JP2005207697A - 溶融炉の排ガス処理方法及び処理装置 - Google Patents

溶融炉の排ガス処理方法及び処理装置

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JP2005207697A JP2004016826A JP2004016826A JP2005207697A JP 2005207697 A JP2005207697 A JP 2005207697A JP 2004016826 A JP2004016826 A JP 2004016826A JP 2004016826 A JP2004016826 A JP 2004016826A JP 2005207697 A JP2005207697 A JP 2005207697A
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Abstract

【課題】溶融炉から排出された排ガス又はこの排ガス中の還元性ガスを燃焼した排ガス中の塩化水素、硫黄酸化物等の有害成分を低濃度まで除去することができる溶融炉の排ガス処理方法及び処理装置を提供すること。
【解決手段】廃棄物や該廃棄物に燃料を添加したものを溶融炉で溶融し、発生する排ガスを処理するプラズマ溶融炉1の排ガス処理装置において、プラズマ溶融炉1の出口から排出された排ガス102に冷却空気103を供給する冷却空気供給装置5と、該冷却空気103と該排ガス102を混合するガス冷却室6と、該ガス冷却室6の出口から排出される排ガスにアルカリ剤104を供給するアルカリ剤供給装置9と、該アルカリ剤供給装置9の後段に温水107若しくは温水107と共に水蒸気105によって水分を調整する水分調整手段を設けたことを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、都市ごみ、し尿汚泥、下水汚泥、焼却灰及び焼却飛灰等の廃棄物若しくは該廃棄物に燃料を加えたものを、溶融炉で溶融処理したときに発生する排ガス方法及び処理装置に関するものである。
炉内温度が1300℃と高温となる溶融炉で廃棄物を溶融すると、溶融炉から飛灰とともに高濃度の塩化水素や硫黄酸化物等の有害且つ腐食性のある成分を含む高温排ガスが発生するため、該排ガスを処理する必要がある。溶融炉からの排ガスは溶融炉の加熱方式によりその量や性状が異なる。溶融炉としては、燃料油、可燃ガス、コークス等を主熱源とし、排ガス量が多い燃料燃焼式溶融炉と、焼却炉での燃焼熱を利用して発電設備をもったプラント等で電力を主熱源とし、燃料式に比べ排ガス量の少ない電気式溶融炉がある。
溶融炉から排出される排ガスの性状及び処理方式に関して大きく二通りの場合がある。一つは、燃料燃焼式の表面溶融炉やコークスベッド式溶融炉、加熱用に炉の上部から挿入された電極に黒鉛を使用するか加熱補助用にコークス等の固形燃料を廃棄物に加えるアーク炉、電気抵抗炉、プラズマ溶融炉等では、溶融炉出口でCO等のいわゆる還元性ガスを含んだガスが排出される。この還元性ガスを含む排ガスは一旦チャンバー式の燃焼室に入りバーナー等で燃焼された後、排ガス温度を下げるため主として水を噴霧する減温塔を経た後、消石灰等を用いて塩化水素、硫黄酸化物等の有害成分を中和した後バグフィルタ等で除塵され、最終的には煙突から排出させる方式である。
もう一つは炉の上部等から挿入された金属製のトーチで加熱するプラズマ溶融炉で、焼却灰等を溶融する溶融方式であり、炉内では焼却灰中に僅かに含まれる未燃カーボンに由来するCOガスが発生するが炉内で燃焼し殆どがCO2になってしまい、還元性ガスを殆ど含まないガスが排出される。排ガスは一旦チャンバー式のガス冷却室に入り、排ガス温度を下げるため水は使用せず常温の冷却用の空気を導入して冷却した後、消石灰等を用いて塩化水素、硫黄酸化物等の有害成分を中和後バグフィルタ等で除塵し、最終的には煙突から排出される方式である。
前記いずれの排ガス処理方式においても溶融炉からは高濃度の塩化水素、硫黄酸化物が排出されるため、これらの有害物質を除去するため排ガス処理が行われている。
炉内でCO等還元性ガスが発生し、後段で排ガス中の還元性ガスを処理するタイプの溶融炉の場合、排ガス処理は図5に示すように灰溶融炉51から排出された排ガスは燃焼室58で燃焼され約1000〜1200℃の排ガスを水、空気を冷却媒体53として冷却装置54で250℃以下(約100〜180℃)に冷却した後にアルカリ中和剤55を添加してバグフィルタ等の集塵機56に導入し、硫黄酸化物、塩化水素等を含む有害物を除去する方法である。
一方還元性ガスが炉内から僅かしか発生しないタイプの溶融炉の排ガス処理は、特許文献2に開示されている。そこでは図6に示されているように、プラズマアーク炉79の排ガス出口72には混合室73が連結されており、該混合室73にバルブ83を介して空気を導入して排ガス温度を250℃以下とした後、バグフィルタ74の入口直前の排ガスダクト84内に消石灰貯槽87から消石灰フィーダ86を介してブロア88により消石灰を吹き込むことにより、塩化水素(HCl)等の有害ガスを除去した後、アンモニアガス供給装置89からアンモニアガスを供給し窒素酸化物を除去する脱硝装置75を設け、窒素酸化物を除去した排ガスは誘引送風機を通して煙突91から排出される構成である。なお、図6において、71はプラズマトーチ、76は灰ホッパ、77は灰供給装置、78は焼却灰投入シュート、80はスラグ排出口、81はスラグ生成装置、90は誘引送風機である。
特開平7−127841号公報
