JP2006342289A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性および耐衝撃性を有する樹脂組成物及び成形体を提供する。
【解決手段】樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネートに、表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを配合してなる樹脂組成物であって、ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量中に占める表面処理された水酸化アルミニウムの割合が15質量%以上、50質量%以下であり、フェノキシ樹脂の占める割合が0.1質量%以上、25質量%以下である。
【選択図】 なし
【解決手段】樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネートに、表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを配合してなる樹脂組成物であって、ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量中に占める表面処理された水酸化アルミニウムの割合が15質量%以上、50質量%以下であり、フェノキシ樹脂の占める割合が0.1質量%以上、25質量%以下である。
【選択図】 なし
Description
本発明は、難燃性を有する樹脂組成物および成形体に関し、特に、難燃性及び耐衝撃性を有する樹脂組成物と成形体に関するものである。
プラスチックは今や日常生活、産業等のあらゆる分野において広く浸透しており、プラスチックの需要は年々増加している。プラスチックは、その優れた物性、成形加工性等を活かして様々な用途に、例えば、フィルム包装材や、家電、OA機器、自動車部品等の成形分野において使用されている。
家電、OA機器、自動車部品等の用途に用いられる成形体には火災防止のため難燃性が要求される。例えばポリスチレンやABS樹脂は燃焼しやすいので、主として臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤が使用されてきたが、燃焼時にハロゲン系難燃剤からダイオキシン類のような有害ガスが発生することがあり、廃棄物焼却処理やサーマルリサイクルにおける安全性の課題があった。ハロゲン系難燃剤の代替としてリン化合物があるが、安全性や環境調和性が不十分であり、しかも成形性、耐熱性等の実用面に悪影響を与えるものもあり問題であった。このため、ハロゲン系難燃剤やリン化合物の代替化が進行しつつあり、例えば、分解時に有害ガスを発生させることのない環境調和型の難燃剤として水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムに代表される金属水酸化物が注目されている。例えば水酸化アルミニウムは、分解開始温度が約180℃と非常に低温ではあるが吸熱性及びコスト面で優れており、低い加工温度で加工することが可能なポリエチレン、ポリプロピレン等の難燃性付与に用いられている。
しかしながら、ポリエチレン及びポリプロピレンは燃焼カロリーが高いため、難燃性付与のために水酸化アルミニウムを配合する場合には60質量%以上の多量の金属水酸化物を配合する必要がある。そのため機械物性が著しく低下することになる。
例えば、特開平8−252823号公報には、生分解性プラスチック原料としてポリブチレンサクシネートを用いたペレットに水酸化アルミニウムあるいは水酸化マグネシウムを30質量%〜50質量%配合して難燃性を付与する手法が開示されているが、この手法では表面処理されていない水酸化アルミニウムを用いているので、十分な難燃性を付与することができず、実用上十分な技術とは言えない。また、難燃性を向上させるためには水酸化アルミニウムあるいは水酸化マグネシウムを多量に配合する必要があり、機械物性の低下が生じる。
特開2000−319532号公報には、生分解性を有する有機高分子化合物にケイ素酸化物を配合することにより難燃性を付与する手法が開示されているが、ケイ素酸化物では燃焼を抑制することは難しく、自消性を有さないポリブチレンサクシネート等のポリエステルの難燃化には適していない。
このように、従来の難燃性付与の方法では、十分な難燃性を付与するためには水酸化マグネシウム又は水酸化アルミニウムを多量に配合する必要があり、機械強度の大幅な低下が生じた。
本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、耐衝撃性及び難燃性を有する樹脂組成物及び成形体を提供することにある。
本発明者らは、このような現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、効果の高い本発明を完成するに至った。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネートに、表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを配合してなる樹脂組成物であって、前記ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量中に占める前記表面処理された水酸化アルミニウムの割合が15質量%以上、50質量%以下であり、前記フェノキシ樹脂の占める割合が0.1質量%以上、25質量%以下であることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネートに、表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを配合してなる樹脂組成物であって、前記ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量中に占める前記表面処理された水酸化アルミニウムの割合が15質量%以上、50質量%以下であり、前記フェノキシ樹脂の占める割合が0.1質量%以上、25質量%以下であることを特徴とする。
