JP2011049357A - 樹脂開口方法 - Google Patents

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宗利 入沢
Yuji Toyoda
裕二 豊田
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Abstract

【課題】基材の開口部に沿って樹脂層に開口部を形成する樹脂開口方法において、安定してオフセット幅Woをマイナス方向へ形成できる方法を提供する。
【解決手段】開口部を有する基材の少なくとも片面に樹脂層を形成し、次に、開口部上の樹脂層の厚みを表面上の樹脂層の厚みよりも薄くした後、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層表面を略均一に水溶性成分に変質させ、次いで、水洗によって、変質させた樹脂層を除去することで、少なくとも開口部上の樹脂層を除去することを特徴とする樹脂開口方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、開口部を有する基材の開口部に沿って樹脂層に開口部を精度良く形成することのできる樹脂開口方法に関する。
開口部を有する基材の開口部に沿って樹脂層に開口部を形成する技術としては、フォトリソグラフィー法による樹脂開口方法が用いられている。この樹脂開口方法は、開口部2を有する基材1(図4(a))の樹脂層を形成したい側全面に感光性樹脂層10を形成した後(図4(b))、基材1の開口部パターンに該当するフォトマスク20を重ね合わせて露光30を行うことにより(図4(c))、開口部中央領域31と開口部中央以外の領域32で性状を変化させ、感光性樹脂層除去液に対する溶出性の差を生じさせて(図4(d))、引き続き、性状が変化した感光性樹脂層9を残して、開口部中央領域31の感光性樹脂層10を除去する方法である(図4(e))。
このフォトリソグラフィー法による樹脂開口方法において、図5(c)のように、露光時に、フォトマスク20と基材1の開口部パターンとの間に位置ずれが生じた場合、感光性樹脂層10の感光性樹脂層除去液に対する溶解性を有する部分が基材の開口部中央領域よりずれてしまい(図5(d))、その結果、図5(e)に示すように、基材の開口部に沿って樹脂層の開口部を形成できない問題が発生する。
この問題を解決するものとして、フォトマスク及び位置合わせ作業が不要なセルフアライメント技術を利用した樹脂開口方法が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。この方法では、開口部2を有する基材1(図6(a))の樹脂層を形成したい側全面に樹脂層3及びマスキング層22を形成した後(図6(b))、樹脂層3を形成していない側から樹脂層除去液を供給する湿式処理によって、開口部領域の樹脂層3の除去を行うものである(図6(c))。マスキング層22を除去すると、基材1の開口部2に沿って、位置ずれなく、樹脂層3に開口を形成することができる(図6(d))。
図7は、開口部2を拡大した概略断面図であり、基材開口部のエッジ19と樹脂層の開口部のエッジ39との距離をオフセット幅Woと呼ぶ。湿式処理の条件(樹脂層除去液の供給条件。例えば、時間、圧力等)を調整することにより、このオフセット幅Woをプラス方向(図7(a)、基材の開口部より樹脂層の開口部が大きくなる方向)へコントロールすることが可能である。しかしながら、樹脂層除去液が開口部内に供給されると、樹脂の溶解が樹脂の厚み方向だけでなく横方向(基材及び樹脂層と平行の方向)へも進行するため、オフセット幅Woをマイナス方向(図7(b)、基材の開口部より樹脂層の開口部が小さくなる方向)へ形成することが不可能であった。
電子基板の回路パターン作製において、開口部として非貫通開口部を有する多層積層基板(非貫通開口部内は無電解銅メッキ済み)を基材として用い、開口部以外の領域に樹脂層を形成させ、その後、電解銅メッキ処理を行って、非貫通開口部内のみに、内層銅層との間の層間接続用の電解銅メッキ層を形成させる場合、オフセット幅Woがプラス方向であると、開口部のエッジに電解銅メッキ層が突起状に形成されて、表面に大きな凹凸ができてしまい、問題となるが、オフセット幅Woがマイナス方向であれば、このような問題が発生することがない。
