JP2011035346A - 光硬化性転写シート及びこれを用いた光ナノインプリント方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高価なモールドもしくはテンプレートを容易に複製することができ、その複製物をレプリカモールドとして安価で量産性に優れた光ナノインプリントに適用することが可能な光硬化性転写シートを提供する。
【解決手段】官能基当量が300〜10000g/molの熱硬化性の官能基を分子内に2つ以上有する変性ポリジメチルシロキサン(A)、光重合性化合物(B)及び熱硬化剤(C)を含有する光硬化性樹脂組成物が熱硬化された層を有することを特徴とする光硬化性転写シート。光硬化性樹脂組成物層は熱硬化性の官能基が水酸基の場合には分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(C1)を含有し、熱硬化性の官能基がエポキシ基の場合には酸無水物(C2)を含有し、好ましくは、更に熱硬化反応促進剤(D)及び/または光重合開始剤(E)を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、ナノインプリントに用いられる高価なマスターモールドまたはテンプレートを容易に複製することが可能で、更に複製物を光ナノインプリント用のレプリカモールドとして使用できる光硬化性転写シート及びこれを用いた光ナノインプリント方法に関する。
半導体製造プロセスやパターンドメディア等の磁気記録媒体製造プロセス等において、100nm以下の超微細パターンを安価に量産する技術としてナノインプリント法が注目されている。ナノインプリント法は、転写すべきパターンが予め形成された型(モールドやテンプレート等)を、被転写基材上に塗布した光硬化性樹脂あるいは熱硬化性樹脂からなる被転写膜に押し付け、光を照射あるいは熱を加えながら被転写膜を硬化させることによってパターンを被転写基材に転写する方法である。この際、熱硬化性樹脂を用いた転写法は熱インプリント法として、光硬化性樹脂を用いた転写法は光ナノインプリント法として知られている(例えば、「S.Y.Chouら,Appl.Phys.Lett.,vol67,p3114(1995)」(非特許文献1)、特開2000−194142号公報(特許文献1)参照)。
微細な転写パターンを有するナノインプリント用モールドは、一般には、シリコン、シリコンの酸化物、ニッケル、石英ガラス等により形成される。また、被転写膜材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)やポリイミド樹脂(PI)等の熱可塑性樹脂、
東洋合成工業株式会社より市販されているナノインプリント用レジストPAK−O1(商品名)等の光硬化性樹脂、またはHSQ(Hydrogen Silsequioxane)、SOG(Spin-on-Glass)等の高粘性樹脂等が使用されることが多い。
前述のナノインプリント用モールドは、例えば、表面に100nm以下の超微細凹凸パターンが形成されたものであり大変高価である。このモールドがインプリントプロセスにより摩耗し、破損することは、ナノインプリントプロセスを経て製造される製品のコストアップにつながる。そのため、産業規模でナノインプリントプロセスを適用する際には、原盤となるマスターモールドを温存する目的で、レプリカモールドが作製される。すなわち、マスターモールドから転写パターンを作製し、これをレプリカモールドとすれば、ひとつのマスターモールドから多数のレプリカモールドを製作することができる。このレプリカモールドをナノインプリントプロセスのスタンパ(原盤)として用いれば、モールドが破損してもモールドを容易に交換できるため、微細パターンを備えた製品をナノインプリント法により低コストで製造することが可能となる。
このような方式で製造するレプリカモールドとして樹脂製のモールドを用いることが検討され、例えば、光硬化反応を利用して微細パターンを転写する方法が特開2007−55235号公報(特許文献2)に開示されている。しかし、樹脂製のモールドを被転写樹脂膜に圧接させ、光硬化処理を行った後、樹脂製のモールドを被転写樹脂膜から剥離または引き離し処理を行わなければならないが、両者の剥離性が不良となることが度々あった。この原因としては、樹脂製のモールドに残存していた光硬化性の未硬化成分と被転写樹脂膜の光硬化性成分とが反応し、化学的な結合を形成し、癒着してしまうためと考えられる。
光ナノインプリントの被転写樹脂膜材料としては、例えば東洋合成工業株式会社製のPAK−01、旭硝子株式会社製のNIF等が挙げられるが、いずれも硬化の速さを考慮し、アクリル硬化系のレジストが主流である。その為、アクリル硬化系レジストに転写できないレプリカモールドは、光ナノインプリントプロセスにおいては不利である。
アクリル硬化系レジストにインプリントするため、フッ素含有アクリレートを用いてレプリカモールドを作成する方法が特開2007−320072号公報(特許文献3)に開示されている。しかし、用いられるフッ素系アクリレートは非常に高価で、レプリカモールドを作製することによるコストメリットが小さい。また、転写に用いる樹脂が液状であり、レプリカモールドを作製する直前に塗布を行う必要があり、ハンドリング面で不利である。
S.Y.Chouら,Appl.Phys.Lett.,vol67,p3114(1995)
特開2000−194142号公報 特開2007−55235号公報 特開2007−320072号公報
