JP2011051728A - 重力式降下搬送装置 - Google Patents

Abstract

【課題】省スペースで設置することができる無段階式の減速装置を備えた重力式降下搬送装置を提供する。
【解決手段】装置本体の上部に略水平に設けられた軸部材２と、軸部材２に配設された回転体３と、回転体３に巻回された牽引部材４と、牽引部材４の一端側で支持されて搬送物Ａが載置される昇降台５と、牽引部材４の他端側で支持されて、搬送物Ａと昇降台５との合計よりも小さく、昇降台５よりも大きい重量を有するカウンタウエイト６と、回転体３に連動して回動する回転制御体７と、回転制御体７を磁性体を充填した内部に設けるとともに、流れる電気量が調整されることにより磁性体の前記回転制御体に対する抵抗力を増減する導電体を有する制御本体９とを備えた。
【選択図】図１

Description

本発明は、搬送物の自重を利用して搬送物を降下させる重力式降下搬送装置に関するものである。

従来、上方の供給位置において載荷台上に載置された搬送物を下方の排出位置へと搬送するものとして、床上に立設される装置本体と、この装置本体の上下部にそれぞれ回転自在に配設された円板部材と、これら円板部材間に走行自在に巻回された無端部材と、前記搬送物が載置される載荷板および当該載荷板の基端部に、この載荷板と交差する方向に一体的に設けられた前記載荷板より軽量の支持板を有し、これら載荷板と支持板との交差部において前記無端部材に回動自在に枢着された前記載荷台とを備え、前記装置本体は、前記上部円板部材から下部円板部材までの間において前記支持板を下方に向けて案内する降下案内部材を有し、且つ、当該降下案内部材は、前記上部円板部材回りにおいて前記無端部材の走行に伴い漸次降下する前記支持板を案内して前記載荷板を載荷姿勢に移行させる傾斜部と、この傾斜部に連設されて、前記載荷板の載荷姿勢を保持する垂直部とを備えることを特徴とする無動力降下搬送装置がある（例えば、特許文献１）。

また、搬送物をその自重を利用して無動力で降下搬送するに際して、経時的に降下速度が過度に上昇することを抑えて、円滑な降下搬送を行うものとして、上記供給位置の上方および上記排出位置の下方に、それぞれ回転自在に配設された円板部材と、これら円板部材間に走行自在に巻回された無端部材と、この無端部材に固定された上記載荷台と、上記無端部材に一端部が固定されて他端部が上記搬送物の降下に伴って上昇する線状体と、この線状体の上記他端部の上昇に伴って当該他端部に漸次荷重を加えるとともに、上記他端部の降下に伴って漸次上記荷重を減ずる付加荷重手段とを備えてなることを特徴とする無動力降下搬送装置がある（例えば、特許文献２）。

特許文献１のものは、上記構成により、上部円板部材回りにおいて、載荷台を構成する載荷板と支持板の自重差により載荷板は起立することはなく、その先端部が常に下方に向く状態となるものであり、これにより、装置を設置する際、上部円板部材の上方に載荷板の起立を考慮したスペースを確保しておく必要が無くなり、設置スペースを少なくできる。また、下降案内部材を設けることにより、無端部材の走行に伴って漸次降下する支持板が先ず傾斜部に案内されて載荷板が載荷姿勢に移行させられ、更に垂直部においてこの載荷板の載荷姿勢が保持されるので、載荷板が上部円板部材回りを過ぎて載荷可能な水平状態に移行する動作がスムースに行われることになり、この際に大きな騒音は発生しなくなる。

また、特許文献２のものは、上記構成により、上方の供給位置において載荷台上に搬送物を載置すると、その自重によって無端部材が円板部材間を走行し、上記搬送物を載せた載荷台が降下するものであり、上記搬送物の降下に伴って、上記無端部材に一端部が固定された線状体の他端部が上昇し、これにより付加荷重手段から上記線状体の他端部に次第に大きな荷重が加えられて行くため、自重による搬送物の降下が進むに連れて、その降下速度が過度に上昇することを抑制することができる。この際に、付加荷重手段から漸次加える荷重の大きさを適宜調整することにより、単に降下速度の上昇を抑えるのみならず、逆に当該降下速度を減速させたり、あるいは上記降下速度を一定に保持させたりすることも可能になり、よって円滑な降下搬送を行うことができる。

特開２００７−１１９１２８号公報 特開２００６−３２７７３３号公報

しかしながら、特許文献１のものは、載荷台とワークとの自重によってチェーンがスプロケット間を走行してワークを載せた載荷台が降下するものであり、この載荷台の降下速度を制御する手段を備えていない。このため、搬送物は自重により加速した降下速度で排出されることとなる。