オフセット幅Woをマイナス方向へ形成することができる方法として、開口部2を有する基材1(図8(a))の少なくとも片面に樹脂層3を形成し(図8(b))、次に、開口部上11の樹脂層3の厚みを表面上12の樹脂層3の厚みよりも薄くし(図8(c))、次いで、樹脂除去液によって表面上12の樹脂層3の薄膜化処理を行うと同時に、開口部上11の樹脂層3を除去する工程(図8(d))を含む回路基板の製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この方法においては、開口部内の気体の体積変化を利用し、開口部上11の樹脂層3の厚みを表面上12の樹脂層3の厚みよりも薄くしている。図8(c)に示すように、開口部上11の樹脂層3は、中央部になるに従い薄くでき、開口部2の中央部のみ、樹脂層3を除去することが原理的に可能である。
しかしながら、樹脂層除去液で開口部2の中央部の樹脂層3を除去しようとすると、開口部2内に入り込んだ樹脂層除去液が、開口部2内からも樹脂層3を溶解するため、開口部上11の樹脂層3をすべて除去してしまい、安定してオフセット幅Woをマイナス方向へ形成することは、非常に困難であった。
特開2006−173597号公報 特開2008−121060号公報 特開2008−176934号公報 特開2008−16774号公報
本発明の課題は、基材の開口部に沿って樹脂層に開口部を形成する樹脂開口方法において、安定してオフセット幅Woをマイナス方向へ形成できる方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、開口部を有する基材の少なくとも片面に樹脂層を形成し、次に、開口部上の樹脂層の厚みを表面上の樹脂層の厚みよりも薄くした後、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層表面を略均一に水溶性成分に変質させ、次いで、水洗によって、変質させた樹脂層を除去することで、少なくとも開口部上の樹脂層を除去することを特徴とする樹脂開口方法を見出した。
本発明の樹脂開口方法は、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層の表面を略均一に水溶性成分に変質させることで、開口部内に樹脂層を溶解する成分が入り込まないため、樹脂層表面を均一に除去でき、その結果、薄膜化した開口部の中央部だけ選択的に除去可能となり、オフセット幅Woをマイナス方向へ形成することができる。
本発明の樹脂開口方法を表す断面図である。 本発明の樹脂開口方法を表す断面図である。 開口部上の樹脂層の厚みを表面上の樹脂層の厚みよりも薄くした状態の概略断面図である。 フォトリソグラフィー法による樹脂開口方法を表す断面図である。 フォトリソグラフィー法による樹脂開口方法を表す断面図である。 セルフアライメント技術を利用した樹脂開口方法を表す断面図である。 開口部を拡大した概略断面図である。 セルフアライメント技術を利用した樹脂開口方法を表す断面図である。
図1を用いて、本発明の樹脂開口方法(両面処理)を説明する。開口部2を有する基材1(図1(a))に樹脂層3を形成する(図1(b))。次に、開口部上11の樹脂層3の厚みを表面上12の樹脂層3の厚みよりも薄くする(図1(c))。その後、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層表面を略均一に水溶性成分4に変質させる(図1(d))。次いで、直ちに、水洗によって、樹脂層の水溶性成分4を除去し、その結果、表面上12の樹脂層3の厚みを薄くすると同時に、開口部上11の中央部の樹脂層3を除去して、オフセット幅Woがマイナスの樹脂開口を形成できる(図1(e))。
