JP6028874B2 - ガス状試料の分析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、試料ガス中の試料成分を分析する分析装置に関し、さらに詳しくは、ガスクロマトグラフで成分分離された試料ガス中の成分を分析するのに好適な分析装置に関する。
ガスクロマトグラフ(GC)の検出器としては、熱伝導度検出器(TCD)、エレクトロンキャプチャ検出器(ECD)、水素炎イオン化検出器(FID)、炎光光度検出器(FPD)、フレームサーミオニック検出器(FTD)など、様々な方式の検出器が利用されている。こうした検出器の1つとして近年、誘電体バリア放電プラズマによるイオン化を利用した誘電体バリア放電イオン化検出器が実用化されている(特許文献1、非特許文献1など参照)。
上記文献に記載された誘電体バリア放電イオン化検出器では、誘電体である石英ガラス管に周設された電極に低周波の交流高電圧を印加することで、該管路内に供給された所定のガスを電離して低温の非平衡大気圧プラズマを形成する。そして、このプラズマから発する光や励起種などの作用により、その管路内に導入された試料ガス中の試料成分をイオン化し、生成されたこのイオンによるイオン電流を検出して、試料成分の量に応じた検出信号を出力する。このような誘電体バリア放電イオン化検出器では、幅広い有機化合物や無機化合物を高い感度で検出することができ、従来広く用いられているFIDでは十分な感度が得られにくいアルデヒド、アルコール、ハロゲン類などについても高感度の定量が可能であるという特徴がある。
国際公開第2012/169419号公報
品田ほか4名、「誘電体バリア放電を応用したガスクロマトグラフ用新規イオン化検出器の開発」、島津評論、第69巻、第3・4号、2013年3月29日発行
上述したように誘電体バリア放電イオン化検出器は高い検出感度を有するものの、当然のことながら、他のガスクロマトグラフ用検出器と同様に、保持時間以外に、試料ガス中の成分の定性情報を得ることはできない。また、ガスクロマトグラフで十分に分離されないまま、つまり複数の試料成分が時間的に重なって、検出器に導入された場合には、正確な定量を行うことができない。
本発明はこうした点に鑑みてなされたものであり、誘電体バリア放電イオン化検出器を利用して試料ガス中の試料成分を検出する分析装置において、該検出器による幅広い化合物に対する高い検出感度を活かした定量分析を可能としつつ、精度の高い定性分析も行うことができるガス状試料の分析装置を提供することを主たる目的としている。
上記課題を解決するためになされた本発明に係るガス状試料の分析装置は、
a)ガス状試料中の試料成分を検出する検出器であって、表面が誘電体で被覆された放電電極と、誘電体バリア放電を生起させて所定のガスからプラズマを生成するべく前記放電電極に低周波交流電圧を印加する交流電圧印加部と、その生成されたプラズマの作用によってイオン化されたガス状試料中の試料成分によるイオン電流を検出するイオン電流検出部と、を有する誘電体バリア放電イオン化検出器と、
b)イオンを質量電荷比に応じて分離して検出する質量分析部と、
c)前記誘電体バリア放電イオン化検出器においてガス状試料から生成された試料成分に由来するイオンの一部を前記質量分析部に導入するイオン輸送部と、
を備えることを特徴としている。
本発明に係るガス状試料の分析装置は、典型的には、さらにガスクロマトグラフを含み、ガスクロマトグラフのカラムで分離された試料成分を含む試料ガスを分析対象であるガス状試料として誘電体バリア放電イオン化検出器に導入する構成とすることができる。
本発明に係るガス状試料の分析装置において、誘電体バリア放電イオン化検出器では、交流電圧印加部から放電電極に印加される低周波交流電圧によって形成されるプラズマから発せられる光や励起種の作用により、試料ガス中の試料成分がイオン化される。該検出器におけるイオン電流検出部はイオン収集電極を含み、試料成分由来のイオンはこのイオン収集電極に達して電流信号に変換されるが、試料成分由来のイオンの一部はイオン輸送部を通して質量分析部に導入される。質量分析部は例えば四重極マスフィルタなどの質量分離器を有しており、導入されたイオンを質量電荷比に応じて分離し、分離されたイオンは光電子増倍管などを利用したイオン検出器により検出される。こうして本発明に係るガス状試料の分析装置では、誘電体バリア放電イオン化検出器により試料ガス中の試料成分を感度よく検出するのと並行して、質量分析部によって試料ガス中の試料成分を検出することができる。
