JP6300666B2 - 熱分解ガスの燃焼方法、及び燃焼装置 - Google Patents

熱分解ガスの燃焼方法、及び燃焼装置 Download PDF

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本発明は、熱分解ガスの燃焼方法、及び燃焼装置に関する。
廃棄物ガス化溶融炉では、廃棄物を熱分解して得られたガスを燃焼して生じる高温の燃焼排ガスを廃熱ボイラで熱交換して熱エネルギーを回収している。このようにしてエネルギーの有効利用が図られている。このような廃熱ボイラで発生した蒸気は、発電に用いられる場合が多い。そこで、廃熱ボイラの発電効率を上げるために、蒸気温度を高くすることが求められる。しかしながら、蒸気温度を高くすると、廃熱ボイラの過熱器管が高温腐食を起こすことが懸念される。この腐食の要因としては、NaCl,KCl等の金属塩化物が過熱器管に付着して溶融し、塩素が過熱器管の金属表面の酸化膜を溶解することが挙げられる。
そこで、特許文献1では、燃焼排ガス中に硫酸塩等を加えて、廃棄物に含まれる金属塩化物を硫酸塩に変化させて、腐食性を低減する技術が提案されている。また、特許文献2では、煙道ガスに硫酸含有添加剤を添加して、煙道ガスに含まれる気体状アルカリ塩化物を硫酸化する技術が提案されている。
特許第3004557号明細書 特許第4028801号明細書
しかしながら、特許文献1では、実際の設備における硫黄塩等の硫黄含有化合物の供給方法について何ら検討がなされていない。また、特許文献2の方法では、燃焼排ガスが燃焼室から廃熱ボイラに移動する短時間の間に、燃焼排ガスに含まれる金属塩化物と硫黄化合物との反応が十分に進行しないことが懸念される。このように、従来の技術では、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に低減することが難しい状況にある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することが可能な熱分解ガスの燃焼方法、及び、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することが可能な熱分解ガスの燃焼装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、燃焼排ガスに含まれる金属塩化物を十分に低減できない理由を種々検討した。その結果、燃焼排ガスと硫黄化合物との混合が十分でなく、両者の反応が十分に進行していないことが原因であることが分かった。
そこで、本発明では、一つの側面において、廃熱ボイラを備える廃棄物ガス化溶融炉から発生する熱分解ガスの燃焼方法であって、縦型円筒形状を有する燃焼室に設置されるバーナから、燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に熱分解ガスを吐出して、燃焼室内において燃焼排ガスの旋回流を形成する工程と、旋回流に硫黄含有化合物を供給する工程と、を有する燃焼方法を提供する。
上記本発明によれば、燃焼室において燃焼排ガスの旋回流を形成し、その旋回流に硫黄含有化合物を供給している。これによって、燃焼排ガスと硫黄含有化合物との混合状態の均一性が向上し、短時間の間に、燃焼排ガスに含まれる塩化物と硫黄含有化合物との反応を十分に進行させることができる。これによって、燃焼排ガスに含まれる金属塩化物の含有量が十分に低減され、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。
上記硫黄含有化合物は、硫酸、硫酸アンモニウム、及び硫酸水素アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。これらは比較的安価であることから、低コストで廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。また、硫酸アンモニウム、及び硫酸水素アンモニウムを含有する場合、アンモニアによる還元反応によって、燃焼排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)含有量を低減することができる。
上記燃焼方法では、硫黄含有化合物と圧縮ガスとを2流体ノズルを用いて混合し、硫黄含有化合物を霧状にして供給することが好ましい。霧状にして供給することによって、硫黄含有化合物が気化し易くなって、金属塩化物との反応を一層促進することができる。
上記バーナにおいて、熱分解ガスの一部を一次空気によって燃焼し、一次空気とは別の二次空気を、旋回流に対して順方向になるように、燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に吐出して、熱分解ガスの一部を燃焼することによって、熱分解ガスを2段階で燃焼することが好ましい。このような方法であれば、二次空気が旋回流の旋回方向に沿って、燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に吐出されていることから、旋回流を乱すことなく二次空気を吐出することができる。また、一次空気と二次空気とを分けて吐出して供給することによって、燃焼室内のバーナ近傍における局所的な温度上昇が抑制されて、NOxを低減することができる。