図2を用いて、本発明の樹脂開口方法(片面処理)を説明する。開口部2を有する基材1(図2(a))に樹脂層3を形成する(図2(b))。次に、開口部上11の樹脂層3の厚みを表面上12の樹脂層3の厚みよりも薄くする(図2(c))。その後、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層表面を均一に水溶性成分4に変質させる(図2(d))。次いで、直ちに、水洗によって、水溶性成分4を除去し、その結果、表面上12の樹脂層3の厚みを薄くすると同時に、開口部上11の中央部の樹脂層3を除去して、オフセット幅Woがマイナスの樹脂開口を形成できる(図2(e))。
開口部を有する基材は、略平板状の基材で、開口部を有していれば、いかなる基材も適用可能である。例えば、樹脂フィルム、樹脂板、金属箔、金属板等、また、それらの複合材である金属張積層板、金属張樹脂板、金属張樹脂フィルム等が使用可能である。例えば、メタルマスク用のステンレス板、プリント基板用の銅張積層板が挙げられる。基材の厚みは、好ましくは、10μmから100mm程度までが可能である。10μmより薄いと樹脂層の形成及び開口部上の樹脂層の厚みを薄くする処理が難しくなり、100mmを超えると装置対応が難しくなる。また、樹脂層の形成ができさえすれば、凹凸があってもかまわない。
開口部は貫通開口部であっても良いし、非貫通開口部であっても良い。開口部の形状についても、開口部上の樹脂層の厚みを薄くする処理が可能であれば、特に制限はなく、例えば、正円形、楕円形等の円形;正方形、長方形、菱形、台形等の四角形;六角形、八角形等の多角形;ひょうたん形、ダンベル形等の不定形等が挙げられる。開口部の大きさは、円形であれば、直径数百μm〜数十mmが好ましい。また、開口部の断面形状はテーパーを有していても良い。
樹脂層とは、基材の開口部をテンティングするように、ラミネート可能で、かつ、使用するアルカリ水溶液と反応して水溶性成分に変質する化合物もしくは混合物であれば、特に限定されるものではない。具体的に例を挙げれば、アクリル樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂に酸基を導入してあるフィルム等が挙げられる。また、光架橋性樹脂からなるネガ型ドライフィルムレジストが挙げられ、例えば、デュポンMRCドライフィルム株式会社のリストン(登録商標)、日立化成工業株式会社のフォテック(登録商標)、旭化成イーマテリアルズ株式会社のサンフォート(登録商標)等を使用することができる。本発明に係わる樹脂層は、キャリアフィルム(ポリエチレンテレフタレート等)と保護フィルム(ポリエチレン等)の間にはさまれている3層の構成であれば、保存や貼り付けの際に好適である。ブロッキングが問題にならなければ、保護フィルムを使用しない2層構造のものでも良い。
開口部を有する基材の少なくとも片面へ樹脂層を形成するには、ラミネート方式で行う。ラミネート方式は、シート状に形成されている樹脂層を基材に対して熱圧着させる方式である。密着性が確保され、かつ、熱や圧力によって基材に歪みが発生することがなく、均一な厚みでのラミネートができれば、いずれの方法でも使用可能である。好ましくは、熱ロールを用いてラミネートを行う。温度は40℃から150℃が好ましく、60℃から120℃がより好ましい。圧力は、熱ロールでのラミネートの場合には、線圧力で1N/cmから100N/cmの範囲が好ましく、5N/cmから50N/cmの範囲であればより好ましい。このラミネート方式により、開口部を有する基材の片面もしくは両面に厚みの均一な樹脂層を良好に形成することが可能となる。
樹脂層の厚みは、樹脂開口基板の使用方法(後工程)において問題を生じない膜厚であれば、いずれの膜厚でも可能である。より良好に樹脂開口を形成するためには、5〜300μmの範囲が好ましい。
開口部上の樹脂層の厚みを表面上の樹脂層の厚みよりも薄くする方法は、開口部内の気体の体積変化を利用する方法が好適に用いられる。この方法は、樹脂層を開口部上に形成し、開口部内の空気を樹脂によって遮蔽した後に、開口部内の気体の体積を変化させる。例えば、開口部上に樹脂層を形成した後に、開口部内の気体を加熱し、体積膨張させることで、開口部上の樹脂層を引き伸ばす方法が挙げられる。図3(c1)のように、樹脂層3は加熱によって軟化するとともに、開口部2内の空気の熱膨張によって、ドーム形状を形成するか、もしくは、そのままドーム形状を保持しない樹脂特性であれば、冷却後に垂れ下がり、図3(c2)のように、ディンプル形状を形成する。いずれも、開口部2の中央部が最も薄くなった樹脂層3となる。
