JP2011046325A - 自動車のフード - Google Patents

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Tatsuya Chiba
龍也 千葉
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Kanto Jidosha Kogyo KK
Toyota Motor East Japan Inc
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Abstract

【課題】アウタパネルと、これに固定されたインナパネルと、該インナパネルとアウタパネルの間に配置されたデントリインフォースメント及びロックリインフォースメントとを有する自動車のフードにおいて、該フードに歩行者の体が衝突したとき、ロックリインフォースメントを複雑かつ大きく塑性変形させて衝撃エネルギーを効率よく吸収し、歩行者の安全性を高めることができるようにする。
【解決手段】デントリインフォースメント5に孔9を貫通形成し、フード1に歩行者の体Bが衝突して、フード1に衝撃力Fが加えられたとき、アウタパネル3、デントリインフォースメント5及びロックリインフォースメント6を塑性変形させながら、ロックリインフォースメント6の部分11をデントリインフォースメント5に形成された孔9に入り込ませて、ロックリインフォースメント6を複雑に大きく塑性変形させる。これにより衝撃エネルギーを効率よく吸収して、歩行者の安全性を高めることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車体前部の空間を覆った閉位置と該空間を開放した開位置との間を回動開閉可能に車体に支持された自動車のフードに関するものである。
エンジンルーム又は荷室などの車体前部の空間を開閉する自動車のフードは従来より周知である(特許文献1参照)。
図5は、従来のこの種のフードの一例を示す断面図であり、図5はフード1Aがエンジンルームより成る車体前部の空間RAを覆った閉位置にあるときの状態を示している。図5における矢印Frは自動車の前進方向を示し、矢印Upは上方を示している。
図5に示したフード1Aは、その外板を構成するアウタパネル3Aと、そのアウタパネル3Aに固定されたインナパネル4Aを有していて、該インナパネル4Aは、フード1Aが図5に示した閉位置を占めた状態で、アウタパネル3Aよりも空間RAの側に位置している。また、インナパネル4Aとアウタパネル3Aの間には、アウタパネル3Aの耐デント性を強化するデントリインフォースメント5Aと、ロックリインフォースメント6Aとが配置されている。またフード1Aはストライカ7Aを有していて、このストライカ7Aは、ほぼU字形に形成されたストライカ本体14Aと、そのストライカ本体14Aの各端部に一体に連設された基端部13Aを有し、各基端部13Aは、互いに逆方向に突出している。また、ロックリインフォースメント6Aとインナパネル4Aには取付孔12Aが形成され、その取付孔12Aに、ストライカ7Aの基端部13Aが挿入され、その各基端部13Aがロックリインフォースメント6Aに直接、又は図示していない取付部材を介して固体されている。このようにストライカ7Aはロックリインフォースメント6Aに固定されているのである。アウタパネル3A、インナパネル4A、デントリインフォースメント5A及びロックリインフォースメント6Aは、例えば鋼板などの高剛性パネルにより構成され、これらのパネルは直接又は間接的に互いに固定されている。
フード1Aが図5に示した閉位置を占めたとき、上述のストライカ7Aが、図示していない車体に設けられたロック部材に係合して、フード1Aが閉位置にロックされる。
また、ストライカ7Aが固定されたロックリインフォースメント6Aは、そのストライカ7Aを含めたフード1Aの前部を補強する用をなし、フード1Aを開位置から閉位置へ回動させて、ストライカ7Aがロック部材に衝撃的に当ったとき、フード1Aが大きく弾性変形することを阻止する働きをなす。
ユーザがアウタパネル3Aにワックスを塗布するようなとき、ユーザによりアウタパネル3Aに加えられた力によって、アウタパネル3Aが容易にへこんでしまえば、ユーザに対して自動車の品質劣悪感を与えるおそれがある。ところが、図5に示したフード1Aにおいては、デントリインフォースメント5Aがアウタパネル3Aを補強しているので、ユーザがアウタパネル3Aに加えた力によって、容易にアウタパネル3Aがへこんでしまう不具合を阻止できる。このように、デントリインフォースメント5Aは、アウタパネル3Aに対する耐へこみ性、すなわち耐デント性を強化する用をなす。
