JP2011040272A - 平板フィラメントおよびそれを用いたx線管装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】外囲器回転型のX線管装置に用いられる平板フィラメントにおいて、平板フィラメントの熱膨張による焦点の変形を防ぐ。
【解決手段】
対となる電極板22を備えた円状の平板フィラメント3上に、同心円状のスリット28および直線状のスリット29が形成されている。これより、一方の電極板22から分岐と合流とを繰り返す電流路30を形成する。この電流路30には電極板22から供給されるフィラメント電流が流れる。また、電流路30は、対となる電極板22を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返しつつ、対となる電極板22と平板フィラメント3の中心とを結ぶ直線に対して線対称に形成されているので、それぞれの電流路の熱膨張を均一にさせることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】
対となる電極板22を備えた円状の平板フィラメント3上に、同心円状のスリット28および直線状のスリット29が形成されている。これより、一方の電極板22から分岐と合流とを繰り返す電流路30を形成する。この電流路30には電極板22から供給されるフィラメント電流が流れる。また、電流路30は、対となる電極板22を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返しつつ、対となる電極板22と平板フィラメント3の中心とを結ぶ直線に対して線対称に形成されているので、それぞれの電流路の熱膨張を均一にさせることができる。
【選択図】 図3
Description
本発明は、X線を発生させるために熱電子を供給する平板フィラメントおよびそれを用いたX線管装置に係り、特に、円状の平板フィラメントに関する。
従来、X線管装置には、図5に示すように、ボールベアリング56を用いて回転する回転陽極53と、電子放出源としてコイル状のフィラメントを用いた陰極52とを収納する外囲器51を備え、外囲器51をさらに管容器(図示省略)に収納した回転陽極型X線管装置がある。内部が真空である外囲器51の中で、フィラメントに電流を流すとフィラメント抵抗により熱が発生し、さらにこの熱によりフィラメントから電子ビームが放出される。陰極52と回転陽極53とには高電圧を印加しており、陰極52から発生した電子ビームが回転陽極53に衝突してX線を発生する。回転陽極53は、ステータ54より回転駆動力を受けて回転するロータ55と接続されている。
また近年、陽極が外囲器と一体となって回転し、回転軸の中心に設けられた陰極の電子源からの電子ビームを偏向コイルにより偏向させて、陽極のターゲットディスク上の所定位置に焦点を形成する外囲器回転型のX線管装置がある(例えば、特許文献1参照)。かかる回転陽極型や外囲器回転型のX線管装置では、陽極が回転するので、陽極に入射する電子ビームがターゲットディスク上の同一位置に集中して衝突することがない。したがって、ターゲットディスク上の同一位置に集中して熱が発生することなく、同一位置に集中して発生した熱によるターゲットディスクの消耗を防止することができる。
また、フィラメントの形状としてコイル状のフィラメントの他にも平板状のフィラメントが考案されている。平板状のフィラメントとして、例えば特許文献2のような平板フィラメントが考案されている。図6に示すように、特許文献2の平板フィラメント60によれば、中心に対して点対称に曲がりくねった1本の電流路61が形成されている。また、平板フィラメント60は、2本の電極板62を備えている。電流路61の幅を一定に保つことで電気抵抗を一定とし、平板フィラメント60全体の温度を均一に保つことで電子密度が均一な電子ビームが得られるものとしている。
