JP2011051879A - 熱線遮蔽複層ガラス - Google Patents

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【課題】熱線遮蔽性、特に断熱性に優れ、低コストで製造可能であり、且つ水分の存在下(高湿度条件下)における耐久性が高い熱線遮蔽性のガラス製品を提供することにある。
【解決手段】ガラス板21とその表面に設けられた、導電性高分子からなる熱線反射層と24を有する熱線遮蔽ガラス30と、別のガラス板37とが、間隙をおいて、前記熱線反射層24が当該別のガラス板37に対向するように配置され、その間隙により中空層38が形成されており、且つ前記熱線反射層24の表面抵抗値が、10000Ω/□以下であることを特徴とする熱線遮蔽複層ガラス40。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱線遮蔽性又は熱線反射性を有する熱線遮蔽ガラスを用いた複層ガラスに関する。
従来から、オフィスビル等の建築物及びバス、乗用車、電車等の車両・鉄道等の空調負荷を低減するために、これらの窓に、太陽光中の近赤外線(熱線)を遮蔽する機能や、室内から放射される熱線を反射して断熱する機能が求められている。熱線を遮蔽又は反射するガラスとして、ガラス自体にFe、Cr、Tiなどのイオンを導入して熱線吸収性を持たせた練り込み型の熱線吸収ガラス、金属酸化物膜を蒸着させた熱線反射ガラス、インジウム錫酸化物(ITO)や酸化錫(ATO)などの透明導電膜の薄膜を乾式成膜したもの、金属酸化物膜/Ag膜等を主成分とする貴金属膜/金属酸化物膜を積層した熱線遮蔽膜(Low−E膜ともいう)が形成された熱線遮蔽ガラス(特許文献1)等が開発され、実用化されている。この内、Low−E膜は比較的短波長の太陽光の近赤外線は透過し、室内から放射される暖房等の遠赤外線は反射して逃がさない機能(断熱性)を有する。
このような熱線遮蔽ガラス(特に、Low−E膜が形成されたもの)は、他のガラス板と所定の間隔(空気層)を介して対向するように配置させて、複層ガラスとすることで、更に断熱性を向上されたものも開発されている(特許文献2)。これにより、冷暖房による消費エネルギーを、更に軽減することができる。
また、高い熱線遮蔽性を有し、且つ高い可視光透過率を実現する熱線遮蔽ガラスとして、タングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物((複合)タングステン酸化物ともいう)の微粒子とUV励起着色防止剤を含むコーティング膜をガラス基板上に形成したものが開発されている(特許文献3)。
更に、赤外線を吸収する特性は、導電性高分子においても知られており、表面保護層、導電性高分子を使用した遮熱層、基材、紫外線吸収層、粘着剤層からなる透明遮熱フィルムが開発されている(特許文献4)。
特開2001−226148号公報 特開2007−70146号公報 特開2007−269523号公報 特開2005−288867号公報
しかしながら、特許文献1に記載された熱線遮蔽ガラスに使用されるLow−E膜はスパッタリング法等の真空成膜方式により形成されるため大型装置が必要となり、製造コストが高くなる。また、金属膜は腐食され易く、長期間の使用により外観特性が低下するという問題がある。これらは特許文献2に記載された複層ガラスとした場合でも同様な問題となる。
また、特許文献3に記載の熱線遮蔽ガラスでは、太陽光の近赤外線を遮蔽する機能に優れているが、室内から放射される暖房等の熱線を反射する断熱性は低いため、用途によっては満足する性能が得られない場合がある。
一方、特許文献4の導電性高分子を用いた遮蔽フィルムでは熱線遮蔽性が十分とはいえず。更に、本発明者らの検討により、導電性高分子からなる熱線反射層を有する熱線遮蔽ガラスは、条件によって高い断熱性を有するが、水分の存在下(高湿度条件下)における耐久性(本発明において、「耐水性」とも称する。)が低いという問題が明らかになっている。
従って、本発明の目的は、熱線遮蔽性、特に断熱性に優れ、低コストで製造可能であり、且つ、水分の存在下(高湿度条件下)における耐久性が高い熱線遮蔽性のガラス製品を提供することにある。
上記目的は、ガラス板とその表面に設けられた、導電性高分子からなる熱線反射層とを有する熱線遮蔽ガラスと、別のガラス板とが、間隙をおいて、前記熱線反射層が当該別のガラス板に対向するように配置され、その間隙により中空層が形成されており、且つ前記熱線反射層の表面抵抗値が、10000Ω/□以下であることを特徴とする熱線遮蔽複層ガラスによって達成される。導電性高分子からなる熱線反射層は、特に、表面抵抗値が10000Ω/□以下であれば、高い熱線反射性(断熱性)を有しており、熱線反射層の自由電子密度が高くなり、十分な断熱性が得られる。また、導電性高分子は有機高分子製のため、低コストの塗工法等による層形成が可能である。更に、上記のような複層ガラスとすることにより、導電性高分子からなる熱線反射層を雨水、結露、湿気等の水分から保護することができ、耐水性(水分の存在下(高湿度条件下)における耐久性)が高い熱線遮蔽性のガラス製品を得ることができる。