排ガス中の硫黄酸化物については、排ガス中の水分を上げて排ガス温度を下げると除去効果が向上することは知られている(例えば「世界の排煙浄化技術」(財)石炭技術研究所、平成2年8月)。上記図5に示す排ガス処理方法によれば、COの発生量が多いと燃焼空気及び燃料が多量になるため燃焼熱の冷却も必要であり、200℃程度まで空気のみで冷却すると排ガス量が増加し排ガス処理設備が過大になるため、水による冷却は避けられなかった。
冷却のため空気を減らし代りに水を注入すると、水注入部から下流側のダクト等でダストの付着による閉塞トラブルが生じやすかった。これは、灰溶融炉からの発生飛灰中にNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4等の塩類が多量に含まれており、500℃〜1000℃ではこれら塩類が付着しやすく、水分自体の存在が付着を増長させていた。また、排ガス中の高濃度の硫黄酸化物と蒸発しきらない水により、低温下で硫酸がダクト等の内壁で生成され所謂低温腐食トラブルもあった。
一方、排ガス中の塩化水素を乾式で消石灰により除去する場合は、除去前の塩化水素濃度が高いほど除去効率が向上することが知られている(例えば「ごみ処理施設構造指針解説」社団法人全国都市清掃会議、平成5年5月)。図6に示す排ガス処理方法によれば、排ガス温度を200℃まで下げても塩化水素等の有害ガスの除去のために、消石灰が多量に必要となり、溶融飛灰の処理量も増加しランニングコストが増大するという問題があった。
排ガス量が略一定であれば、排ガス温度が低いほど塩化水素等は除去されやすい。この有害ガスの除去能力を上げるべく、特許文献2と同等の設備条件で更に導入空気量を増加させて排ガス温度を200℃から150℃まで低下させたが、排ガス量も多くなる結果、除去前の塩化水素等の有害成分の濃度が希釈されて低下し、消石灰と有害成分の反応がしにくくなり、十分な除去効果が得られず消石灰の消費を招いていた。この場合、排ガス冷却用に水を使用していないので、ガス冷却室からバグフィルタ間での閉塞・腐食トラブルは発生しない。
また、別の技術として一般的に排ガス処理で集塵機で除塵した後、湿式の洗煙設備を設けると有害ガス除去は格段によくなるものの、排水発生やスケール発生等維持管理上の問題や建設コスト・運転コストが高くなるという問題があった。
本発明は上記課題を解決するために、溶融炉から排出された排ガス又はこの排ガス中の還元性ガスを燃焼した排ガスを、塩化水素、硫黄酸化等の有害成分濃度が希釈され過ぎないように空気冷却後、アルカリ剤を吹き込み大半の有害成分を中和した後、排ガスを水分調整することで低温とし、より低濃度まで有害成分を除去することができるとともに、アルカリ剤の総使用量を低減する溶融炉の排ガス処理方法及び処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため請求項1記載の発明は、廃棄物や該廃棄物に燃料を添加したものを溶融炉で溶融し、発生する排ガスを処理する溶融炉の排ガス処理方法において、溶融炉出口から排出された排ガスに空気を混合して冷却した後、アルカリ剤を吹き込み、排ガスの水分調整を行うことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、水分調整後に排ガス中の塵を集塵することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、溶融炉出口から排出された排ガスに空気を混合して冷却した後、アルカリ剤を吹き込む前段で集塵することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2又は3に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、水分調整は温水若しくは温水とともに水蒸気を使用することを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2又は3又は4に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、
前記水分調整において、前記排ガス流量の最小を仮定し、実測される排ガス流量が該仮定した排ガス量の最小値より大きい場合に水分調整を開始し、実測される排ガス量が仮定した排ガス量の最小値以下の場合に水分調整を停止するように水蒸気又は温水の供給量を制御することを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、廃棄物や該廃棄物に燃料を混合したものを溶融炉で溶融し、発生する排ガスを処理する溶融炉の排ガス処理装置において、溶融炉から排出された排ガスに冷却空気を供給する冷却空気供給手段と、該冷却空気と該排ガスを混合するガス冷却室と、該ガス冷却室から排出される排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、該アルカリ剤供給手段後段に排ガス水分を調整する水分調整手段を設けたことを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の溶融炉の排ガス処理装置において、水分調整手段後段に集塵機を設けるか若しくはガス冷却室後段に第1の集塵機を設け、該第1の集塵機後段に設けたアルカリ剤供給手段後段に水分調整手段を設け、該水分調整手段後段に第2の集塵機を設けたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の溶融炉の排ガス処理装置において、排ガス流量計を設け、該排ガス流量計で計測された排ガス流量に基づいて水分調整手段からの水蒸気又は温水供給量を制御する制御手段を設けたことを特徴とする。
ここで廃棄物や該廃棄物に燃料を添加したものとは、都市ごみ、し尿汚泥、下水汚泥、焼却灰及び焼却飛灰等の廃棄物若しくは該廃棄物に燃料を加えたものを指す。