特開2007−30693号公報
ところで、自動車の事故発生時に、図5に示したように、歩行者の体B、例えば頭部がフード1Aに衝突することが考えられる。その際、フード1Aを構成するパネルが大きく塑性変形すれば、衝撃エネルギーを効果的に吸収できるので、歩行者の体Bに加えられる衝撃を小さく留めることができ、歩行者の安全性を高めることができる。
図5における破線は、歩行者の体Bがフード1Aに当ったときに該フード1Aが受ける衝撃力Fによって、アウタパネル3Aが塑性変形した状態を示す。同様に図5における一点鎖線は、デントリインフォースメント5Aが衝撃力Fによって塑性変形した状態を示し、同じく二点鎖線は、ロックリインフォースメント6Aが衝撃力Fにより塑性変形した状態を示す。また点線はインナパネル4Aが衝撃力Fによって塑性変形した状態を示している。その際、フード1Aを構成する各パネルが、大きく塑性変形すれば、衝撃を効率よく吸収できるのであるが、図5に示したフード1Aには、アウタパネル3Aとインナパネル4Aのほかに、デントリインフォースメント5Aとロックリインフォースメント6Aが設けられているので、これらのパネルが思うように大きく塑性変形できなくなるおそれがある。
そこで、従来は、デントリインフォースメント5Aの厚さを薄くして、衝撃力によりデントリインフォースメント5Aが大きく塑性変形できるようにして、エネルギーの吸収効率を高めていた。ところが、デントリインフォースメント5Aの板厚を薄くすると、アウタパネル3Aに対する耐デント性が低下する欠点を免れない。
本発明の目的は、デントリインフォースメントの板厚を特に薄くしなくとも、フードに歩行者の体が衝突した際に、ロックリインフォースメントを大きく塑性変形させて、効率よくエネルギーを吸収し、歩行者の安全性を高めることのできる自動車のフードを提供することにある。
本発明は、車体前部の空間を覆った閉位置と該空間を開放した開位置との間を回動開閉可能に車体に支持された自動車のフードであって、外板を構成するアウタパネルと、該アウタパネルに固定されていると共に、フードが閉位置を占めた状態で、アウタパネルよりも前記空間の側に位置するインナパネルと、該インナパネルと前記アウタパネルとの間に配置されていて、該アウタパネルの耐デント性を強化するデントリインフォースメントと、フードが閉位置を閉めたとき、車体に設けられたロック部材に係合して、該フードを閉位置にロックするストライカと、前記インナパネルとアウタパネルとの間に配置されていて、前記ストライカが固定されているロックリインフォースメントとを具備し、前記デントリインフォースメントとロックリインフォースメントは、互いに固定されていると共に、前記アウタパネルとインナパネルに対しても固定されている自動車のフードにおいて、前記デントリインフォースメントは、前記ロックリインフォースメントよりもアウタパネルの側に配置され、前記デントリインフォースメントには、少なくとも1つの第1の孔が貫通形成され、前記ロックリインフォースメントには複数の第2の孔が貫通形成されていて、該第1の孔と第2の孔は、フードが閉位置を占めた状態で、該フードに対して外部から衝撃力が加えられたとき、デントリインフォースメントとロックリインフォースメントが塑性変形しながら、各第2の孔の間のロックリインフォースメントの部分が第1の孔に入り込むことができるようにデントリインフォースメントとロックリインフォースメントにそれぞれ形成されていることを特徴とする自動車のフードを提案する。
本発明によれば、フードに歩行者の体が衝突したとき、デントリインフォースメントとロックリインフォースメントが塑性変形しながら、ロックリインフォースメントに形成された各第2の孔の間のロックリインフォースメントの部分が、デントリインフォースメントに形成された第1の孔に入り込むことができるので、ロックリインフォースメントは、複雑な形態に大きく塑性変形することができる。このため、デントリインフォースメントの板厚を特に薄くしなくとも、衝撃エネルギーを効率よく吸収でき、歩行者に対する安全性を確保することができる。
自動車の前部を示した斜視図である。 閉位置を占めたフードの概略平面図である。 図2のIII−III線拡大断面図である。 デントリインフォースメントに形成された第1の孔とロックリインフォースメントに形成された第2の孔の位置関係を説明する平面図である 従来のフードの断面図である。
以下、本発明の実施形態例を図面に従って詳細に説明する。
図1は、車体前部のエンジンルームより成る空間R(図3参照)を覆ったフード1を備えた自動車の前部を示す斜視図である。図1及び他の図における矢印Frは自動車の前進方向を示し、矢印Wは車幅方向を示しており、矢印Upは上方を示している。本明細書における「前」又は「後」なる文言は、自動車の前進方向Frを基準とした前後を意味する。