二次空気の供給流路又は二次空気の吐出部において、硫黄含有化合物をノズルから吐出して旋回流に供給してもよい。これによって、燃焼排ガス中への硫黄含有化合物の分散の均一性を向上させることができる。
上記燃焼方法は、燃焼排ガスの硫黄酸化物の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する工程を有することが好ましい。これによって、過剰に硫黄含有化合物を供給することが抑制されて、排ガス中に含まれるSOxの量を低減することができる。
上記燃焼方法は、燃焼室と廃熱ボイラとの間における燃焼排ガスのNaClガス濃度及び/又はKClガス濃度の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する工程を有することが好ましい。これによって、燃焼排ガス中に未反応の塩化物が残存して、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を引き起こすことを十分に抑制することができる。
本発明では、別の側面において、廃熱ボイラを備える廃棄物ガス化溶融炉から発生する塩化物を含む熱分解ガスを燃焼する燃焼装置であって、縦型円筒形状を有する燃焼室と、燃焼室に設置され、熱分解ガスを燃焼するバーナと、燃焼室に硫黄含有化合物を供給する硫黄供給部と、を備えており、バーナは、燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に熱分解ガスを吐出して、燃焼室内において燃焼排ガスの旋回流を形成し、硫黄供給部は、旋回流に硫黄含有化合物を供給する燃焼装置を提供する。
上記本発明では、燃焼室に設置されたバーナが燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に熱分解ガスを吐出して、燃焼室内において燃焼排ガスの旋回流を形成する。そして、その旋回流に硫黄供給部が硫黄含有化合物を供給する。これによって、燃焼排ガスと硫黄含有化合物との混合状態の均一性が向上し、短時間の間に、燃焼排ガスに含まれる塩化物と硫黄含有化合物との反応を十分に進行させることができる。これによって、燃焼排ガスに含まれるアルカリ塩化物ガスの含有量が十分に低減され、廃熱ボイラの過熱器管でのアルカリ塩化物の析出を抑制して、溶融塩による過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。
上記硫黄供給部は、硫黄含有化合物と圧縮空気とを混合し硫黄含有化合物を霧状にして供給する2流体ノズルを有することが好ましい。このように、硫黄含有化合物を、2流体ノズルを用いて霧状にして供給することによって、硫黄含有化合物が気化し易くなって、塩化物との反応を一層促進することができる。
上記燃焼装置は、燃焼室の、バーナとは異なる位置に空気供給部を有し、空気供給部は、記旋回流に対して順方向に、燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に熱分解ガスの一部を燃焼する空気を吐出し、燃焼室において熱分解ガスを2段階で燃焼するように構成されることが好ましい。このような燃焼装置であれば、空気供給部が旋回流の旋回方向に沿って、燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に空気が吐出されている。このため、空気供給部は、旋回流を乱すことなく空気を吐出することができる。そして、空気供給部は、バーナとは別に、空気を吐出して供給していることから、燃焼室内のバーナ近傍における局所的な温度上昇が抑制されて、NOxを低減することができる。
硫黄供給部は、空気供給部の供給流路又は吐出部に硫黄含有化合物を吐出するノズルを有していてもよい。これによって、燃焼排ガス中への硫黄含有化合物の分散の均一性を向上させることができる。
上記燃焼装置は、燃焼室の下流側に、燃焼排ガスの硫黄酸化物濃度を測定する第1測定部と、第1測定部の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する第1調節部と、を有することが好ましい。これによって、硫黄供給部から、過剰な硫黄含有化合物の供給を抑制することが可能となり、排ガス中に含まれるSOxの量を低減することができる。
上記燃焼装置は、燃焼室と廃熱ボイラとの間における燃焼排ガスのNaClガス濃度及び/又はKClガス濃度を測定する第2測定部と、第2測定部の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する第2調節部と、を有することが好ましい。これによって、燃焼排ガス中に未反応の塩化物が残存して、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を引き起こすことを十分に抑制することができる。
本発明の熱分解ガスの燃焼方法によれば、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。また、本発明の燃焼装置によれば、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。
