JP2017036177A - 磁気記録媒体用ガラス基板、および磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体用ガラス基板、および磁気記録媒体 Download PDF

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Abstract

【課題】高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、高いヤング率、高い比弾性率、並びに、基板用ガラス生産時の高い溶解性、良好な成形性及び良好な失透防止性等の特性をバランスよく有し、エネルギーアシスト磁気記録方式にも好適に使用できる磁気記録媒体用ガラス基板及びそれを用いた磁気記録媒体の提供。
【解決手段】酸化物基準の質量百分率表示で、SiOを50〜65%、Alを8〜15%、Bを0〜1%、MgOを0〜10%、CaOを1〜12%、SrOを2〜12%、BaOを0〜5%、ZrOを1〜7%、NaOを2〜8%、KOを0〜8%、MgO+CaO+SrO+BaOを10〜30%、含有し、SrO/NaOが0.4〜2.5である磁気記録媒体用ガラス基板10。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気記録媒体用ガラス基板、およびそれを用いた磁気記録媒体に関する。
近年、ハードディスクドライブの記録容量の増大に伴い、高記録密度化がハイペースで進行している。しかし、高記録密度化に伴い、磁性粒子の微細化が熱安定性を損ない、クロストークや再生信号のSN比低下が問題となっている。即ち、高記録密度化した場合には、1ビットを記録するための面積が減少するため、磁気記録媒体用ガラス基板の主表面の凹凸や傷つきをより低減する必要を生じている。
さらに、高記録密度化のために、光と磁気の融合技術として熱アシスト磁気記録技術が注目されている(例えば特許文献1参照)。これは、磁気記録層にレーザ光や近接場光を照射して局所的に加熱した部分の保磁力を低下させた状態で外部磁界を印加して記録し、GMR素子等で記録磁化を読み出す技術であり、高保持力媒体に記録できるため、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化することが可能となる。しかし、高保持力媒体を基板上に多層膜にして成膜するには、基板を高温に加熱する必要があり、高耐熱基板が求められる。
しかしながら耐熱温度の高いガラス基板を作製しようとすると溶解や成形に必要な温度が高くなり製造が困難になる。磁気記録媒体用ガラス基板はプレス法、フロート法等による製造が提案されてきた。プレス法ではガラスモールドも高い耐熱性が必要となり製造が困難である。成形温度を下げるとガラスの粘性が下がり、より高い圧力でガラスをプレスせねばならず実現が事実上困難である。フロート法で作製するためには、溶解および成形温度が低く、さらに成形温度付近で失透しないことが要求される。
国際公開第2013/140469号 日本特開平08−290938号公報
また、特許文献2では、高歪点ガラス基板の提案があるが、これはプラズマディスプレイ用途を主眼としているもので、課題が異なるものであり、特許文献2記載の発明が磁気ディスク用として優れるとは必ずしも言えない。
磁気記録媒体用ガラス基板では、磁気記録媒体の製造および使用の観点から、ガラス基板の強度向上および軽量化、また板ガラス生産時に溶解性、成形性が良好なこと、失透しないこと等が求められる。
しかし、磁気記録媒体に使用されるガラス基板において高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、高いヤング率、高い比弾性率、並びに、板ガラス生産時の高い溶解性、良好な成形性および良好な失透防止性等の特性をバランスよく有することは困難であった。
また、ガラス基板の薄板化や高速回転化が求められており、ガラス基板のフラッタリング特性の改善が求められている。フラッタリング特性の改善のためには、特性周波数を下げるために、高いヤング率、小さな比重、高い比弾性率(ヤング率/比重)が求められている。
本発明は、高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、高いヤング率、高い比弾性率、並びに、基板用ガラス生産時の高い溶解性、良好な成形性および良好な失透防止性等の特性をバランスよく有し、エネルギーアシスト磁気記録方式にも好適に使用できる磁気記録媒体用ガラス基板およびそれを用いた磁気記録媒体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決する上で鋭意検討した結果、磁気記録媒体用ガラス基板において、特定の組成範囲とすることで、高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、高いヤング率、高い比弾性率、並びに、基板用ガラス生産時の高い溶解性、良好な成形性および良好な失透防止性等の特性をバランスよく有するガラス基板とすることができることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)酸化物基準の質量百分率表示で、
SiOを50〜65%、
Alを8〜15%、
を0〜1%、
MgOを0〜10%、
CaOを1〜12%、
SrOを2〜12%、
BaOを0〜5%、
ZrOを1〜7%、
NaOを2〜8%、
Oを0〜8%、
MgO+CaO+SrO+BaOを10〜30%、含有し、
SrO/NaOが0.4〜2.5である磁気記録媒体用ガラス基板である。
