JP2011043495A - Gc−ms分析装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】セクションGCとセクションMSとを含むGC−MS分析装置であって、このGC−MS分析装置には、セクションGCとセクションMSとにつながっており、分析物がたどる経路方向に従ってセクションGCの下流かつセクションMSの上流に位置する境界セクションが設けてあり、前記境界セクションは、少なくとも1つの膜を含んでおり、この膜は、膜の上流に位置する領域内の圧力paが膜の下流に位置する領域内の圧力pbよりも高いような圧力差を前記膜が受けるとき、前記膜を通して前記セクションGCから前記セクションMSに移動する分析物内に分子流状態を確立できる少なくとも1つのオリフィスを有する、GC−MS分析装置。
【選択図】図2A
Description
例として、先行技術によれば、ガス状物質の混合物を分析するためのGC−MS分析装置は、そこからキャリア・ガスで混合気体サンプルを搬送することができるサンプリング・セル(または「サンプル・ループ」)と、混合気体の正確な体積を採取するのに適しているサンプル弁と、分離アセンブリと、検出器と、を含むことができる。
図1を参照すると、ガス・クロマトグラフGCおよびセクションMSが設けてある先行技術のGC−MS分析装置を模式的に示している。図示の実施例では、セクションMSは電子衝撃(EI)型イオン源を備えており、分析部は四重極型分析器を用いて達成されている。一般に使用される他の種類の分析器は、扇形磁場またはイオン・トラップを含む可能性がある。
カラム(19)の入口に注入装置(21)を設けてあり、適切な溶剤を用いてあらかじめ溶液状にしてある分析予定の物質を、ガス・クロマトグラフの中に運び込むようになっている。
例えば、He、N2、H2、アルゴンなどのキャリア・ガス(G1)を使用して、採取される予定の物質をカラム(19)の中に運ぶ。化学イオン化に、例えば、メタン(CH4)などの他のガス(G2)を使用することができ、他のガス(G2)を適切な導管(27)を介してイオン源(11)に送ることができる。
イオン源(11)の出口には、イオンを後続のセクションに搬送する目的を有する静電レンズで作られたイオン・ガイド(35)をさらに設けてある。
ガイド(35)の下流には、例えば、高周波六重極、八重極、またはミニクワッドなどの第2のイオン・ガイド(37)が一般に配置されており、この第2のイオン・ガイド(37)を通って、第3のイオン・ガイド(39)と四重極型分析器(41)とが設けてある装置の第2のセクションS2にイオン・ビームが送られる。
検出器(43)は、四重極(41)の下流に位置しており、ダイノード、すなわち、分析器を通過してきたイオンにより作られた微小電流を増幅できる電子増倍管、で一般に作られている。既知の検出器の例は、ファラデー・カップ検出器、SEM(二次電子増倍管)検出器、およびチャンネルトロン検出器である。
この種類の既知の装置は、例えば、1対のターボ分子真空ポンプなどの真空ポンプ(45、47)を一般に備えており、対応する機械的な前置真空ポンプが一般に設けてあり、例えば、装置の第1のセクションS1では10−3mbar(10−1Pa)、第2のセクションS2では10−5mbar(10−3Pa)などの真空状態を生成するようになっている。
結果として、簡素化したGC−MS分析装置を有する必要性が強く感じられる。
較正済みリーク装置もまた、当技術分野で知られている。この種類の装置は、気密試験の間に、リークを検出するのに必要な機器を較正することにより、膜を通して制御されたガス流を生成することと、リーク値を定量化することと、を可能にする。現在使用されている装置は、実質的に、オリフィス・リーク、または毛細管と、ヘリウム透過リークと、の2種類である。
このような透過リークの例は、下記特許文献3および下記特許文献4に記述されている。
また、質量分析の分野で使用されている選択的透過膜については、下記特許文献10と、下記非特許文献1と、に開示されている。
上述した第1の種類のナノホール膜を、ガス透過膜と混同してはならない。第1の種類の膜は、例えば、レーザ穿孔などにより人為的に作られた穴であって、穴の全長に沿って実質的に均一な断面を有する穴を有しており、したがって、膜の使用方法に従って第1の種類の膜を較正することができ、さらに、平行な軸を有する数個の、または多数のほぼ同一の穴を同じ膜上に作ることができる。一方、ガス透過膜は、膜の材料の本来の特性が、通常高温において、ガスまたは混合ガスの透過を可能にするような膜である。
