JP2006190734A - プリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フィルムを基材とする極薄プリント配線板であって、フィルムのハンドリング性の維持、工業的な生産の容易さ、安定した回路パターン形成が可能な微細配線の極薄プリント配線板やプリント配線板を複数枚積層してなる多層プリント配線板の提供。
【解決手段】 引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の高分子フィルム(好ましくはポリイミドフィルム、ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)の片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするフィルムベースのプリント配線板。
【選択図】 なし

Description

本発明は、FPC、TAB、COF等と総称される高分子フィルムを基材に用いたプリント配線板に関し、さらに詳しくは回路線幅7μm以下の微細配線を含むプリント配線板に関するものである。また本発明はかかるフィルム基材のプリント配線板を複数枚積層してなる多層プリント配線板に関するものである。
ポリイミドフィルムに代表される耐熱性高分子フィルムを基材に用いたいわゆるFPC:フレキシブルプリント配線板、TABテープ、COFテープなどは近年の電子機器の小型軽量化に伴い広く用いられている。かかるフィルムを基材としたプリント配線板は高分子フィルムと銅箔とを、直接に、あるいは接着剤を用いて間接に積層してなるフレキシブル銅張り積層基板をエッチング加工して作製される。また一部には、極薄い導電化層を付与された高分子フィルムに、必要な箇所のみメッキで厚付けするいわゆるセミアディティブ法による回路形成も検討されている。さらに、これらフィルム基材のプリント配線板を複数枚積層して多層プリント配線板と成すことも広く検討されており、半導体チップを直接搭載するインターポーザ基板、モジュール基板、あるいは小型機器の主基板などとして実用化が進められている。
電子機器のさらなる小型軽量化に伴い、これらフィルム基材のプリント配線板においても、フィルム基材のさらなる薄膜化、配線のさらなる微細化、それに伴い導電層のさらなる薄膜化が求められている。
高分子素材をこれらのプリント配線板や多層プリント配線板の基材として使用することが多数提案されている。例えば、25μm厚さのポリイミドフィルム基材上にアディティブ法で形成した回路を設けたフレキシブルプリント配線板(特許文献1参照)、PETフィルムなどの裏打材上にワニスを介して薄いポリイミドを積層しそのポリイミドフィルム上に細密な回路を設けたプリント配線板(特許文献2参照)、25μm厚さのポリイミドフィルム上に熱可塑性ポリイミド層を設けその上に微細回路を設けたプリント配線板(特許文献3参照)、その他多数の提案がなされている。
特開2002−314215号公報 特開2003−273522号公報 特開2004−276401号公報
しかしながら、従来の主にポリイミドフィルムを基材とする銅張り積層板においては、まずハンドリング性から次のような問題があり、薄膜化することが困難であった。すなわち、銅張り積層を作製する場合は、フィルムの片面ないし両面に銅箔を形成する必要上、フィルムのハンドリング性が維持されていなければならず、フィルムの厚さを10μm以下にするとハンドリング性が極端に悪化し、収率が著しく下がるために工業的な生産が困難であるという課題があった。さらにかかる銅張り積層フィルムをプリント配線板に加工するに際しては、レジストの塗布−露光−現像−エッチング−レジスト剥離という一連の工程を通す必要がある。かかる回路パターンの形成はフィルム基材のプリント配線加工の場合にはロールトゥーロールにて加工されることが一般的であるがたとえば現像工程での現像液のスプレー、エッチング工程でのエッチング液のスプレー、レジスト剥離工程での剥離駅のスプレー、さらに各工程間に於ける水洗などのスプレー圧により基材の変形が生じ、部分的に処理液の溜まりが生じるなどして回路加工面での処理の均一性が損なわれる事が多く、結果的にレジストパターン、ないしはエッチング後のパターンにおける現像不良やエッチングレートの不均一性などが生じ、安定した回路パターン形成が困難となり、結果的に微細配線の加工ができないという問題点となっていた。
このような基材の変形に起因する問題点は、単にFPC、TAB、COFなどのフィルム基材のプリント配線板における微細線化、薄膜化だけでなく、これらフィルム基材のプリント配線板を複数枚積層して多層板を得る場合にも、多層基板全体の薄膜化を妨げる問題点となっていた。
本発明は、フィルムを基材とする極薄プリント配線板であって、フィルムのハンドリング性の維持、工業的な生産の容易さ、安定した回路パターン形成が可能な微細配線の極薄プリント配線板やプリント配線板を複数枚積層してなる多層プリント配線板の提供を目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決し、フィルム基材のプリント配線板の更なる微細線化、薄層化を実現することを目的に鋭意研究を重ねた結果、引張弾性率が6GPa以上の高分子フィルムを基材に用いることにより、厚さが10μm以下であっても充分なハンドリング性を有することを見出し、また、かかる基材を用いた銅張り積層基板は、加工プロセス中のスプレー圧による変形が小さく、処理液だまりが生じにくく、結果として安定した微細配線形成が可能であることを見出し本発明に至ったのである。