一般に、X線管のフィラメントは電子ビーム発生時に2000℃以上の高温に加熱される。上述した特許文献2の平板フィラメント60では、2つの電極板62の端部が固定されていることから、熱膨張により発生する力が平板フィラメント60を反りかえらせる等、いびつな形に変形させる。X線管の焦点寸法は平板フィラメント60と集束電極との位置関係に大きく依存するので、平板フィラメント60の変形量が大きい場合、所定の焦点寸法を満たさなくなる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、熱膨張による変形を低減した平板フィラメントおよびそれを用いたX線管装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明の第1の発明は、対となる電極板を備えた円状の平板フィラメントにおいて、前記平板フィラメントに形成されたスリットにより前記電極板から供給されるフィラメント電流が流れる電流路を備え、前記電流路は前記平板フィラメントの中心と1対の対向する前記電極板とを結ぶ直線に対して線対称に形成されつつ、前記電流路は対となる前記電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返すことを特徴とする。
すなわち、本発明の第1の発明は、対となる電極板を備えた円状の平板フィラメントにおいて、前記平板フィラメントに形成されたスリットにより前記電極板から供給されるフィラメント電流が流れる電流路を備え、前記電流路は前記平板フィラメントの中心と1対の対向する前記電極板とを結ぶ直線に対して線対称に形成されつつ、前記電流路は対となる前記電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返すことを特徴とする。
上記構成によれば、対となる電極板を備えた円状の平板フィラメントにはスリットが形成され、電極板から供給されるフィラメント電流が流れる電流路が形成されている。この電流路は、対となる電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返しつつ、対となる電極板と平板フィラメントの中心とを結ぶ直線に対して線対称に形成されているので、それぞれの平板フィラメントの熱膨張による変形を抑えることができる。
また、電流路の合流部の幅は、分岐された電流路の幅よりも広く、前記電極板の幅よりも狭いことが好ましい。対となる電極板を結ぶ直線上で分岐された電流路の幅よりも広い電流路の合流部が形成されることで、剛性の強い箇所を対となる電極板を結ぶ直線状に形成することができる。これより、平板フィラメントの熱膨張による変形量を低減することができる。
また、平板フィラメントの中心部の前記電流路の幅よりも、前記平板フィラメントの周辺部の前記電流路の幅の方を狭くしてもよい。これより、平板フィラメントの中心から周辺部にかけて発生する熱勾配を低減することができる。熱勾配が低減されると、電子密度の均一な電子ビームを発生させることができる。
また、電極板にはそれぞれ孔が形成され、孔により電極板での電流路の幅が制限されることが望ましい。これより、熱伝導による電極板への熱の逃げを低減することができるので、平板フィラメントの中心から電極板にかけて発生する熱勾配を低減することができる。熱勾配が低減されると、電子密度の均一な電子ビームを発生させることができる。
また、平板フィラメントは、タングステンまたはタンタルまたはこれらの合金であることが望ましい。これより、長寿命の平板フィラメントを形成することができる。
また、一方の電極板からもう一方の電極板までの平板フィラメント上での経路長が、いずれの電流路を経ても同じであることが望ましい。これより、いずれの電流路を選択しても抵抗値は同じであるので、発生する熱の分布を均一にすることができる。
また、平板フィラメントが備える電極板の数が偶数個であることが望ましい。偶数個であれば、対となる電極板と平板フィラメントの中心とを結ぶ直線に対して線対称な電流路を好適に形成することができる。
また、本発明の第2の発明は、外囲器回転型のX線管装置であって、電子ビームを発生させる平板フィラメントと、前記平板フィラメントからの電子ビームの衝突によりX線を発生させる陽極と、前記平板フィラメントおよび前記陽極を内部に収容する外囲器と、前記外囲器とともに絶縁流体を内部に収容するハウジングと、前記外囲器と接続された回転軸と、前記回転軸を介して前記外囲器を回転させる回転駆動部とを備え、前記平板フィラメントは、対となる電極板を備えた円状の平板フィラメントであって、前記平板フィラメントに形成されたスリットにより前記電極板から供給されるフィラメント電流が流れる電流路を備え、前記電流路は前記平板フィラメントの中心と1対の対向する前記電極板とを結ぶ直線に対して線対称に形成されつつ、前記電流路は対となる前記電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返すことを特徴とするX線管装置。