ここに示した自動車のフード1は、図1に矢印X,Yで示すように、車体前部の空間R(図3)を覆った閉位置と、その空間Rを開放した開位置との間を回動開閉可能に、図示していないヒンジを介して車体2に支持されている。図1は、フード1が閉位置を占めたときの状態を示し、図2及び図3も閉位置を占めたフード1を示している。
かかるフード1は、図2及び図3に示したように、フード1の外板を構成するアウタパネル3と、フード1が閉位置を占めた状態でアウタパネル3よりも空間Rの側に位置するインナパネル4を有している。アウタパネル3とインナパネル4は、その全外周縁がヘミング加工によって互いに一体に固定されている。アウタパネル3とインナパネル4を例えば溶接によって固定することも可能である。このように、インナパネル4はアウタパネル3に強固に固定されているのである。
図3に示すように、フード1は、インナパネル4とアウタパネル3との間に配置されたデントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6とを有していると共に、図2に示したストライカ7を有している。このストライカ7は、図5に示した従来のフード1Aのストライカ7Aと同じく、ほぼU字形に形成された本体14と、その本体14の各端部に一体に連設され、互いに逆方向に突出した基端部13を有し、その各基端部13が従来のストライカ7Aと全く同様にして、ロックリインフォースメント6に固定されている。このようにロックリインフォースメント6に固定されたストライカ7は、従来のストライカ7Aと同様に、フード1が閉位置を閉めたとき、車体2に設けられたロック装置のロック部材(図示せず)に係合して、フード1を閉位置にロックする用をなす。そのロックを解除することによって、フード1を開位置に回動させることができる。アウタパネル3、インナパネル4、デントリインフォースメント5及びロックリインフォースメント6は、例えば鋼板などの高剛性パネルにより構成され、ストライカ7も高強度材料により構成されている。
ここで、図3に示すように、フード1のデントリインフォースメント5は、例えばマスチックシーラより成る接着剤8を介してアウタパネル3に固定されている。また図3に符号S乃至Sを付した×印は、スポット溶接の打痕を模式的に示している。これから判るように、デントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6の前端部は、スポット溶接Sによって互いに固定され、ロックリインフォースメント6とインナパネル4もスポット溶接Sによって互いに固定されている。さらに、ロックリインフォースメント6の後端部とデントリインフォースメント5の前後方向中間部はスポット溶接Sによって固定され、デントリインフォースメント5の後端部とインナパネル4はスポット溶接Sによって互いに固着されている。このように、デントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6は、互いに固定されていると共に、アウタパネル3とインナパネル4に対しても固定されている。
本例のロックリインフォースメント6は、従来のロックリインフォースメント6Aと同じくストライカ7を含めたフード1の前部を補強する用をなし、デントリインフォースメント5も、従来のデントリインフォースメント5Aと同じく、ユーザがアウタパネル3を軽く押したとき、そのアウタパネル3が容易にへこんでしまう不具合を阻止する用をなす。デントリインフォースメント5は、アウタパネル3に対する耐デント性を強化する用をなすのである。
ここで、自動車の事故発生時に、図3に示したように歩行者の体B、例えば歩行者の頭部が閉位置を占めたフード1の外面に衝突した際、そのエネルギーを効率よく吸収できるように、本例のフード1は次のように構成されている。
図3に示すように、フード1のデントリインフォースメント5は、ロックリインフォースメント6よりもアウタパネル3の側に配置され、しかも図2及び図3に示すように、デントリインフォースメント5には、少なくとも1つの第1の孔9が貫通形成されていて、図示した例では4つの第1の孔9がデントリインフォースメント5に形成されている。また、図2に示すように、ロックリインフォースメント6にも、複数の第2の孔10が貫通形成されていて、図示した例では5つの第2の孔10がロックリインフォースメント6に形成されている。図4は、フード1を構成する各パネルのうちのデントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6だけを取り出して示した平面図である。この図と図3から判るように、各第2の孔10の間のロックリインフォースメント6の部分11は、各第1の孔9にほぼ対向して位置している。