また、溶融炉は廃棄物や該廃棄物に燃料を混合したものを炉内温度が1300℃以上の高温で溶融する炉であり、該溶融炉で発生する温度800℃〜1300℃の排ガスを冷却用空気で冷却した後、該排ガスにアルカリ剤を吹き込み有害成分の大半を中和し、その後温水若しくは温水と共に水蒸気を注入して水分調整をすると共に、更に温度を下げて、有害成分とアルカリ成分との反応を促進させる。
溶融炉出口から排出された800℃〜1300℃の排ガスに空気を導入してガス冷却室で空気と混合させる。空気で排ガスを冷却するに先立って、溶融炉からCOなどの還元性ガスを除去する必要がある場合は、溶融炉出口とガス冷却室との間に燃焼室を設け、還元性ガスを燃焼させてもよい。この場合、燃料は都市ガス等の気体燃料或いは灯油等の液体燃料のいずれでもよいし、燃料を用いず燃焼用の空気のみを導入してもよい。冷却用空気の導入位置は溶融炉出口からガス冷却室本体までの間のいずれの位置でもよい。
上記のように排ガスを空気により冷却した後、アルカリ剤を吹き込むが、このアルカリ剤としては炭酸カルシウム(CaCO3)や消石灰(Ca(OH)2)等のアルカリ粉体、又は消石灰スラリー、又は苛性ソーダ溶液等が使用できる。また、排ガスの温度を空気冷却により300℃以下、望ましくは200℃〜250℃にした後、水蒸気及び/又は温水を注入して水分を調整し、排ガス温度を200℃以下、望ましくは約150℃とする。
水分調整における水蒸気量又は温水量の制御は排ガス流量の最小値を仮定し、実測される排ガス量(以下「排ガス量」という)が仮定した排ガス量の最小値より大きい場合に水分調整を開始し、排ガス量が仮定した排ガス量の最小値以下の場合に水分調整を停止するように水蒸気量又は温水量の供給量を制御するための手段を設ける。
各請求項に記載の発明は、上記構成を採用するので、下記のような効果を有する。
溶融炉出口からの排ガスに空気を導入して冷却した後、アルカリ剤を吹き込んでから、温水若しくは温水と共に水蒸気により排ガスの水分調整をすると共に、減温することで塩化水素、硫黄酸化物の除去効率が向上する。
この結果としてアルカリ剤の総使用量を減らし溶融処理に伴う飛灰の発生量を抑制することができる。なお、温水若しくは温水と共に水蒸気で排ガスの水分調整をするので、水分は容易に蒸発しダクト内壁や集塵機内壁にダストが付着するトラブルを防止することができる。
また、排ガスの水分調整前にアルカリ剤を高濃度の塩化水素、硫黄酸化物の有害ガスが存在する条件下で吹き込み、硫黄酸化物等が低減されているから水分を注入することで、ダト内壁で硫黄酸化物由来の硫酸等が生成されにくくなり低温腐食を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明に係る溶融炉の排ガス処理装置のシステム構成例を示す図である。本実施例で用いる溶融炉は炉出口から還元性COガスが殆どでないプラズマ溶融炉である。プラズマ溶融炉1は金属製のプラズマトーチ2を装備し、炉本体は耐火構造をなしている。該プラズマ溶融炉1で溶融する溶融対象物は都市ごみ焼却炉から排出された焼却灰と飛灰の混合灰106で、塩化水素、硫黄酸化物の発生源となる塩化物、硫黄酸化物等を含んでいる。混合灰106はプラズマ溶融炉1内でプラズマトーチ2から電力により空気をプラズマ化した高温空気噴流を利用して加熱される。加熱された混合灰106はスラグ101と排ガス102となってプラズマ溶融炉1から排出され、プラズマ溶融炉1に連結された出滓フード4の内部でスラグ101と排ガス102が分離され、スラグ101はスラグ冷却装置3に投入される。
排ガス処理装置は、出滓フード4の排ガス出口から排出された排ガス102に冷却用空気103を供給する空気供給装置5と、その後段に設けられた該冷却空気103と排ガス102を混合するガス冷却室6と、ガス冷却室6から排出された排ガス102にアルカリ剤104を吹き込むアルカリ剤供給装置9と、アルカリ剤104と排ガス102中の成分とを反応させるアルカリ剤反応部7と、アルカリ剤反応部7から排出された排ガス102に水蒸気を供給する水蒸気供給装置10と、温水107を供給する温水供給装置11と、排ガス102中のアルカリ剤104と有害ガスとの中和反応物やプラズマ溶融炉1に投入された混合灰106から発生する塵、即ち溶融飛灰109を捕集除去する集塵機12から構成されている。また、図示は省略するが、排ガス102は集塵機12の後段に設置される誘引送風機により吸引されており、プラズマ溶融炉1から誘引送風機入口まで負圧に保たれている。
上記排ガス処理装置での排ガス処理方法は、プラズマ溶融炉1から排出された約800℃〜1300℃の高温の排ガス102に空気供給装置5から冷却用空気103を供給して、後段のガス冷却室6において200〜250℃まで冷却される。この過程ではNaCl、KCl、Na2SO4、K2SO4等の塩類が空気だけで急冷されるので、ガス冷却室6の内壁にダクトが付着することなく除去される。これらのダストはガス冷却室6の底部からガス冷却室ダスト108として排出される。空気供給装置5から冷却空気103を供給する位置はガス冷却室6の前段のダクト22に限らず、ガス冷却室6の本体に別途空気導入口を設けて、該空気導入口から導入するようにしてもよい。空気供給装置5は送風機によるか或いは排ガス系内の負圧を利用して室内外から空気を直接取り込むダンパを設けるなどいずれの手段でもよい。
そしてアルカリ剤供給装置9から排ガス102中にアルカリ剤104が吹き込まれて排ガス102中の有害成分の大半がアルカリ剤反応部7内で中和される。アルカリ剤を粉体のままダクト22に吹き込む場合は、空気と共に吹き込む。アルカリ剤がスラリー状又は溶液状の場合はこれらを予め加温したものが望ましい。更に排ガス102に水蒸気供給装置10から水蒸気105が、温水供給装置11から温水107が供給され、排気ガス102中の水分を5〜15%に調整し、排ガス温度を約150℃まで冷却する。