上記構成によれば、平板フィラメントから発生された電子ビームが陽極に衝突することでX線が発生する。この平板フィラメントと陽極は共に外囲器の内部に収容され、さらに外囲器は絶縁流体とともにハウジングの内部に収容されている。外囲器は回転軸と接続され、回転軸を介して回転駆動部により外囲器が回転される。外囲器回転型のX線管装置では、陰極も外囲器と一体となって回転するのでコイル状のフィラメントよりも、円形の平板フィラメントの方が好ましい。円形の平板フィラメントであれば、電子密度の偏りの少ない電子ビームを発生させることができる。
また、平板フィラメントは対となる電極板を備えている。さらに、平板フィラメントには、それ自身に形成されたスリットにより、電極板を介して供給されるフィラメント電流が流れる電流路を備えている。この電流路は平板フィラメントの中心と1対の対向する電極板とを結ぶ直線に対して線対称に形成されている。さらに、電流路は対となる前記電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返す。これより、平板フィラメントの熱膨張による変形を抑えられるので、平板フィラメントから陽極へ射出される電子ビームの焦点の大きさの変化を低減することができる。これより、外囲器回転型のX線管装置において、焦点の安定したX線を発生することができる。
本発明に係る平板フィラメントによれば、熱膨張による変形を低減した平板フィラメントおよびそれを用いたX線管装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は外囲器回転型X線発生装置の全体図であり、図2は陰極の断面図であり、図3は平板フィラメントの平面図である。
図1は外囲器回転型X線発生装置の全体図であり、図2は陰極の断面図であり、図3は平板フィラメントの平面図である。
図1に示すように、実施例1に係る外囲器回転型のX線管装置1は、内部を真空排気された外囲器2を備えている。この外囲器2内に、高温に加熱され熱電子を放出する平板フィラメント3と、この平板フィラメント3を溝の中に取り付けた集束電極4とを収容し、この2つで陰極5を構成する。平板フィラメント3と集束電極4とは同電位に保持され、平板フィラメント3から放出された電子は、集束電極4によりビーム状に形成された電子ビームとなって陽極6へ衝突する。
陰極5と対向位置の外囲器2の端面には陽極6を配設している。陰極5および陽極6にはそれぞれ回転軸7が接続され、回転軸7は軸受け19により回転自在に支持されている。電力ケーブル9、軸受け19またはスリップリング機構(図示省略)、回転軸7を介して、陰極5および陽極6に高電圧発生源10から高電圧を供給している。これより、加熱された平板フィラメント3から発生した電子ビームは、高電圧が作る電界により陽極6に向けて加速する。さらに電子ビームは外囲器2外に設けられた偏向コイル11により偏向され、陽極6のターゲットディスク傾斜部に衝突し、X線を発生する。X線は外囲器2の放射口12から放射される。なお、偏向コイル11は、外囲器2の外部に配設された後述する絶縁容器13の外部に設けられており、外囲器2と絶縁容器13とは互いに近接している。
外囲器2は、ステンレス鋼などの金属で形成される。これより、回転体としての機械的強度を増すことができる。なお、X線が放射される放射口12を、アルミニウム、チタンなどのX線透過性のよい金属で形成する。
陽極6側の回転軸7はモータ14に連結されて回転し、これに伴い外囲器2と共に陰極5および陽極6も回転する。外囲器2の回転速度は10,000rpm程度と非常に高回転である。モータ14は本発明における回転駆動部に相当する。
