JP2006190734A - プリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の高分子フィルム(好ましくはポリイミドフィルム、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)の片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするフィルムベースのプリント配線板。
【選択図】 なし
Description
電子機器のさらなる小型軽量化に伴い、これらフィルム基材のプリント配線板においても、フィルム基材のさらなる薄膜化、配線のさらなる微細化、それに伴い導電層のさらなる薄膜化が求められている。
すなわち本発明は、引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の高分子フィルムの片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするフィルムベースのプリント配線板である。
また高分子フィルムがポリイミドフィルムである前記のプリント配線板であり、また高分子フィルムがポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである前記のプリント配線板であり、またフィルム幅が150mm以上である前記のプリント配線板であり、また高分子フィルムが滑剤を含有し、当該滑剤の体積平均粒子径が、高分子フィルムの厚さの10分の1以下である前記のプリント配線板であり、さらにまた前記いずれかのフィルムベースのプリント配線板が複数枚積層されてなる多層プリント配線板である。
以下、高分子フィルムとしてポリイミドフィルム(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)を例として詳述する。
ポリイミドフィルムの製造における、重合反応はまず溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からポリイミドの前駆体フィルムであるグリーンフィルム(又はシート)を成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
本発明においては、特にこれら芳香族ジアミン類の中でベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類が好適なジアミンである。本発明で特に好適に使用されるベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類としては以下のものが挙げられる。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。これらのポリイミドフィルムとしては、無延伸フィルムが好ましく適用されるが、1軸又は2軸に延伸したフィルムでも使用することができる。
ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明における要件を満足するフィルムとして芳香族ポリアミドフィルムを用いることが出来る。また本発明に於ける要件を満足するフィルムとしてポリベンゾオキサゾールフィルムを用いることが出来る。またさらに本発明の要件を満足するフィルムとしてトリレンジイシシアネートを含む芳香族イソシアネート類と芳香族トリカルボン酸無水物類から得られるポリアミドイミドフィルムを用いることができる。
本発明における高分子フィルムの引裂き伝搬抵抗は、1N/mm以上、好ましくは2N/mm以上、なお好ましくはである4N/mmである。引裂き強度がこの範囲に満たない場合には加工途上、特に薬液処理時のスプレーにフィルムが耐えることができずに破断するなどの問題が出る場合がある。
導電層の厚さは5μm以下が必須であり、3.7μm以下が好ましく2.5μm以下がなおさらに好ましい。
ここに導電層の厚さとは、導電層とフィルムが接している面から垂線方向に導体回路パターンの表面に達するまでの距離を云う。
本発明のフィルム基材のプリント配線板における加工幅としては、特に制限されるものではないが、好ましい態様として、150mm幅以上の連続ロール加工であり、より好ましくは240mm以上、なお好ましくは320mm以上、なおさらに好ましくは480mm幅以上である。
サブトラクティブ法においては、かかる高分子フィルムの全面に金属層を形成し、不要部分をエッチングにて除去することにより導体パターンを得る。
以下、本発明の高分子フィルムに金属層を形成する方法、ならびに導体パターンの形成方法について説明する。
湿式処理である無電解メッキによる方法においては、高分子フィルム表面をまず、アルカリ薬液、過マンガン酸カリウム薬液などにより表面処理を行い表面を微細な粗面に加工した後に、塩化銀/塩化パラジウムコロイド等の触媒付与、活性化、を経て無電解銅メッキ、あるいは無電解ニッケルリンメッキ、無電解ニッケルボロンメッキ等を行って金属層を形成することが出来る。かかる無電解メッキの後に電気メッキを使って所定の厚さまで導体厚さを増すことは好ましい態様である。
乾式メッキであるスパッタリング、蒸着等の技術を経て金属化を行う場合には、高分子フィルムイミドフィルムの表面をプラズマ処理した後、下地の金属、好ましくはニッケル−クロム合金、モネル合金、銅−モリブデン合金等をスパッタリングにより厚さ20〜2000Åとなるように付着させ、次いで厚付け金属をスパッタ法および/又は蒸着法により付着させる。その後、さらに厚付け金属を電解メッキして導体層の厚さを増すことは好ましい態様である。またさらに導体層形成後に150〜350℃の熱処理を行うことも、導体層の内部応力を緩和する上で好ましい実施態様である。