図1は、本発明の燃焼装置の一実施形態が適用された廃棄物ガス化溶融設備を示す概略図である。 図2は、図1の燃焼装置に備えられる燃焼室の縦断面図である。 図3は、図2に示す燃焼室のIII−III線断面図である。 図4は、実施例6の排気ガス中におけるNOx濃度の経時変化を示す図である。 図5(A)は、実施例7のサンプル管の断面の電子顕微鏡による画像の写真である。図5(B)は、図5(A)の画像に対応する、鉄元素の分布を示す画像の写真である。図5(C)は、図5(A)の画像に対応する、酸素元素の分布を示す画像の写真である。 図6(A)は、比較例2のサンプル管の断面の電子顕微鏡による画像の写真である。図6(B)は、図6(A)の画像に対応する、鉄元素の分布を示す画像の写真である。図6(C)は、図6(A)の画像に対応する、酸素元素の分布を示す画像の写真である。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図面において、同一または同等の要素には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態の燃焼装置が適用された廃棄物ガス化溶融設備を示す概略図である。廃棄物ガス化溶融設備100は、廃棄物ガス化溶融炉80、燃焼装置90、廃熱ボイラ20、排ガス減温塔30、バグフィルタ40、脱硝塔50及び煙突60を備える。燃焼装置90は、廃棄物ガス化溶融炉80から発生する塩化物を含む熱分解ガスを燃焼する。廃棄物ガス化溶融炉80は、廃棄物の灰分を溶融するとともに廃棄物の可燃分から熱分解ガスを発生する。廃棄物としては、都市ごみなどの一般廃棄物のみならず、工業廃棄物、木材、バイオチップ、わら、樹皮、おがくず、汚物等が挙げられる。このような廃棄物をガス化して得られる熱分解ガスには、例えば、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、メタンなどの炭化水素、及び窒素を主成分として含有する。
熱分解ガスは、ガス状成分以外に、ガス状成分に同伴される少量のダストを含む。このダストには、炭素分、NaCl,KCl,ZnCl,PbCl等の金属塩化物等を含む。
燃焼装置90は、縦型円筒形状を有する燃焼室10と、燃焼室10に設置され、廃棄物ガス化溶融炉80で発生した熱分解ガスを燃焼するバーナ12と、燃焼室10に硫黄含有化合物を供給する硫黄供給部14と、を備える。バーナ12は、燃焼室10の横断面でみたときに、燃焼室10の内壁の接線方向と平行方向に熱分解ガスを吐出して、燃焼室10内において燃焼排ガスの旋回流11を形成する。
硫黄供給部14は、バーナ12からの熱分解ガスが燃焼して生じた燃焼排ガスの旋回流11に、硫黄含有化合物を供給する。バーナ12及び硫黄供給部14は、本実施形態では燃焼室10の下部に設けられている。燃焼排ガスは、燃焼室10内を旋回しながら上昇する。硫黄供給部14から供給される硫黄化合物を、燃焼排ガスの旋回流11に添加することによって、燃焼排ガスと硫黄化合物との混合の均一性を十分に高くすることができる。これによって、熱分解ガスに由来する塩素化合物と硫黄化合物とを十分に反応させて硫酸塩とし、廃熱ボイラ20の過熱器管22における塩化物の析出を十分に抑制することができる。
硫黄供給部14は、バーナ12と同様に、燃焼室10の下部に設けられている。このため、燃焼室10において、塩素化合物と硫黄含有化合物との反応時間を十分に長くすることができる。燃焼室10における、塩素化合物と硫黄含有化合物の反応時間は、例えば2〜3秒間である。
硫黄含有化合物は、熱分解ガスに含まれる塩素化合物と反応する化合物である。硫黄含有化合物は、硫酸化合物、硫酸、金属硫化物、硫黄酸化物、有機硫黄化合物等が挙げられる。これらのうち、良好な反応性を有する観点、及びコストの観点から、硫酸及び硫酸化合物であることが好ましい。また、燃焼排ガス中のNOx低減及びハンドリングの容易性の観点、並びに一層良好な反応性を有しつつ設備の腐食が低減する観点から、硫酸化合物のうち、硫酸水素アンモニウム及び硫酸アンモニウムが好ましい。これらの化合物の熱分解によって生成するアンモニアガスによって、燃焼排ガス中のNOxを低減することができる。
硫黄含有化合物は、水溶液として硫黄供給部14から供給することが好ましい。これによって、ハンドリングが容易であり、容易に霧状にして供給することができる。また、供給量の調節を容易に行うことができる。硫黄含有化合物の供給量は、廃棄物中のナトリウム化合物及びカリウム化合物等の金属塩化物の量に応じて、変更してもよい。廃棄物に含まれるNa及びKの総量に対する、硫黄含有化合物の硫黄換算の供給量の重量比は、例えば0.1〜0.4としてもよい。このような範囲で硫黄含有化合物を供給することによって、過熱器管22の腐食を十分に抑制しつつ、後工程における脱硫の負荷を軽減することができる。
図2は、燃焼装置90における燃焼室10の縦断面図である。燃焼室10の下部に、バーナ12と、バーナ12とは異なる位置に硫黄供給部14とが設けられている。燃焼室10の下部に、バーナ12と硫黄供給部14とを設けることによって、塩化物と硫黄含有化合物との反応時間を確保することができる。バーナ12には、熱分解ガス化溶融炉からの熱分解ガス82と一次空気12aとが供給される。熱分解ガス82の温度は、例えば300〜500℃である。熱分解ガス82は、バーナ12によって燃焼されて、燃焼排ガスとなる。燃焼排ガスは、縦型円筒形状の内部を旋回しながら上昇する。