本発明の熱線遮蔽複層ガラスの好ましい態様は以下の通りである。
(1)前記導電性高分子が、下記式(I):
Figure 2011051879
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、又はR及びRが一緒になって任意に置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基を表し、nは50〜1000の整数を表す)で表される繰り返し単位を含むポリチオフェン誘導体である。
上記のポリチオフェン誘導体は導電性が高いので本発明における熱線反射層に使用する導電性高分子として好適である。
(2)前記熱線反射層の層厚が、10〜3000nmである。
(3)前記熱線遮蔽ガラスが、表面に前記熱線反射層を形成した透明プラスチックフィルムとガラス板が、接着剤層を介して貼り合わされたものである。
これにより熱線遮蔽ガラスの耐衝撃性、耐貫通性を向上することができる。
(4)前記接着剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む。
EVAは透明性が高く、耐候性に優れているので、本発明における接着剤層に使用する接着剤として好適である。
(5)前記熱線反射層の太陽光が照射される側に、紫外線吸収層が形成されている。これにより、更に導電性高分子の紫外線による劣化を抑制することができる。
(6)前記中空層が、前記熱線遮蔽ガラスと前記別のガラス板がスペーサーを介して配置されることで形成されている。更に、スペーサー内に乾燥剤を入れておくことが好ましい。
(7)前記中空層が、乾燥空気層、不活性ガス層、及び減圧層からなる群から選択される1種の層である。これにより、導電性高分子からなる熱線反射層を、更に十分に水分から保護することができる。
本発明によれば、熱線遮蔽ガラスの熱線反射層が、導電性高分子で形成され、所定の表面抵抗値を有しているので、室内から放射される暖房等の熱線を反射して逃がさない断熱性を有している。また、導電性高分子は有機高分子製のため、低コストの塗工法等による層形成が可能であり、安価な製品とすることができる。更に、熱線遮蔽ガラスを、熱線反射層が別のガラス板と対向するように配置した複層ガラスとしているので、導電性高分子からなる熱線反射層を雨水、湿気等の水分から保護することができ、耐水性が高い熱線遮蔽性のガラス製品とすることができる。
本発明の熱線遮蔽複層ガラスの代表的な一例を示す概略断面図である。
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の熱線遮蔽複層ガラスの代表的な一例を示す概略断面図である。
なお、本発明において、「ガラス」とは透明基板全般を意味するもので、ガラス板の他、透明プラスチック製基板であっても良い。従って、例えば、熱線遮蔽ガラスとは、熱線遮蔽性が付与された透明基板を意味する。
本発明の熱線遮蔽複層ガラス40は、熱線遮蔽ガラス30、熱線遮蔽ガラス30と間隙をおいて対向するように配置されたガラス板37、これらの外周部に配置され接着剤(図示していない)によりこれらを接合しているスペーサー39、及びスペーサー39によって熱線遮蔽ガラス30とガラス板37との間に形成された中空層38から構成されている。
本発明の熱線遮蔽複層ガラス40における熱線遮蔽ガラス30について説明する。図1に示した、熱線遮蔽ガラス30においては、ガラス板21の表面上に接着剤層22、透明プラスチックフィルム23、導電性高分子からなる熱線反射層24が順に積層一体化されている。通常、熱線遮蔽ガラス30は、透明プラスチックフィルム23の一方の表面上に導電性高分子からなる熱線反射層24を形成し、その後、透明プラスチックフィルム23を、上記の層が形成された面の反対面で、接着剤層22を介してガラス板21に接着したものである。
熱線遮蔽ガラス30は、導電性高分子からなる熱線反射層24が形成されていることにより、効果的に熱線の放射を抑制し、断熱性を高めることができる。これは、導電性高分子の自由電子によるプラズマ吸収波長が、地上気温付近の物体の放射よりも短波長側にあり、そのプラズマ吸収波長より高波長の電磁波を反射するためと考えられる。
本発明において、導電性高分子からなる熱線反射層24の表面抵抗値は、10000Ω/□以下である。この表面抵抗値であれば、自由電子密度が十分高く、十分な断熱性が得られる。表面抵抗値は、好ましくは1000Ω/□以下であり、更に好ましくは300Ω/□以下である。
