JP2022173994A - 無アルカリガラス板 - Google Patents

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Abstract

【課題】生産性に優れると共に、歪点とヤング率が十分に高い無アルカリガラス板を提供することである。【解決手段】本発明の無アルカリガラス板は、ガラス組成として、mol%で、SiO264~72%、Al2O312~16%、B2O30~3%、Li2O+Na2O+K2O 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 3~9%未満、SrO 0~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.2、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO2×MgO)が0~0.3であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、無アルカリガラス板に関し、特に有機ELディスプレイや磁気記録媒体に好適な無アルカリガラス板に関する。
有機ELディスプレイ等の電子デバイスは、薄型で動画表示に優れると共に、消費電力も低いため、フレキシブルデバイスや携帯電話のディスプレイ等の用途に使用されている。
有機ELディスプレイの基板として、ガラス板が広く使用されている。この用途のガラス板には、主に以下の特性が要求される。
(1)熱処理工程で成膜された半導体物質中にアルカリイオンが拡散する事態を防止するため、アルカリ金属酸化物をほとんど含まないこと、つまり無アルカリガラス(ガラス組成中のアルカリ酸化物の含有量が0.5mol%以下となるガラス)であること、
(2)ガラス板を低廉化するため、表面品位を高め易いオーバーフローダウンドロー法で成形され、かつ生産性に優れること、特に溶融性や耐失透性に優れること、
(3)LTPS(low temperature poly silicon)プロセス、酸化物TFTプロセスにおいて、ガラス板の熱収縮を低減するため、歪点が高いこと。
また、情報関連インフラ技術の進展に伴い、磁気ディスク、光ディスクなどの情報記録
媒体の需要は急速に伸びている。
情報記録媒体用の基板として、従来のアルミニウム合金基板に代わり、ガラス板が広く使用されている。近年では、更なる高記録密度化のニーズに応えるため、エネルギーアシスト磁気記録方式を用いた磁気記録媒体、つまりエネルギーアシスト磁気記録媒体が検討されている。エネルギーアシスト磁気記録媒体についても、ガラ板が使用されると共に、ガラス基板の表面上に磁性層等が成膜される。エネルギーアシスト磁気記録媒体では、磁性層の磁性材料として大きな磁気異方性係数Ku(以下、「高Ku」と称する)有する規則合金が用いられる。
特開2012-106919号公報 特開2021-086643号公報
ところで、有機ELデバイスは、有機ELテレビにも広く展開されている。有機ELテレビには大型化、薄型化の要求が強く、また8K等の高解像度のディスプレイの需要が高まっている。よって、これらの用途のガラス板には、大型化、薄型化でありながら、高解像度の要求に耐え得る熱的寸法安定性が求められる。更に有機ELテレビには、液晶ディスプレイとの価格差を低減するため、低コストが求められており、ガラス板も同様に低コストであることが求められている。しかし、ガラス板が大型化、薄型化すると、ガラス板が撓み易くなり、製造コストが高騰してしまう。
ガラスメーカーで成形されたガラス板は、切断、徐冷、検査、洗浄等の工程を経由するが、これらの工程中、ガラス板は、複数段の棚が形成されたカセットに投入、搬出される。このカセットは、通常、左右の内側面に形成された棚に、ガラス板の相対する両辺を載置して水平方向に保持できるようになっているが、大型で薄いガラス板は撓み量が大きいため、ガラス板をカセットに投入する際に、ガラス板の一部がカセットに接触して破損したり、搬出する際に、大きく揺動して不安定となり易い。このような形態のカセットは、電子デバイスメーカーでも使用されるため、同様の不具合が発生することになる。この問題を解決するために、ガラス板のヤング率を高めて、撓み量を低減する方法が有効である。
また、上記のように、高解像度のディスプレイを得るためのLTPSや酸化物TFTプロセスにおいて、大型のガラス板の熱収縮を低減するため、ガラス板の歪点を高める必要がある。
しかし、ガラス板のヤング率と歪点を高めようとすると、ガラス組成のバランスが崩れて、生産性が低下し、特に耐失透性が顕著に低下し易く、液相粘度が増加するためオーバーフローダウンドロー法で成形できなくなる。また、溶融性が低下したり、ガラスの成形温度が高くなって、成形体の寿命が短くなり易い。結果として、ガラス板の原板コストが高騰してしまう。
また、磁気記録媒体用ガラス板には、高速回転時に大きな変形を起こさないために、高い剛性(ヤング率)を有することが求められる。詳述すると、ディスク状の磁気記録媒体では、媒体を中心軸の周りに高速回転させつつ、磁気ヘッドを半径方向に移動させながら、回転方向に沿って情報の書き込み、読み出しを行う。近年、この書き込み速度や読み出し速度を上げるための回転数は5400rpmから7200rpm、更には10000rpmと高速化の方向に進んでいるが、ディスク状の磁気記録媒体では、予め中心軸からの距離に応じて情報を記録するポジションが割り当てられる。このため、ガラス板が回転中に変形を起こすと、磁気ヘッドの位置ズレが起こり、正確な読み取りが困難になる。