本発明は、高価なモールドもしくはテンプレートを容易に複製することができ、その複製物をレプリカモールドとして安価で量産性に優れた光ナノインプリントに適用することが可能な光硬化性転写シートを提供することである。
上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、光重合性化合物、官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン熱硬化剤を含有する光硬化性樹脂組成物が熱硬化された層を有する光硬化性転写シートがレプリカモールドの製造に適しており、かつこのレプリカモールドが光ナノインプリントにおける光硬化後の被転写樹脂膜からの離型性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の光硬化性転写シート、その製造方法、及びレプリカモールドの製造方法に関する。
[1] 官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A)、光重合性化合物(B)及び熱硬化剤(C)を含有する光硬化性樹脂組成物が熱硬化された層を有することを特徴とする光硬化性転写シート。
[2] 前記官能基が水酸基またはエポキシ基である前項[1]に記載の光硬化性転写シート。
[3] 前記変性ポリジメチルシロキサン(A)の官能基当量が300〜10000g/molである前項[1]または[2]に記載の光硬化性転写シート。
[4] 前記変性ポリジメチルシロキサン(A)が分子内に2つ以上の水酸基を有するポリジメチルシロキサン(A1)であり、前記熱硬化剤(C)が分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(C1)である前項[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
[5] 前記光硬化性樹脂組成物中の前記イソシアネート化合物(C1)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A1)の水酸基に対するイソシアネート基のmol比(イソシアネート基/水酸基)で、0.4〜1.2である前項[4]に記載の光硬化性転写シート。
[6] 前記光硬化性樹脂組成物に更に熱硬化反応促進剤(D1)を含む前項[4]または[5]に記載の光硬化性転写シート。
[7] 前記熱硬化反応促進剤(D1)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A1)、光重合性化合物(B)及びイソシアネート化合物(C1)の合計質量に対して5〜50ppmである前項[6]に記載の光硬化性転写シート。
[8] 前記変性ポリジメチルシロキサンが分子内に2つ以上のエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン(A2)であり、前記熱硬化剤(C)が酸無水物(C2)である前項[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
[9] 前記光硬化性樹脂組成物中の酸無水物(C2)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A2)のエポキシ基に対する酸無水物基のmol比(酸無水物基/エポキシ基)で0.3〜1.0である前項[8]に記載の光硬化性転写シート。
[10] 前記光重合性化合物(B)の配合量が、光硬化性樹脂組成物中5〜50質量%である前項[1]に記載の光硬化性転写シート。
[11] 前記光硬化性樹脂組成物に更に熱硬化反応促進剤(D2)を含む前項[8]または[9]に記載の光硬化性転写シート。
[12] 前記熱硬化反応促進剤(D2)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A2)、光重合性化合物(B)、及び酸無水物(C2)の合計質量に対し、0.5〜5質量%である前項[11]に記載の光硬化性転写シート。
[13] 前記光硬化性樹脂組成物に、更に光重合開始剤(E)を含む前項[6]、[7]、[11]、または[12]のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
[14] 前記光重合開始剤(E)の配合量が、前記光重合性化合物(B)の質量に対して2〜8質量%である前項[13]に記載の光硬化性転写シート。
[15] 支持体上に官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A)、光重合性化合物(B)及び熱硬化剤(C)を含有する光硬化性樹脂組成物を塗布して光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、光硬化性樹脂組成物層を加熱する工程と、を有することを特徴とする光硬化性転写シートの製造方法。
[16] 前項[1]〜[14]のいずれかに記載の光硬化性転写シートに凹凸パターンを表面に有するモールドの凹凸パターン形成面を押圧して光硬化性転写シートに凹凸パターンを転写する工程と、
前記転写工程と同時または転写工程後に紫外線を照射することで光硬化性転写シートを光硬化する工程と、
前記モールドを前記光硬化性転写シートから剥離する工程と、を有することを特徴とするレプリカモールドの製造方法。
本発明の光硬化性転写シートをモールドに押し当て、光ナノインプリントを行うことにより、レプリカモールドを簡便に作製することができる。また、このレプリカモールドを使用し光ナノインプリントを行うことにより半導体や記録メディア等の製造コストを抑えることができる。
