JP2011035324A - 半導体発光素子、ランプ、電子機器および機械装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】半導体発光素子1は、n型半導体層140上に積層される発光層150およびp型半導体層160と、p型半導体層160上に形成される第1電極170と、エッチング等によって露出したn型半導体層140上に形成される第2電極180と、第1電極170の一部および第2電極180の一部を除いて、これら第1電極170および第2電極180を覆い、且つ、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部を覆うように積層される保護層190とを備える。第1電極170には銀または銀を含む合金で構成された金属反射層172が設けられ、保護層190は低屈折率層と高屈折率層とが交互に積層された多層反射膜で構成される。
【選択図】図1
Description
また、他の公報記載の技術として、III族窒化物半導体層の基板との接触面と反対側となる面側に、誘電体からなる多重反射膜を形成することで、発光層から基板とは反対側に出力される光を、基板側に向けて反射するようにしたものが存在する(特許文献2参照)。
本発明は、フリップチップにて実装される半導体発光素子における光取り出し効率を向上させることを目的とする。
また、第2の反射層が接続層の少なくとも一部を覆うように設けられ、接続層と第2の反射層との間には、接続層と第2の反射層とを密着させるための密着層がさらに形成されていることを特徴とすることができる。
さらに、第1の屈折率層が酸化珪素で構成されるとともに、第2の屈折率層が酸化チタン、酸化ニオブおよび酸化タンタルからなる群から選ばれた1種で構成され、発光層に接触する部位と外部に露出する部位とが、第1の屈折率層で構成されることを特徴とすることができる。
また、保護反射層が接続層の少なくとも一部を覆うように設けられ、接続層と保護反射層との間には、接続層と保護反射層とを密着させるための密着層がさらに形成されていることを特徴とすることができる。
さらに、第1の屈折率層が酸化珪素で構成されるとともに、第2の屈折率層が酸化チタンで構成され、発光層に接触する部位と外部に露出する部位とが、第1の屈折率層で構成されることを特徴とすることができる。
図1は本実施の形態が適用される半導体発光素子(発光ダイオード)1の断面模式図の一例を示しており、図2は図1に示す半導体発光素子1を図1に示すII方向からみた平面模式図の一例を示しており、図3は半導体発光素子1を構成する積層半導体層の断面模式図の一例を示している。
図1に示すように、半導体発光素子1は、基板110と、基板110上に積層される中間層120と、中間層120上に積層される下地層130とを備える。また、半導体発光素子1は、下地層130上に積層されるn型半導体層140と、n型半導体層140上に積層される発光層150と、発光層150上に積層されるp型半導体層160とを備える。なお、以下の説明においては、必要に応じて、これらn型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160を、まとめて積層半導体層100と呼ぶ。
このように、本実施の形態の半導体発光素子1は、基板110とは反対側となる一方の面側に第1電極170および第2電極180が形成された構造を有している。
<基板>
基板110としては、III族窒化物半導体結晶が表面にエピタキシャル成長される基板であれば、特に限定されず、各種の基板を選択して用いることができる。ただし、本実施の形態の半導体発光素子1は、後述するように、基板110側から光を取り出すようにフリップチップ実装されることから、発光層150から出射される光に対する光透過性を有していることが好ましい。したがって、例えば、サファイア、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウムアルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化リチウムガリウム、酸化リチウムアルミニウム、酸化ネオジウムガリウム、酸化ランタンストロンチウムアルミニウムタンタル、酸化ストロンチウムチタン、酸化チタン等からなる基板110を用いることができる。
また、上記材料の中でも、特に、C面を主面とするサファイアを基板110として用いることが好ましい。サファイアを基板110として用いる場合は、サファイアのC面上に中間層120(バッファ層)を形成するとよい。
III族窒化物半導体層の一例としての積層半導体層100は、例えば、III族窒化物半導体からなる層であって、図1に示すように、基板110上に、n型半導体層140、発光層150およびp型半導体層160の各層が、この順で積層されて構成されている。