本発明に係るガス状試料の分析装置において、質量分析部により質量分析の対象となるイオンは、基本的に、誘電体バリア放電イオン化検出器において試料成分を検出するために生成されたイオンである。そのため、質量分析部に供されるイオンの量を或る確保するには、誘電体バリア放電イオン化検出器のイオン電流検出部においてイオン収集電極近傍に集められたイオンの一部がイオン収集電極に達することなくイオン輸送部により輸送されるようにする必要がある。
そこで本発明に係るガス状試料の分析装置において好ましくは、前記イオン輸送部は前記所定のガスの少なくとも一部のガスの流れに乗せてイオンを送るイオン輸送流路を含み、該イオン輸送流路の入口端は前記イオン電流検出部に含まれるイオン収集電極に近接して設けられている構成とするとよい。より好ましくは、前記イオン輸送流路の入口端縁部に前記イオン収集電極が設けられている構成とするとよい。
こうした構成によれば、例えば直流電場等の作用によりイオン収集電極近傍に集められたイオンの一部は、イオン輸送流路に流れ込む所定ガスの流れに乗って該イオン輸送流路中に流れ込み易い。これによって、誘電体バリア放電イオン化検出器においてプラズマの作用により生成された試料成分由来のイオンの一部を該検出器での検出に利用することなく、確実に質量分析部に導入することができる。
一般に、上記質量分析部において質量分離器やイオン検出器は真空ポンプによる排気によって高い真空度に維持されるチャンバ内に配設されており、イオン輸送部により大量のガスがこのチャンバ内に供給されるとチャンバ内の真空度を維持するのが難しい。また、チャンバ内を高い真空度に維持するために、真空排気性能の高い高価な真空ポンプが必要となる。
そこで本発明に係るガス状試料の分析装置では、真空排気されるチャンバに導入される所定のガスの量を減らすために、前記イオン輸送部は、ガスとイオンとを分離するガス分離部を含む構成とするとよい。このガス分離部は、ガスとイオンとを異なる角度方向に分離するように、例えば、円錐形状体の頂部に微小開口を有するサンプリングコーンなどを用いたものとすることができる。
こうしたガス分離部は大気圧雰囲気中又は大気圧よりも低いガス圧である低真空雰囲気中のいずれに配置されていてもよいが、分離性能の点から好ましくは、類似した構造でああるサンプリングコーンとスキマーコーンとを組み合わせ、その両者の間の空間を真空排気する構成とするとよい。こうした構成では、略大気圧雰囲気である誘電体バリア放電イオン化検出器から高真空雰囲気である質量分析部のチャンバ内にまでイオンを導入する経路は、実質的に、多段差動排気系の構成となる。それによって、イオン輸送部のイオン輸送流路に流れ込むガスの量が或る程度多い場合であっても、チャンバに流入するガスの量を抑えて、該チャンバ内を高い真空度に維持し易くなる。また、チャンバ内を真空排気する真空ポンプの性能を上げずに済む。
また上述したように本発明に係るガス状試料の分析装置では、基本的に、誘電体バリア放電イオン化検出器において生成された試料成分由来のイオンを質量分析部において分析するが、補助的に別のイオン化部を設けるようにしてもよい。この補助イオン化部は、イオン輸送部により送られるガス中に含まれるイオン化されていない試料成分をイオン化するように設けられ、試料成分から生成したイオンをイオン輸送部により送られてくるイオンと併せて質量分析に供するようにするとよい。
上記補助イオン化部は、従来から知られている様々なイオン化法を用いたものとすることができる。例えば、大気圧化学イオン化(APCI)法、大気圧光イオン化(APPI)法などの大気圧イオン化法を利用したイオン化部、或いは、電子イオン化(EI)法、化学イオン化(CI)法などを利用したイオン化部を補助イオン化部として用いることができる。
こうした補助イオン化部を用いることで、質量分析に供する試料成分由来のイオンの量を増加させて感度を向上させることができる。また、例えばEI法など、フラグメントが生じ易いイオン化法による補助イオン化部を用いることで、誘電体バリア放電イオン化検出器におけるイオン化では発生しにくい試料成分由来のフラグメントイオンも併せて質量分析することができ、試料成分に関するより多くの情報をユーザに提供することができる。