回転する外囲器2の外部には絶縁容器13が外囲器2を取り囲むように配設されており、外囲器2と絶縁容器13との間のギャップには冷却用の絶縁油17が充填されている。絶縁容器13は外囲器2の形状に合わせて取り囲んでおり、上述したように外囲器2と絶縁容器13とは互いに近接している。この絶縁容器13の両側面部は、陰極5側の回転軸7の同軸上に軸受け19を介して保持されるとともに、陽極6側の回転軸7の同軸上にも軸受け19を介して保持されている。絶縁油17は本発明における絶縁流体に相当する。
絶縁容器13のさらなる外部には、絶縁容器13や外囲器2とともに絶縁油17を内部に収容するハウジング16を配設している。絶縁容器13には貫通孔18を設け、その貫通孔18を通して、ハウジング16に収容された絶縁油17は絶縁容器13内外間で互いに移送することが可能である。また、ハウジング16を貫通する回転軸7及び電力ケーブル9とハウジング16との貫通部分には、絶縁油17がハウジング16の外部へ漏れ出すのを防止するオイルシール20を介装している。また、モータ14はハウジング16に支持されている。
次に陰極5について説明する。図2に示すように、平板フィラメント3は2つの電極板22を備えている。電極板22はそれぞれ端子棒23と接続されて固定されている。端子棒23は、絶縁部25を貫通して外囲器2の外部に突出している。突出した端子棒23は配線26と接続されている。配線26はフィラメント給電機構8を介して、ハウジング16の外部のフィラメント電流源(図示省略)と接続される。すなわち、フィラメント電流源から供給されるフィラメント電流は、配線26、端子棒23および電極板22を介して平板フィラメント3に供給される。
平板フィラメント3および電極板22について、図3を参照して詳細に説明する。円状の平板フィラメント3は1対の電極板22を備えている。それぞれの電極板22は平板フィラメント3の直径方向に対向するように配置されている。また、それぞれの電極板22には、長孔27が形成されている。平板フィラメント3の直径は4〜9mm程度である。また、電極板22の幅は0.6mm程度であり、長孔27の短径は0.2mm程度である。長孔27は本発明における孔に相当する。
平板フィラメント3の材質は、W(タングステン)、Ta(タンタル)またはそれらの化合物である。また、これらの金属にRe(レニウム)等の再結晶防止剤をさらに添加してもよい。再結晶防止剤を添加することで、平板フィラメント3の強度劣化を防ぐことができる。平板フィラメント3はこれらの金属の薄板より形成され、その厚みは0.05mm〜2mm程度が好ましい。
平板フィラメント3には平板フィラメント3の外周に沿うような同心円状のスリット28および電極板22と90度の角度をなす直線状のスリット29が形成されている。これらのスリットにより、平板フィラメント3上には、分岐と合流とを繰り返す電流路30が形成されている。つまり、平板フィラメント3上において一方の電極板22から電流路30が弧状に二手に分岐され、両電極板22の中間に位置する直線状スリット29まで辿ると電流路30はそれぞれ折り返す。折り返した後それぞれ弧状の電流路30を辿ると、電流路30は対向する2本の電極板22を結ぶ直線上で合流する。電流路30は合流した後さらに二手に分岐して、両電極板22の中間に位置する直線状スリット29まで辿るとそれぞれ折り返して再度、対向する2本の電極板22を結ぶ直線上で合流する。このように、電流路30は分岐と合流とを繰り返し、平板フィラメント3の中心部で合流した後も、分岐と合流とを繰り返してもう一方の電極板22に辿る構造である。平板フィラメント3には、直線状に5箇所の合流部31が設けられている。
このように、電流路30は、平板フィラメント3の中心と1対の電極板22とを結ぶ直線に対して線対称に形成されつつ、電流路30は対となる電極板22を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返す。また、一方の電極板22からもう一方の電極板22までの経路長が、いずれの電流路30を経ても同じである。すなわち、どの経路を経ても抵抗値は同じであるので、電流路30を流れる電流に偏りが生じない。これより、平板フィラメント3で発生する熱の分布を均一にすることができる。
なお、スリット28およびスリット29のスリット幅は0.1mm程度であるが、これに限らない。また、このスリット間隔により電流路30間のショートを防いでいる。電流路30の幅は0.3mm程度である。