このときアルカリ剤104の吹き込み量はプラズマ溶融炉1から発生する塩化水素量及び硫黄酸化物量の合計に対する当量比(=(アルカリのモル数)×(アルカリの価数)÷((塩化水素モル数)+(硫黄酸化物モル数)×2))で表され、この当量比が1〜3、望ましくは1.5〜3となるようにする。これにより排ガス102中の塩化水素及び硫黄酸化物の大半が中和される。
この反応は、排ガス102とアルカリ剤104との混合がともに高濃度下且つ乱流側でなされるように、アルカリ剤反応部7を設けている(アルカリ剤反応部7は場合によっては省略できる)。このアルカリ剤反応部7は、例えば図3に示すように両端がダクト22に連通された通ガス断面積を小さくしたもので、断面主要寸法関係はダクト22の断面積をA1、反応部の断面縮小部断面A2としたとき、断面積比A1/A2は0.25〜0.8、望ましくは0.3〜0.7がよい。このようにダクト22自体の外径を縮小せず、内部に例えば円錐台状で上流から下流側に向かって通ガス面積が絞られた構造のノズルで、該ノズル上流側の断面をダクト22と略同じ形状且つ同面積として前記と同様の断面積比とし、着脱可能な構造で取り付けてもよい。この他邪魔板や格子状の構造物などで排ガス流路断面を遮ることもできるが、ダスト付着を避けるため、単純にダクト断面をダクト相似形状のまま絞る構造が望ましい。
アルカリ剤104の吹き込み後段で200〜250℃の排ガス102に水蒸気105に続き、温水107が注入され排ガス102中の水分、温度がそれぞれ5〜20%(容積基準)、約150℃となるように調整される。排ガス102の水分、温度はそれぞれ5〜15%、150℃以上が望ましい。この理由を図4のガス中のSO3濃度と露点の関係を示す図で説明する。図4は、火力発電Vol.16,No.7 Jul.1965からの引用である。図4の横軸はガス中のSO3濃度、縦軸はガス露点の関係が示されている。図4から排ガス温度が下がると、ガス中のSO3濃度が同じでもガス露点になる水分、即ち硫酸が生成するガス中の水分が低くなることを示しており、硫酸により低温腐食が生じやすい条件となる。従って、ここでは排ガス温度が約150℃以下にならないようにしている。なお、排ガス102中の水分調整は排ガス中の水分以外に、相対湿度を指標としてもよい。
注入される直前の水蒸気105の温度、温水107の温度はそれぞれ100℃以上、90℃以上でよい。ただし水蒸気を得るエネルギー消費をより少なくするため本実施例のように100〜150℃とするのがよい。水分としてすべて温水でも可能だが、温水のみでは排ガス温度の低下が大きく、有害ガス除去に必要な水分を確保するため水蒸気の併用が必要となる場合がある。但し、温水は水蒸気の温度・量により90℃以下の低温でも、100℃を超える圧縮水でも使用することができる。また、水分調整後排ガス温度を200℃からできるだけ下げない要求がある場合は、水蒸気のみを使用し、温水を使用しなくともよい。
水蒸気105は廃熱ボイラ付き焼却炉が近隣に併設されている場合には、ボイラからの高圧水蒸気を、更に抽気タービンを利用した発電設備がある場合には抽気した水蒸気(低圧水蒸気)などを直接又は減圧後利用する。高圧水蒸気及び低圧水蒸気を復水し再度ボイラへ戻す必要がある場合には、これら水蒸気のエネルギーを間接的に水に熱交換させて加温し、次いで別途電力や燃料を使用した加熱手段を設けて水蒸気を発生させるようにシステム構成してもよい。温水107は、併設の焼却工場内で機器等を冷却することにより加温された水を更に高圧水蒸気又は低圧水蒸気から熱交換器により間接加熱したもの或いは焼却炉の廃熱ボイラ水質保持のためにボイラからブローされる温水を直接利用してもよい。焼却炉が近隣にない場合には、水蒸気や温水は別途ボイラ等の加熱装置を設けて得てもよい。水分調整に利用される水は、上水、地下水、工業用水、汚水等の処理水やこれらを混合した水でよく、加熱温度に応じて必要であればこれらの水を前処理した純水、軟化水でもよい。
水分調整は次のように行われる。図1に示すように水蒸気105、温水107を注入して水分を調整する水分調整前後の排ガス102の温度を検出する排ガス温度計13、14、排ガス102の流量を検出する排ガス流量計15をダクト22に設け、水蒸気105の温度を検出する水蒸気温度計16、水蒸気105の流量を検出する水蒸気流量計17、及び水蒸気供給装置10の水蒸気量調節弁18を蒸気供給配管23に設け、温水107の温度を検出する温水温度計19、温水107の流量を検出する温水流量計20、及び温水供給装置11の温水調節弁21を温水供給配管24に設け、これら温度計13、14、16、19及び/又は排ガス流量計15からの信号により、水蒸気105の流量や温水107の流量を設定し、それらの設定値となるよう水蒸気量調節弁18、温水量調節弁21を制御する演算機能を備えた制御装置25によって水分調整が行われる。制御装置は前記流量計等の各種計器からの信号を受信し、水分調整の水蒸気量等を演算した結果を開度指示信号として各種調節弁へ送る図示しない中央演算処理装置を主体に構成されている。
排ガス温度計13、14、水蒸気温度計16、温水温度計19の各温度計としては熱電対を、排ガス流量計15、水蒸気流量計17、温水流量計20の各流量計としてはビート管式、熱線式、渦式、タービン、電磁式等を、水蒸気量調節弁18、温水量調節弁21の各調節弁としては電動或いは空圧式等でよい。水分注入量の決定は熱量計算で行われる。これらの水分注入量は排気ガス流量計15と水分調整前の排ガス温度計13から水分注入前の排ガスの減温に必要な熱量を自動的に求め、水分調整後の目標温度が約150℃になるように制御する。次に水分調整制御をするために必要な熱量計算を示す。