実施例3によるレプリカモールド1を用いたパターン転写性の原子間力顕微鏡(AFM)による評価結果を示す図である。 実施例4によるレプリカモールド2を用いたパターン転写性のAFMによる評価結果を示す図である。 比較例1によるレプリカモールド3を用いたパターン転写性のAFMによる評価結果を示す図である。 比較例2によるレプリカモールド4を用いたパターン転写性のAFMによる評価結果を示す図である。 比較例3によるレプリカモールド5を用いたパターン転写性のAFMによる評価結果を示す図である。 レプリカモールド1及び賦型転写剤1を用いてインプリントを行った被転写基材への矩形転写性評価を行ったパターン断面の電界放射型電子顕微鏡(SEM)画像である。 レプリカモールド1及び賦型転写剤2を用いてインプリントを行った被転写基材への矩形転写性評価を行ったパターン断面のSEM画像である。 レプリカモールド2及び賦型転写剤1を用いてインプリントを行った被転写基材への矩形転写性評価を行ったパターン断面のSEM画像である。 レプリカモールド2及び賦型転写剤2を用いてインプリントを行った被転写基材への矩形転写性評価を行ったパターン断面のSEM画像である。 レプリカモールド3及び賦型転写剤1を用いてインプリントを行った被転写基材への矩形転写性評価を行ったパターン断面のSEM画像である。 レプリカモールド3及び賦型転写剤2を用いてインプリントを行った被転写基材への矩形転写性評価を行ったパターン断面のSEM画像である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光硬化性転写シートは、官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A)、光重合性化合物(B)及び熱硬化剤(C)を含有する光硬化性樹脂組成物の熱硬化された層を有することを特徴とする。より具体的には、熱硬化性官能基、例えば水酸基やエポキシ基を有する変性ポリジメチルシロキサン、光重合性化合物及び熱硬化剤を含む光硬化性樹脂組成物がシート状に成形され熱硬化されたものである。例えば上記光硬化性樹脂組成物を合成樹脂フィルム等の支持体上に塗布してシート状に形成し、光硬化性樹脂層の表面を保護するために、必要に応じて表面に保護フィルムを貼り合わせた積層構造とすることができる。光硬化性樹脂層は支持体上にシート形状を保持し、保護フィルム剥離時の破断や保護フィルムへの粘着等の不具合が発生しないように熱硬化反応される。
支持体となる合成樹脂フィルムの材料は、耐熱性、及び紫外線硬化性樹脂組成物の硬化を阻害する350〜400nm近傍範囲の紫外線領域に散乱・吸収が小さいものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレン、ポリアクリル酸塩、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ナイロン、ポリイミド、トリアセチルセルロース(三酢酸セルロース)、二酢酸セルロース、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレンやポリトリフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、セロファン、セルロース系フィルムなどを挙げることができる。これらの材料は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐熱性、紫外線透過性、及び価格の面から、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
合成樹脂フィルムは、光硬化性樹脂組成物の塗布面側、もしくは両面に易接着処理としてコロナ処理、大気圧プラズマ処理などの表面処理がなされていることが好ましい。合成樹脂フィルムの厚みは15〜200μmの範囲であることが好ましく、50〜150μmであることが更に好ましい。厚みが薄過ぎるとハンドリング性が悪く、また、厚みが厚過ぎると、コスト面、ハンドリング性で不利である。
保護フィルムは、支持体となる合成樹脂フィルムとの接合性などによって選択される。例えば、紙、PETフィルム、ポリプロピレンフィルムがラミネートされた紙、などが挙げられ、これらの中でも、PETフィルムが好ましい。保護フィルムの厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
本発明の保護フィルムは、光硬化性樹脂層との接着力が光硬化性樹脂層と支持体(合成樹脂フィルム)との接着力よりも小さいことが好ましい。保護フィルムと光硬化性樹脂層との接着性を調整するために表面処理してもよい。前記表面処理としては、例えば、保護フィルムの表面に、ポリオルガノシロキサン、弗素化ポリオレフィン、ポリフルオロエチレン、ポリビニルアルコール等のポリマーからなる下塗層を形成させることができる。該下塗層の形成は、前記ポリマーの塗布液を前記カバーフィルムの表面に塗布した後、30〜150℃(好ましくは50〜120℃)で1〜30分間乾燥させることにより形成させることができる。
保護フィルムとしては、予め表面処理された市販品を使用してもよい。具体的には、東洋紡績(株)製、剥離処理フィルム、E7002、E7006、E7007、K1504、K1571、TN100、TN200、三菱樹脂(株)製ダイヤホイル、MR−、MRA、MRA(AA2)、MRF、MRV38(V04)等が挙げられる。
