図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。以下、弾球遊技機として従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明する。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。始動口62は、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62の拡開機構を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動口62の拡開機構が拡開されたとき、始動口62の開口幅が拡がって入球容易性が向上する。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を拡開させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。
大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66はアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
遊技領域52の左方に設けられた特別図柄表示装置61および遊技領域52の略中央に設けられた演出表示装置60は、それぞれの画面に特別図柄192の変動と、特別図柄192に連動する装飾図柄190を含む演出画像の変動を表示する(以下、そうした表示を「図柄変動」または「変動表示」等という)。ここで、特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が停止されたときの図柄態様が当たりと定められた図柄であった場合、その停止図柄が表示されたタイミングが大当たり発生タイミングとなる。特別図柄表示装置61は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段である。演出表示装置60は、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示する液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を画面の中央領域に表示する。演出表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、ドラムなどの機械式回転装置やLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出表示装置60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は始動口62の拡開機構を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は演出表示装置60の右下方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄の変動表示が停止すると、通常、50%から80%程度の確率で始動口62が所定時間拡開する。
演出表示装置60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、特別図柄表示装置61および演出表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。演出表示装置60の下方には、抽選保留ランプ20が設けられ、その対称的な位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に作動保留ランプ22が設けられている。抽選保留ランプ20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。作動保留ランプ22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。さらに演出表示装置60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当たりながらその当たり方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61および演出表示装置60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当たりを示す図柄である場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。特別遊技において、大入賞口66は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開閉が所定回数、例えば15回繰り返される。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである変動時間短縮遊技(以下、適宜「時短」という)が開始される。変動時間短縮遊技においては、特別図柄および装飾図柄の変動時間が通常より短縮される。特別図柄および装飾図柄の変動時間は、所定の変動回数の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻される。特別遊技が発生した場合であってそのときの当たり停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。確率変動遊技においては、通常の確率状態より当たりの確率が高い抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生する。