また、図3に示すように、n型半導体層140、発光層150及びp型半導体層160の各層は、それぞれ、複数の半導体層から構成してもよい。さらにまた、積層半導体層100は、さらに下地層130、中間層120を含めて呼んでもよい。ここで、n型半導体層140は、電子をキャリアとする第1の導電型にて電気伝導を行うものであり、p型半導体層160は、正孔をキャリアとする第2の導電型にて電気伝導を行うものである。
なお、積層半導体層100は、MOCVD法で形成すると結晶性の良いものが得られるが、スパッタ法によっても条件を最適化することで、MOCVD法よりも優れた結晶性を有する半導体層を形成できる。以下、順次説明する。
中間層120は、多結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)からなるものが好ましく、単結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)のものがより好ましい。
中間層120は、上述のように、例えば、多結晶のAlxGa1-xN(0≦x≦1)からなる厚さ0.01〜0.5μmのものとすることができる。中間層120の厚みが0.01μm未満であると、中間層120により基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和する効果が十分に得られない場合がある。また、中間層120の厚みが0.5μmを超えると、中間層120としての機能には変化が無いのにも関わらず、中間層120の成膜処理時間が長くなり、生産性が低下する虞がある。
中間層120は、基板110と下地層130との格子定数の違いを緩和し、基板110の(0001)面(C面)上にc軸配向した単結晶層の形成を容易にする働きがある。したがって、中間層120の上に単結晶の下地層130を積層すると、より一層結晶性の良い下地層130が積層できる。なお、本発明においては、中間層形成工程を行なうことが好ましいが、行なわなくても良い。
下地層130としては、AlxGayInzN(0≦x≦1、0≦y≦1、0≦z≦1、x+y+z=1)を用いることができるが、AlxGa1-xN(0≦x<1)を用いると結晶性の良い下地層130を形成できるため好ましい。
下地層130の膜厚は0.1μm以上が好ましく、より好ましくは0.5μm以上であり、1μm以上が最も好ましい。この膜厚以上にした方が結晶性の良好なAlxGa1-xN層が得られやすい。また、下地層130の膜厚は10μm以下が好ましい。
下地層130の結晶性を良くするためには、下地層130は不純物をドーピングしない方が望ましい。しかし、p型あるいはn型の導電性が必要な場合は、アクセプター不純物あるいはドナー不純物を添加することができる。
図3に示すように、例えば電子をキャリアとする第1の導電型を有する第1の半導体層の一例としてのn型半導体層140は、nコンタクト層140aとnクラッド層140bとから構成されるのが好ましい。なお、nコンタクト層140aはnクラッド層140bを兼ねることも可能である。また、前述の下地層130をn型半導体層140に含めてもよい。
nコンタクト層140aは、第2電極180を設けるための層である。nコンタクト層140aとしては、AlxGa1-xN層(0≦x<1、好ましくは0≦x≦0.5、さらに好ましくは0≦x≦0.1)から構成されることが好ましい。
また、nコンタクト層140aにはn型不純物がドープされていることが好ましく、n型不純物を1×1017〜1×1020/cm3、好ましくは1×1018〜1×1019/cm3の濃度で含有すると、第2電極180との良好なオーミック接触を維持できる点で好ましい。n型不純物としては、特に限定されないが、例えば、Si、GeおよびSn等が挙げられ、好ましくはSiおよびGeが挙げられる。
nコンタクト層140aの膜厚は、0.5〜5μmとされることが好ましく、1〜3μmの範囲に設定することがより好ましい。nコンタクト層140aの膜厚が上記範囲にあると、半導体の結晶性が良好に維持される。
nクラッド層140bの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.5μmであり、より好ましくは0.005〜0.1μmである。nクラッド層140bのn型ドープ濃度は1×1017〜1×1020/cm3が好ましく、より好ましくは1×1018〜1×1019/cm3である。ドープ濃度がこの範囲であると、良好な結晶性の維持および発光素子の動作電圧低減の点で好ましい。
また、nクラッド層140bは、n側第1層とn側第2層とが交互に繰返し積層された構造を含んだものであってもよく、GaInNとGaNとの交互構造又は組成の異なるGaInN同士の交互構造であることが好ましい。
n型半導体層140の上に積層される発光層150としては、単一量子井戸構造あるいは多重量子井戸構造などを採用することができる。
