JP2011040122A - 情報記録媒体基板用ガラス、情報記録媒体用ガラス基板および磁気ディスク - Google Patents

情報記録媒体基板用ガラス、情報記録媒体用ガラス基板および磁気ディスク Download PDF

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Abstract

【課題】耐候性に優れた情報記録媒体基板用ガラスの提供。
【解決手段】下記酸化物基準の質量%表示で、SiOを56〜70%、Alを10〜26%、LiOを0.5〜8%、NaOを0〜15%、KOを0〜8%、MgOを0〜6%、CaOを0〜8%、ZrOを0〜6%、Fを0.1〜0.9%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計が8〜18%である情報記録媒体基板用ガラス。
【選択図】なし

Description

本発明は、磁気ディスク(ハードディスク)など情報記録媒体の基板に用いられるガラス、情報記録媒体用ガラス基板および磁気ディスクに関する。
情報記録媒体用基板、特に磁気ディスク用基板としてガラス基板が広く用いられており、たとえば質量%で、47〜60%のSiO、8〜20%のAl、2〜8%のNaO、1〜15%のKO、1〜6%のTiO、1〜5%のZrO、などを含有するガラスが提案されている。
国際公開第08/117758号パンフレット
磁気ディスク用ガラス基板としては、膨張係数やヤング率などが適切なものであることが求められる他に、その在庫中に表面性状が著しく変化し、前記基板上に形成される下地膜、磁性膜、保護膜等の膜が剥がれやすくならないこと、すなわち耐候性が求められる。
本発明は耐候性が改善された磁気ディスク用ガラス基板の提供を目的とする。
本発明は、下記酸化物基準の質量%表示で、SiOを56〜70%、Alを10〜26%、LiOを0.5〜8%、NaOを0〜15%、KOを0〜8%、MgOを0〜6%、CaOを0〜8%、ZrOを0〜6%、Fを0.1〜0.9%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが8〜18%である情報記録媒体基板用ガラスを提供する。なお、たとえばNaOを0〜15%含有するとは、NaOは必須ではないが15%以下の範囲で含有してもよい、の意である。
また、SiOを61〜69%、Alを11〜18%、NaOを0〜13%、KOを0〜5%、MgOを0〜4%、CaOを0〜5%含有し、ROが10%以上である前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
また、SiOを66%以下、LiOを3〜6.5%、NaOを9〜12%、KOを0〜3%含有し、ROが14%以上である前記情報記録媒体基板用ガラスを提供する。
また、前記情報記録媒体基板用ガラスからなる情報記録媒体用ガラス基板を提供する。
また、前記情報記録媒体用ガラス基板上に磁気記録層が形成されている磁気ディスクを提供する。
本発明によれば、耐候性に優れた情報記録媒体基板用ガラスを得ることができる。これにより、前記基板上に形成される下地膜、磁性膜、保護膜等の膜が剥がれにくくなる。
本発明の情報記録媒体基板用ガラス(以下、本発明のガラスという。)の密度dは2.80g/cm以下であることが好ましい。2.80g/cm超ではドライブ回転時にモーター負荷がかかって消費電力が大きくなる、またはドライブ回転が不安定になるおそれがある。好ましくは2.60g/cm以下、より好ましくは2.54g/cm以下である。
本発明のガラスはヤング率Eが73GPa以上であることが好ましい。73GPa未満であるとドライブ回転中に反りやたわみが発生しやすく、高記録密度の情報記録媒体を得ることが困難になるおそれがある。Eは75GPa以上であることがより好ましい。
本発明のガラスは比弾性率E/dが28MNm/kg以上であることが好ましい。E/dが28MNm/kg未満であるとドライブ回転中に反りやたわみが発生しやすく、高記録密度の情報記録媒体を得ることが困難になるおそれがある。E/dは30MNm/kg以上であることがより好ましい。
本発明のガラスのガラス転移点Tgは450℃以上であることが好ましい。450℃未満では磁性層形成熱処理温度を充分高くすることができず、磁性層の保磁力増加が困難になるおそれがある。より好ましくは460℃以上である。
本発明のガラスの−50〜70℃における平均線膨張係数αは53×10−7/℃以上であることが好ましい。53×10−7/℃未満では、金属製のドライブなど他の部材の熱膨張係数との差が大きくなり、温度変動時の応力発生による基板の割れなどが起こりやすくなるおそれがある。より好ましくは55×10−7/℃以上である。αは典型的には100×10−7/℃以下である。
本発明の情報記録媒体用ガラス基板(以下、本発明のガラス基板という。)は、120℃、0.2MPaの水蒸気雰囲気下に20時間保持した時そのガラス表面に析出しているLi量、Na量、K量をそれぞれCLi、CNa、CとしてC=CLi+CNa+Cが7.5nmol/cm以下であることが好ましい。Cが7.5nmol/cm超では、基板上に形成される下地膜、磁性膜、保護膜等の膜が剥がれやすくなる。より好ましくは7nmol/cm以下である。
次に、本発明のガラスの組成について質量百分率表示を用いて説明する。