熱線反射層24は図1のように熱線遮蔽ガラス30の最表層に形成されていることが好ましい。熱線反射層24の上に別の層があることは好ましくないが、導電性がある(金属)薄膜や、導電性がない有機樹脂であっても、導電性高分子層の放射抑制効果を妨げない程度の薄膜であれば、熱線反射層24の上に形成されていても良い。この場合、別の層の表面抵抗値は、1×10Ω/□以下が好ましく、層厚は1μm以下が好ましい。
本発明において、接着剤層22、透明プラスチックフィルム23は無くても良い。ガラス板21の表面に熱線反射層24を直接形成しても良く、ガラス板21の表面に接着剤層22を形成し、その表面に熱線反射層24を形成しても良い。熱線遮蔽ガラス30は、製造容易で、耐衝撃性、耐貫通性が向上する点で、図1に示したように、表面に熱線反射層24を形成した透明プラスチックフィルム23とガラス板21が、接着剤層22を介して貼り合わされたものが好ましい。
本発明の熱線遮蔽複層ガラス40においては、図示の通り、熱線遮蔽ガラス30は、熱線反射層24がガラス板37に対向するように配置されている。これにより、導電性高分子からなる熱線反射層24を雨水、結露、湿気等の水分から保護することができ、耐水性を向上することができる。従って、長期間に渡り、熱線反射層24の熱線反射性(断熱性)や可視光透過性を維持することができる。
以下に熱線反射ガラス30を構成する要素について説明する。
[熱線反射層]
熱線反射層24を形成する導電性高分子は、一般に共役型の二重結合を基本骨格に有する有機高分子で、具体的にはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフラン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、これらの誘導体、及びこれらを構成する単量体の共重合物から選ばれた導電性高分子のいずれか1種又は2種以上の混合物が好ましく挙げられる。中でも、水又はその他の溶媒に対して可溶性、又は分散性を有し、高い導電性及び透明性を示す、ポリチオフェン誘導体が好ましい。特に、下記式(I):
Figure 2011051879
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、又はR及びRが一緒になって任意に置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基を表し、nは50〜1000の整数を表す)で表される繰り返し単位を含むポリチオフェン誘導体が好ましい。
式(I)において、R及びRが一緒になって、形成する置換基としていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基としては、具体的にはアルキル基で置換されたメチレン基、任意に炭素原子数1〜12のアルキル基又はフェニル基で置換されたエチレン−1,2基、プロピレン−1,3基、ブテン−1,4基を形成する基等が挙げられる。
式(I)におけるR1及びR2として、好ましくはメチル基又はエチル基であるか、R及びRが一緒になって形成するメチレン基、エチレン−1,2基又はプロピレン−1,3基である。特に好ましいポリチオフェン誘導体としては、下記式(II):
Figure 2011051879
(式中、pは50〜1000の整数を表す)で示される繰り返し単位、即ち、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)単位を有するポリチオフェン誘導体である。
導電性高分子は、更にドーパント(電子供与剤)を含むことが好ましい。ドーパントとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸、ポリビニルスルホン酸が好ましく挙げられる。特に、ポリスチレンスルホン酸が好ましい。これらにより導電性高分子の導電性を向上することができ、熱線反射層14の近赤外線遮蔽効果を高めることができる。ドーパントの数平均分子量Mnは、好ましくは1,000〜2,000,000であり、特に好ましくは2,000〜500,000である。
ドーパントの含有量は導電性高分子100質量部に対して、通常20〜2000質量部であり、好ましくは、40〜200質量部である。例えば、式(II)のポリチオフェン誘導体を導電性高分子とし、ポリスチレンスルホン酸をドーパントとして使用する場合はポリチオフェン100質量部に対して、ポリスチレンスルホン酸100〜200質量部が好ましく、特に120〜180質量部が好ましい。