本発明のさらなる目的は、好ましい費用で工業的に量産化できる上述した種類の装置を提供することである。
後述する本発明はGC−MS分析装置の1つの特定カテゴリには限定されず、上述の既知の装置についての言及は、あくまで一例として提供したに過ぎない。
本発明の境界セクションが、セクションMS(MSセクション)の方へ導かれる必要な分析物分子流を決定するものであり、実質的にクロマトグラフ用カラムから来る全流量がMSセクションに送られる先行技術の装置に比べて、真空システムに必要なポンプ能力が結果として低減できることが有利である。この状態は、回転機械構造を有し、複雑な電子制御装置を必要とするターボ分子ポンプに基づく真空システムよりも一般に構造的に単純化されている、例えば、イオン真空ポンプの使用を可能にする。
本発明の装置には、少なくとも1つのナノホール、すなわち、10nmと500nmとの間にある直径を有するナノメートル・サイズのオリフィス、を有する少なくとも1つの膜が組み込んであり、それにより、セクションMS内のイオン源の方へ導かれる制御された分析物流と、前記セクションMSが備えている真空ポンプからの、結果として起こるポンピング需要の低下と、を決定することが有利である。
1つまたは複数のナノホールの直径Dおよび長さLが、L<20・Dとなるような寸法となされており、オリフィスの相当直径DeがDe≦100nmであり、ここで、Deは関係式De=D・a1/2で規定されており、ここで、aはオリフィスの、L/D比の関数である透過確率である、そのような種類の、少なくとも1つのナノホールまたは複数のナノホールを有する膜を選択することで、ナノホールが目詰まりする傾向を大幅に低減させることを決定する。
図2Aを参照すると、本発明の第1の実施形態のGC−MS装置は、ガス・クロマトグラフ・セクションGC(GCセクション)と、分光分析セクションMS(MSセクション)と、を含んでおり、それぞれがつながっている。本発明によれば、これらの2つのセクションは境界セクションを介してそれぞれつながっていることが有利であり、この境界セクションは全体を参照符号51で示してあり、装置の中に入った分析物がたどる、図中に矢印FinおよびFoutで示した好ましい経路方向を基準として、境界セクションはセクションGCの下流およびセクションMSの上流に位置している。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記少なくとも1つのオリフィス55は、ナノホール、すなわち、膜53を貫通するナノメートル・サイズの直径D、好ましくは10nmと500nmとの間にある直径Dを有する穴、で構成されている。
さらに、前記膜53は平面状であることが好ましく、前記オリフィス55は、膜53の表面に対して実質的に垂直な軸の周囲で膜53に形成されているとともに、実質的に均一な横断面を有している。
さらに、本発明によれば、常に、前記オリフィスはL<20・Dとなるような直径Dおよび長さLを有していることが好ましい。
本発明によれば、境界セクションの空間51aと51bとは、2つの空間を分離している1つまたは複数の膜53の1つまたは複数のナノホール55を通して、互いの間で排他的に連通していることが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、膜53は密封真空気密ケーシング59の中に収容されており、装置のセクションGCから来る分析物が、例えば、ダクト49を通って、このケーシング59の中に入ってきて(矢印Finで示す方向)、分子流を有する分析物が、このケーシング59から膜53を通って出てきて(矢印Foutで示す方向)、例えば、流路77を通り抜けることによりセクションMSに向かう。より正確には、膜53は、ケーシング59の内部に、2つの空間51a、51bを形成するようにケーシング59の中に位置しており、これらの2つの空間51a、51bは、膜53のナノホール55を通して、または本発明の他の実施形態では、同じ膜内に設けられた複数のナノホールを通して、もしくは複数の膜内に分散されたナノホールを通して、互いの間で連通している。