SiOはガラスの骨格を形成する成分であり、必須である。56%未満では、耐候性が低下する、dが大きくなる、または液相温度が上昇しガラスが不安定になる。好ましくは61%以上である。70%超では、粘度が10dPa・sとなる温度Tおよび粘度が10dPa・sとなる温度Tが上昇しガラスの溶解、成形が困難となる、EもしくはE/dが低下する、またはαが小さくなる。好ましくは69%以下、より好ましくは66%以下である。
Alは耐候性を高める効果を有し、必須である。10%以下では前記効果が小さい、EもしくはE/dが低下する、またはTgが低くなる。好ましくは11%以上である。26%超では耐酸性が低下する、TおよびTが上昇しガラスの溶解、成形が困難となる、αが小さくなる、または液相温度が高くなりすぎる。好ましくは18%以下である。
NaOおよびKOはαを大きくするが、EまたはE/dを低下させる。これに対し、LiOはEまたはE/dを維持したままαを大きくする効果があるため必須である。0.5%未満では前記効果が小さい。好ましくは3%以上である。8%超では、耐候性が低下する、またはTgが低くなる。好ましくは6.5%以下である。
NaOは必須ではないが、αを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり15%まで含有してもよい。15%超では、耐候性が低下する、EもしくはE/dが低下する、またはTgが低くなる。好ましくは13%以下、より好ましくは12%以下である。NaOを含有する場合その含有量は、好ましくは9%以上である。
Oは必須ではないが、αを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり8%まで含有してもよい。8%超では耐候性が低下する、またはEもしくはE/dが低下する。好ましくは5%以下、特に好ましくは3%以下である。
NaOまたはKOは前記効果を有し、αを大きくする効果が他の成分に比べて特に大きいため、NaOまたはKOのいずれかを必ず含有することが好ましく、その場合NaOおよびKOの含有量の合計は好ましくは0.5%以上、より好ましくは3%以上である。
LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが8%未満では、αが小さくなる、またはガラスの溶解性が低下する。好ましくは10%以上、より好ましくは14%以上である。ROが18%超では耐候性が低下する。
MgOは必須ではないが、耐候性を維持したままE、E/dもしくはαを大きくする、ガラスを傷つきにくくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり、6%まで含有してもよい。6%超では液相温度が高くなりすぎる。好ましくは4%以下である。
CaOは必須ではないが、耐候性を維持したままαを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があり、8%まで含有してもよい。8%超ではdが大きくなる、Eが低下する、または液相温度が高くなりすぎるおそれがある。好ましくは5%以下である。
MgOおよびCaOの含有量の合計は10%以下であることが好ましく、より好ましくは7%以下である。
ZrOは必須ではないが、E、E/dもしくはTgを高くする、耐候性を高くする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があるため6%まで含有してもよい。6%超ではdが大きくなる、または液相温度が高くなりすぎるおそれがある。ZrOを含有する場合、典型的には4%以上である。
Fは耐候性を高くする効果があるため、必須である。0.1%未満では前記効果が小さい。好ましくは0.2%以上である。Fの含有量が0.9%超ではTgが低下する、αが低下する、またはEもしくはE/dが低下する。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下である。
本発明のガラスは本質的に上記成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。その場合、当該他の成分の含有量の合計は好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、典型的には2%以下である。
以下、上記成分以外の成分について例示的に説明する。
SrOおよびBaOはいずれも必須ではないが、耐候性を維持したままαを大きくする、またはガラスの溶解性を向上させる効果があるために含有してもよいが、含有量が多すぎると密度が大きくなる、またはガラスに傷がつきやすくなる。SrOおよびBaOの含有量は典型的にはそれぞれ1.5%以下、2%以下であり、MgO、CaOの各含有量が0%の場合も含めて、MgO、CaO、SrOおよびBaOの各含有量の合計は10%以下であることが好ましく、典型的には7%以下である。
は、EもしくはE/dを大きくする、耐候性を高くする、ガラスの溶解性を向上させるなどを目的として、3.5%以下の範囲で含有してもよい。3.5%超では分相現象が起こりやすくなる。好ましくは2.5%以下、より好ましくは1%以下である。典型的にはBは含有しない。
TiOは、E、E/dもしくはTgを高くする、耐候性を高くする効果があり、6%まで含有してもよい。6%超では液相温度が高くなりすぎるおそれがある、または分相現象が起りやすくなるおそれがある。好ましくは4%以下である。