導電性高分子からなる熱線反射層24は、従来公知の方法で形成できる。例えば、導電性高分子が溶解又は分散した塗工液を透明プラスチックフィルム23又はガラス板21又は接着剤層22の表面上に、バーコーター法、ロールコーター法、カーテンフロー法、スプレー法など適当な方法を用いて塗工し、乾燥して形成する。塗工液に用いる溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトフェノン、メチルエチルケトン等のケトン類;四塩化炭素及びフッ化炭化水素等のハロゲン化炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類が好ましく挙げられる。特に、水、アルコール類が好ましい。
導電性高分子からなる熱線反射層24の層厚は、好ましくは10〜3000nmであり、更に好ましくは100〜2000nm、特に150〜1500nmである。
[ガラス板]
本発明におけるガラス板21は透明基板であれば良く、例えば、グリーンガラス、珪酸塩ガラス、無機ガラス板、無着色透明ガラス板などのガラス板の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンブチレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のプラスチック製の基板又はフィルムを用いてもよい。耐候性、耐衝撃性等の点でガラス板が好ましい。ガラス板の厚さは、1〜20mm程度が一般的である。
[透明プラスチックフィルム]
本発明における透明プラスチックフィルムは、透明(「可視光に対して透明」を意味する。)なプラスチックフィルムであれば特に制限はない。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエチレンブチレートフィルム等を挙げることができ、特に加工時の熱、溶剤、折り曲げ等の負荷に対する耐性が高く、透明性が高い点で、PETフィルムが好ましい。また、透明プラスチックフィルム表面には、接着性を向上させるために、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー層コート処理などの接着処理を施してもよく、共重合ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等の易接着層を設けてもよい。透明プラスチックフィルムの厚さは、一般に、1μm〜10mm、好ましくは10〜400μmであり、特に20〜200μmが好ましい。
[接着剤層]
本発明における接着剤層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、金属イオン架橋エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン系共重合体を使用することができる(なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を示す。)。また、接着剤層には、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系粘着剤、SEBS及びSBS等の熱可塑性エラストマー等も用いることができる。なかでも、優れた接着性を示し、長期耐久性が高く、高い透明性を有することからEVAを用いるのが好ましい。
接着剤層に用いられるEVAは、酢酸ビニル含有率が、EVA100質量部に対して、23〜38質量部であり、特に23〜28質量部であることが好ましい。これにより接着性及び透明性に優れる接着剤層を得ることができる。またEVAのメルト・フロー・インデックス(MFR)が、4.0〜30.0g/10分、特に8.0〜18.0g/10分であることが好ましい。予備圧着が容易になる。
接着剤層にエチレン系共重合体を用いる場合、更に有機過酸化物を含むのが好ましい。有機過酸化物により架橋硬化させることにより、隣接する層とガラス板等を更に接合一体化することができる。有機過酸化物としては、100℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものであれば、どのようなものでも併用することもできる。有機過酸化物は、一般に、成膜温度、組成物の調整条件、硬化(貼り合わせ)温度、被着体の耐熱性、貯蔵安定性を考慮して選択される。特に、半減期10時間の分解温度が70℃以上のものが好ましい。
この有機過酸化物の例としては、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3−ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、メチルエチルケトンパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ビスパーオキシベンゾエート、ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、クロロヘキサノンパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、クミルパーオキシオクトエート、コハク酸パーオキサイド、アセチルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレーオ及び2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイドを挙げることができる。