本発明において、前記表面処理された水酸化アルミニウムは、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムであることが好ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、更にカルボジイミド化合物を配合し、該カルボジイミド化合物の配合量が、前記ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量が100質量部に対して0.5質量部以上、5質量部以下であることができる。
本発明の成形体は、上記いずれかの樹脂組成物を用いてなることを特徴とする。また、前記成形体は、フィルム、シート、又は、射出成形体であることができる。
本発明によれば、難燃性を付与することができるのみならず、耐衝撃性も向上させることができる樹脂組成物、すなわち耐衝撃性及び難燃性を有する樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート、表面処理された水酸化アルミニウム、及び、フェノキシ樹脂を含む。
本発明の樹脂組成物は、ポリブチレンサクシネート、表面処理された水酸化アルミニウム、及び、フェノキシ樹脂を含む。
本発明に用いられるポリブチレンサクシネートは、コハク酸と1,4−ブタンジオールとを重合して得られる。ポリブチレンサクシネートとしては、例えば三菱化学(株)製の「GSPla」シリーズ、昭和高分子(株)製の「ビオノーレ」シリーズ等が商業的に入手可能なものとして挙げられる。本発明においては、ポリブチレンサクシネートの重量平均分子量が5万以上、40万以下であることが好ましく、10万以上、24万以下であることが更に好ましい。ポリブチレンサクシネートの重量平均分子量が5万以上であれば実用物性を発現することができ、40万以下であれば溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣るという事態は生じない。
本発明に用いられる水酸化アルミニウムは表面処理が施されていることが必要である。表面処理が施されることによって、機械強度の低下を抑制し、難燃性を向上させ、更には、樹脂との混練時や射出成形体の成形時における樹脂の分子量低下を抑制することができる。
本発明の樹脂組成物は表面処理された水酸化アルミニウムを含有するが、表面処理された水酸化アルミニウムを配合すれば、少ない配合量で満足のいく難燃性を発現することができ、よって、機械強度の低下を最小限に抑えることができる。さらにまた、水酸化アルミニウムはコスト、吸熱量の点でも非常に優れているという利点がある。
水酸化アルミニウムに施される表面処理の種類としては、エポキシシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン、アミノシラン、イソシアネートシラン等のシランカップリング剤、チタン酸、脂肪酸等による表面処理が挙げられる。分散性及び難燃性の付与効果を考慮すると、エポキシシランカップリング剤又はビニルシランカップリング剤を用いて表面処理することが特に好ましい。
本発明において、表面処理された水酸化アルミニウムの配合量は、ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量が100質量%に対して、15〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることが更に好ましい。表面処理された水酸化アルミニウムの配合量が15質量%未満では、ポリブチレンサクシネートに満足のいく難燃性を付与することができず、一方、50質量%を越える場合には、大幅な機械強度の低下が生じるため、実用上問題である。
表面処理された水酸化アルミニウムの平均粒径は、0.1μm〜10μmであることが好ましく、0.5μm〜5μmであることが更に好ましい。表面処理された水酸化アルミニウムの平均粒径が0.1μm以上であれば、凝集による分散不良が生じることはなく、機械強度も難燃性も低下することはなく、また、平均粒径が10μm以下であれば、機械強度の大幅な低下が生じることもない。
本発明に用いられるシランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムは、付着水分が0.1%以下であることが好ましく、0.05%以下であることが更に好ましい。水酸化アルミニウムの付着水分が0.1%以下であれば、樹脂組成物から製品等を製造する際に、あるいは、製品等を使用する際に、樹脂等の加水分解を抑制することができる。水酸化アルミニウムの付着水分は、例えば、水酸化アルミニウムの約0.5g(但し、0.1mgの単位まで秤量しておく)を、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製のMKC−510N)を用いて、温度120℃で水分量を測定して算出される。
本発明においては、上記表面処理された水酸化アルミニウムに加えて難燃助剤を配合することによって、更に難燃効果を向上させることができる。用いられる難燃助剤としては、スズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硝酸鉄、硝酸銅、スルフォン酸金属塩等の金属化合物、赤リン、高分子量リン酸エステル、フォスファゼン化合物等のリン化合物、メラミンシアヌレート等の窒素化合物、ジメチルシリコーン、フェニルシリコーン、フッ素シリコーン等のシリコーン化合物、あるいは、硝酸アンモニウム等の硝酸化合物等が挙げられる。
本発明に用いられるフェノキシ樹脂としては、ヒドロキノン、レゾルシン、4,4′−ビスフェノール、4,4′−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、および、2,6−ジヒドロキシナフタレン等の芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族ジヒドロキシ化合物のうちから選ばれる1種あるいは2種以上の化合物と、グリセリンおよびエピクロルヒドリンとを縮合することにより得られるポリヒドロキシポリエーテルなどが挙げられる。市販のフェノキシ樹脂の代表的なものとしてはジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E1256、E4250、E4275、InChem社製のPKHH、PKHC、PKHJ、PKHB、PKFE等が挙げられる。