上記積層体における支持体である合成樹脂フィルムと保護フィルムとの組合せ(以下、合成樹脂フィルム/保護フィルムの組み合わせで示す。)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリ塩化ビニル/セロフアン、ポリイミド/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレートなどが挙げられる。
本発明の光硬化性転写シートを構成する光硬化性樹脂組成物中の官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A)は、熱硬化性官能基を有するポリジメチルシロキサンである。熱硬化性官能基としては、例えば、水酸基、エポキシ基が挙げられ、変性ポリジメチルシロキサン1分子内に2つ以上の熱硬化性官能基を持つことが好ましい。
熱硬化性官能基として水酸基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A1)としては、例えば、信越化学工業(株)社製、反応性シリコーンオイルX−22−4039、X−22−4015、X−22−160AS、KF−6001、KF−6002、KF−6003等が挙げられる。また、熱硬化性官能基としてエポキシ基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A2)としては、例えば、信越化学工業(株)社製、X−22−343、KF−101、KF−1001、X−22−2000、X−22−2046、KF−102、X−22−4741、KF−1002、X−22−3000T、X−22−163、KF−105、X−22−163A、X−22−163B、X−22−163C、X−22−169AS、X−22−169B、X−22−9002等が挙げられる。これらの変性ポリジメチルシロキサンは単独で用いても良く、必要に応じて2種類以上を混合して使用することも可能である。また2種類以上を使用する場合、官能基の違うもの同士を組成物中に混在させることも可能である。
上記熱硬化性官能基を有する変性ポリジメチルシロキサンの官能基当量は300〜10000g/molであることが好ましく、更に350〜2000g/molであるとより好ましい。官能基当量が300g/molより小さいと分子中のジメチルシロキサン比率が少なく、十分な剥離性を発現できなくなってしまう。また、官能基当量が10000g/molより大きいと、光硬化性化合物等の他の配合物との相溶性が悪くなるといった不具合を生じることがある。「官能基当量」とは、変性ポリジメチルシロキサン1分子の分子量を変性ポリジメチルシロキサン1分子中に有する官能基数で割った値を意味する。
本発明の光硬化性転写シートを構成する光硬化性樹脂組成物中には変性ポリジメチルシロキサンの官能基の種類に応じて好ましい熱硬化性の硬化剤を組み合わせて用いることができる。官能基として水酸基を持つ変性ポリジメチルシロキサン(A1)を用いる場合は、硬化剤として、例えばイソシアネート(C1)を用いることができ、また、官能基としてエポキシ基を持つ変性ポリジメチルシロキサン(A2)を用いる場合は、硬化剤として例えば酸無水物(C2)を用いることができる。また、変性ポリジメチルシロキサンとして水酸基を持つものとエポキシ基を持つものとを併用する場合には、例えば、イソシアネートと酸無水物の両方を併用することができる。
熱硬化性の硬化剤として、イソシアネート(C1)を用いる場合、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を持っているものが好ましい。この要件を満たすイソシアネート化合物として、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、及びこれらのポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらポリイソシアネート化合物のビュレット体やイソシアヌレート体などが挙げられる。本発明に用いられるイソシアネート化合物は、これらに限定されるものではなく、2官能以上のイソシアネートであれば使用可能である。また、これらのイソシアネート化合物は1種類を用いても良く、また、必要に応じて2種類以上を併用しても良い。
イソシアネート化合物(C1)の使用量は、水酸基に対するイソシアネート基のmol比(イソシアネート基/水酸基)で、0.4〜1.2が好ましく、0.6〜0.9が更に好ましい。イソシアネートの配合量が規定の量より少ないと、十分な硬化度が得られず、支持体となる合成フィルム上に保持できないといった不具合が起こることがあり、また、規定の量より多い場合は、未反応のイソシアネートが、空気中の水分吸収等により変性を起こし、転写フィルムとしての物性を損なう可能性がある。
熱硬化性の硬化剤として用いられる酸無水物(C2)としては、例えば、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジカルボン酸無水物、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビスアンヒドロトリメリテートモノアセテート、テトラプロペニル無水コハク酸、オクテニルコハク酸無水物、無水コハク酸、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,4,5,9ヘキサヒドロ−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。本発明に用いられる酸無水物は、これらに限定されるものではなく、酸無水物であれば使用可能である。これらの酸無水物は1種類を用いても良く、また、必要に応じて2種類以上を併用しても良い。
