JP2011052038A - 発泡中空成形用ポリエチレン - Google Patents

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Abstract

【課題】高発泡性、成形性、機械的強度、表面外観が良好で、かつ耐久性にも優れ、断熱性、吸音性、剛性がアップし、軽量容器に適する発泡中空成形用ポリエチレンを提供。
【解決手段】発泡中空成形品の製造に使用され、下記の物性(a)〜(d)を満足することを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレンにより提供する。
物性(a):密度が0.935〜0.970g/cmである。
物性(b):メルトフローレート(MFR)が温度190℃、荷重2.16Kgにおいて0.05〜0.80g/10分である。
物性(c):ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0〜30である。
物性(d):溶融張力(MT)が6.0〜25cNである。
【選択図】なし

Description

本発明は、発泡中空成形用ポリエチレンに関し、さらに詳しくは、高発泡性、成形性、機械的強度、表面外観が良好で、かつ耐久性にも優れ、断熱性、吸音性、剛性がアップし、軽量容器に適する発泡中空成形用ポリエチレンに関する。
ポリエチレンは、発泡中空成形品を製造するために広範に使用されている。この目的に使用されるポリエチレンは、均一な高発泡性が得られる特性だけでなく、高度な機械的強度及び剛性が求められ、また、優れた耐久性も求められる。
さらに、発泡中空成形品においては、上記の特性のみならず、容器のデザイン性や外観性が良好で、高度に軽量化された製品が求められることもある。
例えば、発泡中空成形された容器において、ポリプロピレン(PP)を用いたものが挙げられ、一部の用途で用いられている。しかしながら、ポリプロピレンを用いた場合、成形効率やコストの面から改善の余地があり、更に好ましい材料が求められている。またLDPEにて発泡中空成形された容器も一部の用途に使用されているが、内容物の高温充填等で耐熱変形等の課題がある。
このような中で、高発泡性、成形性、機械的強度、表面外観が良好であり、かつ耐久性にも優れた発泡中空成形用ポリエチレン材料であって、しかも、軽量容器に適する材料が求められている。また、軽量容器には、座屈強度が大きいという性能も必要とされ、より一層優れた発泡中空成形用材料が望まれている。
発泡中空成形体の製造方法として、例えば、特許文献1(特開平08−072127号公報)には、発泡剤を含有する熱可塑性樹脂を溶融して押し出し、ブロー成形する発泡ブロー成形品の製造方法において、前記発泡剤として、分解発生ガスの主要成分が窒素ガスであり、分解温度が互いに異なっている発泡剤を2種以上使用することを特徴とする発泡ブロー成形品の製造方法が提案されている。
しかしながら、このような方法を採用したからといって、成形用樹脂の種類によっては、必ずしも良好な性能を有する発泡中空成形体品が得られず、発泡中空成形の製造方法の改良だけでは、高発泡性、成形性、機械的強度、耐久性等、いずれも兼ね備えたバランスの良い発泡中空成形材料を得ることは容易ではなく、更に性能が優れた材料が求められている。
また、特許文献2(特開2001−277340号公報)には、発泡層を有するブロー成形容器であって、前記発泡層の樹脂組成が、樹脂密度0.93g/cm以上の高密度ポリエチレン樹脂と、樹脂密度0.93g/cm未満の低密度ポリエチレン樹脂との混合物からなり、低密度ポリエチレン樹脂の配合率を全重量に対して5〜15重量部とした発泡ブロー成形容器が開示され、樹脂を発泡させて肉厚を大きくし、樹脂の押し出し量を下げて軽量化し、容器の軽量化と耐荷重の維持を両立させた発泡ブロー成形容器が提案されている。
しかしながら、低密度ポリエチレン樹脂を用いると、成形性は改善されるものの、剛性、機械的強度が低下する。
また、特許文献3(特開2001−278916号公報)には、メルトテンション(MT)が1.0(g)以上であり、結晶化温度(DS:℃)とMTとが DS≧ −1.3(MT)+110の関係にあり、ずり応力が0.4×10(dyne/cm)の時のずり速度(R:1/秒)とずり応力が2.4×10(dyne/cm)の時のずり速度(R:1/秒)との積が20以上である高発泡成形用ポリエチレン樹脂が開示され、そのポリエチレン樹脂が不活性ガスによって発泡倍率10倍以上に成形された発泡成形体であり、均一な気泡径を有し、かつ気泡が均一に分散した高発泡体の製造に適したポリエチレン樹脂、および品質が一定であり、かつ外観の良好な高発泡成形体が開示されている。
しかしながら、特許文献3のポリエチレン樹脂は、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体を1種用いており、押出発泡成形における高度の発泡倍率にするのに対して、発泡パリソンに吹き込み圧力をかけて中空成形する発泡中空成形に適した材料については何ら具体的な開示がなく、当業者が当該文献の記載に基づいて、高発泡倍率の発泡中空成形に好適な材料を見出すことは難しい。
また、特許文献4(特開2002−003663号公報)には、ポリエチレン系樹脂(A)及び架橋ポリエチレン(B)からなり、下記(a)−(g)の特性を満たすポリエチレン系樹脂組成物が開示され、成形加工性に優れるポリエチレン系樹脂組成物およびこれを熱成形またはブロー成形して得られるポリエチレン系容器が提案されている。