上記フェノキシ樹脂の配合量としては、ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との混合物中に占めるフェノキシ樹脂の割合が0.1質量%以上、25質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、20質量%以下であることがより好ましい。フェノキシ樹脂の配合割合が0.1質量%を下回る場合、耐衝撃性の向上効果が発現されず、一方、25質量%を上回る場合、フェノキシ樹脂は燃焼しやすい樹脂であるため難燃性が著しく低下することがある。
ところで、ポリブチレンサクシネートに水酸化アルミニウムを配合すれば難燃性は向上するが強度が低下するのであるが、驚くべきことに、ポリブチレンサクシネートに表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂を適量配合することにより、難燃性が向上するのみならず、強度の向上も達成することができるのである。
本発明においては、耐加水分解性を付与するために更にカルボジイミド化合物を配合することができる。用いられるカルボジイミド化合物としては、下記一般式に示す基本構造を有するものが好ましいものとして挙げられる。
−(N=C=N−R−)n−
ただし、式中、Rは有機系結合単位を示し、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族であることができる。nは1以上の整数を示し、通常は1〜50の間で適宜決められる。nが2以上の場合に、2以上のRは同一でも異なっていてもよい。
−(N=C=N−R−)n−
ただし、式中、Rは有機系結合単位を示し、例えば、脂肪族、脂環族又は芳香族であることができる。nは1以上の整数を示し、通常は1〜50の間で適宜決められる。nが2以上の場合に、2以上のRは同一でも異なっていてもよい。
具体的には、例えば、ビス(ジプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4'−ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(p−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m−フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(メチル−ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等、及び、これらの単量体がカルボジイミド化合物として挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、単独、又は、2種以上組み合わせて用いてもよい。
カルボジイミド化合物の具体例としては、ラインケミー社製の「スタバクゾール」シリーズ、日清紡績(株)製の「カルボジライト」シリーズ等を挙げることができる。
カルボジイミド化合物の配合量は、ポリブチレンサクシネート100質量部に対して0.5質量%〜5質量%であることが好ましく、1質量%〜4質量%であることが更に好ましい。カルボジイミド化合物の配合割合が0.5質量%以上、5質量%以下であれば、耐久性を付与することができ、かつ、難燃性に問題が生じることもない。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、熱安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、光安定剤、顔料、着色剤、滑剤、可塑剤、核剤、無機フィラー等の添加剤を配合することができる。
次に、本発明の樹脂組成物を用いて成形体を形成する方法について説明する。
ポリブチレンサクシネート、表面処理された水酸化アルミニウム、フェノキシ樹脂、および、必要に応じて、カルボジイミド化合物や、その他の添加剤等の各原料を、同一の押出機あるいは射出成形機に投入して直接混練し、成形することにより成形体を形成することができる。あるいは、ドライブレンドした原料を、二軸押出機を用いてストランド形状に押出してペレットを作製しておき、このペレットを射出成形機、押出機等に入れて成形することによりフィルム、シート、プレート等の成形体を形成することができる。
ポリブチレンサクシネート、表面処理された水酸化アルミニウム、フェノキシ樹脂、および、必要に応じて、カルボジイミド化合物や、その他の添加剤等の各原料を、同一の押出機あるいは射出成形機に投入して直接混練し、成形することにより成形体を形成することができる。あるいは、ドライブレンドした原料を、二軸押出機を用いてストランド形状に押出してペレットを作製しておき、このペレットを射出成形機、押出機等に入れて成形することによりフィルム、シート、プレート等の成形体を形成することができる。
いずれの方法を採用するにしても、原料の分解による分子量の低下を考慮する必要があるが、各原料を均一に混合させるためには後者を選択することが好ましい。例えば、ポリブチレンサクシネート、特定の水酸化アルミニウム、フェノキシ樹脂、及び、必要に応じて、カルボジイミド化合物や、その他の添加剤等を、十分に乾燥させて水分を除去した後、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製する。なお、ポリブチレンサクシネート、特定の水酸化アルミニウム、フェノキシ樹脂、及び、その他の添加剤等の混合割合によって混合樹脂の融点が変化すること、水酸化アルミニウムの分解等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。実際には140℃〜230℃の温度範囲が通常選択される。