Laは必須ではないが、耐候性を維持したままEを向上させる効果があるため6%まで含有してもよい。6%超ではdが大きくなる、または液相温度が高くなりすぎるおそれがある。好ましくは4%以下である。
Nbは必須ではないが、耐候性を維持したままEを向上させる効果があるため6%まで含有してもよい。6%超ではdが大きくなる、または液相温度が高くなりすぎるおそれがある。好ましくは4%以下である。
REを合計で1%未満まで含有してもよい。なお、前記REはSc、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる希土類の酸化物を示している。
SO、SnO等の清澄剤を合計で2%まで含有してもよい。
Fe、Co、NiOなどの着色剤を合計で2%まで含有してもよい。
は分相現象を起こりやすくする、耐酸性もしくは耐候性を低下させるため、典型的にはPを含有しない。
PbO、CdO、As、SbおよびClは、環境に対する配慮から使用を極力控えるべきであり、典型的にはこれら5成分は含有しない。
本発明のガラスは非晶質ガラスである。
本発明のガラス基板は通常は円形のガラス板である。
本発明のガラス基板は典型的には磁気ディスク用ガラス基板として用いられる。
磁気ディスク用ガラス基板はノートブックパソコン等に用いられる2.5インチ基板(ガラス基板外径:65mm)やポータブルMP3プレーヤなどに用いられる1.8インチ基板(ガラス基板外径:48mm)などに広く使用され、その市場は年々拡大しており、一方で低価格での供給が求められている。このようなガラス基板に使用されるガラスは、大量生産に適したものであることが好ましい。
板ガラスの大量生産はフロート法、フュージョン法、ダウンドロー法などの連続成形法により広く行われており、本発明のガラスはたとえばフロート成形が可能なガラスを含むので大量生産に好適である。
本発明のガラスおよびガラス基板の製造方法は特に限定されず、各種方法を適用できる。たとえば、通常使用される各成分の原料を目標組成となるように調合し、これをガラス溶融窯で加熱溶融する。バブリング、撹拌、清澄剤の添加等によりガラスを均質化し、周知のフロート法、プレス法、フュージョン法またダウンドロー法などの方法により所定の厚さの板ガラスに成形し、徐冷後必要に応じて研削、研磨などの加工を行った後、所定の寸法・形状のガラス基板とされる。成形法としては、特に、大量生産に適したフロート法が好適である。また、フロート法以外の連続成形法、すなわち、フュージョン法、ダウンドロー法にも好適である。
表1のSiOからFまでの欄に質量%表示で示したガラス組成となるように各成分の原料を調合し、白金るつぼを用いて1600℃の温度で3〜5時間溶解した。溶解にあたっては、白金スターラを溶融ガラス中に挿入し、2時間撹拌してガラスを均質化した。次いで溶融ガラスを流し出して板状に成形し、毎分1℃の冷却速度で室温まで徐冷した。なお、Fの含有量はICP−MSによって測定した。
例1、2のガラスは実施例、例3のガラスは比較例である。
こうして得られたガラス板について、密度d(単位:g/cm)、前記平均線膨張係数α(単位:×10−7/℃)、ヤング率E(単位:GPa)、比弾性率E/d(単位:MNm/kg)、ガラス転移点Tg(単位:℃)、耐候性指標C(単位:nmol/cm)を以下に示す方法によって測定した。結果を表1に示す。
d:泡のないガラス20〜50gを用い、アルキメデス法にて測定した。
α:示差熱膨張計を用いて、石英ガラスを参照試料として室温から5℃/分の割合で昇温した際のガラスの伸び率をガラスが軟化してもはや伸びが観測されなくなる温度すなわち屈伏点まで測定し、得られた熱膨張曲線から−50〜70℃における平均線膨張係数を算出した。
E:厚さが5〜10mm、大きさが3cm角のガラス板について、超音波パルス法により測定した。
Tg:示差熱膨張計を用いて、石英ガラスを参照試料として室温から5℃/分の割合で昇温した際のガラスの伸び率を屈伏点まで測定し、得られた熱膨張曲線における屈曲点に相当する温度をガラス転移点とした。
:厚さが1〜2mm、大きさが4cm×4cmのガラス板の両面を酸化セリウムで鏡面研磨し、炭酸カルシウムおよび中性洗剤を用いて洗浄した後、高度加速寿命試験装置(エスペック社製不飽和型プレッシャークッカーEHS−411M)に入れて120℃、0.2MPaの水蒸気雰囲気に20時間静置した。洗浄済みチャック付ポリ袋に試験後試料と超純水20mlを入れ超音波洗浄機で10分間表面析出物を溶解し、ICP−MSを使用して各アルカリ成分(Li、Na)の溶出物を定量した。各アルカリ成分の溶出量はモル換算し、試料表面積で規格化し、これらの合計をCとした。
Fを含有しない例3においては耐候性指標Cが7.85nmol/cmであるが、Fを0.26%、0.54%それぞれ含有する例1、2においてはCが6.78nmol/cm、6.53nmol/cmまで低下している。
一方、例1、2においてはガラスの物性(d、α、E、E/d)に大きな変化がないことがわかる。つまり、本発明によればガラスの物性を変化させることなく耐候性を高くできることがわかる。
表2のSiOからFまでの欄に質量%表示で示した例4〜13のガラス組成は本発明の実施例であるがガラスの溶融は行わず、d、α、E、Cは組成から計算・推定して求めた。このようにして求めたd、α、E、Cを表2にあわせて示す。
Figure 2011040122
Figure 2011040122
磁気ディスクなどの情報記録媒体の製造や情報記録媒体用ガラス基板に利用できる。

