JP2011052233A - 難燃性ポリエステル系樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性、機械特性、耐熱性を備えた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を提供せんとする。
【解決手段】多価カルボン酸成分として、テレフタル酸を50〜90mol%含有し、かつ、多価アルコール成分として、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、及び、ジエチレングリコールを合計で70〜100mol%含有するポリエステル系樹脂(A)に対して、メラミン(B)を配合することで、ポリエステル系樹脂(A)が本来有する特性を損なうことなく、従来検討されてきた無機系難燃剤よりも低添加量で、かつ、優れた難燃性、機械特性、耐熱性を得ることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、難燃性、機械特性、耐熱性を備えた難燃性ポリエステル系樹脂組成物に関する。
絶縁性や柔軟性等に優れたポリエステル系樹脂は、塩化ビニル系樹脂の代替材料として着目されているが、ポリエステル系樹脂は総じて燃焼しやすいため、これらの樹脂を難燃化するためには難燃化剤を配合して難燃化を図る必要がある。
ポリエステル系樹脂の難燃化剤としては、例えばデカブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニル等のハロゲン系難燃剤が用いられてきたが、ハロゲン系難燃剤は、燃焼時にダイオキシン類のような有害ガスが発生する場合があり、廃棄物焼却処理やサーマルリサイクルの際の安全性の点でも問題である。
リン系化合物も考えられるが、安全性や環境調和性の点で課題があるばかりか、特にポリエステル系樹脂にリン系化合物を配合すると、可塑化による耐熱性の低下や、リン系化合物の成形品表面へのブリードが生じるため、実用上好ましい技術と言うことはできない。
そこで本発明者は、ポリエステル系樹脂に用いる非ハロゲン系・非リン系の難燃化剤として、窒素系化合物、特にメラミンに注目した。窒素系化合物、特にメラミンを難燃化剤として用いる点については、例えば特許文献1−4などに記載されている。
特開昭54−112958号公報 特公昭60−33850号公報 特公昭59−50184号公報 特公昭62−39174号公報
メラミンは、220〜250℃で分解を開始するため、PETやPBT等の一般的なポリエステル系樹脂の成形温度ではメラミンが分解して成形不良を生じてしまうという課題を抱えていた。
そこで本発明は、特定のポリエステル系樹脂に難燃化剤としてのメラミンを配合して難燃性ポリエステル系樹脂組成物を調製することにより、成形途中にメラミンが分解して成形不良を生じることがなく、しかもポリエステル系樹脂が有する機械特性及び耐熱性を維持することができる、新たな難燃性ポリエステル系樹脂組成物を提供せんとするものである。
本発明は、ガラス転移温度Tgが−20℃〜40℃であり、結晶融解温度Tmが140℃〜190℃であるポリエステル系樹脂(A)とメラミンとの混合物を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物であって、難燃性ポリエステル系樹脂組成物中のメラミンの割合が20〜60質量%であることを特徴とする難燃性ポリエステル系樹脂組成物を提案する。
ガラス転移温度Tgが−20℃〜40℃であり、結晶融解温度Tmが140℃〜190℃であるポリエステル系樹脂(A)は、PETやPBT等の一般的なポリエステル系樹脂に比べて融点が低く、メラミンが分解する温度よりも低温域で成形可能であるため、成形途中でメラミンが分解して成形不良を生じることを無くすことができる。しかも、優れた柔軟性及び機械特性を得ることができる。
このような特定のポリエステル系樹脂(A)に対してメラミン(B)を配合することで、ポリエステル系樹脂が本来有する特性を損なうことなく、従来検討されてきた無機系難燃剤よりも低添加量で、かつ、優れた難燃性、機械特性、耐熱性を得ることができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての難燃性ポリエステル系樹脂組成物(以下「本難燃性PEs樹脂組成物」という)について説明する。但し、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<本難燃性PEs樹脂組成物>
本難燃性PEs樹脂組成物は、ポリエステル系樹脂(A)及びメラミンの混合物を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物であり、好ましくはさらにポリエステル系樹脂(B)を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物である。
(ポリエステル系樹脂(A))
ポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合ポリマーであるポリエステル系樹脂である。
多価カルボン酸の具体例としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等を挙げることができる。
多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ポリオキシレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。