上記方法によって作成されたペレットを十分に乾燥させて水分を除去した後、フィルム、シート、射出成形体等の成形体が形成される。フィルム、シート等の成形方法としては、ロール延伸法、テンター延伸法、チューブラー法、インフレーション法等が採用され、シート、プレート等の成形方法としては、一般的なTダイキャスト法、プレス法等が採用される。
射出成形体の製造方法としては、例えば、熱可塑性樹脂を成形する場合に一般的に採用される射出成形法、ガスアシスト成形法、射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。また、その他目的に合わせて、上記の方法以外でもインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法、PUSH−PULL、SCORIM等を採用することもできる。ただし、射出成形法はこれらに限定されるものではない。
用いられる射出成形装置は、一般的な射出成形機、ガスアシスト成形機、射出圧縮成形機等と、これらの成形機に用いられる成形用金型及び付帯機器、金型温度制御装置、原料乾燥装置等から構成される。成形条件は射出シリンダー内での樹脂の熱分解を避けるため、溶融樹脂温度が170℃〜210℃の範囲で成形することが好ましい。
本発明によれば、ポリブチレンサクシネートは結晶性が高く、耐熱性に優れており、かつ、耐衝撃性にも優れているため、環境対応型低有害低発煙性難燃剤である水酸化アルミニウムを配合して難燃化することにより、家電、OA機器、自動車部品等の難燃性、耐衝撃性が必要とされる用途に使用することができる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能である。なお、各実施例及び各比較例は以下に示す方法で評価を行った。
(1)難燃性
長さ135.0mm×幅13.0mm×厚さ1.5mmの試験片を用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94垂直燃焼試験の手順に基づき、n=5にて燃焼試験を実施した。UL94垂直燃焼試験(UL94V)の判定基準に基づき判定を行い、V−2基準を満たすもの以上を合格とした。
長さ135.0mm×幅13.0mm×厚さ1.5mmの試験片を用いて、Underwriters Laboratories社の安全標準UL94垂直燃焼試験の手順に基づき、n=5にて燃焼試験を実施した。UL94垂直燃焼試験(UL94V)の判定基準に基づき判定を行い、V−2基準を満たすもの以上を合格とした。
(2)耐衝撃性
日本工業規格 JIS K−7110に基づき、2号A試験片(ノッチ付き、長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)について、(株)東洋精機製作所製のJISL−Dを用い、23℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を行った。
日本工業規格 JIS K−7110に基づき、2号A試験片(ノッチ付き、長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)について、(株)東洋精機製作所製のJISL−Dを用い、23℃におけるアイゾット衝撃強度の測定を行った。
(3)耐久性
日本工業規格 JIS K−7110に基づき、2号A試験片(ノッチ付き、長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)の試験片を用いた。エスペック(株)製の小型環境試験機SH−241を使用し、温度85℃、相対湿度80%RHの条件下で試験片について湿熱試験を行った。100時間経過後のアイゾット衝撃強度を測定し、湿熱試験前のアイゾット衝撃強度と100時間経過後のアイゾット衝撃強度とを下記式に代入して、アイゾット衝撃強度保持率を算出した。なお、成形体に耐久性が要求される場合には、アイゾット衝撃強度保持率が70%以上であることが好ましく、アイゾット衝撃強度保持率が70%以上であれば強度の劣化が生じることはない。
アイゾット衝撃強度保持率(%)=
(湿熱試験後のアイゾット衝撃強度/湿熱試験前のアイゾット衝撃強度)×100
日本工業規格 JIS K−7110に基づき、2号A試験片(ノッチ付き、長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)の試験片を用いた。エスペック(株)製の小型環境試験機SH−241を使用し、温度85℃、相対湿度80%RHの条件下で試験片について湿熱試験を行った。100時間経過後のアイゾット衝撃強度を測定し、湿熱試験前のアイゾット衝撃強度と100時間経過後のアイゾット衝撃強度とを下記式に代入して、アイゾット衝撃強度保持率を算出した。なお、成形体に耐久性が要求される場合には、アイゾット衝撃強度保持率が70%以上であることが好ましく、アイゾット衝撃強度保持率が70%以上であれば強度の劣化が生じることはない。
アイゾット衝撃強度保持率(%)=
(湿熱試験後のアイゾット衝撃強度/湿熱試験前のアイゾット衝撃強度)×100
(実施例1)
ポリブチレンサクシネートとして三菱化学(株)製のGSPla AZ91T(重量平均分子量18万)を用い、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムとして昭和電工(株)製のHP−350STE(エポキシシランカップリング剤処理、平均粒径3μm、付着水分0.02%)を用い、フェノキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E4275(ビスフェノールA/ビスフェノールF=25/75タイプ)を用いた。GSPla AZ91Tと、HP−350STEと、E4275とを質量比で、65:20:15の割合でドライブレンドした後、三菱重工(株)製の40mmφの小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られたペレットを東芝機械(株)製の射出成形機「IS50E」(スクリュー径25mm)を用い、難燃性評価の試験片として長さ135.0mm×幅13.0mm×厚さ1.5mmの試験片を作製し、耐衝撃性の評価の試験片として長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mmの試験片を射出成形した。ただし、主な成形条件は以下に示すとおりである。