硫黄供給部14は、圧縮ガスによって液状の硫黄含有化合物を燃焼排ガスの旋回流11に向けて噴霧する2流体ノズルで構成されている。2流体ノズルでは、内側流路から液状の硫黄含有化合物14aを、外側の流路から圧縮空気等の圧縮ガス14bを供給する。これによって、圧縮ガスと硫黄含有化合物とが十分に混合され、硫黄含有化合物が霧状になって吐出される。2流体ノズルが霧状の硫黄含有化合物を吐出することによって、旋回流11において硫黄含有化合物が気化し易くなり、塩化物と硫黄含有化合物との反応を一層促進することができる。硫黄含有化合物を気化し易くする観点から、霧状の硫黄含有化合物の液滴径は、例えば、200μm以下である。圧縮ガスとしては、空気、酸素、又は窒素等を用いることができる。圧縮ガスの圧力は、例えば0.3〜0.4MPaである。
硫黄供給部14は、二次空気15aの供給流路15(空気供給部)に配置され、二次空気15a中に硫黄供給部14を供給してもよい。また、硫黄供給部14は、二次空気15aの吐出部15bに硫黄含有化合物を供給してもよい。供給流路15又は吐出部15bに硫黄含有化合物を供給することによって、硫黄供給部14からの硫黄含有化合物を燃焼排ガスの旋回流11に合流させたときに、燃焼排ガス中への硫黄含有化合物の分散の均一性を一層向上させることができる。また、二次空気15aが硫黄供給部14を冷却することができるため、温度上昇に伴う2流体ノズルの閉塞や、熱変形等を抑制することができる。
図3は、図2に示す燃焼室10のIII−III線断面図であり、燃焼室10の横断面図である。燃焼室10の横断面(水平方向断面)でみたときに、バーナ12は、バーナ12からの熱分解ガス82及び一次空気12aの吐出方向D1が、縦型円筒形状の燃焼室10の中心軸Pからずれるように設けられている。すなわち、バーナ12は、燃焼室10にタンデンシャルに設けられている。これによって、燃焼室10の横断面でみたときに、バーナ12から、燃焼室10の内壁の接線方向L1と平行方向に熱分解ガス及び一次空気が吐出される。バーナ12からの熱分解ガス82及び一次空気12aの吐出方向D1は、バーナ12の長手方向に一致する。バーナ12からの熱分解ガス82の少なくとも一部は、一次空気12aによって燃焼され、燃焼排ガスが生成する。
二次空気の供給流路15も、燃焼室10の横断面でみたときに、二次空気15aの吐出方向D2が燃焼室10の中心軸Pからずれるように設けられている。すなわち、二次空気の供給流路15も、燃焼室10にタンデンシャルに設けられている。これによって、燃焼室10の横断面でみたときに、供給流路15から、燃焼室10の内壁の接線方向L2と平行方向に二次空気15aが供給される。供給流路15からの二次空気の吐出方向D2は、供給流路15の長手方向に一致する。
供給流路15に配置された2流体ノズル14は、燃焼室10の横断面でみたときに、霧状の硫黄含有化合物の吐出方向D3が燃焼室10の中心軸Pからずれるように設けられている。すなわち、2流体ノズル14も、燃焼室10にタンデンシャルに設けられている。これによって、燃焼室10の横断面でみたときに、2流体ノズル14から、燃焼室10の横断面における内壁の接線方向L2と平行方向に霧状の硫黄含有化合物が供給される。2流体ノズル14からの硫黄化合物の吐出方向D3は、2流体ノズル14の長手方向に一致する。2流体ノズル14からの硫黄化合物の吐出方向D3は、供給流路15からの二次空気15aの吐出方向D2に一致している。
二次空気15a及び霧状の硫黄含有化合物は、それぞれ、燃焼室10の横断面でみたときに、供給流路15及び2流体ノズル14から、燃焼排ガスの旋回流11の進行方向に対して、順方向に供給される。これによって、二次空気15a及び硫黄含有化合物は、旋回流11の旋回を妨げることなく、旋回流11の燃焼排ガスに合流する。したがって、硫黄含有化合物と燃焼排ガスとの混合状態の均一性を一層高くすることができる。硫黄含有化合物は、バーナ12からの火炎中、又は火炎の終端付近に噴霧することが好ましい。
二次空気15aは、バーナ12で燃焼されなかった熱分解ガスを完全燃焼させる。霧状の硫黄含有化合物は、旋回流11に含まれる金属塩化物と反応する。熱分解ガス82及び燃焼室10における燃焼排ガスの組成の一例を表1に示す。表1に示すとおり、熱分解ガス82は、ガス状成分とダストとを含有している。熱分解ガス82及び燃焼排ガスには、微量成分として金属塩化物が含まれる。この金属塩化物は、主にダストに含まれるが、蒸気圧に応じてガス状成分にも含まれ得る。ただし、表1には金属塩化物はダストに含まれる前提での組成を示している。燃焼装置90では、燃焼排ガスの旋回流11に硫黄供給部14から硫黄含有化合物を吹き込んでいる。このため、硫黄含有化合物と燃焼排ガス中の金属塩化物とを反応させることによって、燃焼排ガスに含まれる金属塩化物を低減することができる。
表1のガス状成分は、dryベースの値である。熱分解ガスは、水分を30〜50体積%含有する。燃焼排ガスは、水分を20体積%含有する。熱分解ガスに含まれるダストは、炭素を30〜50質量%含有する。その他に、元素換算で、Sを0.6質量%、Clを2〜10質量%、Oを5〜10質量%含有する。熱分解ガス及び燃焼排ガスのダストには、NaCl,KCl等の金属塩化物が含まれる。
硫黄含有化合物は、燃焼室10内に供給されると、加熱分解されてSOxを発生させる。このSOxが、燃焼排ガスに含まれる金属塩化物と反応する。反応式の一例を、下記式(1)〜(4)に示す。
2KCl+SO+HO+1/2O → KSO+2HCl (1)
ZnCl+SO+HO+1/2O
→ ZnSO+2HCl (2)
SnCl+SO+HO+1/2O
→ SnSO+2HCl (3)
PbCl+SO+HO+1/2O
→ PbSO+2HCl (4)
