JP2011051879A - 熱線遮蔽複層ガラス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ガラス板21とその表面に設けられた、導電性高分子からなる熱線反射層と24を有する熱線遮蔽ガラス30と、別のガラス板37とが、間隙をおいて、前記熱線反射層24が当該別のガラス板37に対向するように配置され、その間隙により中空層38が形成されており、且つ前記熱線反射層24の表面抵抗値が、10000Ω/□以下であることを特徴とする熱線遮蔽複層ガラス40。
【選択図】図1
Description
更に、赤外線を吸収する特性は、導電性高分子においても知られており、表面保護層、導電性高分子を使用した遮熱層、基材、紫外線吸収層、粘着剤層からなる透明遮熱フィルムが開発されている(特許文献4)。
(1)前記導電性高分子が、下記式(I):
(2)前記熱線反射層の層厚が、10〜3000nmである。
(3)前記熱線遮蔽ガラスが、表面に前記熱線反射層を形成した透明プラスチックフィルムとガラス板が、接着剤層を介して貼り合わされたものである。
これにより熱線遮蔽ガラスの耐衝撃性、耐貫通性を向上することができる。
(4)前記接着剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む。
EVAは透明性が高く、耐候性に優れているので、本発明における接着剤層に使用する接着剤として好適である。
(5)前記熱線反射層の太陽光が照射される側に、紫外線吸収層が形成されている。これにより、更に導電性高分子の紫外線による劣化を抑制することができる。
(6)前記中空層が、前記熱線遮蔽ガラスと前記別のガラス板がスペーサーを介して配置されることで形成されている。更に、スペーサー内に乾燥剤を入れておくことが好ましい。
(7)前記中空層が、乾燥空気層、不活性ガス層、及び減圧層からなる群から選択される1種の層である。これにより、導電性高分子からなる熱線反射層を、更に十分に水分から保護することができる。
[熱線反射層]
熱線反射層24を形成する導電性高分子は、一般に共役型の二重結合を基本骨格に有する有機高分子で、具体的にはポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリフラン、ポリフルオレン、ポリフェニレンビニレン、これらの誘導体、及びこれらを構成する単量体の共重合物から選ばれた導電性高分子のいずれか1種又は2種以上の混合物が好ましく挙げられる。中でも、水又はその他の溶媒に対して可溶性、又は分散性を有し、高い導電性及び透明性を示す、ポリチオフェン誘導体が好ましい。特に、下記式(I):
本発明におけるガラス板21は透明基板であれば良く、例えば、グリーンガラス、珪酸塩ガラス、無機ガラス板、無着色透明ガラス板などのガラス板の他、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンブチレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のプラスチック製の基板又はフィルムを用いてもよい。耐候性、耐衝撃性等の点でガラス板が好ましい。ガラス板の厚さは、1〜20mm程度が一般的である。
本発明における透明プラスチックフィルムは、透明(「可視光に対して透明」を意味する。)なプラスチックフィルムであれば特に制限はない。プラスチックフィルムの例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フィルム、ポリカーボネート(PC)フィルム、ポリエチレンブチレートフィルム等を挙げることができ、特に加工時の熱、溶剤、折り曲げ等の負荷に対する耐性が高く、透明性が高い点で、PETフィルムが好ましい。また、透明プラスチックフィルム表面には、接着性を向上させるために、予めコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、プライマー層コート処理などの接着処理を施してもよく、共重合ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂等の易接着層を設けてもよい。透明プラスチックフィルムの厚さは、一般に、1μm〜10mm、好ましくは10〜400μmであり、特に20〜200μmが好ましい。
本発明における接着剤層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、金属イオン架橋エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、カルボキシル化エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル−無水マレイン酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリレート共重合体などのエチレン系共重合体を使用することができる(なお、「(メタ)アクリル」は「アクリル又はメタクリル」を示す。)。また、接着剤層には、ポリビニルブチラール(PVB)樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系粘着剤、SEBS及びSBS等の熱可塑性エラストマー等も用いることができる。なかでも、優れた接着性を示し、長期耐久性が高く、高い透明性を有することからEVAを用いるのが好ましい。
これらの工程は例えば、真空袋方式、ニップロール方式等で行うことができる。
は速いほど好ましい。
また、これらの層は熱線遮蔽複層ガラス40の熱線遮蔽ガラス30側に、例えば、熱線反射層24の下層又は上層(好ましくは下層)に形成されていても良く、ガラス板37側に
形成されていても良い。
1.複層ガラスと単層ガラスの比較
(A)熱線遮蔽ガラス(単層ガラス)の作製
(比較例1)
(1)熱線反射層の形成
PETフィルム(厚さ100μm)上に、ポリチオフェン誘導体A及びポリスチレンスルホン酸の混合物(1:2.5質量部)の水分散液(固形分1.2質量%)(Clevios FE(H.C.Starck社製))を、バーコータを用いて塗布し、120℃、3分間乾燥させ、PETフィルム上に熱線反射層(厚さ150nm)を形成した。
(2)接着剤層の作製
下記配合の組成物を、カレンダ成形法によりシート状に圧延し、接着剤層(厚さ0.4mm)を得た。なお、配合物の混練は80℃で15分行い、またカレンダロールの温度は80℃、加工速度は5m/分であった。