本発明に係るガス状試料の分析装置によれば、誘電体バリア放電イオン化検出器により幅広い化合物について高い感度で検出を行うのと並行して、同じ化合物に対する質量分析を行うことができる。それによって、化合物が未知である場合でも、質量分析により得られるマススペクトル等の質量電荷比情報に基づいて化合物を同定したうえで、該化合物についての定量情報を提供することができる。
また、複数の試料成分が時間的に重なって、つまりほぼ同時に誘電体バリア放電イオン化検出器に導入された場合でも、質量分析により得られるマススペクトルや抽出イオンクロマトグラム等に基づいて複数の化合物の重なりを認識し、各化合物についての定量情報を提供することができる。
本発明の一実施例であるガスクロマトグラフ質量分析装置の概略ブロック構成図。 本実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置の詳細構成図。 他の実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置における要部の構成図。 他の実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置における要部の構成図。 他の実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置における要部の構成図。 他の実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置における要部の構成図。
本発明に係るガス状試料の分析装置の一実施例であるガスクロマトグラフ質量分析装置について、添付図面を参照して説明する。図1は本実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置の概略ブロック構成図、図2は本実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置の詳細構成図である。
本実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置は、試料に含まれる各種試料成分(化合物)を時間的に分離するガスクロマトグラフ(GC)部1と、該GC部1により分離されたガス中の試料成分を時間順に検出する誘電体バリア放電イオン化検出器(BID)2と、誘電体バリア放電イオン化検出器2において生成された試料成分由来のイオンの一部を質量電荷比m/zに応じて分離して検出する質量分析部4と、を備える。また、誘電体バリア放電イオン化検出器2から試料成分由来のイオンの一部を取り出して質量分析部4へと導入するために、両者の間には、本発明におけるイオン輸送部としてのインターフェイス部5が設けられている。
図2に示すように、GC部1は、キャピラリカラム13と、キャピラリカラム13の入口端に設けられた試料気化室10と、試料気化室10に接続されたキャリアガス流路11と、試料気化室10中に微量の液体試料を注入するシリンジ12と、を含む。この例では、一般的に試料気化室10に接続されるスプリット流路やパージ流路などの記載を省略しているが、これらを適宜設けることができることは当然である。また、同じく記載を省略しているが、キャピラリカラム13が温調可能なカラムオーブンに収容されることも当然である。
誘電体バリア放電イオン化検出器2は例えば非特許文献1などに開示された構成を有するものであり、石英ガラスなどからなる誘電体円筒管20の外壁面に、それぞれその管路の延伸方向に所定距離離して、金属製である環状の放電電極23、24、25が周設されている。これら放電電極23、24、25と誘電体円筒管20内部の第1ガス流路21との間には管路壁面が存在するから、誘電体であるこの壁面自体が放電電極23、24、25の表面を被覆する誘電体被覆層として機能し、誘電体バリア放電を可能としている。誘電体円筒管20の上端にはプラズマガス供給管26が接続され、このプラズマガス供給管26を通して第1ガス流路21中に希釈ガスを兼ねるプラズマガスが供給される。