中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1種類の多価カルボン酸成分と、1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種類の多価アルコール成分とからなる共重合体であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)においては、多価カルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合が、50〜90mol%であるのが好ましい。このような組成を有するポリエステル系樹脂(A)は、PETやPBT等の一般的なポリエステル系樹脂に比べて融点が低く、メラミンが分解を開始する温度よりも低温域で成形可能であるため、成形途中でメラミンが分解して成形不良を生じることを無くすことができる。しかも、優れた柔軟性及び機械特性を得ることができる。
かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)は、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸を55mol%以上、特に60mol%以上含有するのがさらに好ましく、又、85mol%以下、特に80mol%以下含有するのがさらに好ましい。
但し、多価カルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合が50〜90mol%であるポリエステル系樹脂に限定する趣旨ではない。
ポリエステル系樹脂(A)においては、多価アルコール成分中に占める1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールの合計割合が70〜100mol%含有するのが好ましい。このような組成を有するポリエステル系樹脂(A)であれば、優れた柔軟性、機械特性さらには耐熱性を得ることができる。
かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)は、多価アルコール成分として、1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールを合計で75mol%以上、特に80mol%以上含有するのが好ましく、100mol%含有するのがさらに好ましい。
但し、多価アルコール成分としては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール及びジエチレングリコールのうちのいずれか一種を含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
ポリエステル系樹脂(A)のガラス転移温度Tgは、−20〜40℃であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)のTgがかかる温度範囲であれば、柔軟性、引張強度等の機械特性に優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を調製することができる。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)のTgは、特に−15℃以上、中でも−10℃以上であるのが好ましく、また、特に35℃以下、中でも30℃以下であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解温度Tmは、140〜190℃であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解温度Tmがかかる範囲であれば、柔軟性、引張強度等の機械特性に優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を調製することができる。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)のTmは、特に145℃以上、中でも150℃以上であるのが好ましく、また、特に185℃以下、中でも180℃以下であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)の結晶融解熱量ΔHmは、20〜40J/gであるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)のΔHmがかかる範囲であれば、柔軟性、引張強度等の機械特性に優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を調製することができる。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)のΔHmは、特に22J/g以上、中でも25J/g以上であるのが好ましく、また、特に38J/g以下、中でも35J/g以下であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(A)の質量平均分子量は、10,000〜300,000であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(A)の質量平均分子量がかかる範囲であれば、柔軟性を得ることができ、しかも溶融粘度が適当であるために、成形加工に問題が発生する可能性が低い。
かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)の質量平均分子量は、特に20,000以上、中でも特に30,000以上であるのがさらに好ましく、特に200,000以下、中でも特に150,000以下であるのがさらに好ましい。