加熱の温度、時間をコントロールすることで、開口部上の膜厚層の厚み及び形状をコントロールすることができる。また、減圧の方法によって開口部上の樹脂層の膜厚を薄くすることもできる。すなわち、開口部外の気体を減圧にすることで、開口部内の気体が膨張して樹脂層を引き伸ばす方法、また、開口部内の気体を加熱し、かつ、開口部外の気体を減圧にすることで、開口部内の気体が膨張して樹脂層を引き伸ばす方法も使用することができる。表面上と開口部上の樹脂層の厚みの差が大きい方が好ましい。好ましくは、表面上の樹脂層の厚みの30%以下まで開口部上の樹脂層を薄くすることが好ましく、より好ましくは10%以下まで薄くする。
加熱条件は、樹脂層のガラス転移温度やその他の特性、基材の厚みや面積に適した温度範囲で選定し、好ましくは、樹脂層を形成した後、60〜180℃の条件下で加熱を行う。加熱時間は、採用する加熱温度の値によって適正な値は異なるが、好ましくは1秒〜1時間の範囲である。減圧条件は、好ましくは1〜950hPaの雰囲気下で行う。また、別の方法として、700hPa以下の減圧状態で樹脂層をラミネートし、ラミネート後の開口部内外の圧力の違いで開口部内の気体を収縮させることで樹脂層を引き伸ばす方法も挙げられる。さらに、開口部内の気体を60℃以上に加熱した状態で樹脂層をラミネートし、後に30℃以下に基材を冷却して開口部内の気体を収縮させることで、樹脂層を引き伸ばす方法も挙げられる。
本発明に係わる無機アルカリ性化合物としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの炭酸塩または重炭酸塩等のアルカリ金属炭酸塩、カリウム、ナトリウムのリン酸塩等のアルカリ金属リン酸塩、リチウム、ナトリウムまたはカリウムの水酸化物等のアルカリ金属水酸化物、カリウム、ナトリウムのケイ酸塩等のアルカリ金属ケイ酸塩から選ばれる無機アルカリ性化合物を挙げることができる。このうち特に好ましい化合物としては、アルカリ金属炭酸塩が挙げられる。
本発明においては、アルカリ水溶液全量に対して、上記無機アルカリ性化合物を5〜20質量%含有し、より好ましくは8〜11質量%含有する。5質量%未満では、樹脂層を除去する速度が速く、開口部の内部にアルカリ水溶液が進入する問題が生じ、不均一な開口形状となる。また、20質量%を超えると、無機アルカリ性化合物の析出が起こりやすくなって、液の経時安定性、作業性に劣る。溶液のpHは9〜12の範囲とすることが好ましい。液温度は、20〜50℃の条件下で処理することが好ましい。
上記アルカリ水溶液によって樹脂層表面を水溶性成分に変質させる処理方法としては、ブラッシング、スプレー、浸漬、超音波装置等、いずれであって効果がある。なかでも、スプレー及び浸漬が、面内均一性、両面均一性などに優れていて、良好に使用できる。樹脂層表面をアルカリ水溶液で処理する時間は、1〜120秒が好ましい。処理時間によって、オフセット幅Woをコントロールできる。
水溶性成分への変質とは、無機アルカリ性化合物5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層中の酸成分がアルカリ金属塩となって水溶性になるが、高濃度のアルカリ水溶液には溶解・分散せず、塩析効果によって、析出して残存した状態をいう。塩析効果を向上させるために、アルカリ水溶液に、硫酸塩、亜硫酸塩を添加することもできる。硫酸塩または亜硫酸塩としては、リチウム、ナトリウムまたはカリウムなどのアルカリ金属硫酸塩または亜硫酸塩、マグネシウム、カルシウムなどのアルカリ土類金属硫酸塩または亜硫酸塩が挙げられる。また、界面活性剤、消泡剤、溶剤等を適宜添加することもできる。
アルカリ水溶液によって樹脂層表面を均一に水溶性成分に変質させた後、速やかに水洗を行う。水洗の方法は、ブラッシング、スプレー、浸漬、超音波装置等、いずれであっても効果がある。なかでも、高圧スプレーが好適に使用できる。スプレー圧は0.05〜0.3MPaが好ましい。