水分調整前排ガス量F0[m3N/h(NTP)]、水蒸気注入量W1[kg/h]、温水注入量W2[kg/h]、減温前排ガス比熱C0[kJ/m3N]、注入水蒸気の乾き飽和蒸気エンタルピーh1”[kJ/kg]、注入温水の乾き飽和蒸気エンタルピーh2”[kJ/kg]、減温後排ガス比熱C3[kJ/(m3N)]、水分調整後排ガス中の水蒸気の乾き飽和蒸気エンタルピーh3”[kJ/kg]として、水分調整前排ガス温度T0[℃]、水蒸気温度T1[℃]、温水温度T2[℃]、水分調整後排ガス温度T3[℃]、注入前温水温度での蒸発潜熱γ[kJ/kg]として、以下の式から水蒸気量及び温水量が求められる。
水分調整前温度T0の排ガスを水分調整後排ガス温度T3に低下させるために奪う熱量ΔQは、
ΔQ=F0×(C0×T0−C3×T3) (1)
水分調整で熱量Qを奪うことに着目すると、
ΔQ=W1×(h3”−h1”)+W2×{γ+(h3”−h2”)} (2)
(1)式及び(2)式から
W2={F0×(C0×T0−C3×T3)−W1×(h3”−h1”)}/
{γ+(h3”−h2”)} (3)
(3)式で水蒸気注入量W1を決めればその他は実測値又は熱物性値から求められ、温水注入量W2が決定できる。
ところで、本実施例では排ガス流量計15は計器の検出部に溶融飛灰等の塵が付着することによる流量計指示トラブルを防止するため、水分添加後の集塵機12の出口に設置することになる。従って、水分調整前の排ガス102の量をもとに制御することはできない。そこで集塵機12の出口から排出される処理排ガス102’の量の最小値をFminと仮定すると、(1)、(2)及び(3)式で
ΔQ=ΔQmin=Fmin×(C0×T0−C3×T3)
となる。このFminを仮定することにより、(3)式の右辺がマイナスにならないように、しかも、温度T3も約150℃となるように水蒸気注入量W1、温水注入量W2が決定される。即ち蒸発しきらない水分が残留しないように決定される。以下に制御の詳細を述べる。
図1に示す溶融炉の排ガス処理装置において、プラズマ溶融炉1を定常に運転する上で排ガス流量計15における処理排ガス量の最小値Fminを仮定する。この仮定値は熱収支計算から設定される。水分調整前排ガス温度計13の水分調整前排ガス温度T0はガス冷却室6における空気冷却によって略決まり、一定に保たれるように制御される。処理排ガス量の最小値Fmin、水分調整前排ガス温度T0、排ガス温度計14で検出される水分調整後排ガス温度T3の目標温度から制御装置25で(1)式のΔQminが演算される。次に水蒸気量、温水量の順に制御が行われる。
水蒸気注入とそれに続く温水注入後の水分調整後排ガス目標温度をT3a、T3bとする。但し、T3b≦T3a≦T0なる関係がある。つまり、排ガス量がFminより大きく、且つT0T3bを上回っているとき、(3)式右辺がマイナスにならないように、且つ水分調整後排ガス温度T3が目標温度T3aになるように水蒸気量調節弁18が制御され水蒸気量が設定される。次いで(3)式の右辺がマイナスにならないように、且つ水分調整後排ガス温度T3が目標温度T3bになるように温水量調節弁21が制御され温水量が設定される。万一水分調整前排ガス温度T0が温水注入後排ガス目標温度T3bを下回るか排ガス流量計15の排ガス量が最小値Fmin以下の場合には、警報を発すると共に水蒸気102や温水の供給を停止する。水蒸気105や温水107の緊急遮断用に水蒸気量調節弁18、温水量調節弁21の前後に電磁弁を設けても良い。
以上のようにして、蒸発しきらない水分が残留しないように水蒸気注入量W1、温水注入量W2を制御する。本制御において、水蒸気注入後の排ガス温度の低下が小さく、即ち、水分調整後排ガス目標温度T3aと水分調整前排ガス温度T0との差が数℃程度で、温度による制御が困難な場合は、水分調整後排ガス目標温度T3aは設定せず、水蒸気105の量を一定として、温水注入後の温度T3bを水分調整における最終の目標温度とする。
なお、本実施例では、温水107を水蒸気105の後段で注入したが、順序を逆にして温水107をはじめに注入する構成にもできるし、水蒸気105と温水107を混合してから注入するか、水蒸気は使用せず温水のみを注入してもよい。更に温水107の排ガス102中への分散をより高めるため、これらに圧縮空気を混合して注入してもよく、この圧縮空気は予め加熱されたものでもよい。水蒸気105や温水107の注入ノズルはスプレーノズル、水蒸気105と温水107との混合の場合などは二流体ノズルなど、噴霧が拡散されるものを使用すればよい。また、ノズル設置数量は図1では水蒸気105、温水107とも1個ずつ記載しているが、いずれも複数個設けてもよい。
排ガス102中に注入された温水107は排ガス温度約150℃をキープすることで瞬時に水蒸気になるため、排ガスダストの湿潤がなく、ダクト22内壁等でダスト付着トラブル、露点による低温腐食は起きない。また、上流では当量比1以上のアルカリ剤104を吹き込んでいるので、水分調整前に硫黄酸化物濃度は低くなっており、図4からガス露点が下がるため硫黄酸化物が硫酸になりにくく、ダクト22の内壁は中性若しくはアルカリ性になることから、ダクト22等の機器の低温腐食も引き起こしにくいという特徴がある。また、温水注入位置は集塵機12の入口付近に設けるが、水滴の蒸発時間を考慮し、温水注入位置から集塵機12の入口部までの区間の排ガスの滞留時間を0.5秒以上とするのが望ましい。
この後集塵機12で残留有害成分の中和反応が促進される。このための集塵機12としてはバグフィルタが望ましい。ろ布表面でアルカリ剤を含むダストを除去しつつ有害成分の中和除去するろ過層が形成されるのでより高い除去効果があるからである。ろ布の材質はテトロン(商品名)、耐熱ナイロン(商品名)、ガラス繊維などでよい。この他集塵機として電気集塵機やバグフィルターのろ布の代りにハニカム形状等のセラミック製フィルタを利用したものでもよい。これらの過程で残留有害ガス成分が煤塵と共に除去され、集塵機12の出口から残留有害成分を殆ど含まない処理排ガス102’が排出される。