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出表示装置60における表示内容や複数の可動役物140の動作、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って可動役物140や遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、演出表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、可動役物140のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や可動役物140、電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102と、図柄の演出等を制御するサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当たり遊技制御手段121、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、電断復帰手段126を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、役物制御手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への遊技球の入球を契機として、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するために乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、当たりまたは外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当たりの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定のための当否テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当たりの確率が高くなる当否テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当たりであるか否かを判定する。当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄の形で変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄が演出表示装置60において変動表示される。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。また、図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を抽選により決定する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。図柄決定手段114は、特別図柄や普通図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄決定抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄決定抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図柄決定手段114は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための抽選乱数を取得し、その抽選乱数に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。普通図柄の停止図柄が特定の図柄であった場合、開閉制御手段124が始動口62の普通電動役物を所定時間拡開する。
変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべきパターン選択テーブルを保持する。変動パターン決定手段115は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められた複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
本実施例の変動パターン決定手段115は、パターン選択テーブルとして、当否抽選の結果や特定遊技状態への移行状況等により識別される複数の遊技状態に対応づけて設けられた複数の特図パターンテーブルを保持する。そして、変動パターンを決定すべき際の遊技状態に対応する特図パターンテーブルを参照して変動パターンを決定する。変動パターン決定手段115は、特別遊技終了後の所定期間においては、特定遊技状態への移行状況を示唆するための所定の一連の予告演出を実行させるための特図パターンテーブル(以下、「限定パターンテーブル」とも呼ぶ。)を参照する。この限定パターンテーブルは、特別遊技が終了したことをもって、時短や確変等の特定遊技状態への移行状況にかかわらず参照されるテーブルである。また、時短状態・確変状態・その他の通常遊技状態のそれぞれにおいて参照される特図パターンテーブルのいずれとも異なるテーブルである。本実施例における「特別遊技終了後の所定期間」は、特別遊技終了直後に行われる4回の特別図柄の変動期間であり、この期間のことを以下では「限定期間」とも呼ぶこととする。