また、近年、磁気ヘッドにDFH(Dynamic Flying Height)機構を搭載させることで、磁気ヘッドの記録再生素子部と磁気記録媒体表面との間隙の大幅な狭小化(低浮上量化)を達成して、更なる高記録密度化を図ることが行われている。DFH機構とは、磁気ヘッドの記録再生素子部の近傍に極小のヒーター等の加熱部を設けて、素子部周辺のみを媒体表面方向に向けて熱膨張させる機構である。このような機構を備えることにより、磁気ヘッドと媒体の磁性層との距離が近づくため、より小さい磁性粒子の信号を拾うことができるようになり、高記録密度化を達成することが可能となる。その一方で、磁気ヘッドの記録再生素子部と磁気記録媒体の表面との間隙が、例えば2nm以下と極めて小さくなるため、僅かな衝撃によっても磁気ヘッドが磁気記録媒体の表面に衝突する虞がある。この傾向は、高速回転になる程、顕著となる。よって、高速回転時には、この衝突の原因になるガラス板の撓みやバタツキ(フラッタリング)の発生を防ぐことが重要になる。
また、磁性層の規則化の程度(規則度)を高めて高Ku化を図るため、磁性層の成膜時、或いは成膜前後に、ガラス板を含む基材を800℃程度の高温で熱処理することがある。この熱処理温度は高記録密度になる程、高温が必要になるため、従来の磁気記録媒体用ガラス板よりも更に高い耐熱性、つまり歪点が高いことが求められる。また、磁性層の成膜後に、ガラス板を含む基材に対して、レーザー照射を実行することもある。このような熱処理やレーザー照射は、FePt系合金等を含む磁性層のアニール温度や保磁力を高めるという目的もある。
しかし、上記の通り、ガラス板のヤング率と歪点を高めようとすると、ガラス組成のバランスが崩れて、生産性が低下し、特に耐失透性が顕著に低下して、液相粘度が増加するためオーバーフローダウンドロー法で成形できなくなる。また、溶融性が低下したり、ガラスの成形温度が高くなって、成形体の寿命が短くなり易い。結果として、ガラス板の原板コストが高騰してしまう。
そこで、本発明は、上記事情に鑑み創案されたものであり、その技術的課題は、生産性に優れると共に、歪点とヤング率が十分に高い無アルカリガラス板を提供することである。
本発明者は、種々の実験を繰り返した結果、無アルカリガラス板のガラス組成を厳密に規制することにより、上記技術的課題を解決できることを見出し、本発明として、提案するものである。すなわち、本発明の無アルカリガラス板は、ガラス組成として、mol%で、SiO 64~72%、Al 12~16%、B 0~3%、LiO+NaO+KO 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 3~9%未満、SrO 0~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.2、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が0~0.3であることを特徴とする。ここで、「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量を指す。「SrO/CaO」は、SrOのmol%含有量をCaOのmol%含有量で除した値である。「(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)」は、MgO、CaO、SrO及びBaOのmol%合量とCaOのmol%含有量を乗じた値をSiOのmol%含有量とMgOのmol%含有量を乗じた値で除した値である。
また、本発明の無アルカリガラス板は、ガラス組成として、mol%で、SiO 64~72%、Al 12~15.5%、B 0~3%、LiO+NaO+KO 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 6~9%未満、SrO 0超~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.1、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が0~0.25未満であることが好ましい。
また、本発明の無アルカリガラス板は、実質的にAs、Sbを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的にAsを含まない」とは、Asの含有量が0.05mol%以下の場合を指す。「実質的にSbを含まない」とは、Sbの含有量が0.05mol%以下の場合を指す。
また、本発明の無アルカリガラス板は、更に、SnOを0.001~1mol%含むことが好ましい。
また、本発明の無アルカリガラス板は、ヤング率83GPa以上であり、歪点が730℃以上であり、且つ液相温度が1350℃以下であることが好ましい。ここで、「ヤング率」は、曲げ共振法により測定した値を指す。なお、1GPaは、約101.9Kgf/mmに相当する。「歪点」は、ASTM C336の方法に基づいて測定した値を指す。「液相温度」は、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度を指す。
また、本発明の無アルカリガラス板は、歪点が735℃以上であることが好ましい。
また、本発明の無アルカリガラス板は、ヤング率が84GPaより高いことが好ましい。
また、本発明の無アルカリガラス板は、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が30×10-7~50×10-7/℃であることが好ましい。ここで、「30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数」は、ディラトメーターで測定可能である。
また、本発明の無アルカリガラス板は、液相粘度が103.9dPa・s以上であることが好ましい。ここで、「液相粘度」は、液相温度におけるガラスの粘度を指し、白金球引き上げ法で測定可能である。
また、本発明の無アルカリガラス板は、有機ELデバイスに用いることが好ましい。
また、本発明の無アルカリガラス板は、磁気記録媒体に用いることが好ましい。