3個の放電電極23〜25のうち、中央の放電電極23には励起用高圧電源28が接続され、この放電電極23の上下に配置された放電電極24、25はいずれも接地されている。このように高電圧が印加される放電電極23を2つの接地した放電電極24、25で挟む構造とすることにより、放電により発生したプラズマガスがその上流側及び下流側に拡がるのを抑え、実質的なプラズマ生成領域を2つの放電電極24、25の間に制限することができる。励起用高圧電源28は周波数が1[kHz]〜100[kHz]の範囲である低周波高電圧を発生するものである。
誘電体円筒管20の下部には、反跳電極30、バイアス電極32、及びイオン収集電極33が、絶縁体34を間に介挿して配置されている。これらはいずれも同一内径の円筒形状体であり、それらの内側には第1ガス流路21に連続した第2ガス流路29が形成されるから、反跳電極30、バイアス電極32、及びイオン収集電極33はこの第2ガス流路29中のガスに直接晒される。第1ガス流路21と第2ガス流路29との接続部に位置する反跳電極30は接地されており、ノイズとなり得るプラズマ中の荷電粒子がイオン収集電極33に到達することを防止する。バイアス電極32はイオン電流検出部36に含まれるバイアス直流電源37に接続され、イオン収集電極33は同じくイオン電流検出部36に含まれる電流アンプ38に接続されている。
第1ガス流路21の終端(且つ第2ガス流路29の始端)にはバイパス排気管27が接続されている。また、第2ガス流路29の終端であってイオン収集電極3の近傍には試料排気管31が接続されている。さらに、第2ガス流路29中には、GC部1のキャピラリカラム13の出口端に接続された細径の試料導入管35が挿入されており、試料導入管35を通して測定対象である試料成分を含む試料ガスが、第2ガス流路29中でバイパス排気管27の接続部に近い位置に供給される。
質量分析部4は、図示しない真空ポンプにより真空排気されるチャンバ40内に、イオンレンズ41、四重極マスフィルタ42、イオン検出器43などを備え、誘電体バリア放電イオン化検出器2の試料排気管31に接続されたイオン導入管44の出口端がチャンバ40内に開放されている。この実施例では、試料排気管31及びイオン導入管44がインターフェイス部5に相当する。ただし、試料排気管31とイオン導入管44とは便宜的な区分けであり、実質的には連続する同じ管路である。なお、この試料排気管31及びイオン導入管44は適宜の温度に保持されるブロック等により温調されるようにしてもよい。
本実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置における試料に対する分析動作を説明する。
GC部1においては、キャリアガス流路11を通して試料気化室10に略一定流量のヘリウム(又は他の不活性ガス)がキャリアガスとして供給される。加熱されている試料気化室10中にシリンジ12から微量の液体試料が注入されると、該液体試料は瞬時に気化し、キャリアガス流に乗ってキャピラリカラム13に導入される。そして、試料ガス中の各種成分はキャピラリカラム13を通過する間に時間的に分離され、時間差を以てキャピラリカラム13の出口端から試料導入管35に流れ込み、第2ガス流路29中に供給される。
誘電体バリア放電イオン化検出器2においては、プラズマガス供給管26を通して第1ガス流路21中に所定流量で以てプラズマガスが供給される。プラズマガスは電離され易いガスであり、典型的にはヘリウムであるが、アルゴン、窒素、ネオン、キセノンなどやそれらの混合ガスでもよい。プラズマガスは第1ガス流路21中を下向きに流れ、プラズマ生成領域を通過し、一部はバイパス排気管27を通して外部に排出される。その残りは希釈ガスとして第2ガス流路29中を下向きに流れ、試料導入管35を通して供給される試料ガスと合流してバイアス電極32及びイオン収集電極33近傍のイオン検出領域を通過し、試料排気管31を通して管外へ排出される。