保留制御手段116は、当否抽選手段112により取得された当否抽選値を保留球として保持する。当否抽選値は、その保留数が所定の上限に達するまで蓄積される。保留数の上限は4である。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、特別図柄の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出決定手段132および演出表示制御手段134へ送信することにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄の変動を普通図柄表示装置59に表示させる。以下、変動開始コマンドと変動停止コマンドとを総称する場合、「変動制御命令」と呼ぶこととする。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が当たりであった場合に、特別遊技の実行処理を制御する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。単位遊技は例えば15回を上限として繰り返され、1回の単位遊技において大入賞口66を約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の継続回数が上限回数に達していなければ、現在の単位遊技の終了後に次の単位遊技を開始させる。単位遊技の上限回数を消化した場合には、特別遊技を終了させる。
本実施例では、特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が大当たりを示す結果となり、さらに図柄決定抽選の結果が、大入賞口66が開放される単位遊技が15回を上限として繰り返される特別遊技の実行を示す場合(以下、「15R大当たり」とも呼ぶ。)に、大入賞口66が開放される単位遊技が15回を上限として繰り返される特別遊技(以下、「15R特別遊技」とも呼ぶ。)を実行する。また、特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選結果が大当たりであり、さらに図柄決定抽選の結果が大入賞口66が開放される単位遊技が2回繰り返される特別遊技の実行を示す場合(以下、「2R大当たり」とも呼ぶ。)に、大入賞口66が開放される単位遊技が2回繰り返される特別遊技(以下、「2R特別遊技」とも呼ぶ。)を実行する。このときの大入賞口66の開放時間は0.8秒とされている。
また本実施例では、特別遊技よりも遊技者の得る利益の少ない小当たり遊技に移行する外れである「小当たり」を備えている。小当たり遊技制御手段121は、当否抽選値および図柄決定抽選値が小当たりを示す結果となり、特別図柄192が所定の小当たり態様で停止されたときに小当たり遊技を実行する。小当たり遊技は1回の単位遊技で構成される。ただし、1回の単位遊技の間に大入賞口66が2回開放される。大入賞口66の開放時間は、1回の開放につき所定時間(例えば1.8秒)未満である。本実施例では0.8秒に設定されている。これによって、2R大当たりと外観上は同様の動作態様となる。しかし、小当たり遊技は、1回の単位遊技で構成される点で、2回の単位遊技で構成される2R大当たりとは異なる。
特定遊技実行手段122は、遊技状態を通常状態から特定遊技状態へ移行させる制御と、特定遊技状態から通常状態へ戻す制御を実行する。本実施例における特定遊技には、当否抽選の当選確率を通常確率の状態から高確率の状態へ切り替える確変と、図柄変動時間を通常時間より短時間へ切り替える時短とがある。
特定遊技実行手段122は、当否抽選値が大当たりを示す値であり、かつ、確変状態へ移行すべき値であった場合に、特別遊技後の遊技状態を確変状態へ移行させる。確変状態は原則として次の大当たりが発生するまで続行され、その間は当否抽選手段112による当たり判定の確率が高い値のまま維持される。また、特定遊技実行手段122は、当否抽選値の如何に関わらず、特別遊技後に遊技状態を時短の状態へ移行させる。1つの態様の時短は、特別遊技後の特別図柄の変動回数が所定回数(以下、「時短継続回数」とも呼ぶ)、たとえば100回に至るまで継続される。別の態様の時短は、時短継続回数が定められておらず、特別遊技後に次の大当たりが発生して次の特別遊技が開始されるまで継続される。
以下、特別遊技の終了後に確変に移行する15R大当たりを単に「15R確変」という。また、特別遊技の終了後に確変に移行しない15R大当たりを単に「15R非確変」という。さらに、特別遊技の終了後に確変に移行する2R大当たりを「突然確変」という。
なお、突然確変となった場合、特別遊技を実行させたことを遊技者に気づかれにくくするよう上述のように短い開放時間で2回だけ大入賞口66が開放される。また、小当たりとなった場合も、突然確変と同様に短い開放時間で2回だけ大入賞口66を開放させる小当たり遊技が実行される。こうして、大入賞口66がどのように開放されたかを確認するだけでは突然確変だったのか小当たり遊技であったのかを区別することを遊技者に困難なものとしている。
本実施例の変動パターン決定手段115は、装飾図柄190の図柄変動を制御するための変動制御命令を設定する。この変動制御命令には、特別図柄の変動パターンを示す情報と、遊技状態を示す情報(以下、「遊技状態情報」とも呼ぶ。)とが含まれる。遊技状態情報には、当たりに関する情報、例えば特別遊技中か否か、15R確変・15R非確変・突然確変か否かを示す情報が含まれる。また、確変に関する情報、例えば確変中か否かを示す情報が含まれる。また、時短に関する情報、例えば時短中か否か、時短の残り回数を示す情報が含まれる。また、特殊特定遊技に関する情報、例えば特殊特定遊技状態か否かを示す情報が含まれる。また、参照中の特図パターンテーブルに関する情報、例えば参照中の特図パターンテーブルの識別情報が含まれる。既述したように、この変動制御命令は、装飾図柄190の図柄変動を開始させるべきタイミングおよび停止させるべきタイミングにて、メイン表示制御手段118から演出決定手段132へ送出される。なお、装飾図柄190の図柄変動を開始させるべきタイミングで送出される変動制御命令には、少なくとも、当たりに関する情報と参照中の特図パターンテーブルに関する情報とが含まれる。また、装飾図柄190の図柄変動を停止させるべきタイミングで送出される変動制御命令には、少なくとも、確変に関する情報と、時短に関する情報と、特殊特定遊技に関する情報とが含まれる。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。