都市ごみの焼却灰、焼却飛灰の処理量はそれぞれ1017kg/hとし、117kg/hとし、炉内温度を1400℃としてプラズマ溶融炉で溶融したときの排ガス処理結果を本発明と従来例とを比較して図7に示す。
従来例(比較例)は図1において、プラズマ溶融炉1の排ガス102に空気103を導入しガス冷却室冷却後、排ガス温度を150℃とし、アルカリ剤供給装置9で乾式で粉体のアルカリ剤104を吹き込み、集塵機(バグフィルタ)12で集塵するフローである。また、本発明の実施例は、排ガス102に空気103を導入しガス冷却室6で冷却後、排ガス温度を250℃とした後、アルカリ剤供給装置9でアルカリ剤104を吹き込み、水分調整して排ガス温度を150℃として集塵機(バグフィルタ)12で集塵するフローである。
この水分調整は温水のみ、温水とともに水蒸気を併用した場合について行った。温水とともに水蒸気を併用した場合について行った。従来例及び本実施例ともに、アルカリ剤104は消石灰である。結果を図7に示す。従来例では硫黄酸化物濃度はガス冷却室6の出口(消石灰吹き込み前)、集塵機12出口でそれぞれ300ppm、130ppmで、ガス冷却室6出口部硫黄酸化物量と集塵機12の出口部硫黄酸化物量から求めた硫黄酸化物の除去率は67%であった。これに対して本発明での同濃度はガス冷却室6の出口、集塵機12の出口でそれぞれ450〜500ppm、5〜10ppmであり、温水のみでも温水とともに水蒸気を併用しても96%以上の除去効果があった。塩化水素についても同様に本発明の除去効果が優れていることがわかる。本発明の消石灰使用量は従来の半分程度で済み、溶融飛灰が従来の略3割減となった。
また、図8は実施例1における溶融処理条件で、硫黄酸化物の除去結果を本発明の実施例と比較例(従来例)について示した。縦軸は前記の硫黄酸化物の除去率(%)であり、横軸はガス冷却6の出口の排ガス温度(℃)、即ち空気冷却後の温度である。従来例の排ガス処理は前記の通りで冷却空気量を変えることにより、ガス冷却室6出口温度を設定した。本発明の実施例は空気量を変えることにより170℃から300℃の範囲で冷却後、消石灰を吹き込み、温水と水蒸気を併用して水分調整後排ガス温度を150℃として集塵した。この結果、本発明実施例の硫黄酸化物除去率が高く、また本発明実施例の空気冷却後の排ガス温度が200〜250℃でより高い除去率であることがわかる。
図2は本発明に係る溶融炉の排ガス処理装置の他のシステム構成例を示す図である。本実施例の溶融炉はプラズマ溶融炉で炉出口から還元性COガスが出るケースである。プラズマ溶融炉1は金属製プラズマトーチ2を装備しており、炉本体の構造は図1に示す実施例1のプラズマ溶融炉1と同様である。但し、溶融対象物として混合灰106にコークスを添加したもの(焼却灰若しくは焼却飛灰に混合してもよい)である。また、プラズマガスとしては空気を利用して混合灰106が加熱され、実施例1と同様スラグ101と排ガス102となってプラズマ溶融炉1から排出され、該プラズマ溶融炉1に連結された出滓フード4内でスラグ101と排ガス102が分離される。
排ガス処理装置は、電力によるプラズマ加熱により混合灰106から発生したCOガスを含む排ガスを燃焼する燃焼室32を備えている。該燃焼室32は溶接鋼鈑製の内壁に耐火物を打設した構造であり、燃焼用空気114が供給される。燃焼室32の排ガス出口から排出された排ガス102に冷却用空気103を供給する空気供給装置5と、その後段に設けられた該冷却用空気103と排ガス102を混合するガス冷却室6と、該ガス冷却室6の後段でプラズマ溶融炉1から発生する溶融飛灰112を捕集除去する第1集塵機33、該第1集塵機33の出口から排出された排ガス102中にアルカリ剤104を供給するアルカリ剤供給装置9と、アルカリ剤104と排ガス102中の成分とを反応させるアルカリ剤反応部7と、アルカリ剤反応部7から排出された排ガス102に水蒸気を供給する水蒸気供給装置10と、温水107を供給する温水供給装置11と、更にその後段のアルカリ剤110を供給するアルカリ剤供給装置36、アルカリ剤104等と有害ガスとの中和反応物を含む中和飛灰111を捕集除去する第2集塵機37から構成されている。また、図示は省略するが、排ガス102は第2集塵機37の後段に設置される誘引送風機により吸引されており、プラズマ溶融炉1から誘引送風機入口まで負圧に保たれる。
プラズマ溶融炉1からの排ガス処理方法は、プラズマ溶融炉1から排出された約800℃〜1300℃の高温排ガス102を燃焼室32で燃焼用空気114等を利用してCO等の還元性ガスを燃焼する。次いで冷却用空気103を導入した後、ガス冷却室6内で200℃〜250℃に冷却される。このガス冷却室6の機能は実施例1と同様である。なお、冷却用空気103は燃焼室32内部に供給して、ガス冷却室6を設けないようにしてもよい。この後、排ガス102は第1集塵機33に入り、溶融飛灰112が除塵される。該溶融飛灰112には焼却灰及び飛灰に含有される鉛、亜鉛等の再利用可能な重金属が濃縮含有されており、これを回収して精錬原料として再利用される。
第1集塵機33は電気集塵機、バグフィルタのいずれでもよい。第1集塵機33を出た排ガス102中にアルカリ剤供給装置9からアルカリ剤104が吹き込まれ、排ガス102中の有害成分の大半が中和され、続いて温水107のみ若しくは温水とともに水蒸気105を合流できるようにダクト22内に供給し、排ガス102中の水分を5〜15%に調整し、排ガス温度は150℃に冷却される。この後更にアルカリ剤供給装置36からアルカリ剤110が供給され、第2集塵機37で中和反応物等を含む中和飛灰111を集塵除去する。