なお、質量平均分子量は以下の方法で測定することができる。他の樹脂についても同様である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μL、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で質量平均分子量を算出することができる。この際に用いる標準ポリスチレンの質量平均分子量は、2,000,000、430,000、110,000、35,000、10,000、40,00、600である。
(ポリエステル系樹脂(B))
ポリエステル系樹脂(B)は、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合ポリマーであるポリエステル系樹脂である。
多価カルボン酸の具体例としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等を挙げることができる。
多価アルコールの具体例としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ポリオキシレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を挙げることができる。
中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1種類の多価カルボン酸成分と、1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種類の多価アルコール成分とからなる共重合体であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)においては、多価カルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合が、20mol%以上70mol%未満であるのが好ましい。このような組成を有するポリエステル系樹脂(B)を、前記ポリエステル系樹脂(A)と共に配合すれば、柔軟性、特に優れた伸びを得ることができて好ましい。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(B)は、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸を30mol%以上、特に40mol%以上含有するのがさらに好ましく、また、65mol%未満、特に60mol%未満含有するのがさらに好ましい。
但し、多価カルボン酸成分中に占めるテレフタル酸の割合が20mol%以上70mol%未満であるポリエステル系樹脂に限定する趣旨ではない。
ポリエステル系樹脂(B)においては、多価アルコール成分中に占める1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールの合計割合が65〜100mol%であるのが好ましい。このような組成を有するポリエステル系樹脂(B)を、前記ポリエステル系樹脂(A)と共に配合すれば、ポリエステル系樹脂(A)の耐熱性を損なうことなくさらに機械特性を向上することができる。
かかる観点から、ポリエステル系樹脂(B)は、多価アルコール成分として、1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールを合計で70mol%以上、特に75mol%以上含有するのが好ましく、また、特に95mol%以下、中でも90mol%含有するのがさらに好ましい。
但し、多価アルコール成分としては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール及びジエチレングリコールのうちのいずれか一種を含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度Tgは、−100以上−20℃未満であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(B)のTgがかかる温度範囲であれば、前記ポリエステル系樹脂(A)と共に配合することにより、柔軟性、特に伸びを高めることができ、その効果は厚さ200μm以下の薄いフィルムにおいて特に有効である。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(B)は、−90℃以上、中でも−80℃以上であるのが好ましく、又、−25℃未満、中でも−30℃未満であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)の結晶融解温度Tmは、100℃以上140℃未満であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(B)の結晶融解温度Tmがかかる範囲であれば、柔軟性、引張強度等の機械特性に優れた難燃性ポリエステル系樹脂組成物を調製することができる。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(B)のTmは、特に105℃以上、中でも110℃以上であるのが好ましく、又、特に135℃未満、中でも130℃未満であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)の結晶融解熱量ΔHmは、1J/g以上20J/g未満であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(B)のΔHmがかかる範囲であれば、難燃性ポリエステル系樹脂組成物の機械特性、特に伸び、柔軟性をさらに向上することができる。かかる観点から、ポリエステル系樹脂(B)のΔHmは、特に5J/g以上、中でも10J/g以上であるのが好ましく、又、特に18J/g未満、中でも15J/g未満であるのが好ましい。