図1は、ディスク形状を示すための上方斜視図である。
本発明の無アルカリガラス板は、ガラス組成として、mol%で、SiO 64~72%、Al 12~16%、B 0~3%、LiO+NaO+KO 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 3~9%未満、SrO 0~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.2、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が0~0.3であることを特徴とする。上記のように各成分の含有量を限定した理由を以下に示す。なお、各成分の含有量の説明において、%表示は、特に断りがある場合を除き、mol%を表す。
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分である。SiOの含有量が少な過ぎると、熱膨張係数が高くなり、密度が増加する。よって、SiOの下限量は、好ましくは64%、更に好ましくは64.2%、更に好ましくは64.5%、更に好ましくは64.8%、更に好ましくは65%、更に好ましくは65.5%、更に好ましくは65.8%、更に好ましくは66%、更に好ましくは66.3%、更に好ましくは66.5%、最も好ましくは66.7%である。一方、SiOの含有量が多過ぎると、ヤング率が低下し、更に高温粘度が高くなり、溶融時に必要な熱量が多くなり、溶融コストが高騰すると共に、SiOの導入原料の溶け残りが発生して、歩留まり低下の原因になる虞がある。また、クリストバライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相粘度が低下し易くなる。よって、SiOの上限量は、好ましくは72%、更に好ましくは71.8%、更に好ましくは71.6%、更に好ましくは71.4%、更に好ましくは71.2%、更に好ましくは71%、更に好ましくは70.8%、更に好ましくは70.6%、最も好ましくは70.4%である。
Alは、ガラスの骨格を形成する成分であり、またヤング率を高める成分であり、更に歪点を上昇させる成分である。Alの含有量が少な過ぎると、ヤング率が低下し易くなり、また歪点が低下し易くなる。よって、Alの下限量は、好ましくは12%、より好ましくは12.2%、より好ましくは12.4%、更に好ましくは12.4%超、更に好ましくは12.5%、最も好ましくは12.5%超である。一方、Alの含有量が多過ぎると、ムライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相粘度が低下し易くなる。よって、Alの上限量は、好ましくは16%、より好ましくは15.8%、更に好ましくは15.5%、更に好ましくは15.3%、更に好ましくは15%、更に好ましくは14.8%、より好ましくは14.6%、更に好ましくは14.4%、更に好ましくは14.2%、更に好ましくは14%、更に好ましくは13.9%、更に好ましくは13.8%、更に好ましくは13.7%、最も好ましくは13.6%である
は必須成分ではないが、含有させると溶融性や耐失透性を高める効果を享受し得る。よって、Bの下限量は、好ましくは0%、より好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、更に好ましくは0.2%、更に好ましくは0.3%、更に好ましくは0.4%、更に好ましくは0.7%、更に好ましくは1%、特に好ましくは1%超である。一方、Bの含有量が多過ぎると、ヤング率や歪点が低下し易くなる。よって、Bの上限量は、好ましくは3%、より好ましくは2.9%、より好ましくは2.8%、更に好ましくは2.7%、更に好ましくは2.6%、更に好ましは2.5%、更に好ましくは2%、更に好ましくは2.8%、更に好ましくは2.6%、更に好ましくは2.4%、更に好ましくは2.2%、更に好ましくは2%、更に好ましくは1.8%、更に好ましくは1.6%、更に好ましくは1.4%、更に好ましくは1.2%、更に好ましくは1%、最も好ましくは1%未満である。
LiO、NaO及びKOは、ガラス原料から不可避的に混入する成分であり、その合量は0~0.5%であり、好ましくは0~0.4%、より好ましくは0~0.3%、更に好ましくは0.005~0.2%、最も好ましくは0.01~0.1%である。LiO、NaO及びKOの合量が多過ぎると、熱処理工程で成膜された半導体物質中にアルカリイオンが拡散する事態を招く虞がある。なお、LiO、NaO及びKOの個別含有量は、それぞれ好ましくは0~0.5%、より好ましくは0~0.4%、更に好ましくは0~0.3%、更に好ましくは0.005~0.2%、最も好ましくは0.01~0.1%である。
MgOは、アルカリ土類金属酸化物の中では、ヤング率を顕著に高める成分である。MgOの含有量が少な過ぎると、溶融性やヤング率が低下し易くなる。よって、MgOの下限量は、好ましくは6%、より好ましくは6.1%、より好ましくは6.3%、更に好ましくは6.5%、更に好ましくは6.6%、更に好ましくは6.7%、更に好ましくは6.8%、最も好ましくは7%である。一方、MgOの含有量が多過ぎると、ムライト等の失透結晶が析出し易くなって、液相粘度が低下し易くなる。よって、MgOの上限量は、好ましくは12%、より好ましくは11.8%、より好ましくは11.5%、より好ましくは11.3%、より好ましくは11%、より好ましくは11%未満、より好ましくは10.8%、より好ましくは10.6%、更に好ましくは10.4%、更に好ましくは10.2%、更に好ましくは10%、最も好ましくは9.8%である。