図3に示すような、量子井戸構造の井戸層150bとしては、Ga1-yInyN(0<y<0.4)からなるIII族窒化物半導体層が通常用いられる。井戸層150bの膜厚としては、量子効果の得られる程度の膜厚、例えば1〜10nmとすることができ、好ましくは2〜6nmとすると発光出力の点で好ましい。
また、多重量子井戸構造の発光層150の場合は、上記Ga1-yInyNを井戸層150bとし、井戸層150bよりバンドギャップエネルギーが大きいAlzGa1-zN(0≦z<0.3)を障壁層150aとする。井戸層150bおよび障壁層150aには、設計により不純物をドープしてもしなくてもよい。
なお、本実施の形態では、発光層150が、井戸層150bのIn組成を調整することによって、紫外光から緑色光(発光波長λ=365nm〜540nm程度)を出力することができる。
図3に示すように、例えば正孔をキャリアとする第2の導電型を有する第2の半導体層の一例としてのp型半導体層160は、通常、pクラッド層160aおよびpコンタクト層160bから構成される。また、pコンタクト層160bがpクラッド層160aを兼ねることも可能である。
pクラッド層160aは、発光層150へのキャリアの閉じ込めとキャリアの注入とを行なう層である。pクラッド層160aとしては、発光層150のバンドギャップエネルギーより大きくなる組成であり、発光層150へのキャリアの閉じ込めができるものであれば特に限定されないが、好ましくは、AlxGa1-xN(0<x≦0.4)のものが挙げられる。
pクラッド層160aが、このようなAlGaNからなると、発光層150へのキャリアの閉じ込めの点で好ましい。pクラッド層160aの膜厚は、特に限定されないが、好ましくは1〜400nmであり、より好ましくは5〜100nmである。
pクラッド層160aのp型ドープ濃度は、1×1018〜1×1021/cm3が好ましく、より好ましくは1×1019〜1×1020/cm3である。p型ドープ濃度が上記範囲であると、結晶性を低下させることなく良好なp型結晶が得られる。
また、pクラッド層160aは、複数回積層した超格子構造としてもよく、AlGaNとAlGaNとの交互構造又はAlGaNとGaNとの交互構造であることが好ましい。
p型不純物(ドーパント)を1×1018〜1×1021/cm3の濃度、好ましくは5×1019〜5×1020/cm3の濃度で含有していると、良好なオーミック接触の維持、クラック発生の防止、良好な結晶性の維持の点で好ましい。p型不純物としては、特に限定されないが、例えば好ましくはMgが挙げられる。
pコンタクト層160bの膜厚は、特に限定されないが、0.01〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2μmである。pコンタクト層160bの膜厚がこの範囲であると、発光出力の点で好ましい。
次に、第1電極170の構成について詳細に説明する。
第1電極170は、p型半導体層160の上面160c上に積層される第1導電層171と、この第1導電層171上に積層される金属反射層172と、この金属反射層172上に積層される第1拡散防止層173と、第1拡散防止層173上に積層される第1ボンディング層174と、上述した第1ボンディング層174の露出部位を除いて第1ボンディング層174を覆うように設けられ、第1ボンディング層174と反対側の面には保護層190が積層される第1密着層175とを有している。
図1に示すように、p型半導体層160の上には第1導電層171が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第1導電層171(図1参照)は、第2電極180を形成するために、エッチング等の手段によって一部が除去されたp型半導体層160の上面160cの周縁部を除くほぼ全面を覆うように形成されている。そして、第1導電層171の中央部は一定の膜厚を有し上面160cに対しほぼ平坦に形成される一方、第1導電層171の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。ただし、第1導電層171は、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよく、また、矩形状の断面を有していてもよい。なお、図2において、第1導電層171は、第1ボンディング層174の背面側に形成されているため、その背後に隠れている。
これらの材料を、この技術分野でよく知られた慣用の手段で設けることによって、第1導電層171を形成できる。また、第1導電層171を形成した後に、第1導電層171の透明化と更なる低抵抗化とを目的とした熱アニールを施す場合もある。
例えば、IZO中のZnO濃度は1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%の範囲であることが更に好ましく、10質量%であると特に好ましい。