上述したようにプラズマガスが第1ガス流路21中に流通している状態で、励起用高圧電源28は駆動され、励起用高圧電源28は低周波の高圧交流電圧を1つの放電電極23と他の2つの接地されている放電電極24、25との間に印加する。これにより、第1ガス流路21中で放電電極24、25で挟まれるプラズマ生成領域に誘電体バリア放電が起こる。この放電によって第1ガス流路21中を流れるプラズマガスが電離され、大気圧非平衡マイクロプラズマが発生する。このプラズマから放出された光や励起種は、第1ガス流路21及び第2ガス流路29中を通って試料ガスが存在する部位まで到達し、試料成分をイオン化する。
生成されたイオンは、バイアス電極32に印加されているバイアス直流電圧により形成される直流電場によってイオン収集電極33近傍に集まり、イオン収集電極33で電子を授受する。これにより、試料成分の量に応じたイオン電流が電流アンプ38に入力され、電流アンプ38はこれを増幅してBID検出信号として出力する。このようにして、この誘電体バリア放電イオン化検出器2では、導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じたBID検出信号が出力される。
ただし、プラズマの作用により生成された試料成分由来のイオンはその全てがイオン電流に寄与するわけではなく、イオン収集電極33近傍に集まったイオンの一部はそのままプラズマガス(希釈ガス)の流れに乗って試料排気管31を通り、イオン導入管44を経て質量分析部4のチャンバ40内へと輸送される。チャンバ40内に導入された試料成分由来のイオンは、イオンレンズ41による電場の作用で収束されて四重極マスフィルタ42の長軸方向の空間に入射する。四重極マスフィルタ42を構成する4本のロッド電極には図示しない電圧源から直流電圧に高周波電圧を重畳した電圧が印加され、この電圧に応じた質量電荷比を有するイオンのみが四重極マスフィルタ42を通過し得る。例えば、四重極マスフィルタ42への印加電圧は繰り返し所定範囲で走査される。それにより、所定の質量電荷比範囲に亘る質量走査が実行されるから、イオン検出器43ではマススペクトルに対応した検出信号を繰り返し得ることができる。
即ち、本実施例のガスクロマトグラフ質量分析装置では、GC部1で分離した様々な種類の化合物を誘電体バリア放電イオン化検出器2において高い感度で検出するとともに、それと並行して質量分析計4において所定質量電荷比範囲のマススペクトルを繰り返し得ることで、誘電体バリア放電イオン化検出器2で検出されたのと同じ化合物由来のイオンピークが現れるマススペクトルを時々刻々と取得することができる。このマススペクトルに現れるピークのパターンは化合物に特有であるから、例えばそのマススペクトルのピークパターンを、化合物データベースに予め登録されている既知化合物のマススペクトルのピークパターンと照合して類似度を調べることにより、試料ガスに含まれる化合物を同定することができる。また、複数の化合物が時間的に重なって導入された場合でも、例えば1又は複数の特定の質量電荷比における抽出イオンクロマトグラムを利用したピーク分離により複数の化合物を分離し、それぞれの化合物を同定することができる。その結果、高感度の定量情報と併せて、定性情報も取得することができる。
図3〜図6はいずれも、本発明に係るガス状試料の分析装置の他の実施例であるガスクロマトグラフ質量分析装置における要部の構成図である。
図2に示した実施例の構成では、イオン収集電極33の近傍に、第2ガス流路29から試料成分由来のイオンを取り出すための試料排気管31の入口端が設けられているが、図3に示した他の実施例の構成では、試料排気管31の入口端にイオン収集電極33を設けている。これにより、図2に示した実施例の構成に比べて、直流電場の作用によってイオン収集電極33に近付いた試料成分由来のイオンをより多く試料排気管31に送り込み、該試料排気管31及びイオン導入管44を通して質量分析部4のチャンバ40内へと輸送することができる。その結果、イオン収集電極33に達するイオンの量が減るために誘電体バリア放電イオン化検出器2の検出感度は下がるものの、質量分析に供される試料成分由来のイオンの量が増加することで質量分析部4の検出感度は向上する。
また、図2及び図3に示した実施例の構成ではいずれも、誘電体バリア放電イオン化検出器2の第2ガス流路29を経たガス流の全てが質量分析部のチャンバ40内に送られる。そのため、チャンバ40内の真空度が低下し易く、高い真空度を確保するにはチャンバ40内を真空排気する真空ポンプの真空排気性能を或る程度高くする必要がある。これに対し、図4及び図5に示した実施例の構成では、インターフェイス部5の構成要素としてイオンをガスから分離するガス分離部を備え、ガスから分離したイオンのみ(実際にはガスの一部とイオン)を高真空雰囲気であるチャンバ40内に導入し質量分析に供するようにしている。