(a)不溶解成分が0.1〜20重量%、(b)MFRが0.05〜10g/10分、(c)160〜220℃の範囲で求めた流動の活性化エネルギーが35kJ/mol以下、(d)溶融張力が50mN以上、(e)(溶融張力)>110−100xlog(MFR)、(f)伸長粘度のひずみ硬化性の指標である非線形パラメーターが3以上、(g)190℃で押し出した後の溶融張力が、押し出す前の溶融張力の50%以上。
しかしながら、特許文献4のポリエチレン系樹脂組成物は、熱成形、ブロー成形等単なる押出し成形における耐ドローダウン性および耐溶融垂れ性のバランスを改善しうるものであり、発泡パリソンに吹き込み圧力をかけて中空成形する発泡中空成形に適した材料については何ら具体的な開示がなく、当業者が当該文献の記載に基づいて、高発泡倍率の発泡中空成形に好適な材料を見出すことは難しい。
また、特許文献5(特開2004−249680号公報)には、ポリエチレン系樹脂と物理発泡剤を溶融混練してなる発泡性溶融樹脂組成物をダイより低圧域へ押出して発泡層を形成し、この発泡層を有する筒状成形体を、金型間に挟んで成形した発泡成形体が記載されている。
ここには、発泡成形体発泡層の見掛け密度が0.03〜0.4g/cm、発泡成形体発泡層の示差走査熱量測定による融解ピークが125℃以上に少なくとも1つ存在し、該示差走査熱量測定による125℃以上の融解ピークの熱量が合計比率に対して50〜95%であり、発泡成形体発泡層のメルトフローレートが0.2〜25g/10分、且つメルトテンションが1.5cN以上であることを特徴とする発泡成形体が開示されている。これは、軽量性、機械的強度、断熱性、耐熱性、防音性、防振性、耐薬品性、リサイクル性に優れ、従来のものよりも更に耐低温衝撃性に優れたポリエチレン系樹脂発泡成形体であるとしている。
しかしながら、特許文献5の発泡成形体は、(A)密度0.94g/cm超、0.97g/cm以下、メルトフローレート0.1〜20g/10分のポリエチレン系樹脂40〜85重量%と、(B)密度0.89〜0.94g/cm、メルトフローレート0.2〜20g/10分、メルトテンション2.0cN以上のポリエチレン系樹脂15〜60重量%(但し、樹脂(A)と(B)との合計は100重量%)とからなるポリエチレン系樹脂を用いており、物理発泡剤を使用するものであるのに対して、物理発泡剤を使用せずに、発泡パリソンに吹き込み圧力をかけて中空成形する発泡中空成形に適した材料については何ら具体的な開示がなく、当業者が当該文献の記載に基づいて、高発泡倍率の発泡中空成形に好適な材料を見出すことは難しい。
さらに、特許文献6(特開2006−305793号公報)には、ポリオレフィン系樹脂と発泡剤とを押出機にて溶融混練してなる発泡性溶融樹脂を環状ダイから押出してポリオレフィン系樹脂発泡層を有する発泡パリソンを形成し、軟化状態にある該発泡パリソンを開閉可能な分割金型で挟み込んで発泡パリソン内に気体を吹き込んで平均厚み0.5〜5mmの発泡中空成形体を製造する方法が記載されている。
ここには、発泡中空成形体の最大幅に対して0.20〜0.50倍のリップ径を有する環状ダイを使用して得られる発泡パリソンを、発泡パリソンの最大幅が発泡中空成形体の最大幅の0.70〜1.50倍になるように加圧気体を発泡パリソン内側に吹き込むことにより拡幅し、発泡パリソンの内部最大圧力が0.01〜0.20MPa(G)の範囲内にて型締めを行い、発泡パリソン内に前記最大圧力よりも高圧の加圧気体を吹き込んで成形することを特徴とする発泡中空成形体の製造方法が開示され、肉薄の成形体における肉厚の偏りを解消し、薄肉でかつ偏肉性が極めて少ない均一な肉厚を有する高品質の発泡中空成形体が得られるとしている。
しかしながら、特許文献6の発泡中空成形体の製造には、ポリオレフィン系樹脂として、密度が0.93〜0.97g/cm、メルトフローレート0.1〜20g/10分、溶融張力が1.0cN以上であるポリエチレン系樹脂が使用されているものの、耐熱性、強度等の機械的物性の観点から、高密度ポリエチレン樹脂やポリプロピレン系樹脂を少なくとも50重量%以上含むポリオレフィン系樹脂が好ましいとしており、高発泡性、成形性、機械的強度、表面外観が良好で、かつ耐久性にも優れた発泡中空成形用ポリエチレン材料であって、しかも、座屈強度が大きい軽量容器に適した材料については何ら具体的な開示がないから、当業者が当該文献の記載に基づいて、高発泡倍率の発泡中空成形に好適な材料を見出すことは難しい。
特開平08−072127号公報 特開2001−277340号公報 特開2001−278916号公報 特開2002−003663号公報 特開2004−249680号公報 特開2006−305793号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、成形性、機械的強度が良好で、かつ耐久性にも優れ、特に座屈強度が大きい軽量容器に適する発泡中空成形用ポリエチレンを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の密度、MFR、分子量分布、溶融張力、結晶化温度を持つポリエチレン、特に特定の密度を有し、MFR、分子量分布、溶融張力が異なるポリエチレン2種を混合して得られるポリエチレンを用いることで、これらの課題を解決した発泡中空成形品が製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、発泡中空成形品の製造に使用され、下記の物性(a)〜(d)を満足することを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレンが提供される。
物性(a):密度が0.935〜0.970g/cmである。
