JP2011052895A - 燃焼装置の運転制御方法及び燃焼装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】石油系残渣を燃料とする燃焼装置であって、還元雰囲気の火炉11内に、燃料12を供給する複数の燃料供給バーナ13(上段バーナ13a、中段バーナ13b、下段バーナ13c)と、所定期間経過後に、定格運転から低負荷運転に変更する指示を実行する図示しない制御手段とを備えてなり、前記低負荷運転の際に、火炉11内を酸素リッチ状態として、火炉壁の伝熱管における灰付着を低減するものである。
【選択図】図1
Description
このため、従来においては、火炉内に燃料添加物として、例えばマグネシウム化合物(MgO)、鉄系化合物(例えばFe2O3)、CaCO3、Na2CO3、有機系添加材等を供給することで、付着灰の低減を図っていた(特許文献1〜3)。
なお、前記Na等の石油系残渣燃料への混入は、海上を運搬中においては、なかなか回避できないため、石油系残渣燃料を燃焼する際において、効果的な対策が切望されている。
図1は、石油系残渣を燃料とする燃焼装置の概略図である。図1に示すように、本実施例に係る石油系残渣を燃料とする燃焼装置10は、石油系残渣を燃料とする燃焼装置であって、還元雰囲気の火炉11内に、燃料12を供給する複数の燃料供給バーナ13(上段バーナ13a、中段バーナ13b、下段バーナ13c)と、所定期間経過後に、定格運転から低負荷運転に変更する指示を実行する図示しない制御手段とを備えてなり、前記低負荷運転の際に、火炉11内を酸素リッチ状態として、火炉壁の伝熱管における灰付着を低減するものである。
ここで、図2においては、火炉内の温度異常上昇の際に過熱器を保護するための減温器32が設けられており、必要に応じてスプレ弁33を調整して、水34を過熱蒸気内に供給して温度を下げるようにしている。
スプレー弁開度のかわりに、火炉燃焼域15出口に設置された過熱器(例えば板型過熱器21)の蒸気温度上昇分ΔTを検知して判断してもよい。
図3中、水冷管40の内部は水(約330℃)41が流れており、火炉11を冷却している。水冷管40の炉内側には、石油系残渣を燃料として燃焼した際に発生した飛灰42の一部が溶融して、付着灰43として付着している。
定格の通常運転中は、付着灰中のバナジウムは、火炉11内部は還元雰囲気であるので、4価のバナジウムが支配している。
よって、付着した付着灰中のバナジウムも4価である。
これに対し、負荷下げ運転を行うことで、還元雰囲気から酸素リッチ雰囲気となり、付着灰中のバナジウムは、4価から5価のバナジウムとなる。5価のバナジウムは、融点が680℃であるので、炉壁の成長灰45の部分が溶融し、ランニングスラグとなって、スラグ受け部26(図1参照)にサラサラ流れ落ちることとなる。
ここで、図4中、(1)〜(6)の各点は、還元雰囲気において、4価のバナジウム試薬を用いて、軟化溶融性の試験を行った結果である。(1)はN2(不活性)雰囲気で1210℃、(2)は1%O2雰囲気(N2バランス)1250℃、(3)は0.01%O2雰囲気(N2バランス)1590℃、(4)は0.1%O2雰囲気(N2バランス)1590℃、(5)は0.5%O2雰囲気(N2バランス)1300℃、(6)は1%O2雰囲気(N2バランス)1300℃の場合の固体間溶融状態を示している。
横軸は、炉底、下段バーナ、上段バーナ、板型過熱器、節炭器、電気集塵器(EP)の場所を示しており、各場所における付着灰、灰の硫酸溶液に溶解させた溶液の酸化還元電位を測定したものである。
火炉の運転中は、下段バーナ〜上段バーナの領域では、4価のバナジウムが支配しており、板型過熱器以降は5価のバナジウムの存在が確認された。過熱器以降では5価のバナジウムとなりやすいことがわかる。
ここで、炉底において、酸化還元電位が0.86Vとバナジウムの酸化数が5価状態を示すのは火炉を停止した際に取得した灰に関して測定したものである。火炉を停止させると付着灰は低温・高酸素状態にさらされるのでバナジウムの酸化数は5価状態となりやすい。
一般に、火炉内部温度が上昇したら、過熱器の温度上昇を防止するために、図2に示す減温器32が作動(スプレ弁33が作動して水34を減温器32内に供給して過熱蒸気温度を下げる。)して、過熱器を保護する制御を開始する。この場合には、炉内温度が通常よりも高い状態となっていることを示しており、成長した灰付着の厚さが許容値以上となって、炉内温度が上昇していることである。
すなわち、制御装置においてスプレ弁の開度情報を元に、負荷下げ運転行う指令を制御装置から行うようにすることで、灰付着情報を確実に取得して、燃焼装置の灰付着を低減することができる。
前記燃料添加剤(MgO)の傾斜配分投入の一例としては、上段バーナ13aを1、中段バーナ13bから0、下段バーナ13cから0の割合で添加する方法や、上段バーナ13aを0.8、中段バーナ13bから0.1、下段バーナ13cから0.1の割合で添加する方法等がある。