また、接着剤層は、更に架橋助剤や接着向上剤としてシランカップリング剤を含むのが好ましい。
架橋助剤としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等に複数のアクリル酸あるいはメタクリル酸をエステル化したエステル、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能化合物を挙げることができる。
シランカップリング剤の例として、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で使用しても、又は2種以上組み合わせて使用しても良い。また上記化合物の含有量は、エチレン系共重合体100質量部に対して5質量部以下であることが好ましい。
接着樹脂層は、種々の物性(機械的強度、接着性、透明性等の光学的特性、耐熱性、耐光性、架橋速度等)の改良あるいは調整、特に機械的強度、耐光性の改良のため、アクリロキシ基含有化合物、メタクリロキシ基含有化合物、エポキシ基含有化合物、可塑剤、紫外線吸収剤を含んでいることが好ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物及び、ヒンダードアミン系化合物を挙げることができる。黄変を抑制する観点から、ベンゾフェノン系化合物が好ましい。上記紫外線吸収剤は、エチレン系共重合体100質量部に対して0.01〜1.5質量部(特に0.5〜1.0質量部)使用することが好ましい。
接着剤層の厚さは、100〜2000μm、特に400〜1000μmであるのが好ましい。
エチレン系共重合体を含む接着剤層を作製するには、例えば、エチレン系共重合体及び有機過酸化物等を含む組成物を、通常の押出成形、カレンダ成形(カレンダリング)等により成形して層状物を得る方法などを用いることができる。組成物の混合は、40〜90℃、特に60〜80℃の温度で加熱混練することにより行うのが好ましい。また、製膜時の加熱温度は、架橋剤が反応しない或いはほとんど反応しない温度とすることが好ましい。例えば、40〜90℃、特に50〜80℃とするのが好ましい。接着剤層は透明プラスチックフィルムやガラス板の表面に直接形成しても良く、別途、フィルム状の接着剤シートを使用して形成しても良い。
本発明に係る熱線遮蔽ガラス30を製造するには、例えば熱線反射層24を形成した透明プラスチックフィルム23、及びガラス板21を用意し、上記のような接着剤層22(透明プラスチックフィルムの熱線反射層等を形成した面と反対側の表面に形成するか、接着剤シートをガラス板上に積層する)を介して、上記の熱線反射層23を形成した透明プラスチックフィルム24とガラス板21を積層した積層体を脱気した後、加熱下(好ましくは40〜200℃で1〜120分間、特に60〜150℃で1〜20分間)に押圧(好ましくは1.0×10Pa〜5.0×10Paの圧力)して接着一体化すれば良い。
これらの工程は例えば、真空袋方式、ニップロール方式等で行うことができる。
例えば、接着剤層22にEVAを使用した場合、一般に100〜150℃(特に130℃付近)で、10分〜1時間架橋させる。これは、積層体を脱気したのち、例えば80〜120℃の温度で予備圧着し、100〜150℃(特に130℃付近)で、10分〜1時間加熱処理することにより行われる。架橋後の冷却は一般に室温で行われるが、特に、冷却
は速いほど好ましい。
透明プラスチックフィルム23を使用しない場合でも、熱線反射層24のガラス板21への密着性を高めるため、ガラス板21上に接着剤層22を設けることもできる。
本発明の熱線遮蔽複層ガラス40における中空層38としては、空気層、不活性ガス層、及び減圧層などを用いることができる。これらの中空層によれば、複層ガラスに求められる断熱性を向上するとともに、熱線遮蔽層24を雨水、湿気等の水分から保護することができる。空気層は、乾燥剤を含むスペーサーを用いることにより乾燥空気を用いても良い。不活性ガス層は、クリプトンガス、アルゴンガス、及びキセノンガスなどの不活性ガスを含む。減圧層の気圧は、1.0Pa以下、特に0.01〜1.0Paとするのが好ましい。中空層の厚さは、6〜12mmであるのが好ましい。中空層38は乾燥空気層、不活性ガス層、減圧層のいずれか1種から選択されるのが好ましい。これにより、より適切に熱線遮蔽層24を水分から保護することができ、熱線遮蔽複層ガラス40の耐水性を向上させることができる。