(2)ガラス転移温度が640℃以上である、上記(1)に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(3)平均熱膨張係数が70×10−7〜90×10−7/℃である、上記(1)または(2)に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(4)粘度が10dPa・sとなる温度(T)が1230℃以下、粘度が10dPa・sとなる温度(T)が1650℃以下、上記Tと失透温度(T)との関係がT−T≧−30℃である、上記(1)〜(3)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(5)密度が2.85g/cm以下である、上記(1)〜(4)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(6)上記Alの含有量が8.5〜14.5%である上記(1)〜(5)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(7)上記CaOの含有量が3〜11%である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(8)上記CaOの含有量が3〜10%である上記(1)〜(6)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(9)上記NaOの含有量が4〜7%である上記(1)〜(8)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(10)上記MgO+CaO+SrO+BaOが17〜23%である上記(1)〜(9)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(11)上記BaOの含有量が2%以下である上記(1)〜(10)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(12)上記SiOの含有量と上記Alの含有量とについて、9SiO+15Alの式で算出される値が570%〜840%となる、上記(1)〜(11)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(13)上記NaOの含有量と上記KOの含有量とについて、3NaO+2KOの式で算出される値が14%〜44%となる、上記(1)〜(12)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
(14)(1)〜(13)のいずれか一つに記載の磁気記録媒体用ガラス基板の少なくとも一方の主表面上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、高いヤング率、高い比弾性率、並びに、基板用ガラス生産時の高い溶解性、良好な成形性および良好な失透防止性等の特性をバランスよく有する。また、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を用いることで、記録密度の高い磁気記録媒体を提供できる。特に、エネルギーアシスト磁気記録方式にも好適に使用できる磁気記録媒体用ガラス基板として有用である。
図1は本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の実施形態の一例を示す斜視図である。 図2は、本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例の側面図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。各図面において、同一の又は対応する構成には、同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。本明細書において、数値範囲を表す「〜」はその前後の数値を含む範囲を意味する。
図1は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態による磁気記録媒体を示す斜視図である。図2は、本発明の磁気記録媒体の一実施形態による磁気記録媒体を示す側面図である。
磁気記録媒体10は、エネルギーアシスト磁気記録方式の記録媒体である。エネルギーアシスト磁気記録方式は、エネルギー(熱)を与えることで磁気記録層14の保磁力を低下させ、この状態で外部磁界を印加して記録する方式であり、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化できる。磁気記録媒体10は、大気雰囲気下のほか、不活性雰囲気下で使用できる。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気のほか、特に、原子量の小さいヘリウム雰囲気が回転に伴う気流の影響を小さくできるので好ましい。記録時および再生時の少なくとも一方の磁気記録媒体10の回転数は、7200〜20000rpmであってよい。磁気記録媒体10は、基板11、ヒートシンク層12、シード層13、磁気記録層14、および保護層15を有する。
尚、磁気記録媒体は、図1、図2の構成に限定されない。磁気記録媒体は、基板11と、磁気記録層14とを有していればよく、例えばヒートシンク層12、シード層13、および保護層15を有しなくてもよい。また、磁気記録媒体は、基板11と磁気記録層14との間に、密着層、軟磁性裏打ち層、中間層などをさらに有してもよい。また、磁気記録媒体は、基板11の両側に磁気記録層14を有してもよい。
基板11は、ガラス基板であって、基板用ガラスによって形成される。一般的に、基板11のフラッタリング特性の指標dとして、基板用ガラスの比弾性率E/ρが用いられる。フラッタリングを抑制するため、指標dの大きいガラスが望ましい。ここで、比弾性率E/ρは、ヤング率Eと密度ρとの比E/ρである。
<本発明の磁気記録媒体用ガラス基板>
以下、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板について説明する。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、下記酸化物基準の質量百分率表示で、
SiOを50〜65%、