ポリエステル系樹脂(B)の質量平均分子量は、10,000〜300,000であるのが好ましい。ポリエステル系樹脂(B)の質量平均分子量がかかる範囲であれば、柔軟性を得ることができ、しかも溶融粘度が適当であるために、成形加工に問題が発生する可能性が低い。
かかる観点から、ポリエステル系樹脂(B)の質量平均分子量は、特に20,000以上、中でも特に30,000以上であるのがさらに好ましく、特に200,000以下、中でも特に150,000以下であるのがさらに好ましい。
なお、質量平均分子量は以下の方法で測定することができる。他の樹脂についても同様である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて、溶媒クロロホルム、溶液濃度0.2wt/vol%、溶液注入量200μL、溶媒流速1.0ml/分、溶媒温度40℃で測定を行い、ポリスチレン換算で質量平均分子量を算出することができる。この際に用いる標準ポリスチレンの質量平均分子量は、2000000、430000、110000、35000、10000、4000、600である。
(メラミン)
メラミンとは、構造の中心にトリアジン環を持つ有機窒素化合物の一種であり、例えば2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジンを挙げることができる。メラミンは、燃焼時に不燃性のガスを発生するため、本難燃性PEs樹脂組成物を難燃化することができる。
メラミンは、分解開始温度がメラミンの誘導体(例えば、メラミンシアヌレート、リン酸メラミン等)と比較して低く、また、炭化促進作用もないため、一般的には難燃剤として用いることは困難であるが、本発明のポリエステル系樹脂(A)、或いはポリエステル系樹脂(A)及び(B)に配合することで、メラミンの分解開始温度以下で溶融混練可能であり、かつ、燃焼時においては、樹脂の分解よりも先にメラミンが分解することで、昇華時の吸熱作用、及び、不活性ガスの発生により、優れた難燃性を付与することが可能である。
メラミンの平均粒径は、10μm以下、特に0.5μm〜10μmであるのが好ましい。メラミンの平均粒径がかかる範囲であれば、メラミンが2次凝集せず、樹脂組成物中に均一に分散するため、本難燃性PEs樹脂組成物の機械強度を損なうことなく、難燃性を向上させることができる。かかる観点から、メラミンの平均粒径は、特に1.0μm以上、中でも特に1.5μm以上であるのが好ましく、特に8.0μm以下、中でも特に6.0μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、前記平均粒径は、メラミンを円相当径として計算した値である。
本発明の効果を損なわない範囲で、メラミンに表面処理を施すことができる。
表面処理の具体例としては、エポキシシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、イソシアネートシラン等のシランカップリング剤、チタネートカップリング剤、高級脂肪酸等を用いた表面処理を挙げることができる。
これらの表面処理剤でメラミンを処理することによって、メラミンの分散性を向上し、本難燃性PEs樹脂組成物の難燃性をさらに向上させることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、メラミンと他の難燃剤ないし難燃助剤を併用しても構わない。
他の難燃剤の具体例としては、例えばリン酸エステル、リン酸エステルアミド、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物、ポリリン酸塩等のリン系化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カルシウム・アルミネート水和物、酸化スズ水和物等の金属水酸化物を挙げることができる。
難燃助剤の具体例としては、例えばスズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硝酸鉄、硝酸銅、スルホン酸金属塩等の金属化合物、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、フッ素シリコーン等のシリコーン化合物、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素化合物を挙げることができる。
これらの難燃剤、難燃助剤を併用することで、本難燃性PEs樹脂組成物の難燃性をさらに向上することができる。
(配合割合)
本難燃性PEs樹脂組成物中に占めるメラミンの配合割合は、20〜60質量%であるのが好ましい。本難燃性PEs樹脂組成物中に占めるメラミンの配合割合が20質量%以上であれば、十分な難燃性を得ることができる一方、メラミンの配合割合が60質量%以下であれば機械物性を損なうことがない。かかる観点から、本難燃性PEs樹脂組成物中に占めるメラミンの配合割合は、20質量%以上であるのが特に好ましく、中でも30質量%以上であるのがさらに好ましい。また、50質量%以下であるのが特に好ましく、中でも40質量%以下であるのがさらに好ましい。