上述のような反応によって生じる硫酸塩は、当該硫酸塩に対応する塩化物よりも高い融点を有する。また、各塩化物の蒸気圧に比べて、硫酸塩化によって大幅に蒸気圧を低下することができる。これによって、ガス状塩類の濃度を低減することができる。その結果、廃熱ボイラ20の過熱器管22への塩の析出が抑制されるとともに、析出した塩が容易に溶融しないことから、過熱器管における腐食を十分に抑制することができる。
燃焼室10で生じた燃焼排ガスは、図1に示すとおり、燃焼室10の上部から連結管21を経由して廃熱ボイラ20に導入される。燃焼装置90は、熱分解ガスに含まれるNaCl,KClなどの金属塩化物を、廃熱ボイラ20の過熱器管22の上流側において、硫黄化合物と、上記式(1)〜(4)のような反応式で反応させる。これによって、下流側の過熱器管22に付着する塩化物を低減し、腐食を抑制する。
図1に示すように、硫黄供給部14には、硫黄含有化合物が貯留された貯留槽17が連結されている。硫黄含有化合物は、貯留槽17から配管19を経由して硫黄供給部14に供給される。
燃焼室10で生じた900〜1000℃程度の温度を有する燃焼排ガスは、旋回流11となって燃焼室10内を上昇し、燃焼室10の上部に連結された連結管21を流通して、廃熱ボイラ20に導入される。廃熱ボイラ20は、複数の過熱器管22を有している。過熱器管22において、例えば300〜450℃の過熱蒸気としている。廃熱ボイラ20の底部からは、燃焼排ガスに同伴されたダスト25を排出することができる。
連結管21には、燃焼排ガスに含まれるガス状のNaCl及び/又はKClの濃度を測定する第2測定部26を設けてもよい。第2測定部26における燃焼排ガス中のNaCl及び/又はKClの濃度の測定結果に基づいて、硫黄供給部14からの硫黄含有化合物の供給量を調節してもよい。これによって、廃棄物に含まれる塩化物の量が変動して、燃焼排ガスに含まれるNaCl,KClの含有量が変動した場合にも、硫黄供給部14からの硫黄含有化合物の供給量を調節することによって、廃熱ボイラ20の過熱器管22にこれらの塩化物が析出することを抑制することができる。第2測定部26としては、測定するガスの吸収波長特性を利用したレーザ式測定装置を用いることができる。
硫黄含有化合物の供給量は、第2測定部26におけるNaCl及び/又はKClの濃度の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する第2調節部36をフィードバック制御することによって調節することができる。第2調節部36の一例として、硫黄化合物を硫黄供給部14に供給する配管19にバルブが設けられている。なお、第2測定部26の位置は、燃焼室10と廃熱ボイラ20の過熱器管22との間であれば、特に限定されない。
廃熱ボイラ20では、燃焼排ガスは、熱交換によって170〜250℃まで冷却される。廃熱ボイラ20で熱エネルギーが回収された燃焼排ガスは、排ガス減温塔30で、例えば150〜170℃に冷却される。廃熱ボイラ20を流通した燃焼排ガスには、塩化水素(HCl)及び硫黄酸化物(SOx)が含まれている。このため、排ガス減温塔30の下流側で消石灰34を加えて、塩化水素及び硫黄酸化物と反応させ、カルシウム化合物として除去することができる。
廃熱ボイラ20の下流側、且つ消石灰34の添加箇所よりも上流側の燃焼排ガスの流路には、燃焼排ガスの硫黄酸化物の濃度を測定する第1測定部32を設けてもよい。第1測定部32における燃焼排ガス中の硫黄酸化物濃度の測定結果に基づいて、硫黄供給部14からの硫黄含有化合物の供給量を調節してもよい。これによって、硫黄供給部14から、過剰に硫黄含有化合物が供給されることを抑制することができる。また、廃棄物の質、量の変動に伴って、燃焼排ガス中の金属塩化物濃度が変動した場合に、金属塩化物濃度の変動に応じて、硫黄含有化合物の供給量を調節することができる。
硫黄含有化合物の供給量は、第1測定部32における硫黄酸化物濃度の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する第1調節部37をフィードバック制御することによって調節することができる。第1調節部37の一例として、硫黄化合物を硫黄供給部14に供給する配管19にバルブが設けられている。第1調節部37と第2調節部36は、同一のバルブであってもよく、別々のバルブであってもよい。なお、第1測定部32の位置は、消石灰34を添加する位置よりも上流側であれば、特に限定されない。
排ガス減温塔30及び消石灰34の添加箇所よりも下流側には、バグフィルタ40が設けられている。硫黄酸化物と消石灰の反応によって生じた石膏は、バグフィルタ40によって捕集される。硫黄酸化物が低減された燃焼排ガスは、脱硝触媒が充填された脱硝塔50を流通した後、煙突60から大気中に放出される。
本実施形態の燃焼装置90では、燃焼室10の横断面でみたときに、燃焼室10に設置されたバーナ12が燃焼室10の内壁の接線方向L1と平行方向に熱分解ガスを吐出して、燃焼室10内において燃焼排ガスの旋回流11を形成する。硫黄供給部14は、旋回流11に硫黄含有化合物を供給する。これによって、燃焼排ガスと硫黄含有化合物との混合状態の均一性が向上し、短時間の間に、燃焼排ガスに含まれる塩化物と硫黄含有化合物との反応を十分に進行させることができる。したがって、燃焼排ガスに含まれるガス状金属塩化物の含有量が十分に低減され、廃熱ボイラ20の過熱器管22の腐食を十分に抑制することができる。