Alを8〜15%、
を0〜1%、
MgOを0〜10%、
CaOを1〜12%、
SrOを2〜12%、
BaOを0〜5%、
ZrOを1〜7%、
NaOを2〜8%、
Oを0〜8%、
MgO+CaO+SrO+BaOを10〜30%、含有し、
SrO/NaOが0.4〜2.5である組成を有する。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板のガラス転移温度(Tg)は、ソーダライムガラスのガラス転移温度より高いことが好ましく、具体的には640℃以上であることが好ましい。本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を磁気記録媒体として用いる場合、高温における磁性層の形成を担保するためガラス転移温度(Tg)は645℃以上であることがより好ましく、650℃以上がさらに好ましく、655℃以上が特に好ましい。溶解時の粘性を上げ過ぎないようにするために750℃以下とするのがより好ましい。さらに好ましくは720℃以下、特に好ましくは690℃以下である。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の50〜350℃における平均熱膨張係数は、70×10−7〜90×10−7/℃であることが好ましい。本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を磁気記録媒体のガラス基板として用いる場合、70×10−7/℃未満、または90×10−7/℃超では、磁性層との熱膨張差が大きくなりすぎ、剥がれ等の欠点が生じやすくなる。上限値はより好ましくは85×10−7/℃以下である。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、粘度が10dPa・sとなる温度(T)と失透温度(T)との関係がT−T≧−30℃であることが好ましい。T−Tが−30℃未満では、板ガラス成形時に失透が生じやすく、ガラス板の成形が困難になるおそれがある。T−Tは、より好ましくは−20℃以上、さらに好ましくは−10℃以上、特に好ましくは0℃以上、最も好ましくは10℃以上である。ここで、失透温度とは、ガラスを特定の温度で17時間保持するときに、ガラス表面および内部に結晶が生成しない最低の温度を指す。
ガラス板の成形性、即ち、平坦性向上、および生産性向上を考慮すると、Tは1230℃以下であることが好ましい。Tは1220℃以下がより好ましく、1210℃以下がさらに好ましい。
また、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、ガラスの溶解性、即ち、均質性向上、および生産性向上等を考慮して、粘度が10dPa・sとなる温度(T)は1650℃以下であることが好ましい。Tは1630℃以下がより好ましく、1610℃以下がさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、密度が2.85g/cm以下であることが好ましい。密度が2.85g/cmを超えると、ガラス基板の質量が重くなり好ましくない。密度は、より好ましくは2.8g/cm以下、さらに好ましくは2.75g/cm以下である。また、フロート法やフュージョン法等の通常の方法でガラス基板を製造する場合に、容易に製造できるようなガラス組成範囲とすることを考慮すると、通常2.4g/cm以上である。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、脆さ指標値が7000m−1/2未満であるのが好ましい。脆さ指標値が7000m−1/2以上であると、磁気記録媒体の製造工程でガラス基板が割れやすくなり好ましくない。6900m−1/2以下であることがより好ましく、さらに好ましくは6800m−1/2以下、特に好ましくは6700m−1/2以下、一層好ましくは6600m−1/2以下である。また、フロート法やフュージョン法等の通常の方法でガラス基板を製造する場合に、容易に製造できるようなガラス組成範囲とすることを考慮すると、通常5000m−1/2以上である。
本発明において、磁気記録媒体用ガラス基板の脆さ指標値は、下式(1)により定義される「B」として得られるものである(J.Sehgal, et al.,J.Mat.Sci.Lett.,14,167(1995))。
c/a=0.0056B2/31/6 … 式(1)
ここで、Pはビッカース圧子の押し込み荷重であり、a、cはそれぞれ、ビッカース圧痕の対角長および四隅から発生するクラックの長さ(圧子を含む対称な2つのクラックの全長)である。各種ガラスの表面に打ち込んだビッカース圧痕の寸法と式(1)を用いて、脆さ指標値Bを算出することとする。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板では、ヤング率が76GPa以上が好ましい。ヤング率が76GPaより小さいと、一定応力下でのひずみ量が大きくなり、製造工程での反りが発生し不具合を生じ正常に成膜できないおそれがある。また、製品での反りが大きくなり好ましくない。より好ましくは77GPa以上、さらに好ましくは78GPa以上、特に好ましくは78.5GPa以上である。
また、ヤング率(以下、「E」ともいう)を密度(以下、「ρ」ともいう)で割った比弾性率(E/ρ)は、27.5GPa・cm/g以上が好ましい。比弾性率が27.5GPa・cm/gより小さいと、ローラー搬送中、もしくは部分的な支持の場合に自重で撓んでしまい、製造工程で正常に流動させられないおそれがある。より好ましくは28GPa・cm/g以上である。なお、比弾性率(E/ρ)を27.5GPa・cm/g以上とするには、例えばヤング率が77GPa以上であれば、密度を2.8g/cm以下とし、ヤング率が79GPa以上であれば、密度を2.85g/cm以下とすればよい。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板において、上記組成に限定する理由は以下のとおりである。