ポリブチレンサクシネートとして三菱化学(株)製のGSPla AZ91T(重量平均分子量18万)を用い、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムとして昭和電工(株)製のHP−350STE(エポキシシランカップリング剤処理、平均粒径3μm、付着水分0.02%)を用い、フェノキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E4275(ビスフェノールA/ビスフェノールF=25/75タイプ)を用いた。GSPla AZ91Tと、HP−350STEと、E4275とを質量比で、65:20:15の割合でドライブレンドした後、三菱重工(株)製の40mmφの小型同方向二軸押出機を用いて180℃でコンパウンドし、ペレット形状にした。得られたペレットを東芝機械(株)製の射出成形機「IS50E」(スクリュー径25mm)を用い、難燃性評価の試験片として長さ135.0mm×幅13.0mm×厚さ1.5mmの試験片を作製し、耐衝撃性の評価の試験片として長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mmの試験片を射出成形した。ただし、主な成形条件は以下に示すとおりである。
・ 温度条件:シリンダー温度(195℃) 金型温度(20℃)
・ 射出条件:射出圧力(115MPa) 保持圧力(55MPa)
・ 計量条件:スクリュー回転数(65rpm) 背圧(15MPa)
・ 射出条件:射出圧力(115MPa) 保持圧力(55MPa)
・ 計量条件:スクリュー回転数(65rpm) 背圧(15MPa)
得られた射出成形体(試験片)について、難燃性及び耐衝撃性の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=50:35:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=50:35:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=35:50:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=35:50:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=60:35:5となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=60:35:5となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=45:35:20となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275=45:35:20となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例1において、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムとしてHP−350STEの替わりに、昭和電工(株)製のHP−320STE(エポキシシランカップリング剤処理、平均粒径9.1μm、付着水分0.05%)を用いた。射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−320STE:E4275=55:30:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムとしてHP−350STEの替わりに、昭和電工(株)製のHP−320STE(エポキシシランカップリング剤処理、平均粒径9.1μm、付着水分0.05%)を用いた。射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−320STE:E4275=55:30:15となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例1において、フェノキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E1256(ビスフェノールAタイプ)を用いた。射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと、HP−350STEと、E1256とを質量比で、50:35:15の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1において、フェノキシ樹脂としてジャパンエポキシレジン(株)製のエピコート(登録商標)E1256(ビスフェノールAタイプ)を用いた。射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと、HP−350STEと、E1256とを質量比で、50:35:15の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを使用せずに、ポリブチレンサクシネートGSPla AZ91Tからなるペレットを作製した以外は実施例1と同様にして、射出成形体(試験片)を作製した。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを使用せずに、ポリブチレンサクシネートGSPla AZ91Tからなるペレットを作製した以外は実施例1と同様にして、射出成形体(試験片)を作製した。