物性(b):温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.05〜0.8g/10分である。
物性(c):ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0〜30である。
物性(d):溶融張力が6.0〜25cN。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、発泡中空成形用ポリエチレンは、密度が0.935〜0.970g/cmであり、温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜55g/10分、Mw/Mnが3.5〜30、溶融張力(MT)が4.0〜15cNであるポリエチレン(A)10〜95重量%と、密度が0.935〜0.970g/cmであり、温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.02〜1.0g/10分、Mw/Mnが6.5〜30、溶融張力(MT)が10〜30cNであるポリエチレン(B)5〜90重量%とからなることを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレンが提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1の発明において、ポリエチレン(A)は、チーグラー系触媒又はクロム系触媒を用いて製造されたポリエチレンであることを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレンが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2又は3の発明において、ポリエチレン(B)は、溶融張力がポリエチレン(A)よりも大きいことを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレンが提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第2又は3の発明において、ポリエチレン(B)は、クロム系触媒により製造されたポリエチレンであることを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレンが提供される。
本発明によれば、特定の密度、MFR、分子量分布、溶融張力を有する発泡中空成形用ポリエチレンであるため、これに発泡剤を添加し、中空成形時の吹き込みブローを特定の圧力と時間で行うことにより、均一で高密度な発泡中空成形品を得ることが出来る。特に、特定物性のポリエチレンを2種類以上混合した特定物性の発泡中空成形用ポリエチレンを用いたときに、より高性能な発泡中空成形品を得ることが出来る。
成形された発泡成形容器は、同一重量の未発泡容器に比べると剛性が高く変形しにくい特性を有した容器となり、また、成形された容器は、吸音性、断熱性等の性能も有するものである。
発泡中空成形においては、射出成形や押出シート成形での発泡に比べ、ダイコアから押し出された発泡性パリソンがブローピンでブローする過程にて金型で挟み潰され、また、パリソン内部の気泡が外に逃げてしまうことが原因で、従来は微細高密度な発泡製品を得ることが難しかったが、本発明により、容易に発泡成形が可能になり、成形された製品は高品質でコスト的にも優位であり、産業上の有用性は非常に高いものである。
本発明は、発泡中空成形用ポリエチレンに関するものである。以下、本発明の発泡中空成形用ポリエチレンの構成、発泡中空成形品、その成形法等について詳細に説明する。
1.発泡中空成形用ポリエチレン
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、チーグラー触媒、クロム触媒、メタロセン触媒、いわゆるポストメタロセン触媒等を用いて、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとを共重合することにより得られるものである。エチレンと炭素数4〜6のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、さらに好ましいものはエチレンと1−ブテンとの共重合体である。
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの製造プロセスにより製造することができる。エチレン系重合体の重合条件のうち重合温度としては、0〜300℃の範囲から選択することができる。重合圧力は、大気圧〜約100kg/cmの範囲から選択することができる。
また、本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、一種のポリエチレンからなるものであってもよいが、MFR、分子量分布、溶融張力が異なるポリエチレン(A)10〜95重量%、ポリエチレン(B)5〜90重量%とからなることが好ましい。ポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)は、別々に重合したものを混合してもよいし、多段重合により、連続的に重合したものでもよい。好ましいものは、ポリエチレン(A)15〜90重量%、ポリエチレン(B)10〜80重量%からなり、さらに好ましいものは、ポリエチレン(A)20〜85重量%、ポリエチレン(B)15〜80重量%からなるものである。
ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)の組成割合が上記範囲を外れると、基本的な発泡中空成形でのドローダウン性や高速成形時でのメルトフラクチャー発生等の問題が発生しやすくなる。更に発泡性能に関しても良好な均一発泡成形品を得ることが難しくなり、発泡中空成形品の性能が損なわれる。特に、ポリエチレン(B)が5重量%未満では、発泡性能が低下し、90重量%を超えると樹脂圧力が上がり樹脂温度コントロールしにくくなり安定した発泡性品を得るのが難しくなる、またメルトフラクチャー発生やパリソンの肌が荒れる等の問題が発生する。
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、以下の物性を有する。
発泡中空成形用ポリエチレンの物性(a):密度は、0.935〜0.970g/cmである。密度が0.935g/cm未満では、成形された容器の剛性が小さく、薄肉製品での強度が保たれにくくなる。一方、密度が0.970g/cmを超えたものは、製造が難しい。ここで、密度は、JIS K6922−1,2:1997に準じて測定される値である。密度は、エチレンと共重合するα−オレフィンの量により増減可能であり、また、後述するポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の組成割合を変えることにより調整することができる。
発泡中空成形用ポリエチレンの物性(b):MFRは、温度190℃、荷重2.16Kgにおいて0.05〜0.80g/10分である。MFRが0.05g/10分未満では、樹脂圧力や樹脂温度がアップし、成形性が低下する傾向にある。一方、MFRが0.80g/10分を超えると、ドローダウンや発泡性能が低下する。ここで、MFRは、JIS K6922−2:1997「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準じて、測定される値である。
MFRは、エチレン重合温度や連鎖移動剤の使用等により調整することができ、後述するポリエチレン(A)及びポリエチレン(B)の組成割合を変えることにより調整することができる。
発泡中空成形用ポリエチレンの物性(c):Mw/Mnは、GPCにより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比であり、4.0〜30、好ましくは5.0〜30、さらに好ましくは6.0〜25である。Mw/Mnが4.0未満ではメルトフラクチャーが発生しやすい、また、樹脂圧力が上昇し、樹脂温度が上昇する傾向にある。Mw/Mnが30を超えると、ピンチオフ強度やウェルド強度が低下する傾向にある。Mw/Mnは、GPCにより後述する方法で測定される。
GPC測定によるMw/Mnは、重合温度、重合反応器内の滞留時間で調整でき、また、仕上げ押出機の温度、圧力、剪断速度などにより、調整可能である。好ましくは、高分子量成分と低分子量成分の組成割合を調整することにより増減することができ、重合温度や連鎖移動剤量を重合反応中に変化させることにより分子量が異なる重合体成分が生成し、結果として全体の重合体の分子量分布を変化させることができる。
発泡中空成形用ポリエチレンの物性(d):溶融張力(MT)は、6.0〜25cNであり、好ましくは7.0〜23cN、さらに好ましくは8.0〜20cNである。溶融張力(MT)は、東洋精機製作所製キャピログラフ1−Bを用い、キャピラリー径2mm、キャピラリー長さ8mmのキャピラリーにより、190℃、ピストンスピード10m/分で押し出された溶融樹脂を4m/分の引き取り速度でフィラメントに引き取った時の溶融張力を測定することにより求められる。溶融張力が、6.0cN未満では発泡性が低下する傾向にあり、25cNを超えると樹脂圧力や樹脂温度が上昇する傾向にある。溶融張力は、ポリエチレンの連鎖に長鎖分岐を導入したり、分子量分布を広くすることにより高めることができる。
2.ポリエチレン(A)
ポリエチレン(A)の密度は、0.935〜0.970g/cm、好ましくは0.940〜0.965g/cm、さらに好ましくは0.952〜0.960g/cmである。密度が0.935g/cm未満では、成形された容器の剛性が小さく、薄肉製品での強度が保たれにくくなる。一方、密度が0.970g/cmを超えたものは、製造が困難である。ここで、密度は、JIS K6922−1,2:1997に準じて測定される値である。密度は、エチレンと共重合させるコモノマーの種類や量により変化させることにより、所望のものを得ることができる。
ポリエチレン(A)のメルトフローレート(MFR)は、温度190℃、荷重2.16Kgにおいて、0.1〜55g/10分、好ましくは0.15〜40g/10分、さらに好ましくは0.2〜30g/10分である。MFRが0.1g/10分未満では、溶融張力が低くなり発泡成形性能が充分に発揮できない。一方、MFRが55g/10分を超えると、中空成形時のドローダウン性が大きく基本的に中空成形が難しくなる。ここで、MFRは、JIS K6922−2:1997「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準じて、測定される値である。
MFRは、エチレン重合温度や連鎖移動剤の使用等により調整することができ、所望のものを得ることができる。即ち、エチレンとα−オレフィンとの重合温度を上げることにより分子量を下げて、結果としてMFRを大きくすることができ、逆に重合温度を下げることにより分子量を上げて、結果としてMFRを小さくすることができる。また、エチレンとα−オレフィンとの共重合反応において共存させる水素量(連鎖移動剤量)を増加させることにより分子量を下げて、結果としてMFRを大きくすることができ、共存させる水素量(連鎖移動剤量)を減少させることにより分子量を上げて、結果としてMFRを小さくすることができる。