図3における破線は、歩行者の体Bがフード1に当たったときにフード1が受ける衝撃力Fによってアウタパネル3が塑性変形した状態を示す。同様に図1における一点鎖線は、デントリインフォースメント5が衝撃力Fによって塑性変形した状態を示し、二点鎖線は、ロックリインフォースメント6が衝撃力Fにより塑性変形した状態を示している。さらに、点線はインナパネル4が衝撃力Fによって塑性変形した状態を示している。各パネルが塑性変形した状態を示す破線、一点鎖線、二点鎖線及び点線には、それぞれ符号103,105,106,104を付してある。
前述のように、図2及び図4に示した各第2の孔10の間のロックリインフォースメント6の部分11は、その変形前に各第1の孔9にほぼ対向して位置しているので、各パネルが塑性変形したとき、図3に一点鎖線105と二点鎖線106で示したように、第2の孔10の間のロックリインフォースメント6の部分11が、第1の孔9に入り込む。図3においては、塑性変形後のロックリインフォースメントの部分11に符号111を付し、塑性変形後のデントリインフォースメントの第1の孔には符号109を付してある。
上述のように、フード1に対して外部から衝撃力Fが加えられたとき、デントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6が塑性変形しながら、各第2の孔10の間のロックリインフォースメント6の部分11が第1の孔9に入り込んで、ロックリインフォースメント6が複雑に大きく塑性変形する。このため、デントリインフォースメント5の板厚を特に薄くしなくとも、衝撃エネルギーを効率よく吸収することができ、歩行者の体Bに与える衝撃を効果的に緩和して、歩行者の安全性を高めることができる。
上述のように、第1の孔9と第2の孔10は、フード1が閉位置を占めた状態で、そのフード1に対して外部から衝撃力Fが加えられたとき、デントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6が塑性変形しながら、各第2の孔10の間のロックリインフォースメント6の部分11が第1の孔9に入り込むことができるように、デントリインフォースメント5とロックリインフォースメント6にそれぞれ形成されているのである。これにより、デントリインフォースメント5の板厚を特に薄くせずに、フード1に衝突した歩行者の安全性を高めることができる。デントリインフォースメント5の板厚が特に薄く形成されていないので、アウタパネル3に対する耐デント性が低下する不具合も防止することができる。
1 フード
2 車体
3 アウタパネル
4 インナパネル
5 デントリインフォースメント
6 ロックリインフォースメント
7 ストライカ
9 第1の孔
10 第2の孔
11 部分
R 空間

Claims (1)

  1. 車体前部の空間を覆った閉位置と該空間を開放した開位置との間を回動開閉可能に車体に支持された自動車のフードであって、外板を構成するアウタパネルと、該アウタパネルに固定されていると共に、フードが閉位置を占めた状態で,アウタパネルよりも前記空間の側に位置するインナパネルと、該インナパネルと前記アウタパネルとの間に配置されていて、該アウタパネルの耐デント性を強化するデントリインフォースメントと、フードが閉位置を閉めたとき、車体に設けられたロック部材に係合して、該フードを閉位置にロックするストライカと、前記インナパネルとアウタパネルとの間に配置されていて、前記ストライカが固定されているロックリインフォースメントとを具備し、前記デントリインフォースメントとロックリインフォースメントは、互いに固定されていると共に、前記アウタパネルとインナパネルに対しても固定されている自動車のフードにおいて、
    前記デントリインフォースメントは、前記ロックリインフォースメントよりもアウタパネルの側に配置され、前記デントリインフォースメントには、少なくとも1つの第1の孔が貫通形成され、前記ロックリインフォースメントには複数の第2の孔が貫通形成されていて、該第1の孔と第2の孔は、フードが閉位置を占めた状態で、該フードに対して外部から衝撃力が加えられたとき、デントリインフォースメントとロックリインフォースメントが塑性変形しながら、各第2の孔の間のロックリインフォースメントの部分が第1の孔に入り込むことができるようにデントリインフォースメントとロックリインフォースメントにそれぞれ形成されていることを特徴とする自動車のフード。
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