ガス冷却室6の出口排ガス温度は第1集塵機33がバグフィルタの場合はろ布の耐熱性によっては、保護のため耐熱温度以下(例えばテトロンでは200℃〜220℃)とするのが望ましい。
アルカリ剤104の吹き込み量は実施例1で定義した当量比を1〜3以下、望ましくは1.0〜2.5となるようにし、これにより排ガス中の塩化水素及び硫黄酸化物の大半が中和される。実施例1と同様に、アルカリ剤反応部7は設けなくてもよい。
アルカリ剤104の吹き込み後、温水若しくは温水とともに水蒸気で排ガス102中の水分が調整される。注入される直前の水蒸気温度、温水温度はそれぞれ100℃〜150℃90℃以上でよいが、実施例1と同様にこれらの温度条件に限定されるものではない。ノズルはニ流体ノズル等混合、噴霧後拡散させるものならよい。更に温水供給部11と第2集塵機37との間にダクト22よりもガス流路断面積が大きい蒸発室を設けてもよい。
水分調整の制御装置とその方法は、実施例1と共通点が多いが、大きく異なるのは排ガス流量計15が第1集塵機33の出口、即ち水分調整部の上流側に設置できる点であり、これにより実施例1のように処理排ガス量102’の最小値Fminを仮定することなく、実際の排ガス量で制御できる。以下制御の構成を説明する。
図2に示すように水分調整前後の排ガス102の温度を検出する排ガス温度計13、14、排ガス102の流量を検出する排ガス流量計15をダクト22に設け、水蒸気105の温度を検出する水蒸気温度計16、水蒸気105の流量を検出する蒸気流量計17及び蒸気供給装置10の蒸気量調節弁18を蒸気供給配管23に設け、温水107の温度を検出する温水温度計19、温水107の流量を検出する温水流量計20及び温水供給装置11の温水量調節弁21を温水供給配管24に設け、これら温度計13、14、16、19及び/又は排ガス流量計15からの信号により、水蒸気105の流量や温水107の流量を設定し、それらの設定値となるよう水蒸気量調節弁18、温水量調節弁21を制御する演算機能を備えた制御装置25によって水分調整が行われる。
次に水分制御方法を詳細に説明する。排ガス温度計13で検出される水分調整前の排ガス温度T0はガス冷却室6における空気冷却によって、一定に保たれるように制御される。水分調整前排ガス温度T0、排ガス温度計14で検出される水分調整後排ガス温度T3の目標温度及び排ガス流量計15で検出される現在の排ガス流量値F0から制御装置25により、(1)式のΔQが演算される。次に水蒸気流量、温水流量の順に制御が行われる。水蒸気設定につづく温水量設定時の水分調整後排ガス目標温度をそれぞれT3a、T3bとする。但し、T3b≦T3a≦T0となる関係がある。
(3)式の右辺がマイナスにならないように、且つ水分調整後排ガス温度T3が目標温度T3aになるように水蒸気量調節弁18が制御され水蒸気105の流量が設定される。次いで(3)式の右辺がマイナスにならないように、且つ水分調整後の排ガス温度T3が目標温度T3bになるように温水量調節弁21が制御され温水107の流量が設定される。万一水分調整前排ガス温度T0が目標温度T3bを下回る場合には、水蒸気量調節弁18、温水量調節弁21を閉じて水蒸気105、温水107の供給を停止する。
以上のようにして、蒸発しきらない水分が残留しないように蒸気注入量W1、温水注入量W2を制御する。但し、実際の排ガス102の量は変動するから、制御に時間遅れが生じ排ガス変動に追随しにくくなる等して適正な水分調整が困難な場合は、排ガス流量計15に対して排ガス量の最小値を仮定して実施例1と同様に制御してもよい。
本実施例では、水蒸気105の量に続き、温水107の量を制御したが、この順序を逆にして温水107の量をはじめに制御する構成にもできるし、実施例1のように水蒸気105、温水107の注入場所を各々分けても同様に制御できる。
水分調整後、排ガス102中にプラズマ溶融炉1から発生する塩化水素量、硫黄酸化物量の合計に対してアルカリ剤110を当量比2以下望ましくは0.5〜2.0になるように吹き込むことで、残留有害成分は、溶融飛灰が混入していないフレッシュなアルカリ剤110と効率よく反応する。アルカリ剤を粉体、スラリー若しくは液体として添加してもよい。該アルカリ剤をスラリー若しくは液体で添加する場合には、水分調整時の水蒸気又は温水と混合するか、アルカリ剤を添加前に加温するのが望ましい。この際、排気ガス102中のダイオキシン類等をより低減する目的で、活性炭等の吸着剤をアルカリ剤110と混合するか水分調整部後段で別途吹き込み口を設けて噴霧してもよい。この後第2集塵機37で残留有害成分の中和反応が促進され中和飛灰111が除去される。このため第2集塵機37にはバグフィルタが望ましい。ろ布表面でアルカリ剤110などを含むダストを除去しつつ有害成分を中和除去するろ過層が形成されるからである。
これらの過程で残留有害ガス成分が煤塵と伴に除去され第2集塵機37の出口から残留有害成分を殆ど含まない処理排ガス102’が排出される。このようにして水分調整前後に吹き込むアルカリ剤104とアルカリ剤110の合計量が、当量比3を超えずに、有害成分は除去される。なお、第2集塵機37の入口排ガス102はそのガス温度、ガス中水分が各々略150℃、5〜20%であれば、プラズマ溶融炉1以外の他の排ガス、例えば焼却炉からの排ガスと混合されたものでもよい。