ポリエチレン(A)のMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比であり、3.5〜30であることが好ましく、さらに好ましくは4.0〜20である。Mw/Mnが3.5未満では、高速押出時にメルトフラクチャーが発生しやすくなること、また、溶融張力が低く、微細な発泡中空成形品が得られず性能が低下する、30を超えるとピンチオフ強度の低下やウェルドの強度が低下する傾向にある。
GPC測定によるMw/Mnは、重合温度、重合反応器内の滞留時間、重合反応器の数などで調整でき、また、仕上げ押出機の温度、圧力、剪断速度などにより、調整可能である。好ましいのは、高分子量成分と低分子量成分の組成割合を調整することにより増減することができ、重合温度や連鎖移動剤量を重合反応中に変化させることにより分子量が異なる重合体成分が生成し、結果として全体の重合体の分子量分布を変化させることができる。重合条件の異なる重合を多段で行なうことにより分子量分布を増減させることも可能である。
GPCの測定条件及び測定方法、並びに分子量計算方法は以下の通りである。
(i)測定条件
ウォーターズ社製150C型を使用して、下記の条件でGPC測定を行い、重量平均分子量(Mw)を求める。
カラム:昭和電工社製Shodex HT−G 1本、及び同・HT−806M 2本
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:140℃
流量:1.0ml/分
注入量:300μl
(ii)サンプル調整
市販の4mlスクリュートップバイアル瓶に、試料約3mg及び溶媒3.0mlを量り採り、センシュー科学社製SSC−9300型攪拌機を用い、温度150℃で2時間振とうを行う。
(iii)分子量の計算
分子量は、GPCクロマトデータを1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版社発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行い、Mw値を計算する。
(iv)カラムの較正
カラムの較正は、昭和電工社製単分散ポリスチレン(S−7300、S−3900、S−1950、S―1460、S−1010、S−565、S−152、S−66.0、S−28.5、S−5.05)、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの各0.2mg/l溶液を用いて、一連の単分散ポリスチレンの測定を行い、それらの溶出ピーク時間と分子量の対数の関係を4次多項式でフィットしたものを較正曲線とする。
なお、ポリスチレンの分子量(MPS)は、次式を用いてポリエチレンの分子量(MPE)に換算する。
MPE=0.468×MPS
ポリエチレン(A)の溶融張力(MT)は、4.0〜15cN、好ましくは5.0〜13、さらに好ましくは8.0〜12である。東洋精機製作所製キャピログラフ1−Bを用い、キャピラリー径2mm、キャピラリー長さ8mmのキャピラリーにより、190℃、ピストンスピード10m/分で押し出された溶融樹脂を4m/分の引き取り速度でフィラメントに引き取った時の溶融張力を測定することにより求められる。溶融張力が、4.0cN未満では発泡性が低下する傾向にあり、15cNを超えると樹脂圧力や樹脂温度が上昇する傾向にある。溶融張力は、ポリエチレンの連鎖に長鎖分岐を導入したり、分子量分布を広くすることにより高めることができる。
ポリエチレン(A)は、チーグラー触媒又はクロム触媒を用いて、エチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとを共重合した共重合体であることが好ましく、さらに好ましいものはエチレンと1−ブテンとの共重合体である。
ポリエチレン(A)は、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの製造プロセスにより製造することができる。エチレン系重合体の重合条件のうち、重合温度としては、0〜300℃の範囲から選択することができる。重合圧力は、大気圧〜約100kg/cmの範囲から選択することができる。
3.ポリエチレン(B)
ポリエチレン(B)は、密度が0.935〜0.970g/cm、好ましくは0.938〜0.960g/cm、さらに好ましくは0.940〜0.958g/cmである。密度が0.935g/cm未満では、成形された容器の剛性が小さく、薄肉製品での強度が保たれにくくなる。一方、密度が0.970g/cmを超えたものは、製造が困難である。ここで、密度は、JIS K6922−1,2:1997に準じて測定される値である。
ポリエチレン(B)のMFRは、温度190℃、荷重2.16Kgにおいて、0.02〜1.0g/10分、好ましくは0.03〜0.8g/10分、さらに好ましくは0.05〜0.6g/10分である。MFRが0.02g/10分未満では、分散性が悪くなりゲル化物になりやすくなる。一方、MFRが1.0g/10分を超えると、溶融張力が低下し良好な発泡性能を発揮できなくなる。ここで、MFRは、JIS K6922−2:1997「プラスチック−ポリエチレン(PE)成形用及び押出用材料−第2部:試験片の作り方及び性質の求め方」に準じて、測定される値である。
ポリエチレン(B)は、GPCにより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が6.5〜30であることが好ましく、さらに好ましくは8.0〜25である。Mw/Mnが6.5未満では高速押出時にメルトフラクチャーが発生しやすくなり、30を超えるとピンチオフ強度やウェルド強度が低下しやすくなる傾向がある。Mw/Mnは、GPCにより上記と同様の方法で測定される。
