度の変動の度合を評価した。この評価は、以下の判定基準に基づいて行った。
(判定基準)
○(Good):感度の変動が1mJ/cm2未満であった場合
△(Fair):感度の変動が1mJ/cm2以上且つ3mJ/cm2以下であった場合
×(Insufficient):感度の変動が3mJ/cm2より大きかった場合。
表2に示す結果から、本発明に係る組成物は、ArF露光において、感度、解像度、LER、パターン形状、及び経時安定性に優れていることが分かる。即ち、本発明の感光性組成物は、ArFエキシマレーザー露光用のポジ型レジスト組成物として、優れた性能を有していることが分かる。
<実施例B>
実施例1Aの組成物に下記ポリマー0.06gを加えたこと以外は実施例Aと同様にしてレジスト溶液を調製し、塗設を行い、レジスト膜を得た。得られたレジスト膜に、ArFエキシマレーザー液浸スキャナー(ASML社製 XT1700i;NA1.2)を用いて、液浸液(純水)を介してパターン露光し、実施例Aと同様にパターンを形成した。そして、得られたパターンについて、感度、解像度(γ)、LER、パターン形状、及び経時安定性の何れにおいても、同様の評価結果が得られることを確認した。
<実施例C>
(実施例1C〜24C及び比較例1C〜3C)
(レジスト調製)
下記表3に示した成分を溶剤に溶解させた後、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して、固形分濃度4.5%のポジ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で90秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行い、膜厚0.4μmのレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜に対し、KrFエキシマレーザーステッパー(NA=0.63)を用いて、ラインアンドスペース用マスクを介してパターン露光し、露光後すぐに110℃で90秒間ホットプレート上で加熱した。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて23℃で60秒間現像し、30秒間純水にてリンスした後、乾燥させ、ラインパターンを形成した。
〔感度、解像度(γ)〕
上記の装置およびプロセス条件を適用した以外は、実施例Aについて説明したのと同様にして、感度及び解像度(γ値)を求めた。
〔パターン形状、ラインエッジラフネス(LER)〕
線幅180nmのラインアンドスペース(L/S=1/1)のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量におけるプロファイルを走査型顕微鏡(SEM)により観察した。また、この形成されたパターンの長さ方向50μmに含まれる任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。
〔欠陥〕
マスクサイズ180nm及びピッチ360nmのマスクパターンを用いて、線幅180nmのレジストパターンが得られる露光量で、当該パターンをウエハ面内で78箇所露光した。得られたパターン付きウエハについて、ケーエルエー・テンコール(株)製KLA−2360を用いて、現像欠陥数を測定した。この際、検査面積は合計205cm2とし、ピクセルサイズは0.25μmとし、スレッシュホールド=30とした。また、検査光としては、可視光を用いた。得られた数値を検査面積で割った値を、欠陥数(個/cm2)として評価した。
〔経時安定性〕
実施例Aについて説明したのと同様にして、経時安定性を評価した。
表3に示す結果から、本発明に係る組成物は、KrF露光において、感度、解像度、LER、パターン形状、欠陥特性、及び経時安定性に優れていることが分かる。即ち、本発明の感光性組成物は、KrFエキシマレーザー露光用のポジ型レジスト組成物としても、優れた性能を有していることが分かる。
<実施例D>
(実施例1D〜30D及び比較例1D〜4D)
(レジスト調製)
下記表4に示した成分を溶剤に溶解させた後、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して、固形分濃度4.0質量%のポジ型レジスト溶液を調製した。
(レジスト評価)
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行って、0.12μmの膜厚を有したレジスト膜を形成させた。
このレジスト膜を、ニコン社製電子線プロジェクションリソグラフィー装置(加速電圧100keV)で照射し、照射後直ぐに110℃で90秒間ホットプレート上にて加熱した。その後、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロオキサイド水溶液を用いて、23℃で60秒間現像し、30秒間純水を用いてリンスした後、乾燥させ、ラインアンドスペースパターンを形成した。
〔感度〕
得られたパターンを走査型電子顕微鏡(日立社製S−9220)を用いて観察した。線幅0.10μmのラインアンドスペース(L/S=1/1)を解像するときの電子線照射量を感度(E0)とした。
〔解像力〕
上記の感度(E0)を示す露光量における1:1ラインスペースの限界解像力(ラインとスペースが分離解像する最小の線幅)を解像力(密集)とした。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
実施例Aについて説明したのと同様にして、LERを求めた。
〔アウトガス性能:露光による膜厚変動率〕
上記の感度(面露光において決定した感度)を与える照射量の2.0倍の照射量で電子線を照射し、露光後且つ後加熱前の膜厚を測定し、以下の式を用いて、未露光時の膜厚からの変動率を求めた。
膜厚変動率(%)=[(未露光時の膜厚−露光後の膜厚)/未露光時の膜厚]×100
〔経時安定性〕
各組成物を室温で1ヶ月間に亘って保存した後、保存前後の感度の変動の度合を、目視により評価した。この評価は、以下の判定基準に基づいて行った。
(判定基準)
○(Good):感度の変動が1μC/cm2未満であった場合
△(Fair):感度の変動が1μC/cm2以上且つ3μC/cm2以下であった場合
×(Insufficient):感度の変動が3μC/cm2より大きかった場合。
表4に示す結果から、本発明に係る組成物は、電子線露光において、感度、解像力、LER、アウトガス性能、及び経時安定性に優れていることが分かる。即ち、本発明の感光性組成物は、電子線照射用のポジ型レジスト組成物としても、優れた性能を有していることが分かる。
<実施例E>
(実施例1E〜25E及び比較例1E〜4E)
(レジスト調製)
下記表5に示した成分を溶剤に溶解させ、これをポアサイズ0.1μmのポリテトラフルオロエチレンフィルターによりろ過して、固形分濃度4.0質量%のポジ型レジスト溶液を調した。
(レジスト評価)
調製したポジ型レジスト溶液を、スピンコーターを用いて、ヘキサメチルジシラザン処理を施したシリコン基板上に均一に塗布し、120℃で60秒間ホットプレート上で加熱乾燥を行って、0.12μmの膜厚を有したレジスト膜を形成させた。
〔感度〕
得られたレジスト膜に、EUV光(波長13nm)を用いて、露光量を0〜15.0mJ/cm2の範囲で0.5mJ/cm2ずつ変えながら面露光を行った後、110℃で90秒間ベークした。その後、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて、各露光量での溶解速度を測定し、溶解速度曲線を得た。
〔ラインエッジラフネス(LER)〕
線幅50nmのラインアンドスペース(L/S=1/1)のマスクパターンを再現する露光量を最適露光量とし、最適露光量におけるプロファイルを走査型顕微鏡(SEM)により観察した。また、このパターンの長さ方向50μmに含まれる任意の30点について、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)を用いて、エッジがあるべき基準線からの距離を測定した。そして、この距離の標準偏差を求め、3σを算出した。
〔アウトガス性能:露光による膜厚変動率〕
実施例Dについて説明したのと同様にして、EUV露光による膜厚変動率を求めた。
〔経時安定性〕
実施例Aについて説明したのと同様にして、経時安定性を評価した。
表5に示す結果から、本発明に係る組成物は、EUV露光において、感度、LER、アウトガス性能、及び経時安定性に優れていることが分かる。即ち、本発明の感光性組成物は、EUV照射用のポジ型レジスト組成物としても、優れた性能を有していることが分かる。