上述の燃焼装置90を用いる熱分解ガスの燃焼方法は、例えば、バーナ12から、燃焼室10の内壁の接線方向L1と平行方向に熱分解ガスを吐出して、燃焼室10内において燃焼排ガスの旋回流11を形成する第1工程と、旋回流11に硫黄含有化合物を供給する第2工程とを有する。
この燃焼方法では、燃焼室10において燃焼排ガスの旋回流11を形成し、旋回流11に硫黄含有化合物を供給している。これによって、燃焼排ガスと硫黄含有化合物との混合状態の均一性が向上し、短時間の間に、燃焼排ガスに含まれるガス状金属塩化物と硫黄含有化合物との反応を十分に進行させることができる。したがって、燃焼排ガスに含まれるガス状アルカリ塩化物の含有量が十分に低減され、廃熱ボイラ20の過熱器管22の腐食を十分に抑制することができる。
第1工程では、バーナ12において、熱分解ガスの一部を一次空気12aによって燃焼し、燃焼室10の横断面でみたときに、二次空気15aを、旋回流11の旋回方向に対して順方向に、燃焼室10の内壁の接線方向L2と平行方向に吐出して、熱分解ガスの一部を燃焼することができる。すなわち、熱分解ガスを2段階で燃焼させている。
この燃焼方法は、第1測定部32における燃焼排ガスの硫黄酸化物の測定結果に基づいて、硫黄供給部14からの硫黄含有化合物の供給量を調節する工程をさらに有していてもよい。また、第2測定部26における燃焼排ガスのNaClガス濃度及び/又はKClガス濃度の測定結果に基づいて、硫黄含有化合物の供給量を調節する工程をさらに有していてもよい。これらの燃焼方法は、燃焼装置90についての上述の説明内容と同様にして実施することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。上記実施形態では、二次空気の供給流路15に硫黄供給部14を配置したが、別の幾つかの実施形態では、硫黄供給部14は、二次空気の供給流路15とは別の位置に設置してもよい。硫黄供給部14、供給流路15、及びバーナ12は、それぞれ位置の高さが異なっていてもよい。燃焼室10に設けられるバーナ12、二次空気の供給流路15及び硫黄供給部14は、それぞれ一つであってもよく複数であってもよい。硫黄供給部14は、2流体ノズルに限定されず、通常のノズルで供給してもよい。硫黄含有化合物は、水溶液に限定されず、例えば粉末状のものを、旋回流11に供給してもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明の内容をより詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜5)
図1に示す燃焼装置90において、燃焼室10における燃焼排ガスの旋回流11に、硫黄供給部14から、硫酸アンモニウム(硫安)の水溶液(硫酸アンモニウム濃度:40質量%)を噴霧した。燃焼室10の出口における燃焼排ガスの温度は900〜1000℃であり、鉛直方向に沿った燃焼排ガスの流速は4m/秒であった。廃熱ボイラ20の過熱器管22の上流側にサンプル管(SUS310S、外径:38mm、厚み:3.5mm)を設置した。このチューブ内にヒータにより温度を制御された空気を導入し、サンプル管の温度を450℃にコントロールした。
各実施例では、表2に示すとおり、硫酸アンモニウム水溶液を、48〜240kg/日の流量で供給した。各実施例では、24時間運転を行った後、サンプル管の腐食量を評価した。また、運転期間中、第1測定部32によって、燃焼排ガス中の硫黄酸化物(SOx)濃度の測定を行った。測定結果は表2に示すとおりであった。サンプル管の減肉厚みは、サンプル管の表面に生じた錆(酸化鉄)の厚さとした。この錆の厚さは、以下の手順で求めた。
サンプル管をエポキシ樹脂に埋め込み、ドーナツ型に切断して切断面を研磨した。研磨面の外周面側を、EPMA(エレクトロンプローブマイクロアナリシス)によって面分析を行って、鉄元素及び酸素元素の分布を調査し、酸化鉄の厚みを求めた。鉄:酸化鉄の体積比を1:4として、酸化鉄の厚みから、腐食による減肉厚みを計算(酸化鉄の厚み/4)により求めた。結果は表2に示すとおりであった。また、24時間の減肉厚みの結果に基づいて、1年間の減肉厚みを算出した。この結果も表2に併せて示す。
(比較例1)
硫酸アンモニウム(硫安)の水溶液を噴霧しなかったこと以外は、実施例1〜5と同様にして燃焼装置90の運転を行った。燃焼排ガス中の硫黄酸化物の濃度及びサンプル管の減肉量は表2に示すとおりであった。
表2には、硫酸アンモニウム水溶液の硫黄換算の供給量を示している。廃棄物ガス化溶融炉80にて40トン/日の廃棄物処理を行う場合、そのうちの約5質量%が飛灰となる。飛灰におけるNa及びKの比率が6〜8質量%とすると、Na及びKの総量は、120〜160g/日となる。Na及びKの原子量は約23及び約39であることから、平均の原子量を30とすると、Na及びKの総量は、140(kg)/30(g/mol)=4.6kmol/日と概算される。この概算値に基づいて、表2には、(Na及びKの総量)/(硫酸アンモニウム水溶液の硫黄換算の供給量)の値を、S/(Na+K)として示した。
表2に示すとおり、比較例1に比べて、硫酸アンモニウム水溶液を供給した実施例1〜5では、サンプル管の減肉量を十分に低減することができた。また、実施例1〜5では、硫酸アンモニウム水溶液の添加量の増加に伴ってSOx濃度が増加する傾向にあった。SOx濃度を150vol ppm以下にするためには、廃棄物に含まれるNa及びKの総量に対する、硫黄含有化合物の硫黄換算量の重量比率は、0.32以下とすることが好ましい。なお、生成したSOxは、排ガス減温塔30の下流側で供給される消石灰34と反応し、バグフィルタ40にて硫酸カルシウムとして回収される。