本発明の熱線遮蔽複層ガラス40におけるガラス板37としては、ガラス板21と同様な透明基板でも良い。また、フロートガラス、型板ガラス、表面処理により光り拡散機能を備えたすりガラス、網入りガラス、線入板ガラス、強化ガラス、倍強化ガラス、低反射ガラス、高透過板ガラス、セラミック印刷ガラス、熱線や紫外線吸収機能を備えた特殊ガラスなど、種々のガラスを適宜選択して使用することができる。また、ガラス板の組成についても、ソーダ珪酸ガラス、ソーダ石灰ガラス、ほう珪酸ガラス、アルミノ珪酸ガラス、各種結晶化ガラスなどを使用することができる。
本発明の熱線遮蔽複層ガラス40は、熱線反射層24の他に、別の熱線遮蔽層、ネオン発光吸収層、紫外線吸収層等の各種機能を有する層を有していても良い。
熱線遮蔽層は、導電性高分子以外の熱線遮蔽剤を含む層である。熱線遮蔽剤は一般に無機系材料又は有機系色素である。例えば、タングステン酸化物及び/又は複合タングステン酸化物、インジウム−錫酸化物、錫酸化物、アンチモン−錫酸化物、フタロシアニン系色素、金属錯体系色素、ニッケルジチオレン錯体系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、アゾメチン系色素、アゾ系色素、ポリアゾ系色素、ジイモニウム系色素、アミニウム系色素、アントラキノン系色素等を挙げることができる。これらの色素は、単独又は組み合わせて使用することができる。
ネオン発光吸収層(ネオンカット層)は、ネオン発光の選択吸収色素を含む層である。ネオン発光の選択吸収色素としては、ポルフィリン系色素、アザポルフィリン系色素、シアニン系色素、スクアリリウム系色素、アントラキノン系色素、フタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ポリアゾ系色素、アズレニウム系色素、ジフェニルメタン系色素、トリフェニルメタン系色素を挙げることができる。このような選択吸収色素は、585nm付近のネオン発光の選択吸収性とそれ以外の可視光波長において吸収が小さいことが必要であるため、吸収極大波長が560〜610nmであり、吸収スペクトル半値幅が40nm以下であるものが好ましい。
紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含む層であり、紫外線吸収剤として、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物及び、ヒンダードアミン系化合物、サリチル酸系化合物、シアノアクリレート系化合物等を使用することができる。
これらの層は、各化合物の性質(溶解性、反応性等)に応じて別々の層として形成しても良く、各化合物を混合して同一の層として形成しても良い。また、光学特性に大きな影響を与えない限り、これらの層に着色用の色素、酸化防止剤等をさらに加えても良い。
また、これらの層は熱線遮蔽複層ガラス40の熱線遮蔽ガラス30側に、例えば、熱線反射層24の下層又は上層(好ましくは下層)に形成されていても良く、ガラス板37側に
形成されていても良い。
特に、導電性高分子の紫外線による劣化を防止するため、紫外線吸収層が熱線遮蔽層24に対して、太陽光が照射される側(室外側)に形成されているのが好ましい。即ち、熱線遮蔽ガラス30が室外側に配置された場合は、紫外線吸収層が熱線遮蔽ガラス30における熱線反射層24の下層、又はガラス板21の熱線反射層24が形成された面の反対面に形成されているのが好ましい。また、ガラス板37が室外側に配置された場合は、紫外線吸収層が熱線遮蔽層24の上層、又はガラス板37の表面に形成されているのが好ましい。
本発明の熱線遮蔽複層ガラスの形状は、用途に応じて、矩形状、丸状、菱形状など、種々の形状とすることができる。熱線遮蔽複層ガラスの用途についても、建築物や乗り物(自動車、鉄道車両、船舶)用の窓ガラス、あるいは、プラズマディスプレイなどの機器要素をはじめとして、冷蔵庫や保温装置などのような各種装置の扉や壁部など、種々の用途に使用することができる。
本発明の熱線遮蔽複層ガラスを、比較的、緯度が低い地域など、温暖な地域において建築物や車両などに使用する場合には、ガラス板が室内側、熱線遮蔽ガラスが室外側に配置されるのが好ましい。太陽光や室外から照射される近赤外線を効果的に遮蔽できるからである。一方、本発明の熱線遮蔽複層ガラスを比較的、緯度が高い地域など、寒冷地域で使用する場合には、ガラス板が室外側、熱線遮蔽ガラスが室内側に配置されるのが好ましい。室内から放射される暖房等の赤外線を反射して逃がさず(断熱性)、暖房効率を高めることができるからである。本発明の熱線遮蔽複層ガラスは断熱性に優れるので、寒冷地域でより有効に使用することができる。