また、開閉制御手段124は、15R特別遊技後の確変状態および時短状態においては始動口62の拡開機構を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行するが、2R特別遊技後の確変状態においてはその開放延長を行わない。15R特別遊技においては通常の確変および時短のメリットとして始動口62の拡開時間を長くし、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。一方、2R特別遊技後においてはその開放延長をもって遊技者が特定特別遊技であったこと、つまり確変移行していることを容易に認識することを避けるためである。すなわち、小当たり遊技と2R特別遊技のいずれが発生したかを、普通電動役物の作動により認識することを防止することで、いずれの遊技か区別し難くするという遊技性を担保するものである。
電断復帰手段126は、電源の供給が停止した場合に備えたバックアップ処理を実行するとともに、電源の供給が復旧した場合に遊技を復帰させるための復帰処理を実行する。具体的には、バックアップ処理として、メイン基板102のRAMの内容を所定の不揮発性メモリに定期的にバックアップする。また復帰処理として、電源の供給が復旧したことを電源ユニット48から検出したとき、不揮発性メモリに記憶されたバックアップデータをメイン基板102のRAMに書き戻すことでメイン基板102の遊技状態を電源供給停止時の状態に戻す。また、電源の供給が復旧したときに、電源供給の復旧を通知するための電断復帰信号をサブ基板104へ送信する。この電断復帰信号には、上述の遊技状態情報が含まれ、少なくとも、当たりに関する情報と、確変に関する情報と、時短に関する情報と、特殊特定遊技に関する情報とが含まれる。なお、メイン基板102からサブ基板104へ変動制御命令が送出されるタイミングや、各種の変動制御命令および電断復帰信号に含まれるべき遊技状態情報の内容は、ぱちんこ遊技機10の仕様等に基づき種々の設計・選択が可能である。
このように、電源の供給が復旧すると、メイン基板102は元の遊技状態に復帰する。したがって、限定期間中に電源の供給が停止した場合でも、変動パターン決定手段115は、電源供給の復旧後における限定期間の残り期間には、限定パターンテーブル参照中を示す遊技状態情報を含む変動制御命令を演出決定手段132へ送出する。
パターン記憶手段130は、装飾図柄190の変動において演出表示装置60に表示させる演出的な画像内容とその表示過程が定められた複数の演出パターンを保持する。演出パターンには、装飾図柄190の変動表示における変動開始から停止までの変動過程と演出過程が定められた複数の変動演出パターンと、装飾図柄の変動表示とは別に表示されて大当たりへの期待度の高さを予告的に示唆する複数の予告演出パターンとが含まれる。
演出決定手段132は、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターンに応じて変動演出パターンおよび予告演出パターン(総称する場合は単に「演出パターン」と呼ぶ。)を決定する。演出決定手段132は、演出パターンを決定するために参照すべき、複数の演出状態に対応する複数の演出パターンテーブルを保持する。演出決定手段132は、演出パターンを決定すべき際の演出状態に応じた演出パターンテーブルを参照して決定した演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。
複数の演出状態は、ぱちんこ遊技機10における複数の遊技状態と対応づけて設けられている。言い換えれば、遊技状態がある状態から別の状態へ移行すると、演出状態もある状態から別の状態へ移行する。図4は、本実施例における演出状態を示す。同図の矢印は、矢印の元の演出状態から矢印の先の演出状態へ移行することを示している。本実施例における演出状態には、通常演出モード200と、特別遊技演出モード202と、限定演出モード204と、第1示唆演出モード206と、潜伏演出モード208と、第2示唆演出モード210とが含まれる。
通常演出モード200は、非確変かつ非時短の通常遊技に対応する演出状態である。特別遊技演出モード202は、特別遊技に対応する演出状態である。限定演出モード204は、特別遊技終了後の限定期間に対応する演出状態である。第1示唆演出モード206および第2示唆演出モード210は、特定遊技状態への移行状況を外観上判別が容易な態様での演出を提供する演出状態である。潜伏演出モード208は、特定遊技状態への移行状況を外観上判別が困難な態様での演出を提供する演出状態である。潜伏演出モード208は、このモードへの移行から一定期間(以下、「潜伏期間」とも呼ぶ。)だけ維持される。潜伏期間は、例えば20回の特別図柄の図柄変動が行われる期間である。
図5は、図4に示した演出状態間の移行条件を示す。同図の移行元モード欄は移行元となる演出状態を示し、移行先モード欄は移行先となる演出状態を示している。移行条件欄は、移行条件を示しており、この移行条件が充足された場合に移行元モードから移行先モードへの移行が行われる。なお、演出状態の移行が行われた際には、移行の旨を遊技者に報知するための演出、例えば移行先モードの情報を演出表示装置60に表示させる予告演出が実行されてもよい。
通常演出モード200において、15R大当たりとなると特別遊技演出モード202へのモード移行が発生し、2R大当たりまたは小当たりとなると潜伏演出モード208へのモード移行が発生する。特別遊技演出モード202において、特別遊技が終了すると限定演出モード204へのモード移行が発生する。限定演出モード204において、確変かつ、次回の大当たりまで時短が継続される特定遊技状態(以下、「特殊特定遊技状態」とも呼ぶ。)の場合、限定期間が終了すると第1示唆演出モード206へのモード移行が発生する。限定演出モード204において、特殊特定遊技状態以外である場合、限定期間が終了すると潜伏演出モード208へのモード移行が発生する。潜伏演出モード208において、確変の場合、潜伏期間が終了すると第2示唆演出モード210へのモード移行が発生する。潜伏演出モード208において、確変以外である場合、潜伏期間が終了すると通常演出モード200へのモード移行が発生する。