GPC測定によるMw/Mnは、重合温度、重合反応器内の滞留時間で調整でき、また、仕上げ押出機の温度、圧力、剪断速度などにより、調整可能である。好ましくは、高分子量成分と低分子量成分の組成割合を調整することにより増減することができ、重合温度や連鎖移動剤量を重合反応中に変化させることにより分子量が異なる重合体成分が生成し、結果として全体の重合体の分子量分布を変化させることができる。
ポリエチレン(B)の溶融張力(MT)は、10〜30cN、好ましくは12〜28cN、さらに好ましくは15〜25cNである。東洋精機製作所製キャピログラフ1−Bを用い、キャピラリー径2mm、キャピラリー長さ8mmのキャピラリーにより、190℃、ピストンスピード10m/分で押し出し、この溶融樹脂を4m/分の引き取り速度でフィラメントに引き取った時の溶融張力を測定することにより求められる。溶融張力が、10cN未満では発泡性が低下する傾向にあり、30cNを超えると樹脂圧力や樹脂温度が上昇する傾向にある。溶融張力は、ポリエチレンの連鎖に長鎖分岐を導入したり分子量分布を広くすることにより高めることができる。
ポリエチレン(B)の溶融張力(MT)は、前記ポリエチレン(A)の溶融張力(MT)よりも大きいことが好ましい。ポリエチレン(B)の溶融張力(MT)が、前記ポリエチレン(A)の溶融張力(MT)と同じであるか、より小さいと、微細な独立発泡体を有する製品が得られにくいという問題がある。
ポリエチレン(B)は、クロム触媒を用いてエチレンと炭素数4〜8のα−オレフィンとを共重合した共重合体であることが好ましく、さらに好ましくはエチレンと1−ブテンとの共重合体である。クロム触媒製造ポリエチレンは、チーグラー触媒製造ポリエチレンに比べ、溶融張力が高く発泡成形に好適の特性を有し、更に結晶化温度も高く結晶化の速度が速い特性を有していることから、発泡中空成形時の金型内での発泡工程において表面及び内面層が早く固化し、ブロー圧力で押されることによるパリソン内の気泡の逃げが少なく、微細かつ高発泡で賦型性の良い容器が得やすい特性を有している。
ポリエチレン(B)は、気相重合法、溶液重合法、スラリー重合法などの製造プロセスにより製造することができる。エチレン系重合体の重合条件のうち、重合温度としては、0〜300℃の範囲から選択することができる。重合圧力は、大気圧〜約100kg/cmの範囲から選択することができる。
本発明の発泡中空成形用ポリエチレン組成物は、前記のとおり、GPCにより求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0〜30であり、5.0〜30であることが好ましい。Mw/Mnが4.0未満では中空成形時の発泡性能が低下する傾向にあり、30を超えるとピンチオフ強度やウェルド強度が低下する傾向にある。Mw/Mnは、GPCにより上記と同様の方法で測定される。
上記のように、本発明は、特定の密度、MFR、分子量分布、溶融張力を有する発泡中空成形用ポリエチレン組成物であり、特にMFR、分子量分布、溶融張力が異なるポリエチレン(A)、ポリエチレン(B)を特定の割合で配合したものは、発泡ブロー成形時の発泡状態、ウェルド状態や、成形品の表面状態、賦型性が良好であり、これら多くの要求特性がそれぞれ優れたレベルにてバランス良く達成することができる。
これに対して、従来のポリエチレンでは、ポリエチレン1種を用いるか、ポリエチレン2種を選択したとしても、その選択が好ましくないために、上記要求特性のいずれかが劣り、性能バランスが良い成形品を得ることは容易ではないことから、本発明の技術的優位性は明らかである。
4.任意成分
また、本発明の発泡中空成形用ポリエチレンには、常法に従い、他のオレフィン系重合体やゴム等のほか、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、ブロッキング防止剤、加工助剤、着色顔料、パール顔料、光輝材、偏光パール顔料、架橋剤、発泡剤、中和剤、熱安定剤、結晶核剤、無機または有機充填剤、難燃剤等の公知の添加剤を配合することができる。着色顔料等の配合に関しては、ベース樹脂に必要量添加しコンパウンド化しても、高濃度添加したマスターバッチを後ブレンドしてもよい。結晶核剤は、マスターバッチにて成形時に添加しても差し支えない。
具体的には、添加剤として、例えば酸化防止剤(フェノール系、リン系、イオウ系)、滑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤等を選び、1種又は2種以上を適宜併用することができる。充填材としては、炭酸カルシウム、タルク、金属粉(アルミニウム、銅、鉄、鉛など)、珪石、珪藻土、アルミナ、石膏、マイカ、クレー、アスベスト、グラファイト、カーボンブラック、酸化チタン等が使用可能である。いずれの場合でも、本発明の発泡中空成形用ポリエチレンに、必要に応じ各種添加剤を配合し、混練押出機、バンバリーミキサー等にて混練し、成形用材料とすることができる。
5.成形方法
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンにおいて、発泡パリソンの発泡層を形成するために添加される発泡剤は、物理発泡剤および/または化学発泡剤が使用され、好ましくは、化学発泡剤が使用される。