酸無水物(C2)の使用量は、エポキシ基に対する酸無水物基がmol比(酸無水物基/エポキシ基)で0.3〜1.0が好ましく、0.5〜0.8が更に好ましい。酸無水物の配合量が規定の量より少ないと、十分な硬化度が得られず、支持体となる合成フィルム上に保持できないといった不具合が起こり、また、規定の量より多い場合は、未反応の酸無水物が、空気中の水分を吸収する等して変性を起こし、転写フィルムとしての物性を損なう可能性がある。
本発明の光硬化性転写シートを構成する光硬化性樹脂組成物において、更に熱硬化反応促進剤(D)を併用することができる。
硬化剤にイソシアネート(C1)を用いる場合は、熱硬化反応促進剤(D1)としては公知の、例えばジブチル錫ジラウリレート、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジアザビシクロノネン(DBN)を用いることができる。硬化剤に酸無水物(C2)を用いる場合は、熱硬化反応促進剤(D2)としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の第3級アミン類及びその塩類、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、トリフェニルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩類、アミノトリアゾール類、オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート等の錫系、オクチル酸亜鉛等の亜鉛系、アルミニウム、クロム、コバルト、ジルコニウム等のアセチルアセトナート等の金属触媒類等が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記熱硬化反応促進剤(D1)の配合量は、前記ポリジメチルシロキサン(A1)、光重合性化合物(B)及びイソシアネート化合物(C1)の合計質量に対して5〜50ppmが好ましい。熱硬化反応促進剤(D1)の配合量が、5ppm未満であると熱硬化反応に時間がかかりすぎ、生産性が落ちてしまい、50ppmを超えると室温下であっても熱硬化反応が急速に進行してしまい、PET等の基材に塗布する際の取り扱いが困難になる。
前記熱硬化反応促進剤(D2)の配合量は、前記ポリジメチルシロキサン(A2)、光重合性化合物(B)及び酸無水物(C2)の合計質量に対して0.5〜5質量%が好ましい。熱硬化反応促進剤(D2)の配合量が、0.5質量%未満であると熱硬化反応に時間がかかりすぎ、生産性が落ちてしまい、5質量%を超えると促進剤の染み出し等が起こり、ナノインプリントに使用する際に不具合となる恐れがある。
本発明の光硬化性転写シートを構成する光硬化性樹脂組成物の構成成分である光重合性化合物(B)としては、(メタ)アクリレート(アクリル酸及びメタクリル酸よりなるエステル化合物の総称を「(メタ)アクリレート」と表記する。)を用いることができる。
光重合性化合物(B)は、いずれもマスターモールドの転写の際、マスターモールドの凹凸への流れ込みの良さを考慮すると、粘度が低いものが好ましい。具体的には10〜2000cPが好ましく、より好ましくは100〜1000cPである。
光重合性化合物(B)として、(メタ)アクリレートを用いる場合、(メタ)アクリレートとして、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類、ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸またはこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸またはこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を用いることができる。これら光重合性化合物は1種を用いてもよく、または2種以上を併用してもよい。
上記光重合性化合物(B)の配合量は、光硬化性樹脂組成物中5〜50質量%が好ましく、15〜40質量%がより好ましい。光重合性化合物(B)の含有量が規定より少ないとマスターモールド転写の際の光ナノインプリント時に、十分な硬化度が得られず、シート上にマスターモールドの矩形が保持できず、規定より多いと光ナノインプリント後に硬化収縮によるレプリカモールドの反りが顕著になり、取り扱いが困難になってしまう。また、光重合性化合物は、1種を用いてもよく、必要に応じて2種以上のを併用してもよい。
本発明の光硬化性転写シートを構成する光硬化性樹脂組成物中には、光重合開始剤(E)を更に配合することが好ましい。光重合開始剤(E)としては、例えば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が挙げられる。より具体的には以下のものが挙げられる。
アセトフェノン系光重合開始剤:アセトフェノン、p−(t−ブチル)1’,1’,1’−トリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2’,2’−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