また、特許文献２のものは、付加荷重手段の荷重の大きさを適宜調整できるものとするために、降下距離や搬送物の重量に応じた装置が必要となり、設置スペースが広くなるとともに、製造コストや騒音における問題がある。さらに、荷重を順次増加させて負荷を増大するため、速度を下げることしかできないうえ、無段階の速度調整もできない。

そこで、本発明が解決しようとするものは、省スペースで設置することができる無段階式の減速装置を備えた重力式降下搬送装置を提供する点にある。

上述の課題を解決するために、本発明に係る重力式降下搬送装置は、装置本体の上部に略水平に設けられた軸部材と、該軸部材に配設された回転体と、該回転体に巻回された牽引部材と、該牽引部材の一端側で支持されて搬送物が載置される昇降台と、前記牽引部材の他端側で支持されて、搬送物と昇降台との合計よりも小さく、昇降台よりも大きい重量を有するカウンタウエイトと、前記回転体に連動して回動する回転制御体と、該回転制御体を、磁性体を充填した内部に設けるとともに、流れる電気量が調整されることにより前記磁性体の前記回転制御体に対する抵抗力を増減する導電体を有する制御本体とを備えることを特徴とするものである。

前記回転制御体が、円盤形状であって、片面又は両面に磁性体により抵抗を受ける突板を立設すると好ましい。

前記回転体及び前記回転制御体が、前記軸部材に回転不能に固定されたものであると好ましい。

本発明に係る重力式降下搬送装置によれば、自重を利用して降下する搬送物の速度を所定高さで減速し、搬送物を適切に搬送することができる。

また、前記回転制御体が、円盤形状であって、片面又は両面に磁性体により抵抗を受ける突板を立設したものによれば、簡易な構造で回転制御体が磁性体から受ける抵抗を増加することができる。

さらに、前記回転体及び前記回転制御体が、前記軸部材に回転不能に固定されたものによれば、装置全体を小さくすることができる。

本発明の実施形態に係る重力式降下搬送装置の正面図である。 同じく重力式降下搬送装置の右側面図である。 同じく重力式降下搬送装置の昇降台を降下させた状態を示す右側面図である。 同じく重力式降下搬送装置の主要部を示す部分拡大図である。 同じく重力式降下搬送装置の制御回転体等の構成を示す説明図であり、（ａ）は正面断面図、（ｂ）は右側面断面図である。

次に、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明するが、本発明は添付図面に示された形態に限定されず、特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。図１は、上方に位置する上搬送レールＲ１を走行してきた走行車が、昇降台５により降下搬送され、下方に位置する下搬送レールＲ２に搬送される重力式降下搬送装置１を示し、図２は右側面図、図３は昇降台５を降下させた状態を示す右側面図を示し、図４及び図５において主要部分の構成を示す。また、図において、符号１は重力式降下搬送装置、２は軸部材、３は回転体、４はチェーン（牽引部材）、５は昇降台、６はカウンタウエイト、７は回転制御体、８は磁性流体（磁性体）、９は制御本体、Ａは搬送物である。

図１〜図３に示すように、本実施形態に係る重力式降下搬送装置１は、装置本体の上部に略水平に設けられた軸部材２に、２個の回転体３、３と回転制御体７を回転不能に固定し、回転体３の回転に連動して上昇又は降下する牽引部材であるチェーン４の一端側に昇降台５を取り付けるとともに、他端側に搬送物Ａよりも小さい重量を有するカウンタウエイト６を取り付け、回転制御体７は、磁性体である磁性流体８を充填した制御本体９の内部に設け、導電体（電磁コイル）１０を流れる電気量を制御することで、磁性流体８の粘性を変更する制御本体９を備えてなるものである。

この重力式降下搬送装置１は、例えば、一般的な工業製造ラインにおいて、上方に位置する上搬送ラインから、この上搬送ラインよりも下方に位置する下搬送ラインへ、搬送物Ａを移載するために用いられるものであり、昇降自在に設けられた昇降台５に搬送物Ａを載置して搬送物Ａ及び昇降台５の自重を利用して搬送物Ａを目的の下搬送ラインまで降下させることができるものであり、電動モーターを用いて降下させる搬送装置に比して必要な電力を少なくすることができる。

装置上部に設けた軸部材２は、細長い円柱形状であり、装置上部に固定された２個の軸受部１１により左右両端部に近い位置を回動自在且つ水平に軸支されている。これらの軸受部１１の内側には左右夫々に回転体３、３が回転不能に固定されており、チェーン４の昇降と連動して軸部材２が回動する。軸部材２の一端には、軸部材２の回転を制御するための回転制御体７が回転不能に固定されている。これにより、軸部材２、回転体３及び回転制御体７が連動して回転又は昇降する。