すなわち本発明は、引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の高分子フィルムの片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするフィルムベースのプリント配線板である。
また高分子フィルムがポリイミドフィルムである前記のプリント配線板であり、また高分子フィルムがポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである前記のプリント配線板であり、またフィルム幅が150mm以上である前記のプリント配線板であり、また高分子フィルムが滑剤を含有し、当該滑剤の体積平均粒子径が、高分子フィルムの厚さの10分の1以下である前記のプリント配線板であり、さらにまた前記いずれかのフィルムベースのプリント配線板が複数枚積層されてなる多層プリント配線板である。
本発明におけるフィルム基材のプリント配線板は、引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の耐熱高分子フィルムの片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするものであり、引張弾性率が6GPa以上の耐熱高分子フィルムは、厚さが10μm以下であっても充分なハンドリング性を有し、スパッタリング、メッキ等により銅張り積層フィルム化することが可能である。また、かかる銅張り積層フィルム自体が十分な剛性を有するため、エッチング法によりパターン形成する場合においても、基材フィルムの変形や波打ちが抑えられるため、処理液の溜まりが生じにくく、結果的に回路基板の全面で安定均一にソリが進むため、回路線幅の公差が小さく、結果として微細配線を形成することが可能となる。 その結果、フィルム厚10μm以下、導体厚さ5μm以下、線幅8μm以下、線間7μm以下の微細配線パターンを形成可能となる。本発明では、特にフィルム基材を用いて、かかる微細な加工がある程度の広幅、好ましくは150mm幅以上のでも実現できるところに産業上極めて有意義意となる。
本発明の高分子フィルムはガラス転位温度が150℃以上、引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下の耐熱性高分子からなる。かかる高分子材料としてはポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、全芳香族ポリアミド、全芳香族ポリエステル、その他の熱硬化性高分子材料を具体例として挙げることができる。本発明では、これらの中でもポリイミド、全芳香族ポリアミドの使用が好ましく、さらにポリイミドベンゾオキサゾールフィルムの使用がなお好ましい。
以下、高分子フィルムとしてポリイミドフィルム(ポリイミドベンゾオキサゾールフィルム)を例として詳述する。
ポリイミドフィルムの製造における、重合反応はまず溶媒中で芳香族ジアミン類と芳香族テトラカルボン酸無水物類とを開環重付加反応に供してポリアミド酸溶液を得て、次いで、このポリアミド酸溶液からポリイミドの前駆体フィルムであるグリーンフィルム(又はシート)を成形した後に脱水縮合(イミド化)することによりなされる。
本発明においては、特にこれら芳香族ジアミン類の中でベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類が好適なジアミンである。本発明で特に好適に使用されるベンゾオキサゾール構造を有するジアミン類としては以下のものが挙げられる。
Figure 2006190734
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これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン。3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、
3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン。1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、
2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン。1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、
1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド。2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、