SiO
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分で、50質量%(以下、「質量%」を単に「%」と記載する。以下、同様である。)未満ではガラス基板の耐熱性および化学的耐久性が低下し、平均熱膨張係数が増大するおそれがある。好ましくは52%以上であり、より好ましくは53%以上であり、特に好ましくは53.5%以上、さらに好ましくは54%以上である。
しかし、65%超ではガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪化する問題が生じるおそれがある。好ましくは63%以下であり、より好ましくは62%以下であり、さらに好ましくは61%以下、特に好ましくは59%以下、一層好ましくは57.5%以下である。
Al
Alは、ガラス転移温度を上げ、耐候性(ソラリゼーション)、耐熱性および化学的耐久性を向上し、ヤング率を上げる。その含有量が8%未満であるとガラス転移温度が低下するおそれがある。また平均熱膨張係数が増大するおそれがある。好ましくは8.5%以上であり、より好ましくは9%以上であり、さらに好ましくは10%以上、特に好ましくは11%以上、一層好ましくは12%以上である。
しかし、15%超では、ガラスの高温粘度が上昇し、溶解性が悪くなるおそれがある。また、失透温度が上昇し、成形性が悪くなるおそれがある。好ましくは14.5%以下、より好ましくは14%以下である。
SiOおよびAl
SiOおよびAlは、ガラス基板の耐熱性を増加させる成分であるので、SiOの含有量とAlの含有量とについて、9SiO+15Al(すなわち、(SiOの含有%×9)と(Alの含有%×15)との合計)が、570%以上となる範囲で含有させるのが好ましい。より好ましくは600%以上、さらに好ましくは630%以上、特に好ましくは660%以上である。しかし、SiOおよびAlは、ガラスの高温粘度を上昇させ、溶解性を悪化させる効果があるので、9SiO+15Alが840%以下となる範囲で含有させるのが好ましい。より好ましくは800%以下、さらに好ましくは760%以下、特に好ましくは720%以下である。

は、溶解性を向上させる等のために1%まで含有してもよい。含有量が1%を超えるとガラス転移温度が下がるおそれ、または平均熱膨張係数が小さくなるおそれがあり、磁性層を形成するプロセスにとって好ましくない。また失透温度が上昇して失透しやすくなり基板用ガラス成形が難しくなる。好ましくは、含有量は0.5%以下である。実質的に含有しないことがより好ましい。
なお、「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。以下、同様である。
MgO:
MgOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、含有させることができる。好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは1%以上である。10%以下であれば、所望の平均熱膨張係数が得られる。また失透温度が上昇することもなく好ましい。好ましくは7%以下、より好ましくは5%であり、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは2.5%以下である。
CaO:
CaOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、1〜12%含有させることができる。好ましくは2%以上、より好ましくは3%以上、さらに好ましくは4%以上、特に好ましくは5%以上である。しかし、12%超ではガラス基板の平均熱膨張係数が増大するおそれがある。好ましくは11%以下、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは9%以下、特に好ましくは8.5%以下である。
SrO:
SrOは、ヤング率を高めフラッタリングの抑制に寄与する成分であり、必須成分である。さらに、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるため、2〜12%含有させる。好ましくは4%以上、より好ましくは6%以上、さらに好ましく7%以上である。しかし、12%超含有するとガラス基板の密度が増大、脆さ指標値が増加するおそれがある。11%以下が好ましく、10%以下であることがより好ましく、9%以下であることがさらに好ましく、8.5%以下であることが特に好ましい。
BaO:
BaOは、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、含有させることができる。しかし、5%超含有するとガラス基板の平均熱膨張係数が増大し、密度が増大し、脆さ指標値が増加するおそれがある。また、ヤング率が低下するおそれがある。3%以下が好ましく、2.5%以下がより好ましく、2%以下であることがさらに好ましい。
ZrO
ZrOは、ヤング率を高めフラッタリングの抑制に寄与する成分であり、必須成分である。さらに、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進する効果があるので、1%以上で含有させる。7%以下であれば失透温度が上昇して失透することもなく、基板用ガラス成形が容易である。6%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、4.5%以下がさらに好ましい。また、好ましくは2%以上、より好ましくは2.5%以上、さらに好ましくは3%以上、特に好ましくは3.5%以上である。
TiO