mol%比B/MgOは、ヤング率を高め、耐失透性を上げるために重要な成分比率である。mol%比B/MgOが小さ過ぎると、耐失透性が低下して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。そのため、mol%比B/MgOの下限は、好ましくは0、より好ましくは0.0001、更に好ましくは0.01、最も好ましくは0.02である。一方、mol%比B/MgOが大き過ぎると、ヤング率が低下し易くなる。よって、mol%比B/MgOの上限は、好ましくは0.2、より好ましくは0.1、更に好ましくは0.08、更に好ましくは0.05、最も好ましくは0.03である。なお、「B/MgO」は、Bのmol%含有量をMgOのmol%含有量で除した値である。
CaOは、歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を顕著に高める成分である。またヤング率を高める成分である。CaOの含有量が少な過ぎると、溶融性が低下し易くなる。よって、CaOの下限量は、好ましくは6%、より好ましくは6%超、より好ましくは6.1%、更に好ましくは6.2%、更に好ましくは6.3%、更に好ましくは6.4%、更に好ましくは6.5%、更に好ましくは6.6%、更に好ましくは7%、最も好ましくは7.5%である。一方、CaOの含有量が多過ぎると、液相温度が高くなる。よって、CaOの上限量は、好ましくは9%未満、より好ましくは8.9%、より好ましくは8.8%、より好ましくは8.6%、より好ましくは8.5%、更に好ましくは8.4%、更に好ましくは8.2%、更に好ましくは8%、更に好ましくは7.8%、更に好ましくは7.5%、最も好ましくは7%である。
SrOは必須成分ではないが、含有させると耐失透性を高め、更に歪点を低下させずに、高温粘性を下げて、溶融性を高める効果を享受し得る。また液相粘度の低下を抑制する成分である。SrOの含有量が少な過ぎると、上記効果を享受し難くなる。よって、SrOの下限量は、好ましくは0%、より好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、更に好ましくは0.1%超、更に好ましくは0.2%、更に好ましくは0.3%、更に好ましくは0.3%超、更に好ましくは0.4%、更に好ましくは0.4%超、最も好ましくは0.5%である。一方、SrOの含有量が多過ぎると、熱膨張係数と密度が増加し易くなる。よって、SrOの上限量は、好ましくは2%、より好ましくは2%未満、更に好ましくは1.8%、更に好ましくは1.6%、更に好ましくは1.5%、更に好ましくは1.4%、更に好ましくは1.2%、更に好ましくは1%、更に好ましくは1%未満、更に好ましくは0.9%、更に好ましくは0.9%未満、更に好ましくは0.8%、更に好ましくは0.8%未満、更に好ましくは0.7%、更に好ましくは0.7%未満、更に好ましくは0.6%、最も好ましくは0.6%未満である。
mol%比SrO/CaOは、液相温度や液相粘度に関わる重要な成分比率である。mol%比SrO/CaOが小さいほど液相温度が低くなり、結果液相粘度が大きくなり、ガラスのコストが低くなり易くなる。mol%比SrO/CaOが大きくなると上記効果を享受し難くなるため、mol%比SrO/CaOは、好ましくは0~0.2、より好ましくは0~0.2未満、より好ましくは0~0.15、更に好ましくは0~0.15未満、更に好ましくは0~0.1、更に好ましくは0~0.1未満、更に好ましくは0~0.09、最も好ましくは0~0.08である。
BaOは必須成分ではないが、含有させると耐失透性を高める効果を享受し得る。よって、BaOの下限量は、好ましくは0%、より好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、更に好ましくは0.1%超、更に好ましくは0.2%、更に好ましくは0.3%、更に好ましくは0.4%、更に好ましくは0.4%超、最も好ましくは0.5%である。一方、BaOの含有量が多過ぎると、ヤング率が低下し易くなり、また密度が増加し易くなる。結果として、比ヤング率が上昇して、ガラス板が撓み易くなる。よって、BaOの上限量は、好ましくは1%、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.9%、更に好ましくは0.9%未満、更に好ましくは0.8%、更に好ましくは0.8%未満、最も好ましくは0.7%である。
SrOとBaOは耐失透性を高める成分である。SrO+BaOの下限量は、好ましくは0%、より好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、更に好ましくは0.1%超、更に好ましくは0.2%、更に好ましくは0.3%、更に好ましくは0.4%、更に好ましくは0.4%超、最も好ましくは0.5%である。一方、SrO+BaOの含有量が多過ぎると、ヤング率が低下し易くなり、また密度が増加し易くなる。結果として、比ヤング率が上昇して、ガラス板が撓み易くなる。よって、SrO+BaOの上限量は、好ましくは2%、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.9%、更に好ましくは0.9%未満、更に好ましくは0.8%、更に好ましくは0.8%未満、最も好ましくは0.7%である。ここで、「SrO+BaO」は、SrOとBaOの合量を指す。
、SrO及びBaOは耐失透性を高める成分である。B+SrO+BaOの下限量は、好ましくは0%、より好ましくは0%超、より好ましくは0.1%、更に好ましくは0.1%超、更に好ましくは0.2%、更に好ましくは0.3%、更に好ましくは0.4%、更に好ましくは0.4%超、最も好ましくは0.5%である。一方、B+SrO+BaOの含有量が多過ぎると、ヤング率が低下し易くなる。よって、B+SrO+BaOの上限量は、好ましくは2%、より好ましくは1%未満、より好ましくは0.9%、更に好ましくは0.9%未満、更に好ましくは0.8%、更に好ましくは0.8%未満、最も好ましくは0.7%である。ここで、「B+SrO+BaO」は、B、SrO及びBaOの合量を指す。