二手に分岐した電流路30の合流部31の幅は、二手に分岐した電流路30の幅よりも広く形成されている。これより、対向する2本の電極板22を結ぶ直線上に、二手に分岐した電流路の幅よりも幅の広い箇所が繰り返し形成されているので、電流路30の幅を一定に形成した平板フィラメントよりも剛性を強くすることができる。つまり、一対の電極板22を結ぶ直線上に梁が形成されたように剛性を強くすることができる。これより、電流路30にフィラメント電流を流して平板フィラメント3が高温になった際に、従来例に比べて平板フィラメント3の変形量を少なくすることができる。実施例1における電流路22の合流部31の幅は、電極板22の幅よりも小さく形成しており、具体的には0.5mm程度である。
また、電極板22には、平板フィラメント近傍に長孔27が形成されているので、長孔27により電極板22に流れる電流の電流路が制限される。これより、熱伝導による熱の逃げを抑制することができるので、平板フィラメント3の中心から電極板22にかけて生じる熱勾配を低減することができる。熱勾配が低減されると、電子密度が均一な電子ビームを発生させることができる。実施例1では、長孔27の形状は楕円形であるが、これに限らず例えば長方形でもよい。
次にX線発生の動作説明をする。陰極5および陽極6はモータ14の回転に伴い回転軸7により外囲器2と共に高速で回転する。電極板22の一方より、フィラメント電流が平板フィラメント3に流れると、フィラメント電流は、電流路30の形状にしたがって一方の電極板22から二手に分岐する。両電極板22との中間に位置する直線状スリット29まで辿るとそれぞれ折り返し、その後、対向する2本の電極板22を結ぶ直線上で合流する。フィラメント電流は合流した後さらに二手に分岐して、両電極板22の中間に位置する直線状スリット29まで辿るとそれぞれ折り返して再度合流する。このようにフィラメント電流は分岐と合流とを繰り返し、平板フィラメント3の中心部で合流した後も、分岐と合流とを繰り返してもう一方の電極板22に流れる。
電流路30にフィラメント電流が流れると熱が発生し、平板フィラメント3が加熱される。また、平板フィラメント3が上述した構造により、平板フィラメント3上のどの電流路30の経路をとっても、電極板22からもう一方の電極板22までの抵抗値は同じである。これより、平板フィラメント3上に発生する熱の分布を均一にすることができる。これより、加熱された平板フィラメント3から放出される電子ビームの電子密度も均一にすることができる。
また、平板フィラメント3には対向する2本の電極板22を結ぶ直線上に二手に分岐した電流路30の幅よりも幅の広い箇所が繰り返し形成されているので、平板フィラメント3の剛性を強くすることができる。これより、熱膨張時に電流路30の反りかえりを抑えることができる。平板フィラメント3から放出された電子は、集束電極4により適切に集束され、焦点の変動の低減した電子ビームを形成することができる。
このようにして射出された電子ビームは偏向コイル11により偏向され、陽極6のターゲットディスク傾斜部に衝突し、X線を発生する。電子ビームが陽極6のターゲットディスクに衝突する際、上述したように焦点の変動が低減されているので、焦点が安定したX線を発生させることができる。発生したX線は外囲器2の放射口12から放射される。
このように、実施例1の平板フィラメント3およびX線管装置1によれば、電流路30が対となる電極板22を結ぶ直線状で分岐と合流とを繰り返しつつ対となる電極板22とフィラメントの中心とを結ぶ直線に対して線対称に形成されているので、電流路30の熱膨張による変形を抑えることができる。これより、平板フィラメント3から発生する電子ビームの電子密度を均一にすることができる。電子ビームの電子密度が均一であれば、陽極12に衝突して発生するX線の強度分布も均一にすることができる。