また、IZO膜の熱処理温度は、500℃〜1000℃が好ましい。500℃未満の温度で熱処理を行なった場合、IZO膜を十分に結晶化できない恐れが生じ、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない場合がある。1000℃を超える温度で熱処理を行なった場合には、IZO膜は結晶化されているが、IZO膜の光透過率が十分に高いものとならない場合がある。また、1000℃を超える温度で熱処理を行なった場合、IZO膜の下にある半導体層を劣化させる恐れもある。
特に、前述のように、熱処理によって結晶化したIZO膜は、アモルファス状態のIZO膜に比べて、p型半導体層160との密着性が良いため、本発明の実施形態において大変有効である。また、熱処理によって結晶化したIZO膜は、アモルファス状態のIZO膜に比べて、抵抗値が低下することから、半導体発光素子1を構成した際に、順方向電圧VFを低減できる点でも好ましい。
図1に示すように、第1導電層171の上には金属反射層172が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、金属反射層172(図1参照)は、第1導電層171の全域を覆うように形成されている。そして、金属反射層172の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、金属反射層172の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。また、金属反射層172は、第1導電層171上に形成され、p型半導体層160上には形成されないようになっている。すなわち、p型半導体層160と金属反射層172とが直接接触しないように構成されている。なお、図2において、金属反射層172は、上述した第1導電層171と同様、第1ボンディング層174の背面側に形成されているため、その背後に隠れている。
図1に示すように、金属反射層172の上には第1拡散防止層173が積層されている。この第1拡散防止層173は、接触状態にある金属反射層172を構成する金属(この例ではAg(銀))の拡散を抑制するために設けられている。
図2に示すように平面視したときに、第1拡散防止層173は、金属反射層172の全域を覆うように形成されている。そして、第1拡散防止層173の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1拡散防止層173の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。また、第1拡散防止層173は、金属反射層172上に形成され、p型半導体層160上には形成されないようになっている。すなわち、p型半導体層160と第1拡散防止層173とが直接接触しないように構成されている。
図1に示すように、第1拡散防止層173の上面および側面には、第1拡散防止層173を覆うように第1ボンディング層174が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第1ボンディング層174は、第1拡散防止層173の全域を覆うように形成されている。そして、第1ボンディング層174の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1ボンディング層174の端部側は膜厚が漸次薄くなることでp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。
図1に示すように、第1ボンディング層174の上面および側面には、第1ボンディング層174を覆うように第1密着層175が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第1密着層175は第1ボンディング層174の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第1密着層175の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第1密着層175の端部側はp型半導体層160の上面160cに対し傾斜して形成されている。この第1密着層175の側面側の端部は、p型半導体層160の上面160cと接するように設けられている。
ここで、第1密着層175の厚さが2nmよりも薄い場合は、Auと保護膜との密着性が十分とれなくなり望ましくない。また、第1密着層175の厚さが50nm以上になると、第1ボンディング層174を構成するAuを露出させるために、保護層190および第1密着層175を除去する工程での負担が大きくなるので望ましくない。