回転体３は、図４に示すように、円筒状の本体部３Ａに２個のスプロケット３Ｂ、３Ｂが設けられたものであり、これらに２本のチェーン４、４を係合させ、軸部材２に回転不能に固定されることにより、軸部材２の回転とチェーン４の昇降を連動させている。また、回転体３は、搬送物Ａ、カウンタウエイト６及び昇降台５等の重量を支持する必要があり、軸受部１１の近くに配設されている。また、スプロケット３Ｂとチェーン４との係合により、大きな負荷に対してもズレの生じ難い構成としている。

牽引部材であるチェーン４は中間で回転体３のスプロケット３Ｂに係合し、その一端には昇降台５が取り付けられ、他端にはカウンタウエイト６が取り付けられている。チェーン４、４、・・・は前側２本、後側２本の計４本使用し、前後の各回転体３、３に２本ずつ係合している。各２本のチェーン４、４の一方は昇降台５及びカウンタウエイト６の取付部に直接固定し、他方はばねを介して固定することで、チェーン４の使用による伸びや設置時のズレ等を吸収する。

チェーン４の一端に位置する昇降台５は、支柱１２に沿って設けたガイドレール１２Ａを走行するローラー５Ａによって、昇降自在に２本の支柱１２、１２に取り付けられている。また、昇降台５には、搬送車１３が走行するレール５Ｂ、及び、搬送車１３を走行させるフリクション駆動装置５Ｃが備えられ、上搬送レールＲ１を走行する搬送車１３が昇降台５に載置されて停止し、降下移動終了後、下搬送レールＲ２を走行するように、フリクション駆動装置５Ｃが制御されている。

また、チェーン４の他端に位置するカウンタウエイト６は、前後の各支柱１２、１２の内部に昇降自在に設けられている。カウンタウエイト６は昇降台５よりも重いため、昇降台５に搬送物Ａが載置されていない状態では、カウンタウエイト６が降下し、反対に取り付けられた昇降台５が上昇する。また、カウンタウエイト６は、昇降台５と搬送物Ａよりも軽いため、昇降台５に搬送物Ａが載置された状態では、カウンタウエイト６が上昇し、反対に取り付けられた昇降台５と搬送物Ａは降下する。なお、このカウンタウエイト６は、搬送物Ａの重量に応じて変更することができるものであり、その重量は適宜選択できるが、本実施形態では、搬送物Ａの半分の重量と昇降台５の重量とを合計した重量としている。これにより、昇降台５の降下時及び上昇時に重力式降下搬送装置１にかかる負荷がほぼ同じとなり、重力式降下搬送装置１の耐久性を高いものとしている。

重力式降下搬送装置１は、搬送物Ａにかかる重力を利用して搬送物Ａを降下させ、この降下速度を回転制御体７と、磁性流体８及び導電体１０を有する制御本体９とを用いて制御する。

図５に示すように、回転制御体７及び制御本体９は、軸部材２の一端に設けられ、磁性流体８の粘性を変更することで、軸部材２の回転運動に対する抵抗を増減し、搬送物Ａの降下速度を制御する。回転制御体７は、円盤形状であり、軸部材２の一端に回転不能に固定されている。また、回転制御体７の軸部材２の反対側には、４枚の突板７Ａ、７Ａ、・・・が略放射状に固定されている。回転制御体７を内部に設けた制御本体９は、回転制御体７が位置する空間に磁性流体８を充填し、その外周に導電体１０を設けたものである。この磁性流体８は、導電体１０を流れる電気量に応じて、その粘性が変更されるものであり、例えば、磁性流体８の粘性が上げると、これを攪拌するように回転する回転制御体７に対する抵抗が大きくなり、一定の速度で回転する回転制御体７の回転が遅くなる。反対に、磁性流体８の粘性を下げると、回転制御体７に対する抵抗が小さくなり、回転制御体７の回転が速くなる。

次に、本実施形態に係る重力式降下搬送装置１における搬送物Ａの降下搬送動作の一例について説明する。

先ず、上搬送レールＲ１において走行する搬送車１３が昇降台５のレール５Ｂ上をフリクション駆動装置５Ｃにより停止位置まで搬送されて停止する。このとき、昇降台５のロック手段がロック状態であり、これが解除されるまで昇降台５は降下しないが、チェーン４にかかる重量は、カウンタウエイト６よりも搬送物Ａと昇降台５との合計の方が大きくなっている。