都市ごみの焼却灰、焼却飛灰の処理量はそれぞれ845kg/h、41kg/hとし、この混合灰にさらにコークスを30kg/h添加して炉内温度1400℃としてプラズマ溶融炉で溶融したときの排ガス処理結果を本発明と従来例とを比較して図9に示す。従来例は図2においてプラズマ溶融炉1からの排ガス102を燃焼室32で空気114の導入により燃焼後、ガス冷却室6に導き20℃〜30℃の水で700℃に冷却後、同室に空気103を導入して排ガス温度を150℃とし、実施例1と同様消石灰を吹き込んみ、第1集塵機(バグフィルタ)33で集塵するフローである。消石灰吹き込み当量比は3であった。本発明の実施例では図2で、プラズマ溶融炉1の排ガス102を燃焼室32で空気114の導入により燃焼後、空気を導入しガス冷却室6で冷却後、排ガス温度を250℃とした後、第1集塵機(電気集塵機)を通して集塵し、アルカリ剤供給装置9から消石灰を吹き込み、水分調整して排ガス温度を150℃として、再度消石灰を吹き込んでから第2集塵機(バグフィルタ)37で集塵するフローである。
消石灰吹き込み当量比は合計で2.1〜2.4とした。この水分調整は温水のみ、温水と水蒸気とを併用した場合について行った。温水は90℃、水蒸気は100℃として使用した。また、酸露点によるダクト22、機器等への腐食の影響を確認すべく、水分注入後かつ消石灰を吹き込み前(本発明では再度消石灰を吹き込む前)に50mm×50mm×9mmの鉄片(テストピース)を排ガスに曝露するように、ダクト22の内壁に3箇所設置し、試験後鉄片を切断し、腐食界面を顕微鏡で観察して3箇所の平均の腐食厚みを従来例と比較した。結果を図9に示す。硫黄酸化物及び塩化水素の除去効果は本発明の方が大きく、消石灰使用量も低減している。また鉄片の腐食速度は、従来に比べて本発明が小さく、水分注入前に消石灰吹き込まれたこと及び水分調整に温水や水蒸気を利用したことによる効果が確認された。
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
本発明に係る溶融炉の排ガス処理装置のシステム構成を示す図である。(実施例1) 本発明に係る溶融炉の排ガス処理装置のシステム構成を示す図である。(実施例2) アルカリ剤反応部の断面概略図である。 ガス中のSO3濃度と露点の関係を示す図である。 従来の水による排ガス冷却をする排ガス処理装置の概略構成図である。 従来の空気による排ガス冷却をする排ガス処理装置の概略構成図である。 実施例1と従来例の結果を示す図である。 実施例1と従来例の結果を示す図である。 実施例2と従来例の結果を示す図である。
符号の説明
1 プラズマ溶融炉
2 プラズマトーチ
3 スラグ冷却装置
4 出滓フード
5 空気供給装置
6 ガス冷却室
7 アルカリ剤反応部
9 アルカリ剤供給装置
10 水蒸気供給装置
11 温水供給装置
12 集塵機
13 排ガス温度計
14 排ガス温度計
15 排ガス流量計
16 水蒸気温度計
17 水蒸気流量計
18 水蒸気量調節弁
19 温水温度計
20 温水流量計
21 温水量調節弁
22 ダクト
23 水蒸気供給配管
24 温水供給配管
25 制御装置
32 燃焼室
33 第1集塵機
36 アルカリ剤供給装置
37 第2集塵機

Claims (8)

  1. 廃棄物や該廃棄物に燃料を添加したものを溶融炉で溶融し、発生する排ガスを処理する溶融炉の排ガス処理方法において、
    前記溶融炉出口から排出された排ガスに空気を混合して冷却した後、アルカリ剤を吹き込み、排ガスの水分調整を行うことを特徴とする溶融炉の排ガス処理方法。
  2. 請求項1に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、
    前記水分調整後に前記排ガス中の塵を集塵することを特徴とする溶融炉の排ガス処理方法。
  3. 請求項2に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、
    前記溶融炉出口から排出された排ガスに空気を混合して冷却した後、前記アルカリ剤を吹き込む前段で前記集塵することを特徴とする溶融炉の排ガス処理方法。
  4. 請求項1又は2又は3に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、
    前記水分調整は温水若しくは温水とともに水蒸気を使用することを特徴とする溶融炉の排ガス処理方法。
  5. 請求項2又は3又は4に記載の溶融炉の排ガス処理方法において、
    前記水分調整において、前記排ガス流量の最小を仮定し、実測される排ガス流量が該仮定した排ガス量の最小値より大きい場合に水分調整を開始し、実測される排ガス量が仮定した排ガス量の最小値以下の場合に水分調整を停止するように水蒸気又は温水の供給量を制御することを特徴とする溶融炉の排ガス処理方法。
  6. 廃棄物や該廃棄物に燃料を混合したものを溶融炉で溶融し、発生する排ガスを処理する溶融炉の排ガス処理装置において、
    前記溶融炉から排出された排ガスに冷却空気を供給する冷却空気供給手段と、該冷却空気と該排ガスを混合するガス冷却室と、該ガス冷却室から排出される排ガスにアルカリ剤を供給するアルカリ剤供給手段と、該アルカリ剤供給手段後段に排ガス水分を調整する水分調整手段を設けたことを特徴とする溶融炉の排ガス処理装置。
  7. 請求項6に記載の溶融炉の排ガス処理装置において、
    前記水分調整手段後段に集塵機を設けるか若しくは前記ガス冷却室後段に第1の集塵機を設け、該第1の集塵機後段に設けた前記アルカリ剤供給手段後段に前記水分調整手段を設け、該水分調整手段後段に第2の集塵機を設けたことを特徴とする溶融炉の排ガス処理装置。
  8. 請求項7に記載の溶融炉の排ガス処理装置において、
    前記排ガス流量計を設け、該排ガス流量計で計測された排ガス流量に基づいて前記水分調整手段からの水蒸気又は温水供給量を制御する制御手段を設けたことを特徴とする溶融炉の排ガス処理装置。
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