TiOを含有させると失透温度が上昇するため、TiOは含有しないことが特に好ましい。ただし、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、通常のソーダライムガラスに比べて、ガラス基板製造時に溶融ガラス表面に泡層が生成しやすい。泡層が生成すると、溶融ガラスの温度が上がらず、清澄しづらくなり、生産性が悪化する傾向がある。溶融ガラス表面に生成した泡層を薄化または消失させるために、消泡剤としてチタン化合物が溶融ガラス表面に生成した泡層に供給されることがある。チタン化合物は、溶融ガラス中に取り込まれ、TiOとして存在する。このチタン化合物は、無機チタン化合物(例えば、四塩化チタン、酸化チタン等)であってもよく、有機チタン化合物であってもよい。有機チタン化合物としては、チタン酸エステルまたはその誘導体、チタンキレートまたはその誘導体、チタンアシレートまたはその誘導体、シュウ酸チタネート等が挙げられる。上記の理由により、TiOは含有される場合には、不純物として0.2%以下とすることが好ましい。
MgO、CaO、SrOおよびBaO:
MgO、CaO、SrOおよびBaOについては、ガラスの溶解時の粘性を下げ、溶解を促進させる点から、CaOおよびSrOを含み、かつMgOおよびBaOからなる群から選ばれる少なくとも1種を含んでもよく、それらの含有量の合量(すなわち、これらのアルカリ土類金属酸化物(RO)の含有量の合量を、(MgO+CaO+SrO+BaO)とも記す。)は、10%以上とする。しかし、合量が30%超では失透温度が上昇し、成形性が悪くなる恐れがある。13%以上が好ましく、15%以上がより好ましく、16%以上が更に好ましく、17%以上が特に好ましい。また、26%以下が好ましく、23%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましく、18%以下が特に好ましい。
NaO:
NaOは、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板をS磁気記録媒体のガラス基板として用いる場合、また、ガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので、2〜8%含有させる。含有量が3%以上であると好ましく、含有量が4%以上であるとより好ましい。
NaO含有量が8%を超えると平均熱膨張係数が大きくなり、ガラス転移温度が低下する傾向がある。または化学的耐久性が劣化する傾向がある。または、ヤング率が低下するおそれがある。含有量が7.5%以下であると好ましく、7%以下であるとより好ましく、6.5%以下であるとさらに好ましい。
O:
Oは、NaOと同様の効果があるため、0〜8%含有させる。しかし、8%超ではガラス転移温度が低下し、平均熱膨張係数が大きくなり、比重が大きくなるおそれがある。含有する場合は0.5%以上であることが好ましく、1%以上であることがより好ましく、3.5%以上であることがさらに好ましい。また、多すぎるとヤング率が低下するおそれがある。7%以下が好ましく、6%以下であることがより好ましく、5%以下がさらに好ましく、4.5%以下が特に好ましい。
NaOおよびKO:
NaOおよびKOは、ガラス溶解温度での粘性を下げ、溶解しやすくする効果があるので、NaOの含有量とKOの含有量とについて3NaO+2KO(すなわち、(NaOの含有%×3)と(KOの含有%×2)との合計)が14%以上となる範囲で含有させるのが好ましい。より好ましくは16%以上、さらに好ましくは18%以上、特に好ましくは20%以上である。NaOおよびKOは、平均熱膨張係数を大きくし、ガラス転移温度及びヤング率を低下させる傾向があるので、3NaO+2KOが44%以下となる範囲で含有させるのが好ましい。より好ましくは40%以下、さらに好ましくは36%以下、特に好ましくは32%以下である。
SrOとNaOの比:
SrOの含有量とNaOの含有量との比(SrO/NaO)は、0.4以上とする。SrOがNaO量に対して少ないと、磁気記録媒体用ガラス基板を作製した時にヤング率が低くなる傾向がある。好ましくは0.8以上であり、より好ましくは0.9以上、さらに好ましくは1.0以上、特に好ましくは1.1以上である。しかし2.5を超えると、ガラス基板の比重が大きくなりすぎるおそれがある。2.1以下が好ましく、より好ましくは1.8以下、さらに好ましくは1.6以下、特に好ましくは1.4以下である。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、本質的に上記母組成(SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaO、およびKOを前述した範囲で含むガラス母組成)からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で、上記ガラス母組成に対し内割りで、下記のその他の成分をそれぞれ1%以下、合計で5%以下含有してもよい。たとえば、剛性、耐候性、溶解性、失透性等の改善を目的に、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、P、TiO等を含有してもよい場合がある。特にLi2Oはヤング率を高める働きが特に強いため添加することが好ましい。
また、ガラスの溶解性、清澄性を改善するため、ガラス中にSO、F、Cl、SnOなどの清澄剤を上記ガラス母組成に対し外割りで、それぞれ1%以下、合量で2%以下含有するように、これらの原料を母組成原料に添加してもよい。
また、ガラス基板の化学的耐久性向上のため、ガラス中に上記ガラス母組成に対し内割りで、Y、Laを合量で2%以下含有させてもよい。
なお、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板には、溶解時の加熱しやすさの観点から、鉄酸化物は上記母組成100質量部に対して、Fe換算で0.3質量部以下が好ましい。鉄酸化物の含有量が0.3質量部を超えると、溶解時に鉄の吸収により材料全体に熱が伝わりにくくなるため好ましくない。く、0.25質量部以下がより好ましく、0.2質量部以下がさらに好ましく、0.15質量部以下が特に好ましい。