さらに、第1密着層175を構成する材料に要求される特性としては、耐水性も兼ね備えていること(弁金属など)、および、ドライエッチングのエッチングガスやエッチャントに対するエッチング特性がよいことの両者を満たすことが挙げられる。
続いて、第2電極180の構成について詳細に説明する。
第2電極180は、n型半導体層140の半導体層露出面140c上に積層される第2導電層181と、この第2導電層181上に積層される第2ボンディング層183と、上述した第2ボンディング層183の露出部位を除いて第2ボンディング層183を覆うように設けられ、第2ボンディング層183と反対側の面には保護層190が積層される第2密着層184とを有している。
図1に示すように、n型半導体層140の上には第2導電層181が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第2導電層181(図1参照)は、円形状の外形を有している。そして、第2導電層181の中央部は一定の膜厚を有し半導体層露出面140cに対しほぼ平坦に形成される一方、第2導電層181の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。ただし、第2導電層181は、このような形状に限定されるわけでなく、隙間を開けて格子状や樹形状に形成してもよく、また、矩形状の断面を有していてもよく、さらに円形状以外の外形を有していてもよい。なお、図2において、第2導電層181は、第2ボンディング層183の背面側に形成されているため、その背後に隠れている。
本実施の形態では、第2導電層181として、Al(アルミニウム)を用いている。第2導電層181を構成するAl(アルミニウム)は、上述した第1電極170の金属反射層172を構成するAg(銀)と同様、発光層150から出射される青色〜緑色の領域の波長の光に対して、高い光反射性を有しており、こちらも金属反射層として機能するようになっている。また、本実施の形態では、第2導電層181の厚さは100nm(1000Å)に設定されている。なお、第2導電層181の厚さは50nm〜500nmの範囲より選択することができる。ここで、第2導電層181の厚さが50nmよりも薄いと、n型半導体層140から出る光を透過させやすくなることから、光取り出し効率が低下する場合があり、また、第2導電層181の厚さが500nmよりも厚いと第2ボンディング層183で覆えなくなる部位が生ずるおそれがあり、Alなど耐水性の低い金属が外部に露出する可能性がある点で好ましくない場合がある。
図1に示すように、第2導電層181の上には第2ボンディング層183が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第2ボンディング層183は、第2導電層181の全域を覆うように形成されている。そして、第2ボンディング層183の中央部は一定の膜厚を有しほぼ平坦に形成される一方、第2ボンディング層183の端部側は膜厚が漸次薄くなることでn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。
図1に示すように、第2ボンディング層183の上には第2密着層184が積層されている。
図2に示すように平面視したときに、第2密着層184は第2ボンディング層183の露出部位を除く領域を覆うように形成されている。そして、第2密着層184の中央部は一定の膜厚を有し且つほぼ平坦に形成される一方、第2密着層184の端部側はn型半導体層140の半導体層露出面140cに対し傾斜して形成されている。この第2密着層184の側面側の端部は、n型半導体層140の半導体層露出面140cと接するように設けられている。
さらに、第2密着層184を構成する材料に要求される特性としては、耐水性も兼備えていること(弁金属など)、および、ドライエッチングのエッチングガスやエッチャントに対するエッチング特性がよいことの両者を満たすことが挙げられる。
図1に示すように、保護層190は、第1電極170の一部および第2電極180の一部を除いて、これら第1電極170および第2電極180を覆い、且つ、p型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140の一部(半導体層露出面140cよりも発光層150側)を覆うように積層されている。保護層190は、外部から水等が発光層150、第1電極170および第2電極180に浸入するのを抑制する保護層としての機能と、発光層150から出射された光のうち、直接基板110側に向かわず、しかも、第1電極170の金属反射層172や第2電極180の第2導電層181で反射されなかった光を基板110側に向けて反射する補助反射層としての機能とを有している。