4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン。3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン。
4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリルおよび上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
本発明で用いられるテトラカルボン酸無水物は芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類としては、具体的には、以下のものが挙げられる。
Figure 2006190734
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これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。
そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸無水物類とを重合してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマーおよび生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌および/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましく、なおさらに5.0dl/g以上が好ましい。
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
重合反応により得られるポリアミド酸溶液から、ポリイミドフィルムを形成するためには、ポリアミド酸溶液を支持体上に塗布して乾燥するなどによりグリーンフィルムを得て、次いで、グリーンフィルムを熱処理に供することでイミド化反応させる方法が挙げられる。
ポリアミド酸溶液を塗布する支持体は、ポリアミド酸溶液をフィルム状に成形するに足る程度の平滑性、剛性を有していればよく、表面が金属、プラスチック、ガラス、磁器などであるドラム又はベルト状回転体などが挙げられる。また、適度な剛性と高い平滑性を有する高分子フィルムを利用する方法も好ましい態様である。中でも、支持体の表面は好ましくは金属であり、より好ましくは錆びなくて耐腐食に優れるステンレスである。支持体の表面にはCr、Ni、Snなどの金属メッキを施してもよい。支持体表面は必要に応じて鏡面にしたり、あるいは梨地状に加工することができる。支持体へのポリアミド酸溶液の塗布は、スリット付き口金からの流延、押出機による押出し、スキージコーティング、リバースコーティング、ダイコーティング、アプリケータコーティング、ワイヤーバーコーティング等を含むが、これらに限られず、従来公知の溶液の塗布手段を適宜用いることができる。
上記のポリイミドフィルムには、滑剤をポリイミド中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することもできる。
滑剤としては、無機や有機の0.03μm〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。これらのポリイミドフィルムとしては、無延伸フィルムが好ましく適用されるが、1軸又は2軸に延伸したフィルムでも使用することができる。
ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
本発明における要件を満足するフィルムとして芳香族ポリアミドフィルムを用いることが出来る。また本発明に於ける要件を満足するフィルムとしてポリベンゾオキサゾールフィルムを用いることが出来る。またさらに本発明の要件を満足するフィルムとしてトリレンジイシシアネートを含む芳香族イソシアネート類と芳香族トリカルボン酸無水物類から得られるポリアミドイミドフィルムを用いることができる。
かかる高分子フィルムは引張弾性率が6GPa以上であることが必須であり、7.5GPa以上が好ましく、8.5GPa以上がなお好ましく、なおさらには10GPa以上であることが好ましい。ポリイミドフィルムの引張弾性率は、テトラカルボン酸無水物類にビフェニルテトラカルボン酸無水物を好ましくは30mol%以上、さらに好ましくは50mol%以上用いることにより実現できる。またジアミン成分にDAMBO(化1〜化4に例示)を30mol%以上、好ましくは50mol%以上、なお好ましくは70mol%以上用いることによっても実現可能である。弾性率の上限は特に限定されないが、ハンドリング上最低限の柔軟性を確保する上で30GPa以下程度であることが好ましい。
本発明における高分子フィルムの厚さは10μm以下であることが必須であり好ましくは7μm以下、さらに好ましくは5μm以下、なお好ましくは3.5μm以下である。フィルム厚さの下限は特に限定されないが、ハンドリング上1μm以上、好ましくは1.5μm以上が必要である。