かかる金属の厚さは厚さ20〜2000Åが好ましい。またニッケル−クロム合金の場合のクロム含有量は3〜30%が好ましいスパッタリング条件は任意である。なお、ニッケル−クロム合金のスパッタ層は、ニッケル−クロムの合金ターゲットを用いる方法、二元同時スパッタリングを行う方法、あるいはニッケルとクロムを独立にスパッタリングし、後工程で両者を拡散させる方法など用いることができる。
本発明の厚付け金属層として好ましく用いられる銅層の形成としては、電気メッキを用いることができる。電気メッキ法としては、ピロリン酸銅メッキ、あるいは硫酸銅メッキを好ましく用いることができる。
このようにして得られた本発明の金属化ポリイミドフィルムは、通常の方法によって、銅層側にフォトレジストを塗布し乾燥後、露光、現像、エッチング、フォトレジスト剥離の工程により、配線回路パターンを形成し、さらに必要に応じてソルダーレジスト塗布、硬化および無電解スズメッキを行い、回路基板が得られる。また必要に応じて複数層を重ね、ビアホール、ないしスルホールにより層間接続を行い、積層して、多層基板とすることが出来る。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
フイルムおよび銅箔の厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(R)1245D)を用いて測定した。
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を求めた。
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%質量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
JIS K 7128に準拠するトラウザー引裂き法により測定した。
測長機付きの実体顕微鏡にて、各30本の線幅と線間隔を測定し、平均値を求めた。
得られた回路基板を定盤上に置き、四隅の定盤からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を次式で算出し「反り」とした。
反り(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)を入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.5dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミン(PDA)を入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテル(DPDPE)を入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
参考例2で得られたポリアミド酸溶液と参考例3で得られたポリアミド酸溶液を50/50(質量比)にて混合しポリアミド酸溶液Dとした。
[参考例5]
100質量部のNーメチルー2ーピロリドン(NMP)に1質量部のアモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を超音波分散器で20時間分散させたスラリーを用意する。次いで、窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器に上記シリカスラリーを仕込み、NMP1195質量部、芳香族ジアミン成分として122質量部の2−クロルパラフェニレンジアミン(PDA)と、37質量部の4、4'−ジアミノジフェニルエ−テル(DPDPE)とを溶解させ、これに236質量部の2−クロルテレフタル酸クロリド(TPA)を添加し、2時間撹拌して重合を完了した。さらに水酸化リチウムで発生塩化水素の97モル%を中和し、ついでジエタノ−ルアミン445質量部、トリエタノ−ルアミン1490質量部を添加してポリマ濃度10質量%の製膜用溶液Eを得た。
参考例により得られたポリアミド酸溶液Aを送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、150μm)、110℃にて30分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ15.6μmのポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の熱処理炉に通し、第1段が200℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として480℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する、幅600mmのポリイミドフィルム(I)を得、両端部(耳部)をスリットし、中央部のみの幅524mm、長さ約200mのフィルムを製品とした。得られたポリイミドフィルムの特性を表1に示す。以下同様にポリアミド酸溶液と塗布厚を変えて操作を行い表1に示す各フィルム1〜5、7、8を得た。
また、製膜用溶液Eを使用して金属ベルト上に流延し、流延されたフィルムを160℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に50℃水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。なおこの浴中で縦方向(MD方向)に1.2倍延伸し、つぎにテンタ−に導入し280℃で60秒間、水分の乾燥と熱処理を行った。この間にフィルムの幅方向(TD方向)に1.3倍延伸し、20℃/秒の速度で徐冷し、同じく表1に於けるフィルム6(アラミドフィルム)を得た。
(金属化ポリイミドフィルムの製造)