また、ポリエステル系樹脂(B)を配合する場合、ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の混合割合は、質量比率で90:10〜30:70であるのが好ましい。かかる割合であれば、ポリエステル系樹脂(A)が有する耐熱性を損なうことなく、さらに機械特性を向上することができる。
かかる観点から、ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)の混合割合は、特にポリエステル系樹脂(B)が80:20以上、中でも70:30以上の割合で含まれるようにポリエステル系樹脂(B)を混合するのが好ましい一方、ポリエステル系樹脂(B)が40:60以下、中でも50:50以下の割合で含まれるようにポリエステル系樹脂(B)を混合するのが好ましい。
(その他の成分)
本難燃性PEs樹脂組成物には、耐加水分解性を付与するためにカルボジイミド化合物を配合してもよい。但し、配合しなくてもよい。
カルボジイミド化合物は、下記一般式の基本構造を有するものがあげられる。
−(N=C=N−R−)n−
(上記式において、nは1以上の整数を示す。Rはその他の有機系結合単位を示す。これらのカルボジイミド化合物は、Rの部分が、脂肪族、脂環族、芳香族のいずれかでもよい。)
通常nは1〜50の間で適宜決められる。
具体的には、例えばビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、および、これらの単量体があげられる。該カルボジイミド化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
カルボジイミド化合物の配合量としては、本難燃性PEs樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜5質量部配合することが好ましい。かかる範囲でカルボジイミド化合物を配合することにより、耐熱性を低下させることなく、優れた耐加水分解性を付与することができる。
かかる観点から、カルボジイミド化合物の配合量は、本難燃性PEs樹脂組成物100質量部に対し、0.5質量%以上であるのがさらに好ましく、中でも1質量%以上であるのが特に好ましい。また、4質量%以下であるのがさらに好ましく、中でも3質量%以下であるのが好ましい。
本難燃性PEs樹脂組成物には、必要に応じて熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、可塑剤、核剤、光安定剤、顔料、染料等の添加剤を配合することができる。
<本難燃性PEs樹脂組成物の物性的特徴>
本難燃性PEs樹脂組成物は、難燃性、柔軟性、機械特性及び耐熱性を備えたものに調製することができる。
より具体的には、難燃性に関しては、Underwriters Laboratories社が規定するUL94垂直燃焼試験において、VTM−0の規格を満たす難燃性を得ることができる。
機械特性に関しては、JIS C 2318に基づいて引張破断強度の測定を行った場合に、引張強度を10MPa以上、好ましくは15MPa以上に調製することができる。
柔軟性に関しては、JIS C 2318に基づいて引張破断伸度の測定を行った場合に、引張伸度を10%以上、好ましくは20%以上に調製することができる。
耐熱性に関しては、JIS K7121に基づいて結晶融解熱量ΔHmの測定を行った場合に、結晶融解熱量(ΔHm)を1J/g以上、好ましくは3J/g以上に調製することができる。
<本難燃性PEs樹脂組成物の用途>
本難燃性PEs樹脂組成物は、フィルム、シート、プレート或いは射出成形品等に成形することができる。
具体的には、ポリエステル系樹脂(A)およびメラミン、必要に応じてポリエステル系樹脂(B)などのその他の樹脂や添加物等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成型機に投入して成形するか、または、前記原料を二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成した後、このペレットを押出機或いは射出成型機に投入して成形する方法を挙げることができる。いずれの方法においても、ポリエステル系樹脂の加水分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合させるためには後者を選択するのが好ましい。そこで、以下後者の製造方法について説明する。
ポリエステル系樹脂(A)およびメラミン、必要に応じてポリエステル系樹脂(B)などのその他の樹脂や添加物を十分に乾燥して水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作成する。
この際、ポリエステル系樹脂(A)(B)の組成比、例えばテレフタル酸の含有割合によって融点が変化すること、及び、各原料の配合割合によって粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。また、メラミンの昇華温度も考慮に入れ、成形温度は160℃以上220℃以下、特に210℃未満の温度範囲に調整することが好ましい。
上記方法にて作製したペレットは、十分に乾燥させて水分を除去した後、以下の方法でフィルム、シート、プレート、または、射出成形品の成形を行うことができる。
フィルム、シート及びプレートの成形方法としては、ロール延伸、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法のほか、シートやプレートの成形方法として一般的なTダイキャスト法、プレス法などを採用することができる。