他の方法として、以下で詳述する支持部63内に膜53を収容でき、支持部63は、例えば、溶接または接着することにより真空気密に隔壁59aに固定することができ、このような目的のために隔壁59a内に設けられた開口に、はめ込むようになっている。
本発明によれば、常に、水蒸気生成を回避するために、膜53、特に、より高い圧力を有する空間51aへ向けられている層53bの表面には、要求に応じて、例えば、防水被膜の塗布のような表面被覆処理をさらに施すことができる。水蒸気生成は、「目詰まり」として知られている現象、すなわち、1つまたは複数のナノホールの閉塞、および、その結果として、セクションGCからセクションMSへ移動する分析物の分子流の遮断または低減、を引き起こす一因となる可能性がある。
膜53は支持部63内に収容されていることが好ましく、この支持部63には膜53を収容できる適切なウェル(くぼみ)69が設けてあることが有利である。さらに、支持部63は、例えば、銅などの金属で作られていることが好ましい。支持部63は、約20mmと25mmとの間にある直径と、約1.5mmと2.5mmとの間にある厚さとを有する、例えば、円板形を有することができる。
この例示的実施形態では、膜53は、平面図で見ると、例えば、正方形である可能性があり、約3.0mmと8.0mmとの間にある一辺と、約0.20mmの厚さと、を有しており、ウェル69は5.0mmと10.0mmとの間にある辺長を有することができる。
膜53が支持領域71上に位置するときに接着剤が溝部73から流れ出ることを可能にするために、およびこのように支持部63に対する膜53の完全な接着を可能にするために、ウェル60の端縁部により規定される保持周縁部は膜53の側部から離間していることがさらに好ましい。
支持部63の支持表面71は、膜53内に設けられたナノホール55の場所に位置する開口75をさらに含んでいる。膜53が2つ以上のナノホールを有しているときには、それらのナノホールをふさがないようにするために十分な大きさおよび/または個数の開口75が提供されるであろうことは明らかである。
図2Bを参照すると、境界セクション51の空間51b内にイオン源を実質的に組み込んであり、結果として装置内の構成要素を削減できる本発明の装置の実施形態の変形が示されている。
図2Aおよび図2Bの両方を参照すると、周知のように、異なる真空状態に保持された2つの空間を分離するナノメートル・サイズ(〜100nm)の直径を有する穴のコンダクタンスCは、大気圧において、または、より低い圧力において、下記の式のように測定できる。
したがって、膜53を通って空間51aから空間51bに移動する間にガス混合気が有している濃度は、上述の式(空間51b内で、より軽いガスの濃度がしだいに高くなる)に基づく変化を受ける。
しかしながら、膜53を通ることにより分子領域になっており、セクションMSの方へ方向づけられた較正済みのイオン出口穴79では、再び同じ式(より軽いガスがしだいに多く出てくる)に基づいて調整された分子領域流になっている。したがって全体として、穴79の寸法を適切に規定することにより、セクションGCから来るガス混合気を構成しているさまざまなガスの同じ濃度を、空間51bの内部に復元できる。
本発明の産業利用の第1の実施例として、「シングル・クワッド」GC−MS装置を示している図5を参照するが、この装置は、図1に関して上述した方式に従って実質的に作られており、この装置の中には、図2Aに示す第1の実施形態に基づいて境界セクション51を組み込んである。この装置には、クロマトグラフ用カラム19と、電子衝撃型イオン源11と、四重極型分析器41と、検出器43と、が主に設けてある。
ケーシング59の内部の膜53の下流に位置する空間51bは、直接的に、または図示の実施例のように、適切な流路77を介してイオン源11に至ることにより、セクションMSに連通している。
この実施形態によれば、代わりに、膜53の下流に位置する空間51bでは、必要な真空度、通常約10−5mbar(10−3Pa)が、好ましくは隔壁46と、それぞれのオリフィスもしくは「スキマー」48とを省き、ポンプ45を必要とせずに、可能なポンプ47を用いて直接達成されるか、またはセクションMSのセクションS1が備えている可能なポンプ45を用いて達成され、空間51bは流路77を介してイオン源11に連通している。