製造例において得られたポリイミドフィルムを巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、プラズマ雰囲気での滞留時間約30秒であった。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000オングストローム銅薄膜を形成させた。
得られた金属化フィルムを連続式の電気メッキ槽により、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し、金属化高分子フィルムを得た。
得られた金属化高分子フィルムを、幅175mmにスリットし、ロールトゥロール方式の加工ラインにおいて、線幅/線間=7/7μmの片面細線加工を行った。具体的にはフォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、エッチング後にレジスト剥離を行った。得られた片面回路パターンの線幅線間を測長し、回路品質を評価した結果を表2に示す。
フィルム6(アラミドフィルム)(厚さ6μm)を用い、以下同様に実施例1と同様に操作し金属化フィルム、および評価パターンを得た。パターンの評価結果を表2に示す。
導体の総厚さを2.5μm、評価に用いるパターンを線間/線幅4.0/4.0μmとした以外は実施例1と同様に操作し、片面微細線加工フィルムを得た。同様に評価した結果を表2に示す。さらに基材フィルムを代えて同様に片面微細加工フィルムを得た。評価結果を表3に示す。
製造例において得られた高分子フィルム、並びに東レ社製芳香族ポリアミドフィルム「ミクトロン(R)」を用い、実施例1と同様のプラズマ処理を、フィルムの表裏に行った。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000オングストローム銅薄膜を形成させた。さらにフィルムを裏返しにセットし、裏面にも同様の処理を行い表裏とも金属化された高分子フィルムを得た。
得られた両面金属化フィルムを200mm×200mmのサイズに裁断し、YAGレーザーにより所定の場所にスルホールを空け、次いで、通常の塩化銀/塩化パラジウム触媒付与の後活性化を経て、湿式無電解銅メッキによりスルホール部および金属化表面に無電解銅めっき被膜を形成し、次いでプラスチック製の枠に固定した状態で硫酸銅メッキにより導体層厚さが4.5μmになるまでパネルメッキを行った。
得られたパネルメッキ後のフィルムにて線幅/線間=7/7μmの両面細線加工を行った。具体的には枚葉式である以外は実施例1と同様に、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、エッチング後にレジスト剥離を行った。得られた両面回路パターンの線幅線間を測長し、回路品質を評価した結果を表4に示す。
以上の、実施例においては、ネガよりやや細目の寸法にて、バラツキ少なく線幅線間の加工が行われているが、特に弾性率の低いフィルムを用いた比較例においては線幅の変動が大きく、設計寸法であるネガパターンに比較すると、かなり細っていることがわかる。これはレジストの現像時やエッチング時に基材フィルムが薬液のスプレー圧により変動し、レジストパターンの寸法再現性が低下し、さらにエッチング時に記事阿フィルムが波打つためにエッチング液の溜まりが生じてエッチング速度の不均一性などが生じているためであると推察される。
実施例13において得られた両面細線加工フィルムの両面に、実施例7において得られた片面回路加工フィルムをエポキシ系接着剤により、回路加工面が外側になるように重ね、熱板温度150℃、圧力80kgf/cm2にて3分間プレスを行い、次いで120℃60分間アフターキュアを行い、まず4層の多層化を行った。さらに同様に実施例1において得られた片面微細加工フィルムを両面に貼り付け、順次繰り返し、最後に所定の大きさに打ち抜き、縦横50mm、全10層の導体層を有する微細多層配線板を試作した。
得られた微細多層配線板の外観評価と断面観察による層間品質を観察した。結果を表5に示す。
以下、実施例14から比較例6にて得られた両面微細加工フィルムに、使用した基材フィルムと同じフィルムを用いて行われた導体厚さ2.5μmの片面微細加工フィルム(実施例8など)となるように組み合わせて、各々10層の微細多層配線板を得た。同様に評価結果を表5に示す。
実施例においては層間絶縁層の厚さのバラツキが小さく、また、基材フィルムの変形も少ないため、積層時のプレス圧がバランスよく加わっていることが伺われる。結果として反りの小さい外観上良好な多層基板を実現している。比較例においては、絶縁層圧のバラツキが大きく、基材フィルムの変形(ウネリ)も観察される。結果として、外観上の反りや歪みが生じている事が分かる。
Claims (6)
- 引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の高分子フィルムの片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするフィルムベースのプリント配線板。
- 高分子フィルムがポリイミドフィルムである請求項1に記載のフィルムベースのプリント配線板。
- 高分子フィルムがポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである請求項1に記載のフィルムベースのプリント配線板。
- 高分子フィルムの幅が150mm以上である請求項1〜3いずれかに記載のフィルムベースのプリント配線板。
- 高分子フィルムが滑剤を含有し、当該滑剤の体積平均粒子径が、高分子フィルムの厚さの10分の1以下である請求項1〜4いずれかに記載のフィルムベースのプリント配線板。
- 請求項1〜5項いずれかに記載のフィルムベースのプリント配線板が複数枚積層されてなる多層プリント配線板。
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