また、射出成形体の成型方法は、特に限定されものではなく、例えば熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法及び射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。
その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用することもできる。
また、本難燃性PEs樹脂組成物からなる層の片側或いは両側に、難燃剤を含まない層を1層以上設けて積層体を成形することもできる。
この際、難燃剤を含有しない層としては、特に限定するものではなく、例えば耐熱性、機械特性、表面特性を付与する目的の場合には、上記延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等からなる層を形成することが好ましい。また、他の材料との接着性を向上させて粘着テープ等の用途に用いる目的の場合には、ゴム系、アクリル系、ビニルエーテル系等の溶剤型、あるいは、エマルジョン型の粘着剤からなる粘着層を形成するのが好ましい。
この際、積層体の全厚みに占める難燃性ポリエステル系樹脂組成物からなる層の厚みの割合は、20〜95%とするのが好ましい。かかる範囲内に難燃性ポリエステル系樹脂組成物の厚み比を設定することにより、難燃性、機械特性を損なうことのない積層体を提供することができる。かかる観点から、積層体の全厚みに占める難燃性ポリエステル系樹脂組成物からなる層の厚みの割合は、30%以上であるのが特に好ましく、中でも40%以上であるのが好ましく、80%以下であるのが特に好ましく、中でも70%以下であるのが好ましい。
本難燃性PEs樹脂組成物からなる層と、難燃剤を含まない層とを積層する方法としては、共押出、押出ラミネート、熱ラミネート、ドライラミネート等により積層することができる。
共押出の場合、複数の層を、複数台の押出機を用いてフィードブロックやマルチマニホールドダイを通じ樹脂を合流させ、積層体を成形する。積層体にさらに耐熱性、機械強度を付与するには、前記工程にて得られた積層体をロール法、テンター法、チューブラー法等を用いて一軸、もしくは、二軸に延伸することができる。
押出ラミネートの場合、ポリステル系樹脂(A)からなる層を単軸、あるいは、二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出を行った後、ロール法、テンター法、チューブラー法等を用いて単層体を得る。続いて、得られた層の片側、あるいは、両側に難燃剤を含有しない層をラミネートすることで積層体を得ることができる。
熱ラミネート、および、ドライラミネートの場合、ポリエステル系樹脂(A)からなる層を単軸、あるいは、二軸押出機を用いてTダイ、Iダイ等から押出し、単層体を得る。
また、同様の方法を用いて難燃剤を含有しない層を作製する。続いて、これらの層を加熱下、あるいは、層間に接着層を配置することでラミネートを行い、積層体を得ることができる。
本難燃性PEs樹脂組成物は、優れた難燃性、機械特性、柔軟性、さらには耐熱性を有するため、携帯電話部品、ケーブル被覆材、パッキン類、電気絶縁用フィルム・シート、フラットケーブル用材料、制振材料等の家電用途や、粘着テープ用基材、ロール、遮水シート、ガスケット、滑り止め、電線被服材等の建材・工業用途等の分野に広く使用することができる。また、ハロゲン系化合物やリン化合物を含有しないため、環境汚染等の問題を引き起こすことのない安全性に優れた材料を提供することができる。
<用語の説明>
本発明において「主成分」と表現した場合には、特に記載しない限り、当該主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容する意を包含するものである。特に当該主成分の含有割合を特定するものではないが、その成分(2成分以上が主成分である場合には、これらの合計量)が組成物中で60質量%以上、特に70質量%以上、中でも90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。例えば、樹脂組成物a中の混合物は、樹脂組成物a中で60質量%以上、特に70質量%以上、中でも90質量%以上(100%含む)を占めるのが好ましい。
また、本明細書において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意であり、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であるのが好ましい」旨の意図も包含する。
一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいい(日本工業規格JISK6900)、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、その厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいう。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す結果は以下の方法で評価を行った。
(1)難燃性
厚みが200μm以下の場合は、長さ200mm×幅50mmの評価用サンプル、厚みが200μmを超える場合は、長さ127mm×幅13mm(厚みはそれぞれの試験片により異なる)の評価用サンプルを用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94薄手材料垂直燃焼試験(サンプル厚みが200μm以下の場合)、及び、UL94垂直燃焼試験(サンプル厚みが200μmを超える場合)の手順に基づき、試験回数5回にて燃焼試験を実施し、燃焼の様子(特に燃焼中における滴下物の有無)を観察すると共に燃焼時間(試験回数5回の合計燃焼時間)を測定した。