ベンゾイン系光重合開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
ベンゾフェノン系光重合開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
チオキサントン系光重合開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
その他の光重合開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、t−ブチルペルオキシピバレート等。
前記光重合開始剤(E)の配合量は、前記光重合性化合物(B)の質量に対して2〜8質量%が好ましい。光重合開始剤(E)の配合量が、2質量%未満であると光照射を行っても十分な硬化度が得られず、8質量%を超えると光硬化後の組成物が脆くなってしまう。
本発明の光硬化性転写シートの作製方法は、特に限定されるものではない。例えば、上記構成成分を含む光硬化性樹脂組成物に必要に応じて有機溶剤を混合したものを支持体である合成樹脂フィルム上に塗布した後加熱等により有機溶剤を除去し、その後、必要に応じて保護フィルムを載せ、加熱し熱硬化反応を促進させることにより得られる。光硬化性樹脂組成物層は、熱硬化により支持体上にシート状に成形、保持される。熱硬化は保護フィルム剥離時に光硬化性樹脂組成物層の破断や保護フィルムへの粘着等の不具合が発生しない程度に進行していればよく熱硬化成分を完全に硬化させておく必要はない。熱硬化条件としては、例えば、熱硬化成分として、水酸基とイソシアネート基の組み合わせを選択した場合は、90℃で4時間〜100時間、また、エポキシ基と酸無水物基を選択した場合は、90℃で12時間〜100時間で実施することができる。加熱時の雰囲気には特に制限はなく、通常の空気雰囲気下で熱硬化させることができる。いずれも規定の時間より加熱時間が短いと、保護フィルム剥離時の破断や保護フィルムへの粘着等の不具合が発生し、加熱時間が長すぎると、熱による材料の劣化や、組成物中に含まれる、(メタ)アクリロイル基の熱重合が開始してしまう等の不具合が懸念される。上記加熱温度は変更することもでき、温度を下げた場合は、加熱時間を延ばすことにより、加熱温度を上げた場合は、加熱時間を短縮することにより、同様の光硬化性転写シートを得ることができる。なお、加熱温度を上げすぎると、支持体のフィルムが軟化し、平坦なシートが得られない等の不具合が起こることがある。
支持体(合成フィルム)上に塗布する前の光硬化性樹脂組成物は、塗布機や塗布方法に適した粘度に調整することが好ましい。粘度が高すぎる場合は溶剤による希釈を行い、粘度が低すぎる場合は加熱する等して、適した粘度まで上げることができる。光硬化性樹脂組成物の最適粘度は、塗布機や塗布方法によって異なるが、加工温度(例えば25℃)で概ね0.1〜1.5Pa・sとするのが好ましい。
本発明の光硬化性転写シートを用いてレプリカモールドを製造する工程の一例を以下に示す。まず、光硬化性転写シートの支持体面を水平な基体上に対向させ光硬化性転写シートの光硬化性樹脂組成物層が上側となるように載置する。このとき光硬化性転写シートが支持体面と反対の面に保護フィルムを備える場合は保護フィルムを剥離する。続いて、凹凸パターンを表面に有するマスターモールドの凹凸パターン形成面を光硬化性樹脂組成物層に押圧して光硬化性樹脂組成物層に凹凸パターンを転写する。この転写工程と同時または転写工程後に紫外線を照射することにより光硬化性樹脂組成物層を光硬化する。紫外線照射条件としては500〜2000mj/cm2程度が好ましい。光硬化性樹脂組成物層が光硬化した後マスターモールドを光硬化樹脂層から剥離することによって支持体上に転写された光硬化樹脂層の凹凸パターンを有するレプリカモールドが得られる。
上述のように光硬化性転写シートの光硬化性樹脂組成物層にマスターモールドの凹凸パターン形成面を押圧する代わりに、マスターモールドの凹凸パターン形成面上に光硬化性転写シートの光硬化性樹脂組成物層を載置し、光硬化性転写シートの支持体面側から押圧することもできる。
以下、光硬化性転写シートの実施例、レプリカモールドの実施例と比較例、及び試験例(レプリカモールドの転写性評価試験、レプリカモールドと被転写樹脂膜との剥離性評価試験、及び被転写基材への矩形転写性評価試験)を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、光硬化性樹脂組成物の粘度はは下記の装置及び条件により測定した。
[粘度の測定]
使用装置:ブルックフィールド社B型粘度計LVDV−E、
スピンドル:No.18、
温度:25℃、
回転数:6rpm。
実施例1:光硬化性転写シート1の作製
下記の表1に示す配合で光硬化性樹脂組成物1を調製し、室温で1時間放置し、粘度450cPとした。これを50μm厚、大きさ8cm×12cmの支持体としてのPETフィルム(東洋紡績(株)社製、コスモシャインA4100)上に、バーコーターにて塗膜厚み約15μmとなるよう塗布した。これを90℃にて3分間溶剤乾燥を行った。次に保護フィルム(三菱樹脂(株)社製、ダイアホイルMRF、38μm厚)を塗膜上に貼り合わせ、更に90℃にて4時間加熱し、光硬化性転写シート1を得た。
[光硬化性樹脂組成物1の配合]
[配合成分の詳細]
X−22−160AS:水酸基を持つポリジメチルシロキサン、
デュラネート TPA−100:ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、