後述するように、本実施例の演出決定手段132は、変動パターン決定手段115において設定された変動制御命令を受け付けると、演出決定手段132においてその時点で認識する演出状態と、その変動制御命令の遊技状態情報が示す遊技状態とに応じて、演出時点の演出状態を識別する。そして、その演出状態に対応する演出パターンテーブルを参照する。そして、変動制御命令が示す特別図柄の変動パターン(以下、「特図変動パターン」とも呼ぶ。)に対応づけられた変動演出パターンおよび予告演出パターンを選択する。
変動演出パターンには、通常の外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当たりとなるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当たりの図柄組合せを表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい演出画像の変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。
装飾図柄の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、たとえば当否抽選手段112による判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄として揃える数字には、特別図柄と同じ数字が選ばれるのが好ましい。たとえば、特別図柄が「3」の場合は装飾図柄が「333」となる。当否抽選手段112による判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。ただし、当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンや装飾図柄の変動演出パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。
予告演出パターンは、特定のキャラクタやモチーフの画像、アニメーション、映像などを一時的に画面表示させる演出パターンや、特定の音声を出力する演出パターンである。予告演出パターンによる演出は、図柄変動と並行して実行され、その図柄変動が大当たり態様にて停止する期待度が高いことを予告的に示唆する。例えば、キャラクタの画像を一つだけ画面に表示させるだけの通常予告演出や、多数のキャラクタの群れを画面の一端から他端へ通過させるように表示させる群予告演出がある。また、予告演出の表示過程を複数段階に分け、表示させる段階数を可変にして段階数が多いほど大当たりへの期待度が高くなるように設定されるステップアップ予告演出がさらに含まれる。
予告演出パターンには、装飾図柄190の表示態様がリーチ状態となった後のタイミングで演出が実行されて図柄の最終的な停止態様を予告するパターンと、装飾図柄190が一つも停止していないタイミングで演出が実行されてリーチ状態となることを同時に予告するパターンとがある。
演出決定手段132は、当否抽選の結果に応じて演出表示装置60に予告演出を表示させるか否かを所定の予告抽選により決定するとともに、表示させるべき予告演出パターンを決定する。演出決定手段132は、予告演出を表示させるか否かを決定するために参照すべき予告決定テーブルと、予告演出パターンの種類を選択するときに参照すべき予告種類テーブルとを保持する。予告決定テーブルは、当否抽選の結果に応じて異なる欄が参照されるように設定されており、当否抽選が当たりの場合は外れの場合よりも高い確率で予告演出を表示させるよう、当否抽選の結果と予告演出を表示するか否かの対応関係が定められる。これにより、予告演出が表示されること自体で大当たりへの期待度の高さを示唆することができる。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがって演出表示装置60へ装飾図柄を含む演出画像を変動表示させる。
演出表示制御手段134は、予告演出を表示させる旨が演出決定手段132により決定された場合、選択された予告演出パターンにしたがった予告演出を演出表示装置60へ表示させる。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
役物制御手段136は、演出表示制御手段134から受け取る指示にしたがい、演出表示装置60における演出内容や遊技効果ランプ90の点滅過程に沿って、可動役物140を演出的に動作させる。
本実施例の演出決定手段132は、変動パターン決定手段115において設定された変動制御命令から限定パターンテーブル参照中を示す遊技状態情報を検出した場合、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルを参照する。そして、特図変動パターンと対応づけられた演出パターン、すなわち、変動演出パターンおよび予告演出パターンを選択する。ここで、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルにおいては、限定期間における4回の特別図柄の変動に対応する特図変動パターンと、一連の4回の予告演出に対応する予告演出パターンとが対応づけられている。したがって、特別遊技終了後の限定期間には、一連の4回の予告演出が表示されることになる。