mol%比(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)は、ヤング率と溶融性を両立するために、重要な成分比率である。mol%比(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)が小さ過ぎると、ヤング率や溶融性が低くなり易い。そのため、mol%比(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)の下限は、好ましくは0.6、より好ましくは0.7、更に好ましくは0.8、更に好ましくは0.9、最も好ましくは0.95である。一方、mol%比(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)が大き過ぎると、液相粘度が低下して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。よって、mol%比(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)の上限は、好ましくは1、より好ましくは0.99、更に好ましくは0.98、最も好ましくは0.97である。なお、「mol%比(MgO+CaO)/(MgO+CaO+SrO+BaO)」は、MgOとCaOのmol%含有量の合計をMgO、CaO、SrO及びBaOのmol%含有量の合計で除した値である。
mol%比(B+SrO+BaO)/Alは、ヤング率を高め、耐失透性を上げるために重要な成分比率である。mol%比(B+SrO+BaO)/Alが小さ過ぎると、耐失透性が低下して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。そのため、mol%比(B+SrO+BaO)/Alの下限は、好ましくは0.001、より好ましくは0.005、更に好ましくは0.008、更に好ましくは0.01、更に好ましくは0.02、更に好ましくは0.03、更に好ましくは0.04、最も好ましくは0.05である。一方、mol%比(B+SrO+BaO)/Alが大き過ぎると、ヤング率が低下し易くなる。よって、mol%比(B+SrO+BaO)/Alの上限は、好ましくは0.3、より好ましくは0.25、更に好ましくは0.2、更に好ましくは0.15、更に好ましくは0.12、更に好ましくは0.1、最も好ましくは0.09である。
mol%比(B+SrO+BaO)/MgOは、ヤング率を高め、耐失透性を上げるために重要な成分比率である。mol%比(B+SrO+BaO)/MgOが小さ過ぎると、耐失透性が低下して、ガラス板の製造コストが高騰し易くなる。そのため、mol%比(B+SrO+BaO)/MgOの下限は、好ましくは0.001、より好ましくは0.005、更に好ましくは0.008、更に好ましくは0.01、更に好ましくは0.02、更に好ましくは0.03、更に好ましくは0.04、最も好ましくは0.05である。一方、mol%比(B+SrO+BaO)/MgOが大き過ぎると、ヤング率が低下し易くなる。よって、mol%比(B+SrO+BaO)/MgOの上限は、好ましくは0.5、より好ましくは0.4、更に好ましくは0.3、更に好ましくは0.27、更に好ましくは0.24、更に好ましくは0.22、最も好ましくは0.2である。なお、「(B+SrO+BaO)/MgO」は、B、SrO及びBaOの合計mol%含有量をMgOのmol%含有量で除した値である。
mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)は、液相粘度、ヤング率、溶融性を両立させる重要な成分比率である。mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が小さ過ぎると、液相粘度が低くなり、ガラスのコストが高くなり易くなる。よって、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)の下限は、好ましくは0、より好ましくは0超、更に好ましくは0.05、最も好ましくは0.1である。一方、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が大きすぎると、ヤング率が低くなり易くなり、また高温粘度が高くなり、溶融性が低下し易くなる。よって、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)の上限は、好ましくは0.3、より好ましくは0.3未満、更に好ましくは0.28、更に好ましくは0.27、更に好ましくは0.26、更に好ましくは0.25、更に好ましくは0.25未満、最も好ましくは0.24である。
各成分の好適な含有範囲を適宜組み合わせて、好適なガラス組成範囲とすることができるが、その中でも、本願発明の効果を最適化するために、ガラス組成として、mol%で、SiO 64~72%、Al 12~15.5%、B 0~3%、LiO+NaO+KO 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 6~9%未満、SrO 0超~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.1、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が0~0.25未満であることがより好ましい。
上記成分以外にも、例えば、任意成分として、以下の成分を添加してもよい。なお、上記成分以外の他の成分の含有量は、本発明の効果を的確に享受する観点から、合量で10%以下、特に5%以下が好ましい。