KAYARAD R−684:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、
Irgacure127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(光開始剤)、
ネオスタン U−100:ジブチル錫ジラウリレート。
実施例2:光硬化性転写シート2の作製
以下の表2に示す配合で光硬化性樹脂組成物2を調製し、70℃で1時間加熱撹拌を行い、粘度250cPとした。これを50μm厚、大きさ8cm×12cmの支持体としてのPETフィルム(東洋紡績(株)社製、コスモシャインA4100)上に、バーコーターにて塗膜厚み約15μmとなるよう塗布した。これを90℃にて3分間溶剤乾燥を行った。次に保護フィルム(三菱樹脂(株)社製、ダイアホイルMRF、38μm厚)を塗膜上に貼り合わせ、更に90℃にて12時間加熱し、光硬化性転写シート2を得た。
[光硬化性樹脂組成物2の配合]
[配合成分の詳細]
X−22−343:エポキシ基を持つポリジメチルシロキサン、
リカシッド MH−700G:4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸=70/30、
KAYARAD R−684:トリシクロデカンジメチロールジアクリレート、
U−CAT SA 102:DBU−オクチル酸塩、
Irgacure127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(光開始剤)。
実施例3:レプリカモールド1の作製
実施例1で得られた光硬化性転写シート1から保護フィルムを剥がし、この面にニッケル製のマスターモールドに押し当て、支持体フィルム側から35mW/cm2(365nm)の紫外光を15秒照射した。光硬化性転写シート1をマスターモールドから引き剥がし、レプリカモールド1を得た。
実施例4:レプリカモールド2の作製
実施例2で得られた光硬化性転写シート2を用い、実施例3と同様の操作を行うことで、レプリカモールド2を得た。
比較例1:レプリカモールド3の作製
光硬化性転写材料として、旭硝子(株)社製NIF−A−1を、50μm厚、大きさ8cm×12cmのPETフィルム(東洋紡績(株)社製、コスモシャインA4100)上に、バーコーターにて塗膜厚み約10μmとなるよう塗布した。この塗布面にニッケル製のマスターモールドを押し当て、支持体フィルム側から35mW/cm2(365nm)の紫外光を15秒照射した。フィルムとマスターモールドを引き剥がし、レプリカモールド3を得た。
比較例2:レプリカモールド4の作製
光硬化性転写材料として、KAYARAD R−684(日本化薬(株)社製)100質量部、Irgacure127(チバジャパン(株)社製)3質量部からなる光硬化性樹脂組成物を用いたこと以外、比較例1と同様の操作を行い、レプリカモールド4を得た。
比較例3:レプリカモールド5の作製
光硬化性転写フィルムとして、(株)ブリヂストン社製のUV硬化タイプナノインプリント用アクリル系接着/転写フィルム(シート)を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、レプリカモールド5を得た。
[フィルム(シート)へのパターン転写性の評価]
得られたレプリカモールド1〜5のパターン転写面の溝の深さを、AFM(原子間力顕微鏡:日本ビーコ社製、プローブ:SSS−NCH)を用いて測定した。表3に図1〜5中の各測定箇所における溝の深さの測定値を示す。表3に示す通り、いずれも溝の深さが50nm程度でパターンの転写がされていることが確認された。
[レプリカモールドと被転写樹脂膜との剥離性評価]
被転写基材であるガラス基板上に被転写樹脂膜材料をスピンコートにて50nm程度の厚みに塗布した。スピンコートは、500rpmを5秒、次いで、3000rpmを5秒、最後に5000rpmで30秒回転させる方法で行った。塗布後のガラス基板の被転写樹脂膜にレプリカモールドのパターン面を押し当て、レプリカモールド越しに35mW/cm2(365nm)の紫外光を3秒照射した。その後、レプリカモールドを被転写樹脂膜より引き剥がし、レプリカモールドと被転写樹脂膜との剥離性を目視にて確認した。被転写樹脂膜材料には東洋合成工業株式会社製のPAK−01(賦型転写材1とする)、もしくは、KAYARAD TMPTA(日本化薬(株)社製)5質量部、Irgacure127(チバジャパン(株)社製)0.15質量部、メトキシプロピルアセテート(純正化学(株)社製)100質量、からなる組成物(賦型転写材2とする)を用いた。
被転写基材上に賦型転写材が残存している場合を○、被転写基材上に賦型転写材が残存しておらず、レプリカモールドと賦型転写材が癒着してしまっている場合を×とし、評価した。結果を表4にまとめて示す。
本発明の光硬化性転写シート1及び2を用いて作製されたレプリカモールド1及び2を用いた場合賦型転写材1、2のいずれの場合にも良好な剥離性が得られたのに対し、レプリカモールド4、5を用いた場合は剥離性が良好ではなかった。レプリカモールド3を用いた場合は、レプリカモールド1、2と同等の良好な剥離性であったが、レプリカモールド3に用いられたNIF−A−1が粘度10cP程度と小さく、シート上に固定できないという理由からハンドリングの面で不利であり、更に、高価であることからコストメリットも得られない。これらを考慮すると、本発明の実施例3及び4によるレプリカモールド1及び2の方が優れていると言える。
[被転写基材への矩形転写性の評価]