本発明の樹脂開口方法で得られた開口部を有する樹脂層が形成された基材は、例えば、電子基板の回路パターン作製に利用することができる。一例として、多層積層基板を用いた利用例を説明する。開口部として非貫通開口部を有する多層積層基板(非貫通開口部内は無電解銅メッキ済み)を基材として用い、本発明の樹脂開口方法により樹脂層を開口部以外の領域に形成させる。その後、電解銅メッキ処理を行い開口部の内部のみに、内層銅層との間の層間接続用の電解銅メッキ層を形成させる。電解銅メッキ処理後、樹脂層を剥離用液で除去したのち、感光性ドライフィルムや液状レジストを使用して、サブトラクティブ法の手法により回路パターンを形成する。
従来の方法では、オフセット幅Woがマイナスでない部分があるため、背景技術で説明したように、開口部内部の電解銅メッキ処理の際に、多層積層基板表面の開口部エッジにも電解銅メッキ層が形成されて、表面に凹凸ができてしまっていた。そのため、回路パターン形成の際に、感光性ドライフィルムのラミネートもしくは液状レジストの塗工に支障をきたし、良好な回路形成ができなくなっていた。本発明の樹脂開口方法では、オフセット幅Woがマイナスで形成されているため、開口部内のみに電解銅メッキが形成され、層間接続の信頼性が確保できる。そして、表面に凹凸が形成されることがないため、良好な回路形成が可能となる。なお、貫通開口部を有する銅張積層基板を基材として用いた場合にも、本発明の樹脂開口方法で、オフセット幅Woをマイナスで形成することによって、開口部内にのみ電解銅メッキ層を形成することができる。
また、本発明の方法においては、オフセット幅Woをゼロまたはプラスの方向へ形成することも可能である。開口部上の樹脂層の厚みを表面上の樹脂層の厚みよりも薄くする際にエッジ近傍の樹脂層の厚みも同時に薄くする。次に、アルカリ処理の条件を、エッジ近傍の樹脂層が溶出できる条件まで処理することで、オフセット幅Woをゼロまたはプラスの方向へ形成することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜8)
表1の組成からなる塗布液を用い、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製)上に、ワイヤーバーを用いて、アルカリ可溶性の樹脂層(乾燥後のフィルム厚さ30μm)を作製した。
Figure 2011049357
基材として、200×200×0.4mmの銅箔2μm厚の銅張積層板を用い、ドリルで0.30mmの径の貫通開口部を複数形成した。次に、上記樹脂層を両面にゴムロールにより、圧力0.1MPa、温度90℃、速度0.5m/minの条件にて貼り付け、孔内の空気を樹脂層によって密閉させた。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、100℃−20分の加熱を行い、開口部上の樹脂層の中央部を2μmになるまで薄くした。膜厚は、超深度形状測定顕微鏡(商品名:VK−8500、キーエンス製)にて測定した。
次いで、室温にまで冷却し、表2に示すアルカリ水溶液(30℃、スプレー圧0.1MPa)で処理し、続いて水洗を実施し、表面上の樹脂層の厚みを20μmまで薄くすると同時に、開口部上の樹脂層を除去した。アルカリ水溶液の処理時間は、それぞれの液において、表面上の樹脂層の厚みが20μmとなるように調整した(表2)。開口部の周囲を顕微鏡にて観察したところ、開口部上の樹脂層の中央部が完全に除去できており、開口部の樹脂層のエッジにがたつきはなかった。オフセット幅Woの距離を、超深度形状測定顕微鏡(商品名:VK−8500、キーエンス製)にて測定したところ、表2に示す結果となり、オフセット幅Woがマイナスの樹脂層が形成できた。
Figure 2011049357
(実施例9〜16)
表3の組成からなる塗布液を用い、厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製)上に、ワイヤーバーを用いて、アルカリ可溶性の樹脂層(乾燥後のフィルム厚さ25μm)を作製した。
Figure 2011049357