は、歪点を高める成分であると共に、アノーサイト等のアルカリ土類アルミノシリケート系の失透結晶の析出を顕著に抑制し得る成分である。但し、Pを多量に含有させると、ガラスが分相し易くなる。Pの含有量は、好ましくは0~2.5%、より好ましくは0~1.5%、更に好ましくは0~0.5%、特に好ましくは0~0.3%である。
TiOは、高温粘性を下げて、溶融性を高める成分であると共に、ソラリゼーションを抑制する成分であるが、TiOを多量に含有させると、ガラスが着色して、透過率が低下し易くなる。TiOの含有量は、好ましくは0~2.5%、より好ましくは0.0005~1%、更に好ましくは0.001~0.5%、特に好ましくは0.005~0.1%である。
ZnOは、ヤング率を高める成分である。しかし、ZnOを多量に含有させると、ガラスが失透し易くなり、また歪点が低下し易くなる。ZnOの含有量は好ましくは0~6%、より好ましくは0~5%、更に好ましくは0~4%、特に好ましくは0~3%未満である。
ZrOは、ヤング率を高める成分である。しかし、ZrOを多量に含有させると、ガラスが失透し易くなる。ZrOの含有量は好ましくは0~2.5%、より好ましくは0.0005~1%、更に好ましくは0.001~0.5%、特に好ましくは0.005~0.1%である。
、Nb、Laには、歪点、ヤング率等を高める働きがある。これらの成分の合量及び個別含有量は、好ましくは0~5%、より好ましくは0~1%、更に好ましくは0~0.5%、特に好ましくは0~0.5%未満である。Y、Nb、Laの合量及び個別含有量が多過ぎると、密度や原料コストが増加し易くなる。
SnOは、高温域で良好な清澄作用を有する成分であると共に、歪点を高める成分であり、また高温粘性を低下させる成分である。SnOの含有量は0~1%、0.001~1%、0.01~0.5%、特に0.05~0.3%が好ましい。SnOの含有量が多過ぎると、SnOの失透結晶が析出し易くなる。なお、SnOの含有量が0.001%より少ないと、上記効果を享受し難くなる。
上記の通り、SnOは、清澄剤として好適であるが、ガラス特性が損なわれない限り、清澄剤として、SnOに代えて、或いはSnOと共に、F、SO、C、或いはAl、Si等の金属粉末を各々5%まで(好ましくは1%まで、特に0.5%まで)添加することができる。また、清澄剤として、CeO、F等も各々5%まで(好ましくは1%まで、特に0.5%まで)添加することができる。
清澄剤として、As、Sbも有効である。しかし、As、Sbは、環境負荷を増大させる成分である。またAsは、耐ソラリゼーション性が低下させる成分である。よって、本発明の無アルカリガラス板は、これらの成分を実質的に含有しないことが好ましい。
Clは、ガラスバッチの初期溶融を促進させる成分である。また、Clを添加すれば、清澄剤の作用を促進することができる。これらの結果として、溶融コストを低廉化しつつ、ガラス製造窯の長寿命化を図ることができる。しかし、Clの含有量が多過ぎると、歪点が低下し易くなる。よって、Clの含有量は、好ましくは0~3%、より好ましくは0.0005~1%、特に好ましくは0.001~0.5%である。なお、Clの導入原料として、塩化ストロンチウム等のアルカリ土類金属酸化物の塩化物、或いは塩化アルミニウム等の原料を使用することができる。
Feは、ガラス原料から不可避的に混入する成分であり、また電気抵抗率を低下させる成分である。Feの含有量は、好ましくは0~300質量ppm、80~250質量ppm、特に100~200質量ppmである。Feの含有量が少な過ぎると、原料コストが高騰し易くなる。一方、Feの含有量が多過ぎると、溶融ガラスの電気抵抗率が上昇して、電気溶融を行い難くなる。
本発明の無アルカリガラス板は、以下の特性を有することが好ましい。
30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数は、好ましくは30×10-7~50×10-7/℃、32×10-7~48×10-7/℃、33×10-7~45×10-7/℃、34×10-7~44×10-7/℃、特に35×10-7~43×10-7/℃である。このようにすれば、TFTに使用されるSiの熱膨張係数に整合し易くなる。
ヤング率は、好ましくは83GPa以上、83GPa超、83.3GPa以上、83.5GPa以上、83.8GPa以上、84GPa以上、84.3GPa以上、84.5GPa以上、84.8GPa以上、85GPa以上、85.3GPa以上、85.5GPa以上、85.8GPa以上、86GPa以上、特に86超~120GPaである。ヤング率が低過ぎると、ガラス板の撓みに起因した不具合が発生し易くなる。
比ヤング率は、好ましくは32GPa/g・cm―3以上、32.5GPa/g・cm―3以上、33GPa/g・cm―3以上、33.3GPa/g・cm―3以上、33.5GPa/g・cm―3以上、33.8GPa/g・cm―3以上、34GPa/g・cm―3以上、34GPa/g・cm―3超、34.2GPa/g・cm―3以上、34.4GPa/g・cm―3以上、特に34.5~37GPa/g・cm―3である。比ヤング率が低過ぎると、ガラス板の撓みに起因した不具合が発生し易くなる。
歪点は、好ましくは730℃以上、732℃以上、734℃以上、735℃以上、736℃以上、738℃以上、特に740~800℃である。このようにすれば、LTPSプロセスにおいて、ガラス板の熱収縮を抑制することができる。
液相温度は、好ましくは1350℃以下、1350℃未満、1300℃以下、1290℃以下、1285℃以下、1280℃以下、1275℃以下、1270℃以下、特に1260~1200℃である。このようにすれば、ガラス製造時に失透結晶が発生して、生産性低下する事態を防止し易くなる。更にオーバーフローダウンドロー法で成形し易くなるため、ガラス板の表面品位を高め易くなると共に、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、液相温度は、耐失透性の指標であり、液相温度が低い程、耐失透性に優れる。