レプリカモールドと賦型転写材との癒着がなく、UVナノインプリントが行われた被転写材(レプリカモールド1〜3を用いてUVナノインプリントを行ったガラス基板)について、断面を電界放射型電子顕微鏡(日立ハイテクフィールディング(株)社製、SEM、S−5000)にて測定した。なお、断面は基材の被転写面の裏面に傷を付け、両端から力をかけて割るという操作を行うことにより微細パターンを潰すこと無く形成した。図6〜11にパターン断面写真を示す(倍率:×150,000)。
レプリカモールド1〜3のいずれを用いた場合にも被転写基材への矩形転写性は良好であった。しかしながら、上述したとおりレプリカモールド3に用いられたNIF−A−1は粘度10cP程度と小さくフィルム上に固定できないという理由からハンドリングの面で不利であり、更に、高価であることからコストメリットも得られない。これらを考慮すると、レプリカモールド1及び2の方が優れていると言える。
本発明の光硬化性転写シートを用いることによりナノインプリントに用いられる高価なニッケルもしくは石英で作られたマスターモールドを複製したレプリカモールドを容易に作製することができる。このレプリカモールドを使用して光ナノインプリントを行うことにより半導体や記録メディア等を低コストで製造することができる。

Claims (16)

  1. 官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A)、光重合性化合物(B)及び熱硬化剤(C)を含有する光硬化性樹脂組成物が熱硬化された層を有することを特徴とする光硬化性転写シート。
  2. 前記官能基が水酸基またはエポキシ基である請求項1に記載の光硬化性転写シート。
  3. 前記変性ポリジメチルシロキサン(A)の官能基当量が300〜10000g/molである請求項1または2に記載の光硬化性転写シート。
  4. 前記変性ポリジメチルシロキサン(A)が分子内に2つ以上の水酸基を有するポリジメチルシロキサン(A1)であり、前記熱硬化剤(C)が分子内に2つ以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物(C1)である請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
  5. 前記光硬化性樹脂組成物中の前記イソシアネート化合物(C1)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A1)の水酸基に対するイソシアネート基のmol比(イソシアネート基/水酸基)で、0.4〜1.2である請求項4に記載の光硬化性転写シート。
  6. 前記光硬化性樹脂組成物に更に熱硬化反応促進剤(D1)を含む請求項4または5に記載の光硬化性転写シート。
  7. 前記熱硬化反応促進剤(D1)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A1)、光重合性化合物(B)及びイソシアネート化合物(C1)の合計質量に対して5〜50ppmである請求項6に記載の光硬化性転写シート。
  8. 前記変性ポリジメチルシロキサンが分子内に2つ以上のエポキシ基を有するポリジメチルシロキサン(A2)であり、前記熱硬化剤(C)が酸無水物(C2)である請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
  9. 前記光硬化性樹脂組成物中の酸無水物(C2)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A2)のエポキシ基に対する酸無水物基のmol比(酸無水物基/エポキシ基)で0.3〜1.0である請求項8に記載の光硬化性転写シート。
  10. 前記光重合性化合物(B)の配合量が、光硬化性樹脂組成物中5〜50質量%である請求項1に記載の光硬化性転写シート。
  11. 前記光硬化性樹脂組成物に更に熱硬化反応促進剤(D2)を含む請求項8または9に記載の光硬化性転写シート。
  12. 前記熱硬化反応促進剤(D2)の配合量が、前記ポリジメチルシロキサン(A2)、光重合性化合物(B)、及び酸無水物(C2)の合計質量に対し、0.5〜5質量%である請求項11に記載の光硬化性転写シート。
  13. 前記光硬化性樹脂組成物に、更に光重合開始剤(E)を含む請求項6、7、11、または12のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
  14. 前記光重合開始剤(E)の配合量が、前記光重合性化合物(B)の質量に対して2〜8質量%である請求項13に記載の光硬化性転写シート。
  15. 支持体上に官能基を有する変性ポリジメチルシロキサン(A)、光重合性化合物(B)及び熱硬化剤(C)を含有する光硬化性樹脂組成物を塗布して光硬化性樹脂組成物層を形成する工程と、光硬化性樹脂組成物層を加熱する工程と、を有することを特徴とする光硬化性転写シートの製造方法。
  16. 請求項1〜14のいずれかに記載の光硬化性転写シートに凹凸パターンを表面に有するモールドの凹凸パターン形成面を押圧して光硬化性転写シートに凹凸パターンを転写する工程と、
    前記転写工程と同時または転写工程後に紫外線を照射することで光硬化性転写シートを光硬化する工程と、
    前記モールドを前記光硬化性転写シートから剥離する工程と、を有することを特徴とするレプリカモールドの製造方法。
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