以下に、実施例を示し、本発明についてさらに詳述する。
1.複層ガラスと単層ガラスの比較
(A)熱線遮蔽ガラス(単層ガラス)の作製
(比較例1)
(1)熱線反射層の形成
PETフィルム(厚さ100μm)上に、ポリチオフェン誘導体A及びポリスチレンスルホン酸の混合物(1:2.5質量部)の水分散液(固形分1.2質量%)(Clevios FE(H.C.Starck社製))を、バーコータを用いて塗布し、120℃、3分間乾燥させ、PETフィルム上に熱線反射層(厚さ150nm)を形成した。
(2)接着剤層の作製
下記配合の組成物を、カレンダ成形法によりシート状に圧延し、接着剤層(厚さ0.4mm)を得た。なお、配合物の混練は80℃で15分行い、またカレンダロールの温度は80℃、加工速度は5m/分であった。
(配合)
EVA(EVA100質量部に対する酢酸ビニルの含有量25質量部;ウルトラセン635(東ソー社製)):100質量部、
有機過酸化物(tert−ブチルパ−オキシ2−エチルヘキシルカーボネート;トリゴノックス117(化薬アクゾ社製):2.5質量部、
架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート;TAIC(登録商標)(日本化成社製)):2質量部、
シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;KBM503(信越化学社製)):0.5質量部
紫外線吸収剤:(ユビナール3049(BASF社製)):0.5質量部
(3)熱線遮蔽ガラスの作製
ガラス板(厚さ3mm)上に、接着剤層、PETフィルム上に形成された熱線反射層をこの順で積層した。得られた積層体を、100℃で30分間加熱することにより仮圧着を行った後、オートクレーブ中で圧力13×10Pa、温度140℃の条件で30分間加熱した。これにより、接着剤層を硬化させて、ガラス板と透明プラスチックフィルム間が接着一体化された熱線遮蔽ガラスを得た。
(比較例2)
ポリチオフェン誘導体Aをポリチオフェン誘導体B(SEPLEGYDA OC−X109(信越ポリマー社製))とした以外は比較例1と同様に熱線遮蔽ガラスを得た。
(比較例3)
ポリチオフェン誘導体Aをポリチオフェン誘導体C(SEPLEGYDA OC−AE23(信越ポリマー社製))とした以外は比較例1と同様に熱線遮蔽ガラスを得た。
(B)複層ガラスの作製
(実施例1)
ガラス板(厚さ3mm)と、比較例1で作製した熱線遮蔽ガラスとを、これらの周縁部に配置された額縁状のアルミニウム製スペーサーを介して対向配置し、これらをブチルゴムにより接着した。このとき、熱線遮蔽ガラスの熱線反射層が形成された面が、スペーサーにより形成された空気層側になるようにした。空気層の厚さは6mmとした。
(実施例2)
熱線遮蔽ガラスを比較例2で作製したものとした以外は実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(実施例3)
熱線遮蔽ガラスを比較例3で作製したものとした以外は実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(C)評価方法
各ガラス試料を、温度85℃、湿度85%RHの雰囲気中に500時間湿熱処理し、処理前後のヘイズ値(%)を、日本電色工業(株)ヘイズメーターNDH2000を用いて測定した。
(D)評価結果
各ガラス試料の評価結果を表1に示す。
Figure 2011051879
表1に示す通り、単層ガラスの比較例1〜3の場合はどのポリチオフェン誘導体でも湿熱処理後にヘイズ値が上昇し、耐水性が低いことが認められた。一方、複層ガラスの実施例1〜3では、どのポリチオフェン誘導体でも湿熱処理前後のヘイズ値に変化はなく、耐水性が向上していることが認められた。
2.複層ガラスの評価
(A)複層ガラスの作製
(実施例4)
(1)熱線反射層の形成
PETフィルム(厚さ100μm)上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸の混合物(1:2.5質量部)の水分散液(固形分1.2質量%)を、バーコータを用いて塗布し、120℃、3分間乾燥させ、PETフィルム上に熱線反射層(厚さ150nm)を形成した。
(2)接着剤層の作製
比較例1(2)と同様に接着剤層を作製した。
(3)熱線遮蔽ガラスの作製
比較例1(3)と同様に熱線遮蔽ガラスを作製した。
(4)複層ガラスの作製
実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(実施例5)
熱線反射層の層厚を450nmとした以外は、実施例4と同様に複層ガラスを作成した。
(比較例4)