液相粘度は、好ましくは103.9dPa・s以上、104.0dPa・s以上、104.1dPa・s以上、特に104.2~107.0dPa・sである。このようにすれば、成形時に失透が生じ難くなるため、オーバーフローダウンドロー法で成形し易くなり、結果として、ガラス板の表面品位を高めることが可能になり、またガラス板の製造コストを低廉化することができる。なお、液相粘度は、耐失透性と成形性の指標であり、液相粘度が高い程、耐失透性と成形性が向上する。
高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、好ましくは1650℃以下、1630℃以下、1610℃以下、特に1400~1600℃である。高温粘度102.5dPa・sにおける温度が高過ぎると、ガラスバッチを溶解し難くなって、ガラス板の製造コストが高騰する。なお、高温粘度102.5dPa・sにおける温度は、溶融温度に相当し、この温度が低い程、溶融性が向上する。
β-OH値は、ガラス中の水分量を示す指標であり、β-OH値を低下させると、歪点を高めることができる。また、ガラス組成が同じ場合でも、β―OH値が小さい方が、歪点以下温度での熱収縮率が小さくなる。β-OH値は、好ましくは0.35/mm以下、0.30/mm以下、0.28/mm以下、0.25/mm以下、特に0.20/mm以下である。なお、β-OH値が小さ過ぎると、溶融性が低下し易くなる。よって、β-OH値は、好ましくは0.01/mm以上、特に0.03/mm以上である。
β-OH値を低下させる方法として、以下の方法が挙げられる。(1)含水量の低い原料を選択する。(2)ガラス中にβ-OH値を低下させる成分(Cl、SO等)を添加する。(3)炉内雰囲気中の水分量を低下させる。(4)溶融ガラス中でNバブリングを行う。(5)小型溶融炉を採用する。(6)溶融ガラスの流量を多くする。(7)電気溶融法を採用する。
ここで、「β-OH値」は、FT-IRを用いてガラスの透過率を測定し、下記の数式1を用いて求めた値を指す。
[数1]
β-OH値=(1/X)log(T/T
X:板厚(mm)
:参照波長3846cm-1における透過率(%)
:水酸基吸収波長3600cm-1付近における最小透過率(%)
本発明の無アルカリガラス板は、オーバーフローダウンドロー法で成形されてなることが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、耐熱性の樋状構造物の両側から溶融ガラスを溢れさせて、溢れた溶融ガラスを樋状構造物の下端で合流させながら、下方に延伸成形してガラス板を製造する方法である。オーバーフローダウンドロー法では、ガラス板の表面となるべき面は樋状耐火物に接触せず、自由表面の状態で成形される。このため、未研磨で表面品位が良好なガラス板を安価に製造することができ、薄型化も容易である。
本発明の無アルカリガラス板は、フロート法で成形されてなることも好ましい。大型のガラス板を安価に製造することができる。
本発明の無アルカリガラス板は、表面が研磨面であることが好ましい。ガラス表面を研磨すると、全体板厚偏差TTVを低減することができる。その結果、磁性膜が適正に形成し得るため、磁気記録媒体の基板に好適になる。
本発明の無アルカリガラス板において、板厚は、特に限定されるものではないが、有機ELデバイスに用いる場合、板厚は、0.7mm未満、0.6mm以下、0.6mm未満、特に0.05~0.5mmが好ましい。板厚が薄くなる程、有機ELデバイスの軽量化が可能となる。板厚は、ガラス製造時の流量や板引き速度等で調整可能である。一方、磁気記録媒体に用いる場合、板厚は、好ましくは1.5mm以下、1.2mm以下、0.2~1.0mm、特に0.3~0.9mmである。板厚が厚過ぎると、所望の板厚までエッチングしなければならず、加工コストが高騰する虞がある。
本発明の無アルカリガラス板は、有機ELデバイス、特に有機ELテレビ用ディスプレイパネルの基板、有機ELディスプレイパネルの製造用キャリアに用いることが好ましい。特に、有機ELテレビの用途では、ガラス板上に複数個分のデバイスを作製した後、デバイス毎に分割切断して、コストダウンが図られている(所謂、多面取り)。本発明の無アルカリガラス板は、大型のガラス板を成形し易いため、このような要求を的確に満たすことができる。
また、本発明の無アルカリガラス板は、磁気記録媒体、特にエネルギーアシスト磁気記録媒体用の基板に用いることが好ましい。磁性層の規則化の程度(規則度)を高めて高Ku化を図るため、基板への磁性層の成膜時、或いは成膜前後に、ガラス基板を含む基材を800℃程度の高温で熱処理することに加え、磁気記録媒体の高回転に伴う基板への衝撃にも耐えうる。本発明の無アルカリガラス板は、切断等の加工を行うことにより、図1に示すような、ディスク基板1に加工される。このように磁気記録媒体用ガラス基板に用いる場合、ディスク基板1は、ディスク形状を有することが好ましく、中心部に円形の開口部Cが形成されていることが更に好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
表1~3は、本発明の実施例(試料No.1~25)を表している。なお、表中でROは、MgO+CaO+SrO+BaOを表している。
Figure 2022173994000002
Figure 2022173994000003
Figure 2022173994000004