本発明の高分子フィルムのガラス転位温度は150℃以上であることが必須であり、210℃以上であることが好ましく、さらに270℃以上であることがより好ましい。ガラス転位温度は高分子材料の構造に由来し、ポリイミドにおいては、エーテル結合を有する成分を減ずることにより上げることができ、エーテル結合を有する成分を構成成分全体の50mol%以下、好ましくは30mol%以下とすることによりガラス転位温度を270℃以上とすることが出来る。ガラス転位温度の上限に特に制限はない。特に耐熱性に優れる高分子においては、ガラス転位温度が分解温度よりも高くなると考えられている。
本発明における高分子フィルムの引張破断強度は、前記必須要件を満たすものであれば特に限定はされないが、好ましくは300MPa以上より好ましくは350MPa以上である。
本発明における高分子フィルムの引裂き伝搬抵抗は、1N/mm以上、好ましくは2N/mm以上、なお好ましくはである4N/mmである。引裂き強度がこの範囲に満たない場合には加工途上、特に薬液処理時のスプレーにフィルムが耐えることができずに破断するなどの問題が出る場合がある。
本発明のフィルム基材のプリント配線板における導体層は、一般的な金属、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、場合によっては導電性高分子、カーボン、好ましくは銅であり、
導電層の厚さは5μm以下が必須であり、3.7μm以下が好ましく2.5μm以下がなおさらに好ましい。
ここに導電層の厚さとは、導電層とフィルムが接している面から垂線方向に導体回路パターンの表面に達するまでの距離を云う。
本発明のフィルム基材のプリント配線板における加工幅としては、特に制限されるものではないが、好ましい態様として、150mm幅以上の連続ロール加工であり、より好ましくは240mm以上、なお好ましくは320mm以上、なおさらに好ましくは480mm幅以上である。
本発明ではこのような要件を満足する高分子フィルムの表面に主に金属からなる導体パターンを形成する。導体パターンの形成方法としては、アディティブ法、セミアディティブホウ、パートリーアディティブ法、サブトラクティブ法等が知られており、本発明ではこれら何れの方法も適用することが出来るが、特に好ましく用いられる方法はサブトラクティブ法である。
サブトラクティブ法においては、かかる高分子フィルムの全面に金属層を形成し、不要部分をエッチングにて除去することにより導体パターンを得る。
以下、本発明の高分子フィルムに金属層を形成する方法、ならびに導体パターンの形成方法について説明する。
金属層を形成する方法としては、湿式処理である無電解メッキによる方法、と乾式メッキである蒸着、スパッタリングなどにより薄い金属層を形成した後に電気メッキなどで厚付けする方法などを例示することが出来る。
湿式処理である無電解メッキによる方法においては、高分子フィルム表面をまず、アルカリ薬液、過マンガン酸カリウム薬液などにより表面処理を行い表面を微細な粗面に加工した後に、塩化銀/塩化パラジウムコロイド等の触媒付与、活性化、を経て無電解銅メッキ、あるいは無電解ニッケルリンメッキ、無電解ニッケルボロンメッキ等を行って金属層を形成することが出来る。かかる無電解メッキの後に電気メッキを使って所定の厚さまで導体厚さを増すことは好ましい態様である。
乾式メッキであるスパッタリング、蒸着等の技術を経て金属化を行う場合には、高分子フィルムイミドフィルムの表面をプラズマ処理した後、下地の金属、好ましくはニッケル−クロム合金、モネル合金、銅−モリブデン合金等をスパッタリングにより厚さ20〜2000Åとなるように付着させ、次いで厚付け金属をスパッタ法および/又は蒸着法により付着させる。その後、さらに厚付け金属を電解メッキして導体層の厚さを増すことは好ましい態様である。またさらに導体層形成後に150〜350℃の熱処理を行うことも、導体層の内部応力を緩和する上で好ましい実施態様である。
本発明で用いられるプラズマ処理は活性プラズマ処理、不活性プラズマ処理の何れをも用いることgあ出来る。本発明では好ましくは不活性ガスプラズマが用いられる。かかる不活性プラズマ処理に用いられるガスとしては、窒素ガス、Ne、Ar、Kr、Xe、が用いられる。プラズマを発生させる方法に格別な制限はなく、不活性気体をプラズマ発生装置内に導入し、プラズマを発生させればよい。プラズマ処理の方法に格別な制限はなく、基材フィルム上に金属層を形成する際に用いるプラズマ処理装置を用いて行えばよい。プラズマ処理に要する時間は特に限定されず、通常1秒〜30分、好ましくは10秒〜10分である。プラズマ処理時のプラズマの周波数と出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、プラズマ処理装置で扱える範囲であれば良い。周波数は通常13.56MHz、出力は通常50W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。出力が高すぎると、基材フィルム表面に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると電気絶縁層表面の平滑性が低下するおそれがある。