具体的に述べると、図4に示した構成では、試料排気管31の出口端は大気圧雰囲気中に開放されており、その出口端から噴出するガス流の前方には、サンプリングコーン51とスキマーコーン52とが配置されている。サンプリングコーン51、スキマーコーン52はいずれもその頂部に小径の開口であるオリフィス51a、52aが形成された円錐形状構造体である。サンプリングコーン51とスキマーコーン52との間の空間53はロータリーポンプなどの真空ポンプにより真空排気され、それによって該空間53はチャンバ40内よりもガス圧が高く、且つ大気圧よりはガス圧が低い、低真空雰囲気に保たれるようになっている。即ち、図4の構成は、段階的に真空度が高くなる差動排気系の構成となっている。なお、図示しないが、サンプリングコーン51やスキマーコーン52にはそれぞれ、分析対象であるイオンと同極性である適宜の直流電圧が印加される。
試料排気管31の出口端から噴出するガス流には試料成分由来のイオンが含まれ、このイオンはサンプリングコーン51及びスキマーコーン52にそれぞれ印加されている直流電圧により形成される電場の作用により中心軸付近に収束され、オリフィス51a、52aを順に通過する。一方、試料排気管31の出口端から噴出するガスはその一部がオリフィス51a、52aを通過するが、大部分はサンプリングコーン51及びスキマーコーン52のテーパ部に沿ってその進行方向を曲げ、イオンとは分離される。これによって、イオンと少量のガスのみをチャンバ40内に導入し、質量分析に供することができる。
なお、ガス流に含まれる中性粒子(例えばイオン化されていない試料分子など)がチャンバ40内に導入されるのを避けるために、サンプリングコーン51のオリフィス51aとスキマーコーンと52のオリフィス52aとのイオン光軸を平行にずらし、イオンレンズなどによりイオンを導くようにしてもよい。
図5の構成では、大気圧雰囲気と低真空雰囲気とを隔てるサンプリングコーンを使用せず、試料排気管31を通してガス流と試料成分由来のイオンとを低真空雰囲気である空間53に直接導入し、スキマーコーン52のみによりイオンをガスから分離している。このように、イオンをガスから分離するガス分離部の構成は適宜に変形することができる。
また、上記実施例ではいずれも、誘電体バリア放電イオン化検出器2において生成された試料成分由来のイオンを質量分析するようにしていたが、補助的に別のイオン化部を設け、この補助イオン化部で生成された試料成分由来のイオンも併せて質量分析するようにしてもよい。図6は、補助イオン化部としてEI法によるイオン化部を設けた実施例の構成である。
即ち、試料排気管31(又は図2、図3におけるイオン導入管44)を通したガス流を補助イオン化部45のイオン化室451内に導入し、該ガス流とともに導入される試料成分分子にフィラメント452で生成されトラップ電極453に向かって加速した電子を接触させる。これにより、誘電体バリア放電イオン化検出器2においてイオン化されなかった試料分子が補助イオン化部45でイオン化され、ガス流に乗って導入された試料成分由来のイオンとともに質量分析に供される。また、この場合、補助イオン化部45では試料成分由来のフラグメントイオンが生じ易いため、誘電体バリア放電イオン化検出器2におけるイオン化では生じにくい、試料成分由来のフラグメントイオンも併せて質量分析することができる。
また、補助イオン化部はEI法によるものだけでなく、例えばCI法などのイオン化法によるイオン化部を用いてもよい。また、APCIやAPPIなどの大気圧イオン化法によるイオン源を補助イオン化部として用いてもよい。もちろん、こうした補助イオン化部を用いた構成と図4、図5に示したようなガス分離部を用いた構成とを併せることもできる。それによって、ガス流からイオンを分離するとともに、ガス流に含まれる試料成分分子は補助イオン化部によりイオン化し、ガスの流入によるチャンバ40内の真空度の低下を防止しつつ、質量分析部4における高い検出感度を達成することができる。