演出決定手段132は、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルを参照中に受け付けた変動制御命令から、限定パターンテーブル参照中でなく、特殊特定遊技状態であることを示す遊技状態情報を検出した場合、第1示唆演出モード206に対応する演出パターンテーブルを参照するよう切替える。そして、特図変動パターンと対応づけられた演出パターンを選択する。なお、第1示唆演出モード206に対応する演出パターンテーブルには、限定パターンテーブルに基づき決定される特図変動パターンに対応する演出パターンが設定されていることとする。
演出決定手段132は、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルを参照中に受け付けた変動制御命令から、限定パターンテーブル参照中でなく、特殊特定遊技状態以外の遊技状態を示す遊技状態情報を検出した場合、潜伏演出モード208に対応する演出パターンテーブルを参照するよう切替える。そして、特図変動パターンと対応づけられた演出パターンを選択する。なお、潜伏演出モード208に対応する演出パターンテーブルには、限定パターンテーブルに基づき決定される特図変動パターンの一部にのみ対応する演出パターンが設定されていることとする。
ぱちんこ遊技機10に対する電源供給が停止した後、電源供給が復旧すると、演出決定手段132は、電断復帰手段126から電断復帰信号を受け付ける。演出決定手段132は、電断復帰信号を受け付けた後、変動パターン決定手段115から受け付けた変動制御命令に限定パターンテーブル参照中を示す遊技状態情報が設定されていても、その遊技状態情報が特殊特定遊技状態を示す場合は、第1示唆演出モード206に対応する演出パターンテーブルを参照する。そして、特図変動パターンと対応づけられた演出パターンを選択する。
また演出決定手段132は、電断復帰信号を受け付けた後、変動パターン決定手段115から受け付けた変動制御命令に限定パターンテーブル参照中を示す遊技状態情報が設定されていても、その遊技状態情報が特殊特定遊技状態以外の遊技状態を示す場合は、潜伏演出モード208に対応する演出パターンテーブルを参照する。そして、特図変動パターンと対応づけられた演出パターンを選択する。
ここで、潜伏演出モード208に対応する演出パターンテーブルに特図変動パターンと対応づけられた演出パターンが存在しない場合、演出決定手段132はその代替として、特図変動パターンにより特定される変動時間と同じ演出時間を有する演出パターンを選択する。典型的には、予告演出パターンを選択することなく、装飾図柄190の変動演出パターンのみを選択する。その結果、予告演出が表示されず、装飾図柄190の図柄変動のみが表示されることとなる。このため、電源供給復旧後の限定期間の残り期間においては単調な演出となりうるが、限定期間が終了すれば特図変動パターンに対応づけられた変動演出パターンおよび予告演出パターンが選択されるため、通常の演出態様に戻る。
なお、電断復帰信号を受け付けた後の所定回数の図柄変動については、演出決定手段132は、予告演出パターンの選択処理をそもそも非実行としてもよい。また、特図変動パターンと対応づけられた予告演出パターンが存在しても非選択としてもよい。すなわち、電断復帰信号を受け付けた後の所定期間において、演出決定手段132は、予告演出の実行を制限または規制してもよい。
次に、本実施例の演出表示装置60における演出表示例を説明する。図6は、電源供給の停止が発生しない場合の演出表示を模式的に示す。図6の(a)〜(h)は、演出表示装置60における時系列での表示内容を示している。図6の(a)は、特別遊技が終了した旨を表示している。図6の(b)は、限定演出モード204「Aの刻」の開始を示している。図6の(c)〜(f)は、装飾図柄190の変動表示とともに、限定演出モードにおいて特殊特定遊技状態への移行状況を示唆するための一連の4つの予告演出が表示されている。図6の(g)は、限定演出モード204に続く潜伏演出モード208「Bの刻」の開始を示している。図6の(h)は、装飾図柄190の変動表示とともに、潜伏演出モード208において特定遊技状態への移行状況を外観上判別が困難な予告演出が表示されている。
図7は、電源供給の停止が発生した場合の演出表示を模式的に示す。図7の(a)〜(h)は、演出表示装置60における時系列での表示内容を示しており、図7の(a)〜(d)は図6の(a)〜(d)と同様である。図7の(e)は、限定演出モードにおいて特殊特定遊技状態への移行状況を示唆するための一連の4つの予告演出の途中で、ぱちんこ遊技機10に対する電源の供給が停止して演出表示も停止した状態を示している。図7の(f)は、電源の供給が回復した状態を示している。図7の(g)は、電源供給の回復後、限定演出モード204ではなく、潜伏演出モード208が開始されたことを示している。図7の(h)は、潜伏演出モード208において特図変動パターンに対応する演出パターンがない場合に予告演出が表示されず、特図変動パターンの変動時間と合致する装飾図柄190の変動表示のみが行われることを示している。
図8は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入賞した場合や、遊技球が作動口68を通過した場合の処理を実行し(S10)、特別遊技中でなければ(S12のN)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、特別遊技中であれば(S12のY)、特別遊技の制御処理を実行し(S16)、S10からS16までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。