本発明では、スパッタリング、蒸着、溶射等の乾式メッキ方法を用いる事ができ、好ましくはスパッタリング法を用いることができる。スパッタリングの方法に格別な制限はなく、直流2極スパッタリング、高周波スパッタリング、マグネトロンスパッタリング、対向ターゲットスパッタリング、ECRスパッタリング、バイアススパッタリング、プラズマ制御型スパッタリング、マルチ・ターゲットスパッタリングなどを用いることができる。これらのうち、直流2極スパッタリング、又は高周波スパッタリングが好適である。スパッタリング処理時の出力、プラズマ発生のためのガス圧、処理温度に関しても格別な制限はなく、スパッタリング装置で扱える範囲であれば良い。出力は通常10W〜1000W、ガス圧は通常0.01Pa〜10Pa、温度は、通常20℃〜250℃、好ましくは20℃〜180℃である。また、成膜レートは0.1Å/秒〜1000Å/秒、好ましくは1Å/秒〜100Å/秒である。成膜レートが高すぎると、形成した金属膜に亀裂の入るおそれがある。また、ガス圧が高すぎると密着性が低下するおそれがある。
スパッタリングされる金属としては、ニッケル、クロム、コバルト、モリブデン、銅、銀、亜鉛、鉄、アルミニウム、錫ないしはそれらの合金である。本発明では好ましくはニッケルクロム合金、銅−ニッケル合金、銅−モリブデン合金をを好ましく用いることが出来、特に好ましくはニッケル−クロム合金を用いることができる。
かかる金属の厚さは厚さ20〜2000Åが好ましい。またニッケル−クロム合金の場合のクロム含有量は3〜30%が好ましいスパッタリング条件は任意である。なお、ニッケル−クロム合金のスパッタ層は、ニッケル−クロムの合金ターゲットを用いる方法、二元同時スパッタリングを行う方法、あるいはニッケルとクロムを独立にスパッタリングし、後工程で両者を拡散させる方法など用いることができる。
次に、好ましくは厚付け金属層銅層を形成する。この厚付け金属層はスパッタ法、蒸着法、湿式の無電解メッキ法のいずれを用いて形成しても良く、また好ましくは2つ以上の方法を組み合わせて形成される。本発明では、ニッケル−クロム合金のスパッタ層の後に、スパッタ法、蒸着法、無電解メッキ法の何れかで、まず0.1〜3μm程度の銅層を形成した後に、電気メッキ法にてさらに銅層の厚さを稼ぐ方法を好ましく用いることができる。該厚付け金属層の金属としては、銀、銅、金、白金、ロジウム、ニッケル、アルミニウム、鉄、亜鉛、錫、黄銅、白銅、青銅、モネル、錫鉛系半田、錫銅系半田、錫銀系半田、等が用いられるが銅を用いるのが性能と経済性のバランスにおいて好ましい実施態様である。
本発明の厚付け金属層として好ましく用いられる銅層の形成としては、電気メッキを用いることができる。電気メッキ法としては、ピロリン酸銅メッキ、あるいは硫酸銅メッキを好ましく用いることができる。
本発明においては、上記方法で得られたポリイミドフィルムと金属との複合体を、さらに200〜350℃で熱処理することが大きな特徴である。220〜330℃が好ましく、240〜310℃がより好ましい。該熱処理により基材フィルムの有している歪み(ゆがみ)や金属化ポリイミドフィルムの製造過程で生ずる歪みが緩和され、本発明の効果をより効果的に発現することができ、前記した半導体パッケージの耐久性や信頼性を向上することができる。200℃未満では歪みを緩和する効果が小さくなり、逆に350℃を超えた場合は、基材のポリイミドフィルムの劣化が起こるので好ましくない。
このようにして得られた本発明の金属化ポリイミドフィルムは、通常の方法によって、銅層側にフォトレジストを塗布し乾燥後、露光、現像、エッチング、フォトレジスト剥離の工程により、配線回路パターンを形成し、さらに必要に応じてソルダーレジスト塗布、硬化および無電解スズメッキを行い、回路基板が得られる。また必要に応じて複数層を重ね、ビアホール、ないしスルホールにより層間接続を行い、積層して、多層基板とすることが出来る。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお実施例注の数値は以下の方法で測定した。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
2.フィルム、銅箔の厚さ
フイルムおよび銅箔の厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン(R)1245D)を用いて測定した。
3.フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
乾燥後のフィルムを長手方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ長さ100mm、幅10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張試験機(島津製作所製オートグラフ(R)機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmで測定し、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を求めた。
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