物理発泡剤としては、例えば、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、シクロブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、シクロペンタン、n−ヘキサン、i−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、塩化メチル、塩化エチル、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類、二酸化炭素,窒素、アルゴン、水等が挙げられる。また、化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、アゾジカルボンアミド等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で、または他の発泡剤と混合して使用することが可能である。本発明においては、これらの発泡剤のうち、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素ナトリウムとアゾジカルボンアミドの混合物が、発泡倍率の点から好適である。
上記の発泡剤の使用量は、所望する見かけ密度(発泡倍率)を考慮して適宜決められるが、概ねポリエチレン1kgに対して、物理発泡剤は0.01〜1.2モルの割合で、また化学発泡剤は0.2〜0.6g使用される。
また、上記ポリエチレンには、タルク等の気泡調整剤が添加される。気泡調整剤は、通常、ポリエチレンを主成分とする基材樹脂とのマスターバッチの形態で使用されることが一般的である。気泡調整剤の使用量は、通常、ポリエチレン100重量部に対して0.05〜10重量部である。
さらに、必要に応じて各種添加剤等を配合し、常法に従い、ペレタイザーやホモジナイザー等による機械的な溶融混合によりペレット化した後、各種成形機により成形を行って所望の成形品とすることができる。各種成形方法を採用することができるが、好ましくは発泡中空成形が挙げられ、特に発泡多段ブロー成形が好適に用いられる。発泡中空成形の条件は、特に限定されるものではないが、従来公知の中空成形装置を用いて、従来公知の条件を採用することができる。
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、パリソン温度150〜230℃、金型温度20℃、パリソン押出し後の低圧ブロー圧力0.01〜0.29MPaを1〜15秒、その後高圧ブロー圧力0.30〜0.60MPaを5〜30秒にて成形する。好ましくは、パリソン押出し後の低圧ブロー圧力0.05〜0.20MPaで、1〜10秒ブローし、その後高圧ブロー圧力を0.40〜0.55MPaとし、10〜15秒にて成形する。上記範囲を外れると、パリソン中に発泡した気泡が大きくならず、高発泡の成形品が得られない。
6.成形品
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、発泡中空成形により化粧品、洗剤、食品及び飲料等の容器等を製造するために使用できるが、これらに限定されず、多種の製品用途に利用可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。なお、実施例で用いた測定方法および材料は以下の通りである。
1.測定方法
(1)密度
JIS K6922−1及び2:1997に準じて測定した。
(2)温度190℃、荷重2.16kgにおけるメルトフローレート(MFR)
JIS K6922−2:1997に準拠して測定した。
(3)GPCの測定条件及び測定方法、並びに分子量計算方法
(i)測定条件
ウォーターズ社製150C型を使用して、下記の条件でGPC測定を行い、重量平均分子量(Mw)を求めた。
カラム:昭和電工社製Shodex HT−G 1本、及び同・HT−806M 2本
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
温度:140℃
流量:1.0ml/分
注入量:300μl
(ii)サンプル調整
市販の4mlスクリュートップバイアル瓶に試料約3mg及び溶媒3.0mlを量り採り、センシュー科学社製SSC−9300型攪拌機を用い、温度150℃で2時間振とうを行った。
(iii)分子量の計算
GPCクロマトデータは、1点/秒の頻度でコンピュータに取り込み、森定雄著・共立出版社発行の「サイズ排除クロマトグラフィー」第4章の記載に従ってデータ処理を行い、Mw値を計算した。
(iv)カラムの較正
カラムの較正は、昭和電工社製単分散ポリスチレン(S−7300、S−3900、S−1950、S―1460、S−1010、S−565、S−152、S−66.0、S−28.5、S−5.05)、n−エイコサン及びn−テトラコンタンの各0.2mg/l溶液を用いて、一連の単分散ポリスチレンの測定を行い、それらの溶出ピーク時間と分子量の対数の関係を4次多項式でフィットしたものを較正曲線とした。
なお、ポリスチレンの分子量(MPS)は、次式を用いてポリエチレンの分子量(MPE)に換算した。
MPE=0.468×MPS
(4)溶融張力
東洋精機製作所製キャピログラフ1−Bを用い、キャピラリー径2mm、キャピラリー長さ8mmのキャピラリーにより190℃、ピストンスピード10m/分で押し出された溶融樹脂を、4m/分の引き取り速度でフィラメントに引き取った時の溶融張力を測定した。
(5)曲げ弾性率
プレス成形にてJIS K−6922−2に準拠して測定した。
(6)結晶化温度
パーキングエルマ社製 DCS7を用い、アルミパンにサンプル樹脂を10mmg入れ、210℃まで昇温後、5分間保持し、その後10℃/minの速度で40℃まで降温し測定した。
(7)成形状態、および総合評価