基材として、200×200×0.4mmの銅箔2μm厚の多層銅張積層板を用い、片面にレーザーで0.10mmの径、深さ0.10mmの非貫通開口部を複数形成した。次に、上記樹脂層を片面にゴムロールにより、圧力0.1MPa、温度90℃、速度0.5m/minの条件にて貼り付け、孔内の空気を樹脂層によって密閉させた。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、100℃−10分の加熱を行い、開口部上の樹脂層の中央部を1μmになるまで薄くした。
次いで、室温にまで冷却し、表4に示すアルカリ水溶液(30℃、スプレー圧0.1MPa)で処理し、続いて水洗を実施し、表面上の樹脂層の厚みを15μmまで薄くすると同時に、開口部上の樹脂層を除去した。アルカリ水溶液の処理時間は、それぞれの液において、表面上の樹脂層の厚みが15μmとなるように調整した(表4)。開口部の周囲を顕微鏡にて観察したところ、開口部上の樹脂層の中央部が完全に除去できており、開口部の樹脂層のエッジにがたつきはなかった。オフセット幅Woの距離を、超深度形状測定顕微鏡(商品名:VK−8500、キーエンス製)にて測定したところ、表4に示す結果となり、オフセット幅Woがマイナスの樹脂層が形成できた。
Figure 2011049357
(比較例1〜5)
表1の組成からなる塗布液を用い、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱化学ポリエステルフィルム製)上に、ワイヤーバーを用いて、アルカリ可溶性の樹脂層(乾燥後のフィルム厚さ30μm)を作製した。
基材として、200×200×0.4mmの銅箔2μm厚の銅張積層板を用い、ドリルで0.30mmの径の貫通孔を複数形成した。次に、上記樹脂層を両面にゴムロールにより、圧力0.1MPa、温度90℃、速度0.5m/minの条件にて貼り付け、孔内の空気を樹脂層によって密閉させた。
次に、ポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、100℃−10分の加熱を行い、開口部上の樹脂層の中央部を2μmになるまで薄くした。
次いで、室温にまで冷却し、表5に示すアルカリ水溶液(30℃、スプレー圧0.1MPa)で数十秒間処理し、続いて水洗を実施し、表面上の樹脂層の厚みを20μmまで薄くすると同時に、開口部上の樹脂層を除去した。アルカリ水溶液の処理時間は、それぞれの液において、表面上の樹脂層の厚みが15μmとなるように調整した。開口部の周囲を超深度形状測定顕微鏡(商品名:VK−8500、キーエンス製)にて観察したところ、開口部上の樹脂層の中央部が除去できたが、一部の開口部において、液が開口部内に入り込み、オフセット幅Woがプラス10μm以上となっていた。結果、開口部の樹脂層のエッジにがたつきが生じ、良好なオフセット幅Woマイナスの開口が達成できなかった。
Figure 2011049357
本発明は、例えば、貫通開口部や非貫通開口部を有する電子基板へのレジスト樹脂層の付与、金属加工製品への絶縁被膜付与などに利用可能である。また、これらに限定されず、基材の開口部に沿った開口部を有する樹脂層を付与する必要のある様々な用途に広く利用可能である。
1 基材
2 開口部
3 樹脂層
4 水溶性成分
9 性状が変化した感光性樹脂層
10 感光性樹脂層
11 開口部上
12 表面上
19 基材開口部のエッジ
20 フォトマスク
22 マスキング層
30 露光
31 開口部中央領域
32 開口部中央以外の領域
39 樹脂層開口部のエッジ

Claims (1)

  1. 開口部を有する基材の少なくとも片面に樹脂層を形成し、次に、開口部上の樹脂層の厚みを表面上の樹脂層の厚みよりも薄くした後、無機アルカリ性化合物の含有量が5〜20質量%のアルカリ水溶液によって、樹脂層表面を略均一に水溶性成分に変質させ、次いで、水洗によって、変質させた樹脂層を除去することで、少なくとも開口部上の樹脂層を除去することを特徴とする樹脂開口方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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