まず表中のガラス組成になるように、ガラス原料を調合したガラスバッチを白金坩堝に入れ、1600~1650℃で24時間溶融した。ガラスバッチの溶解に際しては、白金スターラーを用いて攪拌し、均質化を行った。次いで、溶融ガラスをカーボン板上に流し出し、板状に成形した後、徐冷点付近の温度で30分間徐冷した。得られた各試料について、30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数CTE、密度ρ、ヤング率E、歪点Ps、徐冷点Ta、軟化点Ts、高温粘度10dPa・sにおける温度、高温粘度10dPa・sにおける温度、高温粘度102.5dPa・sにおける温度、液相温度TL、及び液相温度TLにおける粘度log10ηTLを評価した。
30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数CTEは、ディラトメーターで測定した値である。
密度ρは、周知のアルキメデス法によって測定した値である。
ヤング率Eは、周知の共振法で測定した値である。
比ヤング率E/ρは、ヤング率を密度で除した値である。
歪点Ps、徐冷点Ta、軟化点Tsは、ASTM C336及びC338の方法に基づいて測定した値である。
高温粘度10dPa・s、10dPa・s、102.5dPa・sにおける温度は、白金球引き上げ法で測定した値である。
液相温度TLは、標準篩30メッシュ(500μm)を通過し、50メッシュ(300μm)に残るガラス粉末を白金ボートに入れて、温度勾配炉中に24時間保持した後、結晶が析出する温度である。
液相粘度log10ηTLは、液相温度TLにおけるガラスの粘度を白金球引き上げ法で測定した値である。
表1~3から明らかなように、試料No.1~25は、ガラス組成が所定範囲内に規制されているため、ヤング率が87GPa以上、歪点が740℃以上、液相温度が1321℃以下、液相粘度が103.9dPa・s以上である。よって、試料No.1~25は、生産性に優れると共に、歪点とヤング率が十分に高いため、有機ELデバイス用や磁気記録媒体用の基板に好適である。
本発明の無アルカリガラス板は、有機ELデバイス、特に有機ELテレビ用ディスプレイパネルの基板、有機ELディスプレイパネルの製造用キャリアとして好適であり、それ以外にも、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ基板、磁気記録媒体用ガラス基板、電荷結合素子(CCD)、等倍近接型固体撮像素子(CIS)等のイメージセンサー用のカバーガラス、太陽電池用の基板及びカバーガラス、有機EL照明用基板等にも好適である。
また、本発明の無アルカリガラス板は、歪点とヤング率が十分に高いため、磁気記録媒体用ガラス基板としても好適である。歪点が高いと、熱アシスト等の高温での熱処理やレーザー照射を実行しても、ガラス板の変形が生じ難くなる。結果として、高Ku化を図る際に、より高い熱処理温度を採用し得るため、高記録密度の磁気記録装置を作製し易くなる。また、ヤング率が高いと、高速回転時に、ガラス基板の撓みやバタツキ(フラッタリング)が発生し難くなるため、情報記録媒体と磁気ヘッドの衝突を防止することができる。
1 ディスク基板

Claims (11)

  1. ガラス組成として、mol%で、SiO 64~72%、Al 12~16%、B 0~3%、LiO+NaO+KO 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 3~9%未満、SrO 0~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.2、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が0~0.3であることを特徴とする無アルカリガラス板。
  2. ガラス組成として、mol%で、SiO 64~72%、Al 12~15.5%、B 0~3%、LiO+NaO+KO 0~0.5%、MgO 6~12%、CaO 6~9%未満、SrO 0超~2%、BaO 0~1%を含有し、mol%比SrO/CaOが0~0.1、mol%比(MgO+CaO+SrO+BaO)×CaO/(SiO×MgO)が0~0.25未満であることを特徴とする請求項1に記載の無アルカリガラス板。
  3. 実質的にAs、Sbを含有しないことを特徴とする請求項1又は2に記載の無アルカリガラス板。
  4. 更に、SnOを0.001~1mol%含むことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
  5. ヤング率83GPa以上であり、歪点が730℃以上であり、且つ液相温度が1350℃以下であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の無アルカリガラス板。
  6. 歪点が735℃以上であることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
  7. ヤング率が84GPaより高いことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
  8. 30~380℃の温度範囲における平均熱膨張係数が30×10-7~50×10-7/℃であることを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
  9. 液相粘度が103.9dPa・s以上であることを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
  10. 有機ELデバイスに用いることを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
  11. 磁気記録媒体に用いることを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の無アルカリガラス板。
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