さらに、電流路30の合流部31の幅は、分岐された電流路30の幅よりも広く、電極板22の幅よりも狭い。これより、分岐された電流路30の幅よりも広い電流路の合流部31を、対となる電極板22を結ぶ直線上に形成することで、剛性の強い箇所を直線状に連続的に形成することができる。これより、平板フィラメント3の熱膨張による変形を低減することができる。この結果、電流路30および平板フィラメント3の反りかえりを抑えることができる。平板フィラメント3がいびつな変形をすることがないので、集束電極4に対する平板フィラメント3の変形を低減することができる。また、平板フィラメント3から放出された電子を集束電極4において適切に集束することができるので、陽極6上の焦点の変形を低減することができる。これより、焦点の安定したX線を発生させることができる。
上述した実施例1では、平板フィラメント3は1対すなわち2本の電極板22を備えていたが、2対すなわち4本の電極板22を備える構成でもよい。この場合、図4に示すように、電極板22は平板フィラメント40の周囲に90度おきに配置されている。以下、実施例1と実施例2との違いを説明し、共通する事項に関しては説明を省略する。
実施例2では、4本の電極板22が円形の平板フィラメント40に備えられている。これら4本の電極板22は、フィラメント電流の入力部と出力部とにそれぞれ2本づつに分けられ、1本の端子棒23にそれぞれ2本の電極板22が接続されている。また、4本の端子棒23を用意して、電極板22にそれぞれ接続する構成でもよい。
平板フィラメント40上には、平板フィラメント40の外周に沿うような同心円状のスリット42と、それぞれの電極板22と45度の角度をなす直線状のスリット43が形成されている。これらのスリットにより分岐と合流とを繰り返す電流路41が平板フィラメント40に形成されている。つまり、一方の電極板22から電流路41が弧状に二手に分岐され、隣り合う電極板22との中間に位置する直線スリット43まで辿ると電流路41はそれぞれ折り返す。折り返した後それぞれ弧状の電流路41を辿ると、電流路41は対向する2本の電極板22を結ぶ直線上で合流する。電流路41は合流した後さらに二手に分岐して、隣り合う電極板22の中間に位置する直線スリット43まで辿るとそれぞれ折り返して再度対向する2本の電極板22を結ぶ直線上で合流する。このように、電流路41は分岐と合流とを繰り返し、平板フィラメント40の中心部で合流した後も、分岐と合流とを繰り返してもう一方の電極板22に辿る構造である。平板フィラメント40には、十字状に9箇所の合流部が設けられている。
実施例2の平板フィラメント40には、2対すなわち4本の電極板22が備えられているが、これらのうち2本の電極板22がフィラメント電流の入力部であり、残り2本の電極板22がフィラメント電流の出力部となる。4本の電極板22のうちいずれの2本を入力部とするかについては制限はないが、入力部と出力部とには必ず2本づつ用いる。例えば、3本の電極板22を入力部とした場合、出力部は1本だけとなるので、電流路41に流れる電流に偏りが生じる。この場合、フィラメント40で発生する熱の分布に偏りが生じるので好ましくない。
実施例2の平板フィラメント40およびそれを用いたX線管装置によれば、平板フィラメント40が4本の電極板22により固定されているので、実施例1に比べ平板フィラメント40の変形をより低減することができる。さらに、平板フィラメント40には、対向する2本の電極板22を結ぶそれぞれの直線上に、二手に分岐した電流路41の幅よりも幅の広い合流部が繰り返し形成されるので、平板フィラメント40の剛性を強くすることができる。実施例2の場合、十字状に剛性の強い箇所が連続的に形成されているので、引用例1よりもさらに平板フィラメントの熱膨張による変形を低減することができる。
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)上述した実施例では、電流路30の幅は、平板フィラメント3の中心部も周辺部も同じ幅で形成していたが、平板フィラメント3で発生する熱の分布が中心部ほど高温になるのであれば、平板フィラメント3の中心部の電流路30の幅を広くして、周辺部の電流路30の幅を狭くしてもよい。スリット28の幅及び位置を調整することで電流路30の幅を調整することができる。低温になりやすい周辺部の電流路30の幅が中心部よりも狭いので、中心部よりも周辺部の電流路30の抵抗値を増すことができる。これより、周辺部の電流路30を中心部よりも高温にすることができ、平板フィラメント3の熱分布を均一にすることができる。