保護層190は、屈折率が異なる第1の屈折率層の一例としての低屈折率層190aと第2の屈折率層の一例としての高屈折率層190bとを、交互に積層して構成されている。特に、本実施の形態では、2つの低屈折率層190aによって1つの高屈折率層190bを挟み込む構成を採用しており、この例では、6層の低屈折率層190aの間に5層の高屈折率層190bを挟み込むことにより、合計11層の積層構造を有している。なお、図4は、第1電極170の第1密着層175上に形成される保護層190を例示しているが、例えば第2電極180側などの他の部位に対しても、同様の順番で低屈折率層190aおよび高屈折率層190bが積層されることで保護層190が形成されている。なお、保護層190のうち外部に露出する最上層については、低屈折率層190aで構成してもよいし、高屈折率層190bで構成してもよい。
図5は、図1に示す半導体発光素子1を配線基板10に実装した発光装置の構成の一例を示す図である。
配線基板10の一方の面には、正電極11と負電極12とが形成されている。
そして、配線基板10に対し、図1に示す半導体発光素子1の上下を反転させた状態で、正電極11には第1電極170(具体的には第1ボンディング層174)を、また、負電極12には第2電極180(具体的には第2ボンディング層183)を、それぞれはんだ20を用いて電気的に接続すると共に機械的に固定している。このような配線基板10に対する半導体発光素子1の接続手法は、一般にフリップチップ接続と呼ばれるものである。フリップチップ接続においては、配線基板10からみて、半導体発光素子1の基板110が発光層150よりも遠い位置に置かれる。
配線基板10の正電極11および負電極12を介して、半導体発光素子1に正電極11から負電極12に向かう電流を流すと、半導体発光素子1では、第1電極170からp型半導体層160、発光層150およびn型半導体層140を介して第2電極180に向かう電流が流れ、発光層150は四方に向けて青色光を出力する。ここで、図5には、基板110側に向かう矢印A方向の光、第1電極170側に向かう矢印B方向の光および側方に向かう矢印C方向の光を例示している。なお、このとき、第1電極170では、第1ボンディング層174、第1拡散防止層173、金属反射層172および第1導電層171を介して電流が流れ、p型半導体層160には、上面160cの面上において均一化された状態の電流が供給される。
本実施形態のランプは、本発明の半導体発光素子を備えるものであり、上記の半導体発光素子1と蛍光体とを組み合わせてなるものである。本実施形態のランプは、当業者周知の手段によって当業者周知の構成とすることができる。また、従来より、半導体発光素子1と蛍光体と組み合わせることによって発光色を変える技術が知られており、本実施形態のランプにおいてもこのような技術を何ら制限されることなく採用することが可能である。
本発明者は、発光層150の発光波長λおよび保護層190の構成を異ならせて得られた半導体発光素子1を用い、半導体発光素子1から出力される光量に関する評価を行った。
実施例1では、発光波長λが403nmの発光層150を用いた。なお、実施例1における順方向電圧Vfは3.5Vであった。また、実施例1における保護層190は、図6(b)に示す多層膜構成(構成1)を用いた。
また、実施例2では、発光波長λが453nmの発光層150を用いた。なお、実施例2における順方向電圧Vfは3.2Vであった。また、実施例2における保護層190は、図6(c)に示す多層膜構成(構成2)を用いた。
一方、比較例1では、発光波長λが404nmの発光層150を用いた。なお、比較例1における順方向電圧Vfは3.5Vであった。また、比較例1における保護層190は、SiO2(酸化珪素)の単層膜構成とした。ここで、比較例1における保護層190の層厚さは250nmとした。
さらに、比較例2では、発光波長λが453nmの発光層150を用いた。なお、比較例2における順方向電圧Vfは、3.2Vであった。また、比較例2における保護層190は、比較例1と同様、SiO2(酸化珪素)の単層膜構成とした。ここで、比較例2における保護層190の層厚さは250nmとした。
実施例1における保護層190は、11層の積層構成とした。そして、奇数番目となる第1層、第3層、第5層、第7層、第9層および第11層を、SiO2(酸化珪素)からなる低屈折率層190aとし、偶数番目となる第2層、第4層、第6層、第8層および第10層を、TiO2(酸化チタン)からなる高屈折率層190bとした。実施例1では、発光層150の発光波長λが403nmであることから、奇数番目の層すなわち低屈折率層190aの層厚さを、上述した(1)式に基づいて67nmとし、また、偶数番目の層すなわち高屈折率層190bの層厚さを、上述した(2)式に基づいて37nmとした。