また、鉄酸化物の含有量が0.01質量部以上であると、鉄酸化物成分の混入が不可避である工業原料を使用できるため、工業的な生産が容易となり好ましい。また、鉄酸化物の含有量が0.01質量部以上であると、溶解時に輻射の吸収が著しく大きくなるために、溶融ガラスの温度が上がりやすくなり製造に支障をきたすことがない。さらに、磁気記録媒体の製造過程における基板加熱時に、熱輻射を吸収しやすくなり基板温度を上げやすくなる。より好ましくは0.015質量部以上、さらに好ましくは0.02質量部以上である。
なお、本発明において鉄酸化物としては、弁柄、酸化鉄粉等が挙げられる。
また、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、環境負荷を考慮すると、As、Sbを実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。しかし、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、フロート法による成形に限らず、フュージョン法、プレス成形法による成形により製造してもよい。
<本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法>
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法について説明する。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を製造する場合、従来の磁気記録媒体用ガラス基板を製造する際と同様に、溶解・清澄工程および成形工程を実施する。なお、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、アルカリ金属酸化物(NaO、KO)を含有するアルカリ含有ガラス基板であるため、清澄剤としてSOを効果的に用いることができ、成形方法としてフロート法およびフュージョン法(ダウンドロー法)に適している。
磁気記録媒体用のガラス基板の製造工程において、ガラスを板状に成形する方法としては、磁気記録媒体の需要増加に伴い、大面積のガラス基板を容易に、安定して成形できるフロート法を用いることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の製造方法の好ましい態様について説明する。
初めに、所定のガラス原料を溶解して得た溶融ガラスを板状に成形する。例えば、得られるガラス基板が前述した組成となるように原料を調製し、上記原料を溶解炉に連続的に投入し、1550〜1700℃に加熱して溶融ガラスを得る。そして、この溶融ガラスを、例えばフロート法を適用してリボン状のガラス板に成形する。
次に、リボン状のガラス板をフロート成形炉から引出した後に、冷却手段によって室温状態まで冷却し、切断後、さらに外周加工や研磨加工等を経て磁気記録媒体用ガラス基板を得る。
<本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の用途>
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、並びに、ガラス板生産時の高い溶解性、良好な成形性および良好な失透防止性を有し、さらにガラス転移温度が高く、ヤング率、比弾性率も高いことから、磁気記録媒体に用いる場合に記録密度向上に寄与することができるため、磁気記録媒体用ガラス基板として好適に用いられる。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を磁気記録媒体のガラス基板に適用する場合、ガラス基板の厚さは2mm以下とするのが好ましく、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。生産性良く、またガラスの平坦性を維持する観点から、ガラス基板の厚さは0.3mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましく、0.5mm以上がさらに好ましく、0.7mm以上が特に好ましい。フロート法で製造する場合は、ガラス基板の厚さは0.6〜1.0mmの範囲で製造することが特に好ましい。
また、ガラス基板に磁性層を形成する方法は特に制限されないが、ガラス転移温度が高いことから、磁性層を形成する際の加熱温度を500〜700℃、好ましくは550〜680℃、より好ましくは580〜680℃、さらに好ましくは600〜680℃、特に好ましくは600〜650℃とすることができる。
<本発明の磁気記録媒体>
以下添付の図面を使用して本発明の磁気記録媒体を詳細に説明する。なお、本発明は添付の図面に限定されない。
図1は本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例を示す斜視図である。図2は、本発明の磁気記録媒体の実施形態の一例の側面図である。
磁気記録媒体10は、熱アシスト磁気記録方式の記録媒体である。熱アシスト磁気記録方式は、熱を与えることで磁気記録層14の保磁力を低下させ、この状態で外部磁界を印加して記録する方式であり、熱安定性を保ちながら磁性粒子を微細化できる。磁気記録媒体10は、大気雰囲気下のほか、不活性雰囲気下で使用できる。不活性雰囲気としては、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気のほか、特に、原子量の小さいヘリウム雰囲気が回転に伴う気流の影響を小さくできるので好ましい。記録時および再生時の少なくとも一方の磁気記録媒体10の回転数は、7200〜20000rpmであってよい。磁気記録媒体10は、基板11、ヒートシンク層12、シード層13、磁気記録層14、および保護層15を有する。