空間51bとイオン源11との間の圧力変化を決定するために、流路77がこのような小さい寸法を有していたとしても、上述の状態(すなわち、セクションGCから来るガス混合気を構成するさまざまなガスの同じ濃度分布が、空間51b内にある)は、較正済みの穴79の存在により常に保証され、この穴79を通ることにより、イオン流は調整された分子領域にあることを常に維持されるであろうということが分かる。
この実施形態によれば、膜53と、それぞれの支持部63とは、フィラメント15が白熱するまで加熱することに起因して、イオン源内で到達する温度に耐えるように適切に作られている。
例えば、本発明は、FAB(高速原子衝撃)、化学イオン化、レーザ・イオン化などの、電子衝撃型イオン源とは異なるイオン源を備えたGC−MS装置で使用することができる。
Claims (15)
- GCセクションとMSセクションとを含むGC−MS分析装置であって、
このGC−MS分析装置には、前記GCセクションと前記MSセクションとにつながっており、分析物がたどる経路方向に従って前記GCセクションの下流かつ前記MSセクションの上流に位置する境界セクションが設けてあり、
前記境界セクションは、少なくとも1つの膜を含んでおり、この膜は、当該膜の上流に位置する領域内の圧力paが当該膜の下流に位置する領域内の圧力pbよりも高いような圧力差を当該膜が受けるとき、当該膜を通して前記GCセクションから前記MSセクションに移動する前記分析物に分子流状態を確立できる少なくとも1つのオリフィスを有する、GC−MS分析装置。 - 前記オリフィスが、前記膜を貫通するナノメートル・サイズの直径を有する穴であるナノホールである、請求項1に記載の装置。
- 前記ナノホールが10nmと500nmとの間にある直径Dを有している、請求項2に記載の装置。
- 前記ナノホールの前記直径Dおよび長さLが、L<20・Dとなるような寸法にされている、請求項3に記載の装置。
- 前記直径Dおよび前記長さLが、前記オリフィスの相当直径DeがDe≦100nmとなるような寸法にされており、ここで、Deは関係式De=D・(a)1/2で規定されており、ここで、aは前記オリフィスの、前記L/D比の関数である透過確率である、請求項4に記載の装置。
- 前記膜が実質的に平面状であり、前記オリフィスが前記膜の表面に対して実質的に垂直な軸に沿って前記膜を貫通しているとともに、実質的に一様な横断面を有している、請求項1に記載の装置。
- 前記境界セクションがイオン源を含んでおり、前記イオン源は少なくとも1つの較正済みの穴を介して、下流に位置する空間に連通している、請求項1に記載の装置。
- 前記境界セクションがイオン源に連通しており、前記イオン源は少なくとも1つの較正済みの穴を介して、下流に位置する前記空間に連通している、請求項1に記載の装置。
- 前記較正済みの穴が、ミリメートル・サイズまたは、それより小さい寸法の直径を有している、請求項7または8に記載の装置。
- 前記GCセクションが少なくとも1つのクロマトグラフ用カラムを含んでおり、そのクロマトグラフ用カラムの出口開口が前記境界セクションに連通している、請求項1に記載の装置。
- 前記MSセクションが電子衝撃型イオン源と四重極型分析器とを含んでいる、請求項1または10に記載の装置。
- 前記膜が、支持部内に形成されたウェルの中に収容されており、前記ウェルは前記膜内に形成された前記オリフィスに位置する開口を含んでいる、請求項1に記載の装置。
- 前記ウェルが、前記支持部の表面に対してわずかに低い1つの高さに位置する、前記膜に適している支持領域をさらに含んでおり、前記膜が前記支持領域上に載置されたときに前記ウェルの端縁部が前記膜のずれを防止し、それによって、前記膜の取り付けをより容易にするようになっている、請求項12に記載の装置。
- 前記膜用の前記支持部の前記載置領域が、前記膜を前記支持部内に保持するために接着物質を収容できる溝部により、取り囲まれている、請求項12または13に記載の装置。
- 前記膜が1〜100個のナノホールを含んでおり、ガス流が前記1つまたは複数のナノホールを通り抜ける場合を除いて、前記膜は前記ガス流に対して実質的に不透過性である、請求項1に記載の装置。
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