(2)上述した実施例では、電流路30の数は2本または4本であったが、これに限らず6本でもよいし、偶数本であればよい。
1 … X線管装置
2 … 外囲器
3、40 … 平板フィラメント
4 … 集束電極
5 … 陰極
6 … 陽極
7 … 回転軸
14 … モータ
16 … ハウジング
22 … 電極板
27 … 長孔
28、29、42、43 … スリット
30、41 … 電流路
31 … 合流部
2 … 外囲器
3、40 … 平板フィラメント
4 … 集束電極
5 … 陰極
6 … 陽極
7 … 回転軸
14 … モータ
16 … ハウジング
22 … 電極板
27 … 長孔
28、29、42、43 … スリット
30、41 … 電流路
31 … 合流部
Claims (8)
- 対となる電極板を備えた円状の平板フィラメントにおいて、
前記平板フィラメントに形成されたスリットにより前記電極板から供給されるフィラメント電流が流れる電流路を備え、
前記電流路は前記平板フィラメントの中心と1対の対向する前記電極板とを結ぶ直線に対して線対称に形成されつつ、
前記電流路は対となる前記電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返す
ことを特徴とする平板フィラメント。 - 請求項1に記載の平板フィラメントにおいて、
前記電流路の合流部の幅は、分岐された電流路の幅よりも広く、前記電極板の幅よりも狭いことを特徴とする平板フィラメント。 - 請求項1または2に記載の平板フィラメントにおいて、
前記平板フィラメントの中心部の前記電流路の幅よりも、前記平板フィラメントの周辺部の前記電流路の幅の方が狭い
ことを特徴とする平板フィラメント。 - 請求項1から3のいずれか1つに記載の平板フィラメントにおいて、
前記電極板にはそれぞれ孔が形成され、
前記孔により前記電極板に流れる電流が制限される
ことを特徴とする平板フィラメント。 - 請求項1から4のいずれか1つに記載の平板フィラメントにおいて、
前記平板フィラメントは、タングステンまたはタンタルまたはこれらの合金である
ことを特徴とする平板フィラメント。 - 請求項1から5のいずれか1つに記載の平板フィラメントにおいて、
一方の前記電極板からもう一方の前記電極板までの前記平板フィラメント上での経路長が、いずれの前記電流路を経ても同じである
ことを特徴とする平板フィラメント。 - 請求項1から6のいずれか1つに記載の平板フィラメントにおいて、
前記平板フィラメントが備える前記電極板の数が偶数個である
ことを特徴とする平板フィラメント。 - 外囲器回転型のX線管装置であって、
電子ビームを発生させる平板フィラメントと、
前記平板フィラメントからの電子ビームの衝突によりX線を発生させる陽極と、
前記平板フィラメントおよび前記陽極を内部に収容する外囲器と、
前記外囲器とともに絶縁流体を内部に収容するハウジングと、
前記外囲器と接続された回転軸と、
前記回転軸を介して前記外囲器を回転させる回転駆動部とを備え、
前記平板フィラメントは、対となる電極板を備えた円状の平板フィラメントであって、前記平板フィラメントに形成されたスリットにより前記電極板から供給されるフィラメント電流が流れる電流路を備え、前記電流路は前記平板フィラメントの中心と1対の対向する前記電極板とを結ぶ直線に対して線対称に形成されつつ、前記電流路は対となる前記電極板を結ぶ直線上で分岐と合流とを繰り返す
ことを特徴とするX線管装置。
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JP2009186438A JP2011040272A (ja) | 2009-08-11 | 2009-08-11 | 平板フィラメントおよびそれを用いたx線管装置 |
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- 2009-08-11 JP JP2009186438A patent/JP2011040272A/ja active Pending
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