実施例2における保護層190は、実施例1と同様、11層の積層構成とした。また、実施例1と同様、奇数番目となる第1層、第3層、第5層、第7層、第9層および第11層を、SiO2(酸化珪素)からなる低屈折率層190aとし、偶数番目となる第2層、第4層、第6層、第8層および第10層を、TiO2(酸化チタン)からなる高屈折率層190bとした。実施例2では、発光層150の発光波長λが453nmであることから、奇数番目の層すなわち低屈折率層190aの層厚さを、上述した(1)式に基づいて76nmとし、また、偶数番目の層すなわち高屈折率層190bの層厚さを、上述した(2)式に基づいて45nmとした。
Claims (11)
- 第1の導電型を有するIII族窒化物半導体で構成される第1の半導体層と、
III族窒化物半導体で構成され、前記第1の半導体層に積層され、通電により発光する発光層と、
前記第1の導電型とは異なる第2の導電型を有するIII族窒化物半導体で構成され、前記発光層に積層される第2の半導体層と、
銀または銀を含む合金で構成され、前記発光層とは逆側の前記第2の半導体層に積層され、前記発光層から出射される光を反射する第1の反射層と、
第1の屈折率を有し前記発光層から出射される光に対する透過性を有する第1の屈折率層と当該第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有し当該発光層から出射される光に対する透過性を有する第2の屈折率層とを交互に積層して構成され、少なくとも前記発光層のうち前記第1の半導体層と前記第2の半導体層とに接触しない部位を覆うように設けられ、当該発光層から出射される光を反射する第2の反射層と
を含む半導体発光素子。 - 前記発光層から出射される光に対する透過性および導電性を有する金属酸化物で構成され、前記第2の半導体層と前記第1の反射層との間に設けられる透明導電層と、
導電性を有し、前記透明導電層とは逆側の前記第1の反射層に積層されて外部との電気的な接続に用いられる接続層と
をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。 - 前記第2の反射層が前記接続層の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記接続層と前記第2の反射層との間には、当該接続層と当該第2の反射層とを密着させるための密着層がさらに形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体発光素子。 - 前記第1の屈折率層が酸化珪素で構成されるとともに、前記第2の屈折率層が酸化チタン、酸化ニオブおよび酸化タンタルからなる群から選ばれた1種で構成され、
前記発光層に接触する部位と外部に露出する部位とが、前記第1の屈折率層で構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の半導体発光素子。 - 通電により発光する発光層を含むIII族窒化物半導体層と、
銀または銀を含む合金で構成され、前記III族窒化物半導体層に積層され、前記発光層に給電を行うとともに前記発光層から出射される光を反射する電極反射層と、
第1の屈折率を有し前記発光層から出射される光に対する透過性を有する第1の屈折率層と当該第1の屈折率よりも高い第2の屈折率を有し当該発光層から出射される光に対する透過性を有する第2の屈折率層とを交互に積層して構成され、前記電極反射層と少なくとも前記発光層を含む前記III族窒化物半導体層の一部とを覆うように設けられ、当該発光層を保護するとともに当該発光層から出射される光を反射する保護反射層と
を含む半導体発光素子。 - 前記発光層から出射される光に対する透過性および導電性を有する金属酸化物で構成され、前記III族窒化物半導体層と前記電極反射層との間に設けられる透明導電層と、
導電性を有し、前記透明導電層とは逆側の前記電極反射層に積層されて外部との電気的な接続に用いられる接続層と
をさらに含むことを特徴とする請求項5記載の半導体発光素子。 - 前記保護反射層が前記接続層の少なくとも一部を覆うように設けられ、
前記接続層と前記保護反射層との間には、当該接続層と当該保護反射層とを密着させるための密着層がさらに形成されていることを特徴とする請求項6記載の半導体発光素子。 - 前記第1の屈折率層が酸化珪素で構成されるとともに、前記第2の屈折率層が酸化チタンで構成され、
前記発光層に接触する部位と外部に露出する部位とが、前記第1の屈折率層で構成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の半導体発光素子。 - 請求項1乃至8のいずれか1項記載の半導体発光素子を備えたことを特徴とするランプ。
- 請求項9記載のランプが組み込まれていることを特徴とする電子機器。
- 請求項10記載の電子機器が組み込まれていることを特徴とする機械装置。
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