図9は、図8におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動パターンデータにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図10は、図9におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定する(S46)。変動パターン決定手段115は、遊技状態に応じた特図パターンテーブルを参照して、特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。変動パターン決定手段115は、特別遊技終了後の限定期間においては、限定パターンテーブルを参照して、特別図柄の変動パターンを選択する。図柄態様決定手段131は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定する(S50)。演出決定手段132は、遊技状態に応じた演出状態に対応する演出パターンテーブルを参照して、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動パターンおよび予告演出パターンを選択する(S52)。
図11は、図10におけるS52を詳細に示すフローチャートである。演出決定手段132は、変動パターン決定手段115からの変動制御命令を受け付ける(S100)。その変動制御命令から限定パターンテーブル参照中であることを検出し(S102のY)、電断復帰手段126から電断復帰信号を受け付けていなかった場合、すなわち電源供給の停止が発生していなかった場合(S104のN)、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルを選択する(S106)。そして、選択した演出パターンテーブルを参照して、特図変動パターンに対応づけられた変動演出パターンおよび予告演出パターンを選択する(S108)。演出決定手段132が電断復帰手段126から電断復帰信号を受け付けていた場合、すなわち電源の供給の停止・復旧後であった場合(S104のY)、変動制御命令の遊技状態情報から特定遊技状態への移行状況を検出する。
演出決定手段132は、特殊特定遊技状態への移行を検出した場合(S110のY)、第1示唆演出モード206に対応する演出パターンテーブルを選択し(S112)、S108を実行する。演出決定手段132は、特殊特定遊技状態以外への移行を検出した場合(S110のN)、潜伏演出モード208に対応する演出パターンテーブルを選択する(S114)。その演出パターンテーブルにおいて特図変動パターンに対応づけられた演出パターンが存在する場合(S116のY)、S108を実行する。特図変動パターンに対応づけられた演出パターンが存在しない場合(S116のN)、特図変動パターンの変動時間に合致する演出時間の演出パターンを選択する(S118)。変動制御命令から限定パターンテーブル参照中であることを検出しない場合(S102のN)、遊技状態情報が示す遊技状態に対応する演出状態の演出パターンテーブルを選択して(S120)、S108を実行する。
図12は、図8におけるS16を詳細に示すフローチャートである。まず、大入賞口66が開放済でなければ(S70のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S72)、開閉制御手段124が大入賞口66を開放する(S74)。大入賞口66が開放済であればS72およびS74をスキップする(S70のY)。大入賞口66が開放されてから所定の開放時間が経過した場合(S76のY)、または、開放時間が経過していないものの(S76のN)、大入賞口66へ遊技球が9球以上入球した場合(S78のY)、開閉制御手段124が大入賞口66を閉鎖させる(S80)。開放時間が経過しておらず(S76のN)、大入賞口66への入球数も9球以上に達していない場合は(S78のN)、S80以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S80における大入賞口66の閉鎖後、単位遊技のラウンド数が最終ラウンドに達していた場合(S82のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させ(S84)、特別遊技制御手段120は特別遊技を終了させる(S86)。ラウンド数が最終ラウンドに達していなければ(S82のN)、ラウンド数に1を加算してS16のフローを終了する(S90)。15R特別遊技が終了した場合(S92のY)、特定遊技実行手段122は時短を開始し(S94)、変動パターン決定手段115は特別図柄の変動パターンを決定する際に参照すべき特図パターンテーブルとして限定パターンテーブルを選択する(S96)。2R特別遊技が終了した場合(S92のN)、時短は開始されず、変動パターン決定手段115は、潜伏期間において参照すべき特図パターンテーブルを選択する(S98)。なお、時短中に2R特別遊技が発生して終了した場合は、その終了後に時短が開始される。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下変形例を示す。
第1の変形例を説明する。上述の実施例では、特別遊技後における特定遊技状態への移行状況に応じて、限定演出モード204における電源供給の停止・復旧後、第1示唆演出モード206または潜伏演出モード208へ演出状態が移行された。変形例では、特別遊技後における特定遊技状態への移行状況によらず、限定演出モード204における電源供給の停止・復旧後は、潜伏演出モード208へ移行されてもよい。限定演出モード204における特定遊技状態への移行状況の示唆が、電源供給の停止により中途半端な態様となったため、遊技者は特定遊技状態への移行状況を認識できていない場合もある。したがって、電源供給の復旧後に潜伏演出モード208が開始することで、遊技者に違和感を持たせることなく遊技を継続させることができる。また、電源供給の復旧後は遊技者が特定遊技状態への移行状況を外観上判別できない潜伏演出モード208へ一旦移行させることにより、その潜伏期間において、特定遊技状態への移行に対する遊技者の期待感を継続させることができる。