なお、磁気記録媒体は、図1及び図2の構成に限定されない。磁気記録媒体は、基板11と、磁気記録層14とを有していればよく、例えばヒートシンク層12、シード層13、および保護層15を有しなくてもよい。また、磁気記録媒体は、基板11と磁気記録層14との間に、密着層、軟磁性裏打ち層、中間層などをさらに有してもよい。また、磁気記録媒体は、基板11の両側に磁気記録層14を有してもよい。
なお、添付の図面に示す記録層の各層の厚さは図面に限定されない。
基板11は、ガラス基板であって、基板用ガラスによって形成される。一般的に、基板11のフラッタリング特性の指標dとして、基板用ガラスの比弾性率E/ρが用いられる。フラッタリングを抑制するため、指標dの大きいガラスが望ましい。ここで、比弾性率E/ρは、ヤング率Eと密度ρとの比E/ρである。
基板11は、例えばフロート法、スロットダウンドロー法、またはフュージョン法(所謂、オーバーフローダウンドロー法)により板状に成形されたガラスを加工して作成されればよい。なお、板状のガラスは、プレス成形法で円盤状に成形されたガラスや、モールドにキャストされて円柱状に成形されたガラスをワイヤーソーで切断して作製されてもよい。
基板11は、ガラス基板を化学強化したものでもよい。化学強化法としては、例えばイオン交換法などがある。イオン交換法は、ガラス基板を処理液(例えば硝酸カリウム溶融塩)に浸漬し、ガラスに含まれるイオン半径の小さなイオン(例えばNaイオン)をイオン半径の大きなイオン(例えばKイオン)に交換することで、ガラス基板表面に圧縮応力を生じさせる。
基板11の板厚は、一般的には0.3〜2mm程度の厚みで使用でき、例えば0.6mm以下である。
基板11の形状は円盤状であって、基板11の直径は1.5〜8インチ程度で使用でき、例えば2.5インチを超える。
なお、基板11としては例えば既述の磁気記録媒体用ガラス基板を用いることができ、該磁気記録媒体用ガラス基板の少なくとも一方の主表面上に磁性層を設けておくことができる。
ヒートシンク層12は、熱アシスト磁気記録時に発生する磁気記録層14の余分な熱を効果的に吸収する。ヒートシンク層12は、熱伝導率および比熱容量が高い金属により形成できる。ヒートシンク層12の材料としては、一般的なものが用いられる。
シード層13は、ヒートシンク層12と磁気記録層14との間の密着性を確保する。また、シード層13は、磁気記録層14の磁性結晶粒の粒径および結晶配向を制御する。さらに、シード層13は、熱的なバリアとして磁気記録層14の温度上昇および温度分布を制御する。シード層13の材料としては、一般的なものが用いられる。
磁気記録層14は、信号を書き込む層である。磁気記録層14は複数層構造であってよく、各層は磁性結晶粒および非磁性部で構成されるグラニュラー構造を有する。磁気記録層14の材料としては、一般的なものが用いられる。磁気記録層14の面記録密度が800Gbits/in以上であってよい。尚、磁気記録層14は単層構造でもよい。
保護層15は、磁気記録層14を保護する。保護層15は、単層構造、積層構造のいずれでもよい。保護層15の材料としては、一般的なものが用いられる。
以下、実施例および製造例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例および製造例に限定されない。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板の実施例(例1〜10、例12、例14〜30)および比較例(例11、例13)を示す。
表1〜4で表示したガラス組成になるように各成分の原料を調合し、該ガラス基板用成分の原料100質量部に対し、硫酸塩をSO換算で0.1質量部、前記原料に添加し、白金坩堝を用いて1650℃の温度で3時間加熱し溶解した。なお、表1〜4中、Feの配合量は、母組成(SiO、Al、B、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO、NaO、およびKOを前述した範囲で含むガラス母組成)100質量部に対する質量部を示す。
溶解にあたっては、白金スターラーを挿入し、1時間攪拌しガラスの均質化を行った。次いで溶融ガラスを流し出し、板状に成形後冷却し、ガラス板を得た。
こうして得られたガラス板の平均熱膨張係数(単位:×10−7/℃)、ガラス転移温度Tg(単位:℃)、密度(単位:g/cm)、脆さ指標値(単位:m−1/2)、粘度が10dPa・sとなる温度(T)(単位:℃)、粘度が10dPa・sとなる温度(T)(単位:℃)、失透温度(T)(単位:℃)、ヤング率(E)(単位:GPa)を測定し、表1〜4に示した。以下に各物性の測定方法を示す。
なお、実施例では、ガラス板について測定しているが、各物性はガラス板とガラス基板とで同じ値である。得られたガラス板を加工、研磨を施すことで、ガラス基板とすることができる。
(1)50〜350℃の平均熱膨張係数:
この平均熱膨張係数は、示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)の規格より求めた。
(2)Tg:
Tgは、TMAを用いて測定した値であり、JIS R3103−3(2001年度)の規格により求めた。
(3)密度:
密度は、ガラス板から切り出した、泡を含まない約20gのガラス塊をアルキメデス法によって測定した。
(4)脆さ指標値:
脆さ指標値は、前述の各種ガラス板の表面に打ち込んだビッカース圧痕の寸法と上記式(1)を用いて、脆さ指標値を算出する。
(5)粘度:
粘度は、回転粘度計を用いて測定し、粘度ηが10dPa・sとなるときの温度T(溶解性の基準温度)と、粘度ηが10dPa・sとなるときの温度T(成形性の基準温度)を測定した。
(6)失透温度(T):
失透温度は、ガラス板から切り出したガラス塊5gを白金皿に置き、所定温度で17時間電気炉中で保持した。保持したガラス塊表面および内部に結晶が析出しない温度の最低値を失透温度とした。
(7)ヤング率(E):
ヤング率Eは超音波パルス法(オリンパス、DL35)により25℃で測定した。
ガラス中のSO残存量は100〜1000ppmであった。また、ガラス中のTiO含有量は100〜500ppmであった。