(配合)
EVA(EVA100質量部に対する酢酸ビニルの含有量25質量部;ウルトラセン635(東ソー社製)):100質量部、
有機過酸化物(tert−ブチルパ−オキシ2−エチルヘキシルカーボネート;トリゴノックス117(化薬アクゾ社製):2.5質量部、
架橋助剤(トリアリルイソシアヌレート;TAIC(登録商標)(日本化成社製)):2質量部、
シランカップリング剤(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン;KBM503(信越化学社製)):0.5質量部
紫外線吸収剤:(ユビナール3049(BASF社製)):0.5質量部
(3)熱線遮蔽ガラスの作製
ガラス板(厚さ3mm)上に、接着剤層、PETフィルム上に形成された熱線反射層をこの順で積層した。得られた積層体を、100℃で30分間加熱することにより仮圧着を行った後、オートクレーブ中で圧力13×105Pa、温度140℃の条件で30分間加熱した。これにより、接着剤層を硬化させて、ガラス板と透明プラスチックフィルム間が接着一体化された熱線遮蔽ガラスを得た。
(比較例2)
ポリチオフェン誘導体Aをポリチオフェン誘導体B(SEPLEGYDA OC−X109(信越ポリマー社製))とした以外は比較例1と同様に熱線遮蔽ガラスを得た。
(比較例3)
ポリチオフェン誘導体Aをポリチオフェン誘導体C(SEPLEGYDA OC−AE23(信越ポリマー社製))とした以外は比較例1と同様に熱線遮蔽ガラスを得た。
(実施例1)
ガラス板(厚さ3mm)と、比較例1で作製した熱線遮蔽ガラスとを、これらの周縁部に配置された額縁状のアルミニウム製スペーサーを介して対向配置し、これらをブチルゴムにより接着した。このとき、熱線遮蔽ガラスの熱線反射層が形成された面が、スペーサーにより形成された空気層側になるようにした。空気層の厚さは6mmとした。
(実施例2)
熱線遮蔽ガラスを比較例2で作製したものとした以外は実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(実施例3)
熱線遮蔽ガラスを比較例3で作製したものとした以外は実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
各ガラス試料を、温度85℃、湿度85%RHの雰囲気中に500時間湿熱処理し、処理前後のヘイズ値(%)を、日本電色工業(株)ヘイズメーターNDH2000を用いて測定した。
各ガラス試料の評価結果を表1に示す。
(A)複層ガラスの作製
(実施例4)
(1)熱線反射層の形成
PETフィルム(厚さ100μm)上に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)及びポリスチレンスルホン酸の混合物(1:2.5質量部)の水分散液(固形分1.2質量%)を、バーコータを用いて塗布し、120℃、3分間乾燥させ、PETフィルム上に熱線反射層(厚さ150nm)を形成した。
(2)接着剤層の作製
比較例1(2)と同様に接着剤層を作製した。
(3)熱線遮蔽ガラスの作製
比較例1(3)と同様に熱線遮蔽ガラスを作製した。
(4)複層ガラスの作製
実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
熱線反射層の層厚を450nmとした以外は、実施例4と同様に複層ガラスを作成した。
ガラス板(厚さ3mm)2枚を用いて、実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(1)熱線反射層の形成
PETフィルム(厚さ100μm)上に、ポリアニリンのメタノール分散液(固形分1質量%)を、バーコータを用いて塗布し、120℃、3分間乾燥させ、PETフィルム上に熱線反射層(厚さ150nm)を形成した。
(2)接着剤層の作製
比較例1(2)と同様に、接着剤層を作製した。
(3)熱線遮蔽ガラスの作製
比較例1(3)と同様に、熱線遮蔽ガラスを作製した。
(4)複層ガラスの作製
実施例1と同様に、複層ガラスを作成した。
(1)熱線遮蔽ガラスの作製
インライン式の直流スパッタリング装置を用いて、ガラス板(厚さ3mm)上にガラス板側からインジウム錫酸化物(ITO)膜、銀膜、ITO膜、銀膜、ITO膜をこの順に含む熱線反射膜を形成することで、熱線遮蔽ガラスを得た。スパッタリングはインジウム錫酸化物ではアルゴンと酸素を98:10の流量比で導入し、放電電流6Aで行い、銀ではアルゴンのみ導入し、放電電流0.9Aで行った。
(2)複層ガラスの作製
ガラス板(厚さ3mm)と、(1)で作製した熱線遮蔽ガラスを用いて、実施例1と同様に複層ガラスを作製した。
(1)表面抵抗値
各熱線遮蔽ガラスの表面抵抗値を、抵抗率計ロレスタGP(三菱化学社製)用いて測定した。
(2)熱貫流率
JISR3107に準拠して測定した。
(3)耐候性
各ガラス試料を、温度85℃、湿度85%RHの雰囲気中に1000時間放置し、外観を評価した。外観変化がない場合を○、腐食等の外観に変化があった場合を×とした。
各ガラス試料の評価結果を表2に示す。
21、37:ガラス板
22: 接着剤層
23:透明プラスチックフィルム
24:熱線反射層
38:中空層
39:スペーサー
40:複層ガラス
Claims (5)
- ガラス板とその表面に設けられた、導電性高分子からなる熱線反射層とを有する熱線遮蔽ガラスと、別のガラス板とが、間隙をおいて、前記熱線反射層が当該別のガラス板に対向するように配置され、その間隙により中空層が形成されており、且つ
前記熱線反射層の表面抵抗値が、10000Ω/□以下であることを特徴とする熱線遮蔽複層ガラス。 - 前記熱線反射層の層厚が、10〜3000nmである請求項1又は2に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
- 前記熱線遮蔽ガラスが、表面に前記熱線反射層を形成した透明プラスチックフィルムとガラス板が、接着剤層を介して貼り合わされたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
- 前記接着剤層がエチレン−酢酸ビニル共重合体を含む請求項4に記載の熱線遮蔽複層ガラス。
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