5.フィルムの融点、ガラス転位温度
試料を下記条件でDSC測定し、融点(融解ピーク温度Tpm)とガラス転移点(Tmg)をJIS K 7121に準拠して下記測定条件で求めた。
装置名 ; MACサイエンス社製DSC3100S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 4mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
6.フィルムの熱分解温度
熱分解温度は、充分に乾燥した試料を下記条件でTGA測定(熱天秤測定)して、5%質量減をもって規定した。
装置名 ; MACサイエンス社製TG−DTA2000S
パン ; アルミパン(非気密型)
試料質量 ; 10mg
昇温開始温度 ; 30℃
昇温速度 ; 20℃/min
雰囲気 ; アルゴン
7.フィルムの引裂き伝搬抵抗
JIS K 7128に準拠するトラウザー引裂き法により測定した。
8.ネガ、および回路の線間、線幅
測長機付きの実体顕微鏡にて、各30本の線幅と線間隔を測定し、平均値を求めた。
9.基板の反り(そり)
得られた回路基板を定盤上に置き、四隅の定盤からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値を次式で算出し「反り」とした。
反り(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
10.断面観察 得られた回路基板をエポキシ樹脂にて包埋し、断面を切り取り研磨した後、測長機付きの実体顕微鏡にて拡大観察し、層間厚さをn=10測定し、その層間厚さの平均値と標準偏差を算出し評価した。
[参考例1]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−10(日本触媒株式会社製)を1.22質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を、容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。予備分散液中の平均粒子径は0.38μm、標準偏差0.032μm、CV値8.4%、であり、球形度0.98であった。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、223質量部の5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)を入れた。次いで、4000質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて48時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Aが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は5.5dl/gであった。
[参考例2]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−P10(日本触媒株式会社製)を3.7質量部、N−メチル−2−ピロリドン420質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、108質量部のフェニレンジアミン(PDA)を入れた。次いで、3600質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を420質量部と292.5質量部のジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)を加えて、25℃にて12時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Bが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は4.5dl/gであった。
[参考例3]
(無機粒子の予備分散)
アモルファスシリカの球状粒子シーホスター(R)KE−P10(日本触媒株式会社製)を7.6質量部、N−メチル−2−ピロリドン390質量部を容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである容器に入れホモジナイザーT−25ベイシック(IKA Labor technik社製)にて、回転数1000回転/分で1分間攪拌し予備分散液を得た。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器内を窒素置換した後、200質量部のジアミノジフェニルエーテル(DPDPE)を入れた。次いで、3800質量部のN−メチル−2−ピロリドンを加えて完全に溶解させてから、先に得た予備分散液を390質量部と217質量部のピロメリット酸二無水物(PMDA)を加えて、25℃にて5時間攪拌すると、褐色の粘調なポリアミド酸溶液Cが得られた。この還元粘度(ηsp/C)は3.7dl/gであった。
[参考例4]
参考例2で得られたポリアミド酸溶液と参考例3で得られたポリアミド酸溶液を50/50(質量比)にて混合しポリアミド酸溶液Dとした。