また、上記実施例はいずれも本発明の一例であり、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加を行っても本願請求の範囲に包含されることは当然である。
1…ガスクロマトグラフ部
10…試料気化室
11…キャリアガス流路
12…シリンジ
13…カラム
2…誘電体バリア放電イオン化検出器
20…誘電体円筒管
21…第1ガス流路
23〜25…放電電極
26…プラズマガス供給管
27…バイパス排気管
28…励起用高圧電源
29…第2ガス流路
30…反跳電極
31…試料排気管
32…バイアス電極
33…イオン収集電極
34…絶縁体
35…試料導入管
36…イオン電流検出部
37…バイアス直流電源
38…電流アンプ
4…質量分析部
40…チャンバ
41…イオンレンズ
42…四重極マスフィルタ
43…イオン検出器
44…イオン導入管
45…補助イオン化部
451…イオン化室
452…フィラメント
453…トラップ電極
51…サンプリングコーン
52…スキマーコーン
51a、52a…オリフィス
53…空間

Claims (9)

  1. a)ガス状試料中の試料成分を検出する検出器であって、表面が誘電体で被覆された放電電極と、誘電体バリア放電を生起させて所定のガスからプラズマを生成するべく前記放電電極に低周波交流電圧を印加する交流電圧印加部と、その生成されたプラズマの作用によってイオン化されたガス状試料中の試料成分によるイオン電流を検出するイオン電流検出部と、を有する誘電体バリア放電イオン化検出器と、
    b)イオンを質量電荷比に応じて分離して検出する質量分析部と、
    c)前記誘電体バリア放電イオン化検出器においてガス状試料から生成された試料成分に由来するイオンの一部を前記質量分析部に導入するイオン輸送部と、
    を備えることを特徴とするガス状試料の分析装置。
  2. 請求項1に記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記イオン輸送部は前記所定のガスの少なくとも一部のガスの流れに乗せてイオンを送るイオン輸送流路を含み、該イオン輸送流路の入口端は前記イオン電流検出部に含まれるイオン収集電極に近接して設けられていることを特徴とするガス状試料の分析装置。
  3. 請求項2に記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記イオン輸送流路の入口端縁部に前記イオン収集電極が設けられていることを特徴とするガス状試料の分析装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記イオン輸送部は、ガスとイオンとを分離するガス分離部を含み、該ガス分離部で分離されたイオンを前記質量分析部に導入したことを特徴とするガス状試料の分析装置。
  5. 請求項4に記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記ガス分離部は大気圧雰囲気中に設けられることを特徴とするガス状試料の分析装置。
  6. 請求項4に記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記ガス分離部は、ガス圧が大気圧よりも低く前記質量分析部の真空チャンバ内よりも高い低真空雰囲気中に設けられることを特徴とするガス状試料の分析装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記イオン輸送部を通して輸送された、イオンが混じったガス中の試料成分をさらにイオン化する補助イオン化部を備えることを特徴とするガス状試料の分析装
  8. 請求項7に記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記補助イオン化部は大気圧イオン化法によるイオン化を行うものであることを特徴とするガス状試料の分析装置。
  9. 請求項7に記載のガス状試料の分析装置であって、
    前記補助イオン化部は電子イオン化法によるイオン化を行うものであることを特徴とするガス状試料の分析装置。
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