ガラス板(厚さ3mm)2枚を用いて、実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(比較例5)
(1)熱線反射層の形成
PETフィルム(厚さ100μm)上に、ポリアニリンのメタノール分散液(固形分1質量%)を、バーコータを用いて塗布し、120℃、3分間乾燥させ、PETフィルム上に熱線反射層(厚さ150nm)を形成した。
(2)接着剤層の作製
比較例1(2)と同様に、接着剤層を作製した。
(3)熱線遮蔽ガラスの作製
比較例1(3)と同様に、熱線遮蔽ガラスを作製した。
(4)複層ガラスの作製
実施例1と同様に、複層ガラスを作成した。
(比較例6)
(1)熱線遮蔽ガラスの作製
インライン式の直流スパッタリング装置を用いて、ガラス板(厚さ3mm)上にガラス板側からインジウム錫酸化物(ITO)膜、銀膜、ITO膜、銀膜、ITO膜をこの順に含む熱線反射膜を形成することで、熱線遮蔽ガラスを得た。スパッタリングはインジウム錫酸化物ではアルゴンと酸素を98:10の流量比で導入し、放電電流6Aで行い、銀ではアルゴンのみ導入し、放電電流0.9Aで行った。
(2)複層ガラスの作製
ガラス板(厚さ3mm)と、(1)で作製した熱線遮蔽ガラスを用いて、実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(B)評価方法
(1)表面抵抗値
各熱線遮蔽ガラスの表面抵抗値を、抵抗率計ロレスタGP(三菱化学社製)用いて測定した。
(2)熱貫流率
JISR3107に準拠して測定した。
(3)耐候性
各ガラス試料を、温度85℃、湿度85%RHの雰囲気中に1000時間放置し、外観を評価した。外観変化がない場合を○、腐食等の外観に変化があった場合を×とした。
(C)評価結果
各ガラス試料の評価結果を表2に示す。
Figure 2011051879
表2に示す通り、実施例4及び5の複層ガラスは、熱線反射層のない比較例4に比較して、熱貫流率が低く、熱線放射性が低い(断熱性が高い)ことが示された。導電性高分子からなる熱線反射層があっても、表面抵抗値が1×10Ω/□の比較例5では熱貫流率が高く十分な断熱性が得られなかった。また、比較例6のITO/Ag膜の熱線反射層を有する複層ガラスは、耐候性が低く、この点において実施例1及び2の複層ガラスが優位であった。
なお、本発明は上記の実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
オフィスビル等の建築物及びバス、乗用車、電車等の車両・鉄道等の空調負荷を長期間に渡って低減できる熱線遮蔽ガラスを低コストで提供することができる。
30:熱線遮蔽ガラス
21、37:ガラス板
22: 接着剤層
23:透明プラスチックフィルム
24:熱線反射層
38:中空層
39:スペーサー
40:複層ガラス

Claims (5)

  1. ガラス板とその表面に設けられた、導電性高分子からなる熱線反射層とを有する熱線遮蔽ガラスと、別のガラス板とが、間隙をおいて、前記熱線反射層が当該別のガラス板に対向するように配置され、その間隙により中空層が形成されており、且つ
    前記熱線反射層の表面抵抗値が、10000Ω/□以下であることを特徴とする熱線遮蔽複層ガラス。
  2. 前記導電性高分子が、下記式(I):
    Figure 2011051879

    (式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子若しくは炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、又はR及びRが一緒になって任意に置換されていても良い炭素原子数1〜4のアルキレン基を表し、nは50〜1000の整数を表す)で表される繰り返し単位を含むポリチオフェン誘導体である請求項1に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
  3. 前記熱線反射層の層厚が、10〜3000nmである請求項1又は2に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
  4. 前記熱線遮蔽ガラスが、表面に前記熱線反射層を形成した透明プラスチックフィルムとガラス板が、接着剤層を介して貼り合わされたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
  5. 前記接着剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む請求項4に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
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