UL94垂直燃焼試験において、厚みが200μm以下のサンプルについては、UL94VTMの判定基準に基づき、VTM−0、1、2の規格を満たすか否か判例し、VTM−2を満たさないものは規格外と評価し、VTM−0を満たすものを合格品と評価した。
また、厚みが200μmを超えるサンプルについては、UL94Vの判定基準に基づき、VTM−0、1、2の規格を満たすか否か判例し、VTM−2を満たさないものは規格外と評価し、VTM−0を満たすものを合格品と評価した。
(2)引張強度、引張伸度
長さ200mm×幅20mmの評価用サンプルを用いて、JIS C 2318に基づき、引張破断強度、引張破断伸度の測定を行った。破断時の強度と伸びを測定しn=5での平均値を求めた。雰囲気温度23℃、相対湿度50%、引張り速度200mm/min、つかみ間隔100mmにて測定を行い、破断時の強度と伸度を測定し、n=5での平均値を求めた。
引張強度は10MPa以上、引張伸度は10%以上を合格と評価した。
(3)結晶融解熱量(ΔHm)
JIS K7121に基づき、10mg程度に削り出したサンプルについて、パーキンエルマー社製DSC−7を用いてポリエステル系樹脂の結晶融解熱量ΔHmの測定を行った。測定手順を以下に示す。
a.500℃/分の速度にて30℃から200℃まで昇温した後、200℃で2分間保持した。
b.次に、10℃/分の速度にて200℃から30℃まで降温測定を行った。
c.さらに、10℃/分の速度にて30℃から200℃まで昇温測定を行った。
上記cの過程において得られたサーモグラムより、結晶融解熱量(ΔHm)を読み取った。
(4)耐熱性
長さ200mm×幅20mmの評価用サンプルの片側端部を固定して、ベーキング試験装置(大栄科学精器製作所製DKS−5S)内で垂直に保持し、140℃で1時間加熱した。加熱後のサンプルの外観を目視にて観察し、加熱前と比較して著しい変化がないものを○、加熱前と比較して収縮、シワ、著しい変形等が生じているものを×とした。
<原料>
次に、実施例・比較例で用いた原料、すなわちポリエステル系樹脂(A)、ポリエステル系樹脂(B)、メラミンについて説明する。
[ポリエステル系樹脂(A)−1]
製品名:東洋紡績社製バイロンバイロンGM−443
組成:多価カルボン酸成分=テレフタル酸53mol%、イソフタル酸38mol%、アジピン酸9mol%、多価アルコール成分=1,4−ブタンジオール100mol% 物性値:質量平均分子量=47,000、Tg=26℃、Tm=145℃、ΔHm=22.8J/g
[ポリエステル系樹脂(A)−2]
製品名:東洋紡績社製バイロンGA−1300
組成:多価カルボン酸成分=テレフタル酸66mol%、イソフタル酸10mol%、アジピン酸24mol%、多価アルコール成分=1,4−ブタンジオール100mol%
物性値:質量平均分子量=50,000、Tg=−6℃、Tm=167℃、ΔHm=23.7J/g
[ポリエステル系樹脂(A)−3]
製品名:東洋紡績社製バイロンGA−1310
組成:多価カルボン酸成分=テレフタル酸71mol%、イソフタル酸29mol%、多価アルコール成分=1,4−ブタンジオール=100mol%
物性値:質量平均分子量=56,000、Tg=27℃、Tm=179℃、ΔHm=24.5J/g
[ポリエステル系樹脂(B)−1]
製品名:東洋紡績社製バイロン30P
組成:多価カルボン酸成分=テレフタル酸54mol%、セバシン酸46mol%、多価アルコール成分=1,4−ブタンジオール82mol%、エチレングリコール=18mol%
物性値:質量平均分子量=96,000、Tg=−28℃、Tm=125℃、ΔHm=2.0J/g
[ポリエステル系樹脂(B)−2]
製品名:東洋紡績社製バイロンバイロンGM−913
組成:多価カルボン酸成分=テレフタル酸66mol%、イソフタル酸34mol%、多価アルコール成分=1,4−ブタンジオール82mol%、ポリテトラメチレンエーテルグリコール18mol%
物性値:質量平均分子量=100,000、Tg=−70℃、Tm=126℃、ΔHm=10.2J/g
[メラミン]
日産化学工業社製微粉メラミン(平均粒径5μm、表面処理無)
(実施例1)
ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、微粉メラミンを混合質量比80:20でドライブレンドした後、40mmφ同方向二軸押出機を用いて200℃で混練した後、Tダイより押出し、次いで約40℃のキャスティングロールにて急冷し、厚み100μmのシートを作製した。得られたシートについて、難燃性、引張強度、引張伸度、及び、耐熱性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、微粉メラミンの混合質量比を70:30とした以外は実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例3)
ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、微粉メラミンの混合質量比を50:50とした以外は実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリエステル系樹脂(A)−2、及び、微粉メラミンを混合質量比70:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例5)