[参考例5]
100質量部のNーメチルー2ーピロリドン(NMP)に1質量部のアモルファスシリカの球状粒子シーホスターKE−P10(日本触媒株式会社製)を超音波分散器で20時間分散させたスラリーを用意する。次いで、窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた容器の接液部、および輸液用配管はオーステナイト系ステンレス鋼SUS316Lである反応容器に上記シリカスラリーを仕込み、NMP1195質量部、芳香族ジアミン成分として122質量部の2−クロルパラフェニレンジアミン(PDA)と、37質量部の4、4'−ジアミノジフェニルエ−テル(DPDPE)とを溶解させ、これに236質量部の2−クロルテレフタル酸クロリド(TPA)を添加し、2時間撹拌して重合を完了した。さらに水酸化リチウムで発生塩化水素の97モル%を中和し、ついでジエタノ−ルアミン445質量部、トリエタノ−ルアミン1490質量部を添加してポリマ濃度10質量%の製膜用溶液Eを得た。
[フィルムの製造例]
参考例により得られたポリアミド酸溶液Aを送液し、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの支持体上にコーティングし(スキージ/ベルト間のギャップは、150μm)、110℃にて30分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムを支持体から剥離して、厚さ15.6μmのポリアミド酸フィルム(グリーンフィルム)を得た。
得られたグリーンフィルムを、連続式の熱処理炉に通し、第1段が200℃で3分、昇温速度4℃/秒で昇温して第2段として480℃で5分の条件で2段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。その後、5分間で室温にまで冷却することで、褐色を呈する、幅600mmのポリイミドフィルム(I)を得、両端部(耳部)をスリットし、中央部のみの幅524mm、長さ約200mのフィルムを製品とした。得られたポリイミドフィルムの特性を表1に示す。以下同様にポリアミド酸溶液と塗布厚を変えて操作を行い表1に示す各フィルム1〜5、7、8を得た。
また、製膜用溶液Eを使用して金属ベルト上に流延し、流延されたフィルムを160℃の熱風で2分間加熱して溶媒を蒸発させ、自己保持性を得たフィルムをベルトから連続的に剥離した。次に50℃水槽内へフィルムを導入して残存溶媒と中和で生じた無機塩の水抽出を行った。なおこの浴中で縦方向(MD方向)に1.2倍延伸し、つぎにテンタ−に導入し280℃で60秒間、水分の乾燥と熱処理を行った。この間にフィルムの幅方向(TD方向)に1.3倍延伸し、20℃/秒の速度で徐冷し、同じく表1に於けるフィルム6(アラミドフィルム)を得た。
[実施例1〜6、比較例1〜2]
(金属化ポリイミドフィルムの製造)
製造例において得られたポリイミドフィルムを巻き出し装置、巻き取り装置、プラズマ処理装置を備えた真空装置内にセットし、次いでフィルム表面のプラズマ処理を行った。プラズマ処理条件はキセノンガス中で、周波数13.56MHz、出力100W、ガス圧0.8Paの条件であり、処理時の温度は25℃、プラズマ雰囲気での滞留時間約30秒であった。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000オングストローム銅薄膜を形成させた。
得られた金属化フィルムを連続式の電気メッキ槽により、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ4μmの厚付け銅メッキ層を形成し、金属化高分子フィルムを得た。
(評価パターンの形成)
得られた金属化高分子フィルムを、幅175mmにスリットし、ロールトゥロール方式の加工ラインにおいて、線幅/線間=7/7μmの片面細線加工を行った。具体的にはフォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、エッチング後にレジスト剥離を行った。得られた片面回路パターンの線幅線間を測長し、回路品質を評価した結果を表2に示す。
[実施例6]
フィルム6(アラミドフィルム)(厚さ6μm)を用い、以下同様に実施例1と同様に操作し金属化フィルム、および評価パターンを得た。パターンの評価結果を表2に示す。
[実施例7〜12、比較例3〜4]
導体の総厚さを2.5μm、評価に用いるパターンを線間/線幅4.0/4.0μmとした以外は実施例1と同様に操作し、片面微細線加工フィルムを得た。同様に評価した結果を表2に示す。さらに基材フィルムを代えて同様に片面微細加工フィルムを得た。評価結果を表3に示す。
実施例13〜18、比較例5〜6
製造例において得られた高分子フィルム、並びに東レ社製芳香族ポリアミドフィルム「ミクトロン(R)」を用い、実施例1と同様のプラズマ処理を、フィルムの表裏に行った。次いで、プラズマ処理後のフィルムを、同じく巻き出し装置装置、巻き取り装置、スパッタリングエリアを有する真空装置内にセットし、周波数13.56MHz、出力400W、ガス圧0.8Paの条件、ニッケル−クロム(クロム7%)ターゲットを用い、キセノン雰囲気下にてRFスパッタ法により、150Åのニッケル−クロム合金被膜を形成した。次いで、銅ターゲットを用いてスパッタリングにより厚さ3000オングストローム銅薄膜を形成させた。さらにフィルムを裏返しにセットし、裏面にも同様の処理を行い表裏とも金属化された高分子フィルムを得た。