Figure 2017036177
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Figure 2017036177
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表1〜4より明らかなように、実施例(例1〜10、例12、例14〜30)のガラス基板は、ガラス転移温度Tgが640℃以上と高く、平均熱膨張係数が70×10−7〜90×10−7/℃でありヤング率、比弾性率も高い。そのため、磁性層を高温で成膜することができ、これにより磁性膜の性能が良好となり、記録密度が高くなると考えられる。さらに、実施例(例1〜9、例12、例14、例15、例20〜23、例30)のガラス基板は、T−Tが−30℃以上であるため失透防止性に優れる。さらに実施例(例1〜10、例12、例14〜30)のガラスは密度が2.85g/cm以下であるため軽量である。さらに、実施例(例2、例9、例14、例15、例22、例23)のガラスは、脆さ指標値が7000m−1/2未満であるため高い強度があり、磁気記録媒体用ガラス基板の特性をバランスよく有している。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、高いヤング率、高い比弾性率、高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、板ガラス生産時の良好な失透防止性の全てを満たすことがわかる。そのため、磁性層がガラス基板から剥離することがなく、磁性膜成膜時に高温に晒されても、ガラス基板が変形しにくい。さらに、Tが1650℃以下、Tが1230℃以下のため、板ガラス生産時の溶解性、成形性に優れる。
一方、比較例(例11、例13)のガラス基板は、ガラス転移温度が低く、磁性層形成時の高温で変形してしまう。また、ヤング率も低くフラッタリングも起こりやすい。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、とりわけ、エネルギーアシスト磁気記録方式の磁気記録媒体用ガラス基板に好適に使用することができる。
本発明の磁気記録媒体用ガラス基板は、高いヤング率、比弾性率、高いガラス転移温度、所定の平均熱膨張係数、高いガラス強度、低いガラス密度、並びに、基板用ガラス生産時の高い溶解性、良好な成形性および良好な失透防止性等の特性をバランスよく有することができ、本発明の磁気記録媒体用ガラス基板を用いることでフラッタリング抑止性に優れ、高温成膜により記録密度を向上させた磁気記録媒体を提供できる。
10 磁気記録媒体
11 基板
12 ヒートシンク層
13 シード層
14 磁気記録層
15 保護層

Claims (14)

  1. 酸化物基準の質量百分率表示で、
    SiOを50〜65%、
    Alを8〜15%、
    を0〜1%、
    MgOを0〜10%、
    CaOを1〜12%、
    SrOを2〜12%、
    BaOを0〜5%、
    ZrOを1〜7%、
    NaOを2〜8%、
    Oを0〜8%、
    MgO+CaO+SrO+BaOを10〜30%、含有し、
    SrO/NaOが0.4〜2.5である磁気記録媒体用ガラス基板。
  2. ガラス転移温度が640℃以上である、請求項1に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  3. 平均熱膨張係数が70×10−7〜90×10−7/℃である、請求項1または2に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  4. 粘度が10dPa・sとなる温度(T)が1230℃以下、粘度が10dPa・sとなる温度(T)が1650℃以下、前記Tと失透温度(T)との関係がT−T≧−30℃である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  5. 密度が2.85g/cm以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  6. 前記Alの含有量が8.5〜14.5%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  7. 前記CaOの含有量が3〜11%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  8. 前記CaOの含有量が3〜10%である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  9. 前記NaOの含有量が4〜7%である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  10. 前記MgO+CaO+SrO+BaOが17〜23%である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  11. 前記BaOの含有量が2%以下である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  12. 前記SiOの含有量と前記Alの含有量とについて、9SiO+15Alの式で算出される値が570%〜840%となる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  13. 前記NaOの含有量と前記KOの含有量とについて、3NaO+2KOの式で算出される値が14%〜44%となる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の磁気記録媒体用ガラス基板の少なくとも一方の主表面上に磁性層を設けてなる磁気記録媒体。
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