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例1において、フェノキシ樹脂を配合せず、かつ、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE=80:20となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、フェノキシ樹脂を配合せず、かつ、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE=80:20となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、フェノキシ樹脂を配合せず、かつ、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE=65:35となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、フェノキシ樹脂を配合せず、かつ、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE=65:35となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例1において、フェノキシ樹脂を配合せず、かつ、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE=50:50となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、フェノキシ樹脂を配合せず、かつ、射出成形体の形成に用いられるペレットのGSPla AZ91Tと水酸化アルミニウムとの配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE=50:50となるように変更した以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例1において、ポリブチレンサクシネートと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、GSPla AZ91Tと、HP−350STEと、E4275とを質量比で、35:35:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、ポリブチレンサクシネートと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との配合割合を、GSPla AZ91Tと、HP−350STEと、E4275とを質量比で、35:35:30の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(比較例6)
実施例1において、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウム(HP−350STE)の替わりに、表面処理されていない水酸化アルミニウムとして昭和電工(株)製のH−42(表面処理なし、平均粒径1.1μm)を用いた。GSPla AZ91TとH−42とE4275との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:H−42:E4275=50:35:15となるようにドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例1において、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウム(HP−350STE)の替わりに、表面処理されていない水酸化アルミニウムとして昭和電工(株)製のH−42(表面処理なし、平均粒径1.1μm)を用いた。GSPla AZ91TとH−42とE4275との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:H−42:E4275=50:35:15となるようにドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形体(試験片)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例1において、更にカルボジイミド化合物として日清紡績(株)製のカルボジライトLA−1(脂肪族ポリカルボジイミド)を用い、ポリブチレンサクシネートと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とカルボジイミド化合物との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275:カルボジライトLA−1=50:35:15:3の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形して、耐久性評価用の試験片(長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)を作製した。
得られた射出成形体(試験片)について、耐久性の評価を行った。その結果を表3に示す。なお、実施例2の耐衝撃性の評価用として作製した射出成形体と同様のものについても湿熱試験を行い、耐久性の評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例1において、更にカルボジイミド化合物として日清紡績(株)製のカルボジライトLA−1(脂肪族ポリカルボジイミド)を用い、ポリブチレンサクシネートと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とカルボジイミド化合物との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275:カルボジライトLA−1=50:35:15:3の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にしてペレットを作製し、また、射出成形して、耐久性評価用の試験片(長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)を作製した。