(実施例6)
図1に示す燃焼装置90に、硫酸アンモニウム水溶液を138kg/日で断続的に供給して、第3測定部24におけるNOx濃度の経時変化を測定した。第3測定部24として、化学発光式NOx計を用いた。図4は、NOx濃度とO濃度の経時変化を示している。図4中、「吹込」の時間帯では硫酸アンモニウム水溶液を供給し、その他の時間帯では硫酸アンモニウム水溶液を供給しなかった。図4の結果から、硫酸アンモニウム水溶液を供給することによって、燃焼排ガス中のNOxも低減できることが確認された。
(実施例7)
図1に示す燃焼装置に硫酸アンモニウム水溶液を90kg/日で供給しながら、19時間継続して運転を行い、実施例1〜5と同様にしてサンプル管の評価を行った。図5は、EPMA(エレクトロンプローブマイクロアナリシス)による画像の写真(倍率:100倍)である。図5(A)は、サンプル管の断面の電子顕微鏡像の写真である。図5(B)は、図5(A)と同じ位置における鉄元素の分布を示す画像の写真である。図5(C)は、図5(A)と同じ位置における酸素元素の分布を示す画像の写真である。各画像の中央部に、サンプル管の外周面付近の断面が拡大して映し出されている。
図5(A)の白い部分が、鉄を主成分とするサンプル管の内部の断面である。この断面の上、すなわち、サンプル管の外周部には、Na,K等のアルカリ金属、Ca等のアルカリ土類金属、及びPb,Zn等の重金属等の塩化物、並びにこれらの硫酸塩を含む付着物が付着している。図5(B)及び図5(C)の写真から、サンプル管の外周面に酸化鉄が生成していることが確認された。そして、酸化鉄は、鉄を主成分とする部分に隣接して生成していることが確認された。酸化鉄の厚みを、任意に選択した10箇所で測定し、その平均値を求めたところ、20μmであった。この酸化鉄の厚みから、腐食による減肉厚みを計算(酸化鉄の厚み/4)により求めた。その結果、減肉厚みは5μmであった。
(比較例2)
硫酸アンモニウム水溶液を供給しなかったこと以外は、実施例7と同様にして、19時間継続して運転を行い、実施例1〜5と同様にしてサンプル管の評価を行った。図6は、EPMAによる画像の写真(倍率:100倍)である。図6(A)は、サンプル管の断面の電子顕微鏡像の写真である。図6(B)は、図6(A)と同じ位置における鉄元素の分布を示す画像の写真である。図6(C)は、図6(A)と同じ位置における酸素元素の分布を示す画像の写真である。各画像の中央部に、サンプル管の外周面付近の断面が拡大して映し出されている。
図6(A)の白い部分が、鉄を主成分とするサンプル管の内部の断面である。この断面の上、すなわち、サンプル管の外周部には、Na,K等のアルカリ金属、Ca等のアルカリ土類金属、及びPb,Zn等の重金属等の塩化物、並びにこれらの硫酸塩を含む付着物が付着している。図6(B)及び図6(C)の写真から、サンプル管の外周面に酸化鉄が生成していることが確認された。この酸化鉄は、図5(B)及び図5(C)に比べて、鉄を主成分とする部分から離れて生成していた。このことは、比較例2の方が実施例7よりも腐食が進行していることを示している。比較例2において、酸化鉄の厚みを、任意に選択した10箇所で測定し、その平均値を求めたところ、44μmであった。この酸化鉄の厚みから、腐食による減肉厚みを計算(酸化鉄の厚み/4)により求めた。その結果、減肉厚みは11μmであった。
図5と図6との対比から、実施例7の方が比較例2よりも、腐食が十分に抑制されることが確認された。
(実施例8)
図1に示す燃焼装置に硫酸アンモニウム水溶液を90kg/日で供給しながら、実施例1〜5と同様の運転条件で、100日間継続して運転を行った、この間、実施例1〜5と同様にして、サンプル管を設置して運転を行った。なお、設置前のサンプル管の径方向に沿う厚みを、12箇所においてノギスを用いて測定した。具体的には、サンプル管の長手方向に沿って、互いに異なる(1)、(2)、(3)の3つの位置を選択した。(1)、(2)、(3)のそれぞれの位置において、径方向断面の厚みを4箇所(A,B,C,D)で測定した。このとき、径方向断面において、A,Bを結ぶ線分とC,Dを結ぶ線分とが直交するように測定箇所を選定した。それぞれの測定箇所における厚みは表3に示すとおりであった。
100日間継続して燃焼装置の運転を行った後、サンプル管を取り出して、サンプル管の表面に付着していた錆を真鍮ブラシで磨いて除去した。除去後のサンプル管のそれぞれについて、上記12箇所の厚みを、ノギスで用いて測定した。測定結果は表3に示すとおりであった。なお、表3に示す厚みの単位はmmである。サンプル管のそれぞれについて、設置前の厚みの測定値から100日経過後の厚みの測定値を引いて、腐食による減肉量を算出した。この結果から、サンプル管の減肉量は0.23〜0.43mmであった。なお、減肉量の大きさは、位置(1)、位置(2)、位置(3)の順番であった。これは、位置(1)の外表面温度が最も高く、位置(3)の外表面温度が最も低いことに起因していると考えられる。
(比較例3)