成形結果は、発泡状態、ウェルド状態、表面状態、賦型性を目視して評価した。発泡状態は、均一発泡したものを○、不均一部があるものを△、不均一であったものを×とした。また、ウェルド状態は、良好のものを○、若干薄い部分があるものを△、薄肉状態であったものを×とした。また、表面状態は、良好のものを○、一部肌が不均一であったものを△、不良なものを×とした。さらに、賦型性(容器形状保持)は、良好のものを○、一部賦型されていないものを△、不良(パンクを含む)であるものを×とした。
また、総合評価として、全てが良好のものを○、ほぼ良好のものを△、いずれかが不良又は若干劣るものを×とした。
2.使用樹脂
ポリエチレン(A),ポリエチレン(B)として、表1に示した物性のA−1〜A−7、及びB−1〜B−4を使用した。
(実施例1〜14)
表1に示した物性のポリエチレン(A),ポリエチレン(B)を混合して、本発明の発泡中空成形用ポリエチレンを調製した。
次に、スクリュー径70mmφ、ダイ径17mmφ(ストレート)、コア径(ダイバージェント)16mmφの電動ブロー成形機を使用し、250ml偏平形状ボトルの金型を用いて、表2に示した樹脂及び発泡剤マスターバッチ配合により、実測樹脂温度210℃または160℃にて溶融混練し、押出したパリソンを表3の条件でブロー成形した。偏平形状ボトルの金型サイズは、胴部の長さ:110mm、胴部の最大幅70mm、胴部の最小幅48mm、胴部の平均的肉厚1.1mm、円筒状口部の長さ22mm、円筒状口部の最大径26mm、円筒状口部の内径19mmとした。
成形時、成形後に各種の評価を行ない、その結果を表3に示した。
(比較例1〜13)
表1に示した物性のポリエチレン(A),ポリエチレン(B)を単独で、あるいは混合して、比較用の発泡中空成形用ポリエチレンを調製した。次に、実施例と同様に、表2に示した樹脂及び発泡剤マスターバッチ配合により、実測樹脂温度210℃または160℃にて溶融混練し、押出したパリソンを表3の条件でブロー成形した。
成形時、成形後に各種の評価を行い、その結果を表3に示した。
Figure 2011052038
Figure 2011052038
Figure 2011052038
3.評価
実施例及び比較例の成形条件及び成形結果を示した表3から明らかなように、実施例1〜14では、特定のポリエチレン(A)とポリエチレン(B)からなる本発明の発泡中空成形用ポリエチレンを用いたために、発泡剤MBを添加し成形された容器は、発泡状態、ウェルド状態、表面状態、賦型性がいずれも良好である。
一方、比較例1〜13では、ポリエチレン(A)とポリエチレン(B)のいずれかを単独で用いるか、混合した発泡中空成形用ポリエチレンを用いており、その物性が本発明から外れるので、発泡状態、ウェルド状態、表面状態、賦型性の少なくともいずれかが良好でなく、良好な成形品が得られなかった。このことから、本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、容器の発泡中空成形に優れた特性を有していることが明らかである。
本発明の発泡中空成形用ポリエチレンは、高発泡性で成形性が良く、機械的強度、表面外観が良好で、かつ耐久性にも優れ、断熱性、吸音性、剛性が向上した化粧品、洗剤、食品及び飲料等の軽量容器の製造に適しており、産業上の利用可能性が高いものである。

Claims (5)

  1. 発泡中空成形品の製造に使用され、下記の物性(a)〜(d)を満足することを特徴とする発泡中空成形用ポリエチレン。
    物性(a):密度が0.935〜0.970g/cmである。
    物性(b):温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.05〜0.80g/10分である。
    物性(c):ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により求められる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が4.0〜30である。
    物性(d):溶融張力(MT)が6.0〜25cNである。
  2. 発泡中空成形用ポリエチレンは、密度が0.935〜0.970g/cmであり、温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.1〜55g/10分、Mw/Mnが3.5〜30、溶融張力(MT)が4.0〜15cNであるポリエチレン(A)10〜95重量%と、密度が0.935〜0.970g/cmであり、温度190℃、荷重2.16Kgにおけるメルトフローレート(MFR)が0.02〜1.0g/10分、Mw/Mnが6.5〜30、溶融張力(MT)が10〜30cNであるポリエチレン(B)5〜90重量%とからなることを特徴とする請求項1に記載の発泡中空成形用ポリエチレン。
  3. ポリエチレン(A)は、チーグラー系触媒又はクロム系触媒を用いて製造されたポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の発泡中空成形用ポリエチレン。
  4. ポリエチレン(B)は、溶融張力がポリエチレン(A)よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の発泡中空成形用ポリエチレン。
  5. ポリエチレン(B)は、クロム系触媒により製造されたポリエチレンであることを特徴とする請求項3又は4に記載の発泡中空成形用ポリエチレン。
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