得られた射出成形体(試験片)について、耐久性の評価を行った。その結果を表3に示す。なお、実施例2の耐衝撃性の評価用として作製した射出成形体と同様のものについても湿熱試験を行い、耐久性の評価を行った。その結果を表3に示す。
(実施例9)
実施例1において、更にカルボジイミド化合物としてラインケミー社製のスタバクゾールP(芳香族ポリカルボジイミド)を用い、ポリブチレンサクシネートと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とカルボジイミド化合物との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275:スタバクゾールP=50:35:15:3の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にペレットを作製し、また、射出成形して耐久性評価用の試験片(長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について耐久性の評価を行った。その結果を表3に示す。
実施例1において、更にカルボジイミド化合物としてラインケミー社製のスタバクゾールP(芳香族ポリカルボジイミド)を用い、ポリブチレンサクシネートと水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とカルボジイミド化合物との配合割合を、質量比で、GSPla AZ91T:HP−350STE:E4275:スタバクゾールP=50:35:15:3の割合でドライブレンドした以外は実施例1と同様にペレットを作製し、また、射出成形して耐久性評価用の試験片(長さ64.0mm×幅12.7mm×厚さ4.0mm)の作製を行った。
得られた射出成形体(試験片)について耐久性の評価を行った。その結果を表3に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜7の本発明の樹脂組成物からなる射出成形体はUL94垂直燃焼試験に基づく難燃性がV−2基準を満たし、かつ、アイゾット衝撃強度が16kJ/m2以上であって非常に優れた耐衝撃性を有するものであることが分かった。
一方、表2から明らかなように、ポリブチレンサクシネートからなる比較例1の射出成形体は、難燃性が規格外のものであって難燃性に劣ったものであり、かつ、アイゾット衝撃強度が10.0kJ/m2であった。また、フェノキシ樹脂を配合していない比較例2〜4の射出成形体ではアイゾット衝撃強度が10kJ/m2未満であった。フェノキシ樹脂の配合量が25質量%より多い比較例5及び表面処理されていない水酸化アルミニウムを配合した比較例6では難燃性が劣ったものであることが分かった。
表1及び表2から、実施例1〜7の射出成形体は比較例1〜6のいずれの射出成形体よりもアイゾット衝撃強度が高いものであり、例えば、ポリブチレンサクシネートに表面処理された水酸化アルミニウムを配合した比較例2〜4では比較例1よりアイゾット衝撃強度が低下するが、これにさらにフェノール樹脂を配合した実施例1〜7では比較例1よりアイゾット衝撃強度を向上させることができたのである。また、フェノール樹脂を配合しているが、未処理の水酸化アルミニウムを配合した比較例6ではアイゾット衝撃強度が12.4kJ/m2であるが、表面処理された水酸化アルミニウムを配合した実施例1〜7ではアイゾット衝撃強度が比較例6のものより大きくなっており、アイゾット衝撃強度を向上させることができたのである。すなわち、本発明の構成をとることによってアイゾット衝撃強度が向上し、しかもUL94垂直燃焼試験に基づく難燃性がV−2基準を満たす優れた難燃性を有する樹脂組成物及び成形体を実現することができたのである。
さらに表3から明らかなように、ポリブチレンサクシネート、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウム、及び、フェノキシ樹脂に、更にカルボジイミド化合物を配合することにより、耐久性を著しく向上させることができることが分かった。
以上説明したように、本発明によれば機械物性を向上させ、かつ、難燃性を付与することができるので難燃性及び耐衝撃性を有する樹脂組成物を得ることができる。また、本発明の樹脂組成物を用いて形成された成形体は、優れた難燃性及び耐衝撃性を備えているので、難燃性、耐衝撃性等が必要とされる家電、自動車用途に広く使用することができる。
本発明の樹脂組成物は、難燃性及び耐衝撃性の両方を必要とする用途に広く利用することができ、例えば、家電製品、自動車用製品等に利用することができる。また、これ以外にも、電気電子機器部品、日用品、食品容器、その他の一般的な射出成形品としても利用することができる。
Claims (5)
- ポリブチレンサクシネートに、表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂とを配合してなる樹脂組成物であって、前記ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量中に占める前記表面処理された水酸化アルミニウムの割合が15質量%以上、50質量%以下であり、前記フェノキシ樹脂の占める割合が0.1質量%以上、25質量%以下であることを特徴とする樹脂組成物。
- 前記表面処理された水酸化アルミニウムが、シランカップリング剤で表面処理された水酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載の樹脂組成物。
- 更にカルボジイミド化合物を配合し、該カルボジイミド化合物の配合量が、前記ポリブチレンサクシネートと表面処理された水酸化アルミニウムとフェノキシ樹脂との合計質量が100質量部に対して0.5質量部以上、5質量部以下であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を用いてなることを特徴とする成形体。
- 前記成形体が、フィルム、シート、又は、射出成形体であることを特徴とする請求項4記載の成形体。
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