ポリエステル系樹脂(A)−3、及び、微粉メラミンを混合質量比70:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリエステル系樹脂(A)−2、ポリエステル系樹脂(B)−1、及び、微粉メラミンを混合質量比50:20:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例7)
ポリエステル系樹脂(A)−2、ポリエステル系樹脂(B)−1、及び、微粉メラミンを混合質量比40:30:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例8)
ポリエステル系樹脂(A)−2、ポリエステル系樹脂(B)−1、及び、微粉メラミンを混合質量比30:40:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(実施例9)
ポリエステル系樹脂(A)−2、ポリエステル系樹脂(B)−2、及び、微粉メラミンを混合質量比40:30:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例1)
ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、微粉メラミンを混合質量比90:10でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例2)
ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、微粉メラミンを混合質量比30:70でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリエステル系樹脂(B)−2、及び、微粉メラミンを、混合質量比70:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例4)
メラミンの代わりに、日産化学工業社製PHOSMEL−200(ポリリン酸メラミン)を用いて、ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、PHOSMEL−200を混合質量比70:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。
(比較例5)
メラミンの代わりに、日産化学工業社製MC−860(メラミンシアヌレート)を用いて、ポリエステル系樹脂(A)−1、及び、MC−860を混合質量比70:30でブレンドした後、実施例1と同様の方法で厚み100μmのシートを作製した。得られたシートに関して実施例1と同様の評価を行った結果を表1に示す。

(考察)
ガラス転移温度Tgが−20℃〜40℃であり、結晶融解温度Tmが140℃〜190℃であるポリエステル系樹脂(A)と、メラミンとを混合して得られる難燃性ポリエステル系樹脂組成物において、難燃性ポリエステル系樹脂組成物中のメラミンの割合が20〜60質量%であるものは、難燃性、引張強度、引張伸度、及び、耐熱性のいずれも合格評価を得ることができることが分かった。
また、メラミンをポリエステル系樹脂(A)に配合することにより、難燃化を図ることができたのに対し、メラミンシアヌレートやポリリン酸メラミンなどのメラミン誘導体は、特定のポリエステル系樹脂(A)を難燃化することができないという結果を得た。
メラミンは、一般的には難燃剤として用いることは困難であるが、特定のポリエステル系樹脂には難燃剤として用いることができることが分かった。
メラミンの割合は、難燃性ポリエステル系樹脂組成物の20〜60質量%であるのが好ましいことが分かった。
さらに、ガラス転移温度Tgが−100℃以上、−20℃未満であり、結晶融解温度Tmが100℃以上、140℃未満であるポリエステル系樹脂(B)を、ポリエステル系樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B)との質量割合が90:10〜30:70となるように配合することにより、難燃性、引張強度、引張伸度、及び、耐熱性のいずれも合格評価を得ることができる上、特に引張伸度を高めることができることが分かった。

Claims (3)

  1. ガラス転移温度Tgが−20℃〜40℃であり、結晶融解温度Tmが140℃〜190℃であるポリエステル系樹脂(A)と、メラミンとの混合物を含有する難燃性ポリエステル系樹脂組成物であって、
    難燃性ポリエステル系樹脂組成物中のメラミンの割合が20〜60質量%であることを特徴とする難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステル系樹脂(A)或いは前記ポリエステル系樹脂(B)、又はこれらの両方の樹脂が、テレフタル酸、イソフタル酸、及びアジピン酸から選ばれる少なくとも1種類の多価カルボン酸成分と、1,4−ブタンジオール及びエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種類の多価アルコール成分とからなる共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。
  3. メラミンの平均粒径が10μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性ポリエステル系樹脂組成物。


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