これにより、燃料添加剤によるバナジウムの融点上昇を抑えるようにしている。
このように燃料添加剤MgOをV2O5比でモル比1以上供給する理由は、ボイラ火炉後流側の部材の腐食(5価のバナジウム)を、MgOによって防止するためであるので、燃焼に影響を与えず、しかもバナジウムの融点上昇を防止するためである。
石油残渣系燃料中の灰分は0.5%程度と少ないので、固体物の石炭灰で希釈されることにより、灰の付着力は小さくなる。この結果、何も添加しない場合よりも付着灰の成長の期間が長くなる。
なお、上述のように固体物の添加量を規定するのは、5重量%を超えると、石油残渣系燃料の本来の燃焼に悪影響を与えることとなるからであり、一方、0.5重量%未満では添加効果が発現しないからである。
すなわち、溶融割合は(溶融量)/(固体物量+溶融物量)により決定され、固体物量を増大することで、溶融割合を相対的に低下させることができる。
よって、夏場の電力需要大の場合、所定期間(約2〜3週間程度)は、負荷下げ運転をせずに、定格運転をする際、固形物を供給することで、付着灰を抑制する。
さらに、添加剤として、鉄系添加剤、シリカ系添加剤を添加する(モル比:1〜10)ことで、付着の成長を防止するようにしてもよい。
よって、別途固形物を別途供給する必要がなく、定格運転の期間を長くすることができ、結果として低負荷運転の回数を少なくすることができる。
図7は、火炉断面概略図である。
図7に示すように、火炉11の内部に供給する燃料のバーナの配置を角部近傍に設置し、火炉11の各角部近傍から、壁面に沿うように燃料と空気とを供給する燃料供給バーナ13a−1〜13a−4を用いるものである。
11 火炉
12 燃料
13 燃料供給バーナ
15 燃焼領域
Claims (15)
- 石油系残渣を燃料とする燃焼装置の運転制御方法であって、
所定期間経過後に、定格運転から低負荷運転に変更する運転を行い、
前記低負荷運転の際に、火炉内を酸素リッチ状態として、火炉壁の伝熱管における灰付着を低減することを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項1において、
前記低負荷運転を、過熱蒸気中にスプレ水を供給して減温する減温装置への指令の際又はその後に行うことを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項1又は2において、
燃料に燃料添加剤を添加することを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項3において、
燃料に燃料添加剤を傾斜配分添加することを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
燃料供給バーナが、火炉壁面に沿って、燃料と空気とを吹き込み、炉壁近傍に酸素濃度の高い領域を形成することを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
火炉内に、固形物を添加し、灰溶融割合を相対的に低下することを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項6において、
前記固形物が、石炭灰、鉄系添加剤、シリカ系添加剤又はマグネシウム系添加剤の少なくとも一種であることを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 請求項1乃至7のいずれか一つにおいて、
定格運転の運転初期から低酸素運転を行い、灰中未燃焼分の割合を増大させることを特徴とする燃焼装置の運転制御方法。 - 石油系残渣を燃料とする燃焼装置であって、
還元雰囲気の火炉内に、燃料を供給する複数の燃料供給バーナと、
所定期間経過後に、定格運転から低負荷運転に変更する指示を前記燃料供給バーナに対して行う制御手段とを備えてなり、
前記低負荷運転の際に、火炉内を酸素リッチ状態として、火炉壁の伝熱管における灰付着を低減することを特徴とする燃焼装置。 - 請求項9において、
前記低負荷運転を、過熱蒸気中にスプレ水を供給して減温する減温装置の指令の際に行うことを特徴とする燃焼装置。 - 請求項9又は10において、
燃料供給バーナの下流側に、火炉内に空気を追加供給する空気供給ノズルを有することを特徴とする燃焼装置。 - 請求項9乃至11のいずれか一つにおいて、
燃料供給バーナが、火炉壁面に沿って、吹き込むことを特徴とする燃焼装置。 - 請求項9乃至12のいずれか一つにおいて、
火炉内に、固形物を添加することを特徴とする燃焼装置。 - 請求項9乃至13のいずれか一つにおいて、
前記固形物が、石炭灰、鉄系添加剤、シリカ系添加剤又はマグネシウム系添加剤の少なくとも一種であることを特徴とする燃焼装置。 - 請求項9乃至14のいずれか一つにおいて、
前記制御手段が、定格運転の運転初期から低酸素運転を行う制御を行うことを特徴とする燃焼装置。
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