硫酸アンモニウム水溶液を供給しなかったこと、及び44日間継続して燃焼装置の運転を行ったこと以外は、実施例7と同様にして、運転を行い、実施例8と同様にしてサンプル管の厚みの測定を行った。測定結果は表3に示すとおりであった。サンプル管の減肉量は0.25〜0.45mmであった。
表3に示すとおり、全ての位置において、硫酸アンモニウム水溶液を供給した実施例8の方が、比較例3よりも運転期間が長いにもかかわらず、減肉量が小さかった。すなわち、硫黄含有化合物を供給した実施例8では、サンプル管の腐食を十分に抑制することができた。
本発明の熱分解ガスの燃焼方法によれば、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。また、本発明の燃焼装置によれば、廃熱ボイラの過熱器管の腐食を十分に抑制することができる。
10…燃焼室、11…旋回流、12…バーナ、12a…一次空気、14…硫黄供給部(2流体ノズル)、15…供給流路、15a…二次空気、15b…吐出部、17…貯留槽、19…配管、20…廃熱ボイラ、21…連結管、22…過熱器管、24…第3測定部、25…ダスト、26…第2測定部、30…排ガス減温塔、32…第1測定部、34…消石灰、36…第2調節部、37…第1調節部、40…バグフィルタ、50…脱硝塔、60…煙突、80…廃棄物ガス化溶融炉、82…熱分解ガス、90…燃焼装置、100…廃棄物ガス化溶融設備。

Claims (10)

  1. 廃熱ボイラを備える廃棄物ガス化溶融炉から発生する熱分解ガスの燃焼方法であって、
    縦型円筒形状を有する燃焼室に設置され、前記熱分解ガスの一部を一次空気によって燃焼するバーナから、前記燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に前記熱分解ガスを吐出して、前記燃焼室内において燃焼排ガスの旋回流を形成し、前記一次空気とは別の二次空気を前記旋回流に対して順方向になるように、前記燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に吐出して、前記熱分解ガスの一部を燃焼することによって、前記熱分解ガスを2段階で燃焼する工程と、
    前記二次空気の供給流路に内設されるノズルから、前記二次空気の吐出部に硫黄含有化合物を吐出して、前記旋回流に向けて硫黄含有化合物を供給する工程と、を有する燃焼方法。
  2. 前記硫黄含有化合物は、硫酸、硫酸アンモニウム、及び硫酸水素アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の燃焼方法。
  3. 前記ノズルは2流体ノズルであり、前記硫黄含有化合物と圧縮ガスとを前記2流体ノズルを用いて混合し、前記硫黄含有化合物を霧状にして供給する、請求項1又は2に記載の燃焼方法。
  4. 前記燃焼排ガスの硫黄酸化物濃度の測定結果に基づいて、前記硫黄含有化合物の供給量を調節する工程を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の燃焼方法。
  5. 前記燃焼排ガスのNaClガス濃度及び/又はKClガス濃度の測定結果に基づいて、前記硫黄含有化合物の供給量を調節する工程を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の燃焼方法。
  6. 廃熱ボイラを備える廃棄物ガス化溶融炉から発生する塩化物を含む熱分解ガスを燃焼する燃焼装置であって、
    縦型円筒形状を有する燃焼室と、
    前記燃焼室に設置され、前記熱分解ガスの一部を一次空気によって燃焼するバーナと、
    前記燃焼室の、前記バーナとは異なる位置に空気供給部と、
    前記燃焼室に硫黄含有化合物を供給する硫黄供給部と、
    を備えており、
    前記バーナは、前記燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に前記熱分解ガスを吐出して、前記燃焼室内において燃焼排ガスの旋回流を形成し、
    前記空気供給部は、前記旋回流に対して順方向になるように、前記燃焼室の内壁の接線方向と平行方向に前記熱分解ガスの一部を燃焼する二次空気を吐出し、前記燃焼室において前記熱分解ガスを2段階で燃焼し、
    前記硫黄供給部は、前記二次空気の供給流路に内設されるノズルから、前記二次空気の吐出部に硫黄含有化合物を吐出し、前記旋回流に向けて前記硫黄含有化合物を供給する燃焼装置。
  7. 前記硫黄含有化合物は、硫酸、硫酸アンモニウム、及び硫酸水素アンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項に記載の燃焼装置。
  8. 前記硫黄供給部における前記ノズルは2流体ノズルであり、前記2流体ノズルは、前記硫黄含有化合物と圧縮ガスとを混合し前記硫黄含有化合物を霧状にして供給する、請求項又はに記載の燃焼装置。
  9. 前記燃焼排ガスの硫黄酸化物濃度を測定する第1測定部と、
    前記第1測定部の測定結果に基づいて、前記硫黄含有化合物の供給量を調節する第1調節部と、を有する、請求項6〜8のいずれか一項に記載の燃焼装置。
  10. 前記燃焼排ガスのNaClガス濃度及び/又はKClガス濃度を測定する第2測定部と、
    前記第2測定部の測定結果に基づいて、前記硫黄含有化合物の供給量を調節する第2調節部と、を有する、請求項6〜9のいずれか一項に記載の燃焼装置。
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