Claims (11)

  1. 下記酸化物基準の質量%表示で、SiOを56〜70%、Alを10〜26%、LiOを0.5〜8%、NaOを0〜15%、KOを0〜8%、MgOを0〜6%、CaOを0〜8%、ZrOを0〜6%、Fを0.1〜0.9%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが8〜18%である情報記録媒体基板用ガラス。
  2. MgOおよびCaOの含有量の合計が10%以下である請求項1の情報記録媒体基板用ガラス。
  3. SiOを61〜69%、Alを11〜18%、NaOを0〜13%、KOを0〜5%、MgOを0〜4%、CaOを0〜5%含有し、ROが10%以上である請求項1の情報記録媒体基板用ガラス。
  4. SiOを66%以下、LiOを3〜6.5%、NaOを9〜12%、KOを0〜3%含有し、ROが14%以上である請求項1、2または3の情報記録媒体基板用ガラス。
  5. MgOおよびCaOの含有量の合計が7%以下である請求項3または4の情報記録媒体基板用ガラス。
  6. ZrOを4%以上含有する請求項1〜5のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
  7. Fを0.2〜0.6%含有する請求項1〜6のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
  8. PbO、CdO、As、SbおよびClのいずれも含有しない請求項1〜7のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
  9. 密度が2.80g/cm以下である請求項1〜8のいずれかの情報記録媒体基板用ガラス。
  10. 請求項1〜9のいずれかの情報記録媒体基板用ガラスからなる情報記録媒体用ガラス基板。
  11. 請求項10の情報記録媒体用ガラス基板上に磁気記録層が形成されている磁気ディスク。
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