次に、上記ロック手段を解除して、チェーン４を昇降自在な状態とする。昇降自在となったチェーン４は、重量の大きい側に位置する搬送物Ａが降下する。このとき、制御本体９の磁性流体８はその粘性を小さくするため、搬送物Ａの降下の大きな妨げとならない。

搬送物Ａが降下し、目的位置である下搬送レールＲ２に近づくと、制御本体９の磁性流体８の粘性を大きくし、回転制御体７に連動する昇降台５の降下速度を減速していく。この速度調整は、導電体１０を流れる電気量を変更することで行う。このため、降下距離及び搬送物Ａの重量等に応じてこれらを予め設定しておくことで、無段階の加減速を必要な位置で行うことができる。

搬送物Ａが下搬送レールＲ２に達したときには、磁性流体８を固体に近い状態とすることで、搬送物Ａ及び昇降台５を停止させることができ、他に、ブレーキ手段としての部材を設ける必要がない。

上記降下搬送作業において、昇降台５の高さは所定位置に設置したセンサ（図示せず）により検出し、これにより、昇降台５の高さに応じた降下速度とする制御を行うことを可能としている。なお、回転制御体７の回転をエンコーダにより検出する方法等により、昇降台５の高さを識別するものとしてもよい。

上記のように、搬送物Ａを降下搬送するため、電気モータなどの動力を必要とする降下搬送装置に比して省エネ効果を発揮することができるとともに、搬送ラインや搬送物に応じて降下速度を容易にコントロールすることができる。
また、停止位置も制御することができるため、例えば、降下目的となる下搬送ラインが複数存在し、搬送物Ａに応じてこれらを選択する必要がある場合等でも、その制御が容易である。
さらに、搬送物Ａが精密機器等の振動に弱いものである場合等には、磁性流体８の粘性を降下初期状態から大きくし、降下速度を遅くすることで、搬送物Ａを安全に降下搬送することもできる。

なお、上記実施の形態においては、回転体のスプロケットにチェーンを巻回した場合についてのみ説明したが、これに限定されるものではなく、上記回転体として例えば溝付きホイールを用い、これらに巻回するベルト等を用いてもよく、また、牽引部材は無端状とし、この下方で牽引部材に係合するスプロケット等を設ける構成としてもよい。
また、実施形態の磁性流体の粘性は、搬送物Ａの降下速度が各位置において予め設定した速度になるように、制御されているが、搬送物Ａの重量に応じて粘性が変更されるものであってもよく、また、手動で粘性が変更されるようになっているものでもよい。
さらに、回転制御体は、図示する形態に限られず、例えば、突板の数や形状を変更することにより、磁性流体からの抵抗をより大きく受けるものとしてもよいし、反対に、突起物を有さない円盤状等の形状として磁性流体からの抵抗を受け難いようなものとしてもよい。
さらにまた、磁性体は、磁性流体を使用したが、これに限らず、導電体を流れる電気量を調整することで、回転制御体に対する抵抗力を増減させることができるものであればよく、例えば、磁性鉄粉等を使用してもよい。

１ 重力式降下搬送装置
２ 軸部材
３ 回転体
３Ａ 本体部
３Ｂ スプロケット
４ チェーン
５ 昇降台
５Ａ ローラー
５Ｂ レール
５Ｃ フリクション駆動装置
６ カウンタウエイト
７ 回転制御体
７Ａ 突板
８ 磁性流体（磁性体）
９ 制御本体
１０ 導電体
１１ 軸受部
１２ 支柱
１２Ａ ガイドレール
１３ 搬送車
Ａ 搬送物
Ｒ１ 上搬送レール
Ｒ２ 下搬送レール

Claims (3)

1. 装置本体の上部に略水平に設けられた軸部材と、
   該軸部材に配設された回転体と、
   該回転体に巻回された牽引部材と、
   該牽引部材の一端側で支持されて搬送物が載置される昇降台と、
   前記牽引部材の他端側で支持されて、搬送物と昇降台との合計よりも小さく、昇降台よりも大きい重量を有するカウンタウエイトと、
   前記回転体に連動して回動する回転制御体と、
   該回転制御体を、磁性体を充填した内部に設けるとともに、流れる電気量が調整されることにより前記磁性体の前記回転制御体に対する抵抗力を増減する導電体を有する制御本体とを備える重力式降下搬送装置。
2. 前記回転制御体が、円盤形状であって、片面又は両面に磁性体により抵抗を受ける突板を立設した請求項１記載の重力式降下搬送装置。
3. 前記回転体及び前記回転制御体が、前記軸部材に回転不能に固定された請求項１又は２記載の重力式降下搬送装置。
   
   
   

Images