得られた両面金属化フィルムを200mm×200mmのサイズに裁断し、YAGレーザーにより所定の場所にスルホールを空け、次いで、通常の塩化銀/塩化パラジウム触媒付与の後活性化を経て、湿式無電解銅メッキによりスルホール部および金属化表面に無電解銅めっき被膜を形成し、次いでプラスチック製の枠に固定した状態で硫酸銅メッキにより導体層厚さが4.5μmになるまでパネルメッキを行った。
(評価パターンの形成)
得られたパネルメッキ後のフィルムにて線幅/線間=7/7μmの両面細線加工を行った。具体的には枚葉式である以外は実施例1と同様に、フォトレジスト:FR−200、シプレー社製を塗布・乾燥後にガラスフォトマスクで密着露光し、さらに1.2%KOH水溶液にて現像した。次に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cm2のスプレー圧でエッチングし、エッチング後にレジスト剥離を行った。得られた両面回路パターンの線幅線間を測長し、回路品質を評価した結果を表4に示す。
以上の、実施例においては、ネガよりやや細目の寸法にて、バラツキ少なく線幅線間の加工が行われているが、特に弾性率の低いフィルムを用いた比較例においては線幅の変動が大きく、設計寸法であるネガパターンに比較すると、かなり細っていることがわかる。これはレジストの現像時やエッチング時に基材フィルムが薬液のスプレー圧により変動し、レジストパターンの寸法再現性が低下し、さらにエッチング時に記事阿フィルムが波打つためにエッチング液の溜まりが生じてエッチング速度の不均一性などが生じているためであると推察される。
[実施例19〜24、比較例7〜8]
実施例13において得られた両面細線加工フィルムの両面に、実施例7において得られた片面回路加工フィルムをエポキシ系接着剤により、回路加工面が外側になるように重ね、熱板温度150℃、圧力80kgf/cm2にて3分間プレスを行い、次いで120℃60分間アフターキュアを行い、まず4層の多層化を行った。さらに同様に実施例1において得られた片面微細加工フィルムを両面に貼り付け、順次繰り返し、最後に所定の大きさに打ち抜き、縦横50mm、全10層の導体層を有する微細多層配線板を試作した。
得られた微細多層配線板の外観評価と断面観察による層間品質を観察した。結果を表5に示す。
以下、実施例14から比較例6にて得られた両面微細加工フィルムに、使用した基材フィルムと同じフィルムを用いて行われた導体厚さ2.5μmの片面微細加工フィルム(実施例8など)となるように組み合わせて、各々10層の微細多層配線板を得た。同様に評価結果を表5に示す。
実施例においては層間絶縁層の厚さのバラツキが小さく、また、基材フィルムの変形も少ないため、積層時のプレス圧がバランスよく加わっていることが伺われる。結果として反りの小さい外観上良好な多層基板を実現している。比較例においては、絶縁層圧のバラツキが大きく、基材フィルムの変形(ウネリ)も観察される。結果として、外観上の反りや歪みが生じている事が分かる。
Figure 2006190734
Figure 2006190734
Figure 2006190734
Figure 2006190734
Figure 2006190734
以上述べてきたように、本発明のプリント配線板は線幅、線間の再現性に優れ、また多層化した際にも均質な積層加工が行われるため、反り、変形の小さい、特に高密度な微細配線が要求されるディスプレイドライバー、高速の演算装置、グラフィックコントローラ、高容量のメモリー素子、等を搭載する基板として有用である。また絶縁層間の精度が高いため、配線の特性インピーダンスコントロールが可能であり、10GHzを越える高周波領域で用いられる回路素子の実装に有用に共する事ができる。

Claims (6)

  1. 引張弾性率が6GPa以上、厚さが10μm以下、ガラス転位温度が150℃以上の高分子フィルムの片面又は両面に、線幅7μm以下、線間8μm以下、厚さが5μm以下の配線パターンが形成されていることを特徴とするフィルムベースのプリント配線板。
  2. 高分子フィルムがポリイミドフィルムである請求項1に記載のフィルムベースのプリント配線板。
  3. 高分子フィルムがポリイミドベンゾオキサゾールフィルムである請求項1に記載のフィルムベースのプリント配線板。
  4. 高分子フィルムの幅が150mm以上である請求項1〜3いずれかに記載のフィルムベースのプリント配線板。
  5. 高分子フィルムが滑剤を含有し、当該滑剤の体積平均粒子径が、高分子フィルムの厚さの10分の1以下である請求項1〜4いずれかに記載のフィルムベースのプリント配線板。
  6. 請求項1〜5項いずれかに記載のフィルムベースのプリント配線板が複数枚積層されてなる多層プリント配線板。
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