第2の変形例を説明する。上述の実施例では、限定期間において所定の一連の予告演出が表示された。変形例においては、限定期間において所定回数繰り返して同一の予告演出が表示されることにより、特定遊技状態への移行状況が示唆されてもよい。この場合、限定パターンテーブルには、所定回数繰り返して同一の予告演出が表示させるための特図変動パターンが設定されてもよい。演出状態の切替の条件等、その他の構成は実施例と同様でもよい。この態様によれば、所定回数繰り返されるはずの予告演出が電源供給の停止により途中で中断した場合でも、特定遊技状態への移行状況によって、電源供給の復旧時には第1示唆演出モード206または潜伏演出モード208での演出が開始されることになるため、遊技者の期待感が低減してしまうことを回避できる。また、第1の変形例と組み合わせて、特定遊技状態への移行状況によらず潜伏演出モード208での演出を開始してもよい。この場合、所定回数繰り返されるはずの予告演出が電源供給の停止により途中で中断し、特定遊技状態への移行状況の示唆が中途半端になっても、一旦潜伏演出モード208の演出を表示させることで、遊技者に違和感を持たせることなく、その潜伏期間において、特定遊技状態への移行に対する遊技者の期待感を継続させることができる。
第3の変形例を説明する。上述の実施例では、限定期間は15R特別遊技終了後の所定期間であることとした。変形例においては、遊技上の他のイベントをトリガとした遊技者に対して所定の一連の演出を提供すべき期間であってもよい。例えば、大入賞口66等、特別電動作動役物の開閉動作を生じさせる他のイベントの終了をトリガとしてもよい。具体的には限定期間は、2R特別遊技や小当たり遊技の終了後の所定期間であってもよい。この変形例においても実施例に記載の効果と同様の効果を奏する。
第4の変形例を説明する。演出決定手段132は、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルを参照して演出パターンを決定した回数を限定演出回数として、一時的にサブ基板104のメモリに保持してもよい。そして、変動制御命令を受け付けると、限定演出モード204に対応する演出パターンテーブルに設定された複数の演出パターンのうち限定演出回数に対応する演出パターンを選択してもよい。この変形例においても、電源の供給が停止した場合は、サブ基板104のメモリに保持された限定演出回数が失われるため、上述の実施例に既述した仕組みにより、電源供給復旧後においても好適な演出を提供できる。
第5の変形例を説明する。限定期間の経過前に、所定確率にて演出状態が第1示唆演出モード206へ移行してもよい。この移行は、所定の役物の動作を伴うものであってもよい。また、演出状態が第1示唆演出モード206へ移行した後も、限定期間中において、メイン基板102の変動パターン決定手段115は、限定パターンテーブルを参照して特図変動パターンを選択してもよい。実施例で既述したように、第1示唆演出モード206の演出パターンテーブルには、限定パターンテーブルに基づく特図変動パターンに対応する演出パターンが設定されているため演出上の問題は生じない。
このように、変動パターン決定手段115では限定パターンテーブルを参照して特図変動パターンを選択する一方で、演出決定手段132では第1示唆演出モード206に対応する演出パターンテーブルを参照する間に、電源供給が停止した場合を考える。ここで電断復帰信号や変動制御命令にメイン基板102の遊技状態を厳密に特定するための情報、例えば限定パターンテーブルの参照回数や限定期間の残り期間等が設定される場合でも、電源供給の復旧後にサブ基板104がメイン基板102の遊技状態に応じた演出状態に厳密に復帰することとすると演出上の不整合が生じうる。すなわち、電源供給の停止前に第1示唆演出モード206の演出が表示されながら、電源供給の復旧後には限定演出モード204の演出が表示されてしまう。上述の実施例に既述した仕組みによれば、電源供給復旧後は、限定演出モード204へ戻ることなく、第1示唆演出モード206の演出が表示されるため、演出表示における整合性を維持できる。
第6の変形例を説明する。上述の実施例では、15R特別遊技の終了後は一律に限定期間、すなわち限定パターンテーブルを参照する遊技状態へ移行した。変形例では、15R特別遊技開始前後の遊技状態や、その15特別遊技の契機となった当否抽選値や図柄の当たり態様等に応じて、15特別遊技の終了後に限定期間へ移行するか否か、移行しない場合はどの遊技状態へ移行するかをメイン基板102にて決定し、移行先の遊技状態に対応する特図パターンテーブルを選択してもよい。またサブ基板104は、メイン基板102により決定された移行先の遊技状態により判別される演出モードに対応する演出パターンテーブルを選択してもよい。
第7の変形例を説明する。上述の実施例では、従来にいういわゆる第1種ぱちんこ遊技機を例に説明した。変形例では、複数の第1種ぱちんこ遊技機を一つの機種に複合させて融合させたような機種において本発明を実現してもよい。その場合、始動入賞口や当否抽選手段、特別図柄、装飾図柄、保留制御手段等も複数有し、複数のぱちんこ遊技が混在したような遊技性を有することとなる。例えば、第1の始動入賞口および第2の始動入賞口のどちらか一方への入球に基づく遊技でのみ上述した演出状態の切替処理が実行されてもよく、いずれへの入球に基づく遊技においても上述した演出状態の切替処理が実行されてもよい。
また本発明は、装飾図柄が遊技者に対して提示される他のぱちんこ遊技機にも適用可能である。例えば、第1特別遊技として従来にいう第1種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を、第2特別遊技として従来にいう第2種ぱちんこ遊技機における特別遊技に対応する遊技を提供する複合機に適用することもできる。
上述した実